JP3677567B2 - 無線通信ネットワークシステム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数の機器が無線通信によってデータの送受を行う無線通信ネットワーク技術に関し、特に無線通信ネットワークに接続された発信元の無線端末が種々の情報をパケット化して発信し、他の無線端末が中継を繰り返しながら、着信先の無線端末まで転送するシステムで用いる技術に関し、更には、周囲に存在する無線端末との通信経路を調査管理する方法、及び無線端末間の情報転送方法の技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
図50に無線通信ネットワークシステムの構成の一例を示す。同図において、A〜Jは分散設置された無線端末を示す。自らが直接通信可能な距離は一般に有限であるので、各無線端末A〜Jはシステムを構成する全ての無線端末とは直接通信することはできない。しかしながら、各無線端末A〜Jは全て1台以上の無線端末と直接通信することは可能であり、他の無線端末を経由することでシステムを構成する全ての無線端末との通信を可能としている。同図の実線が無線端末A〜Jの直接通信可能な通信路を示している。
【0003】
従来、このようなトポロジーを持つ無線通信ネットワークシステムにおいてパケット通信を行う場合は、各無線端末間の通信路は変更されることはなく、常に固定されているものを使用していた。そのため、これらの通信路には相当のマージンを持った良好な品質を確保しておく必要があるので、これらの固定通信路は以下に述べる様な方法で決定していた。
【0004】
まず、無線端末の物理的な位置情報より、各無線端末間の通信路を想定した。次に、例えば、一端より送出する試験電波の他端における電界強度の測定、あるいは、データ通信の試験実施によるビットエラー率やパケット受信率の測定等を実施して想定した通信路の通信品質を求め、良好な品質を確保できると判断された通信路のみを実際に使用する通信路とした。
【0005】
この無線通信ネットワークシステムでパケット転送通信を行う場合のデータパケット(以下単にパケットという)の中継経路は、中継無線端末に関する情報をパケットの発信元がパケットに付加して送信し、この経路情報を各中継無線端末で参照しながらパケットを転送していく方法と、パケットの最終着信先に対応する次の中継無線端末に関する情報を各中継無線端末が管理し、この情報に基づいてパケットを転送していく方法とがあった。後者は各無線端末毎に個別の中継端末情報を有している必要があるのに対し、前者はパケットの発信元でのみシステムのトポロジーを認識していればよいので、システム変更を行なう場合などは後者に比べれば前者の方が柔軟に対応できる。いずれにしても、従来のこのシステムでのパケット転送通信は、予め設定した固定中継ルートに基づいて行われていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上述の固定通信路を使用し、そして固定中継ルートによるパケット転送を行う無線通信ネットワークシステムには以下の問題点を有していた。
【0007】
(1)無線通信路は設置する周囲の環境の影響を受けやすいので、無線端末の物理的な位置情報によって想定する各無線端末間の通信路の品質が良好であるとは限らなかった。
【0008】
(2)固定通信路は相当のマージンを持った良好な品質を確保しておく必要があるので、通信路はかなり短い距離でシステム設計されていた。
(3)システムが設置された周囲の環境は、設置後に次第に変化していく場合が多く、設置時点で設定した通信路が後に消滅したり、新たな通信路の可能性が生じることがあった。
【0009】
本発明は、上述のこれらの問題点を解消するために、その時々の通信品質に応じて通信路と中継ルートを自動的に選択する無線通信ネットワークシステムを提供することを目指し、特に、通信路選定のための通信品質のマージンを最小にして、無線端末の有する通信可能距離を有効に活用するシステム設計を可能とすることを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前述の目的を達成するために、本発明は、無線データ通信を行なう複数の無線端末によって構成され、前記無線端末のいずれも直接又は他の1以上の無線端末を介することで他の全ての無線端末とパケット化されたデータの通信可能である無線通信ネットワークシステムにおいて、前記パケット化されたデータであるデータパケットは、自らが前記無線端末によって送信される送信回数を示すカウンタを有し、前記無線端末が、自らを着信先とするデータパケットの履歴を保持し、自らを着信先とする新たなデータパケットの受信時に前記履歴との照合を行ない、前記自らを着信先とする新たなデータパケットが過去に既に着信したものである場合には、前記自らを着信先とする新たなデータパケットを破棄し、また、自らを中継先とするデータパケットを受信した場合には前記カウンタの値を検出し、該カウンタの値が所定値に達していれば前記自らを中継先とするデータパケットを破棄し、該カウンタの値が所定値に達していなければ該カウンタを更新して次の中継先の無線端末へ転送し、また、前記履歴を保持するデータパケットの有する前記カウンタの値より算出される該データパケットの破棄までの残り時間の経過後に該履歴を消去する、ことを特徴とする。この構成により、通信障害等の原因によって発生する複数の同一パケットが着信先に到来することによる混乱を防止することができるまた、ネットワーク上を迷走するデータパケットを破棄して、トラフィックを低減させることができる。更には、履歴を保持するための記憶装置の記憶容量を小さくできる上に、データパケットの履歴照合に要する時間を短縮することもできる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
1.存在通知パケット
図1は図50の無線ネットワークシステムにおいて、無線端末C及びIが存在通知パケットを送信する様子を示す。存在通知パケットとは、それを送信する無線端末を識別するユニークな符号が格納されているパケットのことであり、図2に示す構造を有する。同図において、1にはこのパケットが存在通知パケットであることを示す符号を、2にはこの存在通知パケットの発信元の無線端末を識別する符号を格納する。
【0012】
図1において、無線端末A、B、D、E、Fは、無線端末Cの送信する存在通知パケットを同様に受信することによって、無線端末Cと直接通信できる可能性を有していることを認識する。無線端末F、G、H、Jは、無線端末Iの送信する存在通知パケットを受信することによって、無線端末Iと直接通信できる可能性を有していることを認識する。
【0013】
このように、各無線端末A〜Jがそれぞれ一定の周期で存在通知パケットを送信することにより、その時点での電波伝播状態に応じた直接通信の可能性を互いに認識することができる。
【0014】
しかしながら、複数の無線端末でこの存在通知パケットの送信タイミングが一致してしまうことがある。この場合、複数の無線端末が送信する電波の干渉により、存在通知パケットの受信が行なえないことがあり、直接通信の可能性無しと誤認識する恐れがある。
【0015】
図3は無線端末A及びBが存在通知パケットを送信するタイミングの一例を示す。同図において、Tは無線端末A及びBが存在通知パケットを送信する周期、tAは無線端末Aが存在通知パケットを送信するタイミング、tBは無線端末Bが存在通知パケットを送信するタイミングを示す。各無線端末は、tAとtBとが一致しないように、例えば、送信タイミングをランダムに選択したり、あるいは、各無線端末の製造番号から下記の式で送信タイミングを算出したりなどして決定する。
【0016】
送信タイミング=端末の製造番号×(T/システムを構成する端末の総数)
なお、上式において、端末の製造番号が数字でない文字を含んで構成されているときには、例えば、製造番号の数字部分のみを使用して上式に適用したり、あるいは、製造番号から1対1に対応する数値を求めることのできる関数を予め用意し、この関数で得られる数値を上式の端末の製造番号に代入すればよい。
【0017】
ところで、存在通知パケットの送信周期は、ネットワーク上の通常の通信のトラフィックに応じて設定するのが望ましい。すなわち、存在通知パケットの送信周期は、ネットワーク上の通常通信のトラフィックが密である場合には長く、逆にネットワーク上の通常通信のトラフィックが密ではない場合には短く設定するのが良い。
【0018】
また、システムが設置される周囲の環境の変化によって急激なネットワーク構成の変化が予測されるのであれば、その変化に迅速に対応できるように存在通知パケットの送信周期を設定するのも便利である。すなわち、ネットワークの構成が変更されるほどの環境変化が急に起きることが予測されるのであれば、存在通知パケットの送信周期は短く設定しておくのが良い。
【0019】
2.通信路の信頼性診断
無線通信ネットワークシステムがその時々の通信品質に応じて通信路と中継ルートを自動的に選択するためには、存在通知パケットによって認識された直接通信可能性を有する各無線端末間の通信路の信頼性を診断する必要がある。
【0020】
図4に通信路ABの信頼性を診断する様子を示す。同図では無線端末Aが無線端末Bへの通信路に対して診断を行なっている。無線端末Aは無線端末Bに対して往路の通信路を診断するための特殊なパケット(以下通信路診断パケットという)を計N回送信し、これを受信した無線端末Bは無線端末Aに対して復路の通信路診断パケットを計N回送信する。
【0021】
通信路診断パケットの構造を図5に示す。同図において、11にはこのパケットが通信路診断パケットであること、及び、この通信路診断パケットが往路用のものか復路用のものかを示す符号を格納し、12にはこの通信路診断パケットの発信元の無線端末を識別する符号を格納し、13にはこの通信路診断パケットの着信先の無線端末を識別する符号を格納し、そして、14には診断する通信路に送信する通信路診断パケットの総数、及び、このパケットが診断する通信路のために送信する通信路診断パケットの中で何番目であるかを示す符号を格納する。また、復路用の通信路診断パケットには、同図の15に、この通信路診断パケットを送信する無線端末が正常に受信した往路用の通信路診断パケットの数を更に格納する。
【0022】
図4の説明に戻る。無線端末Bは、無線端末Aからの往路通信路診断パケットの受信を開始すると、以降この往路通信路診断パケットの受信回数をカウントする。また、無線端末Bは、往路通信路診断パケットに格納されている通信路診断パケットの総数(図5の14)から、無線端末Aによる全ての往路通信路診断パケットの送信が終了する時間を計算し、この時間が経過した後に、無線端末Aへの復路通信路診断パケットの送信を開始する。無線端末Aは、復路通信路診断パケットに格納されている通信路診断パケットの総数 (図5の14)から、無線端末Bによる全ての復路通信路診断パケットの送信が終了する時間を計算し、この時間が経過した後に、以下の式によってこの通信路の信頼性を計算する。
【0023】
(信頼性)=(往復の正常受信回数)/(往復の通信路診断パケットの総数)
無線端末Aには上式によって計算される通信路として使用可能な信頼性の最低値を予め設定しておき、この最低値よりも上式の計算結果が大きければ、この通信路は有効であると判定する。
【0024】
以上説明したようにして、通信路の信頼性を診断する(以下通信路診断という)のであるが、通信路診断を頻繁に行なうと、診断通知パケットによるネットワーク上のトラフィックの増大を招き、通常通信に影響を与える恐れがある。従って、通信路診断は必要度が高いと思われる場合でのみ行なうことが望ましい。以下、そのような場合の例を示す。
【0025】
図6は、無線端末Aの送信した存在通知パケットを無線端末Bが受信する様子を示している。同図は、無線端末AとBとが通常状態では通信可能ではあるのだが、通信路周囲の障害物による反射等の影響で、無線端末Bが無線端末Aの存在通知パケットを受け逃している様子を示している。
【0026】
この場合、無線端末Aでも無線端末Bの送信した存在通知パケットの受け逃しが発生しており、無線端末Aは一定周期(図3のT)内に無線端末Bからの存在通知パケットを受信しないことにより、無線端末Bとの通信路の信頼性が低下している可能性を認識する。しかしながら、この存在通知パケットの受け逃しは、十分な信頼性を確保している通信路であっても発生する可能性もあるので、無線端末Aはこの通信路に対して通信路診断を行なうか否かの判定を行なう。無線端末Aは、例えば、無線端末Bの存在通知パケットを数周期連続して受信しない、あるいは、無線端末Bの存在通知パケットの受信率(単位時間あたりの存在通知パケットの受信回数)が許容値を下回る、等を観測することで無線端末Bへの通信路診断の必要度が高いと判定し、この結果、通信路診断を実施する。
【0027】
