JP3189558B2 - ラピッドスタート形けい光ランプおよびこれを用いた照明装置 - Google Patents

ラピッドスタート形けい光ランプおよびこれを用いた照明装置

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JP3189558B2
JP3189558B2 JP04095894A JP4095894A JP3189558B2 JP 3189558 B2 JP3189558 B2 JP 3189558B2 JP 04095894 A JP04095894 A JP 04095894A JP 4095894 A JP4095894 A JP 4095894A JP 3189558 B2 JP3189558 B2 JP 3189558B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ガラスバルブの内側と
けい光体被膜との間に透明導電膜(ネサ膜)を形成して
なるラピッドスタート(瞬時点灯)形けい光ランプおよ
びこれを用いた照明装置に関する。
【0002】
【従来の技術】一般にラピッドスタート形けい光ランプ
は、始動性を向上させるためにガラスバルブと、この内
側に形成されるけい光体被膜との間に、酸化錫(SnO
2 )などからなる透明な導電膜(ネサ膜)を形成してあ
る。このような導電膜は導体の役割をなし、一方の電極
が陰極モードの時に電極に塗布されたエミッタから放出
された電子がこの近くの導電膜を伝播して他方の電極の
近傍に導かれ、これによりガラスバルブの管壁抵抗を低
くするようになり、よってランプの始動を容易にし、始
動電圧を低くする作用を奏するものである。
【0003】しかしながら、従来のラピッドスタート形
けい光ランプにおいては、長時間の使用に伴ってバルブ
の内側に茶褐色に変色した過剰の水銀が砂を撒いたよう
に付着し、いわゆる砂撒き現象(黄斑現象)が発生して
外観を損なう不具合がある。
【0004】この原因は、放電空間内の水銀粒と導電膜
との間で発生する微放電に起因していると考えられてい
る。すなわち、ランプ点灯中は、けい光体被膜の内側に
水銀Hgが付着しており、この放電空間の水銀粒は放電
電位に相当する電位に保たれているのに対し、導電膜
は、上記水銀粒と導電膜の間に存在しているけい光体被
膜が絶縁体であるから中位の電位状態に保たれている。
よって、これら水銀粒と導電膜の間に絶縁体であるけい
光体被膜を介してかなりの電位差がかかっている。そし
て、このけい光体被膜が上記電位差によって絶縁破壊し
た場合に、水銀粒と導電膜の間で微放電が起こる。ま
た、水銀はけい光体の被膜を通過して拡散することもあ
り、放電電位の水銀が導電膜に近づくと、水銀粒と導電
膜の間で微放電が生じる。このような放電エネルギーの
熱によってけい光体被膜が溶解したり、飛散する。
【0005】すなわち、水銀粒と導電膜の間のけい光体
被膜はコンデンサの作用をなしていると考えられ、その
電荷の蓄積量が多い程絶縁破壊した場合の放電エネルギ
ーが大きいので、微放電により、水銀が酸化(HgO)
したり、けい光体被膜の溶解や飛散によりけい光体が変
色し(けい光体の黒化)、よって茶褐色の斑点模様が発
生するものと考えられる。
【0006】また、このような外観不良の発生の外に、
微放電により導電膜が徐々に変質し、始動電圧が上昇し
ていくという問題もある。これは導電膜の抵抗値が低下
するためであり、この低下は導電膜を構成する酸化錫が
微放電のエネルギーによりさらに還元されて導電性を高
めていくためと推定される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記のような黄斑現象
の発生や始動電圧の上昇を防止する手段として、特開昭
50−12885号公報、特開昭52−49683号公
報、特開昭52−93184号公報などに示された技術
が知られている。これらの手段は、透明導電膜とけい光
体被膜の間に、金属酸化物からなる絶縁膜を形成したも
