JP3677520B2 - 新聞配送車両運行管理システム、及び新聞配送用位置検出装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、新聞配送用の車両の運行管理に係るシステムにおける情報送受費用の低減を図ると共に、運行管理性を確保してシステムの利便性を向上させる新聞配送車両運行管理システム、及び新聞配送用位置検出装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
昨今、新聞等の各種物品の配送等に係る車両の運行状況を、一括的に管理するシステムとして種々のものが稼働している。このようなシステムは、GPS(Global Positioning System)に対応した位置検出装置を車両に搭載し、位置検出装置が人工衛星から検出した位置等に係る情報を、中央の運行管理装置へ通信回線を通じて常時出力することにより、前記運行管理装置で前記情報を基に車両の現状を確認するようにしているものが多い。
【0003】
しかし、前記のようなシステムは、位置検出装置から、常時、情報を出力しているため情報発信に係る情報送受費用が過大になるという事態が生じており、また、実際のシステム運営において必ずしも車両の状況を常時監視する必要もない場合もある。これらの事態に対応するものとして特開平10−149498号「移動体の運行異常自動通信システム」、特開平11−86198号「運行管理装置」が開示されている。
【0004】
特開平10−149498号「移動体の運行異常自動通信システム」は、車両の運行に異常が生じた場合のみ、位置検出装置から位置情報等を運行管理装置へ出力し、情報送受費用を低減するようにしている。また、特開平11−86198号「運行管理装置」は、運行管理装置から情報出力の要求があった場合、又は、所定の周期毎に、位置検出装置から運行の進捗状況に係る情報と共に位置情報等を出力するようにしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
特開平10−149498号「移動体の運行異常自動通信システム」は、位置情報等の出力は異常時のみに限定されるため、中央の運行管理装置側から車両の現状を確認したい場合等に対応できない問題がある。また、位置情報等は異常が発生してから出力されるため、運行管理装置が異常を把握するのも異常発生後となり、異常に対応する処置が後手になり、異常による不具合の影響を最小限に抑えることが困難になる問題がある。このような問題は配送時刻の厳守が要求される新聞の配送を行う車両管理で特に深刻となる。
【0006】
また、特開平11−86198号「運行管理装置」は、進捗状況に係る情報も出力するため、システムの適用対象によっては進捗状況に係る情報は不要になることもあり、一律に進捗状況に係る情報を出力すれば中央の運行管理装置で扱う情報量が多くなり、運行管理装置の負担が大きくなる問題がある。さらに、所定の周期毎に各種情報が出力される場合は、情報の出力時期と情報を確認したい時期が一致しなければ、前記情報の出力は無駄になるおそれもあり、また、周期を短くすれば、情報の出力時期と情報を確認したい時期のズレを低く抑えることができるが、通信に係る情報量が増加して情報送受費用の低減が困難となる。なお、上記のような問題は新聞配送用の車両運行管理にも同様に生じる。
【0007】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであり、新聞配送用の車両に対象を絞り、新聞配送用の車両の運行管理に係る情報の出力の要件を、車両が通過する運行ルート中に設定する区域と関連付けることで、出力される情報量を削減すると共に、設定区域を通過する順番を設定することで、管理精度の向上を図る新聞配送車両運行管理システム、及び新聞配送用位置検出装置を提供することを目的とする。
【0008】
また、必要な場合は、いつでも運行管理装置から車両の現状を確認できる新聞配送車両運行管理システム及び新聞配送用位置検出装置を提供することを目的とする。さらに、また、車両の原動機始動状態を検知することでシステムの利便性を向上する新聞配送車両運行管理システム及び新聞配送用位置検出装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
