JP3675696B2 - 光記録媒体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光記録媒体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年情報産業に欠かせない記録媒体として光記録媒体、特にデジタルビデオディスク(DVD)が注目され、市場を大きくしつつある。現在このような光記録媒体の更なる記録密度の高密度化を達成するためにいくつかの手段が提案されている。
【0003】
高記録密度化を達成する手段の一つは使用レーザー光の短波長化である。現在はGaAlInP系半導体レーザーで650nmの波長を使用しているが、近年GaN系の半導体レーザーが開発され、400nm〜450nmの波長に移行する模様である。レーザー光の波長が短くなるとレーザースポット径はその二乗分だけ小さくでき、その分記録密度が上げられる。
【0004】
もう一つの高記録密度化を達成する手段としては超解像法がある。超解像法の概念を示す概略図を図3に示す。超解像法においては、記録ピット11に情報が記録される記録層12を有する光記録媒体13の記録層12上に超解像膜14を形成する。超解像膜14は記録層12上に集光したレーザー光ビーム15の強度の高い部分のみを透過させる性質を有し、再生光の回折限界よりも小さいアパーチャーが形成される。このような超解像膜14を通してレーザー光ビーム15を記録層12に照射することにより、回折限界よりも小さいスポット径を有するレーザー光ビーム15を照射し、記録密度を向上させるものである。
【0005】
このような超解像法の一つとして超解像膜を構成する材料の飽和吸収現象を利用した方法が例えば特開平06−243508号公報、特開平07−296419号公報に開示されている。この方法において用いられる超解像膜は、可飽和吸収色素が透明マトリックス中に分散された構造を有している。前記可飽和吸収色素分子は、光が照射されると電子が基底状態から励起状態に励起されるが、励起光強度が大幅に強い場合は、吸収が少なくなるという性質を有している。この性質を利用して前記超解像膜は光強度の強いレーザー光ビームの中心部のみが透過するという超解像動作を示すものである。
【0006】
前記公報においてはこのような前記色素分子の具体例としてフタロシアニン色素を挙げており、また、780nmのレーザー光を照射して再生を行った際に超解像動作を示す超解像膜を備えた光記録媒体が開示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
このように従来超解像法により光記録媒体の記録密度を上げる方法が提案されている。しかしながらさらなる記録密度の向上を図るためには、さらに高い超解像特性を備える超解像膜を用いることが必要である。
【0008】
本発明は上記問題点に鑑みてなされたもので、高い超解像特性を示し、記録密度を向上させることのできる光記録媒体を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、 記録する情報に対応した記録パターンを形成することが可能な記録層を有し、前記記録層に485nm以下の波長の光が照射されることにより記録された前記情報が再生される光記録媒体において、前記光記録媒体は前記記録層上に前記光のビーム径を絞る超解像膜を備え、前記超解像膜は少なくとも吸収ピークの半値全幅が0.4eV以下、基底関数STO−3Gを用い、Hartree−Fock近似を用いて最適化した分子構造において計算した最低振動準位が30cm−1以下、かつ前記波長の光が照射されたときに三次非線形光学特性に基づいて吸収飽和特性を示す有機色素を備えることを特徴とする光記録媒体である。
【0011】
本発明の光記録媒体においては、従来技術と同様、基板上に情報を凹凸や光学特性の変化として記録する記録層上に超解像特性を示す膜(超解像膜)を形成する。前記超解像膜は、光を照射した際に光の強度の高い部分のみを透過させる性質を有するものであり、それにより光の回折限界よりも小さいアパーチャーが形成され、回折限界よりも小さいスポット径を有する光が照射される。
【0012】