のである。このような絶縁膜を形成すれば、透明導電膜
の抵抗が実質的に高くなるのと同様な作用をなし、絶縁
破壊を起こし難くなり、よって微放電を抑制することが
できる。
【0008】しかしながら、本発明者らの研究によれ
ば、これら従来の手段でも、依然として点灯時間の経過
に伴いけい光体の黒化や茶褐色の斑点模様が発生し、始
動電圧が上昇する傾向があることが見出だされた。
【0009】これらの原因は、本発明者らのその後の研
究により、以下のように推察できる。すなわち、絶縁膜
を設けることにより微放電による導電膜の抵抗値の低下
は抑制できたが、本来けい光体を励起すべき紫外線がけ
い光体で吸収し切れずにその一部がけい光体を透過し、
これが導電膜に吸収され、このため酸化錫が徐々に還元
される。この結果、導電膜の抵抗値がランプの点灯中に
低下し、始動性を低下させることとなる。さらにこの導
電膜の抵抗値の低下は、絶縁膜によって抑制した微放電
を再度増加させる原因となり、外観不良をもたらすよう
になる。
【0010】本発明はこのような事情にもとづきなされ
たもので、その目的とするところは、黒化や黄斑現象の
発生を抑制するとともに始動電圧の上昇を抑制し、これ
らにより寿命特性を向上させることができるラピッドス
タ−ト形けい光ランプおよびこれを用いた照明装置を提
供しようとするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、両端
部に電極が配置されるとともに、内部に水銀および希ガ
スが封入されたガラス製バルブと;このバルブの内面側
に形成された透明導電膜と;酸化亜鉛および酸化チタン
を含む金属酸化物微粒子により構成され、酸化チタンの
混合割合を30〜70重量%とし、かつ平均膜厚が0.
2〜1.5μmで透明導電膜の内面側に形成された紫外
線吸収保護膜と;この保護膜の内側に形成されたけい光
体被膜と;を具備していることを特徴とする。
【0012】請求項の発明は、両端部に電極が配置さ
れるとともに、内部に水銀および希ガスが封入されたガ
ラス製バルブと;このバルブの内面側に形成された透明
導電膜と;酸化亜鉛および酸化チタンを含む金属酸化物
微粒子により構成され、可視光の透過率が90%以上、
かつ254nmの紫外線の吸収率が50〜90%となる
ように透明導電膜の内面側に形成された紫外線吸収保護
膜と;この保護膜の内面側に形成されたけい光体被膜
と;を具備していることを特徴とする。
【0013】
【0014】
【0015】請求項の発明は、けい光体は、希土類金
属発光けい光体からなり、その平均膜厚は、10μm以
上で25μm以下であることを特徴とする。請求項
発明は、けい光体は、セリウムを発光金属とするけい光
体を含有していることを特徴とする。
【0016】請求項記載の発明は、請求項1ないし請
求項のいずれか1に記載のラピッドスタート形けい光
ランプと;このランプを装着した器具本体と;この器具
本体に設けられ上記ランプと電源との間に電気的に接続
されて上記ランプを安定点灯状態に保つ点灯回路部品
と;を具備したことを特徴とする照明装置である。
【0017】
【作用】本発明者らは、点灯時間の経過に伴ってけい光
体の黒化や茶褐色の斑点模様が発生する原因を追及した
ところ、400nm以下の波長域の紫外線が影響するもの
と推察した。すなわち、透明な導電膜を構成する酸化錫
(SnO2 )が、けい光体被膜で吸収し切れずに透過し
てきた紫外線の照射を受けると、錫から酸素が解離さ
れ、この結果、酸素を解離した錫が導電膜内のキャリア
数を増加させ、よって導電膜の抵抗値が低下するものと
考えられる。点灯時間の経過により導電膜の抵抗値が次
第に下がると、始動性が低下するとともに、けい光体被
膜が絶縁破壊し易くなり、けい光体の黒化や、茶褐色の
斑点模様が再度発生し易くなる。
【0018】したがって、本発明の基本的技術思想は、
透明導電膜とけい光体被膜の間に紫外線の透過を阻止
し、かつ電気的に絶縁性の高い被膜を形成することであ
り、これにより導電膜の抵抗値の低下を防止するもので
ある。
