JP3678607B2 - 多層積層延伸フィルム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は多層積層延伸フィルムに関する。詳しくは、屈折率の低い層と高い層を交互に規則的に配置させ、層間の構造的な干渉によって光を選択反射させる多層積層延伸フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
多層積層フィルムは低い屈折率の層と高い屈折率の層とを交互に多数積層することで、これら層の間の構造的な光干渉によって特定の波長の光を選択的に反射し、透過する特性を付与することができ、光学干渉フィルムとすることができる。この染料を使用しない構造的な発色により、退色性や意匠性に優れたフィルムを提供することができる。また、選択的にある波長の光を反射し、その選択波長を制御できることより、玉虫色に見える意匠性に優れたフィルム、光の反射率が高いことを利用した金属を使わない金属光沢フィルム、反射ミラーとしての用途、延伸により屈折率の異方性を持たせて、反射型の偏光板としての用途が展開されている。
【0003】
このような多層積層フィルムとしては、米国特許第3711176号明細書には、厚みが0.05μmから1μmで、少なくとも屈折率が0.05の異なる層を少なくとも50層積層させ、厚みを変化させることで、赤外光、可視光、紫外光を選択的に反射できることが開示されており、色素を使わない発色フィルムや金属を使わない金属光沢フィルムが提案されている。米国特許第4310584号明細書には、多層化した真珠光沢の光干渉フィルムにポリエステルを使用することが記載されており、該フィルムは高屈折率のポリマーと低屈折率のポリマーの交互の層を有している積層未延伸フィルムである。高い屈折率のポリマー層は熱可塑性ポリエステルまたはコポリエステル〔例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレートおよび1種以上のグリコール及び/又は1種以上の二塩基酸を用いて合成された様々な熱可塑性コポリエステル〕を含むキャストした未延伸フィルムである。しかしながら、これらはいずれも未延伸フィルムであり、層の厚みの微妙な変化で発色する色が変化し、色斑等を生じる。米国特許第5122905号明細書(フィートリー)には、2種の、性質の異なるポリマー材料を多層に積層させ、入射光の少なくとも30%の反射率を示す反射フィルムが記載されている。各層は光学的厚さが少なくとも0.45μmであり、隣接する層の屈折率差は少なくとも0.03である。米国特許第5122506号明細書(フィートリーら)には同様に反射体が記載されており、各層は事実上大半が0.09μm以下、または少なくとも0.45μmの厚さを有し、かつ隣接する層の屈折率差は少なくとも0.03である。米国特許第5126880号明細書(フィートリーら)にも、層の一部の厚さが0.09〜0.45μmの間である多層反射体が記載されており、残りの層の光学的厚さは0.09μmより大きくなくまたは少なくとも0.45μmである。屈折率の差は少なくとも0.03である。
【0004】
上記3件のフィートリーの米国特許明細書は、ポリマー材料を積層させて、反射体を作る際、顕著な真珠光沢を呈さずに、構造的な光干渉によって広い波長領域で反射体を作るのは難しいことを示している。フィートリーの上記米国特許第5126880号明細書にはより厚い層が均一なバックグランド反射を与えるため、そのような反射体での真珠光沢は、裸眼では殆ど見えないことが記載されている。
【0005】
米国特許第3610729号明細書には、多層積層フィルムの一軸延伸によって、1つの偏光面の光は反射すると同時にそれと直交の偏光面を持つ光を実質上透過するような偏光子が記載されている。これは、1軸延伸によって、一方の層が複屈折を持ち、かつ他方が等方性であるような交互のポリマー層から形成されている。一方の層の複屈折は、1軸延伸の結果、ポリマー分子を単方向に配向させることによって発現される。また、複屈折を示す層は、延伸により、延伸方向においては屈折率が増大するが、面内のそれと直交する方向においては屈折率が減少し、複屈折が増大する。