JP3676576B2 - 自動遅延等化器及び自動遅延等化方法並びに自動遅延・振幅等化器及び自動遅延・振幅等化方法 - Google Patents
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Description
(目次)
発明の属する技術分野
従来の技術
発明が解決しようとする課題
課題を解決するための手段(図1〜図4)
発明の実施の形態
(A)自動遅延等化器の第1実施形態の説明(図5〜図25)
(A′)自動遅延等化器の第1実施形態の変形例の説明(図26)
(B)自動遅延等化器の第2実施形態の説明(図27)
(B′)自動遅延等化器の第2実施形態の変形例の説明(図28)
(C)自動遅延・振幅等化器の第1実施形態の説明(図29〜図33)
(C′)自動遅延・振幅等化器の第1実施形態の変形例の説明(図34)
(D)自動遅延・振幅等化器の第2実施形態の説明(図35)
(D′)自動遅延・振幅等化器の第2実施形態の変形例の説明(図36)
(E)その他
発明の効果
【0002】
【発明の属する技術分野】
本発明は、通信伝送路がもつ遅延周波数特性や振幅周波数特性により通信信号(入力信号)に生じる遅延特性(遅延歪み)や振幅特性(振幅歪み)を自動的に補償するのに用いて好適な、自動遅延等化器及び自動遅延等化方法並びに自動遅延・振幅等化器及び自動遅延・振幅等化方法に関する。
【0003】
【従来の技術】
従来より、ディジタル多重マイクロ通信などの無線通信に限らず、全ての通信伝送路(空間も含む)には、主に、振幅周波数特性及び遅延周波数特性という2種類の線形特性があり、これらの各特性によって伝送路の特性が左右されることが知られている。
【0004】
例えば、これらの各特性が周波数に対して平坦であれば、基本的に、受信(入力)信号から送信信号(変調信号)そのものを復号(復調)することができるが、平坦でなければ復調信号に「歪み(線形歪み)」が生じ復調特性が劣化してしまう。
そこで、このような線形歪みを等化して補償するために、従来より、伝送路の特性によって生じる線形歪みの量(特性)を予め測定しておき、測定した歪み量に変動がないものとして(つまり、線形歪みを固定量の歪みとして)、受信信号の等化(補償)を行なう振幅等化器や遅延等化器が各種提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、実際の伝送路では、空間伝送路の場合のようにフェージングとしてダイナミックに変化する歪みや、有線伝送路の場合のように温度変化等によるケーブル長の変化によって変動する歪みも生じるため、上記線形歪みは、当然、固定量ではない。従って、上記のような線形歪みを固定量の歪みとして等化する振幅等化器や遅延等化器では十分な線形歪みの補償を行なうことはできない。
【0006】
そこで、振幅周波数特性による振幅歪みについては、例えば、特開平8−163005号公報に示されるように、変動する歪み量をリアルタイムに検出できるようにすることで、変動する歪みでも自動的に等化・補償できるようにした技術が提案されているが、遅延周波数特性による遅延歪みについては、受信信号が現在影響を受けている歪み量を検出する手段及び検出した歪みを自動等化する手段ともに実現されていないのが現状である。
【0007】
本発明は、このような課題に鑑み創案されたもので、入力信号の群遅延特性(以下、単に遅延特性ということがある)を検出して、その群遅延特性を自動的に補償することのできる自動遅延等化器及び自動遅延等化方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、入力信号の遅延特性と周波数−振幅特性(以下、単に振幅特性ということがある)とを検出して、これらの各特性の両方を自動的に補償することのできる自動遅延・振幅等化器及び自動遅延・振幅等化方法を提供することも目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
図1は本発明の原理ブロック図で、この図1に示す自動遅延等化器において、1Aは傾斜形遅延等化部、2Aは制御部、3は復調器、4,5はそれぞれトランスバーサル等化器(TRE)である。
ここで、傾斜形遅延等化部1Aは、入力信号の遅延特性を所要の傾斜遅延特性に応じて補償するものであり、制御部2Aは、入力信号についてのディジタル復調信号I,Qのうちの一方の信号I(又は、Q)の値の変化の方向を判定するとともに、この一方の信号Iに対し直交するディジタル復調信号I,Qうちの他方の信号Q(又は、I)から誤差情報を検出し、この誤差情報と上述の一方の信号I(又は、Q)の値の変化の方向との相関に基づき傾斜形遅延等化部1A用の制御信号を出力するものである。
【0009】
上述のごとく構成された本発明の自動遅延等化器では、制御部2Aにおいて、入力信号についてのディジタル復調信号I,Qのうちの一方の信号I(又は、Q)の値の変化の方向が判定されるとともに、この一方の信号I(又は、Q)に対し直交するディジタル復調信号I,Qのうちの他方の信号Q(又は、I)から誤差情報が検出される。
【0010】
そして、この誤差情報と一方の信号I(又は、Q)の値の変化の方向との相関に基づき傾斜形遅延等化部1A用の制御信号が傾斜形遅延等化部1Aへ出力される。これにより、傾斜形遅延等化部1Aでは、入力信号の群遅延特性が所要の傾斜遅延特性に応じて補償される(請求項1)。
【0011】
ここで、上述の傾斜形遅延等化部1Aは、周波数領域において傾斜遅延特性を有し、上記入力信号の群遅延特性をその傾斜遅延特性に応じて補償するように構成してもよい。これにより、傾斜形遅延等化部1Aでは、周波数領域において入力信号の群遅延特性を自己のもつ傾斜遅延特性に応じて補償することができる(請求項2)。
【0012】
また、上記の制御部2Aは、図1に示すように、信号方向判定部21,誤差情報検出部22及び相関演算部23とをそなえて構成するのがよい。ここで、信号方向判定部21は、上記のディジタル復調信号I,Qのうちの一方の信号I(又は、Q)の値の変化の方向を判定するものであり、誤差情報検出部22は、この一方の信号I(又は、I)に対し直交するディジタル復調信号I,Qのうちの他方の信号Q(又は、I)から誤差情報を検出するものである。
【0013】
そして、相関演算部23は、上記の誤差情報検出部22で得られた誤差情報と信号方向判定部21で得られた一方の信号I(又は、Q)の値の変化の方向との相関に基づき上記の傾斜形遅延等化部1A用の制御信号を出力するものである。
【0014】
上述のごとく構成された制御部2Aでは、信号方向判定部21によってディジタル復調信号I,Qのうちの一方の信号I(又は、Q)の値の変化の方向が判定され、誤差情報検出部22によって上記一方の信号I(又は、Q)に対し直交するディジタル復調信号I,Qのうちの他方の信号Q(又は、I)から誤差情報が検出される。
【0015】
そして、相関演算部23は、このように誤差情報検出部22で得られた誤差情報と信号方向判定部21で得られた上記一方の信号I(又は、Q)の値の変化の方向との相関に基づき傾斜形遅延等化部1A用の制御信号を生成して傾斜形遅延等化部1Aへ出力する(以上、請求項3)。
【0016】
なお、上記の信号方向判定部21は、データクロック周期、もしくはデータクロックの1/N周期(Nは2以上の整数)で一方の信号I(又は、Q)をサンプリングして、この一方の信号I(又は、Q)の値の変化の方向を判定するように構成すれば、上記一方の信号I(又は、Q)の値の変化の方向を簡易に判定することができる(請求項4,5)。
【0017】
一方、上述の誤差情報検出部22は、上記の他方の信号Q(又は、I)の誤差ビットから誤差情報を検出するように構成すれば、他方の信号Q(又は、I)の誤差ビットのみから誤差情報を検出することができ(請求項6)、入力信号についてのディジタル復調信号I,Qのうちの他方の信号Q(又は、I)と、この他方の信号Q(又は、I)を更にトランスバーサル等化器5で処理した等化後信号QTRE (又は、ITRE )との差を演算する差演算部として構成すれば、より正確に、上記の誤差情報を検出することができる(請求項7)。
【0018】
また、上記の復調器3は、上記のディジタル復調信号I,Qを得るもので、ここでは、図1に示すように、この復調器3の前段に上記の傾斜形遅延等化部1Aを設けることで、復調前に入力信号の群遅延特性を補償することができるようになっている(請求項8)。
次に、図2も本発明の原理ブロック図で、この図2に示す自動遅延等化器において、1Aは傾斜形遅延等化部、2Bは制御部、3は復調器、4,5はそれぞれトランスバーサル等化器(TRE)4,5である。
【0019】
ここで、傾斜形遅延等化部1Aは、図1に示したものと同様のものであり、制御部2Bは、入力信号についてのディジタル復調信号I,Qのうちの一方の信号Iの値の変化の方向を判定し、この一方の信号Iに対し直交するディジタル復調信号I,Qうちの他方の信号Qから誤差情報を検出し、この誤差情報と上述の一方の信号Iの値の変化の方向との相関に基づいて第1相関信号を得るとともに、他方の信号Qの値の変化の方向を判定し、この他方の信号Qに対し直交するディジタル復調信号I,Qのうちの一方の信号Iから誤差情報を検出し、この誤差情報と上述の他方の信号Qの動く方向との相関に基づいて第2相関信号を得、更に上記の第1相関信号及び第2相関信号から傾斜形遅延等化部1A用の制御信号を生成して出力するものである。
【0020】
上述のごとく構成された本発明の自動遅延等化器では、制御部2Bにおいて、入力信号についてのディジタル復調信号I,Qのうちの一方の信号Iの値の変化の方向が判定され、この一方の信号Iに対し直交するディジタル復調信号I,Qのうちの他方の信号Qから誤差情報が検出され、この誤差情報と一方の信号Iの動く方向との相関に基づいて第1相関信号が得られる。
【0021】
また、これとともに、上記の他方の信号Qの動く方向が判定され、この他方の信号Qに対し直交するディジタル復調信号I,Qのうちの一方の信号Iから誤差情報が検出され、この誤差情報と他方の信号Qの値の変化の方向との相関に基づいて第2相関信号が得られる。
そして、これらの第1相関信号及び第2相関信号から上記の傾斜形遅延等化部1A用の制御信号が生成されて傾斜形遅延等化部1Aへ出力される。つまり、上記の制御部2Bは、ディジタル復調信号I,Qの両方について、信号の値の変化の方向と誤差情報とを検出し、それぞれの相関関係に基づいて上記の制御信号を生成するのである(以上、請求項9)。
【0022】
なお、この場合も、上記の傾斜形遅延等化部1Aは、周波数領域において傾斜遅延特性を有し、入力信号の群遅延特性をこの傾斜遅延特性に応じて補償するように構成すれば、周波数領域において入力信号の群遅延特性を自己のもつ傾斜遅延特性に応じて補償することができる(請求項10)。
【0023】
ところで、上記の制御部2Bは、図2に示すように、第1信号方向判定部21−1,第1誤差情報検出部22−1,第1相関演算部23−1,第2信号方向判定部21−2,第2誤差情報検出部22−2,第2相関演算部23−2及び制御信号生成部24をそなえて構成するのがよい。
ここで、第1信号方向判定部21−1は、ディジタル復調信号うちの一方の信号Iの値の変化の方向を判定するものであり、第1誤差情報検出部22−1は、この一方の信号に対し直交するディジタル復調信号うちの他方の信号Qから誤差情報を検出するものであり、第1相関演算部23−1は、第1誤差情報検出部22−1で得られた誤差情報と第1信号方向判定部21−1で得られた一方の信号Iの値の変化の方向との相関に基づき第1相関信号を出力するものである。
【0024】
さらに、第2信号方向判定部21−2は、上述の他方の信号Qの値の変化の方向を判定するものであり、第2誤差情報検出部22−2は、上述の一方の信号Iから誤差情報を検出するものであり、第2相関演算部23−2は、第2誤差情報検出部22−2で得られた誤差情報と第2信号方向判定部21−2で得られた他方の信号Qの値の変化の方向との相関に基づき第2相関信号を出力するものである。
【0025】
そして、制御信号生成部24は、第1相関演算部23−1からの第1相関信号及び第2相関演算部23−2からの第2相関信号から傾斜形遅延等化部1A用の制御信号を生成するものである。
上述のごとく構成された制御部2Bでは、第1信号方向判定部21−1においてディジタル復調信号I,Qうちの一方の信号Iの値の変化の方向が判定され、第1誤差情報検出部22−1においてこの一方の信号Iに対し直交するディジタル復調信号I,Qのうちの他方の信号Qから誤差情報が検出され、第1相関演算部23−1において、このように第1誤差情報検出部22−1で得られた誤差情報と第1信号方向判定部21−1で得られた一方の信号Iの値の変化の方向との相関に基づき第1相関信号が得られる。
【0026】
また、これとともに、第2信号方向判定部21−2において上記の他方の信号Qの値の変化の方向が判定され、第2誤差情報検出部22−2においてこの他方の信号Qに直交する一方の信号Iから誤差情報が検出され、第2相関演算部23−2において、このように第2誤差情報検出部22−2で得られた誤差情報と第2信号方向判定部21−2で得られた他方の信号Qの値の変化の方向との相関に基づき第2相関信号が得られる。
【0027】
そして、これらの第1相関信号及び第2相関信号から制御信号生成部24によって傾斜形遅延等化部1A用の制御信号が生成され、これが傾斜形遅延等化部1Aへ出力されることにより、入力信号の群遅延特性が所要の傾斜遅延特性に応じて補償される(以上、請求項11)。
なお、上記の第1信号方向判定部21−1は、データクロック周期で、もしくはデータクロックの1/N周期(Nは2以上の整数)で一方の信号Iをサンプリングして、この一方の信号Iの値の変化の方向を判定すべく構成され、第2信号方向判定部21−2は、データクロック周期で、もしくはデータクロックの1/N周期(Nは2以上の整数)で他方の信号Qをサンプリングして、この他方の信号Qの値の変化の方向を判定すべく構成してもよい。
【0028】
これにより、第1信号方向判定部21−1では、データクロック周期で、もしくはデータクロックの1/N周期(Nは2以上の整数)で一方の信号Iをサンプリングすることにより、上記の一方の信号Iの値の変化の方向を判定することができ、第2信号方向判定部21−2では、データクロック周期で、もしくはデータクロックの1/N周期(Nは2以上の整数)で他方の信号Qをサンプリングすることにより、上記の他方の信号Qの値の変化の方向を判定することができる(請求項12,13)。
【0029】
なお、上述の第1誤差情報検出部22−1及び第2誤差情報検出部22−2については、それぞれ第1誤差情報検出部22−1を一方の信号Iの誤差ビットから誤差情報を検出するように構成するとともに、第2誤差情報検出部22−2を他方の信号Qの誤差ビットから誤差情報を検出するように構成してもよい。これにより、各誤差情報検出部22−1及び22−2では、各信号I,Qの誤差ビットから誤差情報をそれぞれ簡易に検出することができる(請求項14)。
【0030】
また、第1誤差情報検出部22−1及び第2誤差情報検出部22−2については、第1誤差情報検出部22−1を、入力信号についてのディジタル復調信号I,Qのうちの他方の信号Qと、この他方の信号Qを更にトランスバーサル等化器で処理した等化後信号QTRE との差を演算する第1差演算部として構成するともに、第2誤差情報検出部22−2を、一方の信号Iと、この一方の信号Iを更にトランスバーサル等化器4で処理した等化後信号ITRE との差を演算する第2差演算部として構成してもよい。
【0031】
これにより、各誤差情報検出部22−1及び22−2では、ディジタル復調信号I,Qとこれらの信号I,Qをそれぞれ更にトランスバーサル等化器5で処理した等化後信号QTRE との差を演算することで、ディジタル復調信号I,Qについての各誤差情報が、それぞれトランスバーサル等化器4,5で等化処理を施された等化後信号ITRE ,QTRE を用いて検出することができる(以上、請求項15)。
【0032】
ところで、本自動遅延等化器は、この場合も、傾斜形遅延等化部1Aを、図2に示すように、復調器3の前段に設けることで、復調前に入力信号の群遅延特性を補償することができるようになっている(請求項16)。
【0033】
次に、図3も本発明の原理ブロック図で、この図3に示す自動遅延・振幅等化器において、1Aは傾斜形遅延等化部、1Bは傾斜形振幅等化部、2Cは制御部、3は復調器、4,5はそれぞれトランスバーサル等化器(TRE)である。
ここで、傾斜形遅延等化部1Aも、上記の入力信号の群遅延特性を所要の傾斜遅延特性に応じて補償するものであり、傾斜形振幅等化部1Bは、上記の入力信号の周波数−振幅特性を所要の傾斜振幅特性に応じて補償するものである。
【0034】
