JP3681251B2 - 静圧型建物支持装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、地震動を伝搬させないようにして建物を支持する建物の静圧型建物支持装置の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
地震時の建物の揺れを低減する機構として、従来から、免振構造や、受動型(パッシブタイプ)の制振装置や、能動型(アクティブタイプ)の制振装置等が用いられていたが、本出願人による特開平5−256046号公報には、これらの機構に変わるものとして、地震動の伝搬を妨げ得る建物が提案されている。
【0003】
この地震動の伝搬を妨げ得る建物は、具体的には図2〜図4に示すようなものである。
【0004】
図2、図3に示されるように、地盤11には矩形の凹所12が形成されており、その底部12aは略水平となっている。この底部12aの上には基礎13が形成され、この基礎13の水平な上面13aの全域にわたって滑り板15が敷設される。建物30は、この滑り板15の上面である滑り面15a上に、長辺方向に3スパンかつ短辺方向に2スパンで設けられた静圧型支持体120により支持される。
【0005】
静圧型支持体120は、図4に示されるように、基盤121、漏れ止め手段122、圧力流体供給手段、供給制御用の開閉弁124および支承126で構成される。
【0006】
具体的には、平面視が円形である基盤121の底面121b中央には凹部121cが形成される。この凹部121cと滑り面15aの間に流体圧作用室125が形成され、この流体圧作用室125には、基盤121内部に形成された管路123bおよび流路123aを介して、図示されない圧力供給源からの圧力流体(水または油)が供給される。
【0007】
なお、管路123bには、開閉弁124および図示されない圧力計、圧力調整装置が設けられ、管路123bを通じての圧力流体の供給が制御できるようになっている。
【0008】
また、凹部121cを囲むように環状の溝122a、122bが設けられ、これらの環状溝122a、122bには、環状溝内周壁面のOリング収容溝122cに収容されたOリングと摺接するようにして、環状のシーリング体122eがそれぞれ嵌合する。
【0009】
さらに、環状溝122a、122bには、多数のコイルスプリング122dが介装されるとともに、管路123bから分岐して流路123aが連通して、凹部121cと同圧の圧力流体が導入され、シーリング体122eを滑り面15a方向に押し出すようになっており、流体圧作用室125に導かれた圧力流体の漏れを防止する漏れ止め手段122を構成している。。
【0010】
なお、支承体126は、その上部の支承面126a側に建物30を支持するものであり、その下部の膨出部126bを基盤121の上面の球座121aに嵌合して、基盤121上に支持されている。
【0011】
このような構成により、通常時には、建物30の自重は静圧支持体120の底面121bの環状溝122a、122b以外の部分121b1により支持されている。
【0012】
一方、検知装置が地震を検知すると同時に、圧力供給源からの圧力流体を流体圧作用室125内に圧入する。この結果、静圧型支持体120の底面121bがわずかに浮上するとともに、シーリング体122eが、コイルスプリング122dの反発力と流路123cを介して導入される流体圧により、環状溝122a、122bから押し出されて滑り面15aに接触し、流体圧作用室125のシールを行うことにより、流体圧作用室125内の流体圧が建物30および静圧型支持体120の自重を支持することとなる。
【0013】