第1発明に係る新聞配送車両運行管理システムは、新聞配送用の車両に搭載されて、位置を検出することが可能な位置検出装置と、該位置検出装置と通信回線を通じて情報を送受することが可能な運行管理装置とを備える新聞配送車両運行管理システムにおいて、前記運行管理装置は、前記車両が通過する複数の区域の設定をする区域設定手段と、前記設定された区域を前記車両が通過する順番の設定をする手段と、前記設定された区域に係る区域情報及び前記設定された順番に係る順番情報を前記位置検出装置へ出力する手段とを備え、前記位置検出装置は、入力される前記区域情報及び順番情報を記憶する手段と、前記記憶された区域情報と検出された位置との比較をする手段と、前記比較により前記車両が前記区域内に位置する場合に、前記車両が前記設定した区域を通過した順番を検知する手段と、前記記憶された順番情報と前記検知された順番との比較をする手段と、前記比較により前記順番情報と前記検知された順番とが同一である場合に、前記車両を識別する識別情報及び前記車両の位置情報を前記運行管理装置へ出力する制御、及び前記比較により前記順番情報と前記検知された順番とが同一でない場合に、情報を出力しない制御を行う手段とを備えることを特徴とする。
【0010】
第1発明にあっては、システムの運行管理装置に区域の設定手段等を設ける一方、位置検出装置は設定区域と検出位置とを比較する手段等を設けて、位置検出装置からの情報の出力は、新聞配送用の車両が設定区域内に位置する場合と規定することで、出力される情報量が従来の常時出力の場合に比べ大幅に削減され、それに伴い情報送受費用も低減できる。また、前記設定する区域としては新聞の配送先である新聞販売店や新聞印刷工場等を選択することで、新聞配送用の車両運行管理に対して必要な情報を得ることができ、運行管理装置で確実に車両運行を管理できる。
【0011】
なお、各配送先の間隔が長い場合等は、前後する区域の中間にも適宜区域を設定することで、配送先間の途中の車両状況も確認できる。また、前記のような区域設定により、配送先に到達する前の段階の区域で、運行遅延等の不具合の発生をある程度予測できるため、不具合の影響が拡大する前に運行管理装置側で対処手段を検討して事態を収拾しやすくできる。なお、設定する区域の大きさは約50メートル平方の面積にすることが好適である。
【0013】
さらに、設定区域が複数ある場合、車両が各区域を辿る順番を設定することにより、位置検出装置が設定区域を誤認することがなくなり、出力される情報の信頼性を向上でき、情報の受け側となる運行管理装置の混乱を防止できる。例えば、設定された複数の区域が川の両岸に分布している場合で川幅が狭ければ、車両が川の一方の岸側を運行している際に、対岸側に設定された先の順番の区域内を通過する事態も生じる。しかし、このような場合は、前記設定により位置検出装置が通過する順番と同一でないと判断して情報を出力しないので、運行管理装置は正確な情報を受け取って、混乱することなく各車両を管理できる。
【0014】
第2発明に係る新聞配送車両運行管理システムは、前記運行管理装置は更に、前記位置検出装置へ問い合わせ情報を出力する手段を備え、前記位置検出装置は更に、前記問い合わせ情報が入力された場合に、前記車両を識別する識別情報及び前記車両の位置情報を前記運行管理装置へ出力する手段とを備えることを特徴とする。
第2発明にあっては、運行管理装置が問い合わせ情報を出力すると共に、位置検出装置は前記問い合わせ情報に対して必要な情報を出力するので、車両が前記設定された区域外に位置しても、運行管理装置側から、いつでも車両の現状を確認できる。よって、事故や渋滞等の不具合発生時に対して運行管理装置側で迅速な判断、処理が可能となり、配送時刻に厳格な新聞配送にも対応し得る。
【0015】
第3発明に係る新聞配送車両運行管理システムは、前記位置検出装置は更に、車両の原動機始動状態を検知する手段と、前記原動機始動状態が検知された場合に、検知に係る原動機始動情報を前記運行管理装置へ出力する手段とを備えることを特徴とする。