したがって、該層は、延伸方向と直交する方向の屈折率が隣接する等方性層の屈折率と等しくなるまで延伸されることで、延伸方向では隣接する層間の屈折率差は大きくなり、それと直交する方向の屈折率は隣接する層の屈折率と実質的に等しくなる。複屈折を示す層のポリマーとしては、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリスルホン、ポリカーボネート、およびポリパラキシリレンが有用な材料と記載されている。米国特許第4525413号明細書では、極めて高い屈折率が列挙されたいくつかの材料によって達せられるが、これらの材料は光透過性能、押出し加工性が乏しく、高いコストのため、製造上の問題を含んでいる。
【0006】
現在市販されている偏光子の多くは、延伸された着色ポリマーフィルム(吸収偏光子)である。この吸収偏光子では、1つの偏光面の光を透過し、それと直交する光は吸収して熱に転化することで、直線偏光を作り出しており、その偏光度は極めて高い上、フィルム状であるため、平面状の表示素子に組み込みやすく、LCD等の表示素子に唯一使用されている。しかしながら、吸収により、偏光を作り出しているために、原理的に光の利用効率は高くない。また、液晶プロジェクターのような高光量下での使用では、吸収による熱の蓄積が問題になり、また、2色性染料を劣化させたり、ベースポリマーであるPVA(ポリビニルアルコール)の耐熱性が問題となる。
【0007】
米国特許第4756953号明細書には、一軸延伸したポリエチレンナフタレート(PEN)に組み込まれた二色性染料の使用が記載されている。PENは、通常のPVAをベースとする偏光子に比べて、耐熱性、耐水性に優れている。このような吸収型の偏光子は、偏光度は高いが、光の利用効率が低い。それに対して、反射型の偏光子は、偏光度は低いが、吸収が無いので、高光量下で利用でき、また反射した光の偏光を転換して、利用効率を高めることもできる。
【0008】
米国特許第5486949号明細書には、多様なポリマーの組み合わせによる積層させた反射型の偏光子が記載されている。この偏光子は未延伸ではほぼ等しい屈折率を示すが、一軸延伸された時、ポリマー間の屈折率差が発現されるような第一および第二のポリマー材料を多数積層させたものであり、ポリエチレン2−6ナフタレート(PEN)は最適な材料のひとつとして例示されている。
【0009】
また、特表平9−506837号公報にも、ナフタレンジカルボン酸ポリエステルと別の選ばれたポリマーとの複数の交互の層を含んでなる多層化ポリマーフィルムで厚さが0.5μm未満であり、かつ結晶性ナフタレンジカルボン酸ポリエステル層の少なくとも1つの面内軸に関する屈折率が、選ばれたポリマーの隣接する層よりも高いフィルムが記載されている。さらに、特表平9−506984号公報には、このような多層化ポリマーフィルムを用いた反射偏光子が記載されている。
【0010】
しかし、これらの多層化ポリマーフィルムは、光学的に光線透過率を高くさせるために、表面層中には、滑剤を含んでおらず、ハンドリングが難しい。特に、厚いフィルムでは、問題は少ないが、薄いフィルムを製膜する場合は、巻取りが困難であり、ハンドリングが出来なくなる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、光干渉によって特定の波長の光を選択的に反射させる多層積層延伸フィルムであって、選択性や発色性を高めるとともに、製膜性、巻取り性、ハンドリング性に優れた、光干渉フィルムとして有用な多層積層延伸フィルムを提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは鋭意研究の結果、ある大きさの不活性粒子、好ましくは光学的な特性をあまり劣化させない不活性粒子を少量含有するポリエチレン−2,6−ナフタレートからなる層と、シンジオタクティックポリスチレンからなる層とを、総数で11層以上、好ましくは31層以上交互に積層し、かつこれら2種の層のそれぞれの1層の厚みを特定の厚みにすることで上記課題を解決できることを見出し、本発明に到達した。
【0013】