図6bは、無線端末AとBとが通常状態では通信不可能ではあるのだが、何らかの原因で無線端末Bが無線端末Aの存在通知パケットを受信した様子を示している。この原因も通信路周囲の障害物による反射等の影響が考えられる。この場合、無線端末Aでも無線端末Bの送信した存在通知パケットの予定外の受信が発生し、無線端末Aは無線端末Bへの通信路が有効である可能性を認識する。無線端末Aは、例えば、無線端末Bの存在通知パケットを数周期連続して受信する、あるいは、無線端末Bの存在通知パケットの受信率が許容値を上回る等により無線端末Bへの通信路診断の必要度の高さを認識し、無線端末Bへの通信路診断を実施する。
【0028】
なお、通信路診断で使用する通信路として使用可能な信頼性の最低値は、今まで有効であった通信路に対する診断と、今まで無効であった通信路に対する診断とで異なる値を使用すると有利なことがある。すなわち、今まで有効であった通信路に対する診断で使用する通信路として使用可能な信頼性の最低値は、今まで無効であった通信路に対する診断で使用する値よりも小さく設定しておくと、有効性の判定基準付近にある通信路の通信路診断の判定結果の変更が頻繁には起こらなくなる。後述するが、通信路の変更はシステム全体に通知する必要があるので、通信路診断の結果が変化しなくなれば、通信路の変更をシステム全体に通知するために発生する通信トラフィックの増加を軽減させる効果が得られる。
【0029】
3.システム構成情報の管理
システムを構成する他の全ての無線端末が、自らと直接通信路を有するどの無線端末を経由して接続されているのかを各無線端末は認識している必要がある。以下、このシステム構成情報を各無線端末で管理する方法について述べる。
【0030】
図7は、本発明における無線端末Aのシステム構成情報(関係情報)の管理方法を説明する図である。同図は図50に示す無線通信ネットワークシステムの構成における無線端末Aのシステム構成情報を表している。
【0031】
図7は、無線端末Aの送信するパケットが着信先の無線端末に到達するまでになされる通信回数と、その通信回数を最小通信回数として到達する着信先の無線端末との関係を示している。同図から、例えば、無線端末Aが1回の通信でパケットを転送可能な無線端末にはB、C、Dがあることがわかり、また、中継無線端末による通信も含めてパケットを転送するためには少なくとも2回の通信を要する無線端末にはE、Fがあることがわかる。同様に、少なくとも3回の通信を要する無線端末にはG、H、Iが、少なくとも4回の通信を要する無線端末にはJがあることがわかる。
【0032】
図8は、無線端末Aと直接通信路を有する無線端末B、C、Dの構成情報を示す。無線端末Aは、図7に示す自らの構成情報の他に、図8に示すこの無線端末B、C、Dの構成情報をも管理する。
【0033】
一例として、無線端末Aが無線端末Eへパケットを送出する場合を考える。図8を参照すると、無線端末Eへパケットを転送するためには、無線端末Bからは1回の通信で転送可能であることがわかる。同様に、無線端末Cからは1回、無線端末Dからは2回の通信で転送可能であることがわかる。このことにより、無線端末Aは、着信先が無線端末Eであるパケットを無線端末BまたはCのいずれかに送出するようにする。
【0034】
本発明におけるシステム構成情報の管理方法では、システム内に新たな通信路が設定されたり、今まで有効であった通信路が無効になった場合には、各無線端末のそれぞれ管理しているこれらの構成情報を更新しなければならない。この方法について次に述べる。
【0035】
システム構成の変更に関する情報は、システムを構成する全ての無線端末に通知する必要がある。また、システム構成のわずかな変化であっても、前述の構成情報の更新はシステム全体では多量の更新となる。この作業のすべてを単純に通信で行なうとネットワーク上に非常に大きなトラフィックの発生を招いてしまう恐れがある。そこで、システムの構成情報を前述の存在通知パケットの中に格納するようにして、トラフィックの増大を防止することを目指す。
【0036】
図9は、システム構成情報を格納する存在通知パケットの構造を示す。同図において、図2と同一の機能を有する部分には同一の符号を付している。図9の3にはこの存在通知パケットを送信する無線端末の構成情報を格納する。例えば、無線端末Aが同図に示す存在通知パケットを送出するのであれば、図7に示す無線端末Aの構成情報を図9の3に格納して送出する。
【0037】
図10は無線端末Aと無線端末Bとの間で行われる各種処理のタイミングを示している。同図において、無線端末Aは、存在通知パケットの送信の合間Tでは受信状態にある。無線端末Aは、この合間Tでの他の無線端末からの存在通知パケットの受信・不受信によって、同図a1のタイミングで通信路診断を実施するかどうかを判定する。判定の結果、通信路診断を実施し、さらにその診断の結果、無線端末Aの構成情報を変更するときには、無線端末Aは、自らの存在通知パケットの次の送信タイミングである同図a2において、変更後の構成情報を図9の3に格納する存在通知パケットを送信する。無線端末Aは、以降の送信タイミングにおいても、変更後の構成情報を格納した存在通知パケットを送信する。
【0038】
一方、無線端末Bは、図10のタイミングb1において、変更後の無線端末Aの構成情報を格納した存在通知パケットを受信する。無線端末Bは、ここで、以前受信した存在通知パケットに格納されていた無線端末Aの構成情報との変化を検出し、その内容を無線端末B自らの構成情報にも更に反映させる。この構成情報の再構成について次に述べる。
【0039】
図11は、無線端末Aが自らと直接通信路を有する無線端末B、C、Dの構成情報を編集する様子を示す。同図は無線端末Aが当初管理していた自らと直接通信路を有する無線端末B、C、Dの構成情報を示すものであり、図8と同一のものである。
【0040】
ここで、無線端末Aが無線端末Eに対して通信路診断を行なった結果、今まで無効であった無線端末Eとの通信路が有効であると判断したとする。無線端末Aは、自らと直接通信路を有する無線端末の構成情報に、受信した無線端末Eの構成情報を追加して格納する。図11のbは同図に無線端末Eの構成情報を追加したものである。
【0041】
他の例を挙げると、無線端末Aが無線端末Dに対して通信路診断を行なった結果、今まで有効であった無線端末Dとの通信路が無効であると判断した場合には、無線端末Aは管理していた同図の各構成情報から無線端末Dの構成情報を削除する。削除結果を同図に示す。
【0042】
また、同図dは無線端末Aが無線端末Dの構成情報の変化を検出し、無線端末Aの管理していた同図の各構成情報から無線端末Dの構成情報を更新した例を示している。同図dは無線端末Dが無線端末Hとの直接通信路を有効と判定した場合である。
【0043】
無線端末Aは同図〜dを使用して無線端末Aの構成情報を再構成する。ここでは、無線端末Aが同図から自らの構成情報を再構成する手順を説明するが、同図、dから構成情報を再構成する手順も全く同様である。
【0044】
まず、無線端末Aが0回の通信でパケットを転送可能な無線端末の列に自ら(無線端末A)を格納する。次に、同図の通信回数0回の列を参照することで、無線端末Aが1回の通信でパケットを転送可能な無線端末にB、C、D、Eを格納する。その次に、同図の通信回数1回の列に示されている無線端末から既に前出した無線端末A、B、C、D、Eを除いた無線端末F、Gを無線端末Aが2回の通信でパケットを転送可能な無線端末として格納する。以下、同様にして、同図の通信回数2回の列に示されている無線端末から前出の無線端末A〜Gを除いた無線端末H、I、Jを無線端末Aが3回の通信でパケットを転送可能な無線端末として格納する。システムを構成する全ての無線端末がこの構成情報にセットされることで、無線端末Aの構成情報の再構成は完了する。以上の同図による無線端末Aの構成情報の再構成結果を図12に示す。
【0045】
各無線端末は、以上説明したような手順によってそれぞれ管理しているシステムの構成情報を更新することで、システム変更に伴うネットワーク上のトラフィックの増大を防止している。しかしながら、この手順では、全無線端末の有するシステム構成情報の更新が収束するまでにはある程度の時間を必要とする。従って、システムの設置時などの、多少のトラフィックの増大を犠牲にしてもシステム構成の確認が急がれる場合に対応したシステム構成の確認手順を用意しておくと便利である。この手法について次に述べる。
【0046】
図13は、システムに無線端末Aを新たに追加設置する場合における無線端末Aの存在通知パケットの送信タイミングを示す。同図において、周期Tnは通常時の存在通知パケットの送信タイミング、周期Tfはシステム設置時の存在通知パケットの送信タイミングを示す。すなわち、システムの設置時には、存在通知パケットの送信周期を短くするのである。
【0047】
また、このシステムに新たに無線端末Aを追加設置する場合、無線端末Aは特殊な存在通知パケットを送信するようにする。この特殊な存在通知パケットの構造を図14に示す。同図において、図9と同一の機能を有する部分には同一の符号を付している。図14の4にはこの存在通知パケットが新規設置時の送信であることを示す符号を格納する。
【0048】
無線端末Aの送信によるこの特殊な存在通知パケットを無線端末Bが受信すると、無線端末Bは、この存在通知パケットの有する無線端末Aの構成情報に基づいて自らの構成情報を再構成し、そして、再構成した自らの構成情報と新規設置時の送信であることを示すフラグとを格納する存在通知パケットをやはり周期Tfで送信するようにする。無線端末Aは、この無線端末Bの存在通知パケットを受信することにより自らの構成情報を再構成し、再構成した自らの構成情報と新規設置時の送信であることを示すフラグとを格納する存在通知パケットを周期Tfで再び送信する。以降、各無線端末はそれぞれが有する構成情報が変化しなくなるまでこの手順を繰り返し、このフラグを有する構成情報を受信しても自らの構成情報が変化しなくなったときに、それぞれ周期をTnに戻し、このフラグを格納しない通常時の存在通知パケットの定期送信状態に戻す。
【0049】
以上に述べた手法により、システムの構成情報の変化を短い時間でシステム全体に伝達することを可能としている。
4.通信パケットの転送
今まで説明した各無線端末の管理するシステム構成情報に基づいて、実際の通信パケットを発信元の無線端末から着信先の無線端末へ転送する方法について述べる。
【0050】
図15は、各無線端末A、B、E、Gがそれぞれ管理する図50のシステムにおける構成情報を示している。この図15を用いて、通信パケットを無線端末Aから無線端末Jへ転送する手順を説明する。
【0051】
無線端末Aは自らの管理する無線端末B、C、Dの構成情報(同図)から着信先の無線端末Jを探し出す。無線端末Jは無線端末B、C、Dからいずれも通信回数3の場所に位置していることがわかる。無線端末B、C、Dのいずれへ転送しても通信回数は同一であるので、無線端末Aはパケットの転送先を任意で選択する。ここではBを選択したものとする。
【0052】
無線端末Bは自らの管理する無線端末A、C、Eの構成情報(同図)より着信先の無線端末Jを探し出す。無線端末Jは、無線端末Aからは通信回数4の場所、無線端末Cからは通信回数3の場所、そして、無線端末Eからは通信回数2の場所に位置していることがわかる。従って、無線端末Jを着信先とするパケットは無線端末Eに転送するのが最もネットワークの利用効率が良いとの判断により、無線端末Bはこのパケットを無線端末Eに転送する。
【0053】
同様に、無線端末Eは自らの管理する無線端末B、C、F、Gの構成情報(同図)より着信先の無線端末Jを探し出す。無線端末Jは、無線端末Bからは通信回数3の場所、無線端末Cからは通信回数3の場所、無線端末Fからは通信回数2の場所、そして、無線端末Gからは通信回数1の場所に位置しているので、無線端末Eは無線端末Jを着信先とするパケットを無線端末Gに転送する。
【0054】
無線端末Gは無線端末Jを着信先とするパケットを受信すると、自らの管理する構成情報(同図d)から、無線端末Jは直接通信可能な無線端末であることを認識し、このパケットを直接無線端末Jへ送信する。
【0055】
以上述べた手順により、無線端末Aから発信した通信パケットは無線端末Jへ着信する。図16はこの通信パケットを転送した通信経路を示す。
ところで、このようにパケットを何段も中継する場合、その途中で障害物等の原因で引き起こされる通信障害により一時的に通信路が途絶し、パケットが着信先まで転送されない場合がある。このような場合に対処するために、各直接通信路の間でパケットの転送が正常に行なわれたときに、パケットを受信した方の無線端末は、パケットを送信した無線端末に対してパケットを受信した旨の返答を返信するようにすると良い。以下、この場合の具体例を説明する。
【0056】
図15を使用して説明した無線端末Aから無線端末Jへの通信パケットの転送の途中、無線端末E、G間で通信障害が発生した場合を考える。図17は図50のシステムで各無線端末E、F、Iがそれぞれ管理するシステムの構成情報を示している。
【0057】
