JP4197828B2 - 吸収性物品 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、フィット性及び液漏れ防止性に優れた吸収性物品に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
特開平11−299827号公報には、吸液性コアの裏面側に疎水性パネル部材からなる変形付与手段を配し、また吸液性コアの長手方向に沿う中心線上に、圧搾条溝からなる変形誘導手段を形成することで、吸液性コアを疎水性パネル部材と共に肌当接面側に凸形に変形させた生理用ナプキンが記載されている。このナプキンにおいては、着用者の体圧を利用して変形誘導手段の位置でナプキンを凸形に変形させている。
【0003】
しかし、ナプキン装着中におけるナプキンへの体圧の加わる方向は、着用者の動作に応じて常に一定でないことから、変形誘導手段によるナプキンの凸形変形も一定とならず、凸形の形状が安定しない。即ち、このナプキンは変形誘導効果が小さく、着用者の排泄部位に常にフィットし難い。
【0004】
凸形の形状を有するナプキンとして、特表平9−507033号公報に記載のように、弾性部材の収縮力によって凸形の形状を形成しているナプキンも知れられている。しかし、この弾性部材は吸液性コアと一体化していないので、前述した特開平11−299827号公報記載のナプキンと同様に、変形誘導効果が小さい。
【0005】
従って、本発明は、着用者の動作に対し常に排泄部にフィットして液漏れを効果的に防止し得る吸収性物品を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、液透過性の表面層、液不透過性の裏面層及び該表面層と該裏面層との間に介在する液保持性の吸収層を有する吸収性物品において、
前記吸収層と前記裏面層との間に隆起部形成弾性部材が介在配置されており、該隆起部形成弾性部材は、前記吸収性物品の幅方向に伸張された状態で、前記吸収層に接合固定されており、
前記接合固定は、前記吸収層及び前記隆起部形成弾性部材の圧密化により行われ、該圧密化によって前記吸収性物品の前記表面層側に、液の吸収が可能な防漏溝が形成されており、
前記隆起部形成弾性部材の収縮状態において、前記吸収層が前記表面層側に隆起して、前記吸収性物品の長手方向に沿って凸状の隆起部が形成されている吸収性物品を提供することにより前記目的を達成したものである(以下、第1発明というときには、この発明をいう)。
【0007】
また本発明は、液透過性の表面層、液不透過性の裏面層及び該表面層と該裏面層との間に介在する液保持性の吸収層を有する吸収性物品において、
前記吸収層と前記裏面層との間に、前記吸収性物品の長手方向に沿って2以上の隆起部形成弾性部材が介在配置されており、各隆起部形成弾性部材は、前記吸収性物品の幅方向に伸張された状態で且つ異なる収縮力が発現するように前記吸収層に接合固定されており、
前記隆起部形成弾性部材の収縮状態において、前記吸収層が前記表面層側に隆起して、前記吸収性物品の長手方向に沿って凸状の隆起部が形成されている吸収性物品を提供することにより前記目的を達成したものである(以下、第2発明というときには、この発明をいう)。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。先ず、第1発明の吸収性物品の実施形態を図1及び図2を参照しながら説明する。図1には、第1発明の吸収性物品の第1の実施形態としての生理用ナプキンを、トップシート側から見た平面図が示されており、図2には、図1におけるII−II線断面図が示されている。
【0009】
図1に示す生理用ナプキン1は、縦長の形状をしており、液透過性の表面層を構成するトップシート2、液不透過性の裏面層を構成するバックシート3及びトップシート2とバックシート3との間に介在する液保持性の吸収層としての吸収体4を有している。バックシート3の外面には、ナプキン1を着用者の着衣に固定するための粘着剤層9,9が形成されている。以上の部材としては、従来のナプキンに用いられているものと同様のものを用いることができる。
