JP3141299B2 - 記録方法及び記録装置 - Google Patents

記録方法及び記録装置

Info

Publication number
JP3141299B2
JP3141299B2 JP03259909A JP25990991A JP3141299B2 JP 3141299 B2 JP3141299 B2 JP 3141299B2 JP 03259909 A JP03259909 A JP 03259909A JP 25990991 A JP25990991 A JP 25990991A JP 3141299 B2 JP3141299 B2 JP 3141299B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
recording
light
layer
recording medium
liquid crystal
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP03259909A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH0520712A (ja
Inventor
剛男 山口
恭治 筒井
明夫 小島
薫 寺村
正文 太田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ricoh Co Ltd
Original Assignee
Ricoh Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Ricoh Co Ltd filed Critical Ricoh Co Ltd
Priority to JP03259909A priority Critical patent/JP3141299B2/ja
Publication of JPH0520712A publication Critical patent/JPH0520712A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3141299B2 publication Critical patent/JP3141299B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高分子液晶からなる記
録層を有する記録媒体を用い、加熱または光の照射によ
り情報の記録・消去を可逆的に行う記録方法およびそれ
を用いた記録装置に関する。詳しくは、本発明は、光デ
ィスク、光カード、光テープ等の光記録媒体や熱記録媒
体あるいはディスプレイ等の表示媒体に応用可能な記録
媒体における記録、消去の方法に関わり、さらに本発明
は、情報の多値記録を可能ならしめる新規な記録方式、
および情報の可逆モード、非可逆モードの両モードの記
録が可能なマルチモード記録を簡易な操作によって可能
ならしめる新規な記録方式に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、情報を熱エネルギーの形で印加
し、記録材料の形状変化や物性変化として記録するいわ
ゆるヒートモード記録システムが実用化されつつある。
このようなヒートモード記録媒体としては、Te、B
i、Se、Tb、Inなどを主成分とする金属材料を用
いた無機系の記録媒体、あるいはシアニンなどのポリメ
チン系色素、フタロシアニン、ナフタロシアニン、ポル
フィリンなどの大環状アザアヌレン系色素、ナフトキノ
ン、アントラキノン系色素およびジチオール金属錯体系
色素などの有機色素を用いた記録媒体が知られている。
これらの記録媒体は集光したレーザー光の照射などによ
り熱エネルギーが印加されると、照射部分の記録層が溶
融あるいは蒸発して孔(ピット)を形成し、情報を記録
するものである。しかし、これらの記録媒体は記録した
情報を消去して再び新しい情報を記録する可能性を有し
ていない。
【0003】そこで、このような再生専用、追記型のヒ
ートモード光記録システムの発達とともに、記録、再
生、消去が可能な可逆記録媒体の必要性が高まってい
る。こうした可逆記録媒体として、たとえばGd、T
b、Dyなどの希土類金属とFe、Ni、Coなどの遷
移金属とからなる合金薄膜を用いた光磁気記録媒体があ
る。これは、レーザー光照射による加熱と外部印加磁界
を併用して記録し、磁化の向きによる光の振動面の回転
方向の違いを利用して再生するものである。また、情報
の消去はレーザー光照射による加熱と記録時とは逆向き
の外部磁界を印加することにより行なわれる。しかし、
この光磁気記録媒体は再生時の感度が低く、S/N比が
悪く、さらに酸化などの影響による記録感度の劣化や記
録の保存安定性、記録装置内に設けられる磁場発生装置
及び周辺機器等の信頼性に問題があるなどの欠点を有し
ている。
【0004】また、可逆記録媒体として、Ge、Te、
Se、Sb、In、Snなどの元素を主成分とする無機
