JP3678810B2 - レーザ走査光学系 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、レーザ走査光学系、更に詳細には、レーザ光源からのレーザビームを走査面に垂直ないし斜めに入射させることが可能なレーザ走査光学系に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来このようなレーザ走査光学系は、図1のような構成をしており、レーザ光源1から発せられたレーザビーム1aは、図1(A)で縦方向に延びる軸を中心に揺動可能なガルバノミラー2aと、前記軸に垂直な軸を中心に揺動可能なガルバノミラー2bから構成される走査手段2に入射される。レーザビーム1aは、ガルバノミラー2a、2bの揺動により2次元的に走査され、結像レンズ3により微小なスポットとして結像され、被検物面6を走査する。レンズ3の後方には、特定の走査角度にあるレーザビームだけを反射、偏向する平面ミラー5が配置されており、走査手段2(ガルバノミラー2a、2b)はテレセントリック光学系を形成するようにレンズ3の前側焦点位置近傍に配置されるので、レンズ3を通過した後平面ミラー5で反射されない走査角度にあるレーザビームは被検物面6、すなわち走査面に垂直方向から入射し、レンズ3を通過した後平面ミラー5で反射される走査角度にあるレーザビームは平面ミラー5による反射により走査面に対して斜めの方向から角度θで入射するようになる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このようなレーザ走査光学系は、例えば、ハンダ付け外観検査装置の光学系として利用されている。半導体等のチップ7、8のリード部7a、8aは、図2(A)、(B)に図示したように、被検物面6である基板上にハンダ付けされる。一般に図2(A)に図示したようなハンダ付け部7b、8bが良好なハンダ付け状態であり、一方図2(B)のハンダ付け部7b、8bは不良なハンダ付け状態である。
【0004】
このハンダ付け部に上述したレーザ走査光学系で得られるレーザスポットを照射し、走査するとその反射光の方向の変化は図3(A)、(B)に示した矢印のようになる。図3(B)のような不良ハンダ付け部からの反射光は、図3(A)の場合の反射光に比較してその分布が相違するので、周辺部に複数の受光素子を配置して各受光素子からの信号電流の変化を検出することによりハンダ付け外観の形状を判別することができる。
【0005】
一般に、基板上にハンダ付けされた半導体等のチップ8のリード部8aは、図4(A)に示すように、基板に垂直に延びてハンダ付けされる場合、あるいは図4(B)に示すように、チップ本体の内側に曲り込んでハンダ付けされる場合もある。特に後者の場合には、レーザ走査光学系で得られるレーザスポットが垂直に入射されるときには、ハンダ付け部8bにレーザスポットを照射することができなくなるので、レーザスポットは、例えば垂直方向に対して入射角10度で斜めに入射して検査する必要が生じる。
【0006】
このようなレーザ走査光学系では、走査時の入射角はほぼ一定としなければならないので、被検物側にテレセントリック性が要求され、そのため、走査手段(ガルバノミラー)はレンズ3の前側焦点位置近傍に配置される。
【0007】
図4(B)に関連して説明したように、チップのリード部8aが内側に回り込んでハンダ付けされた場合でも、良好に検査できるためには、入射角を大きくする必要がある。しかし、図1に示した従来のレーザ走査光学系では、平面ミラー5を使用しているために、入射角を大きくして検査範囲を広くしようとすると、WD(ワーキングディスタンス)が長くなり、さらに、平面ミラー5が非常に大きくなるという欠点があり、また、WDが長くなると長い焦点距離のレンズ3が必要となり、装置全体が大型化し、コストが高くなる、という問題がある。
【0008】
従って、本発明の課題は、従来の方式に比べ入射角度を大きくして検査範囲を広くできるとともに、WD(ワーキングディスタンス)を短くすることが可能なレーザ走査光学系を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、この課題を解決するために、レーザ光源と、前記レーザ光源から発せられたレーザビームを微小なレーザスポットに結像するレンズと、前記レーザビームを所定の走査角度で2次元的に走査しレーザスポットを光軸に垂直な走査面において走査させる走査手段と、前記レンズの後方に配置され、レンズを通過したレーザビームを透過、偏向する楔プリズムとから構成され、前記走査手段はテレセントリック光学系を形成するように前記レンズの前側焦点位置近傍に配置され、楔プリズムを通過する走査角度にあるレーザビームは前記走査面に対して斜めに、楔プリズムを通過しない走査角度にあるレーザビームは走査面に垂直に入射するようにし、前記楔プリズムとレンズ間には前記レーザビームのスポットフォーカス位置を補正する光学素子が配置される構成を採用した。
【0010】
このような構成では、楔プリズムの偏向角が大きいことから、入射角を大きくして検査範囲を広くすることができ、WD(ワーキングディスタンス)を短くすることができる。また、楔プリズムは小型にすることができ、しかもWDが短いので、長い焦点距離のレンズが不必要となり、装置全体を小型化することができる。
【0011】
楔プリズムは、レンズの光軸の周辺に複数個、例えば等間隔に4個配置される。楔プリズムとレンズ間にはレーザビームのスポットフォーカス位置を補正する光学素子、例えば光路長補正ガラスが配置される。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図面に示す実施形態に従って本発明を詳細に説明する。図5には、本発明の1実施形態が図示されており、図1に示すものと同一部分には同一の符号が付されている。
【0013】
レーザ光源1から発せられた平行なレーザビーム1aは、図5(A)で縦方向に延びる軸を中心に揺動可能なガルバノミラー2aと、前記軸に垂直な軸を中心に揺動可能なガルバノミラー2bから構成される走査手段2に入射される。レーザビーム1aは、ガルバノミラー2a、2bの揺動により2次元的に走査され、結像レンズ3により微小なスポットとして結像され、被検物面6を走査する。レンズ3の後方には、特定の走査角度にあるレーザビームだけを透過、偏向する楔プリズム10a〜10dが配置される。
