JP3679159B2 - 触媒コンバータ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジンの2系統の排気系のそれぞれに設けられた触媒コンバータに関する。
【0002】
【従来の技術】
エンジンには、2系統の排気系を有し、それぞれの排気系に触媒コンバータを備えて排ガスの浄化機能をもたせたものがある。
この種のエンジンの排気系統を図3を参照して説明する。1はエンジンで、エンジン1の左右からは、その2つの排気ポート群から個別に排気浄化系が取り出されている。
【0003】
これら排気浄化系は、左右対称であり、上流側から、排気マニホールド2、フロント側排気管3、触媒コンバータ4及びリア側排気管5が連接されており、2本のリア側排気管5、5が集合管6で合流することで、この系は構成されている。
左右の触媒コンバータ4は、それぞれフロント側フランジ4aとリア側フランジ4bを備えており、これらはフロント側排気管3のフランジ3a及びリア側排気管5のフランジ5aとそれぞれ連接されている。
【0004】
そして、これら排気浄化系は、例えば、フロント側の左右の排気管3と集合管6とに取り付けられた支持棒7を、ゴム製マウント(図示せず)を介して車体に取り付けることによって固定される。こうして、エンジン等の振動に起因する排気浄化系の振動は支持棒7及びゴム製マウントによって収束される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来例では、フロント側の排気管3からリア側の排気管5に至るまでの排気系は互いに独立しているため、左右の排気系間に振動の位相差が発生する。この振動の位相差は、集合管6に互いに異なる方向の力を及ぼすため、集合管6に高応力を発生させる原因となっていた。
また、上記のごとく、左右の排気浄化系は互いに独立しているため、エンジン等の振動に起因して相対移動し、相互に干渉するおそれがあった。このため、左右の触媒コンバータ4の間隔を大きくとる必要があった。このことは車載上における触媒コンバータ等の排気浄化系のレイアウトの自由度を制約する原因の一つともなっているとともに他の部品の設置スペースを制限する要因ともなっていた。
【0006】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、エンジンの二つの排気浄化系間の振動の位相差の発生と左右の触媒コンバータ間の相対移動を防止しうる触媒コンバータを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明では、エンジンの両側に設けられた2つの排気ポート群から個別に排気浄化系が取り出されているエンジン排気系に装着される触媒コンバータにおいて、前記エンジンの両側に設けられた排気マニホールドに個別に接続された排気管のうちの一方の排気管に取り付けられた第一触媒コンバータ本体と、他方の排気管に取り付けられた第二触媒コンバータ本体とを近接してほぼ平行に設けると共に、前記第一触媒コンバータ本体のフロントフランジと前記第二触媒コンバータ本体のフロントフランジとを単一板を用いることにより互いに一体とし、前記第一触媒コンバータ本体のリアフランジと前記第二触媒コンバータ本体のリアフランジとを単一板を用いることにより互いに一体としてなる。
【0010】
【作用】
請求項1に記載の発明は、フロント側の排気管から第一触媒コンバータ本体と第二触媒コンバータ本体とに流入した排ガスは、第一触媒コンバータ本体と第二触媒コンバータ本体とを通過する間に浄化されてリア側の排気管に流出する。
【0011】
エンジンの運転時には、エンジンの振動や車体の振動等が排気管や支持装置等を介して第一触媒コンバータ本体と第二触媒コンバータ本体とに伝わるが、第一触媒コンバータ本体のフロントフランジと第二触媒コンバータ本体のフロントフランジとは共に単一板を用いることにより互いに一体にするものであるから、両者の一体化はより強固になり、第一触媒コンバータ本体と第二触媒コンバータ本体とに入力する振動は従来に比べ低減され、また、振動の位相差の発生が極力抑止されるとともに両者の相対移動も防止される。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る触媒コンバータを、図面に示す発明の実施の形態を参照しながら説明する。
本実施の形態は、本発明を、エンジンの両側に排気ポートを有するいわゆるV型エンジン等を、エンジンルーム内に縦置きした乗用車に適用したものである。
【0015】
図1は、本発明に係る触媒コンバータの第1の実施の形態を示すもので、50は、エンジンの右側排気ポートからの排気を浄化する第一触媒コンバータ本体を示し、51は、エンジンの左側排気ポートからの排気を浄化する第二触媒コンバータ本体を示す。
【0016】
第一触媒コンバータ本体50と第二触媒コンバータ本体51とのそれぞれは、筒状容器52と、筒状容器52の排ガス流入口53に接続される入口部54と、筒状容器52の排ガス流出口56に接続される出口部57とから構成されている。
そして、これら第一触媒コンバータ本体50と第二触媒コンバータ本体51とは、互いに近接してほぼ平行に設けられている。
【0017】
筒状容器52の内部には、図示しない金属触媒担体が収容されていて、排気管Xから第一触媒コンバータ本体50と第二触媒コンバータ本体51とのそれぞれの排ガス流入口53に流入した排ガスは、金属触媒担体を通過する間に浄化されて第一触媒コンバータ本体50と第二触媒コンバータ本体51とのそれぞれの排ガス流出口56から流出する。
【0018】
第一触媒コンバータ本体50と第二触媒コンバータ本体51とのそれぞれのフロント側の一端部、具体的には、入口部54の端面側にはフロントフランジ58が設けられている。
また、第一触媒コンバータ本体50と第二触媒コンバータ本体51とのそれぞれのリア側の他端部、具体的には、出口部57の端面側にはリアフランジ59が設けられている。
【0019】
フロントフランジ58とリアフランジ59とのそれぞれは単一の金属板からなり、かつフロントフランジ58とリアフランジ59とのそれぞれには一対の挿入口60、61が形成されている。
