JP3681796B2 - 走行距離管理システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両の走行距離の管理などに利用される移動距離管理システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
車両の走行距離は、各種部品の交換の時期や中古車としての価値などを判断する際の重要な参考データとなるため、厳密な管理が必要とされる。従来、この種の走行距離の管理は、車速センサから供給される車速パルスをコンビネーションメータ内のカウンタでカウントし、カウント値をオドメータと称される走行距離表示器に表示している。最近の電子式の走行距離管理装置では、オドメータが液晶パネルなどの電子式表示装置で実現されると共に、走行距離のディジタルデータは車両の走行終了時に不揮発性メモリに保存され、次の走行開始時にこの不揮発性メモリから読出されて液晶表示装置に表示されるようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の走行距離管理装置では、走行距離をコンビネーションメータ内だけで管理している。このため、この走行距離計、あるいは車速度計やタコメータなどコンビネーションメータ内の他のメータの故障に伴いコンビネーションメータ全体を交換してしまうと、それまで管理されていた走行距離が車両から取り外されたコンビネーションメータと共に失われてしまう。この場合、点検ノートに交換前の走行距離を書き込んで記録し、これに交換後の新たなコンビネーションメータによって計測されて表示される走行距離に加算することによって交換前からのトータルの走行距離を認識している。
【0004】
このため、従来の走行距離管理システムには点検ノートを調べてみなければ実際の走行距離が判明しないという不便さがある。また、点検ノートへの記録を行う保守作業者の過失によって誤った交換前の走行距離が記録されてしまうというおそれもある。更に、ユーザーが走行距離計の故障に気付く前に長い距離を走行してしまう場合が往々にして生ずるが、この場合、正確な走行距離が不明になってしまうという問題もある。
【0005】
従って、本発明の目的は、コンビネーションメータの交換前の走行距離も含めたトータルの走行距離を、人手を介在させることなく交換後のコンビネーションメータに表示できるようにした利便性の高い走行距離管理システムを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の走行距離管理システムは、車両の走行距離をこの車両内の複数の異なる機能の電子装置で管理するように構成されている。各電子装置は、交換直後の動作開始時に他の電子装置が管理中の移動距離を当該他の電子装置から受取り、最大のものを自装置の管理対象の移動距離の初期値として設定する。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態によれば、複数の電子装置の一つは、速度センサが出力する速度パルスを積算して車両の走行距離を算出するエンジン制御用電子装置や、ナビゲーション用電子装置などである。各電子装置は、前記初期値に基づく走行距離に加えて交換直後の動作開始時にゼロを初期値として設定する。また、そのような電子装置の一つは、各電子装置が管理中の走行距離のうち最大のものをコンビネーションメータに表示させる機能を備える。さらに各電子装置は、LANを介して相互に管理中の移動距離の送受信を行う。以下、本発明を実施例と共に詳細に説明する。
【0008】
【実施例】
図1は、本発明の一実施例の走行距離管理システムの構成を示すブロック図であり、1はコンビネーションメータ、2は各種のセンサ、3は各種のアクチュエータ、4はエンジン制御用ECU(電子制御装置)、5はナビゲーション用ECU、Lは車内LANを構成する伝送路、N1はコンビネーションメータ用LANノード、N2は各種のセンサ用LANノード、N3は各種のアクチュエータLANノードである。
【0009】
伝送路Lと、この伝送路Lを介して相互に接続されるノードN1,N2,N3と、エンジン制御用ECU4やナビゲーション用のECU5とによって車内 LAN( Local Area Network )が形成されている。車輪が1回転するたびに車速センサ2aから出力される車速パルスは、各種のセンサ用LANノードN2と伝送路Lとを経て、コンビネーションメータ用LANノードN1と、エンジン制御用ECU4と、ナビゲーション用ECU5のそれぞれに転送される。エンジン回転数や、スロットル開度など車速の状態を示す各種の信号も各種のセンサ3中の対応のセンサで検出され、車速パルスと同様にして、LANノードN2から伝送路Lを経てコンビネーションメータ用LANノードN1や、エンジン制御用ECU4に転送される。