図17aより、無線端末Eは無線端末Jを着信先とするパケットを無線端末Gへ転送する。ところが、ここで通信障害が発生し、無線端末Eは無線端末Gからのパケット受信の返答が確認できなかったとする。無線端末Eは無線端末Gへの直接通信路に通信障害が発生したと判断し、他の通信経路を探し始める。同図より、無線端末Eは、無線端末Jを着信先とするパケットを転送するのに無線端末Gの次に効率の良い無線端末Fに対して通信パケットを転送する。以下、無線端末Fが自らの管理する同図の構成情報から無線端末Iを選択してこの通信パケットを転送し、無線端末Iがこの通信パケットを無線端末Jへ直接転送する手順は前述したものと同様である。図18はここで述べたパケット転送の経路を示し、×印を付した通信路で通信障害が発生したことを示している。
【0058】
上述の手順によりパケットの中継経路の一時的な通信路の途絶に対処するのだが、このような通信障害が各通信路で多発した場合、ある無線端末において、一度送出したパケットが戻ってくることがある。
【0059】
図19は、図50に示すシステムにおいて、通信障害が各通信路に多発している様子を示している。図19で、無線端末Aは無線端末J向けの通信パケットを無線端末Bへ送信する(同図21)。無線端末Bは自らの管理する構成情報に基づいて、無線端末Eへパケットを転送するが、BE間の通信障害によって転送に失敗する(同図22)。そこで、無線端末Bは直接通信の第2の候補である無線端末Cに通信パケットを転送する(同図23)。無線端末Cは無線端末E、F、Dへ転送を試みるがいずれの転送も失敗し(同図24、25、26)、無線端末Aへ通信パケットを転送する(同図27)。以降、通信障害が解消しない限り、この通信パケットは無線端末A、B、Cの間を回り続ける恐れがある。
【0060】
この問題を解決するために、通信パケットを1つ1つ識別可能とする情報をそのパケットに格納するようにする。図20は通信パケットに付加するヘッダ情報の構造の例を示す。同図41には通信パケットの発信元の無線端末が付するパケット識別符号を、同図42には通信パケットの発信元の無線端末を示す発信識別符号を、同図43には通信パケットの着信先の無線端末を示す着信識別符号を、同図44にはこの通信パケットを転送する通信路の転送元の無線端末を示す転送元識別符号を、そして、同図45にはこの通信パケットを転送する通信路の転送先の無線端末を示す転送先識別符号を、それぞれ格納する。
【0061】
更に、各無線端末においては、自らが転送した通信パケットとその転送先に関する履歴を保持しておく。他の無線端末からの通信パケットを受信したときは、この通信パケットと転送履歴とを照合し、もしもこの通信パケットが以前に自らが転送したものであった場合には、以前にこの通信パケットを転送した転送先、並びにこの通信パケットを今回転送してきた転送元の無線端末の、この通信パケットに対する転送先の優先度を下げるようにする。
【0062】
図19の例で説明すると、無線端末Cが無線端末Aの送信した通信パケット(ヘッダ情報に格納されているパケット識別符号はnであったとする)を無線端末Aへ戻す(同図27)と、無線端末Aはこの通信パケットと過去の通信パケットの送信履歴(図21)とを照合し、この通信パケットを過去に無線端末Bへ送ったことを探し出す。そこで、無線端末Aは自らの管理するシステムの構成情報から着信先の無線端末Jを再度探すが、今度は無線端末Bと無線端末Cとについては、転送先としては一時的に除外して探すようにする。従って、この場合、無線端末Aは無線端末Jを着信先とするパケットは無線端末Dに転送するのが最も効率が良いと判断し、このパケットを今度は無線端末Dに転送する(図19の28)。その後、この通信パケットは図19の29、30、31の通信路を経て無線端末Jまで転送される。
【0063】
ところで、直接通信路のパケット転送先の無線端末が、転送元の無線端末に対してパケットを受信した旨の返答を返信するようにし、転送元の無線端末はこの返信が受信できないことでこの通信路の一時的な途絶を認識する方法を以前に示したが、転送元においてこの返答が受信できないのは、この返答のみに対しての通信障害によるものであり、先に転送したパケットは転送先で正常に受信できている場合もある。図22において、無線端末Eは無線端末Gに対して無線端末Aから無線端末Jへ向けた通信パケットを転送する。無線端末Gは無線端末Eからのこの通信パケットを正常に受信して無線端末Jへ転送すると共に、通信パケットを正常に受信したことを無線端末Eへ返信する。ところがここで突如発生した通信障害によって無線端末Eはこの返信が正常に受信できなかったとする。この時、無線端末Eは無線端末Gが通信パケットを正常に受信できないと判断して、他の転送経路を探し出し、無線端末Fに対してこの通信パケットを送出する。すなわち、ここでネットワーク上に同一のパケットが複数存在する状態に陥る。
【0064】
この問題に対処するために、着信先の無線端末は通信パケットの着信履歴を保持するようにする。着信履歴は、パケットのヘッダ情報に格納されているパケット識別符号を保持する。図22においては、同一のパケットが無線端末Fから無線端末Iを経て無線端末Jへ転送されるが、無線端末Jはそのパケットの有するヘッダ情報に含まれるパケット識別符号から、このパケットは既に着信済みのものであることを認識し、このパケットを破棄する。こうすることで、無線端末Jは複数の同一パケットが到来することによる混乱を防止する。
【0065】
今まで述べてきた種々の通信障害への対処方法は、通信パケットの発信元の無線端末から着信先の無線端末への迂回転送ルートが少なくとも1つは存在する場合について説明したが、複数の通信障害により、この迂回ルートが全く存在しない場合もある。そのような例を図23に示す。同図においては無線端末Jを着信先とする通信パケットは着信不可能である。この場合、この通信パケットはネットワーク上を迷走し続けることになる。この状態はトラフィックの増加につながり、他の通信に多大な影響を与える恐れがある。
【0066】
この問題を軽減するために、パケットに付加するヘッダ情報に通信パケットの転送回数をカウントするカウンタを備える。図24にこのカウンタを備えるヘッダ情報の例を示す。同図において、図20と同一の機能を有する部分には同一の符号を付している。図24の46にはこの通信パケットの転送回数をカウントするカウンタを格納する。通信パケットを転送する各無線端末はこのカウンタ値を読み出して、この値が予め設定する明らかに迷走を起こしていると考えられる値(以下、この値を最大転送回数という)になっていれば、この通信パケットを破棄し、そうでなければ、このカウンタ値を+1だけ更新して、転送を継続する。こうすることで迷走する通信パケットはいつか必ず破棄されるので、こういった通信パケットによるネットワーク上のトラフィック増加は軽減できる。
【0067】
このカウンタを利用することにより、前述の転送履歴・着信履歴とを保持しておく時間を制限することが可能となる。同一の通信パケットが破棄されるまでの時間は次式で算出できる。
(パケット破棄までの残り時間)
={(最大転送回数)−(現在のカウンタ値)}×(転送1回に要する時間)
従って、この時間を経過した後には、転送した通信パケットが戻ってくることも、また、着信した通信パケットと同一のものが再度着信することもないので、各無線端末は、各通信パケットの転送履歴・着信履歴と共に、この同一の通信パケットが破棄されるまでの残り時間を保持し、この残り時間の経過した後にこれらの履歴を破棄するようにする。こうすることで、履歴を保持するための記憶装置の記憶容量を小さくできる上に、新たに受信するパケットとこれらの履歴との照合に要する時間を短縮することも可能となる。
【0068】
5.同報通信パケット
次に、複数の無線端末に対して同一の情報を効率良く伝送する手法について述べる。
【0069】
今まで説明した通信パケットは、その通信パケットを最終的に着信させる着信先の無線端末が1つの端末のみである1対1での通信を前提としているものであった。
【0070】
この通信パケットを用いて複数の無線端末に対して同一の伝送情報を伝達するには、伝送情報の発信元の無線端末は、同一の伝送情報を有し、異なる着信識別符号が格納されている通信パケットを着信先の無線端末数だけ送信することが必要となる。また、通信パケットを中継する無線端末は、転送されてきた通信パケットを着信先あるいは次の中継を行なう無線端末に転送し、また、転送元の無線端末へパケット受信の返答を送信する。
【0071】
以上のようなやり取りが発信元の無線端末から送信された通信パケットの数に応じて発生するのであるから、ネットワーク上のトラフィックは非常に大きなものとなってしまい、問題である。
【0072】
この問題を解決するために、着信先の無線端末の情報を複数格納することのできる通信パケットである同報通信パケットを導入する。
図25に同報通信パケットの構造の例を示している。同報通信パケットは、同図(a)に示すように、ヘッダ情報51、宛先ID部52、伝送情報部53とから構成されている。
【0073】
ヘッダ情報51には、このパケットが同報通信パケットであることを示す同報通信パケット識別符号54をその先頭に格納する。なお、この同報通信パケットを用いる場合には、通常の通信パケットにも、このパケットが通常の通信パケットであることを示す符号をその先頭に格納するようにして、両者の識別を容易に行なえるようにすると便利である。
【0074】
更に、ヘッダ情報51には図20に示したものと同様の各符号41〜45も格納される。これらの各符号は、特に説明しない限り、図20の説明と同内容のものが格納される。
【0075】
宛先ID部52は伝送情報を伝達させる宛先である全ての無線端末を示す識別符号を格納する部分であり、図25(b)に示すどちらの構造でも良い。
同図において、タイプ1は情報伝達先の無線端末の識別符号を格納するID部61が単に存在するのみである。タイプ2では、ID部61と、そのID部61に対応するチェックフラグを格納するチェック部62とが存在する構造となっている。
【0076】
詳しくは後述するが、宛先ID部52の構造としてタイプ1を使用する場合には、格納されている無線端末の識別符号が宛先ID部52からある条件で一つずつ削除され、宛先の指定から除外されていく。ここで、宛先ID部52に図25(b)のタイプ2に従った構造を用いるのであれば、識別符号を削除する代わりに、識別符号が格納されているID部61に対応するチェック部62にチェックフラグを立てることで、宛先の指定から除外されたことを示すようにする。
【0077】
以降の説明では宛先ID部52の構造としてタイプ1を使用しているものとする。
図25(a)の伝送情報部53は、複数の無線端末に伝達するデータを格納する部分である。
【0078】
この同報通信パケットを使用して、複数の無線端末に情報を伝達する方法について説明する。ここでは、図50のシステムにおいて、無線端末Aがシステム内の他の全ての無線端末B〜Jに同一の情報を伝達させる場合について述べる。
【0079】
無線端末Aは、図7に示すシステム構成情報を有している。このシステム構成情報より、無線端末Aは、同一情報を伝達させる宛先の無線端末の中で通信パケットを着信させるまでに最も多くの通信回数を要するものは、4回の通信を要する無線端末Jであることが認識できる。そこで、無線端末Aは、図25(a)に示す同報通信パケットのヘッダ情報51内の着信識別符号43に、無線端末Jを示す識別符号を格納する。宛先として指定される無線端末が多ければ、同報通信パケットの中継を行なう無線端末自体が、その同報通信パケットの宛先として指定されている可能性が高くなるので、こうすることにより、効率の良いデータパケットの配送が期待できる。
【0080】
更に、無線端末Aは、同報通信パケットの宛先ID部52内の各ID部61に同一情報を伝達させる宛先である無線端末B〜Jを示す識別符号を1つずつ格納する。図26は、無線端末Aが同報通信パケットに各無線端末を示す識別符号を格納する様子を示す図である。なお、同図(b)に示す宛先ID部52は、図25(b)のタイプ1に従った構造を用いたものである。
【0081】
一方、同報通信パケットのヘッダ情報51内の他の部分には今までに説明した各符号が格納され、伝送情報部53には自らを除くネットワークを構成する全無線端末に伝達するデータが格納される。
【0082】
無線端末Aは、以上のようにして生成された無線端末Jを着信先とする同報通信パケットを送信する。この同報通信パケットは、今までに説明した通信パケットの転送方法に従い、その結果、図16に示す通信経路を経由して無線端末Jに着信するものとする。
【0083】
無線端末Aは、生成された同報通信パケットを無線端末Bに送信する。
無線端末Aからのパケットを受信した無線端末Bは、ヘッダ情報の先頭に格納されている符号を調べ、このパケットが同報通信パケットであることを認識する。そして、無線端末Eへ同報通信パケットを転送する前に、同報通信パケットの宛先ID部52を調べ、宛先ID部52に無線端末B自らを示す識別符号が格納されているか否かを探索する。
【0084】
