JP3680485B2 - ラピットスタート型蛍光ランプおよび照明装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はラピットスタート型蛍光ランプおよび照明装置に係り、さらに詳しくは高い光束維持率を呈するラピットスタート型蛍光ランプ、およびこのラピットスタート型蛍光ランプを光源とする照明装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
周知のように、蛍光ランプは、内壁面に蛍光層が設けられた透光性ガラス管内に、水銀および1種または2種以上の希ガスを含む混合ガスが充填され、この混合ガス中で陽光柱放電が生ずるように構成されている。そして、上記放電は、通常、2つのフィラメント電極を経て,電気エネルギーを混合ガスに供給することによって保たれる。この放電によって、主に紫外線が発生し、その大半は185nm と254nm の波長を有しており、185/254 の強度比率は通常 0.2〜0.4 である。この紫外線は、ガラス管内壁面に形成された蛍光層によって、長い波長の放射に変換される。この波長は蛍光層に含まれる蛍光体粒子の種類に依存し、近紫外〜可視〜近赤外までのものが得られている。
【0003】
一方、いかなるときでも、容易に放電を開始できるように、始動電圧(Vs)を低くするラピットスタート型蛍光ランプが知られている。すなわち、電源投入後すぐに点灯するとともに、点灯管が不要であるなどの利点から、ラピットスタート型蛍光ランプは、オフィスなどで広く使用されている。なかでも、発光管を成すガラス管の内壁面(蛍光層の下地)に、その軸方向に透明(透光)な導電性膜などを配設し、これを始動電極とすることによって、始動電圧を低くしたラピットスタート型蛍光ランプは、構成が簡略で、量産的であることから普及している。 この種のラピットスタート型蛍光ランプの場合は、電源を投入すると、一方のフィラメント(放電電極)に接続する始動電極膜(透明性の導電膜)が、その始動電極が近接する他方のフィラメント(放電電極)との間でグロー放電を開始市、その後、両フィラメント(放電電極)間のアーク放電に移行して、所要の明るさが得られる。しかし、この種のラピットスタート型蛍光ランプは、点灯中に付着した水銀が始動電極膜との間で絶縁破壊を起こしたり、あるいはこのとき生じた水銀化合物や付着した水銀が黒い斑点状の外観不良(EC黒化)を招来する。
【0004】
この対策として、前記始動電極膜の抵抗値を高くしたり、蛍光層にAl2 O 3 などの微粒子を混在させて、蛍光層の耐電圧を高めることが知られている。ここで、始動電極膜の抵抗値を高くする手段の場合は、ガラス管の長さ方向中央部の抵抗値を低めにする一方、両端側の抵抗値を高めにして、始動電圧との両立を図っている。そして、このように抵抗値が調整された始動電極膜の形成においては、たとえば SnO2 膜を CVD方式で形成する場合、形成時のガラス管の温度とベーパーの流速とによって、形成される SnO2 膜の抵抗値が変化し、特に両端側の高抵抗値の部分における抵抗値の安定性に問題がある。この高抵抗値部分の抵抗値が高過ぎても、あるいは SnO2 膜の形成が不十分であると、始動電圧が高くなり過ぎて、電源投入後すぐに点灯するという特長が損なわれる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記問題に対する改良策として、 SnO2 微粒子をコロイド状に分散させた液を、ガラス管内壁面に流し塗り・焼成して、高抵抗の下地層を形成した後、 CVD方式によって SnO2 膜を形成することが試みられている。この方式の場合は、下地層の介在により、ガラス管全体に、最低限の導電性が確保されることになるため、前記始動電圧が高くなり過ぎて、電源投入後すぐに点灯できる特長が損なわれる恐れが解消される。