材料薄膜からなる記録層の結晶−非晶質間の相転移を利
用したものは、レーザー光照射のみで、ヒートモードで
記録、消去ができる利点があるが、記録部と未記録部の
コントラストや記録ピットの保存安定性に問題があり、
とりわけ記録層の酸化など材料の安定性に関して重大な
欠点を有している。
【0005】上記欠点を解決する手段として、特開昭5
8−125247号公報には、高分子液晶の透明な配向
状態と不透明なランダム状態を、熱又は電界によって可
逆的に変化させることを特徴とする記録材料が開示され
ている。また高分子液晶中に光吸収剤を添加せしめて、
レーザー光を熱源として利用して記録、消去を行う手法
も開示されており、このような例としては特開昭59−
10390号、同59−35989号、同60−114
823号公報等に記載のものが挙げられる。
【0006】また、可逆記録媒体と追記型記録媒体の両
方の性能を有するヒートモード記録媒体に関する報告が
特開平2−48987号、同2−89229号公報等に
より、インジウム系の無機記録層からなる形状変化型記
録媒体として報じられている。この記録媒体は、強いエ
ネルギーを照射するとホール(孔)が形成され非可逆記
録となり、比較的弱いエネルギーを照射すると形状が変
化した可逆なピットが形成されるというものである。と
ころが、この記録媒体では、記録部と未記録部のコント
ラストや記録ピットの保存安定性に問題があり、特に記
録層の酸化など材料の安定性に関して欠点を有してお
り、さらにメディアの構成上、記録層の上にエアーギャ
ップ(空隙)を必要とするなど、生産性の面でも数多く
の問題を含んでいる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記高分子液晶を記録
層として利用した記録媒体の場合、記録層材料の低熱伝
導性のために記録時の転送速度が遅い上に、消去は記録
時よりもさらに数桁以上遅くなるために、熱エネルギー
以外に電界・磁界等の第3の力を印加せねばならず、光
メモリーとしての利用を検討すると、容易に高S/N比
の記録ができるという利点がある反面、システム的にあ
るいは速度的に実用には供し得なかった。
【0008】さらに従来の記録方法によると、配向状態
とランダム状態の2状態における透過光あるいは反射光
の有無によって検出を行っていたために、その記録信号
は低レベル(O)と飽和レベル(a)の2値に対応して
おり、そのメモリー密度は108bit/cm2が限界
であり、将来の計算機の大容量化、高速処理化を考慮す
ると、メモリー密度は未だ不十分である。
【0009】また、特開昭63−26647号公報等に
は強誘電性液晶(FLCP)を用いた記録媒体が開示さ
れている。しかしながら、この強誘電性液晶記録媒体は
レスポンス的にも誘電異方性が正のものを使用する場合
が多いため、その配向方向は記録膜面に対して垂直方向
に配向する成分(ホメオトロピック配向成分)が強くな
る。また、液晶部位の配向方向のスイッチングによる2
状態の複屈折率の差よりも、配向−未配向状態の複屈折
率の差の方が大きくなることは公知であり、さらにシス
テムが量産性およびコスト的な問題からオルソスコープ
で構成される点等を考慮しても、記録層材料には、記録
膜面に平行に配向(ホモジニアス配向)する方が容易に
高S/N比を得られることは明らかである。しかるに、
上記強誘電性液晶記録媒体で誘電異方性が負のものを用
いると、ホモジニアス配向性が現れるが、その応答性は
通常の液晶と比較しても大差なく、かえってその構造が
特殊であるためにコスト的にも不利であり、実用化には
至らなかったという状況がある。
【0010】上記のメモリー密度の限界を打破する方法
として、単一の記録スポット中に複数の信号を書き込む
多重記録方式が検討されており、その1つとして光化学
ホールバーニング(PHB)による高密度光メモリーが
報告されている。ところが、PHB方式は当該メモリー
膜を数K乃至数十Kという極低温に保持することが必要
で、光情報記録システムとしては解決すべき問題が多
く、実用化には至っていない。
【0011】本発明は、上記の事情に鑑み、高分子液晶
記録層の配向状態または相状態の変化による記録、消去
が高速かつ確実に行われる記録方法および記録装置を提
供することを目的とする。また、本発明は、多重記録を
可能とし、高密度記録を達成する記録方法および記録装
置を提供することを目的とする。さらに、本発明は、記
録光ビームの照射条件を変えるという簡易な操作によっ
て容易に可逆、非可逆両モードの記録を達成できる記
方法および記録装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の目
的に対して、光エネルギー照射に伴う熱によって液晶部
位の配向状態が可逆的に変化する高分子液晶記録層への
記録、消去性能を検討した結果、記録時及び消去時の光
照射条件を適切に選択して記録層中の分子配向状態の変
化する部分(記録ピット)の膜厚方向の大きさをコントロ
ールすることにより、上記の目的が達成できることを見