第3発明にあっては、位置検出装置が車両のエンジン等の原動機始動状態を検知して、この検知に係る信号を出力するので、中央の運行管理装置は、前記信号をトリガー信号としてシステムの各種利便性の向上に利用できる。
【0016】
第4発明に係る新聞配送車両運行管理システムは、前記運行管理装置は更に、前記原動機始動情報が入力された場合に、前記設定された区域に係る区域情報及び前記設定された順番に係る順番情報を出力することを特徴とする。
第4発明にあっては、前記原動機始動情報を、設定区域や順番に係る情報を出力する際の要件にすることで、位置検出装置側で何ら特別な操作をすることなく、必要な情報を運行管理装置から自動でダウンロードでき、システム稼働に係る手間や負担を低減できる。
【0017】
第5発明に係る新聞配送車両運行管理システムは、前記運行管理装置が更に、時刻情報を受け付ける手段を備えることを特徴とする。
第5発明にあっては、運行管理装置が時刻情報を受け付けているので、位置検出装置からの位置情報と関連させることで、その時刻における車両の位置を運行管理装置で確認できる。このようにすることで運行管理装置で、時刻情報と予定配送時刻等との比較をすれば、配送状態が通常通りか、遅延しているか等を判断できる。なお、運行管理装置が受け付ける時刻情報は、GPSに係る人工衛星から位置検出装置が検出して運行管理装置へ位置情報等と共に出力するようにしてもよく、また、位置検出装置自体が有する内部クロック等から時刻情報を得て、この時刻情報を運行管理装置へ出力するようにしてもよい。さらに、運行管理装置自体の内部クロック等を利用して、運行管理装置が内部クロック等から時刻情報を得るようにしてもよい。
【0018】
第6発明に係る新聞配送用位置検出装置は、新聞配送車両への搭載用であり、位置の検出及び情報の入出力をすることが可能な新聞配送用位置検出装置において、外部から入力される複数の区域に係る情報及び各区域を通過する順番に係る情報を記憶する手段と、前記記憶される区域に係る情報と検出される位置との比較をする手段と、前記比較により前記情報に含まれる区域内に前記検出される位置が位置する場合に、前記情報に含まれる区域を通過した順番を検知する手段と、前記記憶される各区域を通過する順番に係る情報と前記検知された順番との比較をする手段と、前記比較により前記順番に係る情報と前記検知された順番とが同一である場合に、自己を識別する識別情報及び検出される位置に係る位置情報を出力する制御、及び前記比較により前記順番に係る情報と前記検知された順番とが同一でない場合に、情報を出力しない制御を行う手段とを備えることを特徴とする。
第6発明にあっては、システムの端末装置に該当する新聞配送用位置検出装置が、情報の記憶手段、比較手段等を有するので、本装置の位置と関係する区域内容が記憶される情報に含まれる場合、記憶された情報と検出した位置とを適宜比較して情報送受を行うため、情報送受費用の低減を図れる。即ち、原則として、該比較により前記区域内に本装置が位置すると判断された場合に所要情報を出力し、それ以外の場合は、所要情報を出力しないので、情報送受に係る費用を低減できる。
【0019】
第7発明に係る新聞配送用位置検出装置は、外部から問い合わせに係る情報が入力された場合に、自己を識別する識別情報及び検出される位置に係る位置情報を出力する手段を更に備えることを特徴とする。
第8発明に係る新聞配送用位置検出装置は、搭載される車両の状態変化の検知をする手段と、前記状態変化の検知がされた場合に、前記検知に係る情報を出力する手段とを更に備えることを特徴とする。
【0020】
第7発明及び第8発明にあっては、新聞配送用位置検出装置が、外部からの要求に応じて各種情報を出力し、また、搭載される車両がエンジンを始動する等の状態変化も検知するので、本装置を車両管理システムに適用すれば利便性の高いシステムの構築に貢献できる。
【0021】
第9発明に係る新聞配送用位置検出装置は、時刻に係る時刻情報を出力する手段を更に備えることを特徴とする。
第9発明にあっては、新聞配送用位置検出装置が時刻情報を出力することで、車両の配送状況を時刻及び位置の観点から管理できるようになる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る新聞配送車両運行管理システム1の全体構成図である。新聞配送車両運行管理システム1は、新聞配送用の車両2に搭載される位置検出装置3と、建物4内の本システムにおける中央の運行管理装置5とを、通信回線6を介して各種情報の送受可能に接続している。