【0006】
しかし、なお、実用上次のような問題がある。すなわち、 SnO2 微粒子の下塗り(下地層化)によって、この下地層面上における成膜状態が変化し、抵抗分布、 SnO2 膜の膜質などが、従来の下地層を介挿しなかった場合に比べて劣化する傾向があり、また、蛍光ランプの光束(明るさ)が低下する傾向がある。
【0007】
本発明は、上記事情に対してなされたもので、良好な始動性を有するとともに、黒化なども抑制されて高い光束を維持する一方、蛍光ランプの寿命末期まですぐれた美観を保持するラピットスタート型蛍光ランプ、および照明装置の提供を目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、水銀および希ガスを含む封入ガスが充填された光透過性ガラス管と;前記ガラス管の内壁面に形成された透明導電膜と;前記透明導電膜を含むガラス管内壁面に設けられた蛍光体粒子を含む蛍光層と;前記封入ガス中で陽光柱放電を維持するための手段と;を具備するラピットスタート型蛍光ランプにおいて、前記蛍光層は、金属塩溶液に前記蛍光体粒子を分散・懸濁させた状態で酸を滴下させることで表面に金属酸化物微粒子を均質に付着させて形成された厚さ 1〜 400nmの保護膜が設けられた蛍光体粒子を含んでいることを特徴とするラピットスタート型蛍光ランプである。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1記載のラピットスタート型蛍光ランプにおいて、蛍光体粒子は保護膜の被覆率が30%以上であることを特徴とする。
【0011】
請求項3の発明は、請求項1または請求項2記載のラピットスタート型蛍光ランプにおいて、蛍光体粒子がアルカリ金属およびアルカリ土類金属の少なくとも1種を含む蛍光体であることを特徴とする。
【0012】
請求項4の発明は、請求項1ないし請求項3いずれか一記載のラピットスタート型蛍光ランプにおいて、保護膜はAl2 O 3 , Y2 O 3 の少なくともいずれか1種の酸化物であることを特徴とする。
【0013】
上記発明において、蛍光ランプの基本的な構成は、通常の場合と変わらず、たとえば発光管を成す光透過性ガラス管は、一般的に、直管であるが、U字型など曲管型であってもよいし、透明導電膜もガラス管の内壁面(蛍光層の下地)に配設されている。なお、透明導電膜の配設は、ガラス管内からの発光放射に支障がないように、細い帯状ないし線状が好ましい。ここで、 SnO2 などの透明性導電体を使用する場合、たとえば還元性ガス( H2 ,COなど)、有機溶媒、 H2 O (水蒸気)などで処理し、OH基を吸着などさせておくと、導電体の安定性などを向上させることができる。
【0014】
また、前記ガラス管の内壁面に設けられた蛍光層は、次のような蛍光体粒子を含む塗料の塗布焼き付けで形成される。この種の蛍光体としては、たとえばBaMg2 Al16O 27Eu2+、Sr10(PO4 )6 Cl2 :Eu2+、(Sr,Ca)10(PO4 )6 Cl2 :Eu2+、(Sr,Ca,Ba)10(PO4 )6 Cl2 :Eu2+、(Ba,Ca,Mg)10(PO4 )6 Cl2 :Eu2+などの 2価のユーロピウム付活青色蛍光体;La2 O 3 ・0.2SiO2 ・0.9P2 O 5 :Ce,Tb 、LaPO4 :Ce,Tb、 Y2 SiO5 :Ce,Tb、CeMgAl11 O19:Tb 、Zn2 SiO4 :Mn などの緑色蛍光体; Y2 O 3 :Eu3+、 YVO4 :Eu3+、 Y(P,V)O4 :Eu3+、 Y2 O 2 S:Eu3+などの 3価のユーロピウム付活赤色蛍光体、その他の希土類蛍光体などが例示される。
【0015】
