JP3676902B2 - 摩擦式無段変速機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は摩擦式無段変速機に関し、例えば遠心送風機、遠心圧縮機、ラジアルタービン等に増速機として使用される摩擦式無段変速機に関する。
【0002】
【従来の技術】
大きな変速比をとれる装置としては3K形遊星歯車装置が一般的に知られているが、これをトラクションドライブに応用した3K形トラクションドライブ式無段変速機を図13に示す。図13はこの無段変速機を減速機として使用する場合を示しているが、増速機として使用する場合には入出力軸6,7が入れ替わることになる。
【0003】
この種の無段変速機では、遊星コーン1が、入力円板2、カムディスク3及び変速リング4の3つのトラクション部材とそれぞれ1箇所ずつの計3箇所で接触している。遊星コーン1は、前述した3つの接触部で受ける法線力で力学的に釣り合った構造となっている。この場合、変速リング4が入出力軸方向に移動することにより変速が行われるが、この変速リング4の軸方向移動にかかわらず、前述したように3つの接触部での法線力の釣り合いを保持できるのは、入力円板2と遊星コーン1との接触部が2次曲率を有する面で形成されており、このため、変速リング4の軸方向移動に伴い入力円板2と遊星コーン1間の接触部に作用する法線力の向きが変化するためである。そのため、コーン保持器5は単に遊星コーン1を周方向に等間隔に保持するだけの機能を有し、他の部材への支持はされていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、遊星コーン1と入力円板2とにおける接触部を2次曲率を有する接触面で構成することによりスピンの影響が大きくなってしまう。また、図13に示す無段変速機を増速機として使用する場合、出力軸を高速回転させたとき、入力円板2が高回転することになり、出力軸系の慣性モーメントが大きく、また、接触部における周速とスピンが大きいことから大きな動力損失が生じることになり、この種の無段変速機は高速回転する遠心送風機の使用には適さない。
【0005】
そこで、本発明は上記問題点に鑑みて提案されたもので、その目的とするところは、遠心送風機等の羽根車のような高速回転体を駆動する出力軸を無段変速させる用途に好適な構造を具備したトラクションドライブ式無段変速機を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための技術的手段として、本発明は以下の特徴を有する。
(1)回転自在に保持された複数のコーンが内接する入力軸と、前記複数のコーンが外接する出力軸と、前記入出力軸と複数のコーンとの間に弾性圧接力を付与する加圧手段とを備え、前記コーンの回転を介して前記入出力軸間で回転動力を伝達しながらその回転数を無段で変速する摩擦式無段変速機であって、前記各コーンを軸受支持したコーン支持軸と、前記コーン支持軸を円周等間隔に一体的に配設したホルダ本体とからなるコーンホルダを具備し、前記各コーンは、入力軸と摩擦接触する一つの入力側接触部および出力軸と摩擦接触する二つの出力側接触部を有し、前記入力側接触部を二つの出力側接触部の間に配設する。
(2)回転自在に保持された複数のコーンが内接する入力軸と、前記複数のコーンが外接する出力軸と、前記入出力軸と複数のコーンとの間に弾性圧接力を付与する加圧手段とを備え、前記コーンの回転を介して前記入出力軸間で回転動力を伝達しながらその回転数を無段で変速する摩擦式無段変速機であって、前記各コーンを軸受支持したコーン支持軸と、前記コーン支持軸を円周等間隔に挿入固定したホルダ本体とからなるコーンホルダを具備し、前記各コーンは、入力軸と摩擦接触する一つの入力側接触部および出力軸と摩擦接触する二つの出力側接触部を有し、前記入力側接触部を二つの出力側接触部の間に配設する。
【0007】
尚、前記ホルダ本体を入力軸に軸受支持することが望ましい。
