JP3681024B2 - 厚膜パターン形成方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プラズマディスプレイパネル(PDP)、フィールドエミッションディスプレイ(FED)、液晶表示装置(LCD)、蛍光表示装置、混成集積回路等の製造過程において基板上に所定形状の厚膜パターンを形成する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の厚膜パターン形成方法としては、ガラスやセラミックス基板上に導体或いは絶縁体用のペーストをスクリーン印刷法によりパターン状に塗布した後、焼成工程を経て基板に密着したパターンを形成する方法が知られている。また別の方法としては、基板上の全面に感光性ペーストを塗布し、フォトリソグラフィ法でパターニングを行ってから、パターン形成用ペーストを焼成する方法も知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記のようなパターン形成用のペーストは焼成時にライン全体が収縮する。具体的には線幅収縮率は10〜30%程度である。例えば、線幅収縮率が20%のペーストを使用し、線幅100μmのパターンを100μm間隔で塗布して焼成したとすると、焼成後は線幅が80μm、線間は120μmとなってしまう。一方、スクリーン印刷法や感光性ペーストを用いたフォトリソグラフィ法でライン状パターンを形成する場合、解像度からして線間は20μmが限界である。したがって、図1のように、焼成前の線幅をAμmとすると、焼成後の線間Bは〔2×(0.1×A)+20〕μmとなる。例えば、焼成前の線幅Aを100μmと仮定すると、焼成後の線間Bは40μmとなってしまう。また、現状のAC型PDPにおけるアドレス電極の線幅を70μm程度と仮定すると、34μm以下の線間は形成することができないことになり、高精細なPDPの製造が難しくなる。
【0004】
また、AC型PDPの2分割駆動を考えた場合、図2のようにアドレス電極を2分割する必要があるが、焼成時における矢印方向の収縮は線幅Aの20%程度である。したがって線幅と同様、焼成後の間隔Dは〔2×(0.1×A)+20〕μmとなる。例えば、現状のAC型PDPを考えると、線幅は70μmなので34μm以下の間隔を設けることは不可能である。しかし、間隔Dが大きくなると、パネルの中央部分が点灯しなくなったり、点灯したとしても放電が他と異なったり、断線しているのが目視で確認できてしまう。
【0005】
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、パターン形成用ペーストが焼成工程を経ても寸法変化を起こさないようにした厚膜パターン形成方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明は、基板上にパターン形成用ペーストをパターニングし、焼成工程を経て基板に密着したパターン層を形成する工程を含む厚膜パターン形成方法において、650℃以下で軟化しない無機粉体とバインダー樹脂からなり焼成時においてパターンの水平方向には殆ど収縮せずに垂直方向にのみ収縮する収縮防止層を基板上に形成し、その収縮防止層の上にさらに熱で溶融して収縮防止層に浸透する下地層を形成し、その下地層の上にパターン形成用ペーストをパターニングするようにし、収縮防止層、下地層及びパターン層を同時に焼成するようにしたことを特徴とする。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明で使用できる基板としては、ガラス、金属、セラミック等を挙げることができる。ここではガラス基板を使用し、そのガラス基板上に厚膜パターンとして電極を形成する場合を例に挙げて説明する。
【0008】
まず、図3(a)に示すように、ガラス基板11の上に収縮防止層12を形成する。具体的には、アルミナ、シリカ、酸化硼素、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウム、炭酸カルシウム等の1種若しくは2種以上の無機粉体であって、下地層やパターン層の焼成温度で軟化しない、すなわち650℃以下で軟化しない無機材料をバインダー樹脂、溶剤と混合してペースト化したものや、フィルム形成してシート化したものを用いて形成される。この無機粉体としては平均粒径0.1〜2.0μmのものが好ましく用いられる。
【0009】
上記の収縮防止層は、焼成時においてパターンの水平方向には殆ど収縮せずに垂直方向(膜厚方向)にのみ収縮するものである。すなわち、収縮防止層を形成するこれらのペーストやシートは、熱による膨張と樹脂が飛ぶ時の収縮が略釣り合っているので寸法変化を起こさない。
【0010】
さらに、図3(b)に示すように、収縮防止層12の上に下地層13を形成する。この下地層13は電極との密着性を向上させ、マイグレーション防止を図るためのもので、PbO系、Bi2 3 系、ZnO系等の低温度で軟化するガラスを含有したペーストを塗布して形成する。ガラス基板11に形成した収縮防止層12は絶縁性はあるが熱で溶融しないため、成膜性に劣ることから、直接その上に電極を形成すると電極の剥離等が起こる。したがって、熱で溶融して収縮防止層12に浸透するような下地層13を設けることで、成膜性、機械的強度を向上させるものである。
【0011】
