JP3682678B2 - 流動性に優れ見掛け密度の安定な粉末冶金用鉄基粉末混合物 - Google Patents

流動性に優れ見掛け密度の安定な粉末冶金用鉄基粉末混合物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、潤滑剤、黒鉛粉、銅粉等の添加物の偏析および発塵(ダスト)の発生が少なく、製造後の流動性の経時変化が少なく、流動性に優れ、とりわけ見掛け密度の変動が極めて小さい粉末冶金用鉄基粉末混合物およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
粉末冶金用鉄基粉末混合物は、鉄粉に銅粉、黒鉛粉、燐化鉄粉などの合金粉末と、さらに必要に応じて切削性改善用粉末に加えて、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸鉛などの潤滑剤を混合して製造するのが一般的である。このような潤滑剤は金属粉末との混合性や焼結時の逸散性などから選択されている。
【0003】
しかし、このような混合方法は以下のような欠点を持っている。先ず、混合法の大きな欠点は原料混合物が偏析を生ずることである。偏析について述べると、粉末混合物は大きさ、形状および密度の異なる粉末を含んでいるため、混合後の輸送、ホッパへの装入、払い出し、または成形処理などの際に、容易に偏析が生じてしまう。例えば、鉄基粉末と黒鉛粉との混合物は、トラック輸送中の振動によって、輸送容器内において偏析が起こり、黒鉛粉が浮かび上がることは良く知られている。また、ホッパに装入された黒鉛はホッパ内偏析のため、ホッパより排出する際、排出の初期、中期、終期でそれぞれ黒鉛粉の濃度が異なることも知られている。
【0004】
これらの偏析によって製品は組成にばらつきを生じ、寸法変化および強度のばらつきが大きくなって、不良品の原因となる。
また、黒鉛粉などはいずれも微粉末であるため、混合物の比表面積を増大させ、その結果、流動性が低下する。このような流動性の低下は、成形用金型への充填速度を低下させるため、圧粉体の生産速度を低下させてしまうという欠点もある。
【0005】
このような粉末混合物の偏析を防止する技術として特開昭56−136901号公報や特開昭58−28321号公報に開示されたような結合剤を用いる技術があるが、粉末混合物の偏析を充分に改善するように結合剤の添加量を増加させると、粉末混合物の流動性が低下する問題点がある。
また本発明者らは先に特開平1−165701号公報、特開平2−47201号公報において、金属石鹸又はワックスとオイルとの共溶融物を結合剤として用いる方法を提案した。これらは粉末混合物の偏析と発塵を格段に低減することができると共に、流動性を改善することができるものである。しかし、これらの方法では上述の偏析を防止する手段に起因して、粉末混合物の流動性が経時的に変化する問題があった。そこで、さらに本発明者らは特開平2−57602号公報において提案したような、高融点のオイルと金属石鹸の共溶融物を結合剤に用いる方法を開発した。その技術は、共溶融物の経時変化が少なく、粉末混合物の流動性の経時的な変化が低減されるものである。しかし、その技術では常温では固体の高融点の飽和脂肪酸と金属石鹸とを鉄基粉末と混合するので、粉末混合物の見掛け密度が変化するという別の問題があった。
【0006】
この問題を解決するため本発明者らは特開平3−162502号公報にて、鉄基粉末表面を脂肪酸で被覆した後、鉄基粉末表面に添加物を脂肪酸と金属石鹸との共溶融物で付着させ、さらにその外表面に金属石鹸を添加するという方法を提案した。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