【0014】
走査手段2(ガルバノミラー2a、2b)はテレセントリック光学系を形成するようにレンズ3の前側焦点位置近傍に配置されており、それによりレンズ3から出射されるレーザビームは常に光軸に平行になり、テレセントリック性が実現される。レンズ3を通過した後楔プリズム10a〜10dに入射することのない走査角度にあるレーザビームは光軸に垂直に置かれた被検物面6、すなわち走査面に垂直方向から入射する。一方、レンズ3を通過した後楔プリズム10a〜10dに入射する走査角度にあるレーザビームは、各楔プリズムにより屈折、偏向され、走査面を斜めに所定角度で入射する。
【0015】
走査手段2によって像面でX’、Y’で定まる中心エリア(このエリアではレーザビームは楔プリズム10a〜10dに入射しない走査角度で走査される)を走査するときには、被検物面6は、被検物面に垂直に入射する光軸に平行なレーザビームによって2次元的に走査される。図4(A)に示すようにリード部8aがチップ本体8の内側に曲り込んでいない被検物の場合には、この走査によってハンダ付け部8bが走査、検査される。
【0016】
一方、走査手段2によって中心エリアの周辺が走査され、レーザビームがレンズ3を通過後楔プリズム4によって屈折、偏向されるような位置にくると、レーザビームは楔プリズム10a〜10dにより偏向されて光軸に対し一定の角度を持って入射し、図5(C)にX、Yで示した十字部分を走査する。この部分が走査されるときは、斜め入射光の走査となるので、図4(B)に示したようにリード部8aがチップ本体の内側に曲り込んでいる被検物のハンダ付け部8bの良否の検査に使用される。
【0017】
レンズ3は入射角に比例してレーザスポット位置が変化するfθレンズにしておくとスポット位置の制御が容易になる。
【0018】
レンズ3から射出したレーザビームはテレセントリック性のため中心エリア(楔プリズム10a〜10dに入射しない位置)を走査する光軸に平行なレーザビームと、周辺エリア(楔プリズム10a〜10dに入射する位置)を走査し光軸に平行なレーザビームが楔プリズム10a〜10dによって偏向され光軸に対し一定の角度を持つレーザビームとでは、レンズ3から被検物面6までの光路長が異なり、レーザスポットフォーカス位置が異なる。楔プリズム10a〜10dを通過したレーザビームは楔プリズム10a〜10dによって光軸に対し一定の角度偏向され、これにより、周辺エリアのレーザスポットフォーカス位置は被検物面よりレンズ3側よりになる。このため、周辺エリアに光路長補正ガラス11a〜11dを例えば図5に示したような位置に配置し、ビームスポット位置を同位置にする。
【0019】
以上説明した例では、楔プリズムは光軸の周辺に等間隔に4個配置されているが、この例に限定されることなく、例えば、1個でもよく、また4個以外の複数個であってもよい。その場合、光路長補正ガラスもそれに応じて増減されることは勿論である。
【0020】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明では、結像レンズ通過後のレーザビームを偏向させるのに、小型でも偏向角を大きくすることができる楔プリズムを使用しているために、入射角を大きくして検査範囲を広くすることができ、WD(ワーキングディスタンス)を短くすることができる。また、楔プリズムは小型であり、しかもWDが短いので、長い焦点距離のレンズが不必要となり、装置全体を小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)は従来のレーザ走査光学系の構成を示した平面図、(B)はその側面図である。
【図2】(A)はレーザ走査光学系により検査される半導体等のチップの良好なハンダ付け部を示した説明図、(B)はハンダ付け部が不良な場合の説明図である。
【図3】(A)は良好なハンダ付け部の場合のレーザビームの反射状態を示した説明図、(B)はハンダ付け部が不良な場合のレーザビームの反射状態を示した説明図である。
【図4】(A)はレーザ走査光学系により検査される半導体等のチップのリード部が垂直に延びる状態の説明図、(B)は半導体等のチップのリード部が内側に回り込んでハンダ付けされた状態を示した説明図である。
【図5】(A)は本発明によるレーザ走査光学系の構成を示した平面図、(B)はその側面図、(C)は楔プリズムによって得られる斜めの入射光による走査範囲を示した説明図である。
【符号の説明】
1 レーザ光源
2 走査手段
3 結像レンズ
6 被検物面
10a〜10d 楔プリズム
11a〜11d 光路長補正ガラス
Claims (2)
- レーザ光源と、前記レーザ光源から発せられたレーザビームを微小なレーザスポットに結像するレンズと、前記レーザビームを所定の走査角度で2次元的に走査しレーザスポットを光軸に垂直な走査面において走査させる走査手段と、前記レンズの後方に配置され、レンズを通過したレーザビームを透過、偏向する楔プリズムとから構成され、前記走査手段はテレセントリック光学系を形成するように前記レンズの前側焦点位置近傍に配置され、楔プリズムを通過する走査角度にあるレーザビームは前記走査面に対して斜めに、楔プリズムを通過しない走査角度にあるレーザビームは走査面に垂直に入射するようにし、前記楔プリズムとレンズ間には前記レーザビームのスポットフォーカス位置を補正する光学素子が配置されることを特徴とするレーザ走査光学系。
- 前記楔プリズムは、前記レンズの光軸を中心に複数個配置されることを特徴とする請求項1に記載のレーザ走査光学系。
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1995
- 1995-09-07 JP JP22974295A patent/JP3678810B2/ja not_active Expired - Fee Related
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