JP3678157B2 - 吸収性物品 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、生理用ナプキンや使い捨ておむつなどの吸収性物品に関し、更に詳しくは、中央に隆起部を有し、着用者の身体との密着性が向上した吸収性物品に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
生理用ナプキン、失禁パッド、パンティライナ等の吸収性物品においては、着衣当接面側へ向けて物品を長手方向に湾曲させることで、着用者の身体に密着させるものが多い。そのような吸収性物品では、長手方向からの漏れ防止は可能であるが、吸収性物品の幅方向での密着性が得らず、幅方向からの漏れが起こり易い。そこで、吸収性物品の左右両側部に立体ギャザーを設け、幅方向からの漏れを防止するようにしている。しかし、この場合には、排泄された液が、立体ギャザーの位置する左右両側部まで流れることになるので、物品の表面がべたつき快適な装着感が得られない場合がある。
【0003】
また特開2000−264号公報や特表平10−500047号公報に記載されているように、中央部を周縁部よりも高くして着用者の身体に密着させようとする吸収性物品も知られている。しかし、そのような形状の吸収性物品は、すべての着用者の体型に合致するわけではないので、装着により違和感が生ずる場合がある。
【0004】
従って、本発明は、着用者の身体との密着性を高めつつ、着用による違和感の発生が防止された吸収性物品を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、液透過性の表面シート、液不透過性の裏面シート及び両シート間に介在された液保持性の吸収体を有する吸収性物品において、
前記吸収体は、吸収性物品の外形にほぼ合致した形状の下部吸収体と、該下部吸収体の表面シート対向面上に配され且つ該下部吸収体よりも小さい上部吸収体とから構成され、該上部吸収体によって、表面シート対向面側の幅方向中央部に、長手方向へ延びる隆起部が形成されており、該上部吸収体の周囲に、該上部吸収体を実質的に取り囲むひも状の弾性部材が伸張状態で配されている吸収性物品を提供することにより前記目的を達成したものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。図1には、本発明の吸収性物品の第1の実施形態としての生理用ナプキンが一部破断されて示されている。また図2には、図1に示される生理用ナプキンにおけるII−II線断面図が示されている。
【0007】
図1に示すように、本実施形態の生理用ナプキン1は縦長の形状をしており、液透過性の表面シート2、液不透過性の裏面シート3、及び両シート間に介在された液保持性の吸収体4を有している。表面シート2は、吸収体4の上面全域を覆っている。更に表面シート2は、吸収体4の左右両側縁から下面側に折り込まれて、吸収体4の下面における左右両側部を覆っている。そして、吸収体4の下面に折り込まれた表面シート2が、ホットメルト粘着剤等の所定の接合手段によって裏面シート3と接合されている。また、表面シート2及び裏面シート3は何れも吸収体4の前後端縁から外方に延出しており、延出した表面シート2と裏面シート3とが、ヒートシール等の所定の接合手段によって接合されている。裏面シート3の外面には、ナプキン1を着衣に固定するための粘着剤(図示せず)が塗布されている。粘着剤は、ナプキン1の幅方向へ延びるストライプ状に複数本塗布されている。
【0008】
表面シート2及び裏面シート3及び吸収体4としては、吸収性物品の技術分野において公知のものを特に制限無く用いることができる。例えば表面シート2としては、液透過性を有する各種不織布や、多数の開孔を有する合成樹脂製のフィルムなどを用いることができる。裏面シート3としては、液不透過性である合成樹脂製のフィルムを用いることができる。斯かるフィルムは透湿性を有していてもよい。
【0009】