また、制御部2Cは、入力信号についてのディジタル復調信号I,Qのうちの一方の信号I(又は、Q)の値の変化の方向を判定するとともに、この一方の信号Iに対し直交するディジタル復調信号I,Qうちの他方の信号Q(又は、I)から誤差情報を検出し、この誤差情報と上述の一方の信号I(又は、Q)の値の変化の方向との相関に基づき傾斜形遅延等化部1A用の制御信号及び傾斜形振幅等化部1B用の制御信号をそれぞれ出力するものである。
【0035】
上述のごとく構成された本発明の自動遅延・振幅等化器では、上記の各等化部1A,1Bに対して共通の制御部2Cにおいて、入力信号についてのディジタル復調信号I,Qのうちの一方の信号I(又は、Q)の値の変化の方向が判定されるとともに、この一方の信号I(又は、Q)に対し直交するディジタル復調信号I,Qのうちの他方の信号Q(又は、I)から誤差情報が検出される。
【0036】
そして、この誤差情報と一方の信号I(又は、Q)の値の変化の方向との相関に基づき、傾斜形遅延等化部1A用の制御信号が傾斜形遅延等化部1Aへ出力されるとともに、傾斜形振幅等化部1B用の制御信号が傾斜形振幅等化部1Bへ出力される。これにより、各等化部1A,1Bによって、入力信号の群遅延特性と周波数−振幅特性との両方が補償される(請求項17)。
【0037】
なお、上記の傾斜形遅延等化部1Aは、周波数領域において傾斜遅延特性を有し、上記の入力信号の群遅延特性をその傾斜遅延特性に応じて補償するように構成し、傾斜形振幅等化部1Bは、周波数領域において傾斜振幅特性を有し、上記の入力信号の周波数−振幅特性をその傾斜振幅特性に応じて補償するように構成するのがよい。これにより、各等化部1A,1Bでは、入力信号の群遅延特性,周波数−振幅特性をそれぞれの傾斜遅延特性,傾斜振幅特性に応じて補償することができる(請求項18)。
【0038】
また、上記の制御部2Cは、例えば図3に示すように、信号方向判定部21,誤差情報検出部22及び相関演算部23′とをそなえて構成するのがよい。ここで、信号方向判定部21は、上記のディジタル復調信号I,Qのうちの一方の信号I(又は、Q)の値の変化の方向を判定するものであり、誤差情報検出部22は、この一方の信号I(又は、I)に対し直交するディジタル復調信号I,Qのうちの他方の信号Q(又は、I)から誤差情報を検出するものである。
【0039】
そして、相関演算部23′は、上記の誤差情報検出部22で得られた誤差情報と信号方向判定部21で得られた一方の信号I(又は、Q)の値の変化の方向との相関に基づき傾斜形遅延等化部1A用の制御信号及び傾斜形振幅等化部1B用の制御信号をそれぞれ出力するものである。
【0040】
上述のごとく構成された制御部2Cでは、信号方向判定部21によってディジタル復調信号I,Qのうちの一方の信号I(又は、Q)の値の変化の方向が判定され、誤差情報検出部22によって上記一方の信号I(又は、Q)に対し直交するディジタル復調信号I,Qのうちの他方の信号Q(又は、I)から誤差情報が検出される。
【0041】
そして、相関演算部23′は、このように誤差情報検出部22で得られた誤差情報と信号方向判定部21で得られた上記一方の信号I(又は、Q)の値の変化の方向との相関に基づき傾斜形遅延等化部1A用の制御信号及び傾斜形振幅等化部1B用の制御信号を生成してそれぞれ傾斜形遅延等化部1A,傾斜形振幅等化部1Bへ出力する(以上、請求項19)。
【0042】
なお、上記の信号方向判定部21も、データクロック周期、もしくはデータクロックの1/N周期(Nは2以上の整数)で一方の信号I(又は、Q)をサンプリングして、この一方の信号I(又は、Q)の値の変化の方向を判定するように構成すれば、上記一方の信号I(又は、Q)の値の変化の方向を簡易に判定することができる(請求項20,21)。
【0043】
一方、上述の誤差情報検出部22も、上記の他方の信号Q(又は、I)の誤差ビットから誤差情報を検出するように構成すれば、他方の信号Q(又は、I)の誤差ビットのみから誤差情報を検出することができ(請求項23)、入力信号についてのディジタル復調信号I,Qのうちの他方の信号Q(又は、I)と、この他方の信号Q(又は、I)を更にトランスバーサル等化器5で処理した等化後信号QTRE (又は、ITRE )との差を演算する差演算部として構成すれば、より正確に、上記の誤差情報を検出することができる(請求項23)。
【0044】
ところで、本自動遅延等化器は、傾斜形遅延等化部1A及び傾斜形振幅等化部1Bを、図3に示すように、それぞれ復調器3の前段に設けることで、復調前に入力信号の群遅延特性と周波数−振幅特性とを補償することができるようになっている(請求項24)。
次に、図4も本発明の原理ブロック図で、この図4に示す自動遅延・振幅等化器においても、1Aは傾斜形遅延等化部、1Bは傾斜形振幅等化部、2Dは制御部、3は復調器、4,5はそれぞれトランスバーサル等化器(TRE)である。
【0045】
ここで、傾斜形遅延等化部1A及び傾斜形振幅等化部1Bは、それぞれ、図3により上述したものと同様のものであり、制御部2Dは、上記の入力信号についてのディジタル復調信号I,Qのうちの一方の信号Iの値の変化の方向を判定し、この一方の信号Iに対し直交するディジタル復調信号I,Qうちの他方の信号Qから誤差情報を検出し、この誤差情報と上述の一方の信号Iの値の変化の方向との相関に基づいて第1相関信号を得るとともに、他方の信号Qの値の変化の方向を判定し、この他方の信号Qに対し直交するディジタル復調信号I,Qのうちの一方の信号Iから誤差情報を検出し、この誤差情報と上述の他方の信号Qの動く方向との相関に基づいて第2相関信号を得、更に上記の第1相関信号及び第2相関信号から傾斜形遅延等化部1A用の制御信号及び傾斜形振幅等化部1B用の制御信号をそれぞれ生成して出力するものである。
【0046】
上述のごとく構成された本発明の自動遅延・振幅等化器では、制御部2Dにおいて、入力信号についてのディジタル復調信号I,Qのうちの一方の信号Iの値の変化の方向が判定され、この一方の信号Iに対し直交するディジタル復調信号I,Qのうちの他方の信号Qから誤差情報が検出され、この誤差情報と一方の信号Iの動く方向との相関に基づいて第1相関信号が得られる。
【0047】
また、これとともに、上記の他方の信号Qの動く方向が判定され、この他方の信号Qに対し直交するディジタル復調信号I,Qのうちの一方の信号Iから誤差情報が検出され、この誤差情報と他方の信号Qの値の変化の方向との相関に基づいて第2相関信号が得られる。
そして、これらの第1相関信号及び第2相関信号から上記の傾斜形遅延等化部1A用の制御信号と傾斜形振幅等化部1B用の制御信号とが生成されて、それぞれ、傾斜形遅延等化部1A及び傾斜形振幅等化部1Bへ出力される。つまり、上記の制御部2Dは、ディジタル復調信号I,Qの両方について、信号の値の変化の方向と誤差情報とを検出し、それぞれの相関関係に基づいて上記の各制御信号を生成するのである(以上、請求項25)。
【0048】
ここで、この場合も、上記の傾斜形遅延等化部1Aを、周波数領域において傾斜遅延特性を有し、入力信号の群遅延特性を傾斜遅延特性に応じて補償するように構成するとともに、傾斜形振幅等化部1Bを、周波数領域において傾斜振幅特性を有し、入力信号の周波数−振幅特性を傾斜振幅特性に応じて補償するように構成すれば、各等化部1A,1Bでは、入力信号の群遅延特性,周波数−振幅特性をそれぞれの傾斜遅延特性,傾斜振幅特性に応じて補償することができる(請求項26)。
【0049】
ところで、上記の制御部2Dも、図4に示すように、第1信号方向判定部21−1,第1誤差情報検出部22−1,第1相関演算部23−1,第2信号方向判定部21−2,第2誤差情報検出部22−2,第2相関演算部23−2及び制御信号生成部24′をそなえて構成するのがよい。
ここで、第1信号方向判定部21−1は、ディジタル復調信号うちの一方の信号Iの値の変化の方向を判定するものであり、第1誤差情報検出部22−1は、この一方の信号に対し直交するディジタル復調信号うちの他方の信号Qから誤差情報を検出するものであり、第1相関演算部23−1は、第1誤差情報検出部22−1で得られた誤差情報と第1信号方向判定部21−1で得られた一方の信号Iの値の変化の方向との相関に基づき第1相関信号を出力するものである。
【0050】
さらに、第2信号方向判定部21−2は、上述の他方の信号Qの値の変化の方向を判定するものであり、第2誤差情報検出部22−2は、上述の一方の信号Iから誤差情報を検出するものであり、第2相関演算部23−2は、第2誤差情報検出部22−2で得られた誤差情報と第2信号方向判定部21−2で得られた他方の信号Qの値の変化の方向との相関に基づき第2相関信号を出力するものである。
【0051】
そして、制御信号生成部24′は、第1相関演算部23−1からの第1相関信号及び第2相関演算部23−2からの第2相関信号から傾斜形遅延等化部1A用の制御信号を生成するものである。
上述のごとく構成された制御部2Dでは、第1信号方向判定部21−1においてディジタル復調信号I,Qうちの一方の信号Iの値の変化の方向が判定され、第1誤差情報検出部22−1においてこの一方の信号Iに対し直交するディジタル復調信号I,Qのうちの他方の信号Qから誤差情報が検出され、第1相関演算部23−1において、このように第1誤差情報検出部22−1で得られた誤差情報と第1信号方向判定部21−1で得られた一方の信号Iの値の変化の方向との相関に基づき第1相関信号が得られる。
【0052】
また、これとともに、第2信号方向判定部21−2において上記の他方の信号Qの値の変化の方向が判定され、第2誤差情報検出部22−2においてこの他方の信号Qに直交する一方の信号Iから誤差情報が検出され、第2相関演算部23−2において、このように第2誤差情報検出部22−2で得られた誤差情報と第2信号方向判定部21−2で得られた他方の信号Qの値の変化の方向との相関に基づき第2相関信号が得られる。
【0053】
そして、これらの第1相関信号及び第2相関信号から制御信号生成部24′において傾斜形遅延等化部1A用の制御信号及び傾斜形振幅等化部1B用の制御信号が生成され、これらの各制御信号がそれぞれ対応する等化部1A,1Bへ出力されることにより、入力信号の群遅延特性と周波数−振幅特性とがそれぞれ所要の傾斜遅延特性,傾斜形振幅特性に応じて補償される(以上、請求項27)。
【0054】
なお、上記の第1信号方向判定部21−1も、データクロック周期で、もしくはデータクロックの1/N周期(Nは2以上の整数)で一方の信号Iをサンプリングして、この一方の信号Iの値の変化の方向を判定すべく構成され、第2信号方向判定部21−2は、データクロック周期で、もしくはデータクロックの1/N周期(Nは2以上の整数)で他方の信号Qをサンプリングして、この他方の信号Qの値の変化の方向を判定すべく構成してもよい。
【0055】
これにより、第1信号方向判定部21−1では、データクロック周期で、もしくはデータクロックの1/N周期(Nは2以上の整数)で一方の信号Iをサンプリングすることで、上記の一方の信号Iの値の変化の方向を判定することができ、第2信号方向判定部21−2では、データクロック周期で、もしくはデータクロックの1/N周期(Nは2以上の整数)で他方の信号Qをサンプリングすることにより、上記の他方の信号Qの値の変化の方向を判定することができる(請求項28,29)。
【0056】
なお、上述の第1誤差情報検出部22−1及び第2誤差情報検出部22−2については、それぞれ第1誤差情報検出部22−1を一方の信号Iの誤差ビットから誤差情報を検出するように構成するとともに、第2誤差情報検出部22−2を他方の信号Qの誤差ビットから誤差情報を検出するように構成してもよい。これにより、各誤差情報検出部22−1及び22−2では、各信号I,Qの誤差ビットから誤差情報をそれぞれ簡易に検出することができる(請求項30)。
【0057】
また、第1誤差情報検出部22−1及び第2誤差情報検出部22−2については、第1誤差情報検出部22−1を、入力信号についてのディジタル復調信号I,Qのうちの他方の信号Qと、この他方の信号Qを更にトランスバーサル等化器で処理した等化後信号QTRE との差を演算する第1差演算部として構成するともに、第2誤差情報検出部22−2を、一方の信号Iと、この一方の信号Iを更にトランスバーサル等化器4で処理した等化後信号ITRE との差を演算する第2差演算部として構成してもよい。
【0058】
これにより、各誤差情報検出部22−1及び22−2では、ディジタル復調信号I,Qとこれらの信号I,Qをそれぞれ更にトランスバーサル等化器5で処理した等化後信号QTRE との差を演算することで、ディジタル復調信号I,Qについての各誤差情報が、それぞれトランスバーサル等化器4,5で等化処理を施された等化後信号ITRE ,QTRE を用いて検出することができる(以上、請求項31)。
【0059】
ところで、本自動遅延・振幅等化器も、傾斜形遅延等化部1Aを、図4に示すように、復調器3の前段に設けることで、復調前に入力信号の群遅延特性を補償することができるようになっている(請求項32)。
【0060】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
(A)自動遅延等化器の第1実施形態の説明
図5は本発明の自動遅延等化器の第1実施形態を示すブロック図で、この図5において、9はアンテナ、10は受信部、11Aは1次傾斜遅延補償部、12は自動利得制御部(AGC)、13は復調器、14Aは制御部、15,16はそれぞれトランスバーサル等化器(TRE)である。
【0061】
ここで、受信部10は、アンテナ9で受信したRF(高周波)信号をIF(中間周波)信号に周波数変換(ダウンコンバート)して1次傾斜遅延補償部11Aへ出力するものであり、1次傾斜遅延補償部(傾斜形遅延等化部)11Aは、周波数領域において傾斜遅延特性を有しており、受信部10からのIF信号(入力信号)の遅延特性を、この傾斜遅延特性に応じて補償するもので、本実施形態では、復調器13の前段、つまりIF信号が入出力となる位置に設けられている。
【0062】
また、自動利得制御部12は、この1次傾斜遅延補償部11Aからの出力信号の利得を一定に制御して復調器13へ出力するものであり、復調器13は、この自動利得制御部12を通じて出力される1次傾斜遅延補償部11Aからの信号を直交する2種のベースバンド信号に復調し、さらにA/D変換することでディジタル化してディジタル復調信号I,Qを得るものである。
【0063】
このため、本実施形態の復調器13は、例えば図18に示すように、ハイブリッド(H)131,134,位相検波器132,133,局部発振器135,帯域通過フィルタ(バンドパスフィルタ:BPF)136,137及びA/D変換器138,139をそなえて構成されている。
【0064】
ここで、各ハイブリッド131,134は、それぞれ入力された信号を2分波するものであり、各位相検波部132,133は、それぞれ後述する局部発振器135からの搬送波再生信号に応じて、ハイブリッド131からの各IF信号に対して直交検波を施すことにより互いに直交する復調ベースバンド信号I,Qを得るものであり、局部発振器135は、搬送波に位相同期した搬送波再生信号を生成するものである。
【0065】
また、各帯域通過フィルタ136,137は、それぞれ位相検波器132,133で得られた復調ベースバンド信号I,Qをろ波して雑音成分などを除去し、所要の周波数帯域の信号成分のみを通過させるものであり、各A/D変換器138,139は、それぞれ各帯域通過フィルタ136,137からの復調ベースバンド信号I,Qのそれぞれに対してA/D変換を施すことによって、ディジタル復調信号I,Qを得るものである。
【0066】
これにより、この復調器13では、自動利得制御部12(図7参照)からのIF信号が、ハイブリッド131で2分波され、それぞれが位相検波部132,133へ出力される。このとき、局部発振器135では、搬送波に位相同期した搬送波再生信号が生成されており、この搬送波再生信号は、ハイブリッド134で位相がπ/2だけ異なる2波に分波され、それぞれが位相検波部132,133へ出力される。
【0067】
この結果、位相検波部132,133では、互いに直交する復調ベースバンド信号I,Qが得られ、この復調ベースバンド信号I,Qをそれぞれ帯域通過フィルタ136,137を介して各A/Dコンバータ138,139に入力してA/D変換すれば、位相が互いに90°異なる(直交する)ディジタル復調信号I,Qが得られる。
【0068】
さらに、制御部14Aは、復調器13を通じて得られるIF信号についてのディジタル復調信号I,QからIF信号の線形(1次傾斜)歪み〔遅延特性(遅延量τ)〕を検出し、その情報を1次傾斜遅延補償部11Aが有する(1次)傾斜遅延特性を制御するための制御信号として出力するものであり、各トランスバーサル等化器15,16は、復調器13で得られたディジタル復調信号I,Qをそれぞれ時間領域で等化するものである。
【0069】
上述のごとく構成された図5に示す自動遅延等化器では、アンテナ9で受信したRF信号が、受信部10でIF信号にダウンコンバートされ、復調器13で直交検波されることによりベースバンド帯のディジタル復調信号I,Qが得られる。
