JP3681452B2 - ペンタエリスリトール誘導体の製造方法 - Google Patents

ペンタエリスリトール誘導体の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は高分子用添加剤として有用な二置換ぺンタエリスリトールジホスフェートあるいはジホスホネートの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、高分子用の高機能化材料としてリン系有機化合物が多く用いられており、例えば高分子用の難燃剤、安定剤、可塑剤等として多くの化合物が提案されている。その一部として一般式[II]で表されるような二置換ぺンタエリスリトールジホスフェートあるいはジホスホネートがあり、高分子用難燃剤を中心として多くの提案がなされ、例えば米国特許第3090799号、米国特許第3866405号、特開昭53−4061、特開昭54−157156、特開平5−92986などがある。
【0003】
ぺンタエリスリトールと一般式[I]で表されるリン化合物から、一般式[II]で表されるような二置換ぺンタエリスリトールジホスフェートあるいはジホスホネートを得る反応を促進させる手段として多くの提案がなされている。例えば、特開平5−92986では触媒としての塩化アルミニウムの使用が記載されており、特開昭53−4061では触媒としての塩化カリウムの使用が示されている。また米国特許第3866405号では脱塩化水素剤としてほぼ化学量論量のピリジンの使用が示されている。しかしながら、このような従来の方法では高収率が得られないという問題がある。例えば、ペンタエリスリトールとフェニルジクロロホスフェートからジフェニルぺンタエリスリトールジホスフェートを得る反応において最も高い収率は、米国特許第3866405号の実施例に示されている74.6%にとどまっており十分な収率とはいえない。つまり、ぺンタエリスリトールと一般式[I]で表されるリン化合物を用いた一般式[II]で表される二置換ぺンタエリスリトールジホスフェートあるいはジホスホネートの製造に関しては、収率を向上させることが課題とされていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前述の課題を達成すべく鋭意検討の結果、この反応系においては、使用するペンタエリスリトールパウダーの特定の粒度分布にすることによって著しく収率が向上することを見い出した。この反応において、目開き150ミクロンの標準ふるいを通過するものが全体の10重量%以下の粒度分布を有する市販のペンタエリスリトール粉末を用いた場合と、これを粉砕処理し目開き150ミクロンの標準ふるいを通過するものが全体の50重量%の粒度分布にした場合とでは、収率の著しい差は見いだせず、したがって、本発明の知見は通常の検討で容易に得られるものではない。
【0005】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は
ペンタエリスリトールと下記一般式[I]
【0006】
【化3】
Figure 0003681452
【0007】
[式中、Rは炭素数6〜15のアリール基あるいはアリーロキシ基、炭素数10以下のアルキル基あるいはアルコキシ基であり、芳香環やアルキル鎖にハロゲン原子を有してもよい。またnは1あるいは0の整数であり、XはClあるいはBrである。]
で表されるリン化合物との反応によって下記一般式[II]
【0008】
【化4】
Figure 0003681452
【0009】
[式中、一般式[I]でnが1の場合、Aは一般式[I]のRと同じ、一般式[I]でnが0の場合、Aは一般式[I]のXと同じ。]
で表される二置換ペンタエリスリトールジホスフェートあるいはジホスホネートを製造する方法において、目開き150ミクロンの標準ふるいを通過するものが全体の90重量%以上の粒度分布を有するペンタエリスリトール粉末を用いることを特徴とする二置換ペンタエリスリトールジホスフェートあるいはジホスホネートの製造方法、によって達成される。
【0010】