吸収体4は、下部吸収体4aと、該下部吸収体4aの表面シート対向面上に配された上部吸収体4bとから構成されている。下部吸収体4aは、ナプキン1の外形にほぼ合致した形状をしている。上部吸収体4bは、その厚みが下部吸収体4aの厚みとほぼ同程度であり、大きさは下部吸収体4aよりも小さくなっている。上部吸収体4bは、下部吸収体4aの幅方向及び長手方向の中央部に配されており、下部吸収体4aの長手方向へ延びる楕円形の形状をしている。このような構成の下部吸収体4a及び上部吸収体4bによって、吸収体4は、その表面シート対向面側の幅方向中央部に、吸収体4の周縁部よりも高さの高い隆起部を有することになる。両吸収体4a,4bは、例えばパルプと高吸収性ポリマーの粒子との混合物から構成されている。
【0010】
本実施形態のナプキン1においては、下部吸収体4aの表面シート対向面上に、ひも状の2本の弾性部材5a,5bが伸張状態でそれぞれ配されている。各弾性部材5a,5bは、前述した隆起部である上部吸収体4bの周囲を実質的に取り囲むように配されている。また各弾性部材5a,5bは、ナプキン1の長手方向一端部から他端部に亘ってナプキン1の長手方向に延びており、ナプキン1の縦中心線に対して対称に配されている。
【0011】
具体的には、各弾性部材5a,5bは、ナプキン1の一端部の幅方向中央部における第1の接合部6aの位置で、ホットメルト粘着剤等の所定の接合手段によって下部吸収体4aに接合されている。そして各弾性部材5a,5bは、第1の接合部6aを基端点としてナプキン1の縦中心線に沿って上部吸収体4bへ向かって延びている。上部吸収体4bの一方の端縁のやや手前に位置する第2の接合部6bの位置で、各弾性部材5a,5bは、ホットメルト粘着剤等の接合手段によって下部吸収体4aに接合されている。第2の接合部6bの位置で接合されている各弾性部材5a,5bは該位置で分岐して、上部吸収体4bの左右の周縁にそれぞれ沿いながら延びている。更に、上部吸収体4bの左右の周縁にそれぞれ沿いながら延びる各弾性部材5a,5bは、上部吸収体4bの他方の端縁近傍に位置する第3の接合部6cの位置で合流し、該第3の接合部の位置で、ホットメルト粘着剤等の接合手段によって下部吸収体4aに接合されている。そして、各弾性部材5a,5bは、第3の接合部6cの位置から、ナプキン1の他端部の幅方向中央部に位置する第4の接合部6dの位置まで延びて、該第4の接合部6dの位置で、ホットメルト粘着剤等の接合手段によって下部吸収体4aに接合されている。
【0012】
各弾性部材5a,5bは、第1の接合部6aと第2の接合部6bとの間、第2の接合部6bと第3の接合部6cとの間、及び第3の接合部6cと第4の接合部6dとの間において、下部吸収体4aに弱く接合されていると共に伸張状態となっている。
【0013】
斯かる構成により、各弾性部材5a,5bの収縮力に起因して、吸収体4のうち弾性部材5a,5bによって取り囲まれた領域、つまり上部吸収体4b及び該上部吸収体4bに対応する位置にある下部吸収体4aが表面シート側に隆起する。上部吸収体4bを含む吸収体4が隆起する結果、ナプキン1は着用者の身体に密着するようになる。しかも、弾性部材5a,5bは伸縮可能となっているから、着用者の体型に応じて弾性部材5a,5bの伸縮の度合いが変化し、それに対応して吸収体4の隆起の度合いも変化する。その結果、着用者の身体に最も合致した形状に吸収体4が隆起して、着用による違和感が生ずるおそれもない。このように、本実施形態のナプキン1によれば、着用者の身体との密着性が高まり、且つ着用による違和感の発生が防止されたものとなる。その上、吸収体4は下部吸収体4aと上部吸収体4bとの二段の構造となっており、隆起した部分に上部吸収体4bが存在しているので、該部分の吸収量が高いという利点もある。
【0014】
また前述した通り、各弾性部材5a,5bは、第1の接合部6aと第2の接合部6bとの間、及び第3の接合部6cと第4の接合部6dとの間において、伸張状態となっているので、その収縮力によってナプキン1は着衣当接面側へ向けて長手方向に凸状に湾曲する。これによっても、ナプキン1と着用者の身体との密着性が高まる。
【0015】
更に、本実施形態のナプキン1においては、第2の接合部6b及び第3の接合部6cの位置をナプキン1の長手方向へ適宜ずらすことで、第2の接合部6bと第3の接合部6cとの間での各弾性部材5a,5bの収縮力を制御でき、これによって上部吸収体4bを含む吸収体4の隆起の程度を制御できる。またナプキン1が着衣当接面側へ向けて凸状に湾曲する程度も制御できる.