そして、制御部14Aでは、これらのディジタル復調信号I,Qとディジタル復調信号Qをさらにトランスバーサル等化器16で等化処理を施した等化後信号QTRE とを用いてIF信号の1次傾斜歪み(遅延量τ)を検出し、その検出結果に応じて、1次傾斜遅延補償部11A用の制御信号を1次傾斜遅延補償部11Aへ出力する。1次傾斜遅延補償部11Aでは、この制御信号に応じて後述するように自己の有する1次傾斜遅延特性が制御されることにより、IF信号の1次傾斜(遅延)歪みを補償する。
【0070】
ところで、上記の遅延量τは、伝送路の位相特性の周波数微分(τ=dθ/dω)で与えられる。通常、線形歪みの無い理想の伝送路では、図6に示すように、位相θは周波数fに対し直線状(位相周波数特性が直線状)になるので、図7に示すように、τ=dθ/dω=一定となり遅延歪みの発生は無い。
しかし、現実には、上記の位相周波数特性は直線状にはならず、遅延量τ=dθ/dωは周波数fに応じて変動するため、遅延歪みが発生する。
【0071】
例えば、図6中に破線17で示すように、位相周波数特性が周波数fの増大に伴って+Δθだけ上方へずれると、図8中に破線19で示すように遅延量τが周波数fに応じて変動し右上がり(正傾斜)の遅延歪みが発生することになる。一方、図6中に一点鎖線18で示すように、位相周波数特性が周波数fの増大に伴って−Δθだけ下方へずれると、図8中に一点鎖線20で示すように遅延量τが周波数fに応じて変動し右下がり(負傾斜)の遅延歪みが発生することになる。
【0072】
以下、この遅延歪み(遅延特性)を検出する原理について、図9〜図17を用いて詳述する。
図9は信号伝送系の概念を示すブロック図で、この図9において、31は変調部、32は1次傾斜歪(遅延歪)伝送路、33は復調部、ωB は信号(ベースバンド)周波数、ωC は搬送(キャリア)周波数、A(ω)は変調信号,B(ω)は1次傾斜歪伝送路32で1次傾斜歪みとして遅延歪みを受けた変調信号、C(ω)は復調信号である。
【0073】
そして、この図9において、例えば、送信信号をcosωB tとして、このcosωB tを変調搬送波exp(j ωC t)を用いて変調部31で変調すると、その変調信号A(ω)は、次のように表される。
A(ω) =cos ωB t ×exp(j ωC t) ・・(1)
ここで、オイラーの公式より、
cos θ=〔exp(jθ) +exp(-jθ)〕/2
であるから、変調信号A(ω)は、
となる。この式(2)は、図10に示すように変調信号A(ω)の中に2つの周波数成分(ωC + ωB ),(ωC - ωB )が存在していることを表している。これらの周波数成分(ωC + ωB ),(ωC - ωB )を位相面でベクトル表現すると、図11に示すようになり、各ベクトル(ωC + ωB ),(ωC - ωB )は、それぞれ、時間tとともにそれぞれ左回り(+θ方向),右回り(−θ方向)へ回転する。
【0074】
ここで、例えば、上記の変調信号A(ω)が伝送路32の遅延特性の影響を受けて正傾斜の遅延歪み(θ1 =+Δθの位相ずれ)が発生した場合を考える。この場合、遅延歪みを受けた信号B(ω)は、次式(3)のように表される。
この式(3)を図11と同様にベクトル表現すると、図12に示すようになる。そして、次にこの信号B(ω)を復調部33で直交復調することを考える。この場合、復調信号C(ω)はC(ω)=B(ω)/exp(j ωC t)で得られるので、次式(4)に示すようになる。
【0075】
従って、直交復調すると、
I軸成分:I=〔cos(ωB t +θ1)+cos ωB t 〕/2・・(5)
Q軸成分:Q=〔sin(ωB t +θ1)−jsinωB t 〕/2・・(6)
となる。ここで、θ1 =0のとき、つまり、遅延歪みが無い(遅延歪みの傾斜が零傾斜である)とき、これらの式(5),(6)より、I=cos ωB t ,Q=0となり、送信信号そのものが復調されることが分かる。
【0076】
これに対し、上記のようにθ1 =+Δθ≠0の場合は、例えば図13に示すように、Q軸(負方向)に直交干渉成分が発生する。そして、同じ歪み環境下で時間tが経過し、上記の各周波数成分のベクトルが、例えば図14に示すように回転すると、今度は、Q軸の正方向に直交干渉成分が発生する。
つまり、伝送路32に正傾斜の遅延特性がある状態で、信号点(信号の値)が下方向(I軸の負方向:↓)へ移動(変化)する場合はQ軸の正方向に直交干渉成分が発生し、信号点が上方向(I軸の正方向:↑)へ移動する場合はQ軸の負方向に直交干渉成分が発生するのである。
【0077】
一方、上述とは逆に、例えば図15に示すように、変調信号A(ω)が伝送路32の遅延特性の影響を受けて負傾斜の遅延歪み(θ1 =−Δθ≠0の位相ずれ)が発生した場合は、図16に示すようにQ軸(正方向)に直交干渉成分が発生する。そして、同じ歪み環境下で時間tが経過し、上記の各周波数成分のベクトルが、例えば図17に示すように回転すると、今度は、Q軸の負方向に直交干渉成分が発生する。
【0078】
つまり、伝送路32に負傾斜の遅延特性がある状態で、信号点(信号の値)が下方向(I軸の負方向:↓)へ移動(変化)する場合はQ軸の負方向に直交干渉成分が発生し、信号点が上方向(I軸の正方向:↑)へ移動する場合はQ軸の正方向に直交干渉成分が発生するのである。
従って、上記の正方向,負方向の直交干渉成分を復調部33での直交復調時の誤差電圧(誤差情報)±Eと考えると、次表1に示すように、ディジタル復調信号I(Qでもよい)の値の変化の方向を判定し、そのときのディジタル復調信号Q(Iでもよい)についての誤差電圧±Eを検出すれば、これらの相関に基づいて、入力信号の1次傾斜歪み(遅延歪み)の正傾斜,負傾斜などの傾斜情報を検出することができる。
【0079】
【表1】
【0080】
このため、本実施形態の制御部14Aは、図5に示すように、上昇/下降識別部141,回転方向識別部142及び積分器143をそなえて構成されており、上昇/下降識別部(信号方向判定部)141は、復調器13を通じて得られたディジタル復調信号I,Qのうちの一方の信号I(以下、この信号をディジタルIチャネル信号Iということがある)の動く方向、即ち、ディジタル復調信号Iの値が前述したようにI軸上で上方向(↑),下方向(↓)のどちらに移動(変化)しているかを判定するものである。
【0081】
また、回転方向識別部(誤差情報検出部,相関演算部)142は、同じく復調器13で得られたディジタル復調信号Q(以下、この信号をディジタルQチャネル信号Qということがある)と、このディジタル復調信号Qをさらにトランスバーサル等化器16(図5参照)で等化した後の等化後信号QTRE とから、ディジタル復調信号Iに対する誤差電圧(誤差情報)±Eを検出し、この誤差電圧±Eと上昇/下降識別部141で得られた信号Iの動く方向との相関(表1参照)に基づいて、受信信号の遅延歪み(正/負傾斜形歪み)を検出するものである。
【0082】
さらに、積分器143は、回転方向識別部142で得られた遅延歪みの検出信号を積分することにより、この信号に含まれる雑音成分などを除去して、1次傾斜遅延補償部11A用の制御信号として出力するものである。
これにより、この制御部14Aでは、上昇/下降識別部141においてディジタル復調信号Iの動く方向(信号の値の変化の方向)が判定され、回転方向識別部142においてディジタル復調信号Qの誤差電圧±Eが検出され、これらのディジタル復調信号Iの動く方向と、ディジタル復調信号Qの誤差電圧±EとからIF信号の遅延歪みの傾斜情報が検出される。
【0083】
次に、これらの上昇/下降識別部141及び回転方向識別部142についてさらに詳述する。
まず、本実施形態の上昇/下降識別部141は、例えば図19に示すように、上昇/下降識別部141は、レジスタ(REG)141−1,141−2,コンパレータ(C)141−3,141−4,出力反転型のEX−NORゲート(Exclusive NOR 素子:排他的否定論理和演算素子)141−6,ANDゲート141−7及びフリップフロップ回路141−8をそなえて構成されている。
【0084】
ここで、レジスタ141−1は、復調器13からのディジタル復調信号Iを所要時間だけ遅延するものであり、レジスタ141−2は、このレジスタ141−1で遅延されたディジタル復調信号Iを、さらにレジスタ141−1による遅延時間と同じ時間だけ遅延するのであり、これらの各レジスタ141−1,141−2によって、ディジタル復調信号IのデータIB0,IB1,IB2が時系列にサンプリングされるようになっている。
【0085】
また、コンパレータ141−3は、レジスタ141−1による遅延前のデータIB0と遅延後のデータIB1とを比較するものであり、コンパレータ141−4は、レジスタ141−2による遅延前のデータIB1と遅延後のデータIB2とを比較するものである。
さらに、出力反転型のEX−NORゲート141−6は、各コンパレータ141−3,141−4での比較結果に対して排他的否定論理和演算を施して反転出力すものであり、ANDゲート(論理積演算素子)141−7は、このEX−NORゲート141−6からの演算結果とデータクロック周期Tごとにハイレベル信号となるタイミングクロックとの論理積をとるものであり、フリップフロップ回路141−8は、コンパレータ141−4での比較結果と、ANDゲート141−7での演算結果とに基づき、入力されたディジタル復調信号Iの値の変化の方向に応じた信号を出力するものである。
【0086】
このような構成により、この上昇/下降識別部141では、まず、レジスタ141−1,141−2によって、データクロック周期Tでディジタル復調信号IのデータIB0,IB1,IB2が時系列にサンプリングされ、コンパレータ141−3によって、データIB0とデータIB1とが比較され、その比較結果が検出信号C1として出力される。なお、この検出信号C1には、IB0>IB1,IB0=IB1,IB0<IB1という3つの場合が含まれる。
【0087】
さらに、コンパレータ141−4では、レジスタ141−1からのデータIB1とレジスタ141−2による遅延後のデータIB2とが比較され、その比較結果が検出信号C2として出力される。なお、この場合も検出信号C2には、IB1>IB2,IB1=IB2,IB1<IB2という3つの場合が含まれる。
そして、例えば、検出信号C1=IB0>IB1かつ検出信号C2=IB1>IB2である場合、即ち、新たに入力されたディジタル復調信号Iのデータほどその信号レベルが増大している場合は、ディジタル復調信号Iの動く方向が上向きと判別され、逆に、検出信号C1=IB0<IB2かつ検出信号C2=IB1<IB2である場合は、ディジタル復調信号Iの動く方向が下向きと判別される。
【0088】
今、コンパレータ141−3での比較結果がIB0>IB1の場合にC1=1、コンパレータ141−4での比較結果がIB1>IB2の場合にC2=1と定義すれば、C1〜C3についての真理値表は、次表2に示すようになる。
【0089】
【表2】
【0090】
つまり、この場合、上昇/下降識別部141からは、ディジタル復調信号Iの動く方向が上向きの場合は「1」,下向きの場合は「0」が出力される。なお、表2に示すように、検出信号C1,C2がともに「0」あるいは「1」である場合以外は、信号Iの動く方向がその時点では判定できないので、前時点での判定結果(1bit前の値)が保持された状態となる。
【0091】
なお、この上昇/下降識別部141は、ディジタル復調信号Iをデータクロック周期Tでサンプリングするようになっているが、データクロックの1/Nの周期T/N(Nは2以上の整数)でサンプリングして、ディジタル復調信号Iの動く方向を判定するようにしてもよく、このようにすれば、例えば、4相PSK(Phase Shift Keying)や多値QAM(Quadrature Amplitude Modulation) などの変調方式で変調を施された信号を復調して得られるディジタル復調信号Iに対しても、同様にして、この信号Iの動く方向を判定することができる。
【0092】
従って、送信信号がどのような変調方式で変調を施されていても(ディジタル復調信号Qがどのような復調方式で復調された信号でも)、ディジタル復調信号Iの値の変化の方向を精度良く判定できるので、任意の変調方式に柔軟に対応することができ、本自動遅延等化器の柔軟性の向上に大いに寄与している。
一方、上記の回転方向識別部142は、例えば図20に示すように、減算器(SUB)142−1とデコーダ(DEC)142−2とをそなえて構成されている。
【0093】
ここで、減算器(誤差情報検出部)142−1は、ディジタル復調信号I,Qのうちの一方の信号Iに対し直交する他方の信号Qから、信号Iに対する直交干渉成分である誤差電圧±Eを検出するもので、この場合は、トランスバーサル等化器16による等化前のディジタル復調信号Qと、等化後の等化後信号QTRE との差を演算することにより、誤差電圧±Eを検出する差演算部として構成されている。
【0094】
また、デコーダ(相関演算部)142−2は、この減算器142−1で得られた誤差電圧±Eと、前述したように上昇/下降識別部141で得られた信号Iの動く方向との相関(表1参照)に基づいて、遅延歪みの傾斜情報を検出し、これに応じた信号を1次傾斜遅延補償部11A用の制御信号として出力するものである。
【0095】
これにより、この回転方向識別部142では、トランスバーサル等化器16による等化前の信号Qと等化後信号QTRE との差が減算器142−1で演算されて信号Qの誤差電圧±Eが検出され、この信号Qの誤差電圧±Eと上昇/下降識別別部141で得られた信号Iの動く方向との相関に基づき、検出したIF信号の遅延歪みの傾斜情報に応じた信号が1次傾斜遅延補償部11A用の制御信号としてデコーダ142−2から出力される。
【0096】
そして、この制御信号は、積分器143で積分されたのち1次傾斜遅延補償部11Aへ出力される。
なお、上述の誤差電圧±Eは、後述するように、トランスバーサル等化器16で等化する前のディジタル復調信号Qのデータの一部(誤差ビット)のみから検出することもできるが、この場合、この等化前のディジタル復調信号Qにビット誤りなどの誤差が生じた場合に正確な誤差電圧Eのデータが得られなくなる可能性がある。
【0097】
そこで、本実施形態では、上述のごとくトランスバーサル等化器16で等化する前のディジタル信号Qのデータから等化後のディジタル信号QTRE のデータを減算することで、より正確に誤差電圧±Eのデータを検出できるようにしているのである。
なお、図21は上述の制御部14Aを実用の回路で構成した場合の一例を示す回路図であるが、以下にその動作について簡単に述べる。即ち、この図21において、ディジタルIチャネル信号Iは、まず遅延器140を介して上昇/下降識別部141に出力され、上昇/下降識別部141でその信号の動く方向が判定される。一方、ディジタルQチャネル信号Qは、トランスバーサル等化器16で等化された等化後信号QTRE と減算器142−1において入力タイミングが同一になるように遅延器140で遅延される。
【0098】
その後、この信号Qのデータと等化後信号QTRE との差が減算器142で演算されることにより、信号Qの誤差電圧Eが検出され、この信号Qの誤差電圧Eと上昇/下降識別部141で得られたディジタル信号Iの動く方向との相関が取られ、得られた信号、つまり1次傾斜遅延補償部11A用の制御信号が積分器143を介して1次傾斜遅延補償部11Aへ出力される。
【0099】
次に、図5に示す1次傾斜遅延補償部11Aについて詳述する。図22は上記の1次傾斜遅延補償部11Aの構成例を示すブロック図で、この図22に示すように、本実施形態の1次傾斜遅延補償部11Aは、図23に示すようなそれぞれ異なる凸状の周波数通過(共振)特性を有する等化器(EQL1,EQL2)11−1,11−2がカスケード接続されるとともに、制御部14Aから供給される制御信号(制御電圧)を反転して等化器11−1に供給する反転ゲート11−3をそなえて構成されている。
【0100】
そして、この1次傾斜遅延補償部11Aでは、各等化器11−1,11−2の共振特性を合成したものが本補償部11Aの遅延特性となるが、ここでは、上記の制御信号に応じて、例えば図24に模式的に示すように各等化器11−1,11−2がもつ上記共振特性の尖鋭度Qがそれぞれ変化することによって、信号帯域上で任意の傾斜形(正傾斜又は負傾斜の)遅延特性を作り出すことができるようになっている。
【0101】
このため、上記の等化器11−1,11−2は、それぞれ、例えば図25に示すように、コイルL1,L2,コンデンサC1〜C5及び抵抗R1〜R3を用いたLCR回路として構成されており、ここでは、制御部14Aからの上記制御信号に応じて抵抗可変型のPINダイオード11−4及び11−5の抵抗値が変化することによって上記の尖鋭度Qが変化するようになっている。
【0102】