本発明における目開き150ミクロンの標準ふるいを通過するものが全体の90重量%以上の粒度分布を有するペンタエリスルトール粉末は、公知の粉砕化技術や細粒化技術よって得ることができる。例えば、市販のペンタエリスリトールを乳鉢や粉砕機を用いて粉砕する方法、良溶媒にペンタエリスリトールを溶解して貧溶媒に分散する方法を用いることができる。かかるペンタエリスリトールは、本発明の製造に用いる前に充分に乾燥を行っておくのが好ましい。 本発明で使用されるペンタエリスリトールは目開き150ミクロンの標準ふるいを通過するものが全体の90重量%以上の粒度分布を有するペンタエリスリトール粉末以下であり、更に目開き22ミクロンの標準ふるいを通過するものが全体の40重量%以下であるのが好ましい。
【0011】
ペンタエリスリトールの粒度分布は、JIS Z 8801による標準ふるいを公知の方法で用いることにより測定できる。
【0012】
本発明において使用する一般式[I]で表されるリン化合物は、次の一般式[III]もしくは[IV]で具体的に示すことができる化合物である。
【0013】
【化5】
Figure 0003681452
【0014】
【化6】
Figure 0003681452
【0015】
一般式[III]、[IV]におけるXはClあるいはBrであり、好ましくはClである。
【0016】
一般式[III]におけるBは具体的には、メチル、エチル、iso−イソブチル、t−ブチル、n−ブチル、ネオペンチル、n−ペンチル、シクロヘキシル、n−ヘキシル、n−オクチル、n−ノニル、フェニル、4−メチルフェニル、2,6−ジメチルフェニル、2,6−ジ−t−ブチルフェニル、2,4−ジ−t−ブチルフェニル、2,4,6−トリ−t−ブチルフェニル、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル、4−t−ブチル−2,6−ジメチルフェニル、4−クミルフェニル、4−クミル−2,6−ジブロモフェニル、4−イソプロピルフェニル、4−t−ブチルフェニル、4−iso−ブチルフェニル、4−n−ブチルフェニル、4−ネオペンチルフェニル、4−n−オクチルフェニル、4−n−ヘプチルフェニル、4−ヘキシルフェニル、4−n−オクチルフェニル、4−n−ノニルフェニル、2,4,6−トリブロモフェニル、4−ブロモフェニル、2,4−ジブロモフェニル、2,4,6−トリクロロフェニル、4−クロロフェニル、2,4−ジクロロフェニル、1−ナフチル等が挙げられ、好ましくは芳香属基であり、さらに好ましくはフェニル、4−メチルフェニル、2,6−ジメチルフェニルである。
【0017】
一般式[IV]におけるDは具体的には、メチル、エチル、iso−イソブチル、t−ブチル、n−ブチル、ネオペンチル、n−ペンチル、シクロヘキシル、n−ヘキシル、n−オクチル、n−ノニル、フェニル、4−メチルフェニル、2,6−ジメチルフェニル、2,6−ジ−t−ブチルフェニル、2,4−ジ−t−ブチルフェニル、2,4,6−トリ−t−ブチルフェニル、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル、4−t−ブチル−2,6−ジメチルフェニル、4−クミルフェニル、4−クミル−2,6−ジブロモフェニル、4−イソプロピルフェニル、4−t−ブチルフェニル、4−iso−ブチルフェニル、4−n−ブチルフェニル、4−ネオペンチルフェニル、4−n−オクチルフェニル、4−n−ヘプチルフェニル、4−ヘキシルフェニル、4−n−オクチルフェニル、4−n−ノニルフェニル、2,4,6−トリブロモフェニル、4−ブロモフェニル、2,4−ジブロモフェニル、2,4,6−トリクロロフェニル、4−クロロフェニル、2,4−ジクロロフェニル、1−ナフチル、塩素原子(X=Clのみ)、臭素原子(X=Brのみ)等が挙げられ、好ましくは芳香族基あるいは塩素原子であり、さらに好ましくは、フェニル、4−メチルフェニル、塩素原子である。
【0018】
本発明において用いる一般式[I]で表されるリン化合物はペンタエリスリトールに対して2倍モル、つまり化学量論量以上であり、好ましくは2〜3倍モルである。2倍モルを下回ると、該リン化合物の使用量あるいはペンタエリスリトールの使用量のいずれから求めた収率も低下する。また、3倍モルを上回ると系内で生成した目的物を効率よく単離するのが困難となり、たとえ単離が効率よく行えた場合でも該リン化合物の使用量から求めた収率は理論的に低くなる。