【0016】
各弾性部材5a,5bが、ナプキン1の縦中心線に対して対称に配されていることは前述の通りであるが、その場合、各弾性部材5a,5bは互いに交差しないように配されている。これによって、弾性部材5a,5bが交差することに起因するナプキン1のヨレやねじれの発生が防止される。
【0017】
下部吸収体4aと各弾性部材5a,5bとの接合手段は、これらの構成材料に応じて適切な手段が用いられる。例えば、下部吸収体4a及び各弾性部材5a,5bに熱融着性の材料が含まれている場合にはヒートシールによって接合することができる。熱融着性の材料が含まれていない場合にはホットメルト粘着剤などを用いた接着によって接合することができる。また、これらを組み合わせて接合してもよい。
【0018】
ナプキン1の表面シート側には、隆起部としての上部吸収体4bの周囲を取り囲む実質的に連続した溝部7が形成されている。溝部7は、各弾性部材5a,5bが配されている位置よりもやや内側の位置に形成されている。また溝部7は、表面シート2及び下部吸収体4aが圧密化されて形成されている。溝部7をこのように構成することで、弾性部材5a,5bの収縮によるナプキン1の湾曲が、溝部7の位置をきっかけとして起こり易くなり、ナプキン1が着用者の身体に一層密着しやすくなる。また、溝部7の防漏効果によって上部吸収体4bに吸収された液が、下部吸収体4bへ拡散することが防止される。
【0019】
各弾性部材5a,5bは、糸状、細帯状等のひも状のものである。糸状の場合には、太さが100〜1500dtex程度のものが好適に用いられ、細帯状の場合には、幅が3〜30mm程度、厚みが0.01〜0.1mm程度のものが好適に用いられる。
【0020】
各弾性部材5a,5bは、100%伸張力が100〜1000cN、特に200〜500cN程度のものであることが、吸収体4の適度な隆起の点から好ましい。また、各弾性部材5a,5bは、伸張率110〜200%、特に120〜150%に伸張された状態で配されていることが、同様の理由から好ましい。
【0021】
各弾性部材5a,5bを構成する材料としては、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、塩ビ系エラストマー、ウレタン系エラストマー、エステル系エラストマー、アミド系エラストマー、シンジオタクチックポリ(1,2−ブタジエン)、ポリ(トランス−1,4−イソプレン)等が挙げられ、特にウレタン系エラストマー及びエステル系エラストマーが好適に用いられる。
【0022】
次に、本発明の第2の実施形態について図3を参照しながら説明する。第2の実施形態については、第1の実施形態と異なる点についてのみ説明し、特に説明しない点については、第1の実施形態に関して詳述した説明が適宜適用される。また、図3において、図1及び図2と同じ部材に同じ符号を付してある。
【0023】
図3に示す実施形態のナプキン1が、第1の実施形態のナプキンと異なる点は、弾性部材5a,5bの配置状態である。本実施形態においては、各弾性部材5a,5bは、ナプキン1の幅方向一側部から他側部に亘ってナプキン1の幅方向に延びており、ナプキン1の横中心線に対して対称に配されている。各弾性部材5a,5bが、隆起部である上部吸収体4bの周囲を実質的に取り囲むように配されている点は第1の実施形態と同様である。尚、本実施形態のナプキン1も第1の実施形態のナプキンと同様に、表面シート側に、隆起部としての上部吸収体4bの周囲を取り囲む実質的に連続した溝部が形成されているが、図3においては、該溝部は省略されている。
【0024】
各弾性部材5a,5bは、上部吸収体4bの左右両側縁の近傍にそれぞれ位置する第1の接合部6a及び第4の接合部6dの位置で下部吸収体4aに接合されている。更に、各弾性部材5a,5bは、ナプキン1の左右両側縁の近傍に位置する第2の接合部6b及び第3の接合部6cの位置でやはり下部吸収体4aに接合されている。第1の接合部6aから第2の接合部6bまでの間、及び第3の接合部6cから第4の接合部6dまでの間では、各弾性部材5a,5bは、ナプキン1の横中心線に沿って配されている。
【0025】
斯かる構成によって、本実施形態のナプキン1は、第1の実施形態のナプキンと同様に、隆起部としての上部吸収体4bが表面シート側に隆起し、ナプキン1と着用者の身体との密着性が高まり、またナプキン着用による違和感の発生が防止される。また、弾性部材5a,5bが、第1の接合部6aから第2の接合部6bまでの間、及び第3の接合部6cから第4の接合部6dまでの間で収縮することで、ナプキン1の両側部が持ち上がり、ナプキン1は着衣当接面側へ向けて幅方向に凸状に湾曲する。
【0026】
