JP3677840B2 - 遠心分離機用ロータ - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、遠心力を利用して試料を分離する遠心分離機のロータに関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
従来の遠心分離機用ロータ（以下ロータと称す）は、図４に示すようにロータボディ１の下部に形成された嵌合穴３に駆動ピン５の圧入されるピン穴４を設けていた。嵌合穴３は回転駆動するモータ回転軸と嵌合しており、且つ駆動ピン５はモータ回転軸と嵌合穴３との間に生じる滑りを防止している。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
ロータは高速回転されるため、ロータに挿入した試料及びロータ自身に働く遠心力の作用によって、多大な内部応力を有していた。特にロータを支えている回転中心近傍、即ちロータボディとモータ回転軸との近傍では、高い応力が発生していた。このような状況下において、図４に示すようにロータボディに駆動ピンの圧入されるピン穴を設けることは、高い応力状態の部位に大きな内部欠陥のある状態に等しく、結果的にロータボディの強度を低下させてしまうという問題があった。またロータを繰り返し使用するうちに駆動ピンが変形したり、摩耗してしまう場合があり、このようなロータを修復するには、まず圧入した駆動ピンを一旦削り落としてから、位置をずらしてピン穴を再度加工し、新しい駆動ピンを圧入しなければならないという嵌合穴の狭い空間において大変面倒な修復作業となっていた。
【０００４】
本発明の目的は、ロータの強度低下を招くことなく駆動ピンを設けることができると共に、変形または磨耗した駆動ピンの修復を容易に行うことである。
【０００５】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、ロータボディに直接駆動ピンを圧入せず、ロータボディとは別部材であるピン保持体に駆動ピンを圧入することにより達成される。
【０００６】
【発明の実施の形態】
本発明になるロータの実施例を図１〜図３を用いて説明する。図１は本発明になるロータの一実施例を示す縦断側面図である。ロータは、ロータボディ１及び駆動ピン５を有するピン保持体６より構成されている。遠心分離する試料は密閉式試験管に収容して、ロータボディ１の試料収容部である試料収容穴２に挿入されている。ロータボディ１の中心部は貫通穴になっており、上部にネジ部７を有している。ピン保持体６は上部にネジ部７を有しており、且つ下部に駆動ピン５の圧入されるピン穴４を設けている。ピン保持体６はロータボディ１にネジ部７で締結されておりこれにより形成される嵌合穴３と遠心機のモータ回転軸を嵌合させることによりロータを高速回転させている。駆動ピン５は、モータ回転軸の上端に圧入されたピンと接触、またはモータ回転軸の上端に設けられた穴と嵌合しており、これによりロータボディ１とモータ回転軸との滑りを防止している。また従来のロータは、ピン穴４の周囲に高い応力が集中し、結果的にロータボディ１の強度を低下させていたが、図１に示すロータでは、ロータボディ１の中心部が貫通穴になっているため、応力集中の要因となりうる切り欠きがなく、結果的にロータボディ１の強度向上を図ることができる。更に従来において、駆動ピン５の変形または摩耗により正常に使用できなくなったロータを修復していた面倒な作業は、新しいピン保持体６に交換するだけで容易に行うことができる。
【０００７】
また図２は本発明になるロータの他の実施例を示す縦断側面図であり、ロータは、ロータボディ１、駆動ピン５を有するカバ８より構成されている。カバ８はネジ部７でロータボディ１に締結されており、且つ試料収容穴２を密閉する機能を有している。このカバ８の中心部下部には、駆動ピン５の圧入されるピン穴４が設けられており、これにより図１に示すピン保持体６と同様の機能を有している。
【０００８】
更に図３は本発明になるロータの更に他の実施例を示す縦断側面図であり、ロータは、ロータボディ１、駆動ピン５を有するピン保持体６、カバ８より構成されている。ピン保持体６とカバ８は、ボルト９によって締結されており、且つピン保持体６はロータボディ１にネジ部７で締結されている。図２では駆動ピン５が変形または摩耗した場合の修復として、カバ８全体を交換しなければならないが、図３に示すロータではピン保持体６だけを交換すればよく、より安価に修復作業を行うことができる。
【０００９】
【発明の効果】
本発明によれば、ロータボディとは別部材のピン保持体に駆動ピンを圧入することで、ロータボディの強度向上を図ることができると共に、容易に修復作業を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】 本発明になるロータの一実施例を示す縦断側面図である。
【図２】 本発明になるロータの他の実施例を示す縦断側面図である。
【図３】 本発明になるロータの更に他の実施例を示す縦断側面図である。
【図４】 従来のロータを示す縦断側面図である。
【符号の説明】
１はロータボディ、２は試料収容穴、３は嵌合穴、４はピン穴、５は駆動ピン、６はピン保持体、７はネジ部、８はカバ、９はボルトである。

Claims (7)

1. 試料収容部の形成されたロータボディと、該ロータボディに回転動力を伝達するための駆動ピンとを備えた遠心分離機用ロータにおいて、前記ロータボディの中心部に貫通穴を形成すると共に、該貫通穴に前記駆動ピンの圧入されているピン保持体を設けることを特徴とする遠心分離機用ロータ。
2. 前記ピン保持体は、前記ロータボディとは別部材であることを特徴とする請求項１記載の遠心分離機用ロータ。
3. 前記試料収容部を密閉可能なカバに前記ピン保持体を設けることを特徴とする請求項１乃至請求項２記載の遠心分離機用ロータ。
4. 前記カバと前記ピン保持体をボルトによって締結していることを特徴とする請求項３記載の遠心分離機用ロータ。
5. 前記カバに前記駆動ピンを設けることを特徴とする請求項３記載の遠心分離機用ロータ。
6. 前記ピン保持体は、前記ロータボディにネジ部を介して螺合していることを特徴とする請求項１乃至請求項２記載の遠心分離機用ロータ。
7. 前記カバは、前記ロータボディにネジ部を介して螺合していることを特徴とする請求項３乃至請求項５記載の遠心分離機用ロータ。

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