【0024】
新聞配送用の運行管理装置5は、車両2の運行を適宜管理するものである。本実施形態では、運行管理装置5に演算処理手段としてCPUや記憶手段としてハードディスク等を具備するサーバ・コンピュータを適用しており、運行管理装置5を通信回線6へネットワーク的に接続するため、ネットワーク機器の接続装置であるスイッチング・ハブ7とネットワークへの接続装置であるルータ8を介在させて前記接続を行っている。
【0025】
運行管理装置5は、車両2が複数の売店に新聞を順次配送していく運行ルートを設定しており、この運行ルートと共に車両2の運行を確認する箇所となる区域を設定する。本実施形態では、新聞配送先となる売店を中心に50メートル平方の面積を確認対象の区域として各売店毎に設定すると共に、新聞を積み込んで出発起点となる新聞積込基地も確認対象として区域を設定している。さらに、売店間が離反している場合は、売店間の途中の箇所にも区域を設定している。
【0026】
また、運行管理装置5は、設定した区域を運行ルートに従って車両が通過する順番を区域毎に設定すると共に、各区域の通過予定時刻も設定し、前記設定した区域に係る区域情報を記憶手段に記憶にすると共に、設定した区域毎の順番に係る順番情報も記憶手段に記憶している。さらに、運行管理装置5は、これら記憶した区域情報及び順番情報を、該当する車両2に搭載される位置検出装置3へ出力する手段も有しており、この出力は、運行管理装置5からスイッチング・ハブ7、ルータ8を経由して通信回線6へ送り出されている。
【0027】
なお、前記区域情報及び順番情報の出力は、後述する位置検出装置3からの車両2の原動機始動情報が、運行管理装置5へ入力された場合に行われるようにしている。また、前記のように運行管理装置5から出力される情報は、前記区域情報及び順番情報以外に、特定の車両2の現在位置と現在時刻を確認する問い合わせ情報があり、この問い合わせ情報はシステムの進行状況に関係なく適宜出力できるようにしている。
【0028】
また、運行管理装置5は、複数の位置検出装置3毎に前記各種情報の設定等が可能であると共に、位置検出装置3からの情報の入力も位置検出装置3毎に区別できるので、同時に複数の車両の運行管理を可能にしている。さらに、運行管理装置5は、位置検出装置3から各種情報が入力されると、入力された情報を運行管理装置5の表示画面で表示可能にしている。この表示により運行管理装置5側では、車両の運行を管理でき、運行の現状を観察してスムーズな運行を維持できるようにすると共に、事故や渋滞等の不具合が生じた場合は、表示画面から現状を判断して不具合の影響を最小限に抑えるように各車両へ指示を出すようにしている。
【0029】
なお、本実施形態では、運行管理装置5における上述した前記区域情報及び順番情報の設定、前記情報の出力等に係る処理は、コンピュータプログラムとしてプログラミングされており、前記コンピュータプログラムを実行することで、前記設定や出力等を運行管理装置5で実行できるようにしている。さらに、前記コンピュータプログラムはCD−ROM等の記録媒体に記録されると共に、当該記録媒体から前記コンピュータプログラムをサーバ・コンピュータで読み取らせることで、当該サーバ・コンピュータを運行管理装置5として利用できるようにしている。
【0030】
一方、位置検出装置3は、図1に示すように、本体部3aと通信部3bより構成されている。本体部3aはGPSに対応しており、人工衛星9から発せられる自己の位置及び時刻を、GPSアンテナ3cを介して常時検出し、車両2の位置及び時刻を把握できるようにしている。また、通信部3bは外部アンテナ3dを介して通信回線6と無線で各種情報の送受を可能にするものであり、本体部3aと接続されている。
【0031】
本体部3aは、各種情報の記憶手段として内部メモリ3e、各種情報と検出内容とを比較すると共に各種情報の出力等を制御する演算手段としてCPU3f等を内蔵している。また、本体部3aは位置検出装置3が搭載される車両2を識別する固有の識別情報を設定することが可能であり、設定された識別情報は内部メモリ3eに記憶される一方、記憶された識別情報を、前記検出される位置に係る位置情報及び時刻に係る時刻情報と共に、通信部3bを経由して運行管理装置5へ、後述する場合に出力できるようにしている。