【0010】
コンビネーションメータ用LANノードN1内のCPUは、LANノードN2から伝送路Lと、このLANノードN1内の伝送路インタフェース部とを介して受信した車速パルスの時間間隔に基づき車速を算定し、この算定値をこのLANノードN1内の出力ポートを介してコンビネーションメータ1内のスピードメータに転送して車速の表示を行わせる。同様に、このLANノードN1内のCPUは、上記受信した車速パルスを積算して車両の走行距離を算定し、この算定値を出力ポートを介してコンビネーションメータ1内の走行距離計に転送して表示を行わせる。LANノードN1内のCPUは、伝送路Lを通して受信したエンジン回転数など他のデータについても、コンビネーションメータ1内の対応のメータに転送することによって表示を行わせる。
【0011】
LANノードN1内のCPUは、上記コンビネーションメータ1への表示データの転送と並行して、このLANノードN1内のデータメモリに書込まれている走行距離のデータ上に、適宜な頻度で、新たな走行距離のデータを上書きしてゆくことにより、データメモリに保存中の走行距離を更新してゆく。この走行距離を更新しながら保存するためのデータメモリは、磁気記憶素子などを使用した不揮発性のメモリによって構成されており、車両の走行の終了に伴い電源の供給が停止しても、更新済みの走行距離のデータを保存し続ける。
【0012】
エンジン制御用ECU4内のCPUは、各種のセンサ2からLANノードN2と、伝送路Lと、このECU4内の伝送路インタフェース部とを通して受けた車両の走行状態を示す各種の信号を所定のアルゴリズムに従って処理することにより、各種のアクチュエータ2に出力すべき各種の制御データを作成する。このCPUは、作成済みの各種の制御データを、このECU4内の伝送路インタフェース部と、伝送路Lと、LANノードN3とを介して各種のアクチュエータ3の対応のものに送信する。
【0013】
エンジン制御用ECU4内のCPUは、上述したエンジン制御のための処理と並行して、車速パルスを積算して得た走行距離をECU4内のデータメモリに保存中の走行距離のデータ上に適宜な頻度で上書きしてゆくことにより、保存中の走行距離を更新してゆく。このデータメモリは、LANノードN1の場合と同様に、磁気記憶素子などを使用した不揮発性のメモリによって構成されており、車両の走行の終了に伴い電源の供給が停止しても、更新済みの走行距離のデータを保存し続ける。
【0014】
ナビゲーション用ECU5内のCPUは、CDーROMリーダに読出させた道路地図情報を入出力ポートを介して受取り、これを可視データに変換して液晶パネルに表示させる。ECU5内のCPUは、GPS受信機から受信した車両の現在位置を含むように表示中の道路地図をスクロールさせながら、ドライバーがキーボードを通して指定済みの目標地点に車両を誘導するために、直進や右左折を指示する記号などを液晶パネル上に表示してゆく。
【0015】
上記ナビゲーションに必要な自車両の位置決めは、GPS受信機を主体に行われる。しかしながら、トンネル内やビル街など衛星からの受信が困難な箇所については、車速パルスの積算値に基づく走行距離や、各種のセンサ2の一つとして含まれているジャイロが検出した角速度の積算によって得られる進行方向に関する情報などが、GPS受信機に対する補助的な位置決め手段として利用される。このため、ナビゲーション用ECU5内のCPUは、各種のセンサ2の出力を、LANノードN2と、伝送路Lと自装置内の伝送路インタフェース部を介して受信し、処理する。
【0016】
ナビゲーション用ECU5内のCPUは、上述したナビゲーションのための処理と並行して、車速パルスを積算して得た走行距離をこのECU5内のデータメモリに書込まれている走行距離のデータ上に適宜な頻度で上書きしてゆくことにより保存中の走行距離を更新してゆく。このデータメモリは、上述したLANノードN1やエンジン制御用ECU4の場合と同様に、磁気記憶素子などを使用した不揮発性のメモリによって構成されており、車両の走行の終了に伴い電源の供給が停止しても、更新済みの走行距離のデータを保存し続ける。
【0017】