すなわち、本発明は、平均粒径が0.01〜2μmの不活性粒子を0.001〜0.5重量%含有するポリエチレン−2,6−ナフタレートからなる層(A層)とシンジオタクティックポリスチレンからなる層(B層)とを交互に総数11層以上積層し、A層およびB層の各1層の厚みが0.05〜0.3μmであることを特徴とする少なくとも1方向に延伸された多層積層延伸フィルムである。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明においてA層を構成するのはポリエチレン−2,6−ナフタレートである。このポリエチレン−2,6−ナフタレートは、ポリエチレン−2,6−ナフタレートホモポリマー及びエチレン−2,6−ナフタレート成分がポリマーを構成する全成分の85モル%以上、好ましくは98モル%以上を占めるコポリマーを包含する。これらの中上記ホモポリマーが好ましい。これらを用いることで、A層が延伸に対して高い屈折率を有するという利点を有する。
【0015】
上記コポリマーを構成する共重合成分としては、酸成分としては例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸のような他の芳香族カルボン酸;アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸等の如き脂肪族ジカルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸の如き脂環族ジカルボン酸等を挙げることができ、グリコール成分としては例えば、ブタンジオール、ヘキサンジオール等の如き脂肪族ジオール;シクロヘキサンジメタノールの如き脂環族ジオール等を挙げることができる。
【0016】
前記ポリエチレン−2,6−ナフタレートの固有粘度(オルソクロロフェノール、35℃)は0.45〜0.8、さらには0.5〜0.7が好ましい。
【0017】
本発明においてA層を構成するポリエチレン−2,6−ナフタレートは、フィルムの巻取り性を向上させるため、平均粒径が0.01μmから2μmの範囲にある不活性粒子を0.001重量%から0.5重量%の割合で含有する。不活性粒子の平均粒径が0.01μm未満ではフィルムの巻取り性向上が不十分であり、一方2μmを超えると粒子による光学特性の悪化が顕著になり、フィルム全体の光線透過率が減少する。この光線透過率は70%以上が好ましく、これより小さいと光学用途には性能不足となる。この平均粒径は、好ましくは0.05〜1μmであり、更に好ましくは0.1〜0.3μmである。また、不活性粒子の含有量が0.001重量%未満では巻取り性向上の効果が不十分であり、一方0.5重量%を超えると光学特性の悪化が顕著となる。この含有量は、好ましくは0.005〜0.2重量%である。このような不活性粒子としては、例えばシリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、燐酸カルシウム、カオリン、タルクのような無機不活性粒子、シリコーン、架橋ポリスチレン、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体のような有機不活粒子を挙げることができる。前記不活性粒子は、その長径と短径の比が1.2以下、さらには1.1以下である球状粒子(以下、真球状粒子ということがある)であることが、フィルムの滑り性と光学特性をバランスさせる点から好ましい。前記不活性粒子は、また、粒度分布がシャープであることが好ましく、例えば相対標準偏差が0.3未満、さらには0.2未満のものが好ましい。相対標準偏差が大きい粒子を使用すると、粗大粒子の頻度が大きくなり、光学的な欠陥を生ずる場合がある。ここで、不活性粒子の平均粒径、粒径比及び相対標準偏差は、まず粒子表面に導電性付与のための金属を極く薄くスパッターし、電子顕微鏡にて、1万〜3万倍に拡大した像から、長径、短径および面積円相当径を求め、次いでこれらを次式の当てはめることで算出される。
平均粒径=測定粒子の面積円相当径の総和/測定粒子数
粒径比=粒子の平均長径/該粒子の平均短径
【0018】
【数1】
Figure 0003678607
【0019】
なお、不活性粒子としては、酸化チタンや硫化亜鉛のような顔料として作用するような粒子や着色している粒子は、光学的な特性を劣化させるので、その使用を出きるだけ避けた方が好ましい。