これらの方法において偏析、発塵および流動性の問題はかなり解決したが、流動性に優れ、見掛け密度の変動、とりわけ外気温度および湿度に対する変動の問題に関してはいまだ不十分であった。すなわち、外気温度が15℃と35℃とでは見掛け密度の差は0.1g/cm3 以上となるので、成形時、金型内への鉄粉の充填量が一定にならないため焼結体重量のばらつきとなり、ひいては焼結体の特性変動の原因となるため、これの解決が課題となっていた。
【0008】
本発明はこの課題を解決することを目的とするものである。本発明者らはこの課題解決のため鋭意検討を重ねた結果、鉄基粉末混合物の見掛け密度が鉄粉と潤滑剤の間の接触電位による静電気力に支配されるとの知見を得た。この知見に基づきさらに検討を加え、鉄基粉末混合物に帯電防止剤を添加すことにより温度、湿度が変わっても帯電量が一定となり、流動性が向上し、ホッパからの流出が円滑となり、見掛け密度の変動が小さくなることを発見し、本発明を完成するに到ったものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は、基本的には0.001〜0.1重量%の帯電防止剤を含むことを特徴とする流動性に優れ見掛け密度の安定な粉末冶金用鉄基粉末混合物であって、実質的には鉄基粉末に合金粉末、潤滑剤を混合してなる粉末冶金用鉄基粉末混合物において、さらに0.001〜0.1重量%の帯電防止剤を含むことを特徴とする流動性に優れ見掛け密度の安定な粉末冶金用鉄基粉末混合物である。
【0010】
これら本発明の粉末冶金用鉄基粉末混合物の製造方法として以下を提案する。すなわち、鉄基粉末に常温で液体の脂肪酸を加えて1次混合し、次いで少なくとも1種以上の合金用粉末と金属石鹸とを加えて2次混合し、2次混合工程中又は2次混合後に昇温して脂肪酸と金属石鹸の共溶融物を生成させ、次いで3次混合しながら冷却して前記共溶融物を冷却固着させ、共溶融物の結合力により鉄基粉末粒子の表面に合金用粉末を固着させ、さらに冷却時に金属石鹸又はワックスと、0.001〜0.1重量%の帯電防止剤を加えて4次混合することを特徴とする見掛け密度の安定な粉末冶金用鉄基粉末混合物の製造方法である。
【0011】
この方法において、前記金属石鹸又はワックスと、0.001〜0.1重量%の帯電防止剤を加えて4次混合することに代えて、金属石鹸又はワックスを加えて4次混合後、0.001〜0.1重量%の帯電防止剤を加えて5次混合することとしてもよく、また、前記方法において、4次混合の前に帯電防止剤を加えるのではなく、あらかじめ鉄基粉末表面に0.001〜0.1重量%の帯電防止剤を付着させた鉄基粉末を用いてもよい。
【0012】
また、本発明の粉末冶金用鉄基粉末混合物の他の製造方法として、鉄基粉末に、少なくとも1種以上の合金用粉末と融点の異なる2種以上のワックスを加えて1次混合し、1次混合工程中又は1次混合後に昇温してワックスの部分溶融物を生成させ、次いで2次混合しながら冷却し、前記部分溶融物を冷却固着させ、部分溶融物の結合力により鉄基粉末粒子の表面に合金用粉末を固着させ、さらに冷却時に金属石鹸又はワックスと、0.001〜0.1重量%の帯電防止剤を加えて3次混合することを特徴とする見掛け密度の安定な粉末冶金用鉄基粉末混合物の製造方法を提案する。この方法において、3次混合の前に帯電防止剤を加えるのではなく、あらかじめ鉄基粉末表面に0.001〜0.1重量%の帯電防止剤を付着させた鉄基粉末を用いてもよく、また、前記方法において、前記金属石鹸又はワックスと、0.001〜0.1重量%の帯電防止剤を加えて3次混合するに代えて、金属石鹸又はワックスを加えて3次混合後、0.001〜0.1重量%の帯電防止剤を加えて4次混合することとしてもよい。
