JP2003062009A5 - - Google Patents

Description

【発明の名称】パンツ型の使い捨ておむつ
【特許請求の範囲】
【請求項１】互いに対向する前後胴周り域およびそれら胴周り域の間に位置する股下域を備え、胴周り開口およびその下方に一対の脚周り開口を有するパンツと、前記パンツの内面に位置して該パンツの股下域から前後胴周り域へ向かって延びる吸液性パッドとから構成され、前記パッドが、前記パンツの前後胴周り域に固着されて該前後胴周り域を胴周り方向へ延びる両端縁部と、前記パンツの股下域から前後胴周り域へ向かって縦方向へ延びる両側縁部とを有するパンツ型の使い捨ておむつにおいて、
前記パッドの両側縁部と並行して前記縦方向へ延びる伸縮性弾性部材が、前記パッドの前記パンツに対する対向面に伸長状態で取り付けられ、前記パッドの両端縁部の間の部位が、前記弾性部材の収縮によって前記パンツの内面から上方へ持ち上げられていることを特徴とする前記おむつ。
【請求項２】前記弾性部材が、前記パッドの両側縁部の間の寸法を二分する縦中心線近傍に取り付けられた少なくとも１条の第１弾性部材と、前記縦中心線と前記パッドの両側縁部との間に取り付けられた少なくとも１条の第２弾性部材とから形成され、前記第１および第２弾性部材が、前記パッドの両端縁部に位置する縦方向両端部と、前記縦方向両端部の間に位置する縦方向中央部とを有する請求項１記載のおむつ。
【請求項３】前記第２弾性部材の縦方向中央部が、前記パンツの股下域で前記縦中心線へ向かって実質的に弧を画き、前記第１弾性部材と前記第２弾性部材との離間寸法が、前記パンツの股下域で小さく、前記パンツの前後胴周り域で大きくなっている請求項２記載のおむつ。
【請求項４】前記胴周り方向へ延びる胴周り用弾性部材が、前記パンツの胴周り端部に伸長状態で取り付けられ、前記パッドの両端縁部が、前記胴周り用弾性部材の下方に固着されている請求項１ないし請求項３いずれかに記載のおむつ。
【請求項５】前記パッドの両側縁部が、前記パンツの股下域に固着されている請求項１ないし請求項４いずれかに記載のおむつ。
【請求項６】前記パッドが、肌当接側に位置する透液性の表面シートと、肌非当接側に位置する裏面シートと、前記表裏面シートの間に介在する吸液性コアとから形成され、前記伸縮性弾性部材が、前記裏面シートに取り付けられている請求項１ないし請求項５いずれかに記載のおむつ。
【発明の詳細な説明】
【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、排泄物を吸収、保持するパンツ型の使い捨ておむつに関する。
【０００２】
【従来の技術】
特開平９−５６７４７号公報は、前後胴周り域およびそれら胴周り域の間に位置する股下域を備え、胴周り開口およびその下方に一対の脚周り開口を有するパンツと、パンツの内面に位置して股下域から前後胴周り域へ向かって延びる吸液性パッドとから構成されたパンツ型の使い捨ておむつを開示している。パッドは、肌当接側に位置する透液性の表面シートと、肌非当接側に位置する不透液性の裏面シートと、表裏面シートの間に介在する吸液性コアとから形成されている。パッドは、パンツの胴周り端部に位置して胴周り方向へ延びる両端縁部と、パンツの股下域に位置する中央部とを有する。パッドでは、その両端縁部と中央部とがパンツに固着され、両端縁部と中央部との間の部位がパンツから遊離している。
【０００３】
このおむつは、吸液性パッドをパンツの胴周り端部と股下域とに固着しているので、パッドが股下域から浮き上がったり、左右へずれ動いたりすることがなく、パンツの着用に支障を来すおそれがないという効果を有する。また、このおむつは、パッドの両端縁部と中央部との間の部位がパンツから遊離しているので、パッドの存在によってパンツの胴周り方向の伸縮が妨げられることがないという効果を有する。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