(3)回転自在に保持された複数のコーンが内接する入力軸と、前記複数のコーンが外接する出力軸と、前記入出力軸と複数のコーンとの間に弾性圧接力を付与する加圧手段とを備え、前記コーンの回転を介して前記入出力軸間で回転動力を伝達しながらその回転数を無段で変速する摩擦式無段変速機であって、前記各コーンの軸方向移動を規制する位置規制部を、前記出力軸と各コーンとの間又は各コーンとコーンホルダとの間に配設し、前記各コーンは、入力軸と摩擦接触する一つの入力側接触部および出力軸と摩擦接触する二つの出力側接触部を有し、前記入力側接触部を二つの出力側接触部の間に配設する。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の実施形態を図1乃至図12に示して以下に詳述する。尚、以下の実施形態は、遠心送風機の羽根車等の高速回転体を駆動する出力軸を無段変速する3K形トラクションドライブ式無段変速機に適用したものである。
【0009】
このトラクションドライブ式無段変速機は、図1に示すような全体構造を有する。まず、入力軸11をハウジング本体12に軸受13,14により回転自在に軸支し、かつ、出力軸15をフロントハウジング16に軸受17,18により回転自在に軸支し、ハウジング本体12とフロントハウジング16とを結合一体化することにより、入力軸11と出力軸15とをそれぞれの軸線が同一直線上となるように配置する。尚、入力軸11を軸支する軸受13,14には、ハウジング本体12との間に加圧手段である加圧用ばね19を介設し、この加圧用ばね19により軸受13,14を介して入力軸11を押圧しその弾性力を出力軸方向へ向けて作用させるようにしている。
【0010】
入力軸11の内側軸端は一体的に拡径した中空形状を有し、その先端内径面にコーン27(後述)の入力側接触部33が内接する入力軸トラクション部20を有する。また、出力軸15の内側軸端は一体的に縮径した円錐形状を有し、その先端外径面にコーン27の出力側接触部34,35が外接する出力軸トラクション部21を有する。また、出力軸15の外側軸端には羽根車22が軸支固定されている。尚、出力軸15には、コーン27の軸方向位置を規制するための円環部材23が外挿されている。
【0011】
一方、ハウジング本体12に入出力軸11,15と平行して例えばボールネジ24を架設し、そのボールネジ24に螺合したボールブッシュ25を介して変速リング26が取り付けられ、その変速リング26の内径面をコーン27の変速側接触部36に圧接させ、また、ボールネジ24の回転により入出力軸方向の移動を可能としている。
【0012】
入力軸トラクション部20、出力軸トラクション部21及び変速リング26の三者相互間に複数のコーン27が介在する。ここで、高速回転する出力軸15の慣性モーメント低減及び周速度低減のため、出力軸トラクション部21の回転半径を小さくし、また、出力軸トラクション部21の円錐面での母線と出力軸15の軸線とコーン27の自転軸が一点で交差する構造とし、コーン27と出力軸15間の接触部においてスピンが発生しないようにしている。このような構造のためにコーン27の自転軸と入出力軸11,15との角度がかなり小さくなっている。その結果、コーン27は軸方向に長い形状になり、法線力及び接線力(トラクション)が作用する接触部間の距離も長くなり、コーン27をスキューさせようとするモーメントが大きくなり、このモーメントを支える支持構造としなければ回転不能等の不具合が生じる。
【0013】
そこで、これら複数のコーン27は、コーンホルダ28により自転及び公転可能な状態で円周等間隔に保持される。図3に示すようにコーンホルダ28はホルダ本体29とコーン支持軸30との一体物からなり、ホルダ本体29が軸受31を介して入力軸11に同軸的に回転自在に内挿され、このホルダ本体29に円周等間隔に一体的に立設された複数本のコーン支持軸30に軸受32を介してコーン27が回転自在に軸支される。このようなコーン27の支持構造とすることで、コーン27の入出力軸11,15に対するスキューを防止し、スキューによる回転不能、伝達効率の低下を回避する。
【0014】
尚、前述したホルダ本体29及びコーン27の軸受31,32には、例えば保持器付き針状ころをそれぞれ使用することが可能で、ホルダ本体29及びコーン27を軸受31,32の転走面とする。また、図1の実施形態では、ホルダ本体29の軸受31にサイズの異なる2個の保持器付き針状ころを使用しているが、これ以外の構造として、図2に示す実施形態のようにホルダ本体29の軸受31として、同一サイズの2個の保持器付き針状ころを使用することも可能である。更に、ホルダ本体29及びコーン27の軸受には、前述した保持器付き針状ころ以外の転がり軸受或いはすべり軸受を使用することも可能である。