【0020】
本発明においてB層を構成するポリマーとして、シンジオタクティックポリスチレンを用いる。シンジオタクティックポリスチレンとは、立体構造がシンジオタクティック構造、すなわち炭素−炭素結合から形成される主鎖に対して、側鎖であるフェニル基や置換フェニル基が交互に反対方向に位置する立体構造を有するものであり、そのタクティシティーは、同位体炭素による核磁気共鳴法により定量される。この方法で測定されるタクティシティーは、連続する複数個の構成単位の存在割合、例えば2個の場合はダイアッド、3個の場合はトリアッド、5個の場合はペンタッドによって示すことができるが、本発明でいうシンジオタクティックポリスチレンとしては、通常は、ラセミダイアッドで75%以上、好ましくは85%以上、若しくはラセミペンタッドで30%以上、好ましくは50%以上のシンジオタクティシティーを有するポリスチレン、ポリアルキルスチレン、ポリハロゲン化スチレン、ポリアルコキシスチレン、ポリビニル安息香酸、あるいはこれらの水素化重合体およびこれらの共重合体を挙げることができる。これらの中で好ましいシンジオタクティックポリスチレンとしては、融点が220〜270℃の範囲にあるものである。更に好ましくは、240〜270℃の範囲にあるものである。またシンジオタクティックポリスチレンとして共重合体を用いることができ、p−メチルスチレンとの共重合体が好ましい。ここで、ホモシンジオタクティックポリスチレンの融点は、270℃である。この共重合体の融点を上記範囲とするには、p−メチルスチレンの共重合量を調整すれば良い。p−メチルスチレンが多いと融点は低下し結晶性も低下する。共重合量としては、0〜20モル%が好ましい。融点が、220℃より低いと、シンジオタクティックポリスチレンの結晶性が低下しすぎ、製膜が難しくなり、また耐熱性(熱処理を受けた時の寸法変化)が悪くなる。このシンジオタクティックポリスチレンからなるB層には、光学的な特性が悪化しない範囲であれば、不活性粒子が添加されていても支障は無いが、不活性粒子は実質的に含有されない事が好ましい。アタクティックポリスチレンやアイソタクティックポリスチレンは、結晶性が低く製膜が難しく、また結晶構造を持たないか構造がルーズであるために、耐熱性が悪いので好ましくない。
【0021】
ポリエチレン−2,6−ナフタレートは、延伸により延伸方向の屈折率は増加するが、シンジオタクティックポリスチレンは、負の光学異方性を示すため延伸方向の屈折率が増大しにくく、両層の屈折率差を大きくすることができる。
【0022】
ポリエチレン−2,6−ナフタレートからなる層(A層)とシンジオタクティックポリスチレンからなる層(B層)との融点差は、30℃以内であることが好ましい。この差が30℃より大きくなると、溶融して積層した後、固化して未延伸シートを形成させる時点において、層間の剥離が生じたり、その後の延伸時に剥離が生じたりするので好ましくない。
【0023】
本発明の多層積層延伸フィルムは、上記のようなA層とB層を総数で11層以上、好ましくは31層以上、さらに好ましくは31層から301層交互に積層したものである。11層未満の積層では多重干渉による選択反射が小さくなり、反射率が大きくならない。多層積層延伸ポリエステルフィルムの最表面をともにA層とすることが好ましい。A層を形成するポリマーのガラス転移点は、B層を形成するポリマーのガラス転移点よりも高いので、B層が表面では、延伸のためロール等で加熱する際に、A層を延伸するのに必要な延伸温度に上げることができず、A層を延伸することが出来ない。またB層が表面であると熱固定する際に表面が融解するために、あまり温度が上げられず、熱的な安定性が不充分である。
【0024】
また、前記多層積層延伸ポリエステルフィルムの片面または両面に全体厚みを調整するために、光学的特性が悪化しない範囲で、他の層をさらに積層させてもよい。
【0025】