さらに、前記蛍光体粒子の表面を被覆する保護膜は、たとえばAl2 O3 など周期率表3B属の金属酸化物、 Y2 O3 などの周期率表3A属の金属酸化、 MgO, CaO, SrO, BaOなど周期率表2A属の金属酸化物、 ZnOなど周期率表2B属の金属酸化物、 SiO2 など周期率表3B属の金属酸化物、La2 O3 ,Gd2 O3 ,Dy2 O3 などランタノイドの酸化物、Ca2 P 2 O 7 ,Sr2 P 2 O 7 ,Ba2 P 2 O 7 などのアルカリ土類金属化合物が挙げられ、なかでもAl2 O3 および Y2 O3 が好ましく、また、これらは1種もしくは2種以上の混合系であってもよい。しかし、いずれの場合も、被覆する膜厚は、 1〜 400nmの範囲内で選択する必要がある。つまり、被覆する膜厚が 1nm未満では蛍光層の黒化を防止する効果がなく、また、被覆する膜厚が 400nmを超える蛍光層の発光効率の低下が起こるからである。
【0016】
ここで、この蛍光体粒子表面を保護膜で被覆する際には、前記保護膜を形成する酸化物化する金属塩類、たとえばAlや Yなどの塩類の溶液もしくは懸濁液を用い、これに蛍光体粒子を分散・懸濁させた状態で酢酸などの酸を滴下し、Alや Yの酸化物微粒子を蛍光体粒子表面に沈積(均質沈降法ないし共沈法)させる。また、保護膜の性状は、一般的な意味での膜ないし層でもよいが、微粒子の整列的な集合による膜状ないし層状でもよい。そして、この保護膜の蛍光体粒子表面の被覆率は、30%以上であることが望ましい。なお、保護膜の被覆率は、蛍光体粒子表面を定量分析で測定したときの値である。
【0024】
請求項5の発明は、上記請求項1ないし請求項4いずれか一記載のラピットスタート型蛍光ランプと;前記ラピットスタート型蛍光ランプを装着点灯する照明器具と;を有することを特徴とする照明装置である。
【0025】
ここで、照明器具は吊り下げ型、天井あるいは壁固定型など、通常使用されている照明器具ならいずれでもよく、また、形式はラピットスタート型蛍光ランプの形状・規格などに対応して選ばれる。
【0026】
請求項1および請求項2の発明では、蛍光層が表面に厚さ 1〜 400nmの保護膜が設けられた蛍光体粒子を含有する構成と成っているため、所要の点灯始動が行われる一方、点灯時における蛍光層の黒化発生なども抑制されるため、長期間に亘って安定した光束を維持するラピットスタート型蛍光ランプとして機能する。また、蛍光層中の蛍光体粒子の保護膜が上記方法で形成されているため、上記作用効果がさらに助長される。
【0027】
請求項3の発明では、蛍光体粒子が黒化など発生し易いアルカリ金属、アルカリ土類金属を含む蛍光体であるため、上記の作用効果がさらに促進・助長される。 請求項4の発明では、蛍光体粒子表面の保護膜がはAl2 O 3 、 Y2 O 3 で形成されているため、蛍光層中における蛍光体粒子の黒化などが、より効果的に抑制される。
【0032】
請求項5の発明では、上記ラピットスタート型蛍光ランプを光源としているため、始動立上がりが良好で、かつ高い光束を維持する照明が得られる。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下、図1〜図8を参照して発明の実施形態例を説明する。
【0034】
第1の実施形態
図1 (a), (b)は、直管形のラピットスタート型蛍光ランプの要部構成を示すもので、 (a)は一部切り欠き斜視図、 (b)は縦断面図である。図1 (a), (b)において、1は水銀および希ガスを含む封入ガスが充填された光透過性ガラス管、2は前記ガラス管1の内壁面に軸方向に延設され始動電極膜である。ここで、始動電極膜2は、たとえば SnO2 から成る帯状の透光性の導電性膜で、ガラス管1内にあって、封入ガス中で陽光柱放電を維持する一方の手段(フィラメント)3a側に電気的に接続し、先端が他方の手段(フィラメント)3b近くまで延設されている。