超解像特性の高い超解像膜を実現するために、本発明では、吸収ピークの半値全幅が0.4eV以下である物質を備える超解像膜を用いる。
【0013】
一般に有機材料は吸収ピークが多数あるが、ここで言う吸収ピークとは使用する光(再生レーザー光)の波長を含むピークのことである。一般に低エネルギー(長波長)のピーク程、励起される電子は安定に存在しやすいため、光(再生レーザー光)の波長としては低エネルギー側のピーク波長とほぼ一致するものを用いたほうが良い。
【0014】
また、波長がX nmの時の電子のエネルギーがY eVである時、エネルギー換算の近似として
Y=1239.5/X
が成り立つ。
【0015】
また、ここでいう半値全幅とは、ピークを有する関数についてピークの両側でそれぞれピーク値の半分の値をとる独立変数の値の間の間隔を示す。(岩波 理化学辞典 第4版 岩波書店(1987)p.1008「半値幅」参照)
また、本発明では、基底関数STO−3Gを用い、Hartree−Fock近似を用いて最適化した分子構造において計算した最低振動準位が30cm−1以下である物質を備える超解像膜を用いる。
【0016】
以下に本発明で吸収ピークの半値全幅を上記範囲とした理由について説明する。
【0017】
本発明者らは、超解像膜の超解像特性は超解像膜を構成する材料の位相緩和時間に関係すると考えている。
【0018】
ある分子に対しある波長の光を照射した際の緩和時間とは各物質に固有の値であり、一般に特開平6−243508号公報、特開平7−296419号公報において述べられるところのエネルギー緩和時間と本発明に係る位相緩和時間がある。
【0019】
位相緩和時間とは、当該分子に光を照射したときの分子を励起する光のコヒーレンスが乱れる時間の度合いをいう。例えば光の平面はsin波で表すことができるが、コヒーレンスとはこのsin波のようなものの位相が時間的・空間的に連続的につながっている状態のことで、干渉性をもつものと同意である。
【0020】
一方、エネルギー緩和時間は、電子が高いエネルギー状態から低いエネルギー状態へ変わる時間であり、位相緩和時間とはその定義が異なる。また、色素の一般的なエネルギー緩和時間はサブナノ秒からナノ秒程度であるが、同色素の位相緩和時間はサブフェムト秒からフェムト秒程度であり、その時間領域は大きく異なる。
【0021】
以下に、超解像膜の超解像特性と位相緩和時間との関係について説明する。
【0022】
本発明においては、超解像膜の吸収飽和現象は超解像膜を構成する材料例えば色素の有する主に三次非線形光学特性に基づいて生じるものであると考えている。
【0023】
まず、色素分子において光照射がなされ励起された電子は調和振動する際、非調和振動が誘起され吸収が変化する。調和振動とは、ばねの様に、中心位置から離れる距離と中心へ戻ろうとする力が比例する振動のことである。非調和振動とはそれが比例しない場合である。
【0024】
光(電磁波)による電場Eに対して励起される色素分子の電子分極P、(すなわち吸収の大きさに比例)は一般に
P=P0+χ(1)・E+χ(2)・E・E+χ(3)・E・E・E+……
と表される。(ただしP0は自発分極、χ(1)は線形感受率、χ(2)、χ(3)……はそれぞれ2次、3次、……の非線形感受率である。)
電場(光)の大きさが強くなく、χ(2)、χ(3)…が小さい場合はχ(2)以下の項が小さくなり、
P=P0+χ(1)・E
で表される。これが一般的な状態である。
【0025】
しかし、χ(2)、χ(3)…が大きく、レーザーの様に電場(光)が非常に大きくなると、χ(2)以下の項が無視できなくなり、非線形特性が現われる。
【0026】
吸収が生じる波長はχ(1)、χ(2)…毎にそれぞれ異なり、χ(1)に関するものは線形吸収、χ(2)に関しては2光子吸収などと呼ばれる。ここでは使用するレーザーの波長は線形吸収に関係する項、すなわち第2項のχ(1)に関するものとする。
【0027】
ここで吸収飽和を示す超解像膜における色素分子においてはマクロ的に反転対称性があるため、物理的な考察でχ(2)、χ(4)、χ(6)......に関する項は0となる。すなわち吸収飽和を示す超解像膜における色素分子の吸収は、主にχ(1)と、χ(3)、χ(5)、χ(7).....に関わる現象であり、非線形感受率の中ではχ(3)が与える影響が最も大きい。