【0015】
前述の各コーン27は、一つの入力側接触部33で入力軸トラクション部20と摩擦接触し、また、二つの出力側接触部34,35で出力軸トラクション部21と摩擦接触し、更に、先端へ向けて縮径した変速側接触部36で変速リング26と摩擦接触する。出力軸トラクション部21と接するコーン27の出力側接触部34,35は同一母線を持つ円錐面で、その出力側接触部34,35における母線は、入力軸トラクション部20と接するコーン27の入力側接触部33における母線と共に、両者とも出力軸15及び入力軸11に対して僅かな角度だけ傾けて設定される。このような入出力軸トラクション部20,21とコーン27との接触部形状及び加圧用ばね19によって生じる軸方向力により、入出力軸トラクション部20,21及び変速リング26とコーン27との接触部33〜36に動力伝達に必要な法線力を発生させている。
【0016】
このトラクションドライブ式無段変速機では、入力軸11から入力軸トラクション部20を介してコーン27の入力側接触部33に動力が伝達され、その動力はコーン27の自転運動と公転運動として分配され、コーン27の出力側接触部34,35から出力軸トラクション部21を介して出力軸15に伝達される。この時、変速リング26がコーン27の変速側接触部36と接する位置によってコーン27の自転と公転の比が決定され、この比によって全体の変速比が決定され、更に、この変速リング26をボールネジ24により入出力軸方向に移動させることで変速比を無段で変えることができる。これにより、羽根車22を高速回転で駆動する出力軸15を無段変速し、入力軸11の回転数が変動しても出力軸15が一定回転できるようにしている。
【0017】
ここで、動力伝達が行われる各接触部等への潤滑油の供給方式として油浴潤滑方式が最も簡易な潤滑方式である。しかし、本発明のようなトラクションドライブ式無段変速機の場合、油浴潤滑方式では、コーン27の公転運動による油の攪拌抵抗が大きく、また、この攪拌抵抗による動力損失が高回転になるほど顕著になる。また、コーン27の自転及び公転による遠心力のために潤滑油の多くは径方向外側に跳ね飛ばされ、最も高周速となる出力軸トラクション部21には十分な潤滑油が供給されないのでこの油浴潤滑方式は不適である。また、油浴潤滑方式の代わりに径方向外側から潤滑油を吹きかける方式もあるが、この方式も出力軸トラクション部21の潤滑油不足を引き起こすために不適である。
【0018】
そこで、図4及び図5に示すようにコーンホルダ28の内部に油路37〜40を設ける。まず、ホルダ本体29の軸方向に設けられた油路37を通して潤滑油を出力軸トラクション部21とコーン27との接触部に向けて圧送する。このようにして供給された潤滑油は、出力軸15の回転及びコーン27の自転・公転による遠心力により径方向外側に万遍なく飛散するので、他の接触部(入力軸トラクション部20とコーン27間、変速リング26とコーン27間)にも十分な潤滑油が供給される。
【0019】
また、油路37,39を介してコーン支持軸30の内部に設けられた油路40を通して軸受32に潤滑油を強制的に供給することにより軸受32の潤滑油不足による損傷を防止する。更に、油路37を介してホルダ本体29の径方向に設けられた油路38,39を通して軸受31に潤滑油を供給することにより潤滑油不足により焼付け等を防止する。
【0020】
尚、前述したコーンホルダ28への潤滑油の供給は、図4に示すようにハウジング本体12内に油路41を設け、入力軸11の軸受13,14の外輪間に第1スペーサ42を、その内輪間に第2スペーサ43を介在させる。入力軸11の回転に伴い、第1スペーサ42は静止し、第2スペーサ43は入力軸11と共に回転するが、第1スペーサ42の内径を第2スペーサ43の外径よりも、スペーサ間のシール性を大きく悪化させない程度に若干大きくしてスペーサ間の摺動抵抗を低減する。これらの第1及び第2スペーサ42,43にはその半径方向に貫通する穴44,45が設けられ、ハウジング本体12の油路41を通った潤滑油はこの第1及び第2スペーサ42,43の穴44,45を介して入力軸11の内部に流入してコーンホルダ28へ供給される。