本発明の多層積層延伸フィルムは少なくとも1方向に延伸され、好ましくは2軸延伸されている。延伸温度はA層のTgからTg+50℃の範囲で行うことが好ましい。延伸倍率としては、1軸延伸の場合、2倍から10倍で、延伸方向は、縦方向であっても横方向であっても構わない。2軸延伸の場合は、縦方向および横方向の延伸倍率が1.2倍以上、さらには1.5倍以上であって、面積倍率として5倍から25倍である。延伸倍率が大きい程、延伸前の厚みを大きくすることができる利点を有する。同時に、延伸に供する前の積層フィルムの層厚みの層間のバラツキが相対的には同じである場合、高倍率延伸による簿層化により、絶対的な厚みバラツキが小さくなり、各層での光干渉が大きくなり、反射率が増大するので好ましい。かかる点から、面積倍率は8倍以上、さらには10倍以上であることが好ましい。延伸方法としては、逐次2軸延伸、同時2軸延伸、チューブラー延伸、インフレーション延伸等の公知の延伸方法が可能であるが、逐次2軸延伸が生産性、品質の面で有利であり、好ましい。そして、延伸されたフィルムは、熱的な安定化のために、熱処理(熱固定処理)をするのが好ましい。熱処理の温度としては、(A層ポリマーの融点(TmA)−60)℃〜(TmA−10)℃の範囲が好ましい。ただし、あまり高いとB層の融解が始まるため、厚み斑の悪化や連続製膜性が低下する。
【0026】
本発明における多層積層延伸ポリエステルフィルムは、A層およびB層はそれぞれ1層の厚みが0.05〜0.3μmであり、各層の厚みのバラツキが相対標準偏差で0.15以下であることが好ましい。この相対標準偏差が0.15を超えると、各層での干渉が弱くなり、反射率が低下する。A層(またはB層)の厚みの相対標準偏差は下記式から求められる。
【0027】
【数2】
Figure 0003678607
【0028】
本発明の多層積層延伸フィルムは、好ましくは下記の方法で製造される。まず、フィードブロックを用いた同時多層押し出し法により、積層未延伸フィリムを製造する。すなわち、A層を形成するポリマー(すなわち、不活性粒子を含有するポリエチレン−2,6−ナフタレート)の溶融物とB層を形成するポリマー(すなわち、シンジオタクティックポリスチレン)の溶融物を、フィードブロックを用いて2層が交互にかつ両表面にA層が形成されるように積層し、ダイに展開して押出す。このとき、フィードブロックで積層されたポリマーは積層された形態を維持している。ダイより押し出されたシートは、キャスティングドラムで冷却固化され、多層積層未延伸フィルムとなる。この未延伸フィルムは、前述の延伸条件で加熱され、縦方向および/または横方向に延伸され、熱処理され、巻き取られる。
【0029】
【実施例】
次に実施例をもって、本発明を説明する。なお、例中の物性は下記の方法で測定した。
(1)ポリエステルの融点、ガラス転移点(Tg)
ポリエステルのチップを20mgサンプリングし、TAインスツルメンツ社製DSC(DSC2920)を用い、20℃/min.の昇温速度で、ガラス転移度および融点を測定する。
【0030】
(2)各層の厚み
積層フィルムを三角形に切り出し、包埋カプセルに固定後、エポキシ樹脂にて包埋する。ミクロトーム(ULTRACUT−S)で縦方向に平行な断面を50nm厚の薄膜切片にする。透過型電子顕微鏡を用い、加速電圧100kvにて観察、撮影し、写真より、各層の厚みを測定し、平均厚み、相対標準偏差を求める。
【0031】
(3)反射率
島津製作所製分光光度計MPC−3100を用い、各波長でのアルミ蒸着したミラーとの相対鏡面反射率を波長350nmから2100nmの範囲で測定する。その反射率がピークとなる波長をピーク波長とし、その反射率を測定する。
【0032】
(4)透過率
反射率と同様に島津製作所製分光光度計MPC−3100を用い、各波長での光線透過率を波長350nmから2100nmの範囲で測定する。そのピーク波長と透過率を測定する。
【0033】
(5)全光線透過率
各波長での光線透過率を求め、可視光領域(450nm〜700nm)での平均光線透過率を全光線透過率とする。
【0034】
(6)巻き取り性
製膜したフィルムを巻き取る際に、次ぎの基準でランク分けする。
◎:巻き取りに問題無い
○:速度を落としたり、条件調整して、巻き取れる
△:ブツ、シワ等が発生するが、何とか巻き取れる
×:条件調整しても、ブツやシワがひどく、巻き取れない
【0035】
(7)製膜性
製膜時の状況を観察し、次ぎの基準でランク分けする。
◎:製膜する上で切断等の問題が無い。