出した。
【0013】すなわち、本発明によれば、少なくとも基
板上に配向状態の変化または相変化を起こして記録、消
去を行う高分子液晶からなる記録層と該高分子液晶を配
向させる配向層を有し、該記録層は光照射のみにより、
その厚さ方向の一部分の配向状態または相状態変化さ
せる記録モードと、当該記録層の厚さ方向の全部分の配
向状態または相状態を変化させる記録モードの、少なく
とも2種以上の記録モードで記録可能な記録媒体を用
、膜厚の一部分を変化させる前者の記録モードの場合
は、光照射のみで消去可能な記録ピットを形成し、膜厚
の全部分を変化させる後者の記録モードの場合では、光
照射のみでは消去できない記録ピットを形成する、少な
くとも2種類以上の記録ピット形成することを特徴とす
る記録方法が提供される。
【0014】この記録方法は、記録光ビームの強度を変
調せしめて照射することにより、この変化部分の大きさ
を制御して1つの記録ピットに複数の情報を入力するい
わゆる多重記録を行うことも可能である。 またこの記録
方法は、記録層の厚さ方向の一部分の分子の配向状態あ
るいは相状態を変化させることにより可逆記録を行い、
記録層の厚さ方向の全部分の分子の配向状態あるいは相
状態を変化させることにより非可逆記録を行うように
し、両者を単一の記録媒体上に入力するいわゆるマルチ
モード記録を行うことが可能である。このマルチモード
記録においては、前述のインジウム系相変化型記録媒体
のようなホール形成などの記録層の物理的な変化が起こ
らないために、エアーギャップ等を必要とせず、生産性
の高いものとなる。
【0015】また、本発明によれば、記録媒体として、
少なくとも再生用の光源として半導体レーザーあるいは
He/Neレーザーを用い、さらに該照射光を記録媒体
面に対して垂直方向から照射する場合に、記録層を構成
する高分子液晶の初期配向状態の膜厚方向の複屈折率と
膜厚の積(リターデーション)が25〜750nmの範
囲である記録層を有する記録媒体を用いることを特徴と
する上記の記録方法が提供される。
【0016】この記録媒体を用いた場合、当該記録層の
膜厚方向のリターデーション変化に起因する再生光量の
変化が記録前よりも記録後の方が増加するような記録を
行い、かつ当該記録ピットを外力を印加せずに完全に消
去せしめる記録・消去を行うことができる。
【0017】さらに本発明によれば、入力した信号を変
換する信号処理手段と記録時に半導体レーザーあるいは
He/Neレーザーの光ビームを出力する光ビーム出力
手段と、該光ビーム出力手段から2段階以上の強度の光
ビームを出力せしめる光ビーム変調手段を具備し、上記
の記録方法を採用することによって、システム構成の変
更を伴わずに、光照射のみにより消去可能な記録モード
と、光照射のみでは消去できない記録モードを併用する
ことを特徴とする記録装置が提供される。
【0018】本発明に用いる高分子液晶からなる記録層
は、熱的に分子の配向状態又は相間の可逆的な変化によ
り記録、消去を行ない、かつ反復使用に耐えるものであ
る。本方式において、熱的な分子の配向状態変化とはす
なわち高分子液晶分子の配向状態変化を表わし、たとえ
ばスメクチック-ネマチック転移のような分子集合状態
変化やコレステリック高分子液晶のねじれピッチの変化
等を表わすものである。また相変化とはたとえば液晶相
-アイソトロピック相転移のような相間の変化などを意
味する。なお本記録媒体において、熱的に変化した領域
と未変化の領域とは光学的あるいは偏光光学的なコント
ラスト差の検出を介して情報の再生を行うものである。
【0019】このような高分子液晶を利用した記録方法
は、従来の文献、公報等(例えばV.P. Shibaev et al.
著、Polymer Communications、第24巻、第363〜3
65頁、1983年)により数多くの報告が成されてい
るが、高分子液晶が熱的に変化し、これを偏光光学的あ
るいは単に光学的に再生しうる点から記録媒体への応用
可能性を示唆したに過ぎず、消去時には電界、磁界の介
助を必要とし、同一記録媒体において光ビームの照射の
みによる可逆・非可逆の両モード記録の可能性までは検
討されておらず、将来的な実用には提供し難いものであ
った。
【0020】しかるに本発明者らは、従来方式のように
記録層の膜厚方向の全部分あるいは大部分を熱的に変化
させて記録した場合は記録部と未記録部のコントラスト
比は大きくなるが、熱拡散による記録ピットの拡大に起
因する記録密度の低下や記録・消去時の転送速度の遅
延、あるいは消去後のピットに消え残り部分や再記録部
分あるいは偏光光学的な散乱部のような初期配向状態や
記録状態とも異なる第3の状態の出現等種々の問題点を
検討し、これらに対応すべく短時間露光によって記録層
の厚さ方向の一部分を変化させる記録方法を見出し、さ
らにはこのこの記録ピットの大きさを照射光強度の変調
によって制御する手段を用いて、当該高分子液晶メモリ
ーが容易に多値記録を行い得ることにより上記の諸問題