【0019】
本発明におけるペンタエリスリトールと一般式[I]で表されるリン化合物との反応は、溶媒存在下あるいは溶媒不在下で行うことができる。高い反応収率あるいは高い目的物純度を得るためには溶媒存在下で反応させるのが好ましく、収率あるいは目的物純度を犠牲にできる場合は、無溶媒で反応させることが可能である。
【0020】
該反応で使用する溶媒は、反応に不活性かつ安定な溶媒であればよく、例えば、トルエン、ベンゼン、キシレン、ニトロベンゼン、ぺンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、石油エーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アセトニトリル、ニトロメタン、アセトン、ジメチルスルホキシド、ジエチルエーテル、ジ−n−ブチルエーテル、ジ−n−プロピルエーテル、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン、テトラクロロエタン、ピリジン、ルチジン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、トリエチルアミン等が挙げられる。実用上好ましいのは、トルエン、ジクロロエタン、クロロベンゼン、アセトニトリル、ピリジンである。
【0021】
該反応における溶媒の使用量は広い範囲をとることができ、ペンタエリスリトールに対し1〜500倍重量の範囲で適宜選択できるが、好ましくはペンタエリスリトールに対し2〜50倍重量である。溶媒量が少なすぎると攪拌効率が低下し、多すぎると目的物の収量に対して反応容器が大きくなり製造効率が低下する問題が生じる。
【0022】
該反応においては、発生するハロゲン化水素を反応系内から排出するために空気あるいは不活性ガスを流してもあるいは吹き込んでもよい。反応をさらに促進するために触媒あるいは脱ハロゲン化水素剤を用いることもできる。
【0023】
該反応において使用する触媒としては、例えば、塩化マグネシウム・塩化アルミニウム・臭化アルミニウム・塩化第二鉄・臭化第二鉄・塩化アンチモン(III)・塩化アンチモン(V)・三フッ化ホウ素・三フッ化ホウ素ジエチルエーテラート・四塩化チタン・塩化第二スズ・塩化亜鉛・塩化第二銅・臭化第一銅等の金属ハライド、アルミニウム・マグネシウム・鉄・亜鉛・スズ・銅等の金属単体、酸化マグネシウム・酸化鉄・酸化アルミニウム・酸化亜鉛等の金属酸化物、塩化カリウム・塩化ナトリウム・臭化カリウム等のハロゲン化アルカリ金属塩、ピリジンやトリエチルアミン等のアミン類のハロゲン化水素塩が挙げられ、これらの触媒は2種以上混合して用いることができる。これらの中でも実用上好ましいのは、鉄、マグネシウム、酸化マグネシウム、塩化マグネシウム、アルミニウム、塩化アルミニウム、ピリジンの塩化水素塩である。
【0024】
かかる触媒は、ペンタエリスリトールに対して0.05モル%から50モル%の範囲の中で適宜選択され、好ましくは1〜10モル%で用いられる。触媒量が少なすぎると触媒効果が乏しく、触媒量が多すぎると生成物の着色あるいは生成物の精製処理に手間がかかる等の問題が起きやすい。
【0025】
該反応で使用する脱ハロゲン化水素剤としては、例えば、ピリジン、トリエチルアミン、ルチジン等のアミン類が挙げられ、好ましいのはピリジンである。このピリジンの使用量は一般式[I]に対して4〜200倍モル、好ましくは5〜100倍モルである。
【0026】
かかる脱ハロゲン化水素剤すなわちアミン類の使用量は、ペンタエリスリトールに対して4倍モルつまり化学量論量以上であり、好ましくはペンタエリスリトールに対して4〜5倍モルである。ただし、アミン類が溶媒を兼ねる場合やアミンのハロゲン化水素塩を触媒として利用する場合はこの限りではない。
【0027】