○:製膜可能であるための条件が狭く限定されるが、長尺のロールの採取は可能。
△:連続製膜する上で、切断等の問題があり、長尺のロールを採取するのが難しい。
×:連続製膜性に劣り、極短時間でしか製膜ができない。
【0036】
[実施例1]
平均粒径0.15μm、長径と短径の比が1.04、粒径の相対標準偏差が0.13の真球状シリカ粒子を0.08wt%添加した、固有粘度(オルソクロロフェノール、35℃)0.62のポリエチレン−2,6−ナフタレート(PEN)をA層の樹脂として調製した。また不活性粒子を含まないp−メチルスチレンを8モル%共重合した、シンジオタクティックポリスチレンをB層の樹脂として調製した。A層のポリマーの融点(Tm)は269℃、ガラス転移点(Tg)は121℃、B層のポリマーの融点(Tm)は、250℃、ガラス転移点(Tg)は100℃であった。A層のポリマーを160℃で3時間、B層のポリマーを100℃で3時間乾燥後、押し出し機に供給して溶融し、A層ポリマーを25層、B層ポリマーを24層に分岐させた後、A層とB層が交互に積層するような多層フィードブロック装置を使用して合流させ、その積層状態を保持したままダイへと導き、キャスティングドラム上にキャストしてA層とB層が交互の積層された総数49層の積層未延伸シートを作成した。このとき、A層とB層のポリマーの押し出し量比が1:0.7になるように調整し、かつ両表面層がA層となるように積層させた。前記積層未延伸シートを150℃の温度で縦方向に3.5倍延伸し、さらに155℃の延伸温度で横方向に5.5倍に延伸し、220℃で3秒間熱処理を行った。製造条件、フィルム物性を表1〜3に示す。
【0037】
[実施例2〜4および6〜11、比較例1〜1、参考例1]
製造条件を表1および2に示すように種々調整し、実施例1と同様にしてフィルムを得た。ただし、実施例11では、縦延伸をせず、横延伸のみを実施した。それらの特性を表3に示す。
【0038】
【表1】
Figure 0003678607
【0039】
【表2】
Figure 0003678607
【0040】
【表3】
Figure 0003678607
【0041】
【発明の効果】
本発明は屈折率の低い層と高い層を交互に規則的に配置させ、層間の構造的な干渉によって光を選択反射させる多層積層延伸フィルムであって、極めて効率的に干渉による選択反射を達成でき、且つ巻き取り性、製膜性に優れた多層積層延伸フィルムを提供する。

Claims (9)

  1. 平均粒径が0.01〜2μmの不活性粒子を0.001〜0.5重量%含有するポリエチレン−2,6−ナフタレートからなる層(A層)とp−メチルスチレン共重合シンジオタクティックポリスチレンからなる層(B層)とを交互に総数11層以上積層し、A層およびB層の各1層の厚みが0.05〜0.3μmであることを特徴とする少なくとも1軸方向に延伸された多層積層延伸フィルム。
  2. A層中の不活性粒子が長径と短径の比が1.2以下の球状粒子である請求項1記載の多層積層延伸フィルム。
  3. B層のp−メチルスチレン共重合シンジオタクティックポリスチレンの融点が220〜270℃である請求項1または2記載の多層積層延伸フィルム。
  4. 積層総数が31層以上である請求項1〜のいずれかに記載の多層積層延伸フィルム。
  5. A層を構成するポリエチレン−2,6−ナフタレートの融点とB層を構成するp−メチルスチレン共重合シンジオタクティックポリスチレンの融点との差が30℃以下である請求項1記載の多層積層延伸フィルム。
  6. 多層積層構造のうち、少なくとも11層の交互積層構造を形成するA層およびB層の各層の厚みの相対標準偏差が0.15以下である請求項1記載の多層積層延伸フィルム。
  7. 多層積層構造のうち、少なくとも31層の交互積層構造を形成するA層およびB層の各層の厚みの相対標準偏差が0.15以下である請求項記載の多層積層延伸フィルム。
  8. 最表面がともにA層である請求項1記載の多層積層延伸フィルム。
  9. 多層積層延伸フィルムが2軸延伸フィルムである請求項1記載の多層積層延伸フィルム。
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