を克服し、かつ多重記録が可能となることを見出した。
【0021】ここで、本発明における記録ピットの大き
さの制御とは、具体的には図1に示したような状態を言
う。つまり、記録光ビームの強度が小なる場合には
(a)のように記録ピットは記録層と配向層との境界部
分に小さく形成され、強度が大なる場合には(b)に示
したように記録ピットが(a)よりも記録層の内部に到
達することを意味する。この時、元の高分子液晶の配向
状態がホモジニアス配向である場合は、直交した一対の
偏光板を介して、偏光の光路長変化、すなわちリターデ
ーションの変化に起因する透過光または反射光量の変化
として検出することが可能となる。
【0022】すなわち、図1のような記録ピットの形成
がなされた場合、膜厚方向の偏光の光路長が、未記録部
>図1の(a)の状態の部分>図1の(b)の状態の部
分の順に短くなる。この時にクロスニコル下で偏光の透
過光または反射光の光量の変化を検出して、情報の再生
を行うことができる。既報によると、リターデーション
Rと再生光量Iとの関係は次式(1)で表わされる。 I=I0sin2(πR/λ) ・・・・・ (1) ここで、I0は入射光量、λは入射光波長である。従っ
て、リターデーションRが非常に小さい場合はIは偏光
光路長に比例し、未記録部>図1の(a)の状態の部分
>図1の(b)の状態の部分の順に小さくなるが、ある
一定の範囲では、未記録部<図1の(a)の状態の部分
<図1の(b)の状態の部分の順に再生光量を制御する
ことも可能である。例えば、膜厚が約2μmで複屈折率
が0.20程度の場合には前者のケース、膜厚が約3μ
mで複屈折率が0.20程度の場合には後者のケースと
なる。本発明においてはいずれのケースも採用しうる。
ところで、前者と後者のケースを比較すると、特に
(a)と(b)の2状態間で前者のケースよりも後者の
ケースの方が判定しやすく、さらには従来の光記録シス
テムを考慮した場合、記録前よりも記録後に再生光量が
増加する方が検出系が簡易であり、結局システム自体が
容易になるというメリットがある。そこで本発明者ら
は、このような記録状態を達成しうる条件を検討した結
果、リターデーションRの値が25〜750nmという
範囲において上記状態が実現されることを見出した。こ
の場合、記録層の膜厚は媒体構成にも関連するが、反射
型記録媒体ではおよそ0.5〜2.5μmの範囲、透過
型記録媒体ではその2倍程度の膜厚が好適であり、さら
に複屈折率は高分子液晶のメソーゲン部位の構造及び配
向状態にも起因するために一概に特定はしにくいが、お
よそ0.05〜0.30の範囲が好適である。
【0023】また、従来方式のように記録ビーム光の照
射エネルギーが充分に大きい場合には記録層の膜厚方向
の全部分が熱的に変化するために電場または磁場の印加
をせずに光ビーム照射のみでは消去されないことを確認
し、これに対して記録光ビームの照射エネルギーが比較
的小さい場合には記録層の厚さ方向の一部分が変化し、
光ビーム照射のみでも消去可能であるという現象を見出
し、当該高分子液晶メモリーは容易にマルチモード記録
が可能であることを見出した。
【0024】ここで、本発明におけるマルチモード記録
とは記録ピットの大きさを記録光の照射条件によって制
御することであり、具体的には図2に示したような記録
光強度の差によって(a)(b)の二状態を形成するこ
とをいう。つまり、記録ビーム光の強度が小なる場合に
は(a)のように記録ピットは記録層内にて形成されそ
の上端は記録層の表層部には到達しない。しかし強度が
大なる場合には(b)に示したように記録ピットが
(a)よりも大きく形成され記録光照射部の全膜厚に渡
って高分子液晶が状態変化することを意味する。この
時、元の高分子液晶層の配向状態がホモジニアス配向で
ある場合は、直交した一対の偏光板を介して、偏光の光
路長変化、すなわちリターデーションの変化に起因する
透過光または反射光量の変化として検出することも可能
であり、可逆・非可逆の二状態を判別して、多値記録と
することも可能である。
【0025】本発明によれば、マルチモード記録におい
ても前記多値記録と同様、リターデーションRの値を2
5〜750nmの範囲とすることで、記録前よりも記録
後に再生光量が増加するような記録方法を実現できる。
この場合、前述した利点に加え、未記録状態を仮に0、
(a)状態を+K、(b)状態を−Kというように3値
に対応させることにより、従来システムと比較して、複
素演算等がより簡易に処理できるシステムを設計するこ
とが可能となる。
【0026】以下に本発明を図面に基いて詳細に説明す
る。本発明に用いる記録媒体は、図3に示すように、基
板1上に高分子液晶から成る記録層2、高分子液晶層を
配向させる配向層3、及び光ビームを吸収する光熱変換
層4より構成されることを基本とし、場合によっては光
ビームを吸収する色素等の光吸収剤を記録層2または配
向層3中に添加することによって光熱変換層4を省略す
ることも可能である。