【0010】
吸収体4とバックシート3との間には、シート材からなる矩形状の隆起部形成弾性部材5が介在配置されている。隆起部形成弾性部材5は、ナプキン1の長手方向中央部から、前方部及び後方部それぞれに亘って位置している。隆起部形成弾性部材5は、ナプキン1の幅方向に伸張された状態で吸収体4に接合固定されている。この接合固定の詳細については後述する。
【0011】
隆起部形成弾性部材5とバックシート3との間には、折曲回復性を有するシート材(以下、折曲回復シートという)8が介在配置されている。折曲回復シート8は、自由状態(弛緩状態)にある隆起部形成弾性部材5と略同形の矩形状をしており、該状態にある隆起部形成弾性部材5の下に重ね合わされるように配置されている。折曲回復シート8は、接着、融着、圧着等の接合手段による部分接合によって隆起部形成弾性部材5に間欠的に固定されている。折曲回復シート8は、その下面における左右両側部が、バックシート3の上面にそれぞれ接合固定されている。この接合位置は、隆起部形成弾性部材5と吸収体4との接合位置にほぼ対向している。更に、隆起部形成弾性部材5と吸収体4との接合位置において、これらの部材と共に折曲回復シート8及びトップシート2が、一体的に接合固定されていると共に圧密化されている。
【0012】
そして、本実施形態のナプキン1においては、その自由状態(弛緩状態)において、隆起部形成弾性部材5が収縮した状態となっており、これによって吸収体4がトップシート2側に隆起する。その結果、ナプキン1の幅方向略中央部で且つ長手方向中央部よりもやや前方に偏倚した位置に最高点が存する凸状の隆起部7が、ナプキン1の長手方向に沿って形成されている。
【0013】
隆起部7は、着用者の排泄部にフィットし得る形状であれば、その形状に特に制限はなく、例えばその縦断面の形状として逆U字状及び逆V字状等の形状が挙げられる。
【0014】
隆起部形成弾性部材5と吸収体4とは、両者の両側部の位置において互いに接合固定されており、その他の位置においては固定されていない。その結果、隆起部7においては、吸収体4と隆起部形成弾性部材5とによって、これら両者間に所定形状の空間が形成されている。隆起部形成弾性部材5と吸収体4との固定間隔は、隆起部形成弾性部材5を伸張させたときの最大長さで15〜70mm、特に30〜60mmであることが、着用者の排泄部位に適切にフィットするのに十分な高さの隆起部7が形成される点から好ましい。前記最大長さとは、吸収体4に、隆起形成弾性部材5を固定する間隔であり、隆起形成弾性部材5が収縮した状態での距離ではなく、隆起形成弾性部材5を伸張させて吸収体4に固定するときの固定間隔を意味している。
【0015】
隆起部形成弾性部材5は、伸縮可能な材料から構成されている。該材料としては、天然ゴム、ポリブタジエン、ポリウレタン、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、エチレンと1−オクテンとの共重合体等のエチレン−αオレフィン共重合体、エチレンとアクリル酸エチルとの共重合体等が挙げられる。
【0016】
前述の通り、吸収体4と隆起部形成弾性部材5と折曲回復シート8とトップシート2とは、一体的に圧密化されている。これによって、図1及び図2に示すように、ナプキン1のトップシート2側には、液体の吸収が可能な防漏溝6が形成されている。このような防漏溝6が形成されるように吸収体4と隆起部形成弾性部材5とを圧密化によって接合固定し隆起部7を形成することで、該隆起部7が体圧に対してその形状を安定的に保持できるようになる。その結果、着用者の動作に対してナプキン1が常にフィットするようになり、液漏れが効果的に防止される。特に、本実施形態のように、防漏溝6を、着用者の排泄部位の形状に沿った曲線状の形状とすることで、隆起部7のフィット性が一層向上する。更に、後述するように防漏溝6を隆起部7の周囲を取り囲む閉じた形状とすることで、ナプキン1を側面視したときに、ナプキン1の前後端へ向かって裾野の広がるなだらかな傾斜の凸状形状をした隆起部7が形成され、フィット性が更に一層向上する。