【0013】
また、鉄粉としては実質的な純鉄粉、プレアロイ合金粉、部分合金化粉(拡散付着粉)のいずれも適用可能である。
これら本発明の粉末冶金用鉄基粉末混合物およびその製造方法において使用する帯電防止剤としては、アルキル基の炭素数が10〜20であるアルキルジメチルアミンオキサイド、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルカルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダソリニウムベタイン、アルキルアミドプロピルベタインから選ばれる1種、HLB(親水性親油性バランス)が1〜10のソルビタン脂肪酸エステル、HLBが9〜15のポリエキシエチレンソルビタンモノ脂肪酸エステル、HLBが9〜15のポリエキシエチレンアルキルエーテル、HLBが5〜15のポリエキシエチレンアルキルフェニルエーテル、アルキル基の炭素数が10〜20のアルキルアルカノールアミドないしアルキル基の炭素数が10〜20のポリオキシエチレンアルキルアミンが好適である。特にアルキル基の炭素数が10〜20のアルキルカルボキシルメチル−N−ヒドロキシエチルイミダソリニウムベタイン、HLB9〜15のポリオキシエチレンアルキルエーテル及びアルキル基の炭素液が10〜20のポリオキシエチレンアルキルアミンが一層好適である。具体的な化合物例の一部を実施例において述べる。
【0014】
【発明の実施の形態】
前述のように、流動性(ホッパからの流出性)及び鉄基混合粉末の見掛け密度は外気温度および湿度の変化に対応して変動し、成形時、金型内への鉄粉の充填量が一定にならないため焼結体重量のばらつきとなり、ひいては焼結体の特性変動の原因となるという問題を有していた。鉄基粉末混合物における見掛け密度の変動は、鉄粉と潤滑剤の間の接触電位による静電気力に支配されることを知見した結果、鉄基粉末混合物に帯電防止剤を添加することにより、流動性が向上し鉄基粉末の帯電量一定とすることで温度、湿度が変わっても見掛け密度の変動を小さくし得ることを発見したことも前述のとおりである。
【0015】
帯電防止剤の作用については未だ不明確なことが多いが、以下のように考えられる。
すなわち、帯電防止剤は、鉄基粉末表面に吸着すると、温度、湿度が変動しても、鉄基粉末の表面に吸着された帯電防止剤がほぼ一定の水分量を吸着するため帯電量が小さくなり、ほぼ一定に保たれる。また、この吸着水分による静電気力、分子間力の低下により流動性も向上する。
【0016】
これらの帯電防止効果を有する帯電防止剤として使用できるものは前述の通り各種あるが、基本的に鉄基粉末の帯電を押えるものであればよい。しかしながら帯電を押えて見掛け密度の変動を小さくするには0.001重量%以上の添加が必要であり、0.001重量%未満であると効果を発揮しない。また、添加量が0.1重量%を超えてもその帯電防止効果は増加せず、むしろ粉末混合物の流動性を低下させるので好ましくない。したがって、帯電防止剤の添加量は0.001〜0.1重量%とすべきである。
【0017】
帯電防止剤を含む見掛け密度が安定した鉄基粉末混合物において、鉄基粉末と合金粉末や銅粉を固着する有機物(いわゆる潤滑剤)としては脂肪酸と金属石鹸との共溶融物または融点の異なる2種以上のワックスの部分溶融物であることが好ましい。本発明者らが特願平3−162502号公報で開示した脂肪酸と金属石鹸との共溶融物を用いる方法は、共溶融状態において融体が毛細管現象により添加物粒全体をコーティングし、鉄基粉末に強固に付着させるので最適である。融点の異なる2種以上のワックスの部分溶融物も同様な理由により好ましい。すなわち、具体的な製造方法として、鉄基粉末に常温で液体の脂肪酸を加えて1次混合し、次いで少なくとも1種以上の合金用粉末と金属石鹸とを加えて2次混合し、該2次混合工程中又は2次混合後に昇温して脂肪酸と金属石鹸の共溶融物を生成させ、次いで3次混合しながら冷却して前記共溶融物を冷却固着させ、該共溶融物の結合力により鉄基粉末粒子の表面に合金用粉末を固着させ、さらに冷却時に金属石鹸又はワックスと、0.001〜0.1重量%の帯電防止剤を加えて4次混合する方法が好ましい。
