JP3680921B2 - 光走査装置 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、レーザービームプリンタ等に用いられる光走査装置に係り、特に、回転多面鏡等の複数の反射面を有する偏向器に光ビームを順に2度入射させる光走査装置において、第1反射面から第2反射面に伝達入射させる伝達光学系の構成に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、本出願人により、回転多面鏡を用いた光走査装置において、異なる反射面に順に2度入射させるようにすることにより、高速で良好な画像再現を可能としたものが提案されている。特に、特開平11−64771号のものにおいては、回転多面鏡の第1反射面から第2反射面へ伝達入射させる伝達光学系を、主走査方向でアフォーカル光学系としているが、その伝達光学系の前群が3枚の球面レンズ(円筒レンズ)からなっており、かつ、伝達光学系の主走査方向のディオプター(第2反射面から集束点までのm単位で表した距離の逆数)が正のディオプター方向に対して光軸近傍で凹に湾曲している。
【0003】
また、米国特許第5,392,149号及び米国特許第5,585,955号では、同様に主走査方向でアフォーカルな伝達光学系を用いているが、具体的なレンズ構成は明記されていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本出願人による上記特開平11−64771号のものにおいては、伝達光学系の前群が3枚、後群が1枚の計4枚からなり、また、伝達光学系の主走査方向のディオプターが光軸近傍で凹に湾曲しているため、回転多面鏡と被走査面の間の走査光学系によって生じる主走査方向の光軸近傍での凸の像面湾曲(光の進行方向に対して凸形状の像面)と強め合って全光学系の主走査方向の像面湾曲が増加する結果となる。
【0005】
本発明は従来技術のこのような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、特に像面湾曲特性が良く高速で良好な画像再現な可能な光走査装置を提供することである。
【0006】
上記目的を達成する本発明の光走査装置は、光ビームを発生する光源と、前記光源からの光ビームを反射偏向させる複数の反射面を有する偏向器と、前記偏向器の第1反射面により反射偏向された少なくとも主走査方向において平行な光ビームを前記偏向器の第2反射面に伝達入射させる主走査方向においてアフォーカル光学系である伝達光学系と、前記偏向器の前記第2反射面により反射偏向された光ビームを被走査面上にビームスポットを形成させて走査させる走査光学系とを備えた光走査装置において、
前記伝達光学系は主走査方向の少なくとも光軸近傍において、横軸にディオプターの値を縦軸に走査角をとったとき、正のディオプター方向に対して凸に湾曲したディオプターを有し、前記走査光学系は主走査方向の少なくとも光軸近傍において光の進行方向に対して凸の像面湾曲を有していることを特徴とするものである。
【0007】
この場合に、伝達光学系の前群が主走査方向において少なくとも1面が非球面(非円弧面)の単レンズからなることが望ましい。
【0008】
また、その単レンズの入射側の面が主走査方向において非球面(非円弧面)であることが望ましい。
【0009】
また、伝達光学系のその単レンズの非球面(非円弧面)のコーニック係数KがK<−1であることが望ましい。
【0010】
また、走査光学系の前群が単レンズからなることが望ましい。
【0011】
本発明においては、伝達光学系は主走査方向の少なくとも光軸近傍において正のディオプター方向に対して凸に湾曲したディオプターを有し、走査光学系は主走査方向の少なくとも光軸近傍において光の進行方向に対して凸の像面湾曲を有しているので、像面湾曲に関して伝達光学系と走査光学系とは互いに逆の特性を持つことになり、光学系全体の像面湾曲は相互に打ち消し合って、全光学系の主走査方向の像面湾曲が良好になる。そのため、高速で良好な画像再現が可能となる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づき本発明の光走査装置について詳細に説明する。
