JP3681650B2 - フイルター清掃機能付き集塵装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、含塵気流を濾過するフイルターを清掃することができるフイルター清掃機能を備えた集塵装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば、特開昭63−209721号公報の第1図に見られるように、集塵室の内部に複数本のフイルターを吊下げた構造の集塵装置では、集塵運転を進めるうちに粉塵でフイルターに目詰りが生じる。この様な目詰りのうち、初期的な目詰りは、装置内部に設けた逆洗装置(除塵装置)が各フイルターの内部に圧縮空気をパルス状態に噴射することにより、その噴射圧力によってフイルターに付着している粉塵を下方に設けたダストバケットに払い落して、目詰りを解消することができる。
【0003】
しかし、フイルターに付着している粉塵にヒュームや油分が混ざっていると、これ等ヒュームや油分が粉塵と共にフイルターにこびり着いてしまって、上述したパルスジェット式除塵装置を用いてフイルター内部に圧縮空気を吹き込んでも、上記こびり着いた粉塵を払い落すことができず、フイルターの圧損が増大してしまう問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
そこで従来は、上記粉塵がこびり着いたフイルターを集塵室から取外して代りのものと交換すると共に、集塵室から取外した汚れたフイルターを集塵装置とは別のクリーニング装置で洗浄して汚れを落していたが、しかし、上記のようにフイルターを交換してクリーニングする方法は、集塵装置とは別に専用のクリーニング装置が必要になり、加えて、交換用のフイルターも必要になるため、コストが大幅に嵩んでしまう問題があり、加えて、汚れたフイルターを集塵室から取外してわざわざクリーニング装置まで運んでクリーニング作業する必要があるため、作業が非常に煩雑化する問題があった。更に、フイルターから洗浄によって洗い落されたダスト類は、そのまま廃棄すると各種の弊害を招く問題もあつて、改めて除塵ダスト類の処理を行わなくてはならないため、手間と費用が掛る問題もあった。
【0005】
従って本発明の技術的課題は、フイルターにこびり着いているヒュームや油分等が混ざっている粉塵を、フイルターを集塵装置から取外すことなく、集塵室内に吊下げた状態のまま簡単に、且つ、きれいに払い落して清掃できるように工夫したフイルター清掃機能付き集塵装置を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
(1) 上記の技術的課題を解決するために、本発明では前記請求項1に記載の如く、吸引口より集塵室内に吸い込んだ含塵空気をフイルターで濾過する濾過機能と、フイルターに付着したダストを下側に設けたダストバケットに払い落す除塵機能を備えた集塵装置であって、上記フイルターを取付けた集塵室の一側壁を成す壁板を取外し自在に構成して、この壁板に代えて、少くとも一部を透明な板又はシートで造った清掃用壁板を交換して取付けることができるように構成すると共に、該清掃用壁板の透明な板又はシート部分には、フイルター清掃用エアーガンのノズルを挿入して操作できるように、弾性部材を略筒状に丸めて形成した上下又は左右一対の筒状体を、互いにその稜線を弾性的に押圧接触させることによって構成したスリット構造のノズル挿入部を設けるように構成している。
【0007】
(2) 更に本発明によれば、前記請求項2に記載の如く、フイルター清掃用エアーガンのノズルを、ノズル挿入部より集塵室の内部に挿入可能な略直線状及び略フック状に形成して、これ等直線状及びフック状に形成したノズルの先端部分にエアー噴射孔を設けるように構成している。
【0008】
上記(1)で述べた手段によれば、集塵室の一側壁を清掃用壁板に交換し、この清掃用壁板のノズル挿入部より清掃用エアーガンのノズルを挿入して、フイルターに高圧エアーを吹き付けることによって、フイルターにこびり着いているヒュームや油分等が混ざっている粉塵を剥離しながら払い落すことができるものであって、フイルターをわざわざ集塵室内から取外し、これをクリーニング装置まで持ち運んで洗浄する手間が省けると共に、フイルター用クリーニング装置を別に準備したり、交換用のフイルター(スペアーフイルター)を別に用意する必要がないため、少いコストで面倒なフイルターの清掃を簡単に行うことができ、更に、高圧エアーの吹き付けによってフイルターから剥離されたダストを、底面側に設けたダストバケットに落下させて回収できるため、ダスト塊を改めて処理する手間も省くことを可能にする。