【0018】
なお、この方法において、前記金属石鹸又はワックスと、0.001〜0.1重量%の帯電防止剤を加えて4次混合することに代えて、金属石鹸又はワックスを加えて4次混合後、0.001〜0.1重量%の帯電防止剤を加えて5次混合することとしてもよく、また、前記4次混合の前に帯電防止剤を加えるのではなく、あらかじめ鉄基粉末表面に0.001〜0.1重量%の帯電防止剤を付着させた鉄基粉末を用いても同様な効果が得られる。
【0019】
また、鉄基粉末に、少なくとも1種以上の合金用粉末との融点の異なる2種以上のワックスを加えて1次混合し、該1次混合工程中又は1次混合後に昇温してワックスの部分溶融物を生成させ、ついで2次混合しながら冷却し、前記部分溶融物を冷却固着させ、該部分溶融物の結合力により鉄基粉末粒子の表面に合金用粉末を固着させ、さらに冷却時に金属石鹸又はワックスと、0.001〜0.1重量%の帯電防止剤を加えて3次混合する方法も可能である。この方法において、3次混合の前に帯電防止剤を加えるのではなく、あらかじめ鉄基粉末表面に0.001〜0.1重量%の帯電防止剤を付着させた鉄基粉末を用いてもよいのは前述と同様である。前記金属石鹸又はワックスと、0.001〜0.1重量%の帯電防止剤を加えて3次混合するに代えて、金属石鹸又はワックスを加えて3次混合後、0.001〜0.1重量%の帯電防止剤を加えて4次混合することとしてもよい。
【0020】
また鉄基粉末に予め帯電防止剤を付着させたのち潤滑剤、1種以上の合金粉末とVブレンダーなどで単純混合してもよい。あるいは鉄基粉末に帯電防止材、潤滑剤、1種以上の合金粉末をVブレンダーなどで単純混合してもよい。
【0021】
【実施例】
実施例1
表1〜3に示す帯電防止剤を平均粒径が78μmの粉末冶金用鉄粉にスプレー噴霧し3分間均一混合後、さらに平均粒径が23μmの天然黒鉛1重量%、ステアリン酸亜鉛0.75重量%、平均粒径25μmの銅粉を2重量%添加混合後Vブレンダーで15分混合した。これを混合方法1とする。
【0022】
平均粒径が78μmの粉末冶金用鉄粉にオレイン酸を0.3%をスプレー噴霧し3分間均一混合した(1次混合)。その後平均粒径が23μmの天然黒鉛1重量%、ステアリン酸亜鉛0.4重量%、平均粒径25μmの銅粉を重量%添加混合後、十分に混合後、110℃で混合加熱し(2次混合)、さらに混合しながら85℃以下に冷却して鉄粉粒子に黒鉛粉と銅分をオレイン酸とステアリン酸亜鉛の共溶融物結合材によって固着した粉末混合物を製造した(3次混合)。さらにステアリン酸亜鉛0.3重量%と表1に示す帯電防止剤を添加し均一に混合後加熱混合機から排出した(4次混合)。これを混合方法2とする。
【0023】
表1〜3に示す帯電防止剤を平均粒径が78μmの粉末冶金用鉄粉にスプレー噴霧し3分間均一混合後さらにオレイン酸を0.3%をスプレー噴霧し3分間均一混合した(1次混合)。その後平均粒径が23μmの天然黒鉛1重量%、ステアリン酸亜鉛0.4重量%、平均粒径25μmの銅粉を2重量%添加混合後、十分混合後、110℃で混合加熱し(3次混合)、さらに混合しながら85℃以下に冷却して鉄粉粒子に黒鉛粉と銅粉をオレイン酸とステアリン酸亜鉛の共溶融物結合材によって固着した粉末混合物を製造した(3次混合)。さらにステアリン酸亜鉛0.3重量%添加し均一に混合後加熱混合機から排出した(4次混合)。これを混合方法3とする。