前記公報に開示のおむつでは、パッドの中央部がパンツの股下域に固着されているので、パンツがずれ下がると、それにともなってパッドもずれ下がってしまい、着用者の肌に対するパッドの密着状態を維持することができない場合がある。また、このおむつでは、パッドの両端縁部と中央部との間の部位がパンツから遊離していたとしても、パッドを着用者の肌に積極的に密着させる手段がなく、該部位を着用者の肌に密着させることができない。
【０００５】
本発明の課題は、パッドを着用者の肌に密着させることができ、パンツがずれ下がったとしても、パッドの密着状態を維持することができるパンツ型の使い捨ておむつを提供することにある。
【０００６】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するための本発明の前提は、互いに対向する前後胴周り域およびそれら胴周り域の間に位置する股下域を備え、胴周り開口およびその下方に一対の脚周り開口を有するパンツと、前記パンツの内面に位置して該パンツの股下域から前後胴周り域へ向かって延びる吸液性パッドとから構成され、前記パッドが、前記パンツの前後胴周り域に固着されて該前後胴周り域を胴周り方向へ延びる両端縁部と、前記パンツの股下域から前後胴周り域へ向かって縦方向へ延びる両側縁部とを有するパンツ型の使い捨ておむつである。
【０００７】
前記前提における本発明の特徴は、前記パッドの両側縁部と並行して前記縦方向へ延びる伸縮性弾性部材が、前記パッドの前記パンツに対する対向面に伸長状態で取り付けられ、前記パッドの両端縁部の間の部位が、前記弾性部材の収縮によって前記パンツの内面から上方へ持ち上げられていることにある。
【０００８】
本発明の実施の態様の一例としては、前記弾性部材が、前記パッドの両側縁部の間の寸法を二分する縦中心線近傍に取り付けられた少なくとも１条の第１弾性部材と、前記縦中心線と前記パッドの両側縁部との間に取り付けられた少なくとも１条の第２弾性部材とから形成され、前記第１および第２弾性部材が、前記パッドの両端縁部に位置する縦方向両端部と、前記縦方向両端部の間に位置する縦方向中央部とを有する。
【０００９】
本発明の実施の態様の他の一例としては、前記第２弾性部材の縦方向中央部が、前記パンツの股下域で前記縦中心線へ向かって実質的に弧を画き、前記第１弾性部材と前記第２弾性部材との離間寸法が、前記パンツの股下域で小さく、前記パンツの前後胴周り域で大きくなっている請求項２記載のおむつ。
【００１０】
本発明の実施の態様の他の一例としては、前記胴周り方向へ延びる胴周り用弾性部材が、前記パンツの胴周り端部に伸長状態で取り付けられ、前記パッドの両端縁部が、前記胴周り用弾性部材の下方に固着されている。
【００１１】
本発明の実施の態様の他の一例としては、前記パッドの両側縁部が、前記パンツの股下域に固着されている。
【００１２】
本発明の実施の態様の他の一例としては、前記パッドが、肌当接側に位置する透液性の表面シートと、肌非当接側に位置する裏面シートと、前記表裏面シートの間に介在する吸液性コアとから形成され、前記伸縮性弾性部材が、前記裏面シートに取り付けられている。
【００１３】
【発明の実施の形態】
添付の図面を参照し、本発明に係るパンツ型の使い捨ておむつの詳細を説明すると、以下のとおりである。
【００１４】
図１，２は、使い捨ておむつ１Ａの斜視図と、パンツ型に成形する以前の状態で示す図１のおむつ１Ａの斜視図とであり、図３，４は、図１のＡ−Ａ線端面図と、図１のＢ−Ｂ線矢視断面図とである。図１では、胴周り方向を矢印Ｘ、縦方向を矢印Ｙで示し、脚周り方向を矢印Ｚで示す。図４では、着用者Ｍを二点鎖線で示す。なお、表面シート１８と裏面シート１９との内面とは、コア２０に対向する面をいい、それらシート１８，１９の外面とは、コア２０に非対向の面をいう。
【００１５】