この場合、シーリング体122eと滑り面15aとは摩擦係数の低い材料で構成されているので、結局、地盤11と建物30は水平移動に対して略絶縁された状態となり、地震により地盤11が水平移動しても、建物30はその水平移動に追従することはなく、略静止位置を保つことになる。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来の静圧型支持体120は、環状溝122a、122bに流体圧作用室125と同圧の圧力流体しか導入されないものであるため、流体圧作用室125への圧力流体の圧入時に、何らかの事情でシーリング体122eの下方に隙間が生じてしまった場合には、この隙間に流体圧作用室125側から圧力流体が入り込んでしまい、このシーリング体122e下方の圧力流体がシーリング体122eを持ち上げようとする力が、環状溝122a、122bに導入された流体圧力がシーリング122eを下方に押し付けようとする力を打ち消してしまう結果、シーリング体122eが基盤121とともに上方に浮き上がって、シーリング体122eによる圧力流体の漏れ止め防止の効果を減じてしまう恐れがある。
【0015】
この場合、シーリング体122eは、コイルスプリング122dにより滑り面15a方向に付勢されてはいるものの、シーリング体122eの浮き上がりを防止するためには、コイルスプリング122dにはシーリング体122eとOリングとの摺接抵抗に打ち勝つバネ力が要求されるので、コイルスプリング122d自体も大型化してしまい、大きな格納スペースが必要となる結果、装置全体の大型化の原因となってしまう。
【0016】
さらに、上述のような従来の静圧型支持体120では、建物がおかれた種々の状況に対応して、建物30と滑り面15a側(地盤11側)との連結の度合いを制御することはできない。
【0017】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、建物に地震動を伝搬させない静圧型建物支持装置において、静圧型建物支持装置に導入される圧力流体のシール性を高めるとともに、建物がおかれた種々の状況に対応して、建物と地盤側との連結の度合いを制御し得る静圧型建物支持装置を提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
第1の発明は、地盤上に固設した摩擦係数の小さな滑り面上に載置され、上方に建物を支持するとともに、前記滑り面との間に圧力流体が導入される流体圧作用室と、この流体作用室の周囲を囲むように設けられ前記滑り面との間の摩擦係数の小さな流体漏れ止め手段とを備え、前記流体圧作用室への圧力流体の導入により地盤の横揺れの建物への伝搬を減じる静圧型建物支持装置において、前記流体圧作用室への圧力流体の導入時に前記流体圧作用室と同圧の圧力流体が導入され、この導入された圧力流体の圧力にしたがって前記流体漏れ止め手段を前記滑り面側に押し付ける第1の圧力室と、この第1の圧力室とは独立の圧力の圧力流体が導入され、この導入された圧力流体の圧力にしたがって前記流体漏れ止め手段を前記滑り面側に押し付ける第2の圧力室とを備えた。
【0019】
第2の発明は、建物を支持する支承体と、この支承体を支持する基盤と、この基盤の底面と前記滑り面との間に形成された前記流体圧作用室と、前記基盤の外周側に摺動自由に嵌合したケースと、前記流体圧作用室の外周側に位置して前記ケースの底面に配設された前記流体漏れ止め手段としてのシール部材と、前記基盤の外周側に形成した一対の下向きの段差と、前記ケースの内周側に形成した一対の上向きの段差とを備え、前記一対の下向きの段差と前記一対の上向きの段差との間に前記第1の圧力室と第2の圧力室とを形成し、これら第1、第2の圧力室への圧力流体の導入によりケースを滑り面に向けて付勢するようにした。
【0020】
第3の発明は、風圧を検出する風圧検出手段と、この風圧検出手段により検出された風圧が所定値以上であるときには、前記第2の圧力室に導入される流体の圧力を増大させる制御手段とを備えた。
【0021】
第4の発明は、地震動を検出する地震検出手段と、この地震検出手段により検出された地震動が所定値以上であるときには、前記第2の圧力室に導入される流体の圧力を減少させる制御手段とを備えた。
【0022】
【作用】
第1の発明では、静圧型建物支持装置は流体圧作用室および第1の圧力室へと圧力流体を導入した状態で建物を支持するが、流体圧作用室および第1の圧力室へと圧力流体を導入するのに先立って、第2の圧力室へと圧力流体を導入し、流体漏れ防止手段を滑り面側に押し付けておき、その後、流体圧作用室および圧力室に圧力流体を導入するようにすれば、流体漏れ防止手段は常に第2の圧力室により滑り面上にあらかじめ押し付けられており、流体圧作用室内に導入された圧力流体が流体漏れ防止手段の下方に入り込んでしまうことはなく、流体漏れ防止手段は滑り面上に押し付けられ続けるので、流体漏れ防止手段による流体圧作用室のシールは完全に保たれ、静圧型建物支持装置による建物の横揺れ防止機能は損なわれることはない。