【0027】先ず、上記構成において短時間の光照射に
よりその厚さ方向の一部分の配向状態または相状態を変
化させる記録方法について述べる。集光されたビーム光
を本記録媒体に照射すると、光熱変換層4にて吸収され
た光が熱に変換され、その結果、図4のような温度分布
が記録層2中に形成され、その中の一部の温度が等方性
転移温度(アイソトロピック点)以上に加熱される。こ
こで光照射を打ち切り、記録層2を急冷させることによ
り、層内で等方相転移温度以上に加熱された部分が、そ
のままの状態(等方相状態)で保持され、その部分のみが
選択的に偏光光学的に異なる状態となり、図5のような
記録が行なわれる。
【0028】本発明においていう短時間露光による記録
とは、当該記録媒体に照射するビーム光の走査を1点当
たりの露光時間が数ms以下となるような速度で走査す
ることをいい、さらに具体的には数十μs以下であるこ
とが望ましい。露光時間が数ns以下と極端に短い場合
は記録層2は等方相転移温度以上に加熱されず、記録ピ
ットは形成されない。また時間が極端に長い場合は等方
相転移温度以上に加熱された部分が拡散し、図6に示し
たように全膜厚が等方性状態となるために、容易に消去
できなくなる。
【0029】また、上記のようにして形成された記録
は、記録時とは異なる条件で記録部に光を照射すること
により、例えば記録層を等方相転移温度よりも低い液晶
温度まで加熱したり、記録時よりも長時間加熱したり、
冷却速度が遅くなるように加熱することにより、消去す
ることができる。すなわち、このような加熱により、等
方性状態で保持された記録ピットは再加熱され、記録ピ
ットを含む微小領域の粘度を低下せしめて領域内の分子
が分子運動できる状態になったときに、周囲の配向して
いる高分子液晶分子及び配向層から配向規制力を受け
て、ランダム状態の高分子液晶分子が再配向することに
より、消去がなされる。この分子再配向が起こる温度は
等方相転移温度より数℃〜数十℃低い温度が好適である
が、消え残りのない完全な消去を行うためには、少なく
とも記録ピット全体がこの温度範囲に入るように加熱す
る必要がある。また、消去時には緩やかに温度が変化す
るのが好ましい。従って、消去時には記録時よりも低パ
ワーにてかつ記録時よりも比較的長い時間照射すること
により、確実な消去ができるようになる。この時、例え
ば記録時と同じ照射時間で強度のみを弱くすると、記録
ピット全体を均一に加熱することができず、また照射時
間のみを長くすると、膜厚方向の深部までが高い温度に
加熱され、結局再記録されてしまう。
【0030】本発明で利用される記録媒体の層構成は図
3のみに限定されず、例えば図7のように記録層2の中
心部等に光熱変換層4を設けるようにしてもよい。この
場合はビーム光照射時に図4とは異なる温度分布が記録
層2内で形成され、図7の場合には、記録層中心部が最
も高温となる分布をする。従ってこれらの構成の記録媒
体においては記録部分は各々温度分布に応じた領域で記
録されることになる。しかしながら、上記構成の記録媒
体を用いた場合には不具合点も出現する可能性があり、
例えば図7の場合には図3の構成よりも記録部が配向層
3から離れているために、配向層3からの配向規制力が
低下し、消去時の性能が劣化する可能性もある。しかし
上記のような問題も記録層膜厚の調整や配向層の材料、
膜厚、ラビング方法等の選択、さらに光熱変換層の構成
及び材料の選択等により容易に克服し得る。
【0031】以上、短時間の照射により記録層の厚さ方
向の一部分の配向状態または相状態を変化させて記録を
行う方法につき図3を参照して述べたが、前述したよう
に、本発明によれば、図3と同様な構成の記録媒体に記
録光ビームの強度を多段階に変調せしめて照射し、当該
記録ビーム光強度に応じて形成される記録ピットの大き
さを多段階に異ならせて記録を行い、透過光または反射
光の光量差あるいは位相差によってそれを検出する多値
記録を行うことも可能である。
【0032】さらに、前述したように、本発明によれ
ば、図3と同様な構成の記録媒体に記録ビーム光の照射
エネルギーを多段階に変調せしめて照射し、入力すべき
情報の種類、用途によって記録層の厚さ方向の部分的な
変化による記録ピットであって光又は熱によって消去可
能な可逆的記録ピットと、記録層の膜厚方向の全部分の
変化による記録ピットであって光又は熱のみによっては
容易に消去されない非可逆的記録ピットを形成して記録
を行い、透過光または反射光の光量差あるいは位相差に
よってそれを検出するいわゆるマルチモード記録を行う
ことが可能である。
【0033】本発明において用いられる高分子液晶は公
知のものが利用できるが、メソーゲン部位を主鎖ないし
側鎖に有し、平均分子量が500以上のものが利用でき
る。又、当該高分子液晶は架橋されているものであって
も良く、光架橋型であればなお好ましい。
【0034】以下に本発明で用いる高分子液晶の具体例
を挙げるが、以下において*は不斉炭素原子であること
を示す。
【0035】
【表1】
【0036】