上述のごとく構成された1次傾斜遅延補償部11Aでは、制御部14Aからの制御信号(傾斜検出信号)に応じて等化器11−1,11−2の上記尖鋭度Qが変化することによって、制御部14Aで前述のごとく検出された傾斜形の遅延歪みを相殺しうる逆特性共振(遅延)特性が作り出され、これにより、入力信号の遅延歪み(遅延特性)が等化されて補償される。ただし、零傾斜の場合は各等化器11−1,11−2で同じ尖鋭度Qの共振特性が合成されることによって、本補償部11Aの共振特性はフラットになり入力信号の等化は行なわれない。
【0103】
つまり、上述した第1実施形態の自動遅延等化器(自動遅延等化方法)は、制御部14Aによる入力信号の遅延特性(遅延歪み)の傾斜情報(正傾斜,負傾斜)を検出する検出ステップと、この検出ステップで検出された入力信号の遅延特性の傾斜情報に基づいて入力信号の遅延特性を1次傾斜遅延補償部11Aによって補償する補償ステップとを有しているのである。
【0104】
従って、本第1実施形態の自動遅延等化器(自動遅延等化方法)によれば、実際の伝送路32(図9参照)において変動する遅延歪み量をリアルタイムに検出して、その遅延歪みを自動的に等化・補償することができるので、伝送路32の状態(遅延特性)に関わらず、常に、入力信号を精度良く復調することができ、信号の復調精度を大幅に向上することができる。
【0105】
また、上述した実施形態では、上昇/下降識別部141によりディジタル復調信号Iの動く方向を判別するとともに、回転方向識別部142によりディジタル復調信号Qの誤差電圧±Eを検出し、これらの信号Iの動く方向と信号Qの誤差電圧±Eとの相関に基づき、入力信号の遅延歪みの傾斜情報を検出して、その検出信号を1次傾斜遅延補償部11A用の制御信号として出力するので、遅延歪みの検出系(制御部14A)をディジタル回路で実現することができる。従って、本自動遅延等化器の回路規模やコストを大幅に削減できるとともに、その補償能力も大幅に向上する。
【0106】
さらに、上述した第1実施形態では、1次傾斜遅延補償部11Aにそれぞれ異なる(可変)共振特性をもった等化器11−1,11−2を設ける(カスケード接続する)ことで、任意の傾斜形特性を作り出して、入力信号の遅延特性をその傾斜遅延特性に応じて補償するので、簡素な構成で、本補償部11Aが実現されており、これにより、本自動遅延等化器のさらなる小型化に大いに寄与している。
【0107】
また、本第1実施形態の上昇/下降識別部141では、各レジスタ141−1,141−2(図19参照)により信号Iをデータクロック周期Tでサンプリングして、各コンパレータ141−3,141−4で各データIB0,IB1,IB2を比較することにより、信号Iの動く方向を判定するので、この回路をディジタル回路を実現することができる。従って、その回路規模やコストを大幅に削減することができるとともに、より精度高く、ディジタル復調信号Iの動く方向を判定することができる。
【0108】
さらに、この上昇/下降識別部141は、ディジタル復調信号Iをデータクロック周期Tの1/Nの周期T/Nでサンプリングすることによっても、この信号Iの動く方向を判定できるので、例えば、どのような変調方式(例えば、4相PSKなど)で変調を施された信号でも、そのディジタル復調信号Iの動く方向を判定でき、これにより、本自動遅延等化器の汎用性も大幅に向上する。
【0109】
また、本第1実施形態では、1次傾斜遅延補償部11Aを復調器13の前段に設けることで、復調器13の前段(IF帯)において、IF信号の遅延歪みを補償しているので、復調器13の後段(ベースバンド帯)で入力信号の復調後に補償を行なう場合に比べて、より簡素な構成で、1次傾斜遅延補償部11Aを実現することができており、これにより、本自動遅延等化器のさらなる小型化に大いに寄与している。
【0110】
なお、上述した第1実施形態では、信号の動く方向をディジタル復調信号Iから判定し、誤差電圧(誤差情報)±Eをディジタル復調信号Qから検出しているが、逆に、信号の動く方向をディジタル復調信号Qから判定し、誤差電圧±Eをディジタル復調信号Iから検出するようにしても、同様に、入力信号の遅延歪みの傾斜を検出することができる。
【0111】
(A′)自動遅延等化器の第1実施形態の変形例の説明
図26は上述した第1実施形態の自動遅延等化器の変形例を示すブロック図であるが、この図26に示す自動遅延等化器も、それぞれ図5に示すものと同様のアンテナ9,受信部10,1次傾斜遅延補償部11A,自動利得制御部(AGC)12及び復調器13をそなえるほか、制御部14Bをそなえて構成されている。
【0112】
ここで、制御部14Bは、復調器13を通じて得られるディジタル復調信号I,Qのみから入力信号の遅延歪みを検出して〔第1実施形態では、ディジタル復調信号I,Q及び等化後信号QTRE (ITRE )から検出していた〕、1次傾斜遅延補償部11A用の制御信号を生成して出力するもので、図26に示すように、上昇/下降識別部145,誤差ビット検出部146,デコーダ(DEC)147及び積分器148をそなえて構成されている。
【0113】
そして、上昇/下降識別部145は、第1実施形態にて上述した上昇/下降識別部141(図19参照)と同様の構成を有し、復調器13で得られたディジタル信号I,Qのうち一方の信号Iをデータクロック周期Tでサンプリングして比較することにより、この信号Iの動く方向を判定するものであり、誤差ビット検出部(誤差情報検出部)146は、ディジタル復調信号Qのデータの一部(誤差ビット)のみから、信号Iに対する直交干渉成分である誤差電圧(誤差情報)±Eを検出するものである。
【0114】
また、デコーダ147は、上昇/下降識別部145で得られた判定結果と誤差ビット検出部146で得られた誤差情報±Eとの相関に基づいて1次傾斜遅延補償部11Aが有する傾斜遅延特性を制御する制御信号を生成するものであり、積分器148は、このデコーダ147で得られた制御信号を積分することにより平均化して、この制御信号に含まれる雑音成分などを除去してから1次傾斜遅延補償部11Aへ出力するものである。
【0115】
なお、この場合も、上昇/下降識別部145は、第1実施形態と同様に、データクロックの1/Nの周期T/N(Nは2以上の整数)でディジタル復調信号Iをサンプリングして、ディジタル復調信号Iの動く方向を判定するようにしてもよい。
上述のごとく構成された制御部14Bでは、上昇/下降識別部145によりディジタル復調信号Iの動く方向が判定され、誤差ビット検出部146によりディジタル復調信号Qのデータの一部(誤差ビット)のみから誤差情報±Eが検出され、これらの信号Iの動く方向と信号Qによる誤差情報±Eとの相関から、入力信号の遅延歪みの傾斜情報(正傾斜,負傾斜)が検出される。
【0116】
つまり、本変形例における自動遅延等化器では、ディジタル復調信号Qの誤差情報±Eを、第1実施形態にて前述したように復調器13で得られたディジタル信号Qとこのディジタル信号Qをトランスバーサル等化器16で等化した等化後信号QTRE との差を演算することにより検出するのではなく、復調器13で得られたディジタル復調信号Qのデータの一部(誤差ビット)のみから検出するのである。
【0117】
そして、この検出信号は、デコーダ147で遅延歪みの傾斜情報に応じた信号に変換されることにより、1次傾斜遅延補償部11A用の制御信号が生成されて、積分器148を通じて1次傾斜遅延補償部11Aへ出力される。これにより、1次傾斜遅延補償部11Aでは、図22〜図25により前述したように、上記の制御信号に応じて各等化器11−1,11−2の特性(尖鋭度Q)が変化して、遅延歪みの傾斜とは逆特性の傾斜をもった傾斜形遅延特性を有するようになり、この結果、入力信号の遅延歪みが等化されて補償される。
【0118】
以上のように、本第1実施形態の変形例における自動遅延等化器によれば、ディジタル信号Qの誤差情報±Eを、誤差ビット検出部146によってディジタル復調信号Qのデータの一部(誤差ビット)のみから検出できるので、第1実施形態にて前述した自動遅延等化器と同様の作用効果が得られるほか、その回路規模やコストをさらに低減することができている。
【0119】
なお、本変形例でも、信号の動く方向をディジタル復調信号Iから判定し、誤差情報±Eをディジタル復調信号Qから検出しているが、逆に、信号の動く方向をディジタル復調信号Qから判定し、誤差情報±Eをディジタル復調信号Iから検出するようにしてもよい。
【0120】
(B)自動遅延等化器の第2実施形態の説明
図27は本発明の自動遅延等化器の第2実施形態を示すブロック図であるが、この図27に示す等化器は、図5により前述したものとそれぞれ同様のアンテナ9,受信部10,1次傾斜遅延補償部11A,自動利得制御部(AGC)12,復調器13及びトランスバーサル等化器15,16をそなえるほか、制御部14Cをそなえて構成されている。なお、この場合も、1次傾斜遅延補償部11Aは復調器13の前段に設けられている。
【0121】
ここで、制御部14Cは、第1実施形態にて前述した制御部14Aと同様に、復調器13を通じて得られるIF信号(入力信号)についてのディジタル復調信号I,Qと各ディジタル復調信号I,Qをさらにトランスバーサル等化器15,16で処理した各等化後信号ITRE ,QTRE からIF信号の遅延歪みの特性(傾斜情報)を検出して、1次傾斜遅延補償部11用の制御信号を出力するものであるが、この場合は、信号の動く方向と誤差電圧(誤差情報)±Eとを各ディジタル復調信号I,Qのそれぞれから検出するようになっている。
【0122】
即ち、この制御部14Cは、ディジタル復調信号I,Qのうちの一方の信号Iの動く方向(信号Iの値の変化の方向)を判定し、この信号Iに対し直交する他方のディジタル復調信号Qから誤差情報±Eを検出し、この誤差情報±Eと一方の信号Iの動く方向との相関に基づいて、入力信号の遅延歪みの傾斜に応じた検出信号(第1相関信号)を得るとともに、他方の信号Qの動く方向を判定し、この信号Qに対し直交する信号Iから誤差情報±Eを検出し、この誤差情報±Eと信号Qの動く方向との相関に基づいて、同様に遅延歪みの傾斜に応じた検出信号(第2相関信号)を得、さらに、これらの各検出信号から1次傾斜遅延補償部11A用の制御信号を生成して出力するように構成される。
【0123】
このため、制御部14Cは、図27に示すように、図19に示した上昇/下降識別部141,回転方向識別部142及び積分器143とそれぞれ同様の上昇/下降識別部141A,141B,回転方向識別部142A,142B及び積分器143A,143Bをそなえるほか、ORゲート(論理和演算素子)144をそなえて構成されている。
【0124】
ここで、上昇/下降識別部(第1信号方向判定部)141Aは、復調器13で得られたディジタル復調信号I,Qのうちの一方の信号Iの動く方向を判定するものであり、回転方向識別部142Aは、この信号Iに対し直交するディジタル復調信号I,Qのうちの他方の信号Qから信号Iに対する直交干渉成分となる誤差情報±Eを検出し、この信号Qによる誤差情報±Eと上昇/下降識別部141Aで得られた信号Iの動く方向との相関に基づいて、第1相関信号を出力するものであり、積分器143Aは、回転方向識別部142Aで得られた第1相関信号を積分するものである。
【0125】
これに対し、上昇/下降識別部(第2信号方向判定部)141Bは、復調器13を通じて得られたディジタル信号I,Qのうちの他方の信号Qの動く方向を判定するものであり、回転方向識別部142Bは、ディジタル復調信号I,Qのうちの一方の信号Iから信号Qに対する直交干渉成分となる誤差情報±Eを検出し、この信号Iによる誤差情報±Eと上昇/下降識別部141Bで得られたディジタル復調信号Qの動く方向との相関から第2相関信号を出力するものであり、積分器143Bは、回転方向識別部142Bで得られた第2相関信号を積分するものである。
【0126】
そして、ORゲート(制御信号生成部)144は、各積分器143A,143Bの出力に対して論理和演算を施すことによって1次傾斜遅延補償部11A用の制御信号を生成して出力するものである。
なお、各回転方向識別部142A,142Bは、それぞれ図5に示す回転方向識別部142と同様のもので、図20に示すように、減算器(SUB)142A−1,142B−1及びデコーダ(DEC)142A−2,142B−2を有して構成されている。
【0127】
このような構成により、この図27に示す自動遅延等化器でも、1次傾斜遅延補償部11Aの傾斜遅延特性が制御部14Cからの制御信号に応じて制御されることによって、IF信号の遅延歪みが等化・補償される。以下、この動作について詳述する。
まず、制御部14Cでは、図5に示す制御部14Aと同様に、上昇/下降識別部141Aにおいて、ディジタル復調信号I,Qのうちの一方の信号Iをデータクロック周期Tでサンプリングすることにより、この信号Iの動く方向が判定され、この一方の信号Iに対し直交するディジタル復調信号I,Qのうちの他方の信号Qから信号Iに対する直交干渉成分である誤差情報±Eが回転方向識別部142Aで検出される。
【0128】
具体的に、この回転方向識別部142Aでは、ディジタル復調信号Qとこのディジタル復調信号Qをさらにトランスバーサル等化器16で等化した等化後信号QTRE との差が減算器142A−1で演算されることによりディジタル復調信号Qによる誤差情報±Eが検出される。
そして、これらの信号Qによる誤差情報±Eと信号Iの動く方向との相関に基づいて入力信号の遅延歪みの傾斜情報が検出され、この傾斜情報に応じて、デコーダ142A−2から第1相関信号が出力される。
【0129】
一方、このとき、信号方向判定部141Bでは、ディジタル復調信号I,Qのうちの他方のディジタル復調信号Qをデータクロック周期Tでサンプリングすることにより、この信号Qの動く方向が判定され、このディジタル復調信号Qに対し直交するディジタル復調信号Iから信号Qに対する直交干渉成分である誤差情報±Eが回転方向識別部142Bで検出される。
【0130】
具体的に、この回転方向識別部142Bでは、ディジタル復調信号Iとこのディジタル復調信号Iをさらにトランスバーサル等化器15で等化した等化後信号QTRE との差が減算器142B−1で演算されることによりディジタル復調信号Iによる誤差情報±Eが検出される。
そして、これらの信号Iによる誤差情報±Eと信号Qの動く方向との相関に基づいて入力信号の遅延歪みの傾斜情報が検出され、この遅延歪みの傾斜情報に応じて、デコーダ142B−2から第2相関信号が出力される。
【0131】
さらに、上述のごとく得られた各相関信号は、各積分器143A,143Bでそれぞれ積分され、ORゲート144で論理和演算が施されることにより、入力信号の遅延歪みの傾斜情報に応じた1次傾斜遅延補償部11A用の制御信号が1次傾斜遅延補償部11Aへ出力される。
これにより、1次傾斜遅延補償部11Aでは、この制御信号に応じて第1実施形態と同様にして、IF信号の遅延歪みが復調器13の前段で補償される。
【0132】
以上のように、本第2実施形態の自動遅延等化器によれば、IF信号の遅延歪みの特性(傾斜情報)を、信号Iの動く方向と信号Qによる誤差情報±Eとの相関に基づいて検出するだけでなく、信号Qの動く方向と信号Iによる誤差情報±Eとの相関にも基づいて検出するので、第1実施形態の自動遅延等化器に比して、1次傾斜遅延補償部11A用の制御信号の検出感度や精度を大幅に向上させることができる。従って、第1実施形態にて前述した自動遅延等化器と同様の効果が得られるほか、本自動遅延等化器の性能をさらに大幅に向上させることができる。
【0133】
なお、本第2実施形態でも、上述した第1実施形態と同様に、あらゆる変調方式で変調された送信信号の復調にも対応できるよう、上昇/下降識別部141Aでは、データクロックの1/N周期T/N(Nは2以上の整数)でディジタル復調信号Iをサンプリングし、上昇/下降識別部141Bでは、データクロックの1/N周期T/Nでディジタル復調信号Qをサンプリングすることより、それぞれディジタル復調信号I,Qの動く方向を判定することもできる。
【0134】
(B′)自動遅延等化器の第2実施形態の変形例の説明
図28は上述した第2実施形態の自動遅延等化器の変形例を示すブロック図であるが、この図28に示す自動遅延等化器も、図5に示すものとそれぞれ同様のアンテナ9,受信部10,1次傾斜遅延補償部11A,自動利得制御部(AGC)12及び復調器13をそなえるほか、制御部14Dをそなえて構成されている。
【0135】
そして、この制御部14Dは、ORゲート144,上昇/下降識別部145A,145B,誤差ビット識別部146A,146B,デコーダ(DEC)147A,147B及び積分器148A,148Bをそなえて構成されている。
つまり、この制御部14Dは、簡単に言えば、上記の制御部14C(図27参照)の回転方向識別部142Aが誤差ビット検出部(第1誤差情報検出部)146Aとデコーダ(第1相関演算部)147Aとで構成されるとともに、回転方向識別部142Bが誤差ビット検出部(第2誤差情報検出部)146Bとデコーダ(第2相関演算部)147Bとで構成されている。
【0136】