【0023】
また、流体圧作用室および第1の圧力室への圧力流体の導入後は、第1の圧力室の作用で流体漏れ防止手段は滑り面へと押し付けられ、第2の圧力室からの押し付け力がなくとも、この第1の圧力室の作用により流体圧作用室のシールがなされるので、流体漏れ防止手段の滑り面への押し付け力は第2の圧力室に導かれる流体の圧力を変えることにより制御でき、この押し付け力の大きさによって決まって来る流体漏れ防止手段と滑り面との間の摩擦抵抗が自由に制御できるので、建物がおかれた種々の状況に対応して、建物側と滑り面側との連結の度合いを調整し、建物を適切な状態で支持することができる。
【0024】
第2の発明では、基盤と滑り面との間に形成された流体圧作用室に圧力流体が導入されると、滑り面と静圧型建物支持装置間の直接の接触部分は、基盤の外周側に摺動自在に嵌合したケース底面のシール部材だけとなり、建物側と滑り面側との連結が弱められるとともに、このシール部材により流体圧作用室からの圧力流体の漏れが防止されるが、基盤とケースとの接合部分には、基盤の外周側に形成した一対の下向きの段差と、ケースの内周側に形成した一対の上向きの段差とにより、第1と第2の圧力室が形成されており、これらの圧力室に導入された圧力流体がケースの上向きの段差に作用しケースおよびその下方に設けられたシール部材は滑り面へと押し付けられるので、流体圧作用室および第1の圧力室へと圧力流体を導入するのに先立って、第2の圧力室へと圧力流体を導入し、流体漏れ防止手段を滑り面側にあらかじめ押し付けておき、その後、流体圧作用室および圧力室に圧力流体を導入するようにすれば、流体圧作用室内に導入された圧力流体がシール部材の下方に入り込んでしまうことはなく、シール効果が損なわれることはない。
【0025】
また、流体圧作用室および第1の圧力室への圧力流体の導入後は、第2の圧力室へ導入される流体圧を制御することにより、シール部材と滑り面との摩擦抵抗を種々に調整できるので、建物がおかれた種々の状況に対応して、建物側と滑り面側との連結の度合いを調整し、建物を適切な状態で支持することができる。
【0026】
第3の発明では、風圧検知手段により検知された風圧が所定値以上に達したならば、第2の圧力室に導入される圧力流体の圧力を大きくして、流体漏れ防止手段の滑り面への押し付け力を大きくすることにより、流体漏れ防止手段と滑り面間の滑り抵抗を増加させ、風圧による建物の横揺れを阻止することができる。
【0027】
第4の発明では、地震動検出手段により検出された地震動が所定値を越える大きなものであったならば、第2の圧力室へ導入される圧力流体の圧力を小さくすることにより、流体漏れ防止手段の滑り面への押し付け力を小さくし、流体漏れ防止手段と滑り面間の滑り抵抗をさらに減少させ、建物と滑り面間の横揺れに関する断絶の度合いを高めることにより、建物の横揺れ防止機能をさらに高めることができる。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に基づいて、本発明の実施の形態について説明する。
【0029】
図1に示す静圧型建物支持装置20は、図2〜図4における静圧型支持体120と同様に、地盤11に形成した基礎13の上に敷設された滑り板15の滑り面15a上に、所定のスパンで複数個配設される。
【0030】
図1に示すように、各静圧支持装置20は支承体21を備え、この支承体21の上方に水平に形成された支承面21aの上方に、建物30を支持する。
【0031】
一方、支承体21の下面には、凹状(球面状)の嵌合面22aを備えた凹状部材22が固設される。この凹状部材22の嵌合面22aには、円柱状の基盤23の上面23aに固設された凸状部材24の凸状(半球状)の嵌合面24aが嵌合する。このように凹状部材22と凸状部材24が、互いに嵌合面22a、24aにおいて嵌合しつつ、これらの球状の面に沿って摺動することにより、支承体21が建物30の傾き等に追従できるようになっている。