おむつ１Ａは、パンツ２と、パンツ２の内面に取り付けられた吸液性パッド３とから構成されている。
【００１６】
パンツ２は、互いに重なり合う実質的に不透液性の外側シート４と内側シート５とから形成されている。外側シート４と内側シート５とは、それらシート４，５の対向面どうしが固着されている。パンツ２は、互いに対向する前胴周り域６および後胴周り域８と、それら胴周り域６，８の間に位置する股下域７とを有する。
【００１７】
パンツ２は、前後胴周り域６，８を胴周り方向へ延びる胴周り端部９と、前後胴周り域６，８を縦方向へ延びる胴周り側部１０と、股下域７を脚周り方向へ延びる脚周り側部１１とを有する。パンツ２では、胴周り側部１０の側縁１２近傍が合掌状に重なり合い、側縁１２近傍が縦方向へ間欠的に並ぶ多数の熱融着部１３を介して固着されている。パンツ２には、胴周り開口１４とその下方に一対の脚周り開口１５とが形成されている。
【００１８】
胴周り端部９には、胴周り方向へ延びる複数条の胴周り用弾性部材１６が伸長状態で取り付けられている。脚周り側部１５には、脚周り方向へ延びる複数条の脚周り用弾性部材１７が伸長状態で取り付けられている。胴周り用弾性部材１６と脚周り用弾性部材１７とは、外側シート４と内側シート５との間に介在し、それらシート４，５の対向面に固着されている。
【００１９】
パッド３は、肌当接側に位置する透液性の表面シート１８と、肌非当接側に位置する実質的に不透液性の裏面シート１９と、表裏面シート１８，１９の間に介在する吸液性コア２０とを主要な構成部材とする。コア２０は、表面シート１８と裏面シート１９との内面に固着されている。パッド３は、その平面形状が略矩形を呈し、パンツ２の股下域７から前後胴周り域６，８へ向かって縦方向へ延びている。パッド３は、パンツ２の股下域７における湾曲に沿って略Ｕ字を画いている。
【００２０】
パッド３は、パンツ２の胴周り端部９近傍に位置して胴周り方向へ延びる両端縁部３ａと、パンツ２の股下域７から胴周り端部９へ向かって縦方向へ延びる両側縁部３ｂとを有する。パッド３は、その両端縁部３ａがパンツの胴周り端部９近傍にホットメルト型接着剤２１を介して固着され、その両側縁部３ｂがパンツ２の股下域７にホットメルト型接着剤２２を介して固着されている。パッド３では、両端縁部３ａと股下域７に延びる両側縁部３ｂとを除いた残余の部位が内側シート５に固着されておらず、パンツ２から遊離している。パッド３の両端縁部３ａと両側縁部３ｂとでは、パッド３を形成する裏面シート１９の外面が内側シート５に固着されている。
【００２１】
パッド３の両端縁部３ａでは、コア２０の端縁２０ａから外側へ延びる表面シート１８と裏面シート１９との端部１８ａ，１９ａが互いに重なり合い、端部１８ａ，１９ａにおいてそれらシート１８，１９の内面どうしが固着されている。パッド３の両側縁部３ｂでは、コア２０の側縁２０ｂから外側へ延びる表面シート１８と裏面シート１９との側部１８ｂ，１９ｂが互いに重なり合い、側部１８ｂ，１９ｂにおいてそれらシート１８，１９の内面どうしが固着されている。
【００２２】
パッド３には、両側縁部３ｂと並行するようにパンツ２の股下域７から胴周り端部９へ向かって縦方向へ延びる第１伸縮性弾性部材２３と第２伸縮性弾性部材２４とが伸長状態で取り付けられている。パッド３の両側縁部３ｂには、パンツ２の股下域７から胴周り端部９へ向かって縦方向へ延びる実質的に不透液性の側部シート２５が取り付けられている。おむつ１Ａでは、パッド３に取り付けられた第１および第２弾性部材２３，２４を縦方向へ伸長させた状態で、パッド３の両端縁部３ａと両側縁部３ｂとがパンツ２に固着されている。
【００２３】
第１弾性部材２３は、図２に示すように、パッド３の両側縁部３ｂの間の寸法を二分する縦中心線Ｌ１上に配置されている。第２弾性部材２４は、縦中心線Ｌ１とパッド３の両側縁部３ｂとの間に配置されている。第１弾性部材２３と第２弾性部材２４とは、裏面シート１９の外面に固着されている。第１および第２弾性部材２３，２４は、内側シート５に固着されておらず、パンツ２から遊離している。