【0035】
また、4は前記始動電極膜2を含むガラス管1内壁面に設けられた蛍光体粒子を含む蛍光層であり、この蛍光層4は、表面に厚さ 1〜 400nmの保護膜が設けられた蛍光体粒子含む蛍光体粒子およびバインダ成分で形成されている。ここで、蛍光層4中の蛍光体粒子は、粒径 1〜20μm 程度の、たとえばハロリン酸カルシウム系の蛍光体粒子を主体とし、かつその蛍光体粒子表面には、均質沈殿法(もしくは共沈法)によって厚さ 1〜 400nm程度のAl2 O 3 が保護膜として、ほぼ全面的(付着量 2重量%)に被覆されている。なお、5a,5bは一対の端子ピン6a,6bを導出した口金である。
【0036】
上記構成のラピットスタート型蛍光ランプを、対応する照明器具に装着して、点灯時間と蛍光層4に発生する黒化を、標準値が予め設定されている一般的な黒化度合表示法で試験評価を行ったところ、図2に、曲線Aで示すような傾向が確認された。すなわち、図3に側面的に示すように、点灯回路7aを内蔵し、かつ直管形のラピットスタート型蛍光ランプを装着する一対の端子部7bを有する蛍光ランプ器具7に、前記ラピットスタート型蛍光ランプ8を取り付けて点灯操作を行った。
【0037】
この点灯試験において、始動電極膜2の介在によっ、速やかに、所定の放電点灯が行われるとともに、点灯 10000時間後での黒化度合は 8点であり、蛍光層4の黒化が抑制され、すぐれた光束維持率を呈することが認められた。
【0038】
比較のため、上記ラピットスタート型蛍光ランプの構成において、表面を保護膜で被覆処理しなかった蛍光体粒子を用いた他は、同一の条件で構成したラピットスタート型蛍光ランプ(比較例1)の点灯特性を同様に試験評価した結果を、図2に曲線aで示した。比較例1の場合は、点灯 10000時間後での黒化度合は 4点であり、蛍光層4の黒化抑制が不十分で、大幅な光束維持率の低下が認められた。
【0039】
なお、上記実施形態例において、前記粒径 1〜20μm 程度のハロリン酸カルシウム蛍光体粒子に、粒径0.0001〜 0.1μm のハロリン酸カルシウム蛍光体粒子(微粒子)を重量比(外率)で 5%添加した場合は、蛍光層4における蛍光体粒子の充填密度が向上し、黒化が抑制されることが確認された。また、ハロリン酸カルシウム蛍光体粒子(微粒子)の代りに、γ−Al2 O 3 微粒子やγ−Al2 O 3 とα−Al2 O 3 との混合微粒子を蛍光層4に添加した場合は、蛍光層4の黒化を抑制する効果が助長される。
【0040】
さらに、上記実施形態の製造工程において、排気工程に先だって、一旦、たとえば H2 ガス、COガス、 H2 O 、有機溶媒などを導入し、その後排気処理した場合は、始動電極膜2の安定化が図られる。すなわち、この種のラピットスタート形傾向ランプの場合、点灯中に、始動電極膜2の抵抗が低下する傾向にあるが、上記のような処理を施すと抵抗変化が抑制される。そして、この始動電極膜2の安定化は、次のような理由によると考えられる。一般的に、点灯中に SnO2 膜の酸素が低減し(自由電子が増加)、抵抗が低下するのに対して、上記処理した場合は、 SnO2 膜表面に酸素が吸着し易い状態になっており、容易に抵抗が上昇(実験的には10%程度確認)することによる考えられる。
【0041】
実施態様例2
上記、実施形態例1において、蛍光層4を形成する蛍光体として、 Y2 O 3 :Eu、(SrCaBa)5 (PO4 )3 Cl:Eu、LaPO4 :Cl,Tbの3種の混合系(3波長形蛍光体)を用いる一方、この蛍光体粒子の表面を Y2 O 3 で被覆した以外は、実施形態例1の場合と同様の条件でラピットスタート型蛍光ランプを作成した。
【0042】