探索の結果、自らを示す識別符号が検出されたのであれば、無線端末Bは、この同報通信パケットの伝送情報部53に格納されているデータを受信する処理を行なう。そして、この同報通信パケットのデータを後に再度受信してしまうことを防止するために、宛先ID部52内に格納されていた自らを示す識別符号を削除した同報通信パケットを、次の中継先である無線端末Eへ送信する。
【0085】
なお、探索の結果、もしも自らを示す識別符号が宛先ID部52から検出されなかったのであれば、無線端末Bは、前述した通信パケットの転送と同様の扱いで、同報通信パケットを次の中継先である無線端末Eへ送信する。
【0086】
以降、無線端末F、Gで無線端末Bと同様の情報受信処理が行われると共に、それぞれ自らを示す識別符号を宛先ID部52から削除した同報通信パケットを送信する。その後、同報通信パケットは無線端末Jに着信する。
【0087】
無線端末Jは、この同報通信パケットの伝送情報部53に格納されている情報を受信する処理を他の無線端末と同様に行ない、宛先ID部52内に格納されていた無線端末J自らを示す識別符号を削除する。削除後の宛先ID部52の内容を図27に示す。同図において、×印を付されている部分は、識別符号が無線端末Aで格納された後に削除されたことを示している。
【0088】
次に、無線端末Jは、自らの有するシステム構成情報から、同報通信パケットの宛先ID部52に残されている識別符号が示す無線端末の中で、通信パケットを着信させるまでに最も多くの通信回数を要する無線端末を選択し、ヘッダ情報51内の着信識別符号の格納部43にその無線端末を示す識別符号を格納する。
【0089】
図28は、無線端末Jの有するシステム構成情報を示す図である。同図及び図27より、無線端末Jは、宛先ID部52に残されている識別符号が示す無線端末の中で、通信パケットを着信させるまでに最も多くの通信回数を要する無線端末として無線端末C又はDのどちらかを選択する。無線端末Jが無線端末Cと無線端末Dとのどちらを選択するかは任意であり、ここでは無線端末Cが選択されたものとする。無線端末Jは、ヘッダ情報51内の着信識別符号の格納部43に無線端末Cを示す識別符号を格納する。
【0090】
無線端末Jは、無線端末Cを着信先とする同報通信パケットを送信する。この同報通信パケットは、前述の転送方法に従って転送される結果、図29に示す通信経路を経由して無線端末Jに着信するものとする。なお、同図において、斜線が加えられている無線端末は、同報通信パケットの伝送情報部53に格納されている情報を既に受信した無線端末を示している。
【0091】
無線端末I、Fでは前述した無線端末Bと同様の情報受信処理が行われ、更にそれぞれ自らを示す識別符号を宛先ID部52から削除した同報通信パケットを送信する。その後、同報通信パケットは無線端末Cに着信する。
【0092】
無線端末Cは、無線端末Jと同様に、同報通信パケットに対して情報受信処理を行ない、宛先ID部52内に格納されていた無線端末C自らを示す識別符号を削除する。そして、自らの有するシステム構成情報から、同報通信パケットの宛先ID部52に残されている識別符号が示す無線端末の中で、通信パケットを着信させるまでに最も多くの通信回数を要する無線端末として無線端末Hを選択し、ヘッダ情報51内の着信識別符号の格納部43に無線端末Hを示す識別符号を格納する。
【0093】
無線端末Cは、無線端末Hを着信先とする同報通信パケットを送信する。この同報通信パケットは、前述の転送方法に従った結果、図30に示す通信経路を経由して無線端末Hに着信する。なお、図29と同様に、図30においても、斜線が加えられている無線端末は同報通信パケットの伝送情報部53に格納されている情報を既に受信した無線端末を示している。
【0094】
無線端末Cは、同報通信パケットを無線端末Fへ送信する。
同報通信パケットを受信した無線端末Fは、同報通信パケットの宛先ID部52に無線端末F自らを示す識別符号が格納されているか否かを探索する。
【0095】
無線端末Fには、この同報通信パケットが以前に既に到来しており、その時に同報通信パケットの宛先ID部52から無線端末F自らを示す識別符号を削除しているので、このときの探索では、自らを示す識別符号が宛先ID部52から検出されない。従って、無線端末Fは情報受信処理を行なわず、前述した通常の通信パケットの転送と同様の扱いで、同報通信パケットを着信先である無線端末Hへ送信する。
【0096】
無線端末Hは、無線端末Jと同様に、同報通信パケットに対して情報受信処理を行ない、宛先ID部52内に格納されていた無線端末H自らを示す識別符号を削除する。そして、同報通信パケットの宛先ID部52に唯一残されている識別符号が示す無線端末Dを選択し、ヘッダ情報51内の着信識別符号の格納部43に無線端末Dを示す識別符号を格納し、この同報通信パケットを送信する。
【0097】
無線端末Hから送信された同報通信パケットは、再び無線端末Fを経由して無線端末Dに着信し、これで無線端末Aから発信された同報情報パケットは図50に示すシステムを構成するすべての無線端末への伝達が完了する。
【0098】
以上のようにして、複数の無線端末に対して同一の情報を伝送する場合に増大するネットワークのトラフィックを軽減させることが可能となる。
ところで、ここまでに説明した複数の無線端末に対して同一の情報を伝送する方法では、同報通信パケットを発信した無線端末が、その同報通信パケットを全ての宛先の無線端末で受信できたか否かの確認ができない。以下、この確認の方法について述べる。
【0099】
前述した実施例の最後で、無線端末Dは、同報通信パケットを受信すると無線端末Jと同様に情報受信処理を行ない、宛先ID部52内に格納されていた無線端末D自らを示す識別符号を削除するようにする。そうすれば、同報通信パケットの宛先ID部52に残されている識別符号を探索し、識別符号が全く残されていないことを検出することによって、自らがこの同報通信パケットを受信した最後の無線端末であることが無線端末Dは認識できる。そこで、無線端末Dは、宛先として指定された全ての無線端末に同報通信パケットが伝達されたことを通知するパケットを、この同報通信パケットの発信元である無線端末Aに向けて発信する。
【0100】
図31は無線端末Dが発信する通信パケットの内容を示す図である。この通信パケットの図31に図示していない部分については、図25に示す同報通信パケットと同様の構造とする。
【0101】
同図(a)のヘッダ情報51内の着信識別符号の格納部43には、同報通信パケットの発信元の無線端末(この実施例では無線端末A)を示している発信識別符号の格納部42に格納されている識別符号と同一の識別符号を格納する。また、同図(b)の宛先ID部52は、同報通信パケットの宛先の無線端末を示す識別符号がすべて削除された状態にしておく。なお、同図には図示していないが、伝送情報部には無線端末Dが受信した同報通信パケットの伝送情報部の内容をそのまま格納する。この同報通信パケットを同報通信応答パケットという。
【0102】
無線端末Dは、この同報通信応答パケットを無線端末Aに宛てて発信する。この実施例では、無線端末Dから無線端末Aへのパケット伝送は直接伝送可能であるので、無線端末Dは同報通信応答パケットを直接無線端末Aへ送信する。
【0103】
無線端末Aは、この同報通信応答パケットを受信することにより、宛先として指定した全ての無線端末に同報通信パケットが伝達されたことが確認できる。
以上のようにして、同報通信パケットを発信した無線端末にて、全ての宛先の無線端末でその同報通信パケットが受信されたことの確認が可能となる。
【0104】
次に、宛先として指定したいずれかの無線端末に同報通信パケットが伝達されなかった場合に、同報通信パケットを発信した無線端末がそのことを確認する方法について説明する。
【0105】
前に、パケットの転送ルートに発生する通信障害によって引き起こされる迷走する通信パケットを、その通信パケットの転送回数が所定数以上になったときに破棄することで、ネットワーク上のトラフィック増加を軽減させることを説明した。ここでは、この手法を利用する。
【0106】
図32は、同報通信パケットのヘッダ情報にカウンタを備えた構造の例を示す図である。同図において、符号41〜45及び54は図25(a)に示すものと同一である。
【0107】
図32のヘッダ情報51には、更にカウンタ46及び再試行回数55を格納する。カウンタ46は、図24に示すものと同様に、この同報通信パケットの転送回数をカウントするものである。
【0108】
再試行回数55はこの同報通信パケットの再試行を行なう許容回数(ここではN回とする)を格納する。この値は任意で良いが、値を大きくするとネットワーク上の通信のトラフィックが増大することがあり、値を小さくすると、ごく一時的な通信障害によっても特定の無線端末に対する通信路が途絶していると判断することがあるので、この両者を考慮して適当な値とすることが望ましい。
【0109】
図33は、無線端末Aが作成した図32に示す同報通信パケットの転送中に、無線端末Hへの通信路がすべて途絶している様子を示している。同図は、図30に示す無線端末Cからの無線端末Hを着信先とする同報通信パケットの転送の途中で通信障害が発生した状態を示している。
【0110】
無線端末Fは、無線端末Hへ同報通信パケットを送信した後に、無線端末Hからのパケットを受信した旨の返答を受信しないので、無線端末Hへのパケット転送が失敗したことを認識する。そこで、無線端末Fは、前に説明したように、無線端末Iを経由する無線端末Hへの迂回通信路を探し出し、無線端末Iへ同報通信パケットを送信する。
【0111】
無線端末Iは、無線端末Hへ同報通信パケットを送信するが、上記と同様に、無線端末Hへのパケット転送が失敗したことを認識し、無線端末Fを経由する無線端末Hへの迂回通信路を探し、無線端末Fへ同報通信パケットを送信する。
【0112】
この同報通信パケットのやり取りが繰り返され、やがて、図32のヘッダ情報51内のカウンタ46が前述した最大転送回数に達する。ここでは、無線端末Fにおいて、カウンタ46が最大転送回数に達したものとする。
【0113】
ここで無線端末Fは、着信先が無線端末Hである同報通信パケットを、カウンタ46が最大転送回数に達しても破棄せずに、その同報通信パケットのデータ内容の一部に変更を加える。
【0114】
無線端末Fは、宛先ID部52を調べ、同報通信パケットが未着信である無線端末の中でパケットが転送不能となっている無線端末以外の無線端末の一つを任意で選択し、その無線端末の識別符号を通信ヘッダ情報51内の着信識別符号の格納部43に格納する。このとき、転送不能となっている無線端末以外の同報通信パケットが未着信である無線端末の中で、パケットを着信させるまでに最も多くの通信回数を要する無線端末を選択するようにしても、もちろん構わない。
【0115】
無線端末Fは、併せて、通信ヘッダ情報51内のカウンタ46にカウントの初期値を格納し、更に、再試行回数55を、格納されていた値から1を減じた値に変更して格納する。
【0116】
図34は、無線端末Fによって変更された同報通信パケットの内容を示す図である。
無線端末Fは、同図(b)の宛先ID部52から通信不能である無線端末H以外で残されている無線端末Dを選択して、同図(a)に示すように、着信識別符号の格納部43に無線端末Dの識別符号を格納し、また、カウンタ46にはカウントの初期値である“1”を格納し、更に、再試行回数55には(N−1)の値を格納している。
【0117】
無線端末Fは、格納データ内容の一部が以上のように変更された同報通信パケットを無線端末Dへ送信する。こうすることで、同報通信パケットの宛先として指定されている無線端末の中で通信障害により同報通信パケットを受信できない無線端末が存在しても、他の通信障害の無い宛先の無線端末へには同報通信パケットを到着させることが可能となる。
【0118】
無線端末Dは、受信した同報通信パケットに対して情報受信処理を行ない、宛先ID部52内に格納されていた無線端末D自らを示す識別符号を削除する。そして、同報通信パケットの宛先ID部52にただ一つ残されている識別符号が示す無線端末である無線端末Hを選択し、ヘッダ情報51内の着信識別符号の格納部43に無線端末Hを示す識別符号を格納し、無線端末Fへ送信する。
【0119】
この後、無線端末Hを着信先とする同報通信パケットのやり取りが無線端末Fと無線端末Iとの間で再び繰り返され、やがて、図32のヘッダ情報51内のカウンタ46が前述した最大転送回数に達する。ここでは、無線端末Iにおいて、カウンタ46が最大転送回数に達したものとする。
【0120】
無線端末Iでは、同報通信パケットの格納するデータ内容に変更を加える。
無線端末Iは、前に無線端末Fが行なったと同様に、宛先ID部52から通信不能である無線端末H以外で残されている無線端末を探索するが、ここでは、宛先ID部52には無線端末H以外には無線端末が残されていないので、着信識別符号の格納部43に格納されている無線端末Hの識別符号の変更は行なわない。一方、カウンタ46にはカウントの初期値である“1”を格納し、更に、再試行回数55には格納されていた(N−1)から1を減じた(N−2)の値を格納する。
【0121】