入口部54に対するフロントフランジ58の取付は、入口部54の環状の端面が挿入口60を囲むように、入口部54をフロントフランジ58に当接させた後、この当接箇所を、気密性を確保する観点から、溶接することによって行う。出口部57に対するリアフランジ59の取付も同様に行う。
【0020】
フロント側の排気管Xは、図3に示す従来例と同様に、排気マニホールド2を介してエンジン1に接続され、また、リア側の排気管Yは、図4に示す従来例と同様に、集合管6に接続される。
これらフロント側の排気管X、X及びリア側の排気管Y、Yには、図3に示す従来例と同様に、それぞれ上記のフロントフランジ58及びリアフランジ59と接合するフランジ3a、3a及びフランジ5a、5aとが溶接されている。
【0021】
そして、第一触媒コンバータ本体50及び第二触媒コンバータ本体51に溶接されたフロントフランジ58とリアフランジ59とは、排気管Xのフランジ3a、3aとがフロントフランジ58に、排気管Yのフランジ5a、5aとがフランジ59に、の関係でボルト・ナットにより接合される。
フロントフランジ58とリアフランジ59とのそれぞれには、複数のL字状のブラケット62が取り付けられている。このブラケット62は、第一触媒コンバータ本体50及び第二触媒コンバータ本体51からの放熱を防止するための遮熱板(図示せず)を固定するものである。
【0023】
次に、第1の実施の形態の作用について説明する。
フロント側の排気管Xから第一触媒コンバータ本体50と第二触媒コンバータ本体51とに流入した排ガスは、第一触媒コンバータ本体50と第二触媒コンバータ本体51とを通過する間に浄化されてリア側の排気管Yに流出する。
ところで、エンジンの運転時には、エンジンの振動や車体の振動等が、排気管X、Yや支持装置等を介して第一触媒コンバータ本体50と第二触媒コンバータ本体51とに伝わるが、第一触媒コンバータ本体50と第二触媒コンバータ本体51とは、単一の金属板からなるフロントフランジ58とリアフランジ59とを介して一体に連結されているから、振動の位相差の発生が極力抑止されるとともに両者の相対移動も十分に防止される。
【0024】
表1は、第1の実施の形態に係る触媒コンバータと従来の触媒コンバータとの振動加速度を比較したものであり、図2は表1をグラフに表したものである。これらから本実施形態においては、従来に比較して振動加速度が約50%低減していることがわかる。
なお、図2において、Aは触媒コンバータのフロント側の端部における上下方向の振動加速度、Bは触媒コンバータのフロント側の端部における左右方向の振動加速度、Cは触媒コンバータのリア側の端部の上下方向の振動加速度、Dは触媒コンバータのリア側の端部の左右方向の振動加速度を示す。また、白抜棒グラフは従来例を示し、斜線付棒グラフは本実施形態を示す。
【表1】
以上説明したように、第1の実施の形態では、第一触媒コンバータ本体50と第二触媒コンバータ本体51とのフロントフランジ58とリアフランジ59とが、単一の金属板を用いることにより一体に連結されているから、第一触媒コンバータ本体50と第二触媒コンバータ本体51とに入力する振動が十分に低減され、結果として排気系の強度が向上する。
【0026】
さらに、第一触媒コンバータ本体50と第二触媒コンバータ本体51との相対移動が防止されるため、両者間の間隔を小さくすることができ、したがってエンジンの排気浄化系をコンパクトにすることができる。
【0038】
【発明の効果】
請求項1に記載の発明は、エンジンの運転時には、エンジンの振動や車体の振動等が排気管や支持装置等を介して第一触媒コンバータ本体と第二触媒コンバータ本体とに伝わるが、第一触媒コンバータ本体のフロントフランジと第二触媒コンバータ本体のフロントフランジとは共に単一板を用いることにより互いに一体であるから、第一触媒コンバータ本体と第二触媒コンバータ本体とに入力する振動は従来に比べ低減され、結果として排気系の強度が向上することになる。
【0039】
また、第一触媒コンバータ本体と第二触媒コンバータ本体との両者間の振動の位相差の発生も防止されるため、排気管の集合管に互いに異なる方向の力が作用することがなく、したがって集合管に大きな応力が発生することがない。
さらに、第一触媒コンバータ本体と第二触媒コンバータ本体との相対移動が防止されるため、両者間の間隔を小さくすることができ、このためエンジンの排気系をコンパクトにすることができる。
【0042】
また、全く単一部品となるので、輸送が容易であると共に、自動車への組付作業が容易である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る触媒コンバータの第1の実施の形態を示す平面図。
【図2】 触媒コンバータの振動加速度を、本発明に係る第1の実施の形態と従来例との比較で示したグラフ。
【図3】 従来の排気系統を示す斜視図。
【符号の説明】
50 第一触媒コンバータ本体
51 第二触媒コンバータ本体
58 フロントフランジ
59 リアフランジ
X、Y排気管
Claims (1)
- エンジンの両側に設けられた2つの排気ポート群から個別に排気浄化系が取り出されているエンジン排気系に装着される触媒コンバータにおいて、
前記エンジンの両側に設けられた排気マニホールドに個別に接続された排気管(X)のうちの一方の排気管(X)に取り付けられた第一触媒コンバータ本体(50)と、他方の排気管(X)に取り付けられた第二触媒コンバータ本体(51)とを近接してほぼ平行に設けると共に、前記第一触媒コンバータ本体(50)のフロントフランジ(58)と前記第二触媒コンバータ本体(51)のフロントフランジ(58)とを単一板を用いることにより互いに一体とし、前記第一触媒コンバータ本体(50)のリアフランジ(59)と前記第二触媒コンバータ本体(51)のリアフランジ(59)とを単一板を用いることにより互いに一体としてなることを特徴とする触媒コンバータ。
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