【0024】
平均粒径が78μmの粉末冶金用鉄粉に平均粒径が23μmの天然黒鉛粉1重量%、ステアリン酸アミドとエチレンビスステアリン酸アミドの混合物0.4重量%、平均粒径25μmの電解銅粉を2重量%添加混合後、十分混合後110℃で混合加熱し(1次混合)、さらに混合しながら85℃以下に冷却して鉄粉粒子に黒鉛粉と銅粉を各々ステアリン酸アミドとエチレンビスステアリン酸アミドの共溶融物結合材によって固着した粉末混合物を製造した(2次混合)。さらにエチレンビスステアリン酸アミド0.3重量%とステアリン酸亜鉛0.1重量%と表1〜3に示す帯電防止剤を添加し均一に混合後加熱混合機から排出した(3次混合)。これを混合方法4とする。
【0025】
表1〜3に示す帯電防止剤を平均粒径が78μmの粉末冶金用鉄粉にスプレー噴霧し3分間均一混合後、平均粒径が23μmの天然黒鉛粉1重量%、ステアリン酸アミドとエチレンビスステアリン酸アミドの混合物0.4重量%、平均粒径25μmの電解銅粉を2重量%添加混合後、十分混合後110℃で混合加熱し(1次混合)、さらに混合しながら85℃以下に冷却して鉄粉粒子に黒鉛粉と銅粉を各々ステアリン酸アミドとエチレンビスステアリン酸アミドの共溶融物結合材によって固着した粉末混合物を製造した(2次混合)。さらにエチレンビスステアリン酸アミド0.3重量%とステアリン酸亜鉛0.1重量%を添加し均一に混合後加熱混合機から排出した(3次混合)。これを混合方法5とする。
【0026】
得られた混合粉100gを相対湿度50%のもと15℃、35℃の各条件で8時間保管後、25℃相対湿度50%の条件で素早く見掛け密度および流動度を測定した。見掛け密度の温度に対する変化率を、35℃での見掛け密度と15℃での見掛け密度との差で示し、見掛け密度の安定性の指標とした。
実施例1〜実施例11に示すように帯電防止剤0.001〜0.1重量%を混合方法1乃至混合方法5により添加すれば見掛け密度安定性すなわち35℃での見掛け密度と15℃での見掛け密度との差が0.04Mg/m3 以下と安定化することがわかる。比較例1〜比較例3は帯電防止剤を添加しない例であるが見掛け密度安定性すなわち35℃での見掛け密度と15℃での見掛け密度との差は0.1Mg/m3 を超え、本実施例の2.5倍から3倍程度に見掛け密度が変化する。比較例4〜比較例6では、帯電防止剤の添加量が少ない場合であり見掛け密度の安定性に劣り、また比較例7〜比較例9のように帯電防止剤が0.1重量%を超えると流動度が低下する。なお参考例10〜参考例23に示すように帯電防止剤のアルキル基の炭素数あるいはHLBによっては、見掛け密度安定性の改善効果が小さく、流動性の低下が目立つものや、見掛け密度の安定性に効果の少ないものがあり、帯電防止剤の選択に注意が必要である。
【0027】
【表1】
Figure 0003682678
【0028】
【表2】
Figure 0003682678
【0029】
【表3】
Figure 0003682678
【0030】
実施例2
平均粒径が78μmの粉末冶金用鉄粉に平均粒径が23μmの天然黒鉛粉1重量%、ステアリン酸アミドとエチレンビスステアリン酸アミドの混合物0.4重量%、平均粒径25μmの電解銅粉を2重量%添加混合後、十分混合後110℃で混合加熱し(1次混合)、さらに混合しながら85℃以下に冷却して鉄粉粒子に黒鉛粉と銅粉を各々ステアリン酸アミドとエチレンビスステアリン酸アミドの部分溶融物結合材によって固着した粉末混合物を製造した(2次混合)。さらにエチレンビスステアリン酸アミド0.3重量%とステアリン酸亜鉛0.1重量%と表4に示す帯電防止剤を添加し均一に混合後、加熱混合機から排出した(3次混合)。これを混合方法Aとする。