以降、無線端末Hを着信先とする同報通信パケットのやり取り及び格納データの変更が無線端末Fと無線端末Iとの間で再び繰り返される。やがて、無線端末Fにおいて、再試行回数55に格納されている値が“1”である同報通信パケットのカウンタ46が最大転送回数に達したものとする。
【0122】
無線端末Fは、再試行回数55に格納されていた値から“1”を減じた結果が“0”となったので、宛先として指定された無線端末の中で、無線端末Hに同報通信パケットが伝達されなかったことを通知する同報通信応答パケットをこの同報通信パケットの発信元である無線端末Aに向けて発信する。
【0123】
図35は無線端末Fが発信する同報通信応答パケットの内容を示す図である。この通信パケットのヘッダ情報のうち、図35(a)に図示していない部分については、図32に示す同報通信パケットのヘッダ情報と同様の構造とし、通信パケットの他の部分は図25に示す同報通信パケットと同様の構造とする。
【0124】
図35(a)のヘッダ情報51内の着信識別符号の格納部43には、同報通信パケットの発信元の無線端末(この実施例では無線端末A)を示している発信識別符号の格納部42に格納されている識別符号と同一の識別符号を格納する。また、同図(b)の宛先ID部52には、同報通信パケットの受信に失敗した無線端末Hを示す識別符号のみを格納する。
【0125】
なお、同図には図示していないが、伝送情報部には無線端末Dが受信した同報通信パケットの伝送情報部の内容をそのまま格納する。また、カウンタ46の値は任意でよい。
【0126】
無線端末Fは、この同報通信応答パケットを無線端末Aに宛てて発信する。
無線端末Aは、この同報通信応答パケットを受信することにより、宛先として指定した無線端末のうち、無線端末Hに同報通信パケットが伝達されなかったことが確認できる。
【0127】
以上のようにして、宛先として指定したいずれかの無線端末に同報通信パケットが伝達されなかった場合に、同報通信パケットを発信した無線端末にて、そのことを確認でき、更にどの無線端末に同報通信パケットが受信されなかったかの確認が可能となる。
【0128】
6.欠落無線端末の検出
ところで、図23の無線端末Jや図33の無線端末Hなど、通信障害や無線端末の故障等の原因によって通信ルートが全て途絶し、ネットワークから欠落してしまう無線端末が発生することがあると、前に説明した。このような無線端末を、以降、欠落無線端末と呼ぶこととする。
【0129】
無線通信ネットワークにおいて欠落無線端末が発生した場合に、その発生の事実、更には、どの無線端末が欠落無線端末であるのかを他の無線端末で検出することができれば、例えば、その欠落無線端末に関する情報を無線端末の使用者に通知することにより、通信障害の解消や無線端末の修理の必要性を無線端末の使用者が認識することができるので、非常に便利である。以下、この、欠落無線端末を検出する方法について説明する。
【0130】
欠落無線端末を検出する無線端末(以下、検出無線端末と呼ぶ)は、どの無線端末によってネットワークが構成されているのかを全て知っている必要がある。このネットワークを構成する全無線端末の情報は、全無線端末の識別符号という情報形態でROMなどの記憶素子に予め記憶させておき、検出無線端末にその記憶素子を備え、情報内容を利用できるようにしておく。
【0131】
また、検出無線端末に、電気的に書き換え可能な記憶素子であるフラッシュメモリやRAMなどを備えると共に、検出無線端末にコンピュータ等の外部機器を接続して記憶素子の記憶内容を外部機器から書き換え可能とし、この外部機器からネットワークを構成する全無線端末の情報を記憶素子に書き込むことにより、その情報を検出無線端末に与える構成としても良い。ネットワークの構成が頻繁に変更されるのであれば、むしろ後者の方が、記憶内容を変更する度に記憶素子を付け外しする手間が省けるので便利である。
【0132】
更に、検出無線端末に電気的に書き換え可能な記憶素子を備え、ネットワークの設置直後などのネットワーク上に欠落無線端末が発生していないことが確認されているときに、今までに説明した存在通知パケットの送受信や通信路診断によってネットワークを構成する全無線端末の情報を検出無線端末が取得し、自らが有する記憶素子にその情報を書き込むようにしてもよい。このネットワーク構成情報の取得機能を、検出無線端末に接続される外部機器から与えられる命令によって実行されるようして、ネットワーク上に欠落無線端末が未発生であることが確認されたときに、この命令を外部機器から検出無線端末に通知するようにしてもよく、こうすると、ネットワークを変更した直後の構成無線端末情報の変更が容易に行なえるので便利である。
【0133】
今、ネットワークが図50に示すように構成されているものとし、無線端末Aが検出無線端末であるとする。もちろん、検出無線端末は無線端末Aに限定されるものではなく、ネットワークを構成するいずれの無線端末でも構わない。
【0134】
無線端末Aには、ネットワークを構成する全無線端末を示す情報として、無線端末Aから無線端末Jまでの10の識別符号が予め与えられている。
ここで、図36に示すように、無線端末Jがネットワークから欠落した場合を考える。
【0135】
ネットワーク上では、今までに説明した存在通知パケットの送受信や通信路診断が行われ、その結果が各無線端末間で相互に交換される。
そして、無線端末Aでは、図37に示すシステム構成情報が作成される。
【0136】
ここで、無線端末Aは、図38に示す全無線端末の管理情報を作成する。
図38において、表の横軸はネットワークを構成する無線端末をすべて網羅しており、無線端末Aが送信する通信パケットの着信先の無線端末を示す。これらは、無線端末Aに予め与えられている情報を元にして各欄を埋める。
【0137】
また、同図において、表の縦軸は、左側が無線端末Aが直接通信可能である隣接する無線端末を、右側がその隣接無線端末から着信先の無線端末まで通信パケットを転送する場合に要する通信回数を、それぞれ示している。
【0138】
同図において、無線端末Bの欄を参照すると、まず、“B,0”と記されている。これは、無線端末Aが無線端末Bに通信パケットを送る場合、無線端末Bは無線端末Aから直接通信可能であるので、無線端末Bに着信させるために必要な無線端末Aからの通信パケットの無線端末B以降の通信回数は0回で済むことを示している。
【0139】
無線端末Bの“B,0”の欄の下の欄には“C,1”と記されている。これは、無線端末Aが無線端末Bに通信パケットを送る場合、まず、無線端末Cへ通信パケットを転送すると、無線端末Bに着信させるために必要な無線端末Aからの通信パケットの無線端末C以降の通信回数は1回であることを示している。また、その次の欄の“D,2”は、まず、無線端末Dへ通信パケットを転送すると、無線端末Bに着信させるために必要な無線端末Aからの通信パケットの無線端末D以降の通信回数は2回であることを示している。
【0140】
以上の各欄の内容は、図37に示す無線端末Aの管理するシステム構成情報のうち、無線端末Aに隣接する無線端末の構成情報を利用することにで、容易に求めることができる。
【0141】
なお、この表において、通信回数の欄はその回数の少ない順に並べられる。通信回数が同一の場合の並べ方は任意でよいが、前に行なった通信路診断の結果、通信路の信頼性の高い順に並べるようにしてもよい。
【0142】
このようにして作成された図38の表で、無線端末Aと無線端末Jの欄が全て空欄となっている。これは無線端末Aからの通信パケットを着信させる通信ルートが存在しないことを意味しているので、自端末である無線端末Aを除く無線端末Jは、ネットワークより欠落した欠落無線端末であることが無線端末Aで検出できる。
【0143】
無線端末Aは、LED等の表示装置を備えて、ここで、ネットワーク内に欠落無線端末が発生したことをこの表示装置に表示して無線端末の使用者に通知したり、無線端末にコンピュータ等の外部機器が接続されていれば、その旨を通知したりする。また、無線端末Aは、こうして検出された欠落無線端末の情報を、例えば、欠落無線端末の識別符号を表示装置に表示したり、外部機器に欠落無線端末を特定する情報を通知したりしてもよい。
【0144】
次に、欠落無線端末を検出する別の方法を、ネットワークが図36の状態である場合について説明する。なお、ここでも無線端末Aを検出無線端末とする。
まず、先の実施例と同様に、無線端末Aが、ネットワークを構成する全無線端末の情報を利用できるようにしておく。
【0145】
ネットワーク上では、存在通知パケットの送受信や通信路診断が行われ、やがて無線端末Aでは、図37に示すシステム構成情報を備えるようになる。
図37において、無線端末Aの構成情報を参照すると、無線端末Aは、1回の通信回数で無線端末B、C、Dと、2回の通信回数で無線端末E、Fと、3回の通信回数で無線端末G、H、Iと、それぞれ通信可能であることがわかる。
【0146】
無線端末Aは、この現在通信可能な各無線端末の情報と、ネットワークを構成する全無線端末の情報とを比較し、この両者の情報で一致しない無線端末Jが欠落無線端末であると判定する。この判定結果は、先の例と同様に、表示装置へ表示したり、外部機器へ通知したりする。
【0147】
上述した2つの方法は、ネットワークを構成する全無線端末の情報と、自らの送出する通信パケットが着信可能である無線端末を示す情報と、の一致、不一致を検出することで、欠落無線端末の発生を判定する点においては同様である。
【0148】
ここまでで説明した欠落無線端末の検出方法では、ネットワークを構成する無線端末のなかでどの無線端末が欠落しているのかを特定することを可能としている。ところで、単にネットワークを構成する無線端末に欠落無線端末が発生しているか否かのみの検出を目指すのであれば、より簡便な方法が存在する。
【0149】
図36のネットワークの状態について、この方法を説明する。なお、前の説明と同様に、ここでも無線端末Aが検出無線端末であると仮定する。
無線端末Aには、ネットワークを構成する無線端末の総数が予め与えられる。図36の例では、ネットワークを構成する無線端末の総数は10台である。
【0150】
ネットワーク上では、今までに説明した存在通知パケットの送受信や通信路診断が行われ、やがて無線端末Aでは、図37に示すシステム構成情報を備えるようになる。
【0151】
ここで、無線端末Aは、図37の構成情報のうち、無線端末A自らの構成情報に着目し、そこに示されている着信先の無線端末の台数を数える。同図からは、無線端末Aから無線端末Iまでの9台という台数が得られる。
【0152】
この台数と、予め与えられているネットワークを構成する無線端末の総数である10台とを無線端末Aは比較し、その結果、両者の台数が一致しないことが判明する
無線端末Aは、このことにより、ネットワーク上に欠落無線端末が発生していることを認識し、表示装置へその旨を表示したり、接続されている外部装置にその旨を通知する。このとき、無線端末Aは、予め与えられているネットワークを構成する無線端末の総数に対する、図37の無線端末Aに示されている着信先の無線端末の台数との不足数を示すようにしても有益である。
【0153】
7.通信障害発生時における通信パケットの迂回転送ルートの選択
次に、無線通信ネットワークシステムで、元の無線端末から最終着信先の無線端末まで通信パケットを転送するときに、その転送ルートの途中に通信障害が発生した場合における、効率的な迂回転送ルートの選択手法について説明する。
【0154】
無線通信ネットワークシステムを構成する通信路において通信障害が発生したときの通信パケットの転送方法として、自らが転送したものと同一の通信パケットを受信した無線端末がこの通信パケットを再送するときには、この通信パケットを先に転送した転送先、及び、この通信パケットを転送してきた転送元、の両無線端末が通信パケットの再転送先の無線端末として選択される優先度を下げるようにする手法は以前に説明した。この手法を、図39(A)に示す構成を有する無線通信ネットワークシステムに適用する。
【0155】
図39(A)を説明すると、A〜Lは分散設置された無線端末を示し、同図の実線が無線端末A〜Lのそれぞれが直接通信可能な通信路(以下、直接通信路という)を示している。
【0156】
図39(A)において、無線端末Fが無線端末Lを最終着信先とする通信パケットを発信する場合を考える。この場合、発信無線端末である無線端末Fは、当該通信パケットの中継無線端末として、今まで説明した手法(自らが直接通信可能な無線端末の中で、転送回数が最小になる端末を選択)を用いて、無線端末I、J、Kのうちのいずれかを選択する。
【0157】
次に、図39(B)に示すように、通信路の途中に置かれた障害物により、図39(A)に実線で示した直接通信路の中で、FI、FJ、FKの各無線端末間の直接通信路に通信障害が発生したときに、無線端末Fが無線端末Lを最終着信先とする通信パケットを発信する場合を考える。この場合において、無線端末Fは無線端末A、B、C、Dのいずれかを中継無線端末として選択する。
【0158】