【0017】
防漏溝6は楕円形をしており、隆起部7の周囲を全周に亘り取り囲む閉じた形状となっている。本明細書において「隆起部の周囲」とは、隆起部の周りの少なくとも一部分の領域を意味する。隆起部7の周囲に防漏溝6が形成されていることによって、仮に隆起部7における吸収体4が限界量以上の多量の吸収してしまい、隆起部7の表面を伝って液が流出したとしても、流出した該液は防漏溝6によって確実に吸収される。その結果、液漏れが極めて効果的に防止される。その上、隆起部7の周囲に防漏溝6を形成することによって、防漏溝6の部分での可撓性がその周りの部分よりも高くなり、ナプキン1が防漏溝6の部分で着用者の身体の形に沿うように変形しやすくなる。その結果、ナプキン1の中央部に位置する隆起部7から両サイド部に亘ってナプキン1が一層身体にフィットしやすくなり、ナプキン1の変形追随性が一層向上する。従って着用者の動作に対して液漏れが一層起こり難い形態となり、隆起部7との相乗効果が得られる。本実施形態のように隆起部7の周囲を全周に亘って取り囲んだ閉じた構造は、漏れ防止の点から一層好ましい。
【0018】
特に、図1に示すように、防漏溝6内に、高圧密化領域11と低圧密化領域12とが互いに交互に形成されていることで、防漏溝6内での液の吸収性能が向上する。
【0019】
防漏溝6の深さは、吸収体4の厚みにも関係するが、溝の上面部から低面部までの距離が1mm以上、特に2mm〜10mmであることが、隆起部7の表面を伝って流出した液の堰き止め効果の点から好ましい。同様の理由から、防漏溝6の幅は、1mm以上、特に1.5〜5mmであることが好ましい。
【0020】
本実施形態のナプキン1に用いられる折曲回復シート8は、折曲変形に対して回復性を有するシート材であり、該シート8を用いることによって、着用者の動作に起因するナプキン1のヨレが効果的に防止され、またナプキン1がヨレた場合であっても隆起部7の凸状形状を安定的に保持することができる。
【0021】
折曲回復シート8としては、折曲変形に対する復元力の大きいシート材が好ましく用いられる。例えば、熱可塑性樹脂からなる不織布や発泡体等が挙げられる。該不織布は、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ナイロン、ポリウレタン等の合成樹脂からなる繊維、及びこれらの樹脂の二種の組み合わせからなる芯鞘型やサイド・バイ・サイド型の複合繊維等から構成される。また該発泡体は、ポリエチレン、酢酸ビニル、ポリウレタン、ポリブタジエン等から構成される。
【0022】
適度な折曲回復性、剛性及び柔軟性を有する折曲回復シート8としては、前述のものの他に、二次元状又は三次元状に捲縮した芯鞘型やサイド・バイ・サイド型の複合繊維をエアレイド法により堆積させて繊維ウエブを形成し、該繊維ウエブにおける構成繊維の交絡点を熱風によって融着させて形成されたサクションヒートボンド不織布も好ましく用いられる。このサクションヒートボンド不織布を構成する前記複合繊維は、5〜15mm程度の短繊維であることが好ましい。
【0023】
本実施形態に用いられる折曲回復シート8は、同種又は異種の複数のシートから構成されており、各シートが多数の密着部によって接合されていると共に該密着部の間に各シートが離間した円形状の非密着部が存する構造となっている。斯かる構造の折曲回復シート8を用いることで、適度な折曲回復性が得られると共に後述する剛性及び柔軟性も良好になる。このような折曲回復シート8は、例えばスチールマッチエンボス加工によって製造できる。
【0024】