【0021】
ところで、以上で説明したコーン27は、高速回転時に作用する遠心力とジャイロモーメントと、4つの接触部から受ける法線力が力学的に釣り合う形状となっている。しかし、ホルダ本体29に対するコーン支持軸30の位置関係の製作精度が悪ければ、コーン27の力学的釣り合いが成立せず、コーン支持軸30及び軸受32に過大な荷重が作用する。また、入力軸トラクション部20又は出力軸トラクション部21が複数のコーン27から受ける力のバランスが崩れ、入力軸11の軸受13,14又は出力軸15の軸受17,18に径方向の過大な偏荷重が作用する。その結果、入力軸11の軸受13,14又は出力軸15の軸受17,18の寿命低下又は早期損傷が引き起こされる。また、コーンホルダ28の製作精度が悪く、コーン27が入出力軸11,15に対してスキューしてしまう場合、動力の伝達効率が大きく低下して延いては回転不能になる。
【0022】
そこで、前述した実施形態のようにコーンホルダ28をホルダ本体29とコーン支持軸30との一体物で構成し(図3参照)、ホルダ本体29に対してコーン支持軸30の位置関係を良好な製作精度となるようにしていた。
【0023】
しかしながら、ホルダ本体29とコーン支持軸30とを一体的に成形した場合、各コーン支持軸30間の大きな空間を旋削・フライス加工等で削り出さなくてはならない。そのため、廃棄しなければならない無駄な材料が多く、また、加工に要する時間もかかることになり、製作コストが増加する虞がある。
【0024】
それゆえに、例えば、図6及び図7(a)(b)に示すようにホルダ本体29’とコーン支持軸30’とが別体のものでコーンホルダ28’を製作することで製作コストの低減が図れる。即ち、ホルダ本体29’は、コーン個数が3個の場合、各コーン支持軸30’に対して直角な平面が三角錐面を形成するような加工により製作され、コーン支持軸30’が挿入される嵌入穴29a’を有する。また、コーン支持軸30’はホルダ本体30’への嵌入部30a’とコーン支持部30b’との間に、コーン支持軸30’のホルダ本体29’への挿入長さを規制するための鍔部30c’を形成したものである。
【0025】
このようにホルダ本体29’とコーン支持軸30’とを別体としたコーンホルダ28’は、コーン支持軸30’をホルダ本体29’に圧入・焼嵌め等で組み立てることにより製作される。この時、コーン支持軸30’に設けた鍔部30c’の側面とホルダ本体29’の三角錐面とが平面同士で衝合することにより組み立て後のコーン支持軸30’の強度が向上する。また、コーン支持軸30’は最後の工程まで仕上げず、コーン支持部30b’の取りしろを幾分残しておく。そして、組み立て後にコーン支持部30b’を仕上げ加工(研削加工)することにより必要な精度を出すことができる。
【0026】
尚、図8に示すようにホルダ本体29とコーン支持軸30とを一体的に成形したコーンホルダ28の場合と同様(図5参照)、ホルダ本体29’及びコーン支持軸30’に油路37’〜40’を形成すれば、接触部への十分な潤滑油の供給が良好かつ容易になる。また、コーンホルダ28’への潤滑油の供給は、図4に示すようにハウジング12に油路41を形成し、第1及び第2スペーサ42,43を設けた前述の実施形態での構造と同一にすればよい。
【0027】
ところで、入力軸トラクション部20と出力軸トラクション部21の同軸度が完全であれば、円周等間隔に配置された複数のコーン27はすべて軸方向にも同じ位置に規制されることになる。しかし、実際上、各部品の製作精度、組み立て精度、各軸受の径方向のがたつき等により、運転中において各コーン27間に軸方向のばらつきが生じる虞がある。
【0028】
このばらつきが大きいと、入出力軸11,15の回転に伴い入出力軸トラクション部20,21や各軸受に偏荷重が発生し、回転むら、効率低下、軸受寿命の低下などが引き起こされる可能性が高い。そのため、コーン27の軸方向位置規制が必要となってくる。尚、この位置規制部を設ける場合、コーン27と軸方向位置規制部とがすべり接触することになり、この接触による動力損失をなるべく小さくすることも必要である。