従って、この場合も、復調器13で得られたディジタル復調信号Iが、上昇/下降識別部145Aにおいてデータクロック周期Tでサンプリングされ比較されることにより、この信号Iの動く方向が判定され、ディジタル復調信号Qの誤差情報±Eが誤差ビット検出部147Aによりディジタル復調信号Qのデータの一部(誤差ビット)のみから検出される。
【0137】
そして、このようにして得られた信号Iの動く方向と信号Qの誤差情報±Eとの相関に基づき、デコーダ147Aから入力信号の遅延歪みの特性(傾斜情報)に応じた信号が第1相関信号として出力される。
一方、このとき、復調器13で得られたディジタル復調信号Qが、上昇/下降識別部145Bにおいてデータクロック周期Tでサンプリングされ比較されることにより、この信号Qの動く方向が判定され、さらに、ディジタル復調信号Iの誤差情報±Eが、誤差ビット検出部146Bにおいて、この信号Iのデータの一部(誤差ビット)のみから検出される。
【0138】
そして、このようにして得られたディジタル信号Qの動く方向とディジタル信号Iの誤差情報±Eとの相関に基づいて、デコーダ147Bから入力信号の1次傾斜歪みの特性に応じた信号が第2相関信号として出力される。
さらに、各デコーダ147A,147Bから出力された各相関信号は、それぞれ積分器148A,148Bで積分されて、ORゲート144で論理和演算が施されることにより、各ディジタル復調信号I,Qのいずれか一方にでも遅延歪みが検出されると、1次傾斜遅延補償部11A用の制御信号が1次傾斜遅延補償部11Aへ出力される。
【0139】
以降は、第1実施形態にて前述したように、1次傾斜遅延補償部11Aによって、入力信号の遅延歪みが復調器13の前段において補償される。
以上のように、第2実施形態の変形例の自動遅延等化器によれば、ディジタル信号Q(又は、I)の誤差情報±Eを、ディジタル信号Q(又は、I)のデータの一部(誤差ビット)のみから検出できるので、第2実施形態にて前述した自動遅延等化器と同様の効果が得られるほか、さらに、その回路規模やコストを低減できるという効果が得られる。
【0140】
なお、本変形例においても、上昇/下降識別部141Aは、データクロックの1/Nの周期T/N(Nは2以上の整数)でディジタル復調信号Iをサンプリングし、上昇/下降識別部141Bは、データクロックの1/Nの周期T/Nでディジタル復調信号Qをサンプリングするようにしてもよい。
(C)自動遅延・振幅等化器の第1実施形態の説明
図29は本発明の自動遅延・振幅等化器の第1実施形態を示すブロック図であるが、この図29に示す自動遅延・振幅等化器は、図5に示すものとそれぞれ同様のアンテナ9,受信部10,1次傾斜遅延補償部11A,自動利得制御部(AGC)12,復調器13及びトランスバーサル等化器15,16をそなえるほか、1次傾斜遅延補償部11Aの後段に1次傾斜振幅補償部11Bが設けられるとともに、制御部14Eをそなえて構成されている。
【0141】
ここで、1次傾斜振幅補償部(傾斜形振幅等化部)11Bは、周波数領域において1次傾斜振幅特性を有し、IF信号(入力信号)の振幅特性(後述する1次傾斜形の振幅歪み)を、その1次傾斜振幅特性に応じて補償するもので、本実施形態では、例えば図30に示すように、ハイブリッド(H)111,正傾斜振幅等化部112,負傾斜振幅等化部114,可変減衰器115,117及び反転ゲート118をそなえて構成されている。
【0142】
そして、この1次傾斜振幅補償部11Bは、正傾斜振幅等化部112がもつ正傾斜の振幅特性と負傾斜振幅等化部114がもつ負傾斜の振幅特性との合成比が制御部14Dからの制御信号に応じて可変減衰器115,117によって変化することによって、任意の傾斜の振幅特性を作り出せるようになっており、この振幅特性によって、入力信号の任意の傾斜の振幅歪みを相殺して補償することができるようになっている。
【0143】
また、制御部14Eは、復調器13を通じて得られるディジタル復調信号I,QからIF信号の1次傾斜歪みとして前述した遅延歪みと後述の振幅歪みとをそれぞれ検出し、各情報をそれぞれ1次傾斜遅延補償部11Aが有する傾斜遅延特性を制御するための制御信号及び1次傾斜振幅補償部11Bが有する1次傾斜振幅特性を制御するための制御信号として出力するものである。
【0144】
ここで、以下、上記のIF信号の振幅歪みを検出する原理について、図9,図31〜図33を用いて詳述する。
まず、図9により前述したように、送信信号をcosωB tとして、このcosωB tを変調部31で変調したときの変調信号A(ω)〔前記の式(2)参照〕に含まれる2つの周波数成分(ωC + ωB ),(ωC - ωB )の振幅を、それぞれP(ωC + ωB ),P(ωC - ωB )で表し、これらの振幅比をγとすれば、
γ=P(ωC + ωB )/P(ωC - ωB )・・(7)
となる。ここで、この振幅比γは、γ<1の場合は、図32(a)に示すように負傾斜歪み(右下がり)を意味し、γ>1の場合は、図32(b)に示すように正傾斜(右上がり)をそれぞれ意味する。なお、γ=1(図示略)の場合は零傾斜歪み(歪みなし)を意味する。
【0145】
そして、この振幅比γを用いると、1次傾斜歪(振幅歪)伝送路32′(図9参照)により振幅歪みを受けた変調信号B(ω) ′は、次式(8)に示すように表現できる。
さらに、この変調信号B(ω) ′を復調部33で復調すると、その復調信号C(ω) ′は、次式(9)に示すようになる。
【0146】
このとき、実際には、復調部33で変調信号B(ω)′に対して直交検波が施されているので、直交復調出力(復調信号)I,Qとして、
I=〔(1 +γ)cosωB t 〕/2・・(10)
Q=〔(1 -γ)sinωB t〕/2・・(11)
が得られる。
【0147】
ここで、γ=1の場合は(振幅歪みがない場合は)、I=cos ωB t ,Q=0となり、送信信号(cos ωB t )そのものが復調されるが、γ>1又はγ<1の場合は、Qが「0」とはならないので、復調信号Iの振幅の増減に応じて「0」を中心に復調信号Qの振幅成分が現れることになる。すなわち、γ>1又はγ<1の場合は、復調信号Qによる直交干渉成分が生じることがわかる。
【0148】
図31は、上記の式(10),式(11)で表されるディジタル復調信号I,Qを、直交座標I−Q上にベクトル表現したもので、この図31に示すように、信号Iのベクトルは、I軸上を(1+γ)/2の振幅でcosωB tに従って動き、信号Qのベクトルは、Q軸上を(1−γ)/2の振幅でsinωB tに従って動くので、信号I,Qの合成ベクトルは、(1+γ)>(1−γ)が常に成り立つことから、I軸を長軸とする楕円を描くことになる。
【0149】
ここで、γ>1の場合(振幅歪みが正傾斜の場合)、ディジタル復調信号I,Qは、それぞれI=cosωB t,Q=−sinωB tという形になるので、これらの信号I,Qの合成ベクトルは、図31において左回りに回転し、この結果、Q軸上に信号Qによる誤差電圧(誤差情報)−Eが生じる。
逆に、γ<1の場合(振幅歪みが負傾斜の場合)、信号I,Qは、それぞれI=cosωB t,Q=sinωB tという形になるので、信号I,Qの合成ベクトルは、今度は図31において右回りに回転し、Q軸上に誤差電圧+Eが生じる。なお、γ=1の場合は(振幅歪みがない場合は)、式(11)においてQ=0であるので、信号I,Qの合成ベクトルは、I軸上に存在する。
【0150】
以上の信号I,Qの合成ベクトルの回転方向,信号Iの動き(信号Iの値の変化の方向),信号Qの誤差電圧E及び1次傾斜歪み(γ)の対応関係(相関)をまとめると、次表3に示すようになる。
【0151】
【表3】
【0152】
そして、この表3から分かるように、信号I,Qの合成ベクトルが、図31において左回りの場合は、正傾斜の振幅歪みとなるので、信号Iが図31の紙面下向き↓(+→−)に変化したときに信号Qの誤差電圧が−Eとなる場合、あるいは、信号Iが図31の紙面上向き↑(−→+)に変化したときに信号Qの誤差電圧が+Eとなる場合を検出すれば、入力信号の1次傾斜歪みが正傾斜であることを検出できる。
【0153】
一方、信号I,Qの合成ベクトルが図31において右回りの場合は、振幅歪みは負傾斜となるので、信号Iが図31の紙面下向き↓(+→−)に変化したときに信号Qの誤差電圧が+Eとなる場合、あるいは信号Iが図31の紙面上向き↑(−→+)に変化したときに信号Qの誤差電圧が−Eとなる場合を検出すれば、入力信号の振幅歪みが負傾斜であることを検出できる。
【0154】
なお、入力信号の振幅歪みが零傾斜(γ=1の場合)であることは、復調信号Qの誤差電圧±Eが「0」、即ち、誤差電圧±Eが検出されないことで検出できる。ただし、この場合は、信号Iの動きには関知しなくてもよい。
また、図33は上記の変調信号A(ω)が、A(ω)=cosωB tではなく、PSK(Phase Shift Keying)あるいはQAM(Quadrature Amplitude Modulation) などの変調を施された信号であった場合のI軸の受信アイパターンを示す図であるが、この場合でも、受信変調信号B(ω)′に振幅歪み(1次以上でもよい)が含まれていれば、復調信号Iが上あるいは下方向に動くときに、復調信号Qに直交干渉成分の誤差電圧±Eが現れるので、上述のように、信号Iの動きを検出し、且つ、信号Qによる誤差電圧±Eを検出すれば、振幅歪みの傾斜特性を有効に検出することができる。
【0155】
つまり、上記の表3と第1実施形態で示した表1とを比べれば分かるように、振幅歪みの傾斜情報(正傾斜,負傾斜)は、前記の遅延歪みの傾斜情報の検出手法と全く同一の手法で検出することができるのである。従って、振幅歪みの検出系と遅延歪みの検出系とは、振幅歪み補償時の時定数と遅延歪み補償時の時定数とが異なることさえ考慮すれば、共用化することができる。
【0156】
そこで、本実施形態の制御部14Eは、入力信号についてのディジタル復調信号I,Qのうちの一方の信号Iの値の変化の方向を判定するとともに、この一方の信号Iに対し直交する他方の信号Qから誤差情報±Eを検出し、この誤差情報±Eと信号Iの値の変化の方向との相関に基づき1次傾斜遅延補償部11A用の制御信号及び1次傾斜振幅補償部11B用の制御信号をそれぞれ出力するように構成される。
【0157】
即ち、この制御部14Eは、図29に示すように、図5に示すものと同様の上昇/下降識別部141と回転方向識別部142と積分器143とをそなえるほか、積分器143の時定数(例えば、Bとする)とは異なる時定数(例えば、Aとする)をもった積分器143′をそなえて構成されている。ただし、上記の各時定数A,Bはそれぞれが相互に大きく離れた値となるように設定される(A≪BもしくはA≫B)。
【0158】
ここで、上昇/下降識別部(信号方向判定部)141は、この場合も、復調器13を通じて得られたディジタル復調信号I,Qのうちの一方の信号Iの動く方向、即ち、ディジタル復調信号Iの値が前述したようにI軸上で上方向(↑),下方向(↓)のどちらに移動(変化)しているかを判定するもので、信号Iをデータクロック周期Tでサンプリングすることにより、この信号Iの動く方向を判定するようになっている。
【0159】
また、回転方向識別部(誤差情報検出部,相関演算部)142は、同じく復調器13で得られたディジタル復調信号Qと、このディジタル復調信号Qをさらにトランスバーサル等化器16(図5参照)で等化した後の等化後信号QTRE とから、ディジタル復調信号Iに対する誤差電圧(誤差情報)±Eを検出し、この誤差電圧±Eと上昇/下降識別部141で得られた信号Iの動く方向との相関(表1参照)に基づいて、受信信号の振幅歪み(正/負傾斜形歪み)を検出するもので、この場合も、トランスバーサル等化器16による等化前のディジタル復調信号Qと、等化後の等化後信号QTRE との差を演算することにより、誤差電圧±Eを検出する差演算部として構成されている。
【0160】
さらに、積分器143は、この回転方向識別部142で得られた遅延歪みの検出信号を時定数Bで積分することにより、この信号に含まれる雑音成分などを除去して、1次傾斜遅延補償部11A用の制御信号として出力するものであり、積分器143′は、同じく回転方向識別部142で得られた遅延歪みの検出信号を時定数Aで積分することにより、この信号に含まれる雑音成分などを除去して、1次傾斜振幅補償部11B用の制御信号として出力するものである。
【0161】
これにより、この制御部14Eでは、上昇/下降識別部141においてディジタル復調信号Iの動く方向(信号の値の変化の方向)が判定され、回転方向識別部142においてディジタル復調信号Qの誤差電圧±Eが検出され、これらのディジタル復調信号Iの動く方向と、ディジタル復調信号Qの誤差電圧±EとからIF信号の遅延歪み及び振幅歪みの傾斜情報が検出されて、各補償部11A,11B用の制御信号が各積分器143,143′により生成される。
【0162】
そして、1次傾斜遅延補償部11Aでは、この制御部14Eからの制御信号に応じて自己の有する傾斜遅延特性(等化器11−1,11−2の各特性の合成比)が制御されて、IF信号の遅延歪みを補償し、1次傾斜振幅補償部11Bでは、制御部14Eからの制御信号に応じて自己の有する傾斜振幅特性(等化部112,114の各特性の合成比)が制御されて、IF信号の振幅歪みを補償する。
【0163】
つまり、上述した自動遅延・振幅等化器(自動遅延・振幅等化方法)は、制御部14Eによる入力信号の線形歪み特性の傾斜情報を検出する検出ステップと、この検出ステップで検出された線形歪み特性の傾斜情報に基づいて入力信号の遅延特性及び振幅特性を各補償部11A,11Bによってそれぞれ補償する補償ステップとを有しているのである。
【0164】
従って、上記の自動遅延・振幅等化器によれば、伝送路32(図9参照)の遅延歪みだけでなく振幅歪みをもリアルタイムに検出して各歪みをそれぞれ自動的に等化・補償することができるので、前述したように遅延歪みだけを補償する場合に比べて、信号の復調精度をさらに大幅に向上することができる。
また、上述した実施形態では、制御部14E(遅延歪みの検出系と振幅歪みの検出系と)が各補償部11A,11Bに対して共通となっている(共用化されている)ので、上記の各検出系毎に個別に制御部を設ける場合に比して、大幅に装置規模を小型化することができている。
【0165】
さらに、上述した制御部14Eでも、ディジタル復調信号Iの動く方向とディジタル復調信号Qの誤差電圧±Eとの相関に基づき、入力信号の遅延歪み及び振幅歪みの傾斜情報を検出して補償部11A用の制御信号及び補償部11B用の制御信号を生成して出力しているので、遅延歪み及び振幅歪みの検出系(制御部14E)をディジタル回路で実現することができる。従って、本自動遅延・振幅等化器の回路規模やコストを大幅に削減できるとともに、その補償能力も大幅に向上する。
【0166】
また、上述した実施形態では、1次傾斜振幅補償部11Bを図30に示すような構成にすることで、任意の傾斜形特性を作り出して入力信号の振幅特性をその傾斜振幅特性に応じて補償することができるようになっているので、1次傾斜遅延補償部11Aと共に、簡素な構成で、この補償部11Bが実現されており、本自動遅延・振幅等化器のさらなる小型化に大いに寄与している。
【0167】
さらに、本実施形態の上昇/下降識別部141でも、各レジスタ141−1,141−2(図19参照)により信号Iをデータクロック周期Tでサンプリングして、各コンパレータ141−3,141−4で各データIB0,IB1,IB2を比較することにより、信号Iの動く方向を判定するので、この回路をディジタル回路を実現することができる。従って、その回路規模やコストを大幅に削減することができるとともに、より精度高く、ディジタル復調信号Iの動く方向を判定することができる。
【0168】
なお、この上昇/下降識別部141も、ディジタル復調信号Iをデータクロック周期Tの1/Nの周期T/Nでサンプリングすることによっても、この信号Iの動く方向を判定できるので、例えば、どのような変調方式(例えば、4相PSKなど)で変調を施された信号でも、そのディジタル復調信号Iの動く方向を判定でき、これにより、本自動遅延・振幅等化器の汎用性も大幅に向上する。
【0169】
また、本実施形態では、1次傾斜遅延補償部11A及び1次傾斜振幅補償部11Bをそれぞれ復調器13の前段に設けることで、復調器13の前段(IF帯)において、IF信号の遅延歪み及び振幅歪みを補償しているので、復調器13の後段(ベースバンド帯)で入力信号の復調後に補償を行なう場合に比べて、より簡素な構成で、各補償部11A,11Bを実現することができており、これにより、本自動遅延・振幅等化器のさらなる小型化に大いに寄与している。
【0170】
なお、これらの各補償部11A,11Bの配置順は不問である(補償部11Bを補償部11Aに前段に設けてもよい)。また、上述した実施形態では、信号の動く方向をディジタル復調信号Iから判定し、誤差電圧(誤差情報)±Eをディジタル復調信号Qから検出しているが、本実施形態でも、逆に、信号の動く方向をディジタル復調信号Qから判定し、誤差電圧±Eをディジタル復調信号Iから検出するようにしても、同様の作用効果が得られる。