【0013】
まず、本発明の光走査装置の実施例について説明する。図1は本実施例の光走査装置の構成を示す平面図、図2はその側面図、図3はその主要部の斜視図、図4はその主要部の側面図である。以下、本発明では、光学系の任意の位置において、その位置における光学系の光軸を含み偏向器である回転多面鏡4の回転軸41に平行な面を副走査面と定義し、光軸を含み副走査面に垂直な面を主走査面と定義する。さらに、主走査面内において、光軸に垂直な方向を主走査方向と定義し、また、副走査面内において、光軸に垂直な方向を副走査方向と定義する。
【0014】
光源としての半導体レーザー1から射出した光ビームは、第1整形レンズ2、第1アパーチャ61(図5)、第2整形レンズ3、第2アパーチャ62(図5)を透過して整形され、偏向器としての回転多面鏡4の第1反射面5に入射し、1度目の偏向がなされる。このとき、光ビームは、回転多面鏡4の回転軸41に垂直な面に対して角度を持って第1反射面5に入射するため、入射する光ビームと反射された光ビームは干渉しない。第1反射面5で反射された光ビームは、第1伝達レンズ7を透過して第1伝達ミラー10で反射され、第2伝達レンズ11、第3伝達レンズ12を透過して第2伝達ミラー13で反射され、再び回転多面鏡4の第2反射面6に入射し、2度目の偏向がなされる。このときも、光ビームは、回転多面鏡4の回転軸41に垂直な面に対して角度を持って第2反射面6に入射するため、入射する光ビームと反射された光ビームは干渉しない。
【0015】
第2反射面6で反射された光ビームは、第1走査レンズ14、第2走査レンズ15及び第3走査レンズ16により被走査面17上に光ビームスポットとして結像されて走査される。回転多面鏡4の面数は12面(偶数)である。第3走査レンズ16は、副走査方向に偏心しており、その方向は図2中の矢印の方向である。第3走査レンズ16をこのように偏心させる理由は、回転多面鏡4の第2反射面6で反射され偏向される光ビームは円錐状の軌跡を描き、その光ビームの断面の座標系が偏向角に依存して回転してしまい、被走査面17上の結像スポットの形状が崩れてしまうが、第3走査レンズ16をこのように偏心させることにより、その崩れが防止できるからである。
【0016】
ところで、半導体レーザー1から第1反射面5までの間の光学系を整形光学系21、第1反射面5から第2反射面6の間の光学系を伝達光学系22、第2反射面6から被走査面17までの間の光学系を走査光学系23と称するとすると、回転多面鏡4の第1反射面5と第2反射面6は回転軸41を挟んで対向する相互に平行な反射面であり、かつ、整形光学系21、伝達光学系22、走査光学系23の光軸は回転軸41を含む共通の副走査面内に配置されている。したがって、この光走査装置は、2度入射で斜め入射でありながら、この副走査面に関して対称な構成になっている。このような配置にすると、整形光学系21、伝達光学系22、走査光学系23の光軸が主走査面で見て一直線上に配置されるので、構造上の主走査方向の基準面が1面に集約され、光学系を構成する各要素を高精度に配置することができる。また、主走査面で見て、伝達光学系22の光軸が整形光学系21及び走査光学系23の光軸と一部重なるため、少ないスペースで配置でき、光走査装置の設置面積の減少、装置の小型化が図れる。そして、このような配置により、回転多面鏡4の回転軸41の偏心に基づく走査線の副走査方向での位置変動を防止することができる。
【0017】
図5に、整形光学系21の主走査方向の光路図(a)と副走査方向の光路図(b)を示す。主走査面に垂直で副走査面に平行な接合面を備えカバーガラスを有する半導体レーザー1から副走査方向に比べて主走査方向により広がるように射出された光ビームbは、非球面レンズの第1整形レンズ2により集束する光ビームに変換され、第1整形レンズ2の射出面位置に配置された矩形開口の第1アパーチャ61によって副走査方向周辺部のみが遮蔽される。第2整形レンズ3は主走査方向にのみ負屈折力を有する負シリンドリカルレンズである。そのため、第2整形レンズ3を透過した光ビームは、主走査面において平行な光ビームに変換され、第2アパーチャ62によって主走査方向周辺部のみが遮蔽されて第1反射面5に入射し、副走査面においては第1反射面5近傍に結像(集束)する。