【0032】
さらに、本体部3aには、車両2のエンジンである原動機を始動する際、イグニッション部3gにおけるイグニッション信号がオフからオンに変化する状態、即ち、原動機始動状態を検知する手段も備えている。本体部3aのCPU3fは、前記原動機始動状態を検知した場合、車両2による新聞配送に係る業務が開始されたと判断し、原動機始動情報を運行管理装置5へ出力するように制御している。
【0033】
また、前記のように出力された原動機始動情報が運行管理装置5へ入力された場合、前述したように運行管理装置5は前記区域情報及び順番情報を出力するので、本体部3aは出力された前記区域情報及び順番情報をダウンロードして内部メモリ3eに記憶するようにしている。
【0034】
CPU3fは、ダウンロード後、前記区域情報及び順番情報と、人工衛星9から検出する位置を比較しており、区域情報に係る区域内に検出された位置が含まれると判断した場合、即ち、設定区域内に車両2が位置すると判断した場合に、原則として、上述した識別情報、位置情報及び時刻情報の出力を行うように制御する。
【0035】
但し、前記出力は、車両が区域の通過していく順番をCPU3fが検知し、この検知に係る順番と前記順番情報とを比較した結果が同一である場合に行われるものである。よって、該比較の結果が相異する場合は、設定区域内に車両2が位置すると判断した場合でも前記出力は行わないように、CPU3fは制御している。なお、通過する順番の検知では、区域を通過する毎に、通過した区域が順番情報に係る最終の順番であるか否かの判断を行い、同一でなければ、運行の途中と判断して、次区域内に入った際の検知にかかる順番を「1」繰り上げる処理を行い、一方、前記判断が同一であれば、配送が完了したという認識を行う。
【0036】
また、前記区域内に車両が位置するか否かの要件や車両の通過順番と順番情報が一致するか否かの要件に関係なく、位置検出装置3に運行管理装置5からの問い合わせ情報が入力された場合は、CPU3fは識別情報、位置情報及び時刻情報を出力するように制御している。
【0037】
以下、本発明に係る新聞配送車両運行管理システム1を、計9箇所の配送先への新聞配送業務に適用した場合の処理を、図2のシステム運用概略図と共に図3のフローチャートに従って説明する。
先ず、中央の管理センターとなる建物4内の運行管理装置5で各車両2毎に新聞を配送する運行ルート、車両が通過する区域、該区域を車両が通過する順番等を設定する(S1)。具体的には、運行ルートは、図2にも示すように新聞を車両に積み込む新聞積込基地K1を主発起点として、新聞を配送する計9箇所の配送先である各売店B1、B2・・・B9を順次繋ぐように決定される。
【0038】
また、新聞積込基地K1、売店B1〜B9毎に、車両2の位置及び通過を確認する区域A1、A2・・・を順次設定する。これら区域は、売店B1〜B9に対しては売店B1〜B9を中心に50メートル平方の面積で設定し、さらに、図2にも示すように、売店B1と売店B2との距離が開いている場合は、売店が存在しなくても途中に区域A3を設定している。よって、本実施形態では、運行管理装置5により計11箇所の区域A1〜A11を設定している。また、運行管理装置5は、区域A1〜A11を車両2が通過する順番を設定すると共に、各区域A1〜A11毎に、車両2が区域内に位置する予定時刻を設定する。なお、本実施形態では、区域A1〜A11を通過する順番は、区域に付された順番と同順としており、区域A1が1番目で区域A11が最終の11番目である。
【0039】
前記のように設定された運行ルートに係るルート情報、区域A1〜A11に係る区域情報、区域A1〜A11を通過する順番に係る順番情報、区域A1〜A11毎の予定時刻に係る予定時刻情報は、運行管理装置5のハードディスクに夫々記憶される。
【0040】