折曲回復シート8は、折曲回復性を有していることに加えて適度な剛性及び柔軟性を有していることが好ましい。折曲回復シート8にこのような特性を付与する方法としては、前述した樹脂から構成される不織布又は発泡体に、熱エンボス等を用いて部分的に熱圧縮成形を施せばよい。特に、折曲に対する可撓軸が折曲回復シート8の長手方向に沿って形成されるように、前記熱圧縮成形を施すことが、ナプキン1のフィット性の向上の点から好ましい。
【0025】
前記熱圧縮成形のパターンとしては、直線状、波線状、菱形格子状、亀甲状等のパターンが好ましく例示されるが、これらに限られるものではない。
【0026】
ナプキン1は、その隆起部7の位置における厚みT(図2参照)が、490Pa(5gf/cm2 )荷重下において5〜20mm、特に7〜15mmであることが好ましい(以下、この荷重下での厚みをT5 という)。490Pa加重下は、着用者が吸収性物品を装着し立った状態で動きのない時に吸収性物品にかかる荷重に相当し、このときの厚みT5 が前記範囲内となることで、着用者の排泄部に適切にフィットするのに十分な高さの隆起部7が形成される。
【0027】
またナプキン1は、その隆起部7の位置における厚みが4903Pa(50gf/cm2 )荷重下において3〜10mm、特に4〜8mmであることが好ましい(以下、この荷重下での厚みをT50という)。4903Pa荷重下は、着用者が座ったり走ったりした時に吸収性物品にかかる荷重に相当し、このときの厚みT50が前記範囲内となることで、T5 に関し前述した理由と同様に、着用者の排泄部に適切にフィットするのに十分な高さの隆起部7が形成される。
【0028】
更にナプキン1は、T5 とT50との比、即ち、T5 /T50の値が1.5〜4、特に2〜3.5であることが好ましい。T5 /T50の値は、ナプキン1の隆起部7における圧縮回復性の尺度になるものであり、T5 /T50の値が前記の範囲となることで、着用者の動きに起因する装着圧の変化に対するナプキン1の変形追従性が十分なものとなり、フィット性が十分に高くなる。
【0029】
T5 及びT50は、ナプキン1の隆起部7の位置において、1cm×1cmの領域を対象としてテンシロン圧縮試験機により測定される。
【0030】
次に、第1発明の第2の実施形態について図3及び図4を参照しながら説明する。図3には、第1の実施形態における図1に相当するナプキン平面図が示されており、図4には、図3に示すナプキンの側面図が示されている。尚、第2の実施形態については、第1の実施形態と異なる点についてのみ説明し、同じ点については特に説明しないが、第1の実施形態に関し詳述した説明が適宜適用される。また、図3及び図4において、図1及び図2と同じ部材には同じ符号を付してある。
【0031】
本実施形態においては、ナプキン1の後方部に、矩形状の隆起部形成弾性部材5が配置されている。吸収体4と隆起部形成弾性部材5と折曲回復シート8とトップシート2とは、一体的に圧密化されており、これによってナプキン1のトップシート2側には、ナプキン1の左右両側に一対の防漏溝6,6が形成されている。一対の防漏溝6,6は、ハ字形をなし、ナプキン1の後端縁に向かって末広がりとなっている。その結果、両防漏溝6,6間の間隔はナプキン1の長手方向において異なっている。具体的には両防漏溝6,6におけるナプキン1後方側の端部間の間隔L1が最も大きく、両防漏溝6,6間の間隔はナプキン1の前方側に向かうに従い漸次小さくなる。そして、両防漏溝6,6におけるナプキン1前方側の端部間の間隔L2が最も小さくなっている。このように本実施形態においては、一枚の隆起部形成弾性部材5を幅方向に伸張して固定しているが、固定間隔、即ち両防漏溝6,6間の間隔が異なることから、固定間隔の広い部分ほど収縮距離が大きくなり隆起高さが大きくなる。つまり、本実施形態においては、図4に示すようにナプキン1の後端縁に向かうほど、隆起部9の高さが漸次高くなっている。従って、本実施形態のナプキン1における隆起部9は、着用者の臀部にフィットし易い形状となっており、液の後漏れが効果的に防止される。この後漏れを効果的に防止する点から、両防漏溝6,6における最大間隔L1と最小間隔L2との比(L1/L2)を1.3〜7、特に2〜5とすることが好ましい。