【表2】
【0037】
【表3】
【0038】
【表4】
【0039】
【表5】
【0040】
【表6】
【0041】
【表7】
【0042】
【表8】
【0043】
【表9】
【0044】
【表10】
【0045】
【表11】
【0046】
【表12】
【0047】このような高分子液晶は通常単独ないし混
合して使用され、更に他の低分子液晶を加えて使用する
ことも可能である。ここで添加される低分子液晶は高分
子液晶の粘度、相転移温度等をコントロールして、記録
特性及び消去特性の改善を目的とするもので、ネマチッ
クやスメクチックあるいはコレステリック液晶で公知の
ものが利用できる。
【0048】このような高分子液晶を使用して、例えば
メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロ
ヘキサノン等のケトン系、酢酸ブチル、酢酸エチル、酢
酸メチル、カルビトールアセテート、ブチルカルビトー
ルアセテート等のエステル系、メチルセロソルブ、エチ
ルセロソルブ、テトラヒドロフラン等のエーテル系、な
いしトルエン、キシレン等の芳香族系、ジクロロエタン
等のハロゲン化アルキル系、N,N−ジメチルホルムア
ミド、N−N−ジメチルアセトアミド、アルコール系等
溶液に溶解して、例えば、ディップコーティング、スプ
レーコーティング、スピナーコーティング、ブレードコ
ーティング、ローラコーティング、カーテンコーティン
グ、ワイアーコーティング等の溶液塗布法や場合によっ
ては加熱による融液状態から塗布して形成することが可
能である。
【0049】本発明で用いられる記録媒体の光熱変換層
4を形成する材料には公知のものを利用できるが、具体
的には下記のようなものが例示される。例えば、有機材
料としては、シアニン類、ピリリウム類、スクアリリウ
ム類、クロコニウム類、アズレン類、ペンタメチン類等
のメチン・ポリメチン系化合物、チオインジゴ類等のイ
ンダンスレン系化合物、アントラキノン類、ナフトキノ
ン類等のキノン系化合物、ジチオール類、ジアミン類、
フタロシアニン類、ナフタロシアニン類、テトラヒドロ
コリン類、インドアニリン類等の金属錯体系化合物、ジ
フェニルメタン系化合物、ジオキサジン系化合物、ジチ
アジン系化合物、トリフェニルアミン系化合物、アゾ染
料系化合物等の可視あるいは近赤外域に吸収を持つ色素
群などが挙げられ、無機材料としては、例えば、金、白
金、銀、銅、鉛、亜鉛、アルミニウム、ニッケル、タン
タル、コバルト、クロム、ゲルマニウム、ニオブ、パラ
ジウム、スズ等の各種金属の蒸着、CVD、スパッタリ
ング膜などが挙げられるが、本発明は特にこれらに限定
されるものではない。
【0050】尚、上記無機材料及び一部の有機材料を利
用すると、光熱変換層4を反射層としても利用できるた
めに、情報の再生は記録層側より再生光を反射して、そ
の反射光を検出する方式が採用でれる。光熱変換層4の
反射率が低い場合には記録層2の透過光により情報を検
出する方式が採用され易いため、再生光は記録層2、基
板1のいずれの側から入射されても良い。
【0051】本発明で用いられる記録媒体を構成する他
の構成材料についても説明すると、配向層3の材料とし
ては公知の材料が利用できるが、具体的にはポリイミド
あるいはその前駆体であるポリイミック酸などにラビン
グ処理を施したものや、シリコン酸化物等を斜方蒸着し
たものなどが使用できる。
【0052】又、基板1を構成する材料についても種々
の公知の材料が使用できるが、例えばポリエチレン、ポ
リエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリスチ
レン、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリビニル
アルコール、ポリビニルアセテート、ポリアミド、ポリ
イミド、ポリオレフィン、アクリル樹脂、フェノール樹
脂、エポキシ樹脂、フッ素系樹脂、及び上記の誘導体な
どの各種プラスチックやガラス、石英板、セラミックな
どを利用することが可能である。
【0053】次に本発明による情報記録装置について説
明する。図8は本発明の実施例に関わる情報記録装置を
示す概略構成図である。情報信号処理装置10は、入力
される情報信号を2値化し、かつ情報信号の種類によっ
て可逆・非可逆各記録モードと消去モードとを区別し
て、光源ドライブ回路11を駆動するものである。また
光源ドライブ回路11は上記情報信号処理回路10から
の信号に応じて光源12を駆動し、光源12から記録光
ビームを出力する。光源12は記録用レーザービームを
記録媒体に照射するものであり、半導体レーザー(L
D)やHe−Neレーザー等を用いることがでるが、価
格的及び構成上LDが好適である。光源12より射出さ
れた光ビームは整形レンズ13にてコリメートされる。
その後、整形レンズ13直下のミラー16によって記録
時と消去時の光学系の選択が行なわれ、まず記録時には
対物レンズ14を通過してモータ28により回転駆動さ