上記構成のラピットスタート型蛍光ランプを、実施形態例1の場合と同様に、対応する照明器具に装着して、点灯時間と蛍光層4に発生する黒化を、標準値が予め設定されている一般的な黒化度合表示法で試験評価を行ったところ、図4に、曲線Bで示すような傾向が確認された。この点灯試験において、始動電極膜2の介在によって、速やかに、所定の放電点灯が行われるとともに、点灯 10000時間後での黒化度合は 8点であり、蛍光層4の黒化が抑制され、すぐれた光束維持率を呈することが認められた。
【0043】
比較のため、上記ラピットスタート型蛍光ランプの構成において、表面を保護膜で被覆処理しなかった蛍光体粒子を用いた他は、同一の条件で構成したラピットスタート型蛍光ランプ(比較例2)の点灯特性を同様に試験評価した結果を、図4に曲線bで示した。比較例2の場合は、点灯 10000時間後での黒化度合は 5点であり、蛍光層4の黒化抑制が不十分で、大幅な光束維持率の低下が認められた。
【0044】
なお、上記実施形態例において、前記3波長形蛍光体粒子に、粒径0.0001〜 0.1μm の3波長形蛍光体粒子(微粒子)を重量比(外率)で 5%添加した場合は、蛍光層4における蛍光体粒子の充填密度が向上し、黒化が抑制されることが確認された。
【0045】
実施形態例3
図5 (a), (b)は、直管形のラピットスタート型蛍光ランプの要部構成を示すもので、 (a)は縦断面図、 (b)は一部拡大断面図である。図5 (a), (b)において、1は水銀および希ガスを含む封入ガスが充填された光透過性ガラス管、2は前記ガラス管1の内壁面に軸方向に延設され始動電極膜である。ここで、始動電極膜2は、たとえば SnO2 から成る帯状の透光性の導電性膜で、ガラス管1内にあって、封入ガス中で陽光柱放電を維持する一方の手段(フィラメント)3a側に電気的に接続し、先端が他方の手段(フィラメント)3b近くまで延設されている。 また、9は前記始動電極膜2を含むガラス管1の内壁面に設けられた保護膜、4′は前記保護膜9面上に設けられた蛍光体粒子を含む蛍光層であり、この蛍光層4′は、粒径 1〜20μm 程度の蛍光体粒子含む蛍光体粒子およびバインダ成分で形成されている。ここで、保護膜9は、たとえば厚さ 1μm 程度の TiO2 などの紫外線を吸収する膜(紫外線吸収性の膜)9aと、たとえば厚さ 1μm 程度の SiO2 やAl2 O3 などの紫外線を反射する膜(紫外線反射性の膜)9bの2層で形成されている。また、蛍光層4′中の蛍光体粒子は、たとえばハロリン酸カルシウム系の蛍光体粒子を主体としたものであり、表面をAl2 O3 などで被覆していない点で、前記実施形態例1の場合と異なっているが、全体としては、前記図1 (a)に図示したような構成となっている。
【0046】
このラピットスタート型蛍光ランプの場合は、紫外線反射性の高い膜9bで、蛍光体の発光に要する波長 254nmの紫外線を反射する一方、透過した紫外線を紫外線吸収性の高い膜9aで吸収する。すなわち、ガラス管1の着色や、ガラス管1に対する水銀のめり込みが防止されて水銀の浪費が低減されるので、結果的に高い光束が維持されるとともに、黒化の発生なども防止される。
【0047】
上記構成のラピットスタート型蛍光ランプを、実施形態例1の場合と同様に、対応する照明器具に装着して、点灯試験を行ったところ、速やかに、所定の放電点灯が行われるとともに、点灯 10000時間後での黒化度合は 8点であり、蛍光層4の黒化が抑制され、すぐれた光束維持率を呈することが認められた。
【0048】
なお、紫外線吸収性の膜9aは、 TiO2 の代りに、たとえば ZnO, ZrO2 , Y2 O 3 , ZnO− TiO2 の金属酸化物の少なくとも1種で形成しても同様である。
【0049】