【0032】
なお、基盤23からは、円筒部23bが上方に連続して延び出しており、これらの支承体21、凹状部材22、凸状部材24は、この円筒部23bの円筒内部に収納されるようになっている。
【0033】
基盤23の底面23dは、滑り面15a上に配設される。なお、この底面23dの所定の箇所には、例えばフッ素樹脂等からなるパット39が固設され、この滑り面15aとの摩擦係数の小さなパット39により、基盤23の滑り面15aに対する移動がスムーズに行われるようになっている。
【0034】
また、この基盤23の底面23dと滑り面15aとの間には、後述のように、流路35を介して所定の圧力の圧力流体(水または油)が導入されるが、これにより、底面23dがわずかに浮き上がると、底面23dと滑り面15aの間には、流体圧作用室25が形成されるようになっている。
【0035】
この流体圧作用室25の側方におけるシールのため、基盤23の外周面23cに摺動自在に嵌合する円筒状のケース26の下方には、環状のシール41が設けられる。なお、このシール41は、ケース26内に埋設されているゴム材42により、上方から滑り面15aへと常時押圧されるようになっている。
【0036】
さらに、このシール41の外周側(流体圧作用室25と反対側)には、バックアップリング43が設けられる。このバックアップリング43は、シール41の外側へのはみ出しを防止する働きをするとともに、例えばフッ素樹脂等の滑り面15aとの摩擦係数の小さな材料から形成され、滑り面15aとの当接面における摺動が円滑になされるようになっている。
【0037】
このバックアップリング43は、ケース26下方に埋設されたシールホルダ44に保持されており、後述の圧力室27、28からケース26へと作用する負荷は、このシールホルダ44を介してバックアップリング43へと伝達されるようになっている。
【0038】
このシールホルダ44の外周側にはワイパー45が設けられ、外部からケース26下方への異物の侵入が防止される。
【0039】
また、流体圧作用室25側からシール41とワイパ45の間(シールホルダ44下方)に漏れ出て来た流体は、シールホルダ44に形成したドレン流路46からタンク側へと戻されるようになっている。
【0040】
ケース26の内周面26cは、上下2カ所において、上向きの段差26a、26bを備えている。これに対して、基盤23の外周面23cには、ケース26の段差26a、26bと相対峙するように、上下2カ所において、下向きの段差23e、23fを備えている。この結果、段差23e、26aの間には圧力室27が、また段差23f、26bの間には圧力室28がそれぞれ形成される。
【0041】
さらに、ケース26の外周面26dには、外部からの圧力流体が供給されるためのBポート31、Aポート32が設けられ、Bポート31はケース26に形成された流路33を介して圧力室27に連通するとともに、Aポート32はケース26に形成された流路34を介して圧力室28に連通している。一方、基盤23には、ケース26側の流路34に連なる流路35が形成され、この流路35が流体圧作用室25に連通している。なお、これらBポート31およびAポート32に導入される圧力流体の圧力は図示されない制御装置により任意に制御可能となっている。
【0042】
このように本発明では、流体圧作用室25に圧力流体が導入されたときには、圧力室28にはAポート32から流体圧作用室25と同圧の圧力流体が導入されるとともに、圧力室27にはこの流体圧作用室25および圧力室28の圧力と独立な圧力が導入される。
【0043】
これにより、ケース26の上向き段差26bには、圧力室28が与える下向きの押し付け力として、圧力室28の有効受圧面積αに比例した押し付け力が作用するとともに、ケース26の上向き段差26aには、圧力室27にBポート31から圧力流体が導入されることによる圧力室28とは独立な押し付け力が作用する。したがって、流体圧作用室25へと圧力流体を導入するときには、これに先立って圧力室27に圧力を導入しておけば、ケース26下端のシール41は滑り面15aにあらかじめ押し付けられた状態となり、流体圧作用室25に圧力を導入するときにシール41下方に圧力流体が入り込んでしまう余地はなく、シール41によるシール効果は完全に保たれる。