図39(B)に示す場合においても、無線端末Fから無線端末Lへの転送ルートとして、順に無線端末D、E、G、H、Kを経由するというルート(以降、迂回ルートという)が残されてはいる。しかしながら、前述の手法によれば、各無線端末は着信先である無線端末Lに着信させるまでに要する転送回数が最も少なくなるように中継無線端末を選択して通信パケットを転送するので、各無線端末A、B、C、Dが発信無線端末である無線端末Fを中継無線端末として選択し、当該通信パケットを無線端末Fへ転送する可能性はかなり高い。そのため、通信パケットが上述の迂回ルートに従って無線端末Lに着信するまでには多数回の通信パケットの転送が行なわれ、その結果、ネットワーク上のトラフィックの増加要因となってしまう。
【0159】
これより説明する迂回転送ルートの選択手法によれば、通信障害の発生により通信不能となった通常の通信経路に代わる通信経路(迂回ルート)を効率よく見つけ出し、その迂回ルートを用いて通信パケットを転送することができるので、通信障害発生時におけるネットワーク上のトラフィックの増加を押さえることが可能である。
【0160】
以降の説明において、前向き隣接無線端末と後向き隣接無線端末という語を用いるので、まず、これらについて説明しておく。
図40は、図39(A)の無線通信ネットワークシステムにおける各無線端末の構成情報を示す図である。図40において、先の例における発信無線端末である無線端末Fの構成情報を参照すると、無線端末Fから1回の通信により通信パケットを着信させることの可能な無線端末、すなわち、無線端末Fと直接通信路を有する無線端末は、A、B、C、D、I、J、Kであることがわかる。以降、これらの無線端末を隣接無線端末と呼ぶ。
【0161】
無線端末Fと無線端末Fにおける各隣接無線端末とで、先の例における通信パケットの最終着信先である無線端末Lに通信パケットを着信させるまでに必要な通信回数を比較する。図40を参照すると、発信無線端末である無線端末Fが着信先の無線端末である無線端末Lに通信パケットを着信させるまでに2回の通信回数を要することが分かる。無線端末Fの各隣接無線端末について無線端末Lに通信パケットを着信させるまでに要する通信回数を図40より求めると、無線端末A、B、C、Dについては無線端末Fよりも多い3回の通信回数、また、無線端末I、J、Kについては無線端末Fよりも少ない1回の通信回数であることがわかる。
【0162】
上述の例で、無線端末Fから無線端末Lへの通信パケットの転送においての無線端末A、B、C、Dのように、ある発信無線端末についての隣接無線端末の中で、最終着信先の無線端末へ通信パケットを転送する場合に要する通信回数がその無線端末以上に要する隣接無線端末を、発信元の無線端末における最終着信先の無線端末についての後向き隣接無線端末といい、また、上述の例における無線端末Fから無線端末Lへの通信パケットの転送においての無線端末I、J、Kのように、ある無線端末に対する隣接無線端末の中で、最終着信先の無線端末へ通信パケットを転送する場合に要する通信回数がその無線端末よりも少なくて済む隣接無線端末を、発信元の無線端末における最終着信先の無線端末についての前向き隣接無線端末という。
【0163】
なお、図39に示すネットワークにおける無線端末Fには存在しないが、ある発信無線端末についての隣接無線端末の中で、最終着信先の無線端末へ通信パケットを転送する場合に要する通信回数がその無線端末で要する通信回数と同数である隣接無線端末を、発信無線端末における最終着信先の無線端末についての横向き隣接無線端末という。
【0164】
以降のネットワークの各構成例についての説明においては、転送する通信パケットは無線端末Fで作成されるものとして説明しているが、他の無線端末から無線端末Fへ転送されてきた無線端末L宛の通信パケットを、無線端末Fが更なる転送のために発信する場合であっても、同様の迂回転送ルートの選択手法が適用可能である。
【0165】
では、本発明に関する迂回転送ルートの選択手法について説明する。なお、ここでも、図39(A)に構成を示す無線通信ネットワークシステムで、図39(B)に示すようにFI、FJ、FKの各無線端末間の直接通信路に通信障害が発生したときにおける、無線端末Lを最終着信先とする通信パケットを無線端末Fが発信する場合を例に説明する。
【0166】
発信無線端末である無線端末Fは、今まで説明した各無線端末によるシステム構成情報の管理と同様に、自らのシステム構成情報と自らに対する各隣接無線端末のシステム構成情報とを管理している。
【0167】
図39(A)に示すネットワークにおいて、発信無線端末である無線端末Fは、無線端末Lを着信先とする通信パケットを、まず前向き隣接無線端末である無線端末I、J、Kのいずれかに転送することを試みる。このとき、図39(B)に示すようにFI、FJ、FKの各無線端末間の直接通信路に通信障害が発生していると、無線端末I、J、Kの全てについて転送を試みるのだが、全て失敗する。
【0168】
次に、無線端末Fは無線端末L宛の通信パケットを横向き隣接無線端末に転送することを試みるのだが、図39(A)に示すネットワークにおける無線端末Fには横向き隣接無線端末が存在しないので、この転送の試みは行なわれない。
【0169】
ここで、無線端末Fは、自らが管理している各隣接無線端末についてのシステム構成情報を、通信パケットの最終着信先である無線端末Lについての前向き隣接無線端末と後向き隣接無線端末(以降、無線端末Fを発信元とし、無線端末Lを最終着信先とするときにおける前向き隣接無線端末を単に前向き無線端末といい、無線端末Fを発信元とし、無線端末Lを最終着信先とするときにおける後向き隣接無線端末を単に後向き無線端末という)とに分類する。
【0170】
図41は、無線端末Fの管理するシステム構成情報を示す図である。図41は、無線端末Fの管理する各隣接無線端末のシステム構成情報を、(A)自分(無線端末F)の構成情報と、(B)後向き無線端末の構成情報と、(C)前向き無線端末の構成情報と、に分けて示している。
【0171】
次に、無線端末Fは、図41に示す自らの管理しているシステム構成情報から、無線端末Fより最初にパケットを転送する隣接無線端末をいずれか選択したときにおける、ネットワークを構成する各無線端末宛の通信パケットを無線端末Fより発信してから宛先の無線端末に着信するまでに行われる通信回数を、各隣接無線端末毎に得る。そして、先に分類した後向き無線端末と前向き無線端末とのそれぞれにおいて、各宛先無線端末に対する最小の通信回数を求める。
【0172】
図42は、無線端末Fから発信される各無線端末宛の通信パケットが宛先の無線端末に着信するまでに行われる最小通信回数を示す図である。同図(A)は、後向き無線端末を通信パケットの最初の中継に用いるときの宛先無線端末に対する最小通信回数を示すものであり、更に、その最小通信回数で無線端末Fから宛先無線端末に通信パケットが届く場合において、無線端末Fから最初に発信されたその通信パケットを中継する可能性のある後向き無線端末をも示している。また、同図(B)は、前向き無線端末を通信パケットの最初の中継に用いるときの宛先無線端末に対する最小通信回数と、その最小通信回数で無線端末Fから宛先無線端末に通信パケットが届く場合において、無線端末Fから最初に発信されたその通信パケットを中継する可能性のある前向き無線端末と、を示している。
【0173】
図42について更に説明する。
例えば、宛先無線端末が無線端末Eである欄を参照する。
同図(A)を参照すると、無線端末E宛の通信パケットを、後向き無線端末に向けて無線端末Fから発信すると、その通信パケットが無線端末Eに着信するまでに少なくとも2回の通信が必要であることが分かり、また、その最小である2回の通信回数で通信パケットが無線端末Eに着信するときには、無線端末Fから最初に発信されたその通信パケットを受け取る可能性のある後向き無線端末は、無線端末Dのみであることが分かる。
【0174】
一方、同図(B)では、無線端末E宛の通信パケットを、前向き無線端末に向けて無線端末Fから発信すると、その通信パケットが無線端末Eに着信するまでに少なくとも4回の通信が必要であることが分かり、また、その最小である4回の通信回数で通信パケットが無線端末Eに着信するときは、無線端末Fから最初に発信されたその通信パケットを受け取る前向き無線端末は、無線端末I、J、Kのいずれにもその可能性を有していることが分かる。
【0175】
図42に示すような各宛先無線端末に対する最小の通信回数を求めた無線端末Fは、ここで、最初に後向き無線端末に向けて通信パケットを発信する(これを後向き発信という)ときに着信までに要する最小通信回数と、最初に前向き無線端末に向けて通信パケットを発信する(これを前向き発信という)ときに着信までに要する最小通信回数と、の差を各宛先無線端末ごとに求める。図43は、後向き発信時と前向き発信時とにおける、通信パケットが各宛先無線端末に着信するまでに要する最小通信回数の差を示す図である。
【0176】
図43を参照すると、宛先無線端末が、自端末である無線端末Fと、自端末ではない無線端末Gと、において最小通信回数の差が0となり、その他の宛先無線端末については最小通信回数の差がすべて2となっている。このときの無線端末Gのように、自端末以外で上述した最小通信回数の差が2よりも小さな宛先無線端末をチェックポイントという。
【0177】
このように、ネットワークにチェックポイントが存在するということは、自端末、前向き隣接無線端末であるいずれかの無線端末、チェックポイント、後向き隣接無線端末であるいずれかの無線端末、の4者を巡るループ(環)状の通信路がそのネットワークに存在することを示している。この通信路をループ通信路という。
【0178】
例えば、ループ通信路が途中に複雑な通信経路を持たない、単純な環状の通信路である場合では、チェックポイントにおける上述した最小通信回数が0であるときは、ループ通信路を構成する中継無線端末の台数が偶数であることを示しており、また、チェックポイントにおける上述した最小通信回数が1であるときは、ループ通信路を構成する中継無線端末の台数が奇数であることを示している。なお、1つのループ通信路を構成する中継無線端末の台数が奇数であるときは、そのループ通信路上にチェックポイントは2つ存在する。
【0179】
一方、このとき、自端末以外で前述した最小通信回数が2より小さい中継無線端末、すなわちチェックポイント、がネットワークに存在しなければ、それは、前向き発信もしくは後向き発信により通信パケットを発信無線端末から各中継無線端末へ転送するときに、前向き発信時または後向き発信時のどちらかにおいて、通信パケットの転送経路の途中で発信無線端末を必ず経由してしまうことを示している。
【0180】
ここで、着信先の無線端末宛の通信パケットを前向き隣接無線端末に発信すれば転送経路の途中で発信無線端末を経由することは当然あり得ない。つまり、チェックポイントがネットワークに存在しない上述のような場合では、着信先の無線端末宛の通信パケットを後向き隣接無線端末に発信しても、その通信パケットが発信無線端末に戻り、この発信無線端末を経由することなしに他の通信路を通って着信先の無線端末に着信することはないということである。従って、この場合における着信先の無線端末宛の通信パケットの後向き発信は、単にネットワーク上のトラフィックの増加を引き起こすのみであり、この通信パケットの後向き隣接無線端末への発信は無駄な通信であるといえる。
【0181】
そこで、発信無線端末は、自端末以外に前述した最小通信回数が2より小さい宛先無線端末がネットワークを構成する無線端末に存在しないときには、通信障害発生時に後向き発信を行なわないようにする。このことは本発明に関する特徴のひとつであり、これにより通信障害発生時におけるネットワーク上のトラフィックの増加を押さえることが可能となる。
【0182】
なお、ここまでのループ通信路の探索は、前向き、及び横向き隣接無線端末への通信パケットの転送に失敗した後に行なっているが、これらの転送を試みる前に予め探索を行なっておいても特に問題はない。
【0183】
無線端末Lを着信先とする通信パケットの転送を無線端末I、J、Kの全てに試みて失敗した後の無線端末Fは、今までの説明により得られた図43から無線端末Gがチェックポイントであることを発見することによって、図39(A)に示すネットワークにループ通信路が存在することを認識する。そこで、無線端末Fは、無線端末Lを着信先とする通信パケットを後向き発信し、チェックポイントである無線端末Gを経由させて無線端末Lに着信させることを試みる。
【0184】
後向き発信時における、発信無線端末による最初の通信パケットの転送先は、チェックポイントまで通信パケットを転送するために要する通信回数が少なくなる後向き無線端末を選択する。図41(B)を参照すると、チェックポイントである無線端末Gまで通信パケットを転送するために要する通信回数は、後向き無線端末の中から無線端末Dを選択すると最も少なくなり、無線端末Dより2回の通信で無線端末Gに通信パケットを転送可能であることが分かる。そこで、無線端末Fは、無線端末Lを着信先とし、無線端末Gを経由無線端末とする通信パケットを無線端末Dに向けて発信する。
【0185】