【0171】
(C′)自動遅延・振幅等化器の第1実施形態の変形例の説明
図34は上述した第1実施形態の自動遅延・振幅等化器の変形例を示すブロック図であるが、この図34に示す自動遅延・振幅等化器は、図29に示すものに比して、制御部14Eに代えて制御部14Fをそなえている点が異なる。
ここで、制御部14Fは、復調器13を通じて得られるディジタル復調信号I,Qのみから入力信号の遅延歪みを検出して〔制御部14Eでは、ディジタル復調信号I,Q及び等化後信号QTRE (ITRE )から検出していた〕、1次傾斜遅延補償部11A用の制御信号及び1次傾斜振幅補償部11B用の制御信号をそれぞれ生成して出力するもので、この図34に示すように、上昇/下降識別部145,誤差ビット検出部146,デコーダ(DEC)147,積分器(時定数B)148,積分器(時定数A)148′をそなえて構成されている。
【0172】
そして、上昇/下降識別部145は、図19により前述した上昇/下降識別部141と同様の構成を有し、復調器13で得られたディジタル信号I,Qのうち一方の信号Iをデータクロック周期Tでサンプリングして比較することにより、この信号Iの動く方向を判定するものであり、誤差ビット検出部(誤差情報検出部)146は、ディジタル復調信号Qのデータの一部(誤差ビット)のみから、信号Iに対する直交干渉成分である誤差電圧(誤差情報)±Eを検出するものである。
【0173】
また、デコーダ147は、上昇/下降識別部145で得られた判定結果と誤差ビット検出部146で得られた誤差情報±Eとの相関に基づいて1次傾斜遅延補償部11Aが有する傾斜遅延特性を制御する制御信号を生成するものであり、積分器148は、このデコーダ147で得られた制御信号を時定数Bで積分することにより平均化して、この制御信号に含まれる雑音成分などを除去してから1次傾斜遅延補償部11Aへ出力するものであり、積分器148′は、同様にデコーダ147で得られた制御信号を時定数Aで積分することにより、この制御信号を1次傾斜振幅補償部11Bへ出力するものである。
【0174】
なお、この場合も、上昇/下降識別部145は、第1実施形態と同様に、データクロックの1/Nの周期T/N(Nは2以上の整数)でディジタル復調信号Iをサンプリングして、ディジタル復調信号Iの動く方向を判定するようにしてもよい。
つまり、図34に示す自動遅延・振幅等化器は、遅延歪み及び振幅歪みの検出系として、図26に示す検出系(制御部14B)と同様のタイプの検出系を適用した構成になっているのである。
【0175】
上述のごとく構成された制御部14Bでは、上昇/下降識別部145によりディジタル復調信号Iの動く方向が判定され、誤差ビット検出部146によりディジタル復調信号Qのデータの一部(誤差ビット)のみから誤差情報±Eが検出され、これらの信号Iの動く方向と信号Qによる誤差情報±Eとの相関から、入力信号の遅延歪み及び振幅歪みの傾斜情報が検出される。
【0176】
即ち、本変形例の自動遅延・振幅等化器では、ディジタル復調信号Qの誤差情報±Eを、復調器13で得られたディジタル信号Qとこのディジタル信号Qをトランスバーサル等化器16で等化した等化後信号QTRE との差を演算することにより検出するのではなく、復調器13で得られたディジタル復調信号Qのデータの一部(誤差ビット)のみから検出するのである。
【0177】
そして、この検出信号は、デコーダ147で上記傾斜情報に応じた信号に変換され、各積分器148,148′を通じて各補償部11A,11B用の制御信号がそれぞれ生成されて、各補償部11A,11Bへ出力される。これにより、1次傾斜遅延補償部11Aでは、入力信号の遅延歪みが等化されて補償され、1次傾斜振幅補償部11Bでは、入力信号の振幅歪みが等化されて補償される。
【0178】
以上のように、本変形例の自動遅延・振幅等化器によれば、ディジタル信号Qの誤差情報±Eを、誤差ビット検出部146によってディジタル復調信号Qのデータの一部(誤差ビット)のみから検出できるので、図29により前述した自動遅延・振幅等化器と同様の作用効果が得られるほか、その回路規模やコストをさらに低減することができている。
【0179】
なお、この場合も、本変形例では、信号の動く方向をディジタル復調信号Iから判定し、誤差情報±Eをディジタル復調信号Qから検出しているが、逆に、信号の動く方向をディジタル復調信号Qから判定し、誤差情報±Eをディジタル復調信号Iから検出するようにしてもよい。
(D)自動遅延・振幅等化器の第2実施形態の説明
図35は自動遅延・振幅等化器の第2実施形態を示すブロック図であるが、この図35に示す自動遅延・振幅等化器は、図29に示すものに比して、制御部14Eに代えて制御部14Gをそなえて構成されている点が異なる。
【0180】
ここで、制御部14Gは、復調器13を通じて得られるIF信号(入力信号)についてのディジタル復調信号I,Qと各ディジタル復調信号I,Qをさらにトランスバーサル等化器15,16で処理した各等化後信号ITRE ,QTRE からIF信号の1次傾斜歪み(遅延歪み及び振幅歪み)の特性(傾斜情報)を検出して、1次傾斜遅延補償部11A用の制御信号及び1次傾斜振幅補償部11B用の制御信号をそれぞれ出力するものであるが、この場合は、信号の動く方向と誤差電圧(誤差情報)±Eとを各ディジタル復調信号I,Qのそれぞれから検出するようになっている。
【0181】
即ち、この制御部14Gは、ディジタル復調信号I,Qのうちの一方の信号Iの動く方向(信号Iの値の変化の方向)を判定し、この信号Iに対し直交する他方のディジタル復調信号Qから誤差情報±Eを検出し、この誤差情報±Eと一方の信号Iの動く方向との相関に基づいて、入力信号の1次傾斜歪みの傾斜に応じた検出信号(第1相関信号)を得るとともに、他方の信号Qの動く方向を判定し、この信号Qに対し直交する信号Iから誤差情報±Eを検出し、この誤差情報±Eと信号Qの動く方向との相関に基づいて、同様に1次傾斜歪みの傾斜に応じた検出信号(第2相関信号)を得、さらに、これらの各検出信号から補償部11A用の制御信号及び補償部11B用の制御信号をそれぞれ生成して出力するように構成される。
【0182】
このため、制御部14Gは、図35に示すように、図19及び図27に示すものとそれぞれ上昇/下降識別部141A,141B,回転方向識別部142A,142B,積分器143A,143B及びORゲート144をそなえるほか、積分器(時定数A)144A,積分器(時定数B)144Bをそなえて構成されている。
【0183】
ここで、上昇/下降識別部(第1信号方向判定部)141Aは、この場合も、復調器13で得られたディジタル復調信号I,Qのうちの一方の信号Iの動く方向を判定するものであり、回転方向識別部142Aは、この信号Iに対し直交するディジタル復調信号I,Qのうちの他方の信号Qから信号Iに対する直交干渉成分となる誤差情報±Eを検出し、この信号Qによる誤差情報±Eと上昇/下降識別部141Aで得られた信号Iの動く方向との相関に基づいて、第1相関信号を出力するものであり、積分器143Aは、回転方向識別部142Aで得られた第1相関信号を積分するものである。
【0184】
これに対し、上昇/下降識別部(第2信号方向判定部)141Bは、復調器13を通じて得られたディジタル信号I,Qのうちの他方の信号Qの動く方向を判定するものであり、回転方向識別部142Bは、ディジタル復調信号I,Qのうちの一方の信号Iから信号Qに対する直交干渉成分となる誤差情報±Eを検出し、この信号Iによる誤差情報±Eと上昇/下降識別部141Bで得られたディジタル復調信号Qの動く方向との相関から第2相関信号を出力するものであり、積分器143Bは、回転方向識別部142Bで得られた第2相関信号を積分するものである。
【0185】
そして、ORゲート144は、各積分器143A,143Bの出力に対して論理和演算を施すことによって1次傾斜遅延補償部11A及び1次傾斜振幅補償部11B用の制御信号を生成するものであり、積分器144Aは、このORゲート144で生成された制御信号を時定数Aで積分することにより、この信号に含まれる雑音成分などを除去して、1次傾斜振幅補償部11B用の制御信号として出力するものであり、積分器144Bは、同じくORゲート144で生成された制御信号を時定数Bで積分することにより、この信号に含まれる雑音成分などを除去して、1次傾斜遅延補償部11A用の制御信号として出力するものである。
【0186】
つまり、上記のORゲート144,積分器144A,144Bは、上記の各相関信号から1次傾斜遅延補償部11A用の制御信号及び1次傾斜振幅補償部11B用の制御信号をそれぞれ生成する制御信号生成部としての機能を果たしている。
なお、上記の各回転方向識別部142A,142Bは、それぞれ図5に示す回転方向識別部142と同様のもので、図20に示すように、減算器(SUB)142A−1,142B−1及びデコーダ(DEC)142A−2,142B−2を有して構成されている。
【0187】
つまり、図35に示す自動遅延・振幅等化器は、遅延歪み及び振幅歪みの検出系として、図27に示す検出系(制御部14C)と同様のタイプの検出系を適用した構成になっているのである。
このような構成により、この図35に示す自動遅延等化器でも、1次傾斜遅延補償部11Aの傾斜遅延特性が制御部14Gからの制御信号に応じて制御されることによって、IF信号の遅延歪みが等化・補償される。
【0188】
即ち、制御部14Gでは、上昇/下降識別部141Aにおいて、ディジタル復調信号I,Qのうちの一方の信号Iをデータクロック周期Tでサンプリングすることにより、この信号Iの動く方向が判定され、この一方の信号Iに対し直交するディジタル復調信号I,Qのうちの他方の信号Qから信号Iに対する直交干渉成分である誤差情報±Eが回転方向識別部142Aで検出される。
【0189】
具体的に、この回転方向識別部142Aでは、ディジタル復調信号Qとこのディジタル復調信号Qをさらにトランスバーサル等化器16で等化した等化後信号QTRE との差が減算器142A−1で演算されることによりディジタル復調信号Qによる誤差情報±Eが検出される。
そして、これらの信号Qによる誤差情報±Eと信号Iの動く方向との相関に基づいて入力信号の遅延歪みの傾斜情報が検出され、この傾斜情報に応じて、デコーダ142A−2から第1相関信号が出力される。
【0190】
一方、このとき、信号方向判定部141Bでは、ディジタル復調信号I,Qのうちの他方のディジタル復調信号Qをデータクロック周期Tでサンプリングすることにより、この信号Qの動く方向が判定され、このディジタル復調信号Qに対し直交するディジタル復調信号Iから信号Qに対する直交干渉成分である誤差情報±Eが回転方向識別部142Bで検出される。
【0191】
具体的に、この回転方向識別部142Bでは、ディジタル復調信号Iとこのディジタル復調信号Iをさらにトランスバーサル等化器15で等化した等化後信号QTRE との差が減算器142B−1で演算されることによりディジタル復調信号Iによる誤差情報±Eが検出される。
そして、これらの信号Iによる誤差情報±Eと信号Qの動く方向との相関に基づいて入力信号の遅延歪みの傾斜情報が検出され、この遅延歪みの傾斜情報に応じて、デコーダ142B−2から第2相関信号が出力される。
【0192】
さらに、上述のようにして得られた各相関信号は、各積分器143A,143Bでそれぞれ積分され、ORゲート144で論理和演算が施されることにより、入力信号の1次傾斜歪み(遅延歪み及び振幅歪み)の傾斜情報に応じた1次傾斜遅延補償部11A用の制御信号及び1次傾斜振幅補償部11B用の制御信号が積分器144B,144Aを通じてそれぞれ生成されて、対応する補償部11A,11Bへ出力される。
【0193】
これにより、1次傾斜遅延補償部11A,1次傾斜振幅補償部11Bでは、それぞれ、この制御信号に応じてIF信号の遅延歪み,振幅歪みを復調器13の前段で補償する。
以上のように、本第2実施形態の自動遅延・振幅等化器によれば、IF信号の1次傾斜歪みの特性(傾斜情報)を、信号Iの動く方向と信号Qによる誤差情報±Eとの相関に基づいて検出するだけでなく、信号Qの動く方向と信号Iによる誤差情報±Eとの相関にも基づいて検出するので、図29により前述した自動遅延・振幅等化器に比して、各補償部11A,11B用の制御信号の検出感度や精度を大幅に向上させることができる。従って、図29により前述した自動遅延・振幅等化器と同様の効果が得られるほか、その性能をさらに大幅に向上させることができる。
【0194】
なお、本第2実施形態の自動遅延・振幅等化器でも、あらゆる変調方式で変調された送信信号の復調にも対応できるよう、上昇/下降識別部141Aでは、データクロックの1/N周期T/N(Nは2以上の整数)でディジタル復調信号Iをサンプリングし、上昇/下降識別部141Bでは、データクロックの1/N周期T/Nでディジタル復調信号Qをサンプリングすることより、それぞれディジタル復調信号I,Qの動く方向を判定することもできる。
【0195】
(D′)自動遅延・振幅等化器の第2実施形態の変形例の説明
図36は上述した第2実施形態の自動遅延・振幅等化器の変形例を示すブロック図であるが、この図36に示す自動遅延・振幅等化器は、図35に示すものに比して、制御部14Gに代えて制御部14Hをそなえ、この制御部14Hが、図28に示すものとそれぞれ同様のRゲート144,上昇/下降識別部145A,145B,誤差ビット識別部146A,146B,デコーダ(DEC)147A,147B及び積分器148A,148Bをそなえるほか、上述した積分器(時定数A)144A,積分器(時定数B)144Bそなえて構成されている点が異なる。
【0196】
つまり、この制御部14Hは、簡単に言えば、上記の制御部14G(図35参照)の回転方向識別部142Aが誤差ビット検出部(第1誤差情報検出部)146Aとデコーダ(第1相関演算部)147Aとで構成されるとともに、回転方向識別部142Bが誤差ビット検出部(第2誤差情報検出部)146Bとデコーダ(第2相関演算部)147Bとで構成されている。
【0197】
従って、この場合も、復調器13で得られたディジタル復調信号Iが、上昇/下降識別部145Aにおいてデータクロック周期Tでサンプリングされ比較されることにより、この信号Iの動く方向が判定され、ディジタル復調信号Qの誤差情報±Eが誤差ビット検出部147Aによりディジタル復調信号Qのデータの一部(誤差ビット)のみから検出される。
【0198】
そして、このようにして得られた信号Iの動く方向と信号Qの誤差情報±Eとの相関に基づき、デコーダ147Aから入力信号の1次傾斜歪み(遅延歪み及び振幅歪み)の特性(傾斜情報)に応じた信号が第1相関信号として出力される。
一方、このとき、復調器13で得られたディジタル復調信号Qが、上昇/下降識別部145Bにおいてデータクロック周期Tでサンプリングされ比較されることにより、この信号Qの動く方向が判定され、さらに、ディジタル復調信号Iの誤差情報±Eが、誤差ビット検出部146Bにおいて、この信号Iのデータの一部(誤差ビット)のみから検出される。
【0199】
そして、このようにして得られたディジタル信号Qの動く方向とディジタル信号Iの誤差情報±Eとの相関に基づいて、デコーダ147Bから入力信号の1次傾斜歪みの特性に応じた信号が第2相関信号として出力される。
さらに、各デコーダ147A,147Bから出力された各相関信号は、それぞれ積分器148A,148Bで積分されて、ORゲート144で論理和演算が施されることにより、各ディジタル復調信号I,Qのいずれか一方にでも1次傾斜歪みが検出されると、1次傾斜遅延補償部11A用の制御信号及び1次傾斜振幅補償部11B用の制御信号が積分器144B,144Aを通じて生成され、それぞれが、対応する補償部11A,11Bへ出力される。
【0200】
これにより、1次傾斜遅延補償部11Aでは、入力信号の遅延歪みを復調器13の前段で補償し、1次傾斜振幅補償部11Bでは、入力信号の振幅歪みを復調器13の前段で補償する。
以上のように、本変形例の自動遅延・振幅等化器によれば、ディジタル信号Q(又は、I)の誤差情報±Eを、ディジタル信号Q(又は、I)のデータの一部(誤差ビット)のみから検出できるので、図35により上述した自動遅延・振幅等化器と同様の効果が得られるほか、さらに、その回路規模やコストを低減できるという効果が得られる。
【0201】
なお、本変形例においても、上昇/下降識別部141Aは、データクロックの1/Nの周期T/N(Nは2以上の整数)でディジタル復調信号Iをサンプリングし、上昇/下降識別部141Bは、データクロックの1/Nの周期T/Nでディジタル復調信号Qをサンプリングするようにしてもよい。
(E)その他
項目(C),(C′),(D)及び(D′)により上述した各自動遅延・振幅等化器は、いずれも、1次傾斜歪み(遅延歪み及び振幅歪み)の検出系(制御部14E〜14H)を各補償部11A及び11Bに対して共用化しているが、勿論、各補償部11A及び11B毎に個別に設けてもよい。例えば、既存の自動振幅等化器の検出系に、上述した自動遅延等化器の検出系(制御部14A〜14D)を付加すれば、既存の自動振幅等化器の信号復調精度を大幅に向上することができる。