本発明において用いられるペンタエリスリトールと一般式[I]で示されるリン化合物の反応あるいは混合方法は、通常、ペンタエリスリトール単独あるいは溶媒との混合物に対して、該リン化合物をそのままあるいは溶媒に希釈して添加する方法、該リン化合物に対して、あるいは該リン化合物を溶媒に希釈した溶液に対して、ペンタエリスリトールを添加する方法等が用いられる。このような方法でペンタエリスリトールと一般式[I]で示されるリン化合物とを反応あるいは混合した後も引き続いて反応を継続させることができる。触媒あるいは脱ハロゲン化水素剤は該反応の任意の段階に添加することができ、つまり、ペンタエリスリトールと該リン化合物との反応の前に脱ハロゲン化水素剤あるいは触媒を該リン化合物中あるいはペンタエリスリトール中に存在させていてもよく、また、両者を混合した後に加えることもできる。
【0028】
該反応における反応温度は、触媒・脱塩化水素剤・溶媒の種類や量、反応時間、攪拌速度、滴下速度等の条件によってことなるが、通常、−30〜200℃の範囲、好ましくは10〜140℃の範囲が適当である。
【0029】
該反応における反応時間は、触媒・脱塩化水素剤・溶媒の種類や量、反応温度、攪拌速度、滴下速度等の条件によってことなるが、通常24時間以下であり、実用上好ましいのは、0.5〜8時間である。反応時間が長すぎると製造効率が低下する問題が生じ、あまりにも短時間であると目的物の収率や純度に悪影響を与える。
【0030】
本発明において製造される二置換ペンタエリスリトールジホスフェートあるいはジホスホネートは、一般式[II]で表されるリン化合物であり、具体的には一般式[V]あるいは[VI]で表される。
【0031】
【化7】
Figure 0003681452
【0032】
【化8】
Figure 0003681452
【0033】
一般式[V]におけるEは、メチル、エチル、iso−イソブチル、t−ブチル、n−ブチル、ネオペンチル、n−ペンチル、シクロヘキシル、n−ヘキシル、n−オクチル、n−ノニル、フェニル、4−メチルフェニル、2,6−ジメチルフェニル、2,6−ジ−t−ブチルフェニル、2,4−ジ−t−ブチルフェニル、2,4,6−トリ−t−ブチルフェニル、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル、4−t−ブチル−2,6−ジメチルフェニル、4−クミルフェニル、4−クミル−2,6−ジブロモフェニル、4−イソプロピルフニル、4−t−ブチルフェニル、4−iso−ブチルフェニル、4−n−ブチルフェニル、4−ネオペンチルフェニル、4−n−オクチルフェニル、4−n−ヘプチルフェニル、4−ヘキシルフェニル、4−n−オクチルフェニル、4−n−ノニルフェニル、2,4,6−トリブロモフェニル、4−ブロモフェニル、2,4−ジブロモフェニル、2,4,6−トリクロロフェニル、4−クロロフェニル、2,4−ジクロロフェニル、1−ナフチル等が挙げられ、好ましくは芳香属基であり、さらに好ましくはフェニル、4−メチルフェニル、2,6−ジメチルフェニルである。
【0034】
また、一般式[VI]におけるGは、メチル、エチル、iso−イソブチル、t−ブチル、n−ブチル、ネオペンチル、n−ペンチル、シクロヘキシル、n−ヘキシル、n−オクチル、n−ノニル、フェニル、4−メチルフェニル、2,6−ジメチルフェニル、2,6−ジ−t−ブチルフェニル、2,4−ジ−t−ブチルフェニル、2,4,6−トリ−t−ブチルフェニル、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル、4−t−ブチル−2,6−ジメチルフェニル、4−クミルフェニル、4−クミル−2,6−ジブロモフェニル、4−イソプロピルフニル、4−t−ブチルフェニル、4−iso−ブチルフェニル、4−n−ブチルフェニル、4−ネオペンチルフェニル、4−n−オクチルフェニル、4−n−ヘプチルフェニル、4−ヘキシルフェニル、4−n−オクチルフェニル、4−n−ノニルフェニル、2,4,6−トリブロモフェニル、4−ブロモフェニル、2,4−ジブロモフェニル、2,4,6−トリクロロフェニル、4−クロロフェニル、2,4−ジクロロフェニル、1−ナフチル、塩素、臭素等が挙げられ、好ましくは芳香族基あるいは塩素原子であり、さらに好ましくは、フェニル、4−メチルフェニル、塩素である。
【0035】