【0044】
さらに、流体圧作用室25および圧力室28への圧力流体の導入後は、圧力室28の受圧面積αから作用するケース26に押し付け力により流体圧作用室25のシールが可能であるので、圧力室27がケース26に与える押し付け力を調節することにより、全体としてケース26に作用する押し付け力が任意に制御できる。したがって、この押し付け力に比例して増減するケース26の下面(シール41)と滑り面15a間の摩擦抵抗によって決まって来るケース26の滑り面15aへの連結の度合いを自由に制御することができる。
【0045】
ここで、圧力室28の有効受圧面積αとは、図1に示すように、圧力室28の受圧面積(ケース26の段差26bの面積)から、圧力室28側とケース26下面のシール41に至る部分からの上向きの力と相殺する部分を引いた残りの受圧面積である。したがって、圧力室28による押し付け力としては、ケース26下面のシール41に至る部分に流体圧作用室25から圧力流体が入り込んでケース26を押し上げる押し上げ力が作用したとしても、この押し上げ力を相殺した後の押し付け力として、この有効受圧面積α分の押し付け力が残ることとなる。
【0046】
なお、圧力室28は、ケース26の内周面26cの圧力室27と圧力室28の間の部分に埋設された環状のシール51により、圧力室28と完全に遮断されるとともに、ケース26の内周面26cの圧力室27よりも上方の部分に埋設された環状のシール51、52により、大気とも完全に遮断されるようになっている。また、シール51、52のさらに上方には、環状のダストシール53が設けられ、異物の侵入が防止される。
【0047】
つぎに作用を説明する。
【0048】
本発明の静圧型建物支持装置20は、流体圧作用室25へと所定圧の圧力流体を導入した状態で、支持体21の支持面21a上に建物30を支持するが、この流体圧作用室25への圧力流体の導入に先立って、まずBポート31から圧力室27へと圧力流体を導入し、圧力室27を高圧とすることにより、ケース26を滑り面15a側に押し付けておく。
【0049】
その後、Aポート32から流体圧作用室25および圧力室28に圧力流体を導入する。これにより、基盤23は滑り面15aから浮き上がり、その後、静圧型建物支持装置20は、常時、滑り面15aとの摩擦係数の小さな摺動部材であるシール41のみにおいて滑り面15a上に直接接触する状態となる。
【0050】
このように、本発明によれば、流体圧作用室25に圧力流体が導入されるときには、これに先立って、ケース26下方のシール41は、圧力室27による下向きの押し付け力の作用で、滑り面15aに対して既に押圧されている。したがって、シール41の下方に流体圧作用室25からの圧力流体が流れ込んでしまうことはなく、シール41によるシール効果は完全に保たれる。よって、静圧型建物支持装置20による建物30の横揺れ防止機能は損なわれることはない。
【0051】
なお、このように圧力室28へと圧力流体を導入した後には、圧力室27の圧力を弱め、圧力室27からシール41へと作用する押し付け力を小さくしたとしても、流体圧作用室25のシールは、圧力室28の受圧面積αからシール41へと作用する押し付け力のみによっても保つことができる。
【0052】
このように、建物30を含む静圧型建物支持装置20より上の部分は、滑り面15aとの摩擦係数の小さなシール41においてのみ滑り面15aと接触しているので、圧力室27から作用する押圧力が弱められた場合には、横方向の摺動に関して滑り面15aとの連結を断たれたと略同様の状態となる。このため、地震動により滑り面15aが横揺れしたとしても、静圧型建物支持装置20に支持される建物30はこの横揺れに追随することはなく、略静止位置に保持される。
【0053】