【0032】
このように、隆起部形成弾性部材5の固定間隔を一つのナプキンの中で変えることによって、高さが任意にコントロールされた隆起部9を容易に得ることができる。
【0033】
次に、第2発明の吸収性物品の一実施形態を図5を参照しながら説明する。図5には、第1発明の第1の実施形態における図1に相当するナプキン平面図が示されている。尚、第2発明については、前述した第1発明の第1及び第2の実施形態と異なる点についてのみ説明し、同じ点については特に説明しないが、第1発明に関し詳述した説明が適宜適用される。また、図5において、図1と同じ部材には同じ符号を付してある。
【0034】
本実施形態のナプキン1においては、それぞれシート材からなる3つの隆起部形成弾性部材5a、5b及び5c配されている。各隆起部形成弾性部材5a、5b及び5cは、ナプキン1の長手方向に沿って配されている。中央の隆起部形成弾性部材5bは、ナプキン1の長手方向中央部付近に位置し、残りの2つの隆起部形成弾性部材5a,5cは、中央の隆起部形成弾性部材5bに対してナプキン1の前方部及び後方部それぞれに位置している。各隆起部形成弾性部材5a、5b及び5cの長さ(ナプキン1の長手方向に沿う長さ)は何れも同じになっている。隣り合う隆起部形成弾性部材間には空隙は存在していない。各隆起部形成弾性部材5a、5b及び5cは、ナプキン1の幅方向に伸張された状態で且つ異なる収縮力が発現するように吸収体4にそれぞれ接合固定されている。本明細書において「異なる収縮力が発現する」とは、複数の隆起部形成弾性部材のうちの少なくとも2つの隆起部形成弾性部材の収縮力が異なれば良いことを意味し、すべての隆起部形成弾性部材の収縮力が互いに異なることは必ずしも要求されない。
【0035】
各隆起部形成弾性部材5a、5b及び5cの収縮力を互いに異ならせる手段としては、(1) 弾性力の異なる隆起部形成弾性部材を用いる、(2) 各隆起部形成弾性部材を異なる伸張率で吸収体に接合固定する、及び(3) 前記(1) 及び前記(2) を併用する、等が挙げられる。
【0036】
本実施形態においては、ナプキン1の長手方向中央部に沿って配された3つの隆起部形成弾性部材5a、5b及び5cのうち、中央に位置する隆起部形成弾性部材5bの収縮力を最も大きくし、ナプキン1の前端側及び後端側に位置する隆起部形成弾性部材5a及び5cそれぞれの収縮力を、隆起部形成弾性部材5bの収縮力よりも小さくしている。また、隆起部形成弾性部材5aの収縮力と隆起部形成弾性部材5cの収縮力とは略同程度にしている。3つの隆起部形成弾性部材5a、5b及び5cの収縮力にこのような序列をつけることで、ナプキン1を側面視したとき、隆起部7の最高位置が、3つの隆起部形成弾性部材のうちの中央に配置された隆起部形成弾性部材5bの位置となり、且つ該最高位置からナプキン1の前後端に向かってなだらかな傾斜が形成されることになる。このような形状の隆起部7は、着用者の排泄部位にぴったりとフィットしたものとなり、その結果、液漏れが効果的に防止される。
【0037】
各隆起部形成弾性部材5a、5b及び5cの収縮力は、ナプキン1を構成する各部材の剛性等に応じて適宜調整される。また、中央に位置する隆起部形成弾性部材5bの収縮力は、前後端側に位置する隆起部形成弾性部材5a及び5cの収縮力の1.5〜5倍、特に2〜4倍であることが、着用者の排泄部位にフィットした形状の隆起部7が形成される点から好ましい。
【0038】