【0028】
すなわち、光の強度が小さいと励起される電子分極(吸収の大きさ)は線形で表されるが、光が強くなると電場の三乗に比例して吸収しない分極の割合が増える。従って光が強くなると吸収が飽和するように見えるのである。
【0029】
ここで三次非線形光学定数χ(3)(3次の非線形感受率)であるが、単位分子あたりの遷移双極子モーメント(吸収)の大きさをμ、エネルギー単位の角振動数をωo、レーザー光の角振動数をω、位相緩和(横緩和)定数(位相緩和時間の逆数)をΓpとすると、
【数1】
で表される。
【0030】
χ(3)が大きい方が大きな超解像効果が期待できるが、ωとω0が一致し、(レーザー光をエネルギー準位に共鳴させた場合)、χ(3)は最大となり、さらに位相緩和定数Γpが小さいほど、すなわち(位相緩和時間が大きいほど)超解像効果が増大する。いわゆる共鳴効果が大きくなることを意味する。
【0031】
一方、一般に吸収ピークの半値全幅は位相緩和定数Γp(すなわち位相緩和時間の逆数)に比例すると考えられる。したがって、吸収ピークの半値全幅がある特定値以下である材料は高い超解像効果を示すことになる。
【0032】
本発明者らは、吸収ピークの半値全幅が0.4eV以下である物質を超解像膜に用いることにより大きな吸収飽和効果を示しひいては大きな超解像特性を示すことを見出した。
【0033】
また、本発明で、基底関数STO−3Gを用い、Hartree−Fock近似を用いて最適化した構造において計算した最低振動準位を上記範囲とした理由について説明する。
【0034】
前述の如く、超解像膜を構成する物質の位相緩和時間が大きいほど(位相緩和定数が小さいほど)高い超解像特性を示す。位相緩和の原因の一つとして分子(あるいは結晶格子)振動と励起された電子との衝突が考えられる。
【0035】
したがって超解像膜を構成する材料の振動準位と位相緩和とは相関があると考えられる。本発明者らは、最低振動準位が低いものは実測される位相緩和定数も小さく、特に基底関数STO−3Gを用い、Hartree−Fock近似を用いて最適化した分子構造において計算した最低振動準位が30cm−1以下である物質を用いた超解像膜が高い超解像特性を示すことを見出した。
【0036】
なお、振動準位を計算するにあたり用いる基底関数 STO−3Gは「W.J.Hehre,R.F.Stewart and J.A.Pople,J.Chem.Phys.,51,2657(1969)」に記載されたものである。またHartree−Fock近似は、「(C.C.J.Roothaan,Rev.Mod.Phys.,23,69(1951);32,179(1960))」に記載されたものである。
【0037】
【発明の実施の形態】
本発明に係る光記録媒体の一例を示す概略図を図1に示す。
【0038】
光記録媒体1においては、ガラスあるいはプラスチックよりなる透明基板2上に超解像膜3が形成されている。さらに前記超解像膜3上にAlなどからなる反射膜4が形成されている。
【0039】
さらに、反射膜4として熱伝導率が1W/m・Kの膜を用い、また超解像膜3に接するよう熱伝導率が1W/m・K以上の放熱膜5を設け、前記超解像膜の両面に接する膜が1W/m・K以上の熱伝導率を持つ放熱膜となるよう構成されていることが望ましい。
【0040】
超解像膜3がマトリックスであるポリマー及び低分子有機化合物で構成され、その熱伝導度はほぼ1以下である場合は特に超解像膜3の両面に熱伝導度が1W/m・K以上の放熱膜を接触させることにより熱放熱効果がおこり、超解像膜の劣化を低減することができる。放熱膜の熱伝導度は高ければ高いほど良く、特に10W/m・K以上の放熱膜は効果が高い。特に1W/m・K以上の放熱膜としては具体的にはアルミニウム薄膜、金薄膜、銅薄膜、チッ化アルミニウム、チッ化ゲルマニウムなどが特に望ましい。
【0041】
放熱膜の厚さは1nm〜100nmの範囲であることが放熱の効率及び、光記録媒体の全膜が焦点深度以内になる必要から望ましい。
【0042】
前記記録媒体1の透明基板2には記録される情報に対応した凹凸パターンが透明基板2に記録されて記録層を構成している。記録された情報の再生は透明基板2側から再生光6を照射し、反射光の変化を読み取ることにより行われる。図1に示す光記録媒体1は反射光の変化を読み取ることにより情報が再生されているが、例えば再生光6を照射し、透過光の変化を読み取ることにより情報が再生されるものであっても良い。