【0202】
また、上述した自動遅延・振幅等化器では、1次傾斜振幅補償部11Bに周波数領域において傾斜形振幅特性をもたせて、周波数領域で入力信号の振幅歪みを等化(補償)するようにしているが、本発明はこれに限定されず、例えば、トランスバーサル等化器などの時間領域において傾斜形振幅特性を有する回路を用い、時間領域で入力信号の振幅歪みを等化するようにしてもよい。
【0203】
さらに、上述した自動遅延・振幅等化器では、1次傾斜振幅補償部11Bを、IF帯用のものとして復調器13の前段(IF帯)に設けているが、ベースバンド帯用のものとして復調器13の後段(ベースバンド帯)に設けてもよい。
また、上述した自動遅延・振幅等化器では、振幅歪みとして1次傾斜形の振幅歪みを例にして説明を行なったが、例えば、2次傾斜振幅歪みを検出する検出系と2次傾斜振幅歪みを等化しうる補償部とを設ければ、入力信号の2次傾斜振幅歪みをも補償することが可能になる。
【0204】
また、上述した実施形態では、いずれも、無線通信方式に本発明を適用した場合について説明したが、本発明はこれに限定されず、上記のディジタル復調信号I,Qが得られる通信方式であれば、無線通信方式,有線通信方式に関わらずどのような通信方式にも適用することができる。
そして、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【0205】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明の自動遅延等化器及び自動遅延等化方法によれば、入力信号の群遅延特性の傾斜情報を検出して、その群遅延特性の傾斜情報に基づいて入力信号の群遅延特性を補償するので、変動する遅延歪み量をリアルタイムに検出してその歪みを自動的に等化・補償することができ、これにより、信号の復調精度を大幅に向上することができる(請求項1)。
【0206】
また、本発明の自動遅延等化器によれば、上記の入力信号の群遅延特性を傾斜遅延特性に応じて補償するようにすれば、簡素な構成で、上記の群遅延特性を補償する傾斜形遅延等化部を実現することができるので、本等化器の小型化に大いに寄与する(請求項2)。
【0207】
さらに、本発明の自動遅延等化器によれば、ディジタル復調信号うちの一方の信号の値の変化の方向を判定するとともに、この一方の信号に対し直交するディジタル復調信号のうちの他方の信号から誤差情報を検出し、このようにして得られた上記一方の信号の値の変化の方向と誤差情報との相関に基づき傾斜形遅延等化用の制御信号を出力するようになっているので、遅延等化のための制御系(制御部)をディジタル回路で実現することができる。従って、本等化器の回路規模やコストを大幅に削減できるとともに、その補償精度も大幅に向上させることができる(請求項3)。
【0208】
ここで、上述の一方の信号の値の変化の方向を、データクロック周期でディジタル復調信号のうちの一方の信号をサンプリングすることによって判定するようにすれば、信号方向判定部をディジタル回路で実現することができるので、本等化器の回路規模やコストをさらに削減することができるとともに、その性能も大幅に向上させることができる(請求項4)。
【0209】
また、上述の一方の信号の値の変化の方向を、データクロックの1/N周期(Nは2以上の整数)でディジタル復調信号のうちの一方の信号をサンプリングすることによって判定するようにすれば、どのような復調方式で復調されたディジタル復調信号でも精度良く上記一方の信号の変化の方向を判定することができるので、本等化器の汎用性の向上にも大いに寄与する(請求項5)。
【0210】
さらに、上述の誤差情報については、上記の他方の信号の誤差ビットから検出するようにすれば、この他方の信号の誤差ビットのみから誤差情報を検出することができるので、本等化器の回路規模やコストを大幅に削減することができる(請求項6)。
また、上記の誤差情報は、入力信号についてのディジタル復調信号のうちの他方の信号と、この他方の信号を更にトランスバーサル等化器で処理した等化後信号との差を演算することによって検出するようにしてもよく、これにより、上記の他方の信号から得られる誤差情報がより正確になるので、本等化器の精度や性能をさらに大幅に向上させることができる(請求項7)。
【0211】
さらに、上述した自動遅延等化器は、傾斜形遅延等化部を復調器の前段に設けて、入力信号の復調前にその入力信号の群遅延特性を補償するようにすれば、復調後に補償を行なう場合に比べて、より簡素な構成で、傾斜形遅延等化部を実現することができるので、本等化器のさらなる小型化に大いに寄与する(請求項8)。
【0212】
さらに、本発明の自動遅延等化器によれば、ディジタル復調信号の両方について、信号の値の変化の方向と誤差情報とを検出し、それぞれの相関関係に基づいて遅延特性補償用の制御信号を生成するので、上述した本発明の自動遅延等化器に比べて、上記制御信号の検出感度や精度を大幅に向上させることができ、これにより、自動遅延等化器の精度をさらに大幅に向上させることができる(請求項9)。
【0213】
また、この場合も、遅延等化のための制御系(制御部)をディジタル回路で実現することができるので、本等化器の回路規模やコストを大幅に削減できるとともに、その補償精度も大幅に向上させることができる(請求項11)。
【0214】
さらに、本自動遅延等化器も、傾斜形遅延等化部を復調器の前段に設けて、上記の入力信号の群遅延特性を傾斜遅延特性に応じて補償するようにすれば、簡素な構成で、上記の群遅延特性の補償を実現することができるので、本等化器の小型化に大いに寄与する(請求項10)。
【0215】
さらに、上記の各信号の値の変化は、それぞれデータクロック周期で各ディジタル復調信号をサンプリングすることによって判定するようにすれば、各ディジタル復調信号用の各信号方向判定部をそれぞれディジタル回路で実現することができるので、本等化器の回路規模やコストを大幅に削減できるとともに、その性能も大幅に向上させることができる(請求項12)。
【0216】
なお、上記の各信号の値の変化は、データクロックの1/N周期(Nは2以上の整数)で上記の各ディジタル復調信号をサンプリングすることによって判定してもよく、これにより、どのような復調方式で復調されたディジタル復調信号でも、各ディジタル復調信号の値の変化の方向を精度良く判定できるので、本等化器の汎用性の向上にも多いに寄与する(請求項13)。
【0217】
さらに、上述の各誤差情報については、上記の各ディジタル復調信号の誤差ビットからそれぞれ検出するようにすれば、各ディジタル復調信号の信号の誤差ビットのみからそれぞれ誤差情報を検出することができるので、本等化器の回路規模やコストを大幅に削減することができる(請求項14)。
【0218】
また、上記の各誤差情報は、入力信号についての各ディジタル復調信号とこれらの各ディジタル復調信号をそれぞれ更にトランスバーサル等化器で処理した等化後信号との差をそれぞれ演算することによって検出するようにしてもよく、これにより、各ディジタル復調信号から得られる誤差情報がより正確になるので、本等化器の精度や性能をさらに大幅に向上させることができる(請求項15)。
【0219】
さらに、上述した自動遅延等化器も、入力信号の復調前にその入力信号の群遅延特性を補償するようにすれば、復調前に補償を行なう場合に比べて、より簡素な構成で、傾斜形遅延等化部を実現することができ、本等化器のさらなる小型化に大いに寄与する(請求項16)。
また、本発明の自動遅延・振幅等化器及び自動遅延・振幅等化方法によれば、入力信号の線形歪み特性の傾斜情報を検出し、その線形歪み特性の傾斜情報に基づいて入力信号の群遅延特性及び周波数−振幅特性をそれぞれ補償するので、遅延歪みだけでなく振幅歪みをもリアルタイムに検出して各歪みをそれぞれ自動的に等化・補償することができ、これにより、信号の復調精度をさらに大幅に向上することができる(請求項17,33)。
【0220】
さらに、この場合は、上記の群遅延特性を補償する傾斜形遅延等化部及び周波数−振幅特性を補償する傾斜形振幅等化部のための各制御信号をこれらの各等化部に共通の制御部で生成するようになっているので、自動遅延・振幅等化器を極めて小型に実現することができる(請求項17)。
ここで、上記の傾斜形遅延等化部を、上記の入力信号の群遅延特性を傾斜遅延特性に応じて補償するように構成するとともに、上記の傾斜形振幅等化部を、上記の入力信号の周波数−振幅特性を傾斜振幅特性に応じて補償するように構成すれば、これらの各等化部をそれぞれ簡素な構成で実現することができるので、本自動遅延・振幅等化器のさらなる小型化に大いに寄与する(請求項18)。
【0221】
さらに、上記の制御部は、ディジタル復調信号うちの一方の信号の値の変化の方向を判定するとともに、この一方の信号に対し直交するディジタル復調信号のうちの他方の信号から誤差情報を検出し、このようにして得られた上記一方の信号の値の変化の方向と誤差情報との相関に基づき上記の各等化部用の制御信号をそれぞれ出力するようにすれば、ディジタル回路で実現することができるので、本自動遅延・振幅等化器の回路規模やコストを大幅に削減できるとともに、その補償精度も大幅に向上させることができる(請求項19)。
【0222】
ここで、この場合も、上述の一方の信号の値の変化の方向を、データクロック周期でディジタル復調信号のうちの一方の信号をサンプリングすることによって判定するようにすれば、信号方向判定部をディジタル回路で実現することができるので、本自動遅延・振幅等化器の回路規模やコストをさらに削減することができるとともに、その性能も大幅に向上させることができる(請求項20)。
【0223】
なお、この場合も、上記一方の信号の値の変化の方向は、データクロックの1/N周期(Nは2以上の整数)でディジタル復調信号のうちの一方の信号をサンプリングすることによって判定してもよく、これにより、どのような復調方式で復調されたディジタル復調信号でも精度良く上記の変化の方向を判定することができるので、本自動遅延・振幅等化器の汎用性の向上にも大いに寄与する(請求項21)。
【0224】
さらに、上記の誤差情報についても、上記の他方の信号の誤差ビットから検出するようにすれば、この他方の信号の誤差ビットのみから誤差情報を検出することができるので、本自動遅延・振幅等化器の回路規模やコストを大幅に削減することができる(請求項22)。
なお、上記の誤差情報も、入力信号についてのディジタル復調信号のうちの他方の信号と、この他方の信号を更にトランスバーサル等化器で処理した等化後信号との差を演算することによって検出するようにしてもよく、これにより、上記の他方の信号から得られる誤差情報がより正確になるので、本自動遅延・振幅等化器の精度や性能をさらに大幅に向上させることができる(請求項23)。
【0225】
さらに、上述した自動遅延・振幅等化器は、傾斜形遅延等化部と傾斜形振幅等化部とをそれぞれ復調器の前段に設けて、入力信号の復調前にその入力信号の群遅延特性と周波数−振幅特性とをそれぞれ補償するようにすれば、復調前に補償を行なう場合に比べて、より簡素な構成で、傾斜形遅延等化部及び傾斜振幅等化部を実現することができるので、本自動遅延・振幅等化器のさらなる小型化に大いに寄与する(請求項24)。
【0226】
また、本発明の自動遅延・振幅等化器によれば、ディジタル復調信号の両方について、信号の値の変化の方向と誤差情報とを検出し、それぞれの相関関係に基づいて傾斜形遅延等化部用の制御信号及び傾斜形振幅等化部用の制御信号をそれぞれ生成することもできるので、上述した本発明の自動遅延・振幅等化器に比べて、各制御信号の検出感度や精度を大幅に向上させることができ、これにより、自動遅延・振幅等化器の精度をさらに大幅に向上させることができる(請求項25)。
【0227】
この場合も、遅延等化及び振幅等化のための制御形(制御部)をディジタル回路で実現することができるので、本自動遅延・振幅等化器の回路規模やコストを大幅に削減できるとともに、その補償精度も大幅に向上させることができる(請求項27)。さらに、本自動遅延・振幅等化器も、傾斜形遅延等化部を、上記の入力信号の群遅延特性を傾斜遅延特性に応じて補償するように構成するとともに、傾斜形振幅等化部を、上記の入力信号の周波数−振幅特性を傾斜振幅特性に応じて補償するように構成すれば、簡素な構成で、これらの各等化部を実現することができるので、本自動・振幅等化器の小型化に大いに寄与する(請求項26)。
【0228】
また、上記の各信号の値の変化についても、それぞれデータクロック周期で各ディジタル復調信号をサンプリングすることによって判定するようにすれば、各ディジタル復調信号用の各信号方向判定部をそれぞれディジタル回路で実現することができるので、本等化器の回路規模やコストを大幅に削減できるとともに、その性能も大幅に向上させることができる(請求項28)。
【0229】
なお、上記の各信号の値の変化も、データクロックの1/N周期(Nは2以上の整数)で上記の各ディジタル復調信号をサンプリングすることによって判定してもよく、この場合も、どのような復調方式で復調されたディジタル復調信号でも、各ディジタル復調信号の値の変化の方向を精度良く判定できるので、本自動遅延・振幅等化器の汎用性の向上にも多いに寄与する(請求項29)。
【0230】
さらに、上述の各誤差情報についても、上記の各ディジタル復調信号の誤差ビットからそれぞれ検出するようにすれば、各ディジタル復調信号の信号の誤差ビットのみからそれぞれ誤差情報を検出することができるので、本自動遅延・振幅等化器の回路規模やコストを大幅に削減することができる(請求項30)。また、上記の各誤差情報も、入力信号についての各ディジタル復調信号とこれらの各ディジタル復調信号をそれぞれ更にトランスバーサル等化器で処理した等化後信号との差をそれぞれ演算することによって検出するようにしてもよく、この場合も、各ディジタル復調信号から得られる誤差情報がより正確になるので、本等化器の精度や性能をさらに大幅に向上させることができる(請求項31)。
【0231】
さらに、上述した自動遅延・振幅等化器も、傾斜形遅延等化部と傾斜形振幅等化部とをそれぞれ復調器の前段に設けて、入力信号の復調前にその入力信号の群遅延特性と周波数−振幅特性とを補償するようにすれば、復調前に補償を行なう場合に比べて、より簡素な構成で、各等化部を実現することができ、本自動遅延・振幅等化器のさらなる小型化に大いに寄与する(請求項32)。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の原理ブロック図である。
【図2】本発明の原理ブロック図である。
【図3】本発明の原理ブロック図である。
【図4】本発明の原理ブロック図である。
【図5】本発明の自動遅延等化器の第1実施形態を示すブロック図である。
【図6】遅延歪みを説明するための図である。
【図7】遅延歪みを説明するための図である。
【図8】遅延歪みを説明するための図である。
【図9】第1実施形態の自動遅延等化器における遅延歪みの検出原理を説明するための信号伝送系の概念を示すブロック図である。
【図10】第1実施形態の自動遅延等化器における遅延歪みの検出原理を説明するための図である。
【図11】第1実施形態の自動遅延等化器における遅延歪みの検出原理を説明するための図である。
【図12】第1実施形態の自動遅延等化器における遅延歪みの検出原理を説明するための図である。
【図13】第1実施形態の自動遅延等化器における遅延歪みの検出原理を説明するための図である。
【図14】第1実施形態の自動遅延等化器における遅延歪みの検出原理を説明するための図である。
【図15】第1実施形態の自動遅延等化器における遅延歪みの検出原理を説明するための図である。
【図16】第1実施形態の自動遅延等化器における遅延歪みの検出原理を説明するための図である。
【図17】第1実施形態の自動遅延等化器における遅延歪みの検出原理を説明するための図である。
【図18】第1実施形態の自動遅延等化器における復調器の構成例を示すブロック図である。
【図19】第1実施形態の自動遅延等化器における上昇/下降識別部の構成例を示すブロック図である。
【図20】第1実施形態の自動遅延等化器における回転方向識別部の構成例を示すブロック図である。
【図21】第1実施形態の自動遅延等化器における制御部を実用の回路で構成した場合の一例を示す回路図である。
【図22】第1実施形態の自動遅延等化器における1次傾斜遅延補償部の構成例を示すブロック図である。
【図23】第1実施形態の自動遅延等化器における1次傾斜遅延補償部が有する遅延特性を説明するための図である。
【図24】第1実施形態の自動遅延等化器における1次傾斜遅延補償部が有する遅延特性を説明するための図である。
【図25】第1実施形態の1次傾斜遅延補償部に用いられる等化器の詳細構成例を示す回路図である。