次に、図3(c)に示すように、収縮防止層12と下地層13とを形成したガラス基板11に電極ペースト14をスクリーン印刷法等の手段によりパターニングする。或いは、感光性の電極ペーストを全面に塗布して乾燥させるか、若しくは一旦フィルム上に電極ペースト層を形成してこれを基板に転写した後、フォトリソグラフィ法でパターニングを行うようにしてもよい。
【0012】
次いで、焼成を行って電極ペースト14から樹脂分を飛ばし、図3(d)に示すように密着状態の電極15を形成する。この焼成工程では、300〜400℃で電極ペースト中の樹脂分が飛んで膜減りを起こし、水平方向に収縮しようとするが、アルミナを主体とする粉体が熱膨張することで、みかけ上は水平方向には収縮しないので、電極15は線幅が変化せず剥離することもない。さらに、450〜600℃になるとガラスフリットの軟化による収縮が起こり、さらには溶融して下地層13と密着する。また、下地層13は溶融して収縮防止層12に溶け込んで一体化した混合層16になる。そして、焼成を終えると冷却されるが、混合層16の熱膨張率はガラス基板11と電極15の熱膨張率と同じなので、電極15は寸法変化や剥離等の現象を起こさない。このようにして、ガラス基板11上には、650℃以下で軟化しない無機粉体がリッチな層から徐々に650℃以下の軟化点を有するガラスリッチな層へと変化する傾斜構造の混合層16が形成され、その上に電極15のパターンが形成された状態になる。
【0013】
【実施例】
平均粒径1.0μm程度のアルミナ80重量%とシリカ20重量%の混合粉体にバインダー樹脂を添加してペースト化した材料を用意し、ガラス基板上にこのペースト材料をコーティングして収縮防止層を形成した。乾燥後、その収縮防止層の上にPbO系のガラスを含有したペーストをコーティングして下地層を形成した。
【0014】
続いて、下記組成Aの感光性樹脂を含有する下記組成Bの感光性電極ペーストを用意し、これを収縮防止層と下地層が形成されたガラス基板上にスクリーン印刷によりコーティングし、乾燥膜厚15μmの電極ペースト層を形成した。そして、マスクを介して電極ペースト層を露光し、現像工程を経て線幅50μm、線間20μmの電極パターン層を形成した。
【0015】
<組成A>
アルカリ現像型バインダーポリマー 100重量部
(メチルメタクリレート/メタクリル酸共重合体)
ポリオキシエチル化トリメチロールプロパントリアクリレート 60重量部
光開始剤(チバガイギー社製「イルガキュア907」) 10重量部
【0016】
<組成B>
組成Aの感光性樹脂 20重量部
銀粉(平均粒径) 70重量部
ガラスフリット 5重量部
{主成分:Bi2 3 、SiO2 、B2 3 (無アルカリ)、
平均粒径:1μm、軟化点:600℃}
ジプロピレングリコールモノメチルエーテル 20重量部
増粘剤 1重量部
【0017】
次いで、収縮防止層、下地層及び電極パターン層を一括で焼成して、膜厚6μm、線幅48μm、線間22μmのPDP用アドレス電極を形成した。これにより、膜厚が5μm以上で且つ線幅30μm以下の微細な電極パターンを形成することができた。
【0018】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明では、650℃以下で軟化しない無機粉体とバインダー樹脂からなり焼成時においてパターンの水平方向には殆ど収縮せずに垂直方向にのみ収縮する収縮防止層を基板上に形成し、その収縮防止層の上にさらに熱で溶融して収縮防止層に浸透する下地層を形成し、その下地層の上にパターン形成用ペーストをパターニングするようにし、これらを同時に焼成するようにしたので、焼成時において収縮防止層が寸法変化を起こさず、したがってその上にあるパターン形成用ペーストが焼成工程を経ても幅方向に収縮を起こさないことから、焼成前の間隔、すなわち小さな間隔で厚膜パターンを形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ライン状パターンの焼成前と焼成後における線幅と線間の関係を示す説明図である。
【図2】ライン状パターンを2分割した場合の焼成前と焼成後における間隔の関係を示す説明図である。
【図3】本発明に係る厚膜パターン形成方法を説明するための工程図である。
【符号の説明】
A 線幅(焼成前)
B 線間(焼成後)
D 間隔(焼成後)
11 基板
12 収縮防止層
13 下地層
14 電極ペースト
15 電極
16 混合層

Claims (2)

  1. 基板上にパターン形成用ペーストをパターニングし、焼成工程を経て基板に密着したパターン層を形成する工程を含む厚膜パターン形成方法において、650℃以下で軟化しない無機粉体とバインダー樹脂からなり焼成時においてパターンの水平方向には殆ど収縮せずに垂直方向にのみ収縮する収縮防止層を基板上に形成し、その収縮防止層の上にさらに熱で溶融して収縮防止層に浸透する下地層を形成し、その下地層の上にパターン形成用ペーストをパターニングするようにし、収縮防止層、下地層及びパターン層を同時に焼成するようにしたことを特徴とする厚膜パターン形成方法。
  2. 請求項1に記載の方法で形成された厚膜パターンを有する基板であって、基板上に650℃以下で軟化しない無機粉体がリッチな層から徐々に650℃以下の軟化点を有するガラスリッチな層が形成され、その上に厚膜パターンが形成されてなる厚膜パターン付き基板。
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