一方、車両2は、業務を開始するために、イグニッション部3g(図1参照)にキーを差し込んでオフからオンへ操作してエンジンを始動することで、運行管理装置5へ原動機始動情報を位置検出装置3から出力する(S2)。運行管理装置5は、位置検出装置3からの原動機始動情報が入力されると、ハードディスク内に記憶している情報のうち区域情報及び通過情報を位置検出装置3へ出力する(S3)。
【0041】
運行管理装置5から出力された区域情報及び通過情報は、通信回線6を通じて位置検出装置3へ入力されて内部メモリ3e(図1参照)に自動的にダウンロードされる。よって、車両2の運転者には、区域情報及び通過情報の入手のために特別な操作は要求されず、運転者の負担を軽減してシステムの起動に係る利便性を向上している。
【0042】
車両2は、新聞積込基地K1で配送する新聞を積み込み、所定の時刻になると出発して最初の売店B1へ向かう。また、位置検出装置3は、起動後は、常時、人工衛星9から位置及び時刻を検出しており、検出した位置とダウンロードした区域情報を比較し、検出した位置に係る経度、緯度等の現在位置が区域情報に係る区域内に含まれるかを判断する(S4)。例えば、エンジンを始動して新聞積込基地K1を出発しようとする状態であれば、まだ、車両2は区域A1内に位置するので位置検出装置3は、現在位置は区域A1内に含まれると判断する。
【0043】
また、位置検出装置3は、現在位置が区域内に含まれると判断した場合、次に、現在位置の区域と順番情報とを比較して、現在位置の区域が設定された順番通りであるかを判断する(S5)。例えば、エンジンを始動して新聞積込基地K1を出発しようとする状態であれば、新聞積込基地K1に対する区域A1を、車両2は1番目に通過するので1番目という順番を検知し、一方、区域A1の順番情報は1番目に設定されていることから、位置検出装置3は、現実の通過順番と設定された順番情報が同一と判断する。
【0044】
位置検出装置3は、前記順番比較で順番通りと判断した場合は、車両2を識別する識別情報、人工衛星9から検出した現在の車両2の位置となる位置情報及び現在時刻に係る時刻情報を運行管理装置5へ出力する(S6)。運行管理装置5は、出力された識別情報、位置情報及び時刻情報を基に、ハードディスク内に記憶されたルート情報、予定時刻情報等とも比較して車両の運行を管理する(S7)。
【0045】
さらに、位置検出装置3は、その時点で位置する区域の順番が、順番情報における最終の順番か否かを比較する(S8)。最終の順番でなければ、位置検出装置3は、現在の位置の区域の順番を順番情報と比較する段階において(S5)、検知にかかる次区域の順番の数値を、現在の区域を抜け出た時点で「1」繰り上げ(S9)、現在位置が区域内で有るかを否かを比較する段階(S4)へ戻る処理を行う。以降、段階S4から段階S9までの処理を、車両2が最後の区域A11へ到着するまで繰り返すことになる。
【0046】
なお、段階S8、S9の内容を、具体的に新聞積込基地K1の区域A1を車両2が抜け出た状態で説明すると、区域A1は1番目なので、最終の区域A11の11番目と相異すると判断され(S8)、順番を比較する段階(S5)における次の区域A2に入った場合の検知に係る順番の数値を1番目から「1」繰り上げて2番目に設定し(S9)、区域A2内に位置するか否かの比較段階(S4)へ戻っている。
【0047】
また、車両2は、区域A1から区域A2へ向かう途中では、区域内に位置しないため、区域に係る比較段階(S4)で、区域内に位置しないと判断され続け、ループ状態に陥る。この状態では識別情報、位置情報及び時刻情報が出力されないため、情報送受費用が低減されている。車両2が進行して区域A2の内部に入ると、区域に係る比較段階(S4)でループ状態から抜け出て、順番に係る比較段階(S5)へ進み、以降、上述した区域A1と同様の処理を経て、識別情報、位置情報及び時刻情報が運行管理装置5へ出力される(S6)。
【0048】
また、図4に示すような運行ルートにおいて、川Rの両岸に売店B7、B8がある場合、車両2は一方の岸側の売店B7を先に回ってから、橋Bを渡って対岸側の売店B8へ向かうことになる。しかし、図4のような道路配置状態では、車両2は売店B7へ到達する前に売店B8の区域A10の区域内を通過することになる。
【0049】