【0018】
図6に、伝達光学系22の主走査方向の光路図(a)と副走査方向の光路図(b)を示す。第1伝達レンズ7は主走査方向にのみ屈折力を有する非円筒面シリンドリカルレンズである。また、第2伝達レンズ11は副走査方向にのみ正屈折力を有する正シリンドリカルレンズであり、第3伝達レンズ12は正屈折力を有する球面レンズである。そして、これらの作用は、第1反射面5で反射された光ビームは、主走査面において、第1伝達レンズ7により一旦結像する。第1伝達レンズ7の像側焦点71と第3伝達レンズ12の物体側焦点は一致し、主走査面においてアフォーカル光学系を構成している。したがって、主走査面において、第1伝達レンズ7がアフォーカル光学系の前群を構成し、第3伝達レンズ12がアフォーカル光学系の後群を構成している。そのため、光ビームは、第3伝達レンズ12で主走査面内で再び平行な光ビームに変換され、第2反射面6に入射する。副走査面においては、第2伝達レンズ11と第3伝達レンズ12の合成正屈折力により、第1反射面5と第2反射面6とは共役関係になっており、第1反射面5近傍の集束点を第2反射面6近傍に再び結像する。
【0019】
図7に、走査光学系23の主走査方向の光路図(a)と副走査方向の光路図(b)を示す。第1走査レンズ14は正屈折力を有する球面レンズである。第2走査レンズ15は副走査方向にのみ屈折作用を有するプリズムであり、第3走査レンズ16は樹脂製の主走査方向に長い長尺レンズである。第3走査レンズ16の入射面は、主走査方向に曲率半径の大きな凹形状となっており、副走査面方向には曲率半径の小さな凸形状となっており、主走査方向の断面曲線をその入射面よりも被走査面17側に位置する主走査方向に平行な軸の回りに回転させることにより形成される面である。このような面は鞍型トーリック面とも呼ばれる。また、第3走査レンズ16の射出面は、光軸周りに回転対称な非球面である。このような構成の走査光学系23は、副走査面において、第2反射面6と被走査面17を共役関係にして、第2反射面6近傍の集束点を被走査面17近傍に結像する。また、主走査面においては、第2反射面6から反射された平行な光ビームを被走査面17近傍に結像する。
【0020】
次に、伝達光学系22の作用について説明する。図8は伝達光学系22の主走査面の断面展開図である。第2伝達レンズ11は主走査方向の屈折力を持たないため、図示していない。図8(a)と(b)に回転多面鏡4が回転するときの光ビームの状態を示す。ところで、図1〜図4等に示すように、伝達光学系22の光路は、伝達ミラー10、13により2回反射される。すなわち、偶数回反射される。図8では、これらの偶数回の反射について展開しているので、図8(b)のように、第1反射面5と第2反射面6の回転方向は同じである。
【0021】
第1反射面5に入射する平行な光ビームの直径はwi である。伝達光学系22は主走査面内ではアフォーカル光学系を構成しているので、第2反射面6に入射する光ビームも平行であり、光ビームの直径はwo である。第1伝達レンズ7の焦点距離をf1 、第3伝達レンズ12の焦点距離をf2 とすると、wo をwi で除した光ビームの直径の比の値は、f2 をf1 で除した値に等しい。
【0022】
図8(b)に示すように、回転多面鏡4が角度θ1 だけ回転すると、第1反射面5で光ビームは角度2θ1 だけ偏向される。偏向された光ビームは第1伝達レンズ7、第3伝達レンズ12を透過して、角度θ2 だけ偏向される。この光ビームは点Qで光軸と交差する。第2反射面6上において、偏向された光ビームと光軸との距離はdであるが、回転多面鏡4が角度θ1 だけ回転すると、第2反射面6も同じ距離dだけ移動するような位置関係に設定される。したがって、光ビームの移動量と第2反射面6の移動量が一致し、第2反射面6から光ビームがはみ出すことはない。