本発明で得られる該二置換ペンタエリスリトールジホスフェートあるいはジホスホネートの精製方法は、公知の技術を用いることができる。該二置換ペンタエリスリトールジホスフェートあるいはジホスホネートが固体である場合、例えば、水や有機溶媒による洗浄や再結晶法により精製ができる。ここで用いる有機溶媒としては、該化合物に不活性かつ安定な溶媒であればよく、例えば、トルエン、ベンゼン、ぺンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、石油エーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アセトニトリル、アセトン、ジエチルエーテル、クロロベンゼン、ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、メタノール、エタノール、イソプロパノール等から選択でき、実用上好ましいのは、トルエン、ジクロロメタン、ジクロロエタン、メタノール、アセトン、ヘキサンからの選択である。
【0036】
かくして本発明の方法によって得られる二置換ペンタエリスリトールジホスフェートあるいはジホスホネートは、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、化学繊維の難燃剤、安定剤、可塑剤、相溶化剤、滑剤等のような高分子用添加剤の用途に有用である。さらに、構造によっては高分子用添加剤の中間原料や機能性高分子の原料モノマーとして使用することができる。添加剤として用いる場合に適用される高分子は広い範囲にわたり、例えばポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフェン系樹脂、ポリスチレン、高密度ポリスチレン、AS樹脂、ABS樹脂等のスチレン系樹脂、ナイロン6、ナイロン6・6等のポリアミド系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、そして、ポリスルホン樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂等があげられる。二置換ペンタエリスリトールジホスフェートあるいはジホスホネートを樹脂用の難燃剤、安定剤、可塑剤、相溶化剤あるいは滑剤として使用する場合、その使用量は対象とする高分子の種類、要求特性、要求レベル等によって異なり、一概に特定できないが、通常樹脂100重量部に対して1〜30重量部の範囲で適宜選択される。また、二置換ペンタエリスリトールジホスフェートあるいはジホスホネートを熱可塑性樹脂用難燃剤として各種用途に用いる場合、必要に応じて他のハロゲン系難燃剤や燐系難燃剤、酸化アンチモン、酸化モリブデン等の難燃助剤、水酸化アルミニウム、シリカ、マイカ、アルミナ、硫酸カルシウム、ポリテトラフルオロエチレン等の充填剤、ガラス繊維、カーボン繊維等の強化充填剤を併用してもよく、その他の酸化防止剤、老化防止剤、安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、離型剤、離型剤等を有効発現量併用することもできる。
【0037】
【実施例】
以下に実施例及び比較例をあげて本発明を更に説明する。これらは単に説明のためであって本発明はこれに限定されるものではない。なお、実施例における部は重量部である。反応に用いたリン化合物の消失はリンの核磁気共鳴測定により確認した。
【0038】
[実施例1−1]
ピリジン30部(フェニルホスホロジクロリダートに対して約9倍モル)、全体の8重量%が目開き150ミクロンの標準ふるいを通過せず全体の5重量%が目開き22ミクロンの標準ふるいを通過する粒度分布のペンタエリスリトール粉末3.00部を反応容器に仕込み、攪拌しながら、これにフェニルホスホロジクロリダート9.30部(ペンタエリスリトールの2倍モル)を徐々に滴下した。発熱によって温度が60℃を超えないように滴下の速度をコントロールした。滴下終了後も加熱することなくそのまま30分攪拌しフェニルホスホロジクロリダートの消失を確認した後に、溶媒を留去した。残さ固体を50部の水で洗浄し、これを3回くりかえした。さらに、メタノール30部で洗浄し、乾燥の後、ジフェニルペンタエリスリトールジホスフェートを7.62部得た。収率は84%で融点は198〜200℃であった。
【0039】
[実施例1−2]