上記のような場合、図3のフローチャートでは、位置検出装置3は、現在位置が区域A10内に位置すると判断するが(S4)、車両2が、まだ区域A9を通過していないため、検知する順番と区域A10にかかる順番情報が相異すると判断し(S5)、現在位置が区域内であるか否かを比較する段階(S4)へ戻る処理となる。よって、位置検出装置3は、実際に売店B8へ向かっていないのに売店B8の近辺へ到着したような誤情報を運行管理装置5へ出力せず、運行管理装置5が混乱するような事態も防止している。
【0050】
さらに、車両2が最終の売店B9に係る区域A11内に入ると、図3のフローチャートにおいて区域A11における位置情報、時刻情報等を運行管理装置5へ出力し(S6)、運行管理装置5では車両2の配送が全て終了したことを確認できる。また、位置検出装置3は、区域A11は11番目であるため最終番号と同一と判断し(S8)、処理を終了している。
【0051】
なお、図3のフローチャートの処理とは別に、運行管理装置5は、所要の操作をすることで位置検出装置3へ問い合わせ情報を適宜出力することもある。出力された問い合わせ情報は、位置検出装置3へ入力され、位置検出装置3のCPU3fは、入力された問い合わせ情報を優先的に扱い、図3のフローチャートの処理段階に関係なく、割り込み処理を実行して、即座に、識別情報、位置情報及び時刻情報を運行管理装置5へ出力する。よって、本システムでは運行管理装置5は、車両の現在状況を確認したい場合は即時に確認でき、事故や渋滞等が発生しても車両2の現状を即座に把握して臨機応変な対応を可能にし、システムの利便性を向上している。
【0052】
なお、本発明に係る新聞配送車両運行管理システム1は、上記形態に限定されるものではなく、例えば、設定される運行ルートの設定区域に、図4に示すような位置関係が生じない時などは、順番情報等に係る内容を省略して、システムに係る処理の簡易化を図るようにしてもよい。また、位置検出装置3が人工衛星9から時刻情報を検出するのではなく、位置検出装置3又は運行管理装置5の内部クロック等に係る時刻より時刻情報を得て運行管理装置5へ入力されるようにしてもよい。また、本発明に係る新聞配送車両運行管理システム1は、新聞配送に係る車両の運行業務以外にも、各種物品の配送に係る車両の管理にも適用でき、特に、配送先が複数あるルート配送業務を行う車両の運行管理に好適である。
【0053】
以上に詳述した如く、第1発明にあっては、原則として、新聞配送用の車両が設定区域内に位置する場合に所要の情報を運行管理装置へ出力するため、情報送受費用を従来の車両運行管理に係るシステムに比べて大幅に削減できる。また、情報を出力する箇所となる区域は適宜設定できるので、当該区域を新聞の配送先や途中経路のチェックポイント等に設定することで、管理上必要な情報は漏れなく確認でき、新聞配送に適した所要の管理性を確保できる。さらに、設定した区域を車両が通過する順番も設定するため、位置検出装置から出力される情報の信頼性を確保でき、車両の運行を正確に管理できる。
【0054】
第2発明にあっては、運行管理装置から、問い合わせ情報を出力すると共に、位置検出装置は、前記問い合わせ情報に対して所要の情報を出力するため、車両が区域内に位置しなくても必要に応じて車両の現状を確認できるため、事故や渋滞等の不具合が生じた場合でも、不具合による悪影響の広がりを未然に防止できる可能性を高めることができる。
【0055】
第3発明及び第4発明にあっては、位置検出装置が車両の原動機始動状態を検知して、検知に係る情報を出力するので、車両側では特別な操作等は要求されず、車両の運転者の負担を解消して利便性の高いシステムを構築できる。
【0056】
第5発明にあっては、運行管理装置が時刻情報を受け付けるので、位置検出装置からの位置情報と関連させることで、車両の配送状況を時刻及び位置の観点から管理することができる。
【0057】
第6発明、第7発明、第8発明及び第9発明にあっては、新聞配送用位置検出装置が現状の位置等を検出できると共に、車両運行に必要な各種情報を出力するので、各種運行管理システムの構築に対して本装置を好適に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係るシステム構成図である。
【図2】実施形態に係るシステム運用概略図である。
