JP3681092B2 - 逆止弁 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、逆止弁に関し、特に、パルス圧の印加される流体圧系統に用いられる逆止弁の改良に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
逆止弁は、その内部に装着されたコイルばねによって可動弁体が閉弁方向に付勢されている。
逆止弁に流体(油等)の高いパルス圧が繰り返し印加されると、コイルばねは可動弁体と共に回転し、かつ、吐出口側へ押し出される力を受ける。この結果、コイルばねの端末部が吐出口から外部にはみ出すことがある。コイルばねの端末部が吐出口からはみ出すと、コイルばねが正常に機能しない。具体的には、10〜12MPaの油圧のパルス圧が従来の逆止弁の耐圧限度であり、それを超えると上記のはみ出しが生じる。
一方、高いパルス圧が印加されると、コイルばねの端末部が持ち上げられ、他のコイル部分と絡み合うことがある。このような絡み合いが生じると、コイルばねは、もはや「ばね」としての役割を果たせなくなる。
このように、従来の逆止弁は、高いパルス圧が印加される可能性のある油圧系統等で使用した場合、動作不良を引き起こす恐れがあった。
【0003】
上記のような従来の問題点に鑑み、本発明は、高いパルス圧が印加されても安定した性能を発揮する逆止弁を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明の逆止弁は、一端側に弁座及び流体の供給口を有し、他端側には、ばね受け部と、その内側から前記一端側へ突出した複数の突片とが形成されるとともに、それ以外の切除部分は流体の吐出口となっている弁ハウジングと、前記弁ハウジング内において、前記弁座に接離可能に設けられ、前記弁ハウジングの内側に係合して姿勢を維持する係合部を周囲に有する可動弁体と、前記ばね受け部と前記可動弁体との間に配置されて前記可動弁体を前記弁座に押しつける方向に付勢し、前記ばね受け部側の端末部が前記突片の外側で末端に向けて徐々に半径が大きくなって他の部分より巻回外方に膨出して形成され、この端末部が前記弁ハウジングの内壁に圧接するコイルばねとを備えたものである(請求項1)。
このように構成された逆止弁においては、突片の外側で末端に向けて徐々に半径が大きくなってコイルばねの他の部分より外方に膨出して形成された端末部が、弁ハウジングの内壁に一定の力で常に張り付いている。従って、流体のパルス圧が逆止弁に付与されても、コイルばねの端末部が持ち上げられたり、弁ハウジングの吐出口から外へはみ出したりすることがない。
【0005】
また、上記逆止弁において、コイルばねの端末部は、その末端から所定距離手前のところで、隣接するコイルの対応部分と接着されていてもよい(請求項2)。
この場合、端末部が自由に動ける範囲は、接着部から末端までの所定長部分に限られる。従って、端末部と他のコイル部分との絡まり合いは防止される。
【0006】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の第1の実施形態による逆止弁を示す図であり、(a)は垂直断面図であり、(b)は(a)におけるB−B断面図である。図において、逆止弁1は、ケース2と、ケース2の上端部に取り付けられた弁座3と、この弁座3と接離可能に配置された可動弁体4と、この可動弁体4とケース2の下部のばね受け部2aとの間に装着され、可動弁体4を上方に付勢して弁座3に押し付けるコイルばね5とを備えている。上記ケース2は弁座3と共に、「弁ハウジング」を構成している。
【0007】
図2は、ケース2のみを示す図であり、(a)は平面図、(b)は垂直断面図である。ケース2は底部に上記ばね受け部2aと、3つの突片2cとを有しており、それ以外の切除部分は流体の吐出口2bとなっている。突片2cは上方に60度傾斜して形成されており、コイルばね5(図1)をケース2内に保持する役目を有している。
図3は、弁座3のみを示す図であり、(a)は垂直断面図、(b)は底面図である。弁座3は、中心部に流体の供給口3aが設けられた皿状の形状をしている。
図4は、可動弁体4のみを示す図であり、(a)は平面図、(b)は垂直断面図である。可動弁体4の周囲の3箇所には、ケース2(図1)の内側に係合して可動弁体4の姿勢を維持するための係合部4aが設けられている。中央部には高圧流体の逃がし孔4bが形成されている。
【0008】
図5は、コイルばね5を示す図であり、(a)は垂直断面図、(b)はコイルばね5の下方1条余分のみを示す平面図である。図1を参照した図5において、コイルばね5は、ばね受け部2a側の巻径d1(数値例7.46mm)が可動弁体4側の巻径d2(数値例4.46mm)より大きい。また、さらに、ばね受け部側の端末部5a(図5の(b)のハッチングを付した部分)は末端に向けて徐々に半径が大きくなって、コイルばね5の他の部分より外方に膨出し、その最大外径d3(数値例8.5mm)は、ケース2の内径d4(図2、数値例8.3mm)より大きい。従って、コイルばね5は、端末部5aを内方に押し縮めながら、ケース2の内部に装着される。装着されると、コイルばね5の端末部5aを除く巻径d1の部分はケース2の3つの突片2cに保持され、端末部5aは略一定の力でケース2の内壁に押し付けられる(図1の(b)参照)。