れた記録媒体30に集光される。これにより照射部分に
状態変化が生じて、光源12で変調出力された照射光強
度に応じて、可逆・非可逆の記録ピットが形成される。
【0054】さらに対物レンズ15は消去光ビームを出
力する際に用いる光学系で、光源12より出力された光
ビームは整形レンズ13でコリメートされた後、ミラー
16によって対物レンズ15を通過して記録時とは異な
る照射条件によって情報記録媒体30に集光照射され
る。ミラー16はモータ17及びモータドライバ回路1
8を経て情報信号処理回路10によって制御される。
【0055】一方、情報の再生は光源20から再生光ビ
ームによって行なわれ、光源20より射出された再生光
ビームは整形レンズ21でコリメートされた後、ビーム
スプリッター22を通過し、波長板23で直線あるいは
円偏光に変換された後に対物レンズ24を経て情報記録
媒体30に照射される。この再生光ビームは記録媒体3
0にて反射され、前述の対物レンズ24、波長板23を
通過し、ビームスプリッター22を透過した後、集光レ
ンズ25を経て検出器26に導かれる。この検出器26
は例えばフォトダイオード等の光電変換素子からなり、
記録媒体30からの再生情報を検出し、再生信号処理装
置27に出力され、再生信号として出力される。なお、
検出器26からの検出信号は再生信号処理装置27を介
して制御装置29にもフィードバックされ、この制御装
置29は対物レンズ14,15,24のフォーカシング
制御、トラッキング制御を行なう。
【0056】なお、上記ではマルチモード記録を行う場
合の装置例につき述べたが、可逆モードと非可逆モード
を区別しないで、短時間のレーザ光照射を行い記録層の
厚さ方向の一部分の配向状態または相状態が変化するよ
うに記録光強度を調整するようにした記録媒体用の情報
記録装置や、また記録光パワーを数段階に変化させる機
構を設けた記録媒体用の情報記録装置を構成することも
できる。
【0057】
【実施例】以下に実施例により本発明をさらに具体的に
説明する。
【0058】実施例1 基板1として光学研磨された厚さ1.2mmのガラス板
を用い、この基板1上に厚さ約900Åのクロム膜を蒸
着し、光熱変換層4を設けた。そしてその上にポリイミ
ック酸数重量%を含むN−メチルピロリドン溶液をスピ
ンコート法にて約1000Åの厚さにて製膜後、90℃
で乾燥した後に270℃で1時間脱水縮合させてポリイ
ミド化させた。この膜に100g/cm2の荷重で10
回のラビング処理を施し、配向層3を形成した。次い
で、この配向層3上に、前記のNo.33の液晶をテト
ラヒドロフラン中に10重量%溶解した溶液により、同
じくスピンコート法によって厚さ0.5μmの記録層2
を形成し、図3に示す構成の記録媒体を作製した。
【0059】この記録媒体を170℃で30分間アニー
ル処理し、記録層2の高分子液晶の分子をホモジニアス
配向させたところ、偏光顕微鏡観察によって良好な配向
をしていることが確認された。
【0060】<記録> 上記で作製した記録媒体に対して発振波長780nm、
ビーム径1μmの半導体レーザー光を用いて、線速3m
/s、光強度10mWにて直線状に記録を形成した。偏
光顕微鏡を用いて、直交ニコル下でステージ角45°
(対角位)にて当該記録部分を観察したところ、記録部
分が選択的に暗状態を形成しており、未記録部分と明ら
かなコントラストを有していることが判った。
【0061】<再生> 上記のようにして記録が形成された記録媒体に対して、
先の半導体レーザー光の光強度を1mWに落とし、線速
3m/sにて、記録線に対して垂直にスキャンし、その
反射光をピンフォトダイオードで検出できる様なシステ
ムを使い、半導体レーザー光が記録層に入射する前と、
反射された後に各々1枚の偏光板を設けて、この一対の
偏光板の方位が直交するように設置した。この状態で受
光素子から得られる応答を計測したところ、未記録部と
記録部では明らかな出力差が得られ、S/N比換算で少
なくとも30dB以上で検出できることが判った。
【0062】<消去> この記録媒体を170℃に加熱したホットステージ上で
30秒間加熱した後、急冷したところ上記記録線は完全
に消去されていることが偏光顕微鏡によって確認され
た。
【0063】上記記録後の記録媒体に対して5μmのビ
ーム径に集光した半導体レーザー光を用いて強度6m
W、線速50mm/sで再生の際と同様に記録線と垂直
方向にスキャンし、部分的消去を試みた。そしてこの記
録媒体を偏光顕微鏡観察したところ、記録線の一部が幅
2.5μmに渡って消去されていることが確認できた。
【0064】実施例2 基板1として光学研磨された50×50(mm2)、厚
さ1.2mmのガラス板を用い、この基板1上に厚さ約
900Åのクロム蒸着膜を設けて光熱変換層4とした。
そしてその上に、ポリイミック酸数wt%を含むN−メ
チルピロリドン溶液を用いてスピンコート法にて約10
00Åの厚さの薄膜を塗工し、乾燥後、270℃で1時