【0019】請求項1の発明によれば、酸化亜鉛および
酸化チタンを含む金属酸化物微粒子により構成され、酸
化チタンの混合割合を30〜70重量%とし、かつ平均
膜厚が0.2〜1.5μmの紫外線吸収保護膜を透明導
電膜の内面側に形成したので、この紫外線吸収保護膜が
水銀より放射された400nm以下の波長域の紫外線が透
明導電膜に達するのを低減する。また、膜厚が薄く形成
されるから、400〜700nmの波長域の可視光の吸収
を極力低減することができる。
【0020】平均膜厚が0.2μm未満の場合は紫外線
吸収が小さすぎ、また1.5μmを越えると可視光の吸
収が多くなり過ぎる。また、この場合、紫外線吸収保護
膜は、微粒子金属酸化物によって形成されているから、
微粒子相互に隙間が形成されるようになり、けい光体に
て変換された可視光がこの隙間を透過し、可視光の透過
特性が良好に保たれる。また、このような微粒子金属酸
化物によって紫外線吸収保護膜を作るので、有機金属を
焼成してガラス質の金属酸化物の被膜を作るときのよう
に強い加熱を必要とせず、製造時に透明導電膜の熱劣化
を抑制することもできる。
【0021】
【0022】
【0023】請求項の発明によれば、酸化亜鉛および
酸化チタンを含む微粒子金属酸化物からなり、可視光の
透過率が90%以上であり、254nmの紫外線の吸収
率が50%以上で90%以下の紫外線吸収保護膜を透明
導電膜の内面側に形成したから、この紫外線吸収保護膜
が、透明導電膜に達するのを抑制しつつ可視光の吸収を
低減し、導電膜の抵抗値の低下を抑制する。
【0024】
【0025】
【0026】請求項の発明によれば、希土類金属発光
けい光体は、その粒子径が2〜5μmと小さいので、従
来のマンガン・アンチモン付活ハロりん酸カルシウムけ
い光体よりも膜厚を薄くして、平均膜厚を10μm以上
で25μm以下に形成することができるが、しかし膜厚
が薄い分、紫外線が透過し易くなる。これに対し、この
ような不利な条件のけい光体を用いた場合に、前記各発
明を適用すると、その効果が大きい。
【0027】請求項の発明によれば、セリウムを発光
金属とするけい光体は、副発光として近紫外線を放出す
る。このため、従来のマンガン・アンチモン付活ハロり
ん酸カルシウムけい光体に比べて紫外線による導電膜へ
の影響が大きいが、前記各発明を適用するとその効果が
大きい。
【0028】請求項の発明によれば、光源として用い
るラピットスタート形けい光ランプが、けい光体の黒化
や茶褐色の斑点模様を抑制するとともに始動電圧の上昇
を抑制するから、照明装置として光束および外観の低下
を防止し、寿命特性を向上させることができる。
【0029】
【実施例】以下本発明について、図面に示す一実施例に
もとづき説明する。図1は直管形ラピッドスタ−ト形け
い光ランプを示すもので、図中1はソーダライムガラス
からなるバルブである。バルブ1の内面にはけい光体被
膜2が形成されている。けい光体被膜2は、アンチモン
・マンガン付活ハロりん酸塩けい光体(Ca5 (PO
43 (F,Cl):Sn,Mn)であってもよいが、
希土類けい光体からなる3波長発光けい光体を使用して
もよい。3波長発光けい光体は、赤、青、緑の各波長域
に発光する3種類の希土類けい光体を混合して用いたも
のであり、例えば赤色系けい光体には酸化イットリウム
(Y23 :Eu)、青色系けい光体には2価のユーロ
ピウム付活アルカリ土類ハロ燐酸塩けい光体または2価
のユーロピウム付活アルカリ土類アルミン酸塩けい光体
(BaMg2 Al1627:Eu)、および緑色けい光体
としてはセリウムCeを含有するテリビウムTb付活け
い・りん酸塩けい光体(La,Ce,Tb)・(P,S
i)O4 などが用いられている。
【0030】このようなけい光体被膜2とバルブ1内面
との間には、酸化錫(SnO2 )などからなる透明な導
電膜(=EC膜)3が形成されている。この導電膜3の
導電性は酸化錫の一部が還元していることにより得られ
る。
【0031】バルブ1の端部はステム5、5により閉塞
されており、これらステム5、5にはタングステンフィ