【0009】
また、上記(1)で述べた手段によれば、清掃用エアーガンのノズルによるフイルターの清掃作業を、少くとも一部を透明に造った清掃用壁板を透して、集塵室の外部から目視確認しながら進めることができるため、フイルターの清掃をより確実に行うことを可能にする。
【0010】
更に、上記(1)で述べた手段によれば、清掃用エアーガンのノズルを挿入するノズル挿入部をスリット構造に造ることにより、このスリットに沿ってノズルを移動しながらフイルターを清掃することができるため、エアーガンの位置や向きを自在に操作して、フイルターに対して高圧エアーを思い通りに吹き付けて清掃することができるものであって、面倒なフイルターの清掃を比較的容易に、且つ、確実に行うことができると共に、上記ノズルを挿入したスリット構造のノズル挿入部は、弾性によってスリットを常時閉じる方向に弾圧されているため、ノズルを挿入して操作している最中にスリットからエアー漏れが生じることがなく、従って、高圧エアーや剥離したダスト類をスリットから集塵室の外部に吹き出すことなく、安全に且つ衛生的に清掃作業を進めることを可能にする。
【0011】
上記(2)で述べた手段によれば、直線状及びフック状に形成したフイルター清掃用エアーガンのノズルを適宜交換して使用することによって、フイルターの正面は元より、その側面や背面側まで高圧エアーを吹き付けて、フイルターの全体をきれいに清掃することを可能にする。
【0012】
以上の如くであるから、上記(1)と(2)の手段によって上述した技術的課題を解決して、前記従来の技術の問題点を解消することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明に係る集塵装置用フイルター清掃方法及びフイルター清掃機能付き集塵装置の実施の形態を図面と共に説明すると、図1本発明を実施する集塵装置の一例を示した一部破断斜視図であって、図中、符号1で全体的に示したのは集塵装置の機体で、この機体1の内部は2枚の仕切板2と3によって下側から上側に向けて集塵室1X(フイルター室)と、除塵室1Yと、清浄室1Zに仕切られていて、集塵室1Xの外側面には含塵空気の吸引パイプ1Aが接続され、清浄室1Zの天井面には濾過された清浄空気の排気口1Bが設けられている。
【0014】
4…は上記集塵室1X内に設けたフイルター、5は集塵室1Xの内底部に引出自在に設けたダストバケット、5Aはこのバケット5の取り出し扉で、5T,5Tはその締付具、10は集塵室1Xの一側壁を構成する壁板、10T…はこの壁板10の締付具であって、壁板10は締付具10T…を外すことによって集塵室1Xの一側から自由に取外すことができるが、図示のような通常運転時(集塵運転時)には、壁板10がエアー漏れを発生しないように締付具10T…によってしっかり集塵室1Xの一側に取付けられて、集塵室1Xを密閉状態に維持している。
【0015】
2A…は上記の仕切板2に各フイルター毎に設けた濾過空気の流通口を兼ねるベンチュリーで、フイルター4に付着したダストを下側のダストバケット5に払い落す除塵運転時には、除塵室1Yに設けたブローチユーブ7より、高圧エアーがこれ等各ベンチュリー2A…を通して各フイルター4…内に吹き込まれる仕組に成っている。また、6は前記清浄室1Z内に設けた吸引用フアン、6Mはこのフアン6を回転するモータであって、吸引用フアン6の回転による吸引作用によって吸引パイプ1Aを通して集塵室1Xに吸引された含塵空気が、上記フイルター4…によって濾過されて清浄化され、その清浄空気が除塵室1Y及び清浄室1Zを通って排気口1Bから排出される仕組に成っている。
【0016】