【図3】実施形態に係るフローチャートである。
【図4】実施形態における車両の運行ルートの一部を示す概略図である。
【符号の説明】
1 新聞配送車両運行管理システム
2 車両
3 位置検出装置
4 建物
5 運行管理装置
6 通信回線
7 スイッチング・ハブ
8 ルータ
9 人工衛星
Claims (9)
- 新聞配送用の車両に搭載されて、位置を検出することが可能な位置検出装置と、該位置検出装置と通信回線を通じて情報を送受することが可能な運行管理装置とを備える新聞配送車両運行管理システムにおいて、
前記運行管理装置は、
前記車両が通過する複数の区域の設定をする区域設定手段と、
前記設定された区域を前記車両が通過する順番の設定をする手段と、
前記設定された区域に係る区域情報及び前記設定された順番に係る順番情報を前記位置検出装置へ出力する手段とを備え、
前記位置検出装置は、
入力される前記区域情報及び順番情報を記憶する手段と、
前記記憶された区域情報と検出された位置との比較をする手段と、
前記比較により前記車両が前記区域内に位置する場合に、前記車両が前記設定した区域を通過した順番を検知する手段と、
前記記憶された順番情報と前記検知された順番との比較をする手段と、
前記比較により前記順番情報と前記検知された順番とが同一である場合に、前記車両を識別する識別情報及び前記車両の位置情報を前記運行管理装置へ出力する制御、及び前記比較により前記順番情報と前記検知された順番とが同一でない場合に、情報を出力しない制御を行う手段とを備えることを特徴とする新聞配送車両運行管理システム。 - 前記運行管理装置は更に、
前記位置検出装置へ問い合わせ情報を出力する手段を備え、
前記位置検出装置は更に、
前記問い合わせ情報が入力された場合に、前記車両を識別する識別情報及び前記車両の位置情報を前記運行管理装置へ出力する手段とを備える請求項1に記載の新聞配送車両運行管理システム。 - 前記位置検出装置は更に、
車両の原動機始動状態を検知する手段と、
前記原動機始動状態が検知された場合に、検知に係る原動機始動情報を前記運行管理装置へ出力する手段とを備える請求項1又は請求項2に記載の新聞配送車両運行管理システム。 - 前記運行管理装置は更に、
前記原動機始動情報が入力された場合に、前記設定された区域に係る区域情報及び前記設定された順番に係る順番情報を出力することを特徴とする請求項3に記載の新聞配送車両運行管理システム。 - 前記運行管理装置は更に、時刻情報を受け付ける手段を備える請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の新聞配送車両運行管理システム。
- 新聞配送車両への搭載用であり、位置の検出及び情報の入出力をすることが可能な新聞配送用位置検出装置において、
外部から入力される複数の区域に係る情報及び各区域を通過する順番に係る情報を記憶する手段と、
前記記憶される区域に係る情報と検出される位置との比較をする手段と、
前記比較により前記情報に含まれる区域内に前記検出される位置が位置する場合に、前記情報に含まれる区域を通過した順番を検知する手段と、
前記記憶される各区域を通過する順番に係る情報と前記検知された順番との比較をする手段と、
前記比較により前記順番に係る情報と前記検知された順番とが同一である場合に、自己を識別する識別情報及び検出される位置に係る位置情報を出力する制御、及び前記比較により前記順番に係る情報と前記検知された順番とが同一でない場合に、情報を出力しない制御を行う手段とを備えることを特徴とする新聞配送用位置検出装置。 - 外部から問い合わせに係る情報が入力された場合に、自己を識別する識別情報及び検出される位置に係る位置情報を出力する手段を更に備える請求項6に記載の新聞配送用位置検出装置。
- 搭載される車両の状態変化の検知をする手段と、
前記状態変化の検知がされた場合に、前記検知に係る情報を出力する手段とを更に備える請求項6又は請求項7に記載の新聞配送用位置検出装置。 - 時刻に係る時刻情報を出力する手段を更に備える請求項6乃至請求項8のいずれかに記載の新聞配送用位置検出装置。
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