ラメントからなる電極4、4が取着されている。電極
4、4には、図示しないBaO、SrO、CaOなどか
らなる電子放射性物質(エミッタ)が塗布されている。
そして、バルブ1の端部には、口金6、6が被着されて
いる。
【0032】上記導電膜3とけい光体被膜2との間に
は、紫外線吸収保護膜10が形成されている。紫外線吸
収保護膜10は、高融点金属酸化物の微粒子により形成
されており、微粒子金属酸化物としては酸化亜鉛ZnO
が用いられるが、この酸化亜鉛ZnOに酸化チタンTi
2 を混合して用いてもよい。ここで微粒子とは、平均
粒径が0.1μm以下の粉末をいう。
【0033】上記紫外線吸収保護膜10は、400〜7
00nmの波長域の可視光の透過率が90%以上で、40
0nm以下の波長域の紫外線の吸収率が90%以下の特性
を有している。このような特性は、例えばZnOの微粒
子金属酸化物からなる紫外線吸収保護膜10の場合、平
均膜厚を0.2μm以上で1.5μm以下に形成するこ
とにより実現することができ、好ましくは0.3μm以
上で1.0μm以下の範囲がよい。
【0034】なお、このような紫外線吸収保護膜10
は、平均粒径が0.1μm以下の金属酸化物の微粒子を
有機溶剤などの増粘剤を加えた溶媒に分散し、これをバ
ルブ1の内側に塗布し、これを乾燥焼成することにより
上記溶媒を飛ばして形成することができ、この場合、保
護膜10は微粒子相互のファン・デル・ワールス力(分
散力)によって導電膜3の内面に付着している。このよ
うに形成されたバルブ1の内部には、所定量の水銀と、
アルゴンなどの希ガスが封入されている。
【0035】このような構成のラピッドスタ−ト形けい
光ランプにおいては、点灯中に水銀から発せられる紫外
線がけい光体被膜2により可視光に変換され、この可視
光は微粒子金属酸化物よりなる紫外線吸収保護膜10、
透明導電膜3およびガラスバルブ1を透過して外部に放
射される。
【0036】しかし、水銀から発せられた紫外線の一部
は、けい光体被膜2を透過し、紫外線吸収保護膜10を
通って透明導電膜3に達しようとする。これに対し、け
い光体被膜2と導電膜3の間には紫外線吸収保護膜10
を形成してあるから、この紫外線吸収保護膜10が紫外
線を吸収して透過を阻止し、導電膜3に達するのを抑制
する。このため導電膜3を構成している酸化錫が紫外線
の照射を受けて還元される割合が少なくなり、導電膜3
内のキャリアの増加が抑えられる。したがって、導電膜
3の抵抗値が高く保たれ、始動電圧の増加が抑えられる
とともに、抵抗値の低下にもとづくけい光体被膜2の絶
縁破壊も抑制されるようになる。そして、絶縁破壊によ
る微放電の発生も抑えられるから、長期に点灯しても、
微放電に原因するけい光体の黒化や黄斑の発生が抑制さ
れ、よって、高い光束維持率を保ち、寿命特性が向上す
ることになる。
【0037】例えば、紫外線吸収保護膜10を、平均粒
径が0.06μmの酸化亜鉛ZnO微粒子により形成
し、平均膜厚tを0.3μmにした場合、紫外線の吸収
率は70%以上になる。
【0038】このような紫外線吸収保護膜10を用いた
ラピッドスタ−ト形けい光ランプを点灯試験すると、図
2の実線で示す通り、導電膜3の抵抗値は点灯5000
時間経過しても大幅な低下が認められなかった。これに
対し、紫外線吸収保護膜10を用いない従来のラピッド
スタ−ト形けい光ランプの場合は、点灯1000時間程
度で、図2の破線で示す通り、導電膜3の抵抗値が初期
値の20%程度まで低下し、以後点灯時間の経過に伴っ
て徐々に導電膜3の抵抗が低下することが測定された。
【0039】また、本発明の紫外線吸収保護膜10は、
導電膜3に達する紫外線、特に短波長紫外線をカットす
ればよいので膜厚を厚く形成する必要がなく、平均膜厚
が1.5μm以下であっても目的を達することができ
る。また、紫外線吸収保護膜10を厚くしないのでこの
保護膜10による可視光の吸収が少なくなる。
【0040】さらに、黒化の発生割合を調べると、紫外
線吸収保護膜10を用いたラピッドスタ−ト形けい光ラ