【0023】
このとき、偏向された光ビームは、第2反射面6に対して角度θ2 だけ入射角が増大する側に偏向されるので、第2反射面6で反射された光ビームの走査角θs は、θs =2θ1 +θ2 と表わされる。
【0024】
本実施例の伝達光学系22は主走査面においてアフォーカル光学系であるので、その光学倍率βは焦点距離f2 を焦点距離f1 で除した値であり、上記のように、光ビームの直径の比wo /wi にも等しい。また、伝達光学系22を透過する光ビームは角度2θ1 から角度θ2 に偏向角が変化するので、光学倍率βは2θ1 /θ2 と表すこともできる。したがって、光学倍率βは次式で表される。
【0025】
β=wo /wi =f2 /f1 =2θ1 /θ2
本実施例のような回転多面鏡4で光ビームが2度の偏向をされる光走査装置は、従来の1度しか偏向されない光走査装置に比べて、走査速度を速くすることができる。このことについて次に説明する。
【0026】
従来の1度しか偏向しない光走査装置では、回転多面鏡が回転すると反射面が移動するため、1回の走査において常に光ビーム全体を同一反射面に入れるために、回転多面鏡に入射する光ビームの主走査方向の大きさよりも、反射面の大きさを大きくしなければならない。したがって、回転多面鏡の反射面の面数をあまり多くすることができない。
【0027】
本実施例では、主走査面において、第1反射面5に平行な光ビームが入射する。また、β>1であるため、第1反射面5上における光ビームの主走査方向の直径wi は、第2反射面6上における光ビームの主走査方向の直径wo よりも小さい。そのため、従来の光走査装置に対して第1反射面5の大きさが小さくても、1回の走査において常に光ビーム全体を同一反射面に入れることができる。wi を小さくすればする程、さらに第1反射面5の大きさを小さくすることができる。また、2度目の偏向では、回転多面鏡4が回転したときの光ビームの移動量と第2反射面6の移動量が一致するため、第2反射面6の主走査方向の大きさは、少なくとも入射する光ビームの大きさと同じ大きさだけあればよい。
【0028】
したがって、従来の1度しか偏向しない光走査装置に比べて、本実施例の2度の偏向をする光走査装置では、第2反射面6上における光ビームの主走査方向の直径wo に対して、第1反射面5上における光ビームの主走査方向の直径wi を小さくすることにより、回転多面鏡4の反射面を小さくすることができるため、反射面の面数を多くすることができ、それだけ走査速度を上げることができる。
【0029】
このように構成された光走査装置の具体的な第1実施例の数値例を表−1に示す。この表−1では、シリンドリカル面、トーリック面は副走査方向、主走査方向の曲率半径をrix、riyとしている(iは光源1から被走査面17までの面番号を示す。)。また、非球面である面については、曲率半径は光軸上の値を示している。なお、長さの単位はmmである。
Figure 0003680921
Figure 0003680921
注)Si :面番号iの面、
i :面番号iの曲率半径、
i :面番号iとi+1の間の面間隔、
i :面番号iとi+1の間の媒体の波長780nmの屈折率である。
【0030】
第1整形レンズ2、第1伝達レンズ7及び第3走査レンズ16の非球面を表す式は、
Figure 0003680921
であり、その非球面係数を次の表−2に示す。ただし、Kは上記式中のKi で定義されるコーニック係数である。
Figure 0003680921
注)S4 :面番号4の非球面係数、
8y:面番号8の主走査方向の非球面係数、
22:面番号22の非球面係数である。
【0031】
この具体例において、第3走査レンズ16の入射面S21は、r21y =−1038.19726の円弧をr21x =37.59661で回転させて形成されるトーリック面である。なお、第2走査レンズ15で光路が屈折されるが、表−1のパラメータの基準となる光軸も屈折されるものとする。
【0032】