全体の4重量%が目開き150ミクロンの標準ふるいを通過せず全体の30重量%が目開き22ミクロンの標準ふるいを通過する粒度分布のペンタエリスリトール粉末を用いる以外は実施例1と同様に行い、ジフェニルペンタエリスリトールジホスフェートを7.72部得た。収率は85%で融点は198〜200℃であった。
【0040】
[比較例1−1]
ピリジン6.97部(フェニルホスホロジクロリダートに対して2倍モル)、全体の90重量%が目開き150ミクロンの標準ふるいを通過しない粒度分布のペンタエリスリトール粉末3.00部、ジクロロエタン30部を反応容器に仕込み、攪拌しながら、これにフェニルホスホロジクロリダート9.30部(ペンタエリスリトールの2.0倍モル、ピリジンの2分の1倍)を徐々に滴下した。滴下終了後もそのまま2時間攪拌したがフェニルホスホロジクロリダートは完全に消失しなかったので、溶媒流下30分反応させ原料の消失を確認した後、溶媒を留去した。以下、実施例1と同様の操作を行い、ジフェニルペンタエリスリトールジホスフェートを6.54部得た。収率は72%で融点は198〜200℃であった。
【0041】
[比較例1−2]
全体の50重量%が目開き150ミクロンの標準ふるいを通過しない粒度分布のペンタエリスリトール粉末を用いる以外は実施例1と同様に行い、ジフェニルペンタエリスリトールジホスフェートを6.99部得た。収率は77%で融点は198〜200℃であった。
【0042】
[実施例2]
ピリジン6.97部、全体の8重量%が目開き150ミクロンの標準ふるいを通過せず全体の5重量%が目開き22ミクロンの標準ふるいを通過する粒度分布のペンタエリスリトール粉末3.00部、ジクロロエタン30部、フェニルホスホロジクロリダート9.30部を徐々に滴下した。発熱によって温度が60℃を超えないように滴下の速度をコントロールした。滴下終了後も加熱することなくそのまま30分攪拌しフェニルホスホロジクロリダートの消失を確認した後に、溶媒を留去した。残さ固体を50部の水で洗浄し、これを3回くりかえした。さらに、メタノール30部で洗浄し、乾燥の後、ジフェニルペンタエリスリトールジホスフェートを7.26部得た。収率は80%で融点は198〜200℃であった。
【0043】
[比較例2]
ピリジン6.97部、全体の90重量%が目開き150ミクロンの標準ふるいを通過しない粒度分布のペンタエリスリトール粉末3.00部、ジクロロエタン30重量部を反応容器に仕込み、攪拌しながら、これにフェニルホスホロジクロリダート9.30部を徐々に滴下した。発熱によって温度が60℃を超えないように滴下の速度をコントロールした。滴下終了後も加熱することなくそのまま2時間攪拌したがフェニルホスホロジクロリデートは完全に消失しなかったので、溶媒還流下30分反応させ原料の消失を確認した後、溶媒を留去した。以下、実施例1と同様の操作を行い、ジフェニルペンタエリスリトールジホスフェートを6.54部得た。収率は72%であった。
【0044】
[実施例3]
全体の8重量%が目開き150ミクロンの標準ふるいを通過せず全体の5重量%が目開き22ミクロンの標準ふるいを通過する粒度分布のペンタエリスリトール粉末3.00部、フェニルホスホロジクロリダート9.30重量部、アセトニトリル30部を反応容器に仕込み、窒素気流下で溶媒還流下6時間反応させて、フェニルホスホロジクロリダートの消失を確認した後に、溶媒を留去した。以下、実施例1と同様の操作を行い、ジフェニルペンタエリスリトールジホスフェートを6.90部得た。収率は76%で融点は198〜200℃であった。
【0045】
[比較例3]
全体の90重量%が目開き150ミクロンの標準ふるいを通過しない粒度分布のペンタエリスリトール粉末 3.00部、フェニルホスホロジクロリダート9.30重量部、アセトニトリル30部を反応容器に仕込み、窒素気流下で溶媒還流下6時間反応させて、フェニルホスホロジクロリダートの消失を確認した後に、溶媒を留去した。以下、実施例1と同様の操作を行い、ジフェニルペンタエリスリトールジホスフェートを6.54部得た。収率は72%で融点は198〜200℃であった。
【0046】
[実施例4]