ンプは、図3の実線で示す通り、点灯5000時間経過
しても殆ど黒化が認められないのに対し、紫外線吸収保
護膜10を用いない従来のラピッドスタ−ト形けい光ラ
ンプの場合は、図3の破線で示す通り、点灯の経過に伴
って黒化が次第に増加することが確認された。
【0041】また、紫外線吸収保護膜10を金属酸化物
の微粒子により形成したため、紫外線吸収保護膜10の
内部では図1の(C)図に示すように微粒子12相互間
に隙間13が形成されるようになり、この隙間13はけ
い光体によって変換された可視光が透過し易くなり、紫
外線吸収保護膜10を設けたことによる可視光の透過を
阻害する割合が少ない。
【0042】また、けい光体として希土類けい光体を用
いた場合、希土類けい光体からなる被膜2は、従来のカ
ルシウムハロけい光体によって形成した被膜に比べて膜
厚が薄く形成される。これは希土類けい光体が従来のけ
い光体よりも粒径が小さく、この結果膜厚を数分の一に
することができるからである。しかし、このように薄い
膜厚のけい光体被膜2であると、水銀がけい光体被膜2
を拡散して透過し易くなり、透明な導電膜3に近づき易
くなるので、絶縁破壊を生じ易くなる。したがって、こ
のような希土類けい光体からなる被膜2を形成したラン
プの場合に上記のような紫外線吸収保護膜10を形成す
れば、導電膜3の抵抗値を高く維持し、絶縁破壊の発生
を低減することができる。
【0043】さらに、高融点金属酸化物からなる微粒子
の中でも、特に酸化亜鉛ZnOは可視光を良く透過する
とともに紫外線をよく吸収し、特に可視光透過性能の点
では酸化チタンTiO2 よりも優れている。したがっ
て、微粒子金属酸化物としては酸化亜鉛ZnOを用いる
方が可視光の吸収が少ないので好適である。しかし、酸
化亜鉛ZnOに酸化チタンTiO2 を混合しても初期の
目的を達成することができる。この場合、TiO2 の混
合比は重量比で30〜70%の範囲にするのが好まし
い。これにより紫外線吸収と可視光透過の2つの相反す
る要素をバランスよく保つことができる。
【0044】この点を実験によって調べた結果を以下に
説明する。図4は、紫外線吸収保護膜10の平均膜厚t
と、紫外線出力比との関係を、酸化亜鉛ZnOと酸化チ
タンTiO2 の混合割合を変えたランプ(a)〜(e)
についてそれぞれ測定した特性図であり、比較のために
保護膜としてAl23 を用いた例(f)も示す。な
お、この測定はけい光体としてアンチモン・マンガン付
活ハロりん酸塩けい光体(Ca5 (PO43 (F,C
l):Sn,Mn)を用いた場合である。図4から、酸
化チタンTiO2 の混合割合が増加するほど紫外線出力
が低くなり、すなわち紫外線UVの透過割合が少なくな
り、また膜厚が増すほど紫外線の透過割合が低くなるこ
とが理解できる。
【0045】また、図5は、点灯2000時間後におけ
る紫外線出力比と抵抗値の比率の関係を示す特性図であ
る。この特性から、紫外線出力が50%を越えると抵抗
値の比率が低下し、したがって紫外線出力は少なくとも
50%以下に抑制する必要がある。つまり、紫外線を5
0%を越えて透過させると酸化錫が還元される割合が増
し、導電膜3の抵抗値が低下するので、紫外線の透過は
50%以下に抑える必要がある。そして、下記表1は、
上記各ランプ(a)〜(f)の測定特性を示す。
【0046】
【表1】
【0047】上記表1より、酸化亜鉛ZnOの混合割合
を増すと、紫外線UVの出力比が増え、抵抗値が低くな
る。逆に酸化チタンTiO2 の混合割合を増すと、紫外
線UVの出力比が低下し、抵抗値が高くなる。
【0048】なお、保護膜としてAl23 を用いた例
(f)は、紫外線UVの出力比が高く、抵抗値は低くな
り、可視光の透過率も低下するので、本発明の保護膜と
しては不向きである。
【0049】上記の実験から、酸化亜鉛ZnOに酸化チ
タンTiO2 を混合して用いる場合はTiO2 の混合比
を重量比で30〜70%の範囲にすべきである。また、
透明導電膜3の電気抵抗値の低下は、以下に説明する微