【図26】第1実施形態の自動遅延等化器の変形例を示すブロック図である。
【図27】本発明の自動遅延等化器の第2実施形態を示すブロック図である。
【図28】第2実施形態の自動遅延等化器の変形例を示すブロック図である。
【図29】本発明の自動遅延・振幅等化器の第1実施形態を示すブロック図である。
【図30】第1実施形態の自動遅延・振幅等化器における1次傾斜振幅補償部の構成例を示すブロック図である。
【図31】第1実施形態の自動遅延・振幅等化器における振幅歪みの検出原理を説明するための図である。
【図32】(a),(b)はいずれも第1実施形態の自動遅延・振幅等化器における振幅歪みの検出原理を説明するための図である。
【図33】第1実施形態の自動遅延・振幅等化器における振幅歪みの検出原理を説明するための図である。
【図34】第1実施形態の自動遅延・振幅等化器の変形例を示すブロック図である。
【図35】本発明の自動遅延・振幅等化器の第2実施形態を示すブロック図である。
【図36】第2実施形態の自動遅延・振幅等化器の変形例を示すブロック図である。
【符号の説明】
1A 傾斜形遅延等化部
1B 傾斜形振幅等化部
2A〜2D,14A〜14H 制御部
3,13 復調器
4,5,15,16 トランスバーサル等化器(TRE)
9 アンテナ
10 受信部
11A 1次傾斜遅延補償部(傾斜形遅延等化部)
11B 1次傾斜振幅補償部(傾斜形振幅等化部)
11−1 等化器(EQL1)
11−2 等化器(EQL2)
11−3,118 反転ゲート
11−4,11−5 PINダイオード
12 自動利得制御部(AGC)
21 信号方向判定部
21−1 第1信号方向判定部
21−2 第2信号方向判定部
22 誤差情報検出部
22−1 第1誤差情報検出部
22−2 第2誤差情報検出部
23,23′ 相関演算部
23−1 第1相関演算部
23−2 第2相関演算部
24,24′ 制御信号生成部
31 変調部
32 1次傾斜歪伝送路
33 復調部
111,131,134 ハイブリッド(H)
115,117 可変減衰器
135 局部発振器(LO)
136,137 帯域通過フィルタ(バンドパスフィルタ:BPF)
138,139 A/Dコンバータ(A/D変換器)
132,133 位相検波部
141,l45 上昇/下降識別部(信号方向判定部)
141A,145A 上昇/下降識別部(第1信号方向判定部)
141B,145B 上昇/下降識別部(第2信号方向判定部)
141−1,141−2 レジスタ(REG)
141−3,141−4 コンパレータ(C)
141−6 EX−NORゲート(Exclusive NOR 素子:排他的否定論理和演算素子)
141−7 ANDゲート(論理積演算素子)
141−8 フリップフロップ回路(FF)
142,142A,142B 回転方向識別部
142−1 減算器(SUB:差演算部)
142A−1 減算器(SUB:第1差演算部)
142B−1 減算器(SUB:第2差演算部)
142−2,147 デコーダ(DEC)(相関演算部)
142A−2,147A デコーダ(DEC)(第1相関演算部)
142B−2,147B デコーダ(DEC)(第2相関演算部)
143,143′,143A,143B,144A,144B,148,148′,148A,148B 積分器
144 ORゲート(論理和演算素子:制御信号生成部)
146 誤差ビット検出部(誤差情報検出部)
146A 誤差ビット検出部(第1誤差情報検出部)
146B 誤差ビット検出部(第2誤差情報検出部)
L1,L2 コイル
C1〜C5 コンデンサ
R1〜R3 抵抗
Claims (32)
- 入力信号の群遅延特性を補償する自動遅延等化器において、
該入力信号の群遅延特性を所要の傾斜遅延特性に応じて補償する傾斜形遅延等化部と、
該入力信号についてのディジタル復調信号のうちの一方の信号の値の変化の方向を判定するとともに、該一方の信号に対し直交する該ディジタル復調信号のうちの他方の信号から誤差情報を検出し、この誤差情報と該一方の信号の値の変化の方向との相関に基づき傾斜形遅延等化部用の制御信号を出力する制御部とをそなえて構成されたことを特徴とする、自動遅延等化器。 - 該傾斜形遅延等化部が、周波数領域において該傾斜遅延特性を有し、該入力信号の群遅延特性を該傾斜遅延特性に応じて補償するように構成されていることを特徴とする、請求項1記載の自動遅延等化器。
- 該制御部が、該ディジタル復調信号のうちの一方の信号の値の変化の方向を判定する信号方向判定部と、該一方の信号に対し直交する該ディジタル復調信号のうちの他方の信号から誤差情報を検出する誤差情報検出部と、該誤差情報検出部で得られた誤差情報と該信号方向判定部で得られた該一方の信号の値の変化の方向との相関に基づき傾斜形遅延等化部用の制御信号を出力する相関演算部とをそなえて構成されたことを特徴とする、請求項1記載の自動遅延等化器。
- 該信号方向判定部が、データクロック周期で該一方の信号をサンプリングして、該一方の信号の値の変化の方向を判定すべく構成されていることを特徴とする、請求項3記載の自動遅延等化器。
- 該信号方向判定部が、データクロックの1/N周期(Nは2以上の整数)で該一方の信号をサンプリングして、該一方の信号の値の変化の方向を判定すべく構成されていることを特徴とする、請求項3記載の自動遅延等化器。
- 該誤差情報検出部が、該他方の信号の誤差ビットから誤差情報を検出するように構成されていることを特徴とする、請求項3記載の自動遅延等化器。
- 該誤差情報検出部が、該入力信号についてのディジタル復調信号のうちの該他方の信号と、該他方の信号を更にトランスバーサル等化器で処理した等化後信号との差を演算する差演算部として構成されていることを特徴とする、請求項3記載の自動遅延等化器。
- 該入力信号についての該ディジタル復調信号を得る復調器を更にそなえるとともに、該傾斜形遅延等化部が該復調器の前段に設けられていることを特徴とする、請求項1記載の自動遅延等化器。
- 入力信号の群遅延特性を補償する自動遅延等化器において、
該入力信号の群遅延特性を所要の傾斜遅延特性に応じて補償する傾斜形遅延等化部と、
該入力信号についてのディジタル復調信号のうちの一方の信号の値の変化の方向を判定し、該一方の信号に対し直交する該ディジタル復調信号うちの他方の信号から誤差情報を検出し、この誤差情報と該一方の信号の値の変化の方向との相関に基づいて第1相関信号を得るとともに、該他方の信号の値の変化の方向を判定し、該他方の信号に対し直交する該ディジタル復調信号のうちの該一方の信号から誤差情報を検出し、この誤差情報と該他方の信号の値の変化の方向との相関に基づいて第2相関信号を得、更に上記の第1相関信号及び第2相関信号から傾斜形遅延等化部用の制御信号を生成して出力する制御部とをそなえて構成されたことを特徴とする、自動遅延等化器。 - 該傾斜形遅延等化部が、周波数領域において該傾斜遅延特性を有し、該入力信号の群遅延特性を該傾斜遅延特性に応じて補償するように構成されていることを特徴とする、請求項9記載の自動遅延等化器。
- 該制御部が、該ディジタル復調信号のうちの一方の信号の値の変化の方向を判定する第1信号方向判定部と、該一方の信号に対し直交する該ディジタル復調信号のうちの他方の信号から誤差情報を検出する第1誤差情報検出部と、該第1誤差情報検出部で得られた誤差情報と該第1信号方向判定部で得られた該一方の信号の値の変化の方向との相関に基づき該第1相関信号を出力する第1相関演算部とをそなえるとともに、該他方の信号の値の変化の方向を判定する第2信号方向判定部と、該一方の信号から誤差情報を検出する第2誤差情報検出部と、該第2誤差情報検出部で得られた誤差情報と該第2信号方向判定部で得られた該他方の信号の値の変化の方向との相関に基づき該第2相関信号を出力する第2相関演算部と、該第1相関演算部からの該第1相関信号及び該第2相関演算部からの該第2相関信号から傾斜形遅延等化部用の制御信号を生成する制御信号生成部とをそなえて構成されていることを特徴とする、請求項9記載の自動遅延等化器。
- 該第1信号方向判定部が、データクロック周期で該一方の信号をサンプリングして、該一方の信号の値の変化の方向を判定すべく構成されるとともに、該第2信号方向判定部が、データクロック周期で該他方の信号をサンプリングして、該他方の信号の値の変化の方向を判定すべく構成されていることを特徴とする、請求項11記載の自動遅延等化器。
- 該第1信号方向判定部が、データクロックの1/N周期(Nは2以上の整数)で該一方の信号をサンプリングして、該一方の信号の値の変化の方向を判定すべく構成されるとともに、該第2信号方向判定部が、データクロックの1/N周期(Nは2以上の整数)で該他方の信号をサンプリングして、該他方の信号の値の変化の方向を判定すべく構成されていることを特徴とする、請求項11記載の自動遅延等化器。
- 該第1誤差情報検出部が、該一方の信号の誤差ビットから誤差情報を検出するように構成されるとともに、該第2誤差情報検出部が、該他方の信号の誤差ビットから誤差情報を検出するように構成されていることを特徴とする、請求項11記載の自動遅延等化器。
- 該第1誤差情報検出部が、該入力信号についてのディジタル復調信号のうちの該他方の信号と、該他方の信号を更にトランスバーサル等化器で処理した等化後信号との差を演算する第1差演算部として構成されるとともに、該第2誤差情報検出部が、該一方の信号と、該一方の信号を更にトランスバーサル等化器で処理した等化後信号との差を演算する第2差演算部として構成されていることを特徴とする、請求項11記載の自動遅延等化器。
- 該入力信号についての該ディジタル復調信号を得る復調器を更にそなえるとともに、該傾斜形遅延等化部が該復調器の前段に設けられていることを特徴とする、請求項11記載の自動遅延等化器。
- 入力信号の群遅延特性及び周波数−振幅特性をそれぞれ補償する自動遅延・振幅等化器において、
該入力信号の群遅延特性を所要の傾斜遅延特性に応じて補償する傾斜形遅延等化部と、
該入力信号の周波数−振幅特性を所要の傾斜振幅特性に応じて補償する傾斜形振幅等化部と、
該入力信号についてのディジタル復調信号のうちの一方の信号の値の変化の方向を判定するとともに、該一方の信号に対し直交する該ディジタル復調信号のうちの他方の信号から誤差情報を検出し、この誤差情報と該一方の信号の値の変化の方向との相関に基づき傾斜形遅延等化部用の制御信号及び傾斜形振幅等化部用の制御信号をそれぞれ出力する制御部とをそなえて構成されたことを特徴とする、自動遅延・振幅等化器。 - 該傾斜形遅延等化部が、周波数領域において該傾斜遅延特性を有し、該入力信号の群遅延特性を該傾斜遅延特性に応じて補償するように構成されるとともに、
該傾斜形振幅等化部が、周波数領域において該傾斜振幅特性を有し、該入力信号の周波数−振幅特性を該傾斜振幅特性に応じて補償するように構成されていることを特徴とする、請求項17記載の自動遅延・振幅等化器。 - 該制御部が、該ディジタル復調信号のうちの一方の信号の値の変化の方向を判定する信号方向判定部と、該一方の信号に対し直交する該ディジタル復調信号のうちの他方の信号から誤差情報を検出する誤差情報検出部と、該誤差情報検出部で得られた誤差情報と該信号方向判定部で得られた該一方の信号の値の変化の方向との相関に基づき傾斜形遅延等化部用の制御信号及び傾斜形振幅等化部用の制御信号をそれぞれ出力する相関演算部とをそなえて構成されたことを特徴とする、請求項17記載の自動遅延・振幅等化器。
- 該信号方向判定部が、データクロック周期で該一方の信号をサンプリングして、該一方の信号の値の変化の方向を判定すべく構成されていることを特徴とする、請求項19記載の自動遅延・振幅等化器。
- 該信号方向判定部が、データクロックの1/N周期(Nは2以上の整数)で該一方の信号をサンプリングして、該一方の信号の値の変化の方向を判定すべく構成されていることを特徴とする、請求項19記載の自動遅延・振幅等化器。
- 該誤差情報検出部が、該他方の信号の誤差ビットから誤差情報を検出するように構成されていることを特徴とする、請求項19記載の自動遅延・振幅等化器。
- 該誤差情報検出部が、該入力信号についてのディジタル復調信号のうちの該他方の信号と、該他方の信号を更にトランスバーサル等化器で処理した等化後信号との差を演算する差演算部として構成されていることを特徴とする、請求項19記載の自動遅延・振幅等化器。
- 該入力信号についての該ディジタル復調信号を得る復調器を更にそなえるとともに、該傾斜形遅延等化部及び該傾斜形振幅等化部がそれぞれ該復調器の前段に設けられていることを特徴とする、請求項17記載の自動遅延・振幅等化器。
- 入力信号の群遅延特性及び周波数−振幅特性をそれぞれ補償する自動遅延・振幅等化器において、
該入力信号の群遅延特性を所要の傾斜遅延特性に応じて補償する傾斜形遅延等化部と、
該入力信号の周波数−振幅特性を所要の傾斜振幅特性に応じて補償する傾斜形振幅等化部と、
該入力信号についてのディジタル復調信号のうちの一方の信号の値の変化の方向を判定し、該一方の信号に対し直交する該ディジタル復調信号うちの他方の信号から誤差情報を検出し、この誤差情報と該一方の信号の値の変化の方向との相関に基づいて第1相関信号を得るとともに、該他方の信号の値の変化の方向を判定し、該他方の信号に対し直交する該ディジタル復調信号のうちの該一方の信号から誤差情報を検出し、この誤差情報と該他方の信号の値の変化の方向との相関に基づいて第2相関信号を得、更に上記の第1相関信号及び第2相関信号から傾斜形遅延等化部用の制御信号及び傾斜形振幅等化部用の制御信号をそれぞれ生成して出力する制御部とをそなえて構成されたことを特徴とする、自動遅延・振幅等化器。 - 該傾斜形遅延等化部が、周波数領域において該傾斜遅延特性を有し、該入力信号の群遅延特性を該傾斜遅延特性に応じて補償するように構成されるとともに、
該傾斜形振幅等化部が、周波数領域において該傾斜振幅特性を有し、該入力信号の周波数−振幅特性を該傾斜振幅特性に応じて補償するように構成されていることを特徴とする、請求項25記載の自動遅延・振幅等化器。 - 該制御部が、該ディジタル復調信号のうちの一方の信号の値の変化の方向を判定する第1信号方向判定部と、該一方の信号に対し直交する該ディジタル復調信号のうちの他方の信号から誤差情報を検出する第1誤差情報検出部と、該第1誤差情報検出部で得られた誤差情報と該第1信号方向判定部で得られた該一方の信号の値の変化の方向との相関に基づき該第1相関信号を出力する第1相関演算部とをそなえるとともに、該他方の信号の値の変化の方向を判定する第2信号方向判定部と、該一方の信号から誤差情報を検出する第2誤差情報検出部と、該第2誤差情報検出部で得られた誤差情報と該第2信号方向判定部で得られた該他方の信号の値の変化の方向との相関に基づき該第2相関信号を出力する第2相関演算部と、該第1相関演算部からの該第1相関信号及び該第2相関演算部からの該第2相関信号から傾斜形遅延等化部用の制御信号及び傾斜形振幅等化部用の制御信号をそれぞれ生成する制御信号生成部とをそなえて構成されていることを特徴とする、請求項25記載の自動遅延・振幅等化器。
- 該第1信号方向判定部が、データクロック周期で該一方の信号をサンプリングして、該一方の信号の値の変化の方向を判定すべく構成されるとともに、該第2信号方向判定部が、データクロック周期で該他方の信号をサンプリングして、該他方の信号の値の変化の方向を判定すべく構成されていることを特徴とする、請求項27記載の自動遅延・振幅等化器。
- 該第1信号方向判定部が、データクロックの1/N周期(Nは2以上の整数)で該一方の信号をサンプリングして、該一方の信号の値の変化の方向を判定すべく構成されるとともに、該第2信号方向判定部が、データクロックの1/N周期(Nは2以上の整数)で該他方の信号をサンプリングして、該他方の信号の値の変化の方向を判定すべく構成されていることを特徴とする、請求項27記載の自動遅延・振幅等化器。
- 該第1誤差情報検出部が、該一方の信号の誤差ビットから誤差情報を検出するように構成されるとともに、該第2誤差情報検出部が、該他方の信号の誤差ビットから誤差情報を検出するように構成されていることを特徴とする、請求項27記載の自動遅延・振幅等化器。
- 該第1誤差情報検出部が、該入力信号についてのディジタル復調信号のうちの該他方の信号と、該他方の信号を更にトランスバーサル等化器で処理した等化後信号との差を演算する第1差演算部として構成されるとともに、該第2誤差情報検出部が、該一方の信号と、該一方の信号を更にトランスバーサル等化器で処理した等化後信号との差を演算する第2差演算部として構成されていることを特徴とする、請求項27記載の自動遅延・振幅等化器。
- 該入力信号についての該ディジタル復調信号を得る復調器を更にそなえるとともに、該傾斜形遅延等化部及び該傾斜形振幅等化部がそれぞれ該復調器の前段に設けられていることを特徴とする、請求項25記載の自動遅延・振幅等化器。
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