【0029】
そこで、図9(a)に示すように出力軸15に、コーン27の軸方向位置を規制するための鍔部23’を軸方向位置規制部の一つとして一体的に成形する。また、他の軸方向位置規制部として、同図(b)に示すように一つの円環部材23を出力軸15に外挿してその出力軸15とコーン27との間に配置することも可能である(図1、図2及び図4参照)。更に、同図(c)に示すように複数(図では2個)の円環部材23a,23bを出力軸15に外挿することも可能で、また、同図(d)に示すように円環部材23と出力軸15との間に、皿ばね、ばね座金や波形座金などの弾性部材46を介在させるようにしてもよい。
【0030】
これにより、複数のコーン27のうちどれかが出力軸側に移動しようとしても、鍔部23’又は円環部材23により規制されるため、すべてのコーン27は同じ軸方向位置に保持される。また、複数のコーン27のうちどれかが入力軸側に移動しようとする場合でも、変速リング26の内径による規制のために残りのコーン27が出力軸側に移動しようとし、出力軸15とコーン27間に設けた鍔部23’又は円環部材23との干渉によりコーン27は同じ軸方向位置に保持される。
【0031】
また、円環部材23に摺動性の優れた材料(銅系合金、含油軸受材料、樹脂材料など)で成形することにより、コーン27と円環部材23とのすべり接触による動力損失を下げることができる。更に、複数の円環部材23a,23bで構成した場合、コーン27と出力軸15とのすべり速度差又はコーン27とコーンホルダ28とのすべり速度差を円環部材23a,23b間のすべりにより分散させることができて動力損失を低減できる。また、円環部材23と出力軸15との間に弾性部材46を介在させた場合、コーン27と円環部材23との間に作用する力を常にほぼ一定にすることができるので、コーン27と円環部材23との過大な干渉による効率低下が招来することはない。
【0032】
尚、図10(a)〜(d)及び図11に示すように鍔部23’又は円環部材23においてコーン27或いは出力軸15と当接する接触面mや、複数の円環部材23a,23bの場合には円環部材同士の接触面mを、軸方向力を支持する動圧が発生する所定形状とすることも可能で、このようにすれば、すべり接触による動力損失を低減できる。
【0033】
また、以上では、出力軸15にコーン27の軸方向位置規制部を設けた場合について説明したが、コーンホルダ28のコーン支持軸30にもコーン27の軸方向位置規制部を設けることも可能で、例えば、図12(a)に示すようにコーン支持軸30の基端部に鍔部47’を一体的に成形したり、同図(b)に示すように円環部材47をコーン支持軸30の基端部に外挿したり、同図(c)に示すように円環部材47とコーン支持軸30との間に、皿ばね、ばね座金や波形座金などの弾性部材48を介在させたりすることも可能である。
【0034】
【発明の効果】
本発明によれば、遠心送風機等の羽根車のような高速回転体を駆動する出力軸を無段変速させる用途に好適な構造を具備した実用的価値が大きい無段変速機を実現でき、以下の効果を奏する。
▲1▼各コーンを軸受支持したコーン支持軸と、前記コーン支持軸を円周等間隔に一体的に配設したホルダ本体とからなるコーンホルダを具備したことにより、コーンの入出力軸に対するスキューを防止し、スキューによる回転不能、伝達効率の低下を防止できて、信頼性の高い高性能の無段変速機を実現できる。
▲2▼各コーンを軸受支持したコーン支持軸と、前記コーン支持軸を円周等間隔に挿入固定したホルダ本体とからなるコーンホルダを具備したことにより、ホルダ本体とコーン支持軸とを一体物で製作する場合と比較して、廃棄しなければならない無駄な材料が発生することなく、また、加工に要する時間も少なくて済み、製作コストの低減が図れる。
▲3▼各コーンの軸方向移動を規制する位置規制部を、前記出力軸と各コーンとの間又は各コーンとコーンホルダとの間に配設したことにより、すべてのコーンを同じ軸方向位置に確実に保持でき、入出力トラクション部や各軸受に偏荷重が作用することによる効率低下や軸受寿命の低下を未然に防止することができ、信頼性の高い高性能の無段変速機を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態におけるトラクションドライブ式無段変速機の全体構造を示す断面図