この通信パケットを受信した無線端末Dは、今まで説明した自らの有するシステム構成情報から、この通信パケットの経由無線端末である無線端末Gへ通信パケットを転送するのに要する通信回数が最も少なくて済む無線端末Dについての隣接無線端末を選択する。ここでは当然無線端末Eが選択され、その通信パケットが転送される。無線端末Eでも同様にして転送先の隣接無線端末が選択され、この通信パケットは経由無線端末であり、ループ通信路上のチェックポイントである無線端末Gに到着する。
【0186】
ここで、通信パケットをチェックポイントから着信先である無線端末に着信させるまでに要する通信回数を考えてみる。
着信先である無線端末は、このループ通信路の中で、チェックポイントより前向き無線端末を経由して発信元の無線端末に至る通信路の途中、もしくはその通信路の途中の無線端末から枝別れした通信路上、に存在することは、前向き無線端末の定義により明らかである。従って、チェックポイントから着信先である無線端末に通信パケットを送るために要する通信回数が最小となるときの通信経路が、チェックポイントから後向き無線端末と発信元の無線端末とを経由して着信先である無線端末に通信パケットを送る通信経路、すなわち、今まで通信パケットをチェックポイントまで転送してきた通信路を戻る通信経路となることはあり得ない。このことは、ループ通信路を構成する無線端末の台数が奇数のときであってチェックポイントが2つ存在するときに、そのうちのいずれかを任意に選択した場合でも同様である。
【0187】
よって、チェックポイントから最終着信先の無線端末までの通信パケットの転送ルートは、上述したように、チェックポイントから着信先である無線端末に通信パケットを送るために要する通信回数が最小となる通信ルートを選択すればよい。
【0188】
経由無線端末である無線端末Gでは、今まで説明した自らの有するシステム構成情報を参照し、この通信パケットの最終の着信先である無線端末Lへ通信パケットを転送するために要する通信回数が最も少なくて済む隣接無線端末を選択し、最終着信先が無線端末Lであって、無線端末Gを経由無線端末の指定から外した通信パケットをその選択された隣接無線端末へ転送する。ここでは無線端末Hが選択されるのは明らかである。
【0189】
無線端末H以降において通信パケットが次々に転送されていく流れは今までに説明した通信パケットの転送手法に従うものであり、この通信パケットは、無線端末Hより無線端末Kを経て、最終着信先である無線端末Lへと着信する。今までの説明により、無線端末Fから発信された無線端末L宛の通信パケットが辿った迂回ルートを図44に示す。
【0190】
このように、ループ通信路が存在する無線通信ネットワークにおいて、前向き無線端末への直接通信路が通信障害により途絶した場合には、通信パケットを発信する無線端末はその通信パケットを後向き無線端末へ転送し、チェックポイントを経由させて最終着信先の無線端末にその通信パケットを着信させるようにする。このことは本発明に関する特徴のひとつであり、この特徴によって、通信障害発生時に効率の良い迂回ルートの選択が行なえ、ネットワーク上のトラフィックの増加を押さえることにもつながる。
【0191】
なお、前述したような1つの単純な環状のループ通信路を構成する無線端末の台数が奇数のときであって、今まで説明した条件を満たすチェックポイントが2つ存在するときには、そのうちのいずれかを経由無線端末として任意に選択すればよい。
【0192】
次に、チェックポイントが複数存在する今まで説明した以外の場合について説明する。
図45はチェックポイントを複数有する無線通信ネットワークの構成の例を示す図である。同図の構成は、図39(A)のネットワークを構成する各無線端末の中で、無線端末Gとのみ直接通信路を有する無線端末Mと、その無線端末Mとのみ直接通信路を有する無線端末Nとが図39(A)に示す構成に追加された構成となっている。
【0193】
図45において、無線端末Lを最終着信先とする通信パケットを無線端末Fが発信する場合、無線端末G、M、Nのいずれもが今まで説明したチェックポイントとしての要件を満たしている。しかしながら、例えば無線端末Mをチェックポイントとすると、GMの各無線端末間で通信パケットが往復することは明白であり、GM間の通信は無駄である。同様の通信は無線端末Mをチェックポイントとして迂回ルートを得る場合にもGM、MNの各無線端末間で発生することは明らかである。
【0194】
図45における無線端末M、Nのような無線端末をチェックポイントとして選択してしまわないようにするためには、通信パケットを発信無線端末から今まで説明したチェックポイントとしての要件を満たしている無線端末まで転送するために要する最少の通信回数を比較する。そして、比較の結果、この通信回数が最も少ないものをチェックポイントとするようにする。このことは本発明に関する特徴のひとつであり、図45に示す例では、発信無線端末である無線端末Fから通信パケットを転送するために必要な通信回数は、無線端末Gまでは3回、また、無線端末Mまでは4回、無線端末Nまでは5回であるから、この場合では無線端末Gをチェックポイントとして選択すればよいことが分かる。こうすることによって、前述のような無駄な通信を無くすことができ、ネットワーク上のトラフィックの増加を押さえることとなる。
【0195】
なお、チェックポイントが複数存在する場合は、図45の例に示すようなネットワークの構成の他に、前述した1つのループ通信路を構成する無線端末の台数が奇数の場合、あるいは、ループ通信路が複数存在する場合、などでも発生し得るが、このような場合であっても前述した手法によるチェックポイントの選択を行なっても特に問題はない。ループ通信路が複数存在する場合などでは、前述した通信回数が同数となるものが複数存在し得るが、このような場合では、通信回数が最も少ないものの中からチェックポイントを任意に選択すればよい。
【0196】
次に、チェックポイントの条件を満たす無線端末が、迂回ルートの選択に用いることが不適切である場合について説明する。
図46は、チェックポイントの条件を満たしているにもかかわらず、迂回ルートの選択に用いることが不適切な無線端末が存在するネットワーク構成の例を示す図である。同図を図45のネットワーク構成例と比較すると、無線端末Eが失われて無線端末DG間の通信は無線端末Fを経由しなければならなくなった点と、無線端末Hが失われたが、無線端末GK間は直接通信が可能となった点とが異なっている。
【0197】
図46において、無線端末Lを最終着信先とする通信パケットを無線端末Fが発信する場合、無線端末G、M、Nのいずれもが今まで説明したチェックポイントとしての要件を満たしており、その中で、無線端末Gは、発信無線端末である無線端末Fが発信する通信パケットを最少の通信回数で受け取ることのできる無線端末である。
【0198】
ところで、発信無線端末Fから発信する通信パケットを最終着信先の無線端末Lに着信させるまでに要する最少の通信回数は2回である。一方、無線端末Gから発信する通信パケットを無線端末Lに着信させるまでに要する最少の通信回数も2回である。従って、無線端末Gは発信無線端末Fについての横向き隣接無線端末である。
【0199】
いままで説明した迂回ルートとは、通信パケットが発信無線端末から必ず最初に後向き無線端末へ転送され、その後チェックポイントを経て最終着信先の無線端末へと転送される通信経路と定義しており、従って、無線端末Fから無線端末G、Kを経て無線端末Lへ着信するという後向き無線端末を経由しない通信経路は迂回ルートとは言えない。発信無線端末である無線端末Fは迂回ルートによる通信パケット転送時に、この迂回ルートの定義を前提として、最初に後向き無線端末への転送を試みるが、発信無線端末である無線端末Fを経由せずに後向き無線端末から無線端末Gに通信パケットが届く通信経路は存在しないため、この通信パケットは無線端末Fに結局戻ってくることとなってしまい、無駄である。
【0200】
また、横向き隣接無線端末である無線端末Gを最初の中継端末とする通信経路による通信パケットの転送は、迂回ルート探索の前に既に試みた結果、転送に失敗したはずのものであるから、この通信経路をこの時点で再度試みることが必ず必要ということもない。
【0201】
図46における無線端末Gのように、チェックポイントの条件を満たしているにもかかわらず、迂回ルートの選択に用いることが不適切な無線端末を、以降、不適チェックポイントと呼ぶ。
【0202】
不適チェックポイントを検出するためには、前述のチェックポイントの条件を満たす無線端末まで通信パケットを転送するために要する最少の通信回数を、後向き隣接無線端末から通信パケットを発信した場合と、発信無線端末から通信パケットを発信した場合と、で比較する。そして、発信無線端末から前述のチェックポイントの条件を満たす無線端末まで通信パケットを転送するために要する最少の通信回数の方が少ない場合、前述のチェックポイントの条件を満たすその無線端末が不適チェックポイントとみなすことができる。この条件は、後向き隣接無線端末からチェックポイントの条件を満たす不適チェックポイントまで通信パケットを転送するときには、その通信パケットの転送経路の途中で発信無線端末を必ず経由してしまうことを考えれば容易に理解できる。
【0203】
図46の無線端末Gについて、上述の比較を行なってみると、発信元である無線端末Fから無線端末Gまで通信パケットを転送するために要する最少の通信回数は1回であり、また、後向き隣接無線端末から無線端末Gまで通信パケットを転送するために要する最少の通信回数は、無線端末A、B、C、Dのいずれの場合においても2回であるので、無線端末Gは不適チェックポイントであることが判明し、チェックポイントから除外することができる。同様にして、無線端末M、Nについても不適チェックポイントであることが判明する。従って、図46についてはチェックポイントが存在しないことが分かり、無線端末Fは後向き隣接無線端末への通信パケットの発信は行なわなくて済む。
【0204】
なお、上述した不適チェックポイントの判定条件を迂回ルートの存在するネットワークのチェックポイントに適用すると、そのチェックポイントを不適チェックポイントであると判断してしまうことがあり得る。従って、この判断条件は、迂回ルートが存在しないのにもかかわらず後向き隣接無線端末に通信パケットを発信してしまうことを確実に防止する、一種のフェールセーフとして考える必要がある。よって、例えば、迂回ルートが確実に存在していることが予め判明している場合などでは、この不適チェックポイントの判定を行なわないようにすることも有益である。
【0205】
次に、今まで説明した効率的な迂回ルートの選択を行なうために用いられる通信パケットの構造について図47を用いて説明する。
通信パケットを受信した各無線端末は、着信先無線端末の識別符号を格納する43を参照し、そこに自らの識別符号が格納されているか否かを調べ、自らの識別符号が格納されていないのであれば、自ら管理しているシステム構成情報をもとに、43に格納されている着信先無線端末の識別符号の示す無線端末へ着信するようにこの通信パケットを転送していく動作は今までと同様である。
【0206】
一方、43に格納されている着信先無線端末の識別符号が自らのものである場合には、格納されている転送情報を直ちに取得するのではなく、まず、最終着信先無線端末の識別符号が格納される47を参照する。47に何も格納されていない(ヌルデータである)のであれば、この通信パケットを受け取った無線端末は最終着信先であり、格納されている転送情報を取得する。47に他の無線端末の識別符号が格納されているのであれば、この通信パケットを受け取った無線端末は自端末が迂回ルートにおける経由無線端末(チェックポイント)であったことを認識し、47に格納されている他の無線端末の識別符号を着信先無線端末の識別符号の格納位置である43に複写し、そして47にヌルデータを格納し、自ら管理しているシステム構成情報をもとに、43に格納した着信先無線端末の識別符号の示す無線端末へ着信するようにこの通信パケットを転送していく。
【0207】
図39(B)に示す無線通信ネットワークにおける無線端末Fから無線端末Lへの迂回ルートの途上において、通信パケットのヘッダ情報が変更されていく様子を図48を用いて説明する。
【0208】
まず、無線端末Fは同図(a)に示すヘッダ情報を格納した通信パケットを無線端末Lに着信させるために、前向き無線端末I、J、Kへの転送を試みる。同図(a)に示すように、このとき、43には最終着信先である無線端末Lの識別符号が格納されており、また、47はヌルデータとなっている。
【0209】
通信障害により、この通信パケットの前向き無線端末I、J、Kへの転送を全て失敗した無線端末Fは、前述した手法によって迂回ルートを発見すると、通信パケットのヘッダ情報を同図(b)に示すように変更し、無線端末Dに転送する。このときの通信パケットのヘッダ情報は、同図(a)では43に格納されていた最終着信先である無線端末Lの識別符号が47に複写され、43には迂回ルートのチェックポイント(経由無線端末)である無線端末Gの識別符号が格納される。