本発明は以上述べた如き構成の集塵装置に実施されるものであるが、集塵装置が図示した構造にのみ限定されないことは勿論である。図2と図7は本発明の実施例を示したものであって、図1に示した集塵運転によってフイルター4…にダストが付着した場合、そのダストが通常の粉塵で初期的な目詰りである場合には、前述した除塵運転を行って、ブローチューブ7よりベンチュリー2A…を通して各フイルター4…内に除塵用の高圧エアーを吹き込み、付着している粉塵をフイルター4…から払い落して下側のダストバケット5に回収するが、フイルター4に付着しているダストがこの除塵運転では払い落すことのできない粉塵である場合、即ち、粉塵にヒュームや油分が混ざっていて、これがフイルター4にこびり着いているような場合は、本発明の清掃方法及び清掃機能を用いて、これ等こびり着いている粉塵をクリーニングする仕組に成っている。
【0017】
図2と図7に於いて、20及び30は上記のクリーニング時に前述した壁板10に代えて集塵室1Xの一側に取付ける清掃用壁板であって、いずれの清掃用壁板20,30にも、外部よりフイルター清掃用エアーガンのノズル23を集塵室1Xの内部に挿入して、フイルター4…にこびり着いている粉塵を、ノズル23から噴射される高圧エアーでフイルター面から剥離することができるノズル挿入部21H及び31Hが形成されている。また、図中20T…と30T…は各壁板20,30取付用の締付具を示す。
【0018】
更に上記清掃用壁板20と30の構成を詳しく説明すると、図2に示した清掃用壁板20は、上記ノズル挿入部21Hをスリット状に形成していて、このノズル挿入部21Hより挿入したノズル23をスリットに沿って移動しながら、内部のフイルター4…をクリーニングできるように構成されており、更に、集塵室1X内に於けるこのクリーニングの状態を外部から目視確認できるように、上記ノズル挿入部21Hの周辺部分を例えばアクリル板のような透明な板を用いて構成すると共に、集塵室1X内からのエアー漏れを防止するために、上記スリット状のノズル挿入部21Hを常時弾性的に閉じるように構成されている。
【0019】
即ち、図2に於いて22,22は上記清掃用壁板20の一部を構成する上下の透明板、21,21は例えばゴム材のような弾性板材を断面略円筒状に丸めて形成した上下一対の筒状体で、これ等上下の筒状体21,21は、図3の断面図に示す如く上下の透明板22,22の相対向する先端部の内側面に、その根端部21A,21Aを押え板22A,22Aと止めネジや止め金具等の固定手段24,24を用いて取付られている。尚、上記筒状体21,21の取付けに当っては、互いの弾性作用によって互いの稜線が弾性的に接触するように、つまり、スリット状のノズル挿入部21Hが常時弾性的に閉じる状態を維持するように取付けられていて、図4及び図5に示す如くこのノズル挿入部21Hに前記のノズル23を挿入してクリーニングする時に、エアー漏れが出来るだけ少く成るように工夫している。
【0020】
また、以上の如くスリット状のノズル挿入部21Hに挿入されたノズル23は、スリットに沿って自由に横移動することができ、更に、図6に示す如く上下にも自由に角度を変えることができるため、後述するノズル23の各種形状と相俟って、集塵室1X内の各フイルター4…の全体を、表裏及び上下の区別なく隈無くきれいにクリーニングすることができる。
【0021】
尚、図2及び図5、図6には、スリット状のノズル挿入部21Hを清掃用壁板20に対して横向きに設けたものが記載されているが、このスリットの向きは縦でも斜めであってもよく、その方向は任意とする。
【0022】
図7は、フイルター清掃用エアーガンのノズル23の構成を示した斜視図であって、ノズル23には図示したように直線状のノズル23Aや、先端部を少しL字状に屈曲したフック状のノズル23B、或は、先端部を大きく湾曲させたフツク状のノズル23C等、各種形状のものが存在し、これ等複数種のノズル23A〜23Cを予め用意しておいて、フイルター4の位置や清掃箇所等に応じて、図8の(イ)図や(ロ)図に示す如く適宜交換して使用する。
【0023】
図7に於いて、41は各種のノズルを交換して取付ることができるエアーガン、40は高圧エアーの供給ホース、23A′,23B′,23C′は各ノズル23A,23B,23Cの先端部分(先端部近傍)に設けたエアー噴射孔を示し、また、図8はこれ等各ノズル23A,23B,23Cの使用状況の説明図である。尚、図7及び図8に示されているノズル23A〜23Cは実施の一例であって、ノズル23の形態が図示のものにのみ限定されないことは勿論である。更に、図示はしていないがこれ等各ノズル23A〜23Cは、前記図2乃至図6に示したスリット状のノズル挿入部21Hに挿入して使用可能であることは勿論である。