【００２４】
第１弾性部材２３と第２弾性部材２４とは、帯状のもので、パッド３の両端縁部３ａに位置する縦方向両端部２３ａ，２４ａと、縦方向両端部２３ａ，２４ａの間に位置する縦方向中央部２３ｂ，２４ｂとを有する。第１弾性部材２３は、縦中心線Ｌ１上を略直状に延びている。第２弾性部材２４は、その縦方向中央部２４ｂがパンツ２の股下域７において縦中心線Ｌ１へ向かって実質的に弧を画いている。第１弾性部材２３と第２弾性部材２４との離間寸法は、パンツ２の股下域７で小さく、パンツ２の前後胴周り域６，８で大きくなっている。
【００２５】
側部シート２５は、パッド３の両側縁部３ｂに固着されて縦方向へ延びる固定側部２５ａと、固定側部２５ａと並行して縦方向へ延びる自由側部２５ｂと、パッド３の横方向内方へ倒伏した状態でパッド３の両端縁部３ａに固着された固定両端部２５ｃとを有する。固定側部２５ａと固定両端部２５ｃとは、表面シート１８の外面に固着されている。自由側部２５ｂには、縦方向へ延びる伸縮性弾性部材２６が伸長状態で取り付けられている。弾性部材２６は、自由側部２５ｂの一部に被覆されている。
【００２６】
図２の状態からパンツ型に成形するには、表面シート１８の外面が互いに対向するように、パンツ２の股下域７を横中心線Ｌ２で折曲し、パンツ２の胴周り側部１０の側縁１２近傍を固着して前後胴周り域６，８を連結する。
【００２７】
おむつ１Ａでは、縦方向へ収縮した第１弾性部材２３と第２弾性部材２４とによって、パッド３の両端縁部３ａと股下域７に延びる両側縁部３ｂとを除いた残余の部位がパンツ２の内面から上方へ持ち上げられている。おむつ１Ａでは、パッド３の部位がおむつ１Ａを着用した着用者Ｍの肌に密着し、パンツ２がずれ下がったとしても、着用者Ｍの肌に対するパッド３の密着状態を維持することができる。
【００２８】
おむつ１Ａでは、第２弾性部材２４の縦方向中央部２４ｂが縦中心線Ｌ１へ向かって弧を画き、股下域７に延びるパッド３の部位のうちの縦中心線Ｌ１近傍がパンツ２の内面から上方へ持ち上げられており、パッド３がパンツ２の股下域７において逆Ｖ字型に変形している（図３参照）。ゆえに、おむつ１Ａでは、股下域７においてパッド３を着用者Ｍの股間部Ｍｃに合致させることができ、パッド３が着用者Ｍの股間部Ｍｃに接触したときの違和感を低減することができる。
【００２９】
おむつ１Ａでは、胴周り用弾性部材１６の下方においてパッド３の両端縁部３ａがパンツ２に固着されているので、第１および第２弾性部材２３，２４が縦方向へ収縮したとしても、パンツ２の胴周り端部９をずり下げてしまうことはない。おむつ１Ａでは、パッド３の両端縁部３ａが胴周り用弾性部材１６の収縮を妨げてしまうことはなく、胴周り用弾性部材１６を利用して着用者Ｍの胴周りを確実に締め付けることができる。
【００３０】
おむつ１Ａでは、パンツ２の股下域７に延びるパッド３の両側縁部３ｂがパンツ２に固着されているので、パッド３がパンツ２の股下域７を左右にずれ動いてしまうことを防ぐことができ、おむつ１Ａの着用に支障を来すことがない。
【００３１】
おむつ１Ａでは、縦方向へ収縮した弾性部材２６によってパッド３に取り付けられた側部シート２５の自由側部２５ｂが表面シート１８の上方へ起立する。おむつ１Ａでは、側部シート２５の自由側部２５ｂが排泄物に対する障壁を形成し、パッド３の両側縁部３ｂからの排泄物の漏れを防ぐことができる。
【００３２】
図５，６は、他の実施の形態を示す使い捨ておむつ１Ｂの斜視図と、パンツ型に成形する以前の状態で示す図５のおむつ１Ｂの斜視図とであり、図７は、図５のＣ−Ｃ線矢視断面図である。図５では、胴周り方向を矢印Ｘ、前後方向を矢印Ｙで示し、脚周り方向を矢印Ｚで示す。図７では、着用者Ｍを二点鎖線で示す。このおむつ１Ｂが図１のそれと異なる点は、以下のとおりである。