また、回転多面鏡4の面数は12、その内接円直径は38.64mmであり、回転多面鏡4の第1反射面5、第2反射面6への光ビームの副走査方向の入射角は何れも6°であり、第1伝達ミラー10、第2伝達ミラー13への光ビームの副走査方向の入射角は何れも3°である。また、第2走査レンズ15の射出面S20は副走査断面において12.076526°傾いており、第3走査レンズ16の入射面S21は副走査断面において8.609610°傾いている。これらの傾き角の向きについては、図2において、それぞれ時計回り、反時計回りである。第3走査レンズ16の射出面は、図2において下方に0.2mm偏心している。
【0033】
また、第1整形レンズ2の射出面直後に、主走査方向4mm、副走査方向1.64mmの矩形の第1アパーチャ61が配置されており、第2整形レンズ3の射出面の後方53.3mmの位置に、主走査方向1mm、副走査方向4mmの矩形の第2アパーチャ62が配置されている。そして、副走査方向において、発光点1と回転多面鏡4の第1反射面5は幾何光学的共役関係から外れている。ただし、回転多面鏡4の第1反射面5、第2反射面6、被走査面17の3面は、何れも互いに共役関係にあるため、回転多面鏡4の面倒れ補正が行われている。したがって、発光点1と被走査面17は共役関係から外れている。しかしながら、回折の影響により、光ビームが最小となる位置(ビームウエスト)は幾何光学的結像点からずれた位置にあり、光ビームが略最小となる位置(ビームウエスト)に被走査面17が配置されている。
【0034】
ここで、第2走査レンズ15は、前記したように、副走査方向にのみ屈折作用を有するプリズムである。このプリズムの作用について説明する。回転多面鏡4の反射面6で反射され偏向された光ビームは円錐状の軌跡を描き、第2走査レンズ15のプリズムを配置しない場合、第3走査レンズ16の長尺レンズ上で湾曲したビーム軌跡となってしまう。このプリズム16は、図9に模式的に示すように、円錐状の光ビームaの軌跡を第3走査レンズ16の入射面上で直線状のビーム軌跡Aに変換する作用を有している。
【0035】
図10は、上記の具体例の第3走査レンズ16の入射面におけるビーム軌跡を示した図であり、そのビーム軌跡を実線で示す。なお、図のY方向が主走査方向、X方向が副走査方向を示す。比較のために、上記具体例の光学系の回転多面鏡4の第2反射面6から第3走査レンズ16までの距離は変えずに、第2走査レンズ15のみを取り除いた場合の、第3走査レンズ16の入射面におけるビームの軌跡を破線で示す。図10より、第2走査レンズ15のプリズム作用によりビームの軌跡を直線状に補正する作用があることが分かる。
【0036】
図11は、第3走査レンズ16の副走査断面を主走査方向の数か所(5か所)の位置で示したもので、断面形状の設計値に対する測定値の誤差を示したものである。図中、X、Y、Zはそれぞれ副走査方向、主走査方向、光軸方向とする。図11のように、第3走査レンズ16のような鞍型トーリック面を持つレンズの形状誤差は、主走査方向の位置によらず略同じ様子を示すが、副走査方向に周期的に変化する特徴がある。上記のように、第2走査レンズ15のプリズム作用により、第3走査レンズ16上のビーム軌跡は直線Aとなり、ビームは主走査方向の位置に係わらず点B1 〜B5 の常に形状誤差が凸の部分に入射する。主走査方向の何れの位置においても、第3走査レンズ16の形状誤差が凸の部分に光ビームが入射すると、副走査方向の結像位置は設計された位置より手前にずれるが、走査領域全体にわたって常に同一量だけ手前にずれるため、第3走査レンズ16の位置を調整する等、光学系の調整をすれば補正することが可能であり、このような調整により像面湾曲は生じない。
【0037】
さて、ここで、伝達光学系22に要求される特性について説明すると、主走査方向では面追従特性と平行性の2つ、副走査方向では像面湾曲特性の1つである。
【0038】