粒子金属酸化物からなる紫外線吸収保護膜10であって
も防止することができる。つまり、保護膜10を、固体
内量子のエネルギー帯構造における価電子帯と伝導帯と
の間の禁止帯が3.0eV以上で3.54eV未満の微
粒子金属酸化物によって形成することである。
【0050】ここでいう禁止帯とは、図6に示す固体内
量子状態のエネルギー帯構造の模式図において、価電子
帯と伝導帯との間のエネルギーギャップを称するもので
あり、外部から紫外線などのエネルギーが与えられると
価電子帯の電荷が禁止帯を越えて伝導帯に励起される。
各固体は特有の波長より短い波長の光エネルギーが与え
られた場合にその光が吸収されて電子が励起される性質
があり、それより長い波長、すなわちエネルギーの低い
光が与えられると吸収されずに透過、または反射され
る。
【0051】400nmの光は3.0eV、254nmの光
は3.54eVに対応する。したがって、禁止帯が3.
0eV以上で3.54eV未満の微粒子金属酸化物を用
いれば、400nmと254nmとの間に吸収端が存在し、
本発明の紫外線吸収保護膜10の構成金属酸化物として
好適する。また、紫外線吸収保護膜は金属酸化物である
から電気絶縁体としても機能する。下記表2は、禁止帯
が3.0eV以上で3.54eV未満の微粒子金属酸化
物の中で本発明に適用して効果を有する金属を例示す
る。
【0052】
【表2】
【0053】また、下記表3は、上記表2の中から選ん
だ微粒子金属酸化物による紫外線吸収保護膜10を形成
したラピッドスタート形けい光ランプの測定した特性を
示す。
【0054】
【表3】
【0055】表3から理解できるように、禁止帯が3.
0eV以上で3.54eV未満の微粒子金属酸化物、す
なわち表のZnO、CeOを用いると、電気抵抗値を高
く保つことができ、2000時間点灯後の黒化発生割合
は少ない。これに対し、Al23 の場合はeV値が
3.54を越えるので紫外線を受けた場合に抵抗値が低
下する。また、Fe23 の場合は、禁止帯が3.0e
V以下であるから、紫外線を受けた場合の抵抗値変化は
少ないが、可視光の吸収が多すぎて初期光束および全光
束の低下が大きい。
【0056】以上のことから、禁止帯が3.0eV以上
で3.54eV未満の微粒子金属酸化物よりなる紫外線
吸収保護膜を用いると紫外線を吸収し、SnO2 の還元
による透明導電膜の電気抵抗の低下を抑制することがで
きる。
【0057】図7は上記実施例のけい光ランプを、照明
器具に取り付けて構成した照明装置の例を示す。すなわ
ち、図において20は天井直付け形照明器具の本体であ
り、この器具本体20の長手方向両端にはランプソケッ
ト21、21が相互に対向して配置されている。これら
ソケット21、21間に図1に示すけい光ランプ30
が、その口金6、6を係合させて取り付けられている。
器具本体20にはランプの安定点灯を維持するための点
灯回路部品として、安定器22が収容されている。上記
けい光ランプ30は上記安定器22を介して図示しない
電源に接続されている。
【0058】このような照明装置によれば、上記ランプ
30がバルブの黒化や黄斑現象を防止して光束維持率に
優れ、しかもこのランプ30は始動性も良好であるか
ら、照明装置として外観の低下が少なく、寿命特性が優
れた照明装置を提供することができる。
【0059】なお、本発明は上記実施例の構造に制約さ
れるものではなく、例えばけい光ランプの形状は環形け
い光ランプやU字形、H字形バルブにより形成されたコ
ンパクト形けい光ランプなどであってもよい。
【0060】
【発明の効果】以上述べたように本発明によれば、導電
膜とけい光体被膜との間に形成した紫外線吸収保護膜が
紫外線の透過を阻止するので、紫外線の照射に原因する
導電膜の抵抗値の低下が抑制される。このため、始動性
を高く維持できるとともに、黒化や黄斑現象の発生を抑
制して寿命特性が向上する。また、通常の紫外線吸収ラ
ンプとは異なり、紫外線吸収保護膜の膜厚が薄いから可
視光の吸収を小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示すラピッドスタ−ト形け