反応容器にオキシ塩化リン13.5部を仕込み、90℃に加熱し攪拌しながら全体の8重量%が目開き150ミクロンの標準ふるいを通過せず全体の5重量%が目開き22ミクロンの標準ふるいを通過する粒度分布のペンタエリスリトール粉末3.00部を2時間かけて少しずつ添加し、添加終了後も1時間加熱攪拌を継続した。そして、オキシ塩化リンを留去後、残さをジクロメタンで洗浄し乾燥して、ジクロペンタエリスリトールジホスフェートを5.22部得た。収率は80%で融点は225〜228℃であった。
【0047】
[比較例4]
全体の90重量%が目開き150ミクロンの標準ふるいを通過しない粒度分布のペンタエリスリトール粉末を用いる以外は実施例4と同様に行い、ジクロロペンタエリスリトールジホスフェートを4.57部得た。収率は70%で融点は225〜228℃であった。
【0048】
[実施例5]
ピリジン30部、全体の8重量%が目開き150ミクロンの標準ふるいを通過せず全体の5重量%が目開き22ミクロンの標準ふるいを通過する粒度分布のペンタエリスリトール粉末3.00部を反応容器に仕込み、攪拌しながら、これに二塩化フェニルホスホン酸8.59部(ペンタエリスリトールの2倍モル)を徐々に滴下した。発熱によって温度が60℃を超えないように滴下の速度をコントロールした。滴下終了後もそのまま30分攪拌し二塩化フェニルホスホン酸の消失を確認した後に、溶媒を留去した。残さ固体を50部の水で洗浄し、これを3回くりかえした。さらに、メタノール30部で洗浄し、乾燥の後、ジフェニルペンタエリスリトールジホスホネートを6.45部を得た。収率は77%で融点は264〜265℃であった。
【0049】
[比較例5]
全体の90重量%が目開き150ミクロンの標準ふるいを通過しない粒度分布のペンタエリスリトール粉末を用いる以外は実施例5と同様に行ってジフェニルペンタエリスリトールジホスホネートを5.87部得た。収率は70%で融点は264〜265℃であった。
【0050】
【発明の効果】
ペンタエリスリトールと特定のリン化合物を用いて二置換ペンタエリスリトールジホスフェートあるいはジホスホネートを製造する際に、特定の粒度分布を有するペンタエリスリトール粉末を用いることで収率向上の効果が発現する。

Claims (5)

  1. ペンタエリスリトールと下記一般式[I]
    Figure 0003681452
    [式中、Rは炭素数6〜15のアリール基あるいはアリーロキシ基、炭素数10以下のアルキル基あるいはアルコキシ基であり、芳香環やアルキル鎖にハロゲン原子を有してもよい。またnは1あるいは0の整数であり、XはClあるいはBrである。]
    で表されるリン化合物との反応によって下記一般式[II]
    Figure 0003681452
    [式中、一般式[I]でnが1の場合、Aは一般式[I]のRと同じ、一般式[I]でnが0の場合、Aは一般式[I]のXと同じ。]
    で表される二置換ペンタエリスリトールジホスフェートあるいはジホスホネートを製造する方法において、目開き150ミクロンの標準ふるいを通過するものが全体の90重量%以上の粒度分布を有するペンタエリスリトール粉末を用いることを特徴とする二置換ペンタエリスリトールジホスフェートあるいはジホスホネートの製造方法。
  2. ペンタエリスリトール粉末の粒度分布が、目開き150ミクロンの標準ふるいを通過するものが全体の90重量%以上であり、且つ目開き22ミクロンの標準ふるいを通過するものが全体の40重量%以下である請求項1記載の二置換ペンタエリスリトールジホスフェートあるいはジホスホネートの製造方法。
  3. 一般式[I]のXがClであってRが炭素数6〜15のアリール基あるいはアリーロキシ基である請求項1あるいは請求項2記載の二置換ペンタエリスリトールジホスフェートあるいはジホスホネートの製造方法。
  4. Rがフェノキシ、フェニルのいずれかである請求項3記載の二置換ペンタエリスリトールジホスフェートあるいはジホスホネートの製造方法。
  5. ピリジンを一般式[I]のリン化合物に対して4〜200倍モル量用いる請求項1記載の二置換ペンタエリスリトールジホスフェートあるいはジホスホネートの製造方法。
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