主走査方向の面追従特性とは、図8を用いて説明したように、回転多面鏡4が回転したときに第2反射面6の移動量と第2反射面6に入射する光ビームの移動量とが一致することである。また、主走査方向の平行性とは、伝達光学系22から射出される光ビームの平行性が走査している間常に維持されることである。副走査方向の像面湾曲特性とは、第2反射面6での像面湾曲、すなわち、副走査方向における第2反射面6近傍の結像点による像面湾曲のことである。
【0039】
伝達光学系22の主走査方向の平行性については、ディオプターで評価することができる。ディオプターとは、第2反射面6に入射する光ビームの主走査方向の第2反射面6から結像点までの距離をm単位で表したものの逆数であり、伝達光学系22から射出した光ビームが主走査方向で集束していると正の値、発散していると負の値となる。
【0040】
上記実施例の伝達光学系22の主走査方向のディオプターは、図12に示したように、光軸から離れるに従い負方向に減少しており、光軸近傍で正のディオプター方向に対して凸に湾曲しており、光ビームは発散する方向へ向かう傾向にある。光軸近傍でディオプターを凸に湾曲させるためには、第1伝達レンズ7の凸面非球面(上記実施例では入射側の面)のコーニヅク係数Kを、K<−1とすればよい。K<−1であれば、その凸面非球面は凸の双曲面となり、光軸から離れるに従って正の屈折力が弱くなり、伝達光学系22の主走査方向のディオプターは光軸近傍で凸に湾曲した形状になる。
【0041】
ところで、走査光学系23は、第1走査レンズ14である前群と、第3走査レンズ16である後群に分けられる。ここで、プリズムである第2走査レンズ15はレンズとしての機能はないので除いてある。走査光学系23を前群と後群に分ける基準は、第2反射面6と被走査面17の中間点を境にしてその第2反射面6側のレンズ群を前群、その被走査面17側のレンズ群を後群とする。走査光学系23の後群は被走査面17に近いため大口径のレンズとなるので、主走査方向において強いパワーを持たせるとレンズが厚くなりすぎるため、強いパワーを持たせることができない。したがって、走査光学系23の主走査方向の正のパワーは、主に前群が担うことになる。上記の実施例のように、前群が正のパワーを有する単レンズ(第1走査レンズ14)であると、主走査方向の像面湾曲が光軸近傍で凸となり(ペッツバール和が負であるため)、上記実施例の走査光学系23だけの主走査方向の像面湾曲は図13のA(破線)のようになる。この像面湾曲は、走査光学系23に伝達光学系22から入射する光ビームの主光線の位置と角度は実際と同じにし、完全に平行な光ビームが走査光学系23に入射するものとして求めた像面湾曲である。
【0042】
図12に示したように、伝達光学系22の主走査方向のディオプターが光軸近傍で凸に湾曲していることと、図13に示したように、走査光学系23の像面湾曲が光軸近傍で凸であることとは、互いに逆の性質であるので、全光学系の像面湾曲としては相互にキャンセルし合い、図13にB(実線)で示した像面湾曲となり、A(破線)に比べて変動幅が小さくなる。Aの変動幅1.7mmに対し、Bの変動幅は1.6mmと小さくなっている。なお、被走査面17は幾何光学的にはこの変動幅内に配置すると良好な走査画像を形成することができるが、実際には、前記のように光ビームが略最小となるビームウエストの位置に被走査面17を配置しれいる。
【0043】
このように、本発明においては、主走査方向において、伝達光学系22は少なくとも光軸近傍において正のディオプター方向に対して凸に湾曲したディオプターを有し、走査光学系23は少なくとも光軸近傍において光の進行方向に対して凸の像面湾曲を有するようにして、像面湾曲に関して伝達光学系22と走査光学系23とが互いに逆の特性を持つようにして、光学系全体の像面湾曲が相互に打ち消し合って、全光学系の主走査方向の像面湾曲が良好になるようにしている。
【0044】
なお、以上の実施例では、偏向器として回転多面鏡を使用するものについて説明したが、偏向器として回転多面鏡の他に、回転2面鏡の場合にも同様の効果を達成することができる。
【0045】
以上、本発明の光走査装置を実施例に基づいて説明してきたが、本発明はこれらに限定されず、種々の変形が可能である。