また、本実施形態においては、各隆起部形成弾性部材5a、5b及び5cは、圧密化によって吸収層4、折曲回復シート8及びトップシート2に一体的に固定されており、この圧密化によってナプキン1のトップシート2側に防漏溝6が形成されている。防漏溝6は隆起部7の周囲を全周に亘り取り囲んだ閉じた構造となっている。防漏溝6が形成されるように吸収体4と各隆起部形成弾性部材5a、5b及び5cとを圧密化によって接合固定し隆起部7を形成することで、第1発明と同様に、隆起部7が体圧に対してその形状を安定的に保持できるようになり、3つの隆起部形成弾性部材5a、5b及び5cを用いることと相俟って、液漏れが一層効果的に防止される。
【0039】
本発明は前記実施形態に制限されない。例えば、防漏溝及び隆起部は、着用者の身体の曲面に合う様に、ナプキンの2箇所以上の位置に形成しても良い。例えば、ナプキン長手方向の中央部よりもやや前端側に偏倚した位置(着用者の排泄部位に対応する位置)及びナプキン長手方向の後端側の位置の2箇所に形成することができる。
【0040】
また、前記実施形態においては、隆起部形成弾性部材は矩形状のシート材であったが、これに代えて帯状の弾性部材や糸状の弾性部材を用いてもよい。また、弾性部材として、吸水によって伸縮性が発現する材料を用いることもできる。
【0041】
また、前記の各実施形態においては、吸収性物品の具体的用途に応じ、適宜折曲回復シートを用いない構成としてもよい。
【0042】
また、本発明の吸収性物品は、生理用ナプキンの他、おりものシート、失禁パッド等にも同様に適用できる。
【0043】
【発明の効果】
本発明によれば、着用者の動きに対し常に排泄部にフィットして液漏れを効果的に防止し得る吸収性物品が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1発明の吸収性物品の第1の実施形態としての生理用ナプキンを、トップシート側から見た平面図である。
【図2】図1におけるII−II線断面図である。
【図3】第1発明の吸収性物品の第2の実施形態としての生理用ナプキンを、トップシート側から見た平面図(第1発明の第1の実施形態における図1に相当する図)である。
【図4】図3に示す生理用ナプキンの側面図である。
【図5】第2発明の吸収性物品の一実施形態としての生理用ナプキンを、トップシート側から見た平面図(第1発明の第1の実施形態における図1に相当する図)である。
【符号の説明】
1 生理用ナプキン
2 トップシート
3 バックシート
4 吸収体
5 隆起部形成弾性部材
6 防漏溝
7 隆起部
8 折曲回復シート
Claims (1)
- 液透過性の表面層、液不透過性の裏面層及び該表面層と該裏面層との間に介在する液保持性の吸収層を有する吸収性物品において、
前記吸収層と前記裏面層との間に隆起部形成弾性部材が介在配置されており、該隆起部形成弾性部材は、前記吸収性物品の幅方向に伸張された状態で、前記吸収層に接合固定されており、
前記接合固定は、前記吸収層及び前記隆起部形成弾性部材の圧密化により行われ、該圧密化によって前記吸収性物品の前記表面層側に、液の吸収が可能な防漏溝が形成されており、
前記吸収性物品の後方域において、前記隆起部形成弾性部材の収縮状態において前記吸収層が前記表面層側に隆起して、前記吸収性物品の長手方向に沿って凸状の隆起部が形成されると共に該吸収層と該隆起部形成弾性部材との間に空間が形成されており、
前記隆起部は、該吸収性物品の後端縁に向かうほど高さが漸次高くなっており、
前記防漏溝は左右両側に一対のハ字形をなし、前記吸収性物品の後端縁に向かって末広がりとなっており、かつ両防漏溝間の間隔が前記吸収性物品の前方側に向かうに従い漸次小さくなり、両防漏溝における前記吸収性物品の前方側の端部間の間隔L2が最も小さくなっており、一対の前記防漏溝における最大間隔L1と最小間隔L2との比(L1/L2)を2〜5となし、前記防漏溝内には、高圧密化領域と低圧密化領域とが互いに交互に形成されている吸収性物品。
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