【0031】
表4に示す帯電防止材を平均粒径が78μmの粉末冶金用鉄粉にスプレー噴霧し3分間均一混合後、平均粒径が23μmの天然黒鉛粉1重量%、ステアリン酸アミドとエチレンビスステアリン酸アミドの混合物0.4重量%、平均粒径25μmの電解を2重量%添加混合後、十分混合後110℃で混合加熱し(1次混合)、さらに混合しながら85℃以下に冷却して鉄粉粒子に黒鉛粉とを各々ステアリン酸アミドとエチレンビスステアリン酸アミドの部分溶融物結合材によって固着した粉末混合物を製造した(2次混合)。さらにエチレンビスステアリン酸アミド0.3重量%とステアリン酸亜鉛0.1重量%を添加し均一に混合後、加熱混合機から排出した(3次混合)。これを混合方法Bとする。
【0032】
平均粒径が78μmの粉末冶金用鉄粉に平均粒径が23μmの天然黒鉛粉1重量%、ステアリン酸アミドとエチレンビスステアリン酸アミドの混合物0.4重量%、平均粒径25μmの電解を2重量%に添加混合後、十分混合後110℃で混合加熱し(1次混合)、さらに混合しながら85℃以下に冷却して鉄粉粒子に黒鉛粉とを各々ステアリン酸アミドとエチレンビスステアリン酸アミドの共融物結合材によって固着した粉末混合物を製造した(2次混合)。さらにエチレンビスステアリン酸アミド0.3重量%とステアリン酸亜鉛0.1重量%添加し、均一に混合後、加熱混合機から排出した(3次混合)。排出後さらに表4に示す帯電防止剤を添加し混合した(4次混合)。これを混合方法Cとする。
【0033】
ホッパ流出性(流動性)は、内径100mm、高さ200mmの容器に混合粉末を1kg装入し、容器中央に設けた直径2mmのオリフィスから混合物を流出させた。流出しない場合は容器の上部を直径3mm、長さ50mmの丸棒にて加振し、流出する間での加振回数をホッパ叩き回数と称し、ホッパ流出性(流動性)の指標とした。
【0034】
表4に示すように、帯電防止剤を0.001〜0.1重量%を、混合方法A、B、Cのいずれの方法で添加しても、ホッパ叩き回数は1回以下であった。帯電防止剤を用いない場合のホッパ叩き回数は6回であり、ホッパ流出性の格段の改善が達成された。また比較例に示すように帯電防止剤の添加量が0.1重量%を越えた場合、あるいは0.01重量%未満ではホッパ流出性が劣化する。
【0035】
【表4】
Figure 0003682678
【0036】
【発明の効果】
本発明によれば、添加物の偏析および発塵(ダスト)の発生が少なく、流動性の経時変化が少なく、見掛け密度の変動が極めて小さい粉末冶金用鉄基粉末混合物を得ることができる。とくに、見掛け密度の変動、とりわけ外気温度および湿度に対する変動の問題に関して、外気温度が15℃と35℃とでは見掛け密度の差は0.1Mg/m3 以上であったものを0.04Mg/m3 とすることができ、成形時、金型内への鉄粉の充填量を均一化し、焼結体重量のばらつきをなくしは焼結体の特性変動を防止することができるようになった。

Claims (2)

  1. 0.001〜0.1重量%の帯電防止剤を含むことを特徴とする流動性に優れ見掛け密度の安定な粉末冶金用鉄基粉末混合物。
  2. 鉄基粉末に合金粉末、潤滑剤を混合してなる粉末冶金用鉄基粉末混合物において、さらに0.001〜0.1重量%の帯電防止剤を含むことを特徴とする流動性に優れ見掛け密度の安定な粉末冶金用鉄基粉末混合物。
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