【0046】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明の光走査装置によれば、伝達光学系は主走査方向の少なくとも光軸近傍において正のディオプター方向に対して凸に湾曲したディオプターを有し、走査光学系は主走査方向の少なくとも光軸近傍において光の進行方向に対して凸の像面湾曲を有しているので、像面湾曲に関して伝達光学系と走査光学系とは互いに逆の特性を持つことになり、光学系全体の像面湾曲は相互に打ち消し合って、全光学系の主走査方向の像面湾曲が良好になる。そのため、高速で良好な画像再現が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光走査装置の1実施例の構成を示す平面図である。
【図2】図1の光走査装置の側面図である。
【図3】図1の光走査装置の主要部の斜視図である。
【図4】図1の光走査装置の主要部の側面図である。
【図5】図1の光走査装置の整形光学系の主走査方向と副走査方向の光路図である。
【図6】図1の光走査装置の伝達光学系の主走査方向と副走査方向の光路図である。
【図7】図1の光走査装置の走査光学系の主走査方向と副走査方向の光路図である。
【図8】伝達光学系の作用を説明するための主走査面の断面展開図である。
【図9】屈折プリズムの補正作用を説明するための図である。
【図10】本発明の1つの具体例の第3走査レンズの入射面におけるビーム軌跡を示した図である。
【図11】本発明の1つの具体例において第3走査レンズの形状誤差によって像面湾曲が発生しない理由を説明するための図である。
【図12】本発明の1実施例の伝達光学系による主走査方向のディオプターを示すグラフである。
【図13】本発明の1実施例の走査光学系のみの像面湾曲と、伝達光学系と走査光学系の組み合わせによる像面湾曲とを示すグラフである。
【符号の説明】
1…半導体レーザー(光源)
2…第1整形レンズ
3…第2整形レンズ
4…回転多面鏡
5…回転多面鏡の第1反射面
6…回転多面鏡の第2反射面
7…第1伝達レンズ
10…第1伝達ミラー(伝達光学系の前群)
11…第2伝達レンズ
12…第3伝達レンズ(伝達光学系の後群)
13…第2伝達ミラー
14…第1走査レンズ(走査光学系の前群)
15…第2走査レンズ(プリズム)
16…第3走査レンズ(走査光学系の後群)
17…被走査面
21…整形光学系
22…伝達光学系
23…走査光学系
41…回転軸
61…第1アパーチャ
62…第2アパーチャ
71…第1伝達レンズの像側焦点
b…光ビーム

Claims (5)

  1. 光ビームを発生する光源と、前記光源からの光ビームを反射偏向させる複数の反射面を有する偏向器と、前記偏向器の第1反射面により反射偏向された少なくとも主走査方向において平行な光ビームを前記偏向器の第2反射面に伝達入射させる主走査方向においてアフォーカル光学系である伝達光学系と、前記偏向器の前記第2反射面により反射偏向された光ビームを被走査面上にビームスポットを形成させて走査させる走査光学系とを備えた光走査装置において、
    前記伝達光学系は主走査方向の少なくとも光軸近傍において、横軸にディオプターの値を縦軸に走査角をとったとき、正のディオプター方向に対して凸に湾曲したディオプターを有し、前記走査光学系は主走査方向の少なくとも光軸近傍において光の進行方向に対して凸の像面湾曲を有していることを特徴とする光走査装置。
  2. 前記伝達光学系の前群が主走査方向において少なくとも1面が非球面(非円弧面)の単レンズからなることを特徴とする請求項1記載の光走査装置。
  3. 前記単レンズの入射側の面が主走査方向において非球面(非円弧面)であることを特徴とする請求項2記載の光走査装置。
  4. 前記伝達光学系の前記単レンズの非球面(非円弧面)のコーニック係数KがK<−1であることを特徴とする請求項2又は3記載の光走査装置。
  5. 前記走査光学系の前群が単レンズからなることを特徴とする請求項1から3の何れか1項記載の光走査装置。
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