【0210】
無線端末Dに転送された通信パケットは、その後無線端末Eを経て、チェックポイントである無線端末Gに到着する。
無線端末Gでは、自らを示す識別符号が43に格納されていることを検出すると47を調べ、無線端末Lの識別符号が47に格納されていることを検出する。無線端末Gはこのことにより、この通信パケットが迂回ルートを転送中であり、自端末がその迂回ルート上のチェックポイントであることを認識する。そして、通信パケットのヘッダ情報を、同図(c)に示すように、47に格納されていた無線端末Lの識別符号を43に複写し、更に47をヌルデータとする。無線端末Gはこの通信パケットを、43に格納した識別符号の示す無線端末Lへ着信させるために、無線端末Hに転送する。
【0211】
以降、無線端末Hに転送された通信パケットは、無線端末Kを経て、無線端末Lに到着する。
無線端末Lでは、同図(c)に示す通信パケットのヘッダ情報を参照し、43に自端末を示す識別符号が格納され、且つ、47がヌルデータであることを検出することにより、この通信パケットの最終着信先が自端末であることを認識し、通信パケットにヘッダ情報に併せて格納されている転送情報を取得する。
【0212】
なお、図47において、47にヌルデータを格納せず、常に最終着信先無線端末の識別符号を格納するようにして、チェックポイントの識別においては、43に自端末の識別符号が格納され、且つ、47には自端末のものではない識別符号が格納されていることを検出するようにし、また、最終着信先無線端末の識別では、43及び47の両方に自端末の識別符号が格納されていることを検出するようにしても良い。
【0213】
また、通信パケットのヘッダ情報に最終着信先無線端末の識別符号の格納欄を設ける代わりに、経由無線端末の識別符号の格納欄を設けて格納するようにし、各無線端末は、経由無線端末の識別符号の格納欄を常に参照し、この格納欄に識別符号が格納されていれば、その識別符号の示す無線端末へ、また、この格納欄に識別符号が格納されておらず、ヌルデータである場合にはこの通信パケットの着信先無線端末へ、それぞれ転送するようにしても良い。なお、この場合においては、経由無線端末は、経由無線端末の識別符号の格納欄に自端末を示す識別符号を検出したときに、この格納欄をクリアしてヌルデータとする操作を行なうようにする。
【0214】
以上のように、通信パケットに経由させる無線端末に関する情報を持たせ、その情報で示される無線端末を実際に経由させて通信パケットを転送することによって、通信パケットの迂回ルートを辿る転送を可能とすることは、本発明に関する特徴のひとつである。
【0215】
次に、迂回ルートを用いて通信パケットを転送する場合において、その迂回ルートでも通信障害が発生したときの対処について図49を用いて説明する。
同図の通信ネットワークの構成は図39(A)に示すネットワークと同様である。
【0216】
図49に示すように、無線端末Fからの無線端末L宛の通信パケットが、FI、FJ、FKの各直接通信路の通信障害により、迂回ルートを経由して無線端末Lへ転送される途中で、無線端末Eから無線端末Gへの直接通信路においても、障害物による通信障害により通信パケットの転送に失敗した場合を考える。
【0217】
無線端末Eが無線端末Dより受け取った通信パケットのヘッダ情報は、図48(b)に示すように、43には無線端末Gの識別符号が、47には無線端末Lの識別符号が格納されている。無線端末Eは、43と47とに格納されている識別情報が異なる無線端末を示していることを検出することによって、この通信パケットは、迂回ルートを経てチェックポイントへ至る転送の途中であることを認識する。
【0218】
ここで、無線端末Eは、迂回ルートに拘らずに、通信パケットの最終着信先である無線端末Lへこの通信パケットを着信させることを試みるようにする。つまり、通信パケットのヘッダ情報を、同図(c)に示すように、47に格納されていた最終着信先である無線端末Lを示す識別符号を43に複写し、47はヌルデータとする。そして、無線端末E自らの管理するシステム構成情報をもとに、無線端末Lへ着信するようにこの通信パケットを転送していく。
【0219】
以上のようにして、迂回ルートを用いて通信パケットを転送する場合に、その迂回ルートで通信障害が発生したときでも、この通信パケットの最終着信先である無線端末へ向けての転送を継続させることができる。
【0220】
なお、この後、もしも、無線端末Lに着信するまでに通信障害の影響を改めて受けるのであれば、転送失敗を認識した無線端末により、今まで説明した迂回ルートの選択手法が再び用いられることとなるのは明らかである。
【0221】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明により、設置調査、システム設計、設置作業、システム構成変更作業、メンテナンス作業のそれぞれの工程を容易に行なえ、更に、無駄な通信の発生を減らしてネットワーク上のトラフィックの増加を極力押さえる無線通信ネットワークシステムを提供することを可能とする効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】無線端末C、Iが存在通知パケットを送信する様子を示す図である。
【図2】存在通知パケットの構造を示す図である。
【図3】無線端末A、Bが存在通知パケットを送信するタイミングを示す図である。
【図4】通信路ABの信頼性を診断する様子を示す図である。
【図5】通信路診断パケットの構造を示す図である。
【図6】無線端末Aの送信した存在通知パケットを無線端末Bが受信する様子を示す図である。
【図7】無線端末Aのシステム構成情報の管理方法を説明する図である。
【図8】無線端末Aの管理する無線端末Aと直接通信路を有する無線端末B、C、Dの構成情報を示す図である。
【図9】システム構成情報を格納する存在通知パケットの構造を示す図である。
【図10】無線端末Aと無線端末Bとの間で行われる各種処理のタイミングを示す図である。
【図11】無線端末Aが自らと直接通信路を有する無線端末B、C、Dの構成情報を編集する様子を示す図である。
【図12】無線端末Aの構成情報の再構成結果を示す図である。
【図13】システムに無線端末Aを新たに追加設置する場合における無線端末Aの存在通知パケットの送信タイミングを示す図である。
【図14】新規設置時の送信であることを示すフラグを格納する特殊な存在通知パケットの構造を示す図である。
【図15】各無線端末A、B、E、Gがそれぞれ管理する構成情報を示す図である。
【図16】無線端末Aから無線端末Jへのパケットの転送経路を示す図である。
【図17】各無線端末E、F、Iがそれぞれ管理する構成情報を示す図である。
【図18】通信路EGに通信障害が発生した場合の無線端末Aから無線端末Jへのパケットの転送経路を示す図である。
【図19】通信障害が各通信路に多発している場合の通信パケットの転送経路を示す図である。
【図20】通信パケットに付加するヘッダ情報の構造の例を示す図である。
【図21】無線端末Aが保持する送信履歴の例を示す図である。
【図22】ネットワーク上で通信パケットが複数になる様子を説明する図である。
【図23】通信障害が通信路で多発した場合に通信パケットが迷走する様子を説明する図である。
【図24】通信パケットに付加するカウンタを備えるヘッダ情報の構造の例を示す図である。
【図25】同報通信パケットの構造を示す図である。
【図26】無線端末Aが同報通信パケットに各無線端末を示す識別符号を格納する様子を示す図である。
【図27】無線端末Jにおける同報通信パケット内の宛先ID部の内容を示す図である。
【図28】無線端末Jの有するシステム構成情報を示す図である。
【図29】無線端末Jから無線端末Cへのパケットの転送経路を示す図である。
【図30】無線端末Cから無線端末Hへのパケット転送経路を示す図である。
【図31】無線端末Dの発信する同報通信応答パケットの内容を示す図である。
【図32】同報通信パケットのヘッダ情報にカウンタを備えた構造の例を示す図である。
【図33】同報通信パケットの転送中に、無線端末Hへの通信路がすべて途絶している様子を示す図である。
【図34】無線端末Fによって変更された同報通信パケットの内容を示す図である。
【図35】無線端末Fの発信する同報通信応答パケットの内容を示す図である。
【図36】図50に示すネットワークから無線端末Jが欠落した様子を示す図である。
【図37】図36における無線端末Aの管理する構成情報を示す図である。
【図38】図36における無線端末Aの管理する全無線端末の管理情報を示す図である。
【図39】無線端末Fによる迂回転送ルートの選択の様子を説明する図である。
【図40】図39(A)の無線通信ネットワークシステムにおける各無線端末の構成情報を示す図である。
【図41】無線端末Fの管理するシステム構成情報を示す図である。
【図42】無線端末Fから発信される各無線端末宛の通信パケットが宛先無線端末に着信するまでに行われる最小通信回数を示す図である。
【図43】後向き発信時と前向き発信時とにおける、通信パケットが宛先無線端末に着信するまでに要する最小通信回数の差を示す図である。
【図44】無線端末Fから発信された無線端末L宛の通信パケットが辿った迂回ルートを示す図である。
【図45】チェックポイントを複数有する無線通信ネットワークの構成の例を示す図である。
【図46】チェックポイントの条件を満たしているにもかかわらず、迂回ルートの選択に用いることが不適切な無線端末が存在するネットワーク構成の例を示す図である。
【図47】効率的な迂回転送ルートの選択を行なうための通信パケットの構造を示す図である。
【図48】通信パケットに格納されているヘッダ情報が変更される様子を説明する図である。
【図49】迂回ルートに通信障害が発生した場合の対処を説明する図である。
【図50】無線通信ネットワークシステムの構成の一例を示す図である。
【符号の説明】
A〜N 無線端末
T 各無線端末が存在通知パケットを送信する周期
a1、a2、b1 タイミング
tA 無線端末Aが存在通知パケットを送信するタイミング
tB 無線端末Bが存在通知パケットを送信するタイミング
1 このパケットが存在通知パケットであることを示す符号
2 この存在通知パケットの発信元の無線端末を識別する符号
3 この存在通知パケットを送信する無線端末の構成情報
4 この存在通知パケットが新規設置時の送信であることを示す符号11 このパケットが通信路診断パケットであること、及び、この通信路診断パケットが往路用のものか復路用のものかを示す符号
12 この通信路診断パケットの発信元の無線端末を識別する符号
13 この通信路診断パケットの着信先の無線端末を識別する符号
14 診断する通信路に送信する通信路診断パケットの総数、及び、このパケットが診断する通信路のために送信する通信路診断パケットの中で何番目であるかを示す符号
15 この通信路診断パケットを送信する無線端末が正常に受信した往路用の通信路診断パケットの数
21〜31 通信路
41 通信パケットの発信元の無線端末が付するパケット識別符号
42 通信パケットの発信元の無線端末を示す発信識別符号
43 通信パケットの着信先の無線端末を示す着信識別符号
44 この通信パケットを転送する通信路の転送元の無線端末を示す転送元識別符号
45 この通信パケットを転送する通信路の転送先の無線端末を示す転送先識別符号
46 この通信パケットの転送回数をカウントするカウンタ
47 通信パケットの最終的な着信先の無線端末を示す最終着信識別符号
51 ヘッダ情報
52 宛先ID部
53 伝送情報部
54 同報通信パケット識別符号
55 再試行回数
61 ID部
62 チェック部

Claims (1)

  1. 無線データ通信を行なう複数の無線端末によって構成され、前記無線端末のいずれも直接又は他の1以上の無線端末を介することで他の全ての無線端末とパケット化されたデータの通信可能である無線通信ネットワークシステムにおいて、
    前記パケット化されたデータであるデータパケットは、自らが前記無線端末によって送信される送信回数を示すカウンタを有し、
    前記無線端末は、
    自らを着信先とするデータパケットの履歴を保持し、自らを着信先とする新たなデータパケットの受信時に前記履歴との照合を行ない、前記自らを着信先とする新たなデータパケットが過去に既に着信したものである場合には、前記自らを着信先とする新たなデータパケットを破棄し、また、
    自らを中継先とするデータパケットを受信した場合には、前記カウンタの値を検出し、該カウンタの値が所定値に達していれば前記自らを中継先とするデータパケットを破棄し、該カウンタの値が所定値に達していなければ該カウンタを更新して次の中継先の無線端末へ転送し、また、
    前記履歴を保持するデータパケットの有する前記カウンタの値より算出される該データパケットの破棄までの残り時間の経過後に該履歴を消去する、
    ことを特徴とする無線通信ネットワークシステム。
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