【0043】
図1に示す記録媒体1は透明基板2が記録層を兼ねているが、本発明に係る記録媒体の記録層は透明基板と別個に設けられているものであっても良い。また記録媒体の記録層に記録される情報に対応した記録パターンは図1に示す記録媒体1の如くの凹凸パターンのみならず、例えば、屈折率等、光学特性の変化によるパターンであればよい。
【0044】
前記超解像膜3は少なくとも超解像特性を示す材料がマトリックス中に分散されてなるものである。
【0045】
前記マトリックスとしてポリメチルメタクリレート(PMMA)やポリスチレン、あるいは、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリアリレートなどを好適に用いることができるが、特に制約がない。しかし、融点が高く(例えば100℃以上)、色素を高濃度に含有できるものがよりよい。
【0046】
超解像膜膜3は光記録媒体上に、超解像特性を示す材料、例えば可飽和吸収色素、マトリックス及び溶媒の混合物をスピンコートし、乾燥することにより形成することが容易であり好ましい。そのため、前記マトリックス材料は、適度な厚さで塗布することが可能である程度に溶媒に溶解する必要がある。この条件は超解像特性を示す材料も同様である。また、超解像膜はマトリックス及び超解像特性を示す材料を蒸着により形成しても良い。例えばマトリックスとしてテフロンは熱に強く良いがテフロンはスピンコートできない。この時は超解像特性を示す材料とともに蒸着を行えば良い。
【0047】
超解像特性を示す材料として、例えば色素を用いる場合、色素/マトリックスの濃度cは、0.002mol/L以上2000mol/L以下であることが望ましい。膜厚は光学系の焦点深度の制限があるため、0.002mol/L未満であると定常の吸収量が少なく超解像が起こりにくく、2000mol/Lを超えると透過光量が少なく、十分な信号強度が得られない。より好ましい範囲は0.1mol/L以上100mol/L未満である。
【0048】
色素/マトリックスの濃度cは超解像膜の膜厚および吸光度との兼ね合いにおいてその値を決定することが望ましい。使用波長で例えば1×105L/mol・cmのモル吸光係数εの色素を仮定すると、膜厚dは焦点深度の深さを越えるため最大でも5×10−5cmを超えることはなく、また、吸光度αは0.01を下回ると十分な超解像効果は得られない。一方、十分弱い光強度(励起)領域すなわち線形領域ではα=ε・c・dであるため濃度cは、0.01mol/L以上が必要ということになる。本発明における前記超解像膜は、超解像特性を示す材料であり、少なくとも吸収ピークの半値全幅が0.4eV以下である物質を含む。より好ましくは、0.2eV以下である。この範囲であると共鳴効果すなわち超解像効果が大きくなり、また吸収飽和効果が高い物質は0.2eV以下に多くみられるため望ましい。また、本発明における前記超解像膜は、超解像特性を示す材料であり、基底関数STO−3Gを用い、Hartree−Fock近似を用いて最適化した構造において計算した最低振動準位が30cm−1以下である物質を含む。より好ましくは、20cm−1以下の物質である。この範囲であると超解像効果が十分大きくなり望ましい。本発明は、吸収ピークの半値全幅が0.4eV以下であり、基底関数STO−3Gを用い、Hartree−Fock近似を用いて最適化した構造において計算した最低振動準位が30cm−1以下である物質を備える超解像膜である。本発明に係る色素は、条件を満たすものであればどのようなものであっても良いが、具体的には、以下の表1に示される色素が挙げられる。表1にはそれぞれの物質の構造式記号、吸収ピークの半値全幅、基底関数STO−3Gを用い、Hartree−Fock近似を用いて最適化した構造において計算した最低振動準位を併記する。
【表1】
表1に示す色素の構造式(1)は以下のとおりである。
【化2】
【0049】
【実施例】