さらに、本発明は、このように流体圧作用室25および圧力室28に所定圧の圧力流体を導入して、建物30を支持する静圧型建物支持装置20側と滑り面15a側との接触をシール41のみとした状態で、圧力室27に導入される圧力を調節することにより、ケース26下面(シール41)が滑り面15aへと押し付けられるトータルの力を制御して、建物30がおかれた種々の状況に対応して、滑り面15a上で適切に支持されるようにすることができる。
【0054】
具体的には、例えば、図示されない風圧検知手段により検知された風圧が所定値以上に達したならば、圧力室27に導入される圧力流体の圧力を大きくすることにより、ケース26の滑り面15aへの押し付け力を大きくする。これにより、ケース26と滑り面15a間の摩擦抵抗を増加させ、風圧による建物30の横揺れを阻止することができる。なお、この場合、地震のように地盤11が揺れる訳ではないので、建物30を地盤11に対して風圧により揺れ動かないように固定することで、建物30の横揺れを防止できる。
【0055】
また、地震動検出手段により検出された地震動が所定値を越える大きなものであったならば、圧力室27へ導入される圧力流体の圧力を小さくすることにより、ケース26の滑り面15aへの押し付け力を小さくする。これにより、ケース26と滑り面15a間の摩擦抵抗をさらに減少させ、建物30と滑り面15a間の横揺れに関する断絶の度合いを高めることにより、建物30の横揺れ防止機能をさらに高めることができる。
【0056】
【発明の効果】
第1の発明によれば、静圧型建物支持装置は流体圧作用室および第1の圧力室へと圧力流体を導入した状態で建物を支持するが、流体圧作用室および第1の圧力室へと圧力流体を導入するのに先立って、第2の圧力室へと圧力流体を導入し、流体漏れ防止手段を滑り面側に押し付けておき、その後、流体圧作用室および圧力室に圧力流体を導入するようにすれば、流体漏れ防止手段は常に第2の圧力室により滑り面上にあらかじめ押し付けられており、流体圧作用室内に導入された圧力流体が流体漏れ防止手段の下方に入り込んでしまうことはなく、流体漏れ防止手段は滑り面上に押し付けられ続けるので、流体漏れ防止手段による流体圧作用室のシールは完全に保たれ、静圧型建物支持装置による建物の横揺れ防止機能は損なわれることはない。
【0057】
また、流体圧作用室および第1の圧力室への圧力流体の導入後は、第1の圧力室の作用で流体漏れ防止手段は滑り面へと押し付けられ、第2の圧力室からの押し付け力がなくとも、この第1の圧力室の作用により流体圧作用室のシールがなされるので、流体漏れ防止手段の滑り面への押し付け力は第2の圧力室に導かれる流体の圧力を変えることにより制御でき、この押し付け力の大きさによって決まって来る流体漏れ防止手段と滑り面との間の摩擦抵抗が自由に制御できるので、建物がおかれた種々の状況に対応して、建物側と滑り面側との連結の度合いを調整し、建物を適切な状態で支持することができる。
【0058】
第2の発明によれば、基盤と滑り面との間に形成された流体圧作用室に圧力流体が導入されると、滑り面と静圧型建物支持装置間の直接の接触部分は、基盤の外周側に摺動自在に嵌合したケース底面のシール部材だけとなり、建物側と滑り面側との連結が弱められるとともに、このシール部材により流体圧作用室からの圧力流体の漏れが防止されるが、基盤とケースとの接合部分には、基盤の外周側に形成した一対の下向きの段差と、ケースの内周側に形成した一対の上向きの段差とにより、第1と第2の圧力室が形成されており、これらの圧力室に導入された圧力流体がケースの上向きの段差に作用しケースおよびその下方に設けられたシール部材は滑り面へと押し付けられるので、流体圧作用室および第1の圧力室へと圧力流体を導入するのに先立って、第2の圧力室へと圧力流体を導入し、流体漏れ防止手段を滑り面側にあらかじめ押し付けておき、その後、流体圧作用室および圧力室に圧力流体を導入するようにすれば、流体圧作用室内に導入された圧力流体がシール部材の下方に入り込んでしまうことはなく、シール効果が損なわれることはない。
【0059】
また、流体圧作用室および第1の圧力室への圧力流体の導入後は、第2の圧力室へ導入される流体圧を制御することにより、シール部材と滑り面との摩擦抵抗を種々に調整できるので、建物がおかれた種々の状況に対応して、建物側と滑り面側との連結の度合いを調整し、建物を適切な状態で支持することができる。