【図2】本発明の他の実施形態を示す断面図
【図3】(a)は複数のコーンを支持するコーンホルダを示す側面図
(b)は(a)の正面図
【図4】コーンホルダに油路を形成した場合の断面図
【図5】(a)はコーンホルダに油路を形成した場合の側面図
(b)は(a)のA−A線に沿う断面図
【図6】ホルダ本体とコーン支持軸とを別体としたコーンホルダを示す一部断面を含む正面図
【図7】(a)は図6のホルダ本体を示す一部断面を含む正面図
(b)は(a)の側面図
(c)は図6のコーン支持軸を示す正面図
【図8】図6のコーンホルダに油路を形成した場合の断面図
【図9】(a)は鍔部を形成した出力軸を示す部分正面図
(b)は一つの円環部材を設けた出力軸を示す部分正面図
(c)は二つの円環部材を設けた出力軸を示す部分正面図
(d)は円環部材に弾性部材を付加した出力軸を示す部分正面図
【図10】(a)は接触面を軸方向力を支持する動圧が発生する形状とした鍔部又は円環部材を示す斜視図
(b)は(a)の接触面の断面形状を示す断面図
(c)は接触面を軸方向力を支持する動圧が発生する他の形状とした鍔部又は円環部材を示す斜視図
(d)は(c)の接触面の断面形状を示す断面図
【図11】接触面を軸方向力を支持する動圧が発生する他の形状とした鍔部又は円環部材を示す側面図
【図12】(a)は鍔部を形成したコーン支持軸を示す部分正面図
(b)は一つの円環部材を設けたコーン支持軸を示す部分正面図
(c)は円環部材に弾性部材を付加したコーン支持軸を示す部分正面図
【図13】従来の摩擦式無段変速機を示す正面図
【符号の説明】
11 入力軸
15 出力軸
19 加圧手段(加圧用ばね)
23 位置規制部(円環部材)
26 変速リング
27 コーン
28,28’ コーンホルダ
29,29’ ホルダ本体
30,30’ コーン支持軸

Claims (4)

  1. 回転自在に保持された複数のコーンが内接する入力軸と、前記複数のコーンが外接する出力軸と、前記入出力軸と複数のコーンとの間に弾性圧接力を付与する加圧手段とを備え、前記コーンの回転を介して前記入出力軸間で回転動力を伝達しながらその回転数を無段で変速する摩擦式無段変速機であって、前記各コーンを軸受支持したコーン支持軸と、前記コーン支持軸を円周等間隔に一体的に配設したホルダ本体とからなるコーンホルダを具備し、前記各コーンは、入力軸と摩擦接触する一つの入力側接触部および出力軸と摩擦接触する二つの出力側接触部を有し、前記入力側接触部を二つの出力側接触部の間に配設したことを特徴とする摩擦式無段変速機。
  2. 回転自在に保持された複数のコーンが内接する入力軸と、前記複数のコーンが外接する出力軸と、前記入出力軸と複数のコーンとの間に弾性圧接力を付与する加圧手段とを備え、前記コーンの回転を介して前記入出力軸間で回転動力を伝達しながらその回転数を無段で変速する摩擦式無段変速機であって、前記各コーンを軸受支持したコーン支持軸と、前記コーン支持軸を円周等間隔に挿入固定したホルダ本体とからなるコーンホルダを具備し、前記各コーンは、入力軸と摩擦接触する一つの入力側接触部および出力軸と摩擦接触する二つの出力側接触部を有し、前記入力側接触部を二つの出力側接触部の間に配設したことを特徴とする摩擦式無段変速機。
  3. 前記ホルダ本体を入力軸に軸受支持したことを特徴とする請求項1又は2記載の摩擦式無段変速機。
  4. 回転自在に保持された複数のコーンが内接する入力軸と、前記複数のコーンが外接する出力軸と、前記入出力軸と複数のコーンとの間に弾性圧接力を付与する加圧手段とを備え、前記コーンの回転を介して前記入出力軸間で回転動力を伝達しながらその回転数を無段で変速する摩擦式無段変速機であって、前記各コーンの軸方向移動を規制する位置規制部を、前記出力軸と各コーンとの間又は各コーンとコーンホルダとの間に配設し、前記各コーンは、入力軸と摩擦接触する一つの入力側接触部および出力軸と摩擦接触する二つの出力側接触部を有し、前記入力側接触部を二つの出力側接触部の間に配設したことを特徴とする摩擦式無段変速機。
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