【0024】
本発明は以上述べた如き構成であるから、フイルター4にヒュームや油分等が混ざった粉塵がこびり着いて目詰りした場合には、図1に示した通常運転用の壁板10を取外して、図2に示した清掃用壁板20を代りに集塵室1Xの一側壁部分に取付けて、清掃用壁板20に設けたスリット状のノズル挿入部21Hから、フイルター清掃用エアーガン41のノズル23(具体的にはノズル23A〜23Cのいずれか)を挿入して、フイルター4に高圧エアーを直接吹き付ければ、フイルター4にこびり着いた粉塵を剥離して下方のダストバケット5に払い落すことができる。
【0025】
また、この高圧エアーの噴射による清掃作業は、透明板22,22を透して外部より目視確認することができるため、各種形状のノズル23A〜23Cを交換して使用できる点、並びに、各ノズル23A〜23Cを上下左右に自由に操作できる点と相俟って、集塵室1X内に設けたフイルター4のあらゆる面に確実に高圧エアーを吹き付けてクリーニングすることができる。
【0026】
【発明の効果】
本発明に係るフイルター清掃機能付き集塵装置は以上述べた如くであって、集塵装置の外部から内部のフイルターをクリーニングできるため、フイルターにこびり着いているヒュームや油等が混ざっている粉塵を除去する場合に、いちいち集塵装置の内部からフイルターを取り外したり、取り外したフイルターをクリーニング装置まで運んだりする手間を省くことができるものであって、フイルターの清掃を簡単に行える利点を備えると共に、フイルターを清掃する専用のクリーニング装置やスペアー用のフイルターを別に用意する必要がなく、更に、集塵装置の構造をわざわざ特別な仕様にする必要もなくて、清掃用の壁板を準備してこれを交換するだけで済むため、面倒なフイルターの清掃を比較的低コストにて実現できる経済的利点も備えるものであって、各種構造の集塵装置に実施して洵に好適なものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明が実施される集塵装置の通常運転時の状態を説明した一部破断斜視図である。
【図2】 ノズル挿入部をスリット状に造った本発明を実施した集塵装置のクリーニング時の状態を説明した一部断斜視図である。
【図3】 スリット構造に構成したノズル挿入部を拡大して示した側断面図である。
【図4】 図3に示したスリット構造のノズル挿入部にノズルを挿入した状態を示した側断面図である。
【図5】 図4に示したノズルの挿入状態を集塵装置の外側から見た正面図である。
【図6】 挿入したノズルの操作の状態を説明した側断面図である。
【図7】 本発明で使用するノズルとエアーガンの構成を説明した斜視図である。
【図8】 (イ)図、(ロ)図、(ハ)図はフイルターに対する各ノズルの使用状用を説明した説明図である。
【符号の説明】
1 集塵装置の機体
1X 集塵室
4 フイルター
5 ダストバケット
10 壁板
20 清掃用壁板
21 筒状体
21H スリット構造のノズル挿入部
22 透明な板
23,23A,23B,23C ノズル
23A′,23B′,23C′ エアー噴射口
30 清掃用壁板
Claims (2)
- 吸引口より集塵室内に吸い込んだ含塵空気をフイルターで濾過する濾過機能と、フイルターに付着したダストを下側に設けたダストバケットに払い落す除塵機能を備えた集塵装置であって、
上記フイルターを取付けた集塵室の一側壁を成す壁板を取外し自在に構成して、この壁板に代えて、少くとも一部を透明な板又はシートで造った清掃用壁板を交換して取付けることができるように構成すると共に、該清掃用壁板の透明な板又はシート部分には、フイルター清掃用エアーガンのノズルを挿入して操作できるように、弾性部材を略筒状に丸めて形成した上下又は左右一対の筒状体を、互いにその稜線を弾性的に押圧接触させることによって構成したスリット構造のノズル挿入部を設けたことを特徴とするフイルター清掃機能付き集塵装置。 - フイルター清掃用エアーガンのノズルを、ノズル挿入部より集塵室の内部に挿入可能な略直線状及び略フック状に形成して、これ等直線状及びフック状に形成したノズルの先端部分にエアー噴射孔を設けたことを特徴とする請求項1記載のフイルター清掃機能付き集塵装置。
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