【００３３】
おむつ１Ｂでは、パッド３の両端縁部３ａがパンツ２の胴周り端部９近傍にホットメルト型接着剤２１を介して固着され、両端縁部３ａを除く残余の部位がパンツ２から遊離している。パッド３の両端縁部３ａは、胴周り用弾性部材１６の下方に固着されている。パッド３には、両側縁部３ｂと並行するようにパンツ２の股下域７から前後胴周り域６，８へ向かって縦方向へ延びる複数条の第１伸縮性弾性部材２３と複数条の第２伸縮性弾性部材２４とが伸長状態で取り付けられている。
【００３４】
第１弾性部材２３は、糸状のもので、縦中心線Ｌ１の両側に配置され、パッド３の両端縁部３ａの間を略直状に延びている。第２弾性部材２４は、糸状のもので、縦中心線Ｌ１と両側縁部３ｂとの間に配置され、その縦方向中央部２４ｂが縦中心線Ｌ１へ向かって弧を画くことなく、パッド３の両端縁部３ａの間を略直状に延びている。第１および第２弾性部材２３，２４は、その縦方向両端部２３ａ，２４ａがパッド３の両端縁部３ａの下方に位置している。第１および第２弾性部材２３，２４は、前後胴周り域６，８と股下域７とにおいて略等しい間隔で離間している。おむつ１Ｂでは、パッド３に取り付けられた第１および第２弾性部材２３，２４を縦方向へ伸長させた状態で、パッド３の両端縁部３ａがパンツ２に固着されている。
【００３５】
おむつ１Ｂでは、第１および第２弾性部材２３，２４の縦方向の収縮によって、パッド３の両端縁部３ａを除いた残余の部位がパンツ２の内面から上方へ持ち上げられている。おむつ１Ｂでは、パッド３がパンツ２の股下域７から遊離しているので、パッド３の部位の略全域がパンツ２の内面から上方へ持ち上げられ、パッド３の部位の略全域を着用者Ｍの肌に密着させることができる。おむつ１Ｂでは、パンツ２がずれ下がったとしても、着用者Ｍの肌に対するパッド３の密着状態を維持することができる。
【００３６】
それら図示のおむつ１Ａ，１Ｂにおいて、第１および第２弾性部材２３，２４をパッド３の裏面シート１９に固着するには、ホットメルト型接着剤を使用することが好ましい。第１および第２弾性部材２３，２４のホットメルト型接着剤による固着には、接着剤をスパイラル状やスプレー状に塗布するパターンを適宜選択することができる。第１および第２弾性部材２３，２４を裏面シート１９に確実に固着するには、それら弾性部材２３，２４の全表面積に対する接着剤の塗工面積率が２０〜８０％の範囲にあることが好ましい。接着剤の塗工面積率が２０％未満では、それら弾性部材２３，２４が裏面シート１９から外れてしまう場合がある。接着剤の塗工面積率が８０％を超過すると、それら弾性部材２３，２４の収縮が接着剤によって妨げられてしまう。
【００３７】
それら図示のおむつ１Ａ，１Ｂにおいて、パッド３の両端縁部３ａを除いた残余の部位をパンツ２の内面から上方へ持ち上げるためには、第１および第２弾性部材２３，２４がパンツ２の股下域７から前後胴周り域６，８にまで延びている必要がある。しかし、第１および第２弾性部材２３，２４は、パンツ２の胴周り端部９まで延びている必要はなく、それら弾性部材の２３，２４の縦方向両端部２３ａ，２４ａが股下域７の近傍に位置する前後胴周り域６，８に達していればよい。
【００３８】
それら図示のおむつ１Ａ，１Ｂでは、第１弾性部材２３と第２弾性部材２４とが裏面シート１９の内面に固着されていてもよい。第１および第２弾性部材２３，２４や胴周り用弾性部材１６、脚周り用弾性部材１７、弾性部材２６には、天然ゴムや合成ゴムを使用することができる。
【００３９】
表面シート１８には、親水処理を施した繊維不織布、または、微細な多数の開孔を有する熱可塑性プラスチックフィルムや疎水性繊維不織布を使用することができる。内外側シート５，４や裏面シート１９には、疎水性繊維不織布、通気不透液性のプラスチックフィルム、疎水性繊維不織布を重ね合わせた複合不織布、疎水性繊維不織布と通気不透液性のプラスチックフィルムとを重ね合わせた複合シートのいずれかを使用することができる。