(実施例1、比較例1〜2)超解像膜の特性を評価するために、ガラスからなる4枚の透明基板に4種の色素膜をスピンコートによりそれぞれ形成した。スピンコートに用いた色素は、比較例1としてクマリン30、実施例1としてDOCI、及び比較例2としてクマリン151(クマリン151の吸収ピークの半値全幅は0.61eV、最低振動準位は41.0489cm−1)を使用した。また、前記色素膜は、前記色素以外にマトリックスとして分子量約70000のPMMAを含有するものであった。
【0050】
まず、質量比でPMMA:乳酸エチル=4:100で混ぜ合わせた溶液を調製し、この溶液に吸収ピーク波長における低パワーでの吸光度がほぼ一定となるような濃度になるようにそれぞれの色素を溶解した。この溶液を3000回転/分で前記透明基板にスピンコートした。表2に実施例1及び比較例1〜2の色素名、色素膜の膜厚、入射光の波長を示す。
【表2】
このようにして形成した色素膜にレーザー光を入射し、透過率の入射光強度依存性を調べた。
【0051】
図2は実施例1及び比較例1〜2に係る光記録媒体の色素膜の透過率の入射光強度依存性を示す特性図である。図2の様に実施例1、比較例1〜2においては、入射光強度が強くなるに従って透過率が上昇するが、特に実施例1においてその傾向が強く、超解像特性に優れるのを確認した。
(実施例2、比較例3)
次に実施例1で用いたDOCIの超解像膜(色素膜)を実施例1と同様な方法で透明基板上に形成し図1に示す光記録媒体を作製した。この光記録媒体1は、ガラスよりなる透明基板2上に色素膜3を形成し、さらに色素膜3上に50nmの厚さのAlからなる反射膜4が形成されている。ただし、放熱膜5は形成しなかった。この光記録媒体1においては情報は片面に凹凸パターンを形成することにより記録されておりその凹凸パターンの隣接するトラック間のトラックピッチは0.3μmであった。ここでクロストークはトラックピッチあるいはマークピッチがレーザー光スポットと比較して小さい場合に起こるが、一般にトラックピッチの方がマークピッチより短い。
【0052】
次に、この光記録媒体に再生光6を透明基板2側から照射し、反射光を読み取ることにより光記録媒体1に記録された情報を再生した。この時のレンズのN.A.は0.6、使用波長λは485nmを使用した。色素膜3がない場合のピット上でのレーザー光の集光径は約0.7μmである。またレーザー光のパワーは3mW、線速は10m/sとした。その結果、正確に情報を再生することができた。
【0053】
一方、比較例3として色素膜3が形成されていない以外は条件が同じ光記録媒体を別途用意し、同様に再生光を照射しこの光記録媒体に記録された情報を読み取ったところクロストークが起こり、正確に信号を読み取ることができなかった。
【0054】
【発明の効果】
以上述べた如く本発明によれば、高い超解像特性を示し、記録密度を向上させることのできる光記録媒体が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る光記録媒体の一例を示す概略図。
【図2】 実施例1及び比較例1〜2に係る色素膜(超解像膜)の透過率の入射光強度依存性を示す特性図。
【図3】 超解像法の概念を示す概略図。
【符号の説明】
1・・・光記録媒体
2・・・透明基板
3・・・色素膜(超解像膜)
4・・・反射膜
5・・・放熱膜
6・・・再生光(レーザー光ビーム)
11・・・記録ピット
12・・・記録層
13・・・光記録媒体
14・・・超解像膜
15・・・レーザー光ビーム
16・・・反射光
Claims (2)
- 記録する情報に対応した記録パターンを形成することが可能な記録層を有し、前記記録層に485nm以下の波長の光が照射されることにより記録された前記情報が再生される光記録媒体において、前記光記録媒体は前記記録層上に前記光のビーム径を絞る超解像膜を備え、前記超解像膜は少なくとも吸収ピークの半値全幅が0.4eV以下、基底関数STO−3Gを用い、Hartree−Fock近似を用いて最適化した分子構造において計算した最低振動準位が30cm−1以下、かつ前記波長の光が照射されたときに三次非線形光学特性に基づいて吸収飽和特性を示す有機色素を備えることを特徴とする光記録媒体。
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