図6は、他の実施形態例の要部構成を示す断面図である。すなわち、この実施形態例は、上記図5 (a), (b)に図示した構成において、ガラス管1内壁面と蛍光層4との間に介在させた保護層9が、蛍光層4側から紫外線反射性の高い膜9b、紫外線吸収性の膜9a、および紫外線反射性の膜9bの3層型としたものである。
【0050】
実施形態例4
図7は、直管形のラピットスタート型蛍光ランプ(FLR 相当品)の要部構成を示す縦断面図である。図7において、1は水銀および希ガスを含む封入ガスが充填された光透過性ガラス管、2は前記ガラス管1の内壁面に軸方向に延設され始動電極膜である。ここで、始動電極膜2は、たとえば SnO2 の微粒子から成る第1の導電層2a、および第1の導電層2aを含むガラス管1内壁面に形成された SnO2 膜である第2の導電層2bで形成されている。そして、ガラス管1内にあって、封入ガス中で陽光柱放電を維持する一方の手段(フィラメント)3a側に電気的に接続し、先端が他方の手段(フィラメント)近くまで延設されている。
【0051】
なお、前記始動電極膜2は、次のような手順で作成されたものである。すなわち、粒径0.01〜10nm程度の SnO2 の微粒子を分散・懸濁した液を用意し、この液をガラス管内壁面に、管径方向で10°幅に流し塗りした後、焼き付けて、帯状の第1の導電層2aを形成する。次いで、 CVD(Chemical Vaper Deposition) 法で、前記ガラス管内壁面全体に SnO2 膜を成膜・焼成し、前記第1の導電層2aとは一部積層した第2の導電膜2bを形成する。
【0052】
このようにして形成した始動電極膜2について、ガラス管1の軸方向(長さ方向)10cm当たりの抵抗値( KΩ)を測定した結果を図8に曲線Cで示す。なお、参考のために、 SnO2 の微粒子層の場合を曲線cで、 CVDによる SnO2 成膜の場合を曲線c′でそれぞれ示す。
【0053】
また、4′は前記始動電極膜面上に設けられた蛍光体粒子を含む蛍光層であり、この蛍光層4′は、粒径 1〜20μm 程度の蛍光体粒子含む蛍光体粒子およびバインダ成分で形成されている。ここで、蛍光層4′中の蛍光体粒子は、たとえばハロリン酸カルシウム系の蛍光体粒子を主体としたものであり、表面をAl2 O3 などで被覆していない点で、前記実施形態例1の場合と異なっているが、全体としては、前記図1 (a)に図示したような構成となっている。
【0054】
上記構成のラピットスタート型蛍光ランプは、図8に例示したように、始動電極膜2の抵抗値が両端側でも低減されているため、全長に亘って所要の導電機能を呈し、始動電圧を高めずに用意に点灯が開始される。すなわち、始動電極膜2の両端側における抵抗値が高くなり過ぎることが防止されつつ、中央部では CVDによる SnO2 成膜の場合同程度の低い抵抗を示すので、所要の始動機能を呈する。 また、蛍光ランプの点灯中、あるいは蛍光ランプの寿命末期に至るまで、蛍光層4の絶縁破壊が起こらず、かつ黒化ないし斑点状の発生も認められず、外観不良などを招来する恐れもなく、光束維持率の高い特性が確認された。
【0055】
なお、この構成例において、たとえば全長 120cmのガラス管1の場合、両端側の40〜 5cm以内の領域にのみ、第1の導電膜2aを形成した他は同様の構成とした場合も、上記と同様な作用・効果が認められた。
【0056】
本発明は、上記例示に限定されるものでなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で、いろいろの変形を採ることができる。たとえば蛍光ランプの形状、規格などは、通常のラピットスタート型蛍光ランプのいずれであってもよい。
【0057】
【発明の効果】
請求項1ないし請求項4の発明によれば、電源入れ後、ただちに点灯始動する一方、点灯時における蛍光層の黒化発生なども抑制されるため、長期間に亘って安定した光束を維持するラピットスタート型蛍光ランプが提供される。