【００４０】
不織布としては、スパンレース、ニードルパンチ、メルトブローン、サーマルボンド、スパンポンド、ケミカルボンド、エアースルー、の各製法により製造されたものを使用することができる。不織布の構成繊維としては、ポリオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系、の各繊維、ポリエチレン／ポリプロピレンまたはポリエステルからなる芯鞘型複合繊維または並列型複合繊維を使用することができる。
【００４１】
コア２０は、フラッフパルプと高吸収性ポリマー粒子との混合物、または、フラッフパルプと高吸収性ポリマー粒子と熱可塑性合成樹脂繊維との混合物であり、所要の厚みに圧縮されている。コア２０は、その型崩れやポリマー粒子の脱落を防ぐため、その全体がティッシュペーパーや親水性繊維不織布等の透液性シートに被覆されていることが好ましい。ポリマー粒子としては、デンプン系、セルロース系、合成ポリマー系のものを使用することができる。
【００４２】
シート４，５，１９，１８，２５の固着、コア２０や弾性部材１６，１７，２６の固着には、ホットメルト型接着剤、または、ヒートシールや超音波接合等の熱による溶着手段を利用することができる。
【００４３】
【発明の効果】
本発明に係るパンツ型の使い捨ておむつによれば、縦方向へ収縮した伸縮性弾性部材によって、パッドの両端縁部を除いた残余の部位がパンツの内面から上方へ持ち上げられるので、パッドの部位をおむつを着用した着用者の肌に密着させることができる。おむつでは、パンツがずれ下がったとしても、着用者の肌に対するパッドの密着状態を維持することができる。
【００４４】
弾性部材が第１弾性部材と第２弾性部材とから形成され、第２弾性部材の縦方向中央部が縦中心線へ向かって実質的に弧を画いているおむつでは、股下域に延びるパッドの部位のうちの縦中心線近傍がパンツの内面から上方へ持ち上げられてパッドが股下域において逆Ｖ字型に変形する。このおむつでは、パッドを着用者の肌に密着させることができることはもちろんのこと、股下域に延びるパッドを着用者の股間部に合致させることができ、パッドが着用者の股間部に接触したときの違和感を低減することができる。
【００４５】
パンツに取り付けられた胴周り用弾性部材の下方においてパッドの両端縁部がパンツに固着されたおむつでは、第１および第２弾性部材が縦方向へ収縮したとしても、パンツの胴周り端部をずり下げてしまうことはない。このおむつでは、パッドが胴周り用弾性部材の収縮を妨げてしまうことはなく、胴周り用弾性部材を利用して着用者の胴周りを十分に締め付けることができる。
【００４６】
パッドの両側縁部がパンツの股下域に固着されたおむつでは、パッドがパンツの股下域において左右にずれ動いてしまうことを防ぐことができ、おむつの着用に支障を来すことがない。
【図面の簡単な説明】
【図１】使い捨ておむつの斜視図。
【図２】パンツ型に成形する以前の状態で示す図１のおむつの斜視図。
【図３】図１のＡ−Ａ線断面図。
【図４】図１のＢ−Ｂ線矢視断面図。
【図５】他の実施の形態を示す使い捨ておむつの斜視図。
【図６】パンツ型に成形する以前の状態で示す図５のおむつの斜視図。
【図７】図５のＣ−Ｃ線矢視断面図。
【符号の説明】
１Ａ，１Ｂ 使い捨ておむつ
２ パンツ
３ 吸液性パッド
３ａ 両端縁部
３ｂ 両側縁部
６ 前胴周り域
７ 股下域
８ 後胴周り域
９ 胴周り端部
１４ 胴周り開口
１５ 脚周り開口
１６ 胴周り用弾性部材
１８ 透液性表面シート
１９ 不透液性裏面シート
２０ 吸液性コア
２３ 第１弾性部材（伸縮性弾性部材）
２３ａ 縦方向両端部
２３ｂ 縦方向中央部
２４ 第２弾性部材（伸縮性弾性部材）
２４ａ 縦方向両端部
２４ｂ 縦方向中央部
Ｌ１ 縦中心線

Images