い光ランプを示し、(A)図はランプ全体の構成図、
(B)図は(A)図のB部分を拡大して断面した図、
(C)図は(B)図のC部分を拡大して断面した図。
【図2】点灯時間と導電膜の抵抗変化の割合を示す特性
図。
【図3】点灯時間とバルブの黒化発生割合を示す特性
図。
【図4】紫外線吸収保護膜の平均膜厚tと、紫外線出力
比との関係を、酸化亜鉛ZnOと酸化チタンTiO2
混合割合を変えた場合の各ランプ(a)〜(e)につい
てそれぞれ測定した特性図。
【図5】点灯2000時間後における紫外線出力比と抵
抗値の比率の関係を示す特性図。
【図6】固体内の量子状態のエネルギー帯の構造を示す
模式図。
【図7】同実施例のけい光ランプを照明器具に取り付け
た照明装置の図。
【符号の説明】
1…バルブ 2…けい光体被膜 3…透明
性導電被膜(導電膜) 4…電極 10…紫外線吸収保護膜 12…微粒子金属酸化物
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 湯浅 邦夫 東京都品川区東品川四丁目3番1号 東 芝ライテック株式会社内 (72)発明者 畠山 圭司 東京都品川区東品川四丁目3番1号 東 芝ライテック株式会社内 (72)発明者 泉 昌裕 東京都品川区東品川四丁目3番1号 東 芝ライテック株式会社内 (56)参考文献 特開 昭60−250550(JP,A) 特開 平2−216751(JP,A) 特開 昭61−181054(JP,A) 特開 昭57−115755(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01J 61/35 H01J 61/42 H01J 61/44 H01J 61/54

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 両端部に電極が配置されるとともに、内
    部に水銀および希ガスが封入されたガラス製バルブと; このバルブの内面側に形成された透明導電膜と; 酸化亜鉛および酸化チタンを含む金属酸化物微粒子によ
    り構成され、酸化チタンの混合割合を30〜70重量%
    とし、かつ平均膜厚が0.2〜1.5μmで透明導電膜
    の内面側に形成された紫外線吸収保護膜と; この保護膜の内面側に形成されたけい光体被膜と; を具備していることを特徴とするラピッドスタート形け
    い光ランプ。
  2. 【請求項2】 両端部に電極が配置されるとともに、内
    部に水銀および希ガスが封入されたガラス製バルブと; このバルブの内面側に形成された透明導電膜と; 酸化亜鉛および酸化チタンを含む金属酸化物微粒子によ
    り構成され、可視光の透過率が90%以上、かつ254
    nmの紫外線の吸収率が50〜90%となるように透明
    導電膜の内面側に形成された紫外線吸収保護膜と; この保護膜の内面側に形成されたけい光体被膜と; を具備していることを特徴とするラピッドスタート形け
    い光ランプ。
  3. 【請求項3】 けい光体は、希土類金属発光けい光体か
    らなり、その平均膜厚は、10μm以上で25μm以下
    であることを特徴とする請求項1あるいは請求項記載
    のラピッドスタート形けい光ランプ。
  4. 【請求項4】 けい光体は、セリウムを発光金属とする
    けい光体を含有していることを特徴とする請求項1ない
    し請求項のいずれか1に記載のラピッドスタート形け
    い光ランプ。
  5. 【請求項5】 請求項1ないし請求項のいずれか1に
    記載のラピッドスタート形けい光ランプと; このランプを装着した器具本体と; この器具本体に設けられ上記ランプと電源との間に電気
    的に接続されて上記ランプを安定点灯状態に保つ点灯回
    路部品と; を具備したことを特徴とする照明装置。
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