次に、コンビネーションメータ用LANノードN1に故障が発生し、新たなコンビネーションメータ用LANノードに交換される場合について説明する。交換直後に動作を開始したコンビネーションメータ用LANノードN1は、エンジン制御用ECU4と、ナビゲーション用ECU5に対してそれぞれが保存中の走行距離の転送を要求する。コンビネーションメータ用LANノードN1は、ECU4と5とから受信した走行距離のうち大きい方の値を選択し、この大きい方の値を初期値とする積算値と、ゼロを初期値とする積算値の算定と更新と保存とを開始する。
【0018】
すなわち、LANノードN1は、図2に示すように、A、B二種類の積算値を走行距離として不揮発性のデータメモリに保存する。積算値Aは、このLANノードN1が交換される前から積算されているこの車両のトータルの走行距離を示す。これに対して、積算値BはこのLANノードN1が交換されたあとの走行距離を示し、これは、このLANノードN1に関して点検・交換の時期を判定する際の参考データとなる。
【0019】
エンジン制御用ECU4と、ナビゲーション用ECU5のそれぞれが保存する走行距離も、図2に示すように、車両の製造時の設置又は故障発生に伴う交換の直後の動作開始時に、他装置から受けた走行距離の最大値を初期値とする積算値と、ゼロを初期値とする積算値という具合に二種類の積算値A、Bについて、走行距離の算定、更新、保存が行われる。なお、車両の製造時の設置直後の動作開始時には、他装置から受け取る走行距離は全てゼロであるため、データAとBとは一致する。
【0020】
以上、エンジン制御用ECUとナビゲーション用ECUの双方に走行距離を管理させる構成を例示した。しかしながら、これらのECUのうちのいずれか一方だけに走行距離を管理させる構成としたり、あるいは、これらとは別の方の適宜な電子装置に走行距離を管理させる構成とすることもできる。
【0021】
また、車両の場合について本発明を説明したが、船舶など他の適宜な移動体に本発明を適用できることは明らかである。
【0022】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明の走行距離管理システムは、車両の走行距離をこの車両内の複数の異なる機能の電子装置で管理する構成であるから、コンビネーションメータの交換前の走行距離も含めたトータルの走行距離を人手を介在させることなく交換後のコンビネーションメータに表示でき、利便性が大幅に向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の走行距離管理システムの構成を示すブロック図である。
【図2】図1の管理システム内の各電子装置で管理される走行距離の種類を示す概念図である。
【符号の説明】
1 コンビネーションメータ
N1 コンビネーションメータ用LANノード
2a 車速センサ
3 各種のアクチュエータ
4 エンジン制御用ECU
5 ナビゲーション用ECU
L 伝送路
Claims (6)
- 車両の走行距離を、この車両内の複数の異なる機能の電子装置で管理することと、
前記複数の電子装置のそれぞれが、交換直後の動作開始時に他の電子装置が管理中の走行距離を当該他の電子装置から受取り、最大のものを自装置の管理対象の走行距離の初期値として設定することと
を特徴とする走行距離管理システム。 - 請求項1において、
前記複数の電子装置のそれぞれは、前記初期値に基づく走行距離に加えてゼロの初期値に基づく走行距離を検出して管理することを特徴とする走行距離管理システム。 - 請求項1又は2のいずれかにおいて、
前記複数の電子装置の一つは、前記複数の電子装置が管理中の走行距離のうち最大のものをコンビネーションメータに表示させる機能を備えたことを特徴とする走行距離管理システム。 - 請求項1乃至3のいずれかにおいて、
前記複数の電子装置の一つは、車速センサが出力する車速パルスから検出した車速その他の車両の走行状態に基づきエンジンの制御を行うエンジン制御用電子装置であり、このエンジン制御用電子装置は前記車速パルスを積算して車両の走行距離を算出し管理する手段を備えたことを特徴とする走行距離管理システム。 - 請求項1乃至4のいずれかにおいて、
前記複数の電子装置の一つは、車速センサが出力する車速パルスの積算によって算出した走行距離その他の情報に基づき車両の運転者に進路誘導情報を出力するナビゲーション用電子装置であり、このナビゲーション用電子装置は前記算出した走行距離を保存する手段を備えたことを特徴とする走行距離管理システム。 - 請求項1乃至5のいずれかにおいて、
前記複数の電子装置はLANを介して相互に管理中の走行距離の送受信を行うことを特徴とする走行距離管理システム。
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