【0009】
上記のように装着されたコイルばね5を有する逆止弁1について油圧印加実験を行った結果、最大15MPaの油圧のパルス圧が繰り返し印加されると、可動弁体4と共にコイルばね5が回動することはあるが、端末部5aはケース2の内壁に常に張り付いたままであった。すなわち、コイルばね5の端末部5aがケース2の吐出口2bからはみ出す事態は生じなかった。また、端末部5aが持ち上げられることもなかった。
【0010】
図6は第2の実施形態による逆止弁のコイルばね5を示す図であり、(a)は垂直断面図、(b)はコイルばね5の下方約1.5条分のみを示す平面図である。なお、コイルばね5に関する構成以外の構成は第1の実施形態と同様である。図6に示すコイルばね5の構成と、第1の実施形態のコイルばね5との違いは、図6に示すように、端末部5aの末端から所定距離手前の起点5bにおいて、隣接するコイル同士が部分的に、はんだ6又はろう付け若しくは溶接により接着されていることにある。
【0011】
このような接着を行うことにより、端末部5aは、起点5bから末端までの所定長のみが自由な動きをし得る部分となる。言い換えれば、端末部5aの自由な動きがかなり制限される。また、接着したことにより、端末部5aを含む最下条のコイルが、それより1条上のコイルより常に下にある位置関係が維持される。このことは、例えばコイルばね5の装着時に有利である。コイルばね5をケース2に装着するには、図2の(b)に示すケース2の上方からコイルばね5を挿入するが、第1の実施形態のコイルばね5では外側に拡がろうとする端末部5aを押し縮めながら挿入しようとすると、端末部5aがはじけてコイルばね5の内側に入ったり、上方にせり上がったりして条間での絡み合いが発生し、迅速な装着作業ができない場合がある。しかしながら、第2の実施形態のコイルばね5は、そのような不都合がない。従って、装着作業が容易になる。また、装着後も、第2の実施形態のコイルばね5は、端末部5aが上方に浮き上がりにくいので、他のコイル部分との絡み合いが防止される。
【0012】
なお、コイルばね5の形状は、上記第1及び第2の実施形態に示したものに限られず、種々の形態が可能である。図7及び図8は、他の形状のコイルばね5を示した図であり、図7は、接線方向に略直線状に延伸されることにより他の部分より外方に膨出した端末部5aを示している。また、図8は、接線方向に略直線状に延伸された後、内方に曲げられた端末部5aを示している。
【0013】
【発明の効果】
以上のように構成された本発明は以下の効果を奏する。
請求項1の逆止弁によれば、コイルばねの端末部が、突片の外側で末端に向けて徐々に半径が大きくなって、弁ハウジングの内壁に一定の力で常に張り付いているので、パルス圧が逆止弁に付与されても、コイルばねの端末部が持ち上げられたり、弁ハウジングの吐出口から外へはみ出すことがない。従って、高いパルス圧に対しても安定した性能を発揮する逆止弁を提供することができる。
【0014】
請求項2の逆止弁によれば、端末部が自由に動ける範囲が限定され、端末部の移動や端末部と他条のコイルとの絡み合いが防止される。従って、コイルばねの装着が容易であり、装着後は高いパルス圧に対してさらに安定した性能を発揮する逆止弁を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明の一実施形態による逆止弁を示す垂直断面図であり、(b)は(a)のB−B断面図である。
【図2】上記逆止弁のケースのみを示す図であり、(a)は平面図、(b)は垂直断面図である。
【図3】上記逆止弁の弁座のみを示す図であり、(a)は垂直断面図、(b)は底面図である
【図4】上記逆止弁の可動弁体のみを示す図であり、(a)は平面図、(b)は垂直断面図である。
【図5】上記逆止弁のコイルばねを示す図である。
【図6】第2の実施形態の逆止弁におけるコイルばねを示す図である。
【図7】本発明における他の形状のコイルばねを示す図である。
【図8】本発明におけるさらに他の形状のコイルばねを示す図である。
【符号の説明】
1 逆止弁
2 ケース
2a ばね受け部
2b 吐出口
3 弁座
3a 供給口
4 可動弁体
5 コイルばね
5a 端末部
6 はんだ

Claims (2)

  1. 一端側に弁座及び流体の供給口を有し、他端側には、ばね受け部と、その内側から前記一端側へ突出した複数の突片とが形成されるとともに、それ以外の切除部分は流体の吐出口となっている弁ハウジングと、
    前記弁ハウジング内において、前記弁座に接離可能に設けられ、前記弁ハウジングの内側に係合して姿勢を維持する係合部を周囲に有する可動弁体と、
    前記ばね受け部と前記可動弁体との間に配置されて前記可動弁体を前記弁座に押しつける方向に付勢し、前記ばね受け部側の端末部が前記突片の外側で末端に向けて徐々に半径が大きくなって他の部分より巻回外方に膨出して形成され、この端末部が前記弁ハウジングの内壁に圧接するコイルばねと
    を備えたことを特徴とする逆止弁。
  2. 前記コイルばねの端末部は、その末端から所定距離手前のところで、隣接するコイルの対応部分と接着されていることを特徴とする請求項1記載の逆止弁。
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