【0060】
請求項5の発明によれば、上記ラピットスタート型蛍光ランプを光源としているため、始動立上がりが良好で、かつ高い光束を維持する照明装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施例に係るラピットスタート型蛍光ランプの要部構成を示すもので、 (a)は一部切り欠き斜視図、 (b)は縦断面図。
【図2】第1の実施例に係るラピットスタート型蛍光ランプおよび本発明外のラピットスタート型蛍光ランプの特性を比較して示す特性図。
【図3】照明装置の要部構成例を示す側面図。
【図4】第2の実施例に係るラピットスタート型蛍光ランプおよび本発明外のラピットスタート型蛍光ランプの特性を比較して示す特性図。
【図5】第3の実施例に係るラピットスタート型蛍光ランプの要部構成を示すもので、 (a)は縦断面図、 (b)は一部拡大断面図。
【図6】第3の実施例に係るラピットスタート型蛍光ランプの変形例の要部構成を示す拡大断面図。
【図7】第4の実施例に係るラピットスタート型蛍光ランプの要部構成を示す横断面図。
【図8】第4の実施例に係るラピットスタート型蛍光ランプが有する始動電極膜の抵抗分布を示す特性図。
【符号の説明】
1……ガラス管
2,2′……始動電極膜
2a……第1の導電層(微粒子層)
2b……第2の導電層( CVD膜)
3a,3b……フィラメント(放電電極)
4,4′……蛍光層
7……照明器具
8……ラピットスタート型蛍光ランプ
9……保護膜(下地層)
9a……紫外線吸収性の膜
9b……紫外線反射性の膜
Claims (5)
- 水銀および希ガスを含む封入ガスが充填された光透過性ガラス管と;前記ガラス管の内壁面に形成された透明導電膜と;前記透明導電膜を含むガラス管内壁面に設けられた蛍光体粒子を含む蛍光層と;前記封入ガス中で陽光柱放電を維持するための手段と;を具備するラピットスタート型蛍光ランプにおいて、前記蛍光層は、金属塩溶液に前記蛍光体粒子を分散・懸濁させた状態で酸を滴下させることで表面に金属酸化物微粒子を均質に付着させて形成された厚さ 1〜 400nmの保護膜が設けられた蛍光体粒子を含んでいることを特徴とするラピットスタート型蛍光ランプ。
- 蛍光体粒子は保護膜の被覆率が30%以上であることを特徴とする請求項1記載のラピットスタート型蛍光ランプ。
- 蛍光体粒子がアルカリ金属およびアルカリ土類金属の少なくとも1種を含む蛍光体であることを特徴とする請求項1または請求項2記載のラピットスタート型蛍光ランプ。
- 保護膜は、Al2 O 3 , Y2 O 3 の少なくともいずれか1種の酸化物であることを特徴とする請求項1ないし請求項3いずれか一記載のラピットスタート型蛍光ランプ。
- 請求項1ないし請求項4いずれか一記載のラピットスタート型蛍光ランプと;前記ラピットスタート型蛍光ランプを装着点灯する照明器具と;を有することを特徴とする照明装置。
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JP (1) | JP3680485B2 (ja) |
-
1997
- 1997-04-30 JP JP11293597A patent/JP3680485B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Publication date |
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JPH10302724A (ja) | 1998-11-13 |
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