【0060】
第3の発明によれば、風圧検知手段により検知された風圧が所定値以上に達したならば、第2の圧力室に導入される圧力流体の圧力を大きくして、流体漏れ防止手段の滑り面への押し付け力を大きくすることにより、流体漏れ防止手段と滑り面間の滑り抵抗を増加させ、風圧による建物の横揺れを阻止することができる。
【0061】
第4の発明によれば、地震動検出手段により検出された地震動が所定値を越える大きなものであったならば、第2の圧力室へ導入される圧力流体の圧力を小さくすることにより、流体漏れ防止手段の滑り面への押し付け力を小さくし、流体漏れ防止手段と滑り面間の滑り抵抗をさらに減少させ、建物と滑り面間の横揺れに関する断絶の度合いを高めることにより、建物の横揺れ防止機能をさらに高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を示す断面図である。
【図2】従来例の地盤、基礎、建物等を縦断した立面図である。
【図3】同じく図2のA−A断面図である。
【図4】同じく静圧型支持体の左半分を縦面した立面図である。
【符号の説明】
11 地盤
15 滑り板
15a 滑り面
20 静圧型建物支持装置
21 支承体
23 基盤
23a 基盤の上面
23c 基盤の外周面
23d 基盤の底面
23e 基盤の段差
23f 基盤の段差
25 流体圧作用室
26 ケース
26a ケースの段差
26b ケースの段差
26c ケースの内周面
26d ケースの外周面
27 圧力室
28 圧力室
30 建物
31 Bポート
32 Aポート

Claims (4)

  1. 地盤上に固設した摩擦係数の小さな滑り面上に載置され、上方に建物を支持するとともに、前記滑り面との間に圧力流体が導入される流体圧作用室と、この流体作用室の周囲を囲むように設けられ前記滑り面との間の摩擦係数の小さな流体漏れ止め手段とを備え、前記流体圧作用室への圧力流体の導入により地盤の横揺れの建物への伝搬を減じる静圧型建物支持装置において、
    前記流体圧作用室への圧力流体の導入時に前記流体圧作用室と同圧の圧力流体が導入され、この導入された圧力流体の圧力にしたがって前記流体漏れ止め手段を前記滑り面側に押し付ける第1の圧力室と、
    この第1の圧力室とは独立の圧力の圧力流体が導入され、この導入された圧力流体の圧力にしたがって前記流体漏れ止め手段を前記滑り面側に押し付ける第2の圧力室と、
    を備えたことを特徴とする静圧型建物支持装置。
  2. 建物を支持する支承体と、この支承体を支持する基盤と、この基盤の底面と前記滑り面との間に形成された前記流体圧作用室と、前記基盤の外周側に摺動自由に嵌合したケースと、前記流体圧作用室の外周側に位置して前記ケースの底面に配設された前記流体漏れ止め手段としてのシール部材と、前記基盤の外周側に形成した一対の下向きの段差と、前記ケースの内周側に形成した一対の上向きの段差とを備え、前記一対の下向きの段差と前記一対の上向きの段差との間に前記第1の圧力室と第2の圧力室とを形成し、これら第1、第2の圧力室への圧力流体の導入によりケースを滑り面に向けて付勢するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の静圧型建物支持装置。
  3. 風圧を検出する風圧検出手段と、この風圧検出手段により検出された風圧が所定値以上であるときには、前記第2の圧力室に導入される流体の圧力を増大させる制御手段とを備えたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の静圧型建物支持装置。
  4. 地震動を検出する地震検出手段と、この地震検出手段により検出された地震動が所定値以上であるときには、前記第2の圧力室に導入される流体の圧力を減少させる制御手段とを備えたことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一つに記載の静圧型建物支持装置。
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