更に本実施形態のナプキン1においては、第1の実施形態のナプキンと同様に、各弾性部位材5a,5bが互いに交差しないように配されている。これによって第1の実施形態のナプキンと同様の効果が奏される。
【0027】
本実施形態においては、第1の接合部6a及び第2の接合部6bの位置を、ナプキン1の幅方向で適宜左右にずらことで、上部吸収体4aを含む吸収体4の隆起の程度を制御することができる。
【0028】
本発明は前記実施形態に制限されない。例えば前記実施形態においては、各弾性部材5a,5bは、下部吸収体4aの表面シート対向面上に配されていたが、これに代えて、吸収体4中(下部吸収体4a中)や、下部吸収体4aの裏面シート対向面上に各弾性部材5a,5bを配してもよい。
【0029】
また前記実施形態においては、2本の弾性部材5a,5bで、吸収体4の隆起部(上部吸収体4b)の周囲を取り囲んだが、これに代えて1本又は3本以上の弾性部材で隆起部(上部吸収体4b)の周囲を取り囲んでもよい。
【0030】
また前記実施形態においては、各弾性部材5a,5bを、ナプキン1の長手方向一端部から他端部に亘り、又は幅方向一側部から他側部に亘り配したが、これに代えて、吸収体4の隆起部(上部吸収体4b)の周囲にのみ弾性部材を配してもよい。
【0031】
また前記実施形態においては、図2に示すように、弾性部材5a,5bの収縮力によって吸収体4が隆起し、バックシート3から浮いた状態となっているが、吸収体4とバックシート3とが接合されている場合には、吸収体4と共にバックシート3も浮いた状態となる。更に、弾性部材5a,5bの配置状態や、弾性部材5a,5bと吸収体4との接合状態によっては、吸収体4の中央部が弾性部材5a,5bの収縮力によって絞られることで該中央部の厚みが大きくなることもある。
【0032】
本発明は、前述した生理用ナプキンに限られず、失禁パッド、パンティライナ、使い捨ておむつなどの他の吸収性物品にも同様に適用できる。
【0033】
【発明の効果】
本発明の吸収性物品によれば、着用者の身体との密着性が高まり、また着用による違和感の発生が防止される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の吸収性物品の第1の実施形態としての生理用ナプキンを示す一部破断斜視図である。
【図2】図1におけるII−II線断面図である。
【図3】本発明の吸収性物品の第2の実施形態としての生理用ナプキンを示す斜視図(図1相当図)である。
【符号の説明】
1 生理用ナプキン(吸収性物品)
2 表面シート
3 裏面シート
4 吸収体
4a 下部吸収体
4b 上部吸収体
5a,5b 弾性部材
6a,6b,6c,6d 接合部
7 溝部
Claims (7)
- 液透過性の表面シート、液不透過性の裏面シート及び両シート間に介在された液保持性の吸収体を有する吸収性物品において、
前記吸収体は、吸収性物品の外形にほぼ合致した形状の下部吸収体と、該下部吸収体の表面シート対向面上に配され且つ該下部吸収体よりも小さい上部吸収体とから構成され、該上部吸収体によって、表面シート対向面側の幅方向中央部に、長手方向へ延びる隆起部が形成されており、該上部吸収体の周囲に、該上部吸収体を実質的に取り囲むひも状の弾性部材が伸張状態で配されている吸収性物品。 - 前記弾性部材が前記下部吸収体の表面シート対向面上に配されている請求項1記載の吸収性物品。
- 前記弾性部材が、前記吸収体の内部に配されているか、又は前記吸収体における裏面シート対向面上に配されている請求項1記載の吸収性物品。
- 前記隆起部の周囲を実質的に取り囲み且つ少なくとも前記表面シート及び前記吸収体が圧密化されてなる溝部が形成されている請求項1又は2記載の吸収性物品。
- 前記弾性部材が2本配されており、各弾性部材は、互いに交差しないように前記吸収性物品の長手方向又は幅方向に延びている請求項1〜4の何れかに記載の吸収性物品。
- 各弾性部材は、吸収性物品の長手方向一端部から他端部に亘って吸収性物品の長手方向に延び吸収性物品の縦中心線に対して対称に配されていると共に前記上部吸収体の周囲を取り囲むように配されており、
各弾性部材は、前記上部吸収体の両端縁の近傍で前記下部吸収体に接合されていると共に吸収性物品の両端部の近傍の位置で前記下部吸収体に接合されている請求項5記載の吸収性物品。 - 各弾性部材は、吸収性物品の幅方向一側部から他側部に亘って吸収性物品の幅方向に延び吸収性物品の横中心線に対して対称に配されている共に前記上部吸収体の周囲を取り囲むように配されており、
各弾性部材は、前記上部吸収体の左右両側縁の近傍で前記下部吸収体に接合されていると共に吸収性物品の左右両側縁の近傍で前記下部吸収体に接合されている請求項5記載の吸収性物品。
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