間脱水縮合してポリイミド化させた。この膜に100g
/cm2の荷重で10回のラビング処理を施し、配向層
3を形成した。
【0065】次いで、この配向層3上に前記のNo.3
3の液晶を5wt%テトラヒドロフラン溶液とし、スピ
ンコート法にて5000Åの記録層2を形成した後、1
70℃にて30分間アニール処理を施し、当該液晶分子
を配向させた後に急冷し、記録媒体を作製した。
【0066】この記録媒体を偏光顕微鏡を用いて直交ニ
コル下で観察したところ、ステージ角に依存して明らか
な明暗差が生じ、当該高分子液晶の分子が基板面に対し
てホモジニアス配向していることが確認された。
【0067】次に、この記録媒体を用いて、以下の手順
で記録・消去・再生の実験を行なった。
【0068】〈記録〉 本記録媒体に対して発振波長780nm、ビーム径1μ
mに集光した半導体レーザー光を用いて、線速4m/s
で強度を16,12,8mWと変えて、各強度毎に直線
状に10μmピッチで数本のラインを記録した。その記
録媒体を反射型偏光顕微鏡を用いて直交ニコル下、対角
位(ステージ角45°)で観察したところ、記録部分は
周囲の未記録部と異なり、選択的に暗状態を形成してい
た。この部分はステージ角に依存せずに常時、暗状態で
あるために、上記操作により等方性部分が記録層中に出
現したことが確認された。
【0069】〈再生〉 上記記録済媒体を用いて、記録時に使用した半導体レー
ザー光にて強度3mW、線速4m/sで記録層側から記
録線と垂直方向に走査した。照射光は媒体入射前に偏光
子を通過し媒体から反射後検光子を経て受光素子(光電
増倍管)にて光量が計測できるようにした。この受光素
子からの応答により各信号が表13のように再生できる
ことが判った。
【0070】
【表13】
【0071】上記の結果から、本記録媒体の再生信号は
記録光強度に依存し、記録光強度が高い程、記録したラ
インの幅が太くなり、未記録部との明暗差を大きくなる
ということが判った。
【0072】〈消去〉 上記記録媒体に対して波長780nmの半導体レーザー
光を5μmに集光したビームを用いて、強度8mW、線
速200mm/sで基板側から再生光と同様に記録線と
は垂直に消去光を走査した。この媒体を偏光顕微鏡にて
クロスニコル下で消去光と記録線との交叉部を観察した
ところ、記録光強度12mWと8mWで記録した部分で
は幅2μmに渡って記録線が消去され、元のホモジニア
ス配向状態に戻っていることが確認された。しかし、1
6mWで記録した部分は、記録線が薄くなっているもの
の完全な消去には至らなかった。
【0073】比較例1 上記実施例1で用いた記録媒体を再度170℃で30分
間アニール処理し、初期化した後、下記条件で記録、消
去の実験を行なった。 ・記録条件 ビーム径:1μmφ ビーム強度:1.6mW 線速:3m/s ・消去 ビーム径:5μmφ ビーム強度:6mW 線速:50mm/s
【0074】記録後のラインを観察したところ、実施例
の場合よりも明らかに太い線が形成されていることが判
った。又、これに対して消去を行なったが、消去後のラ
インはほとんど変わらず、若干記録後よりも細くなって
いる部分がある程度で、記録線が完全に消去できていな
いことが判った。
【0075】比較例2 実施例2にて使用した媒体を用いて、同実施例と同様の
操作によって、波長780nm、ビーム径5μmの半導
体レーザー光を線速4m/s、強度16〜4mWで走査
した。この媒体を実施例2と同様に偏光顕微鏡で観察し
たが、記録線には変化は見られず、消去はできなかっ
た。
【0076】比較例3 比較例2と同様の条件で、消去光のビーム径を実施例2
と同じく直径1μmまで集光して、以下比較例2と同様
の操作をしたところ、強度8〜16mWでは記録線とは
垂直に新たな線が引かれており再記録されていた。又、
強度7〜1mWでは媒体上に偏光光学的な変化は見られ
なかった。
【0077】実施例3 光学研磨された厚さ1.2mmのパイレクスガラスを基
板1として用い、これに厚さ約900Åのクロム膜を蒸
着し、光熱変換層4を設けた。この上にポリアミック酸
数重量%を含むN−メチルピロリドン溶液をスピンコー
トし約100nmの薄膜を形成した後、270℃で1時
間脱水縮合しポリイミド化した。この膜に100g/c
2の荷重で10回ラビング処理し、配向層3を形成し
た。次いで、この配向層3上に前記No.33の液晶を
テトラヒドロフラン中に約10重量%溶解した溶液を用
い、ブレードコート法によりウェットギャップ10μm
にて前記配向層3上に厚さ300nmの記録層2を形成
し、オーブン中で170℃で30分間配向処理を施し、
図3に示す構成の記録媒体を作製した。この記録媒体を
偏光顕微鏡を用いて、直交ニコル下で観察したところ、
ステージ角に依存して大きな明暗差を呈することから本
高分子液晶のメソーゲン部位が基板に対して良好なホモ
ジニアス配向をしていることが確認された。
【0078】次に光ビーム出力手段として波長780n
m、定格出力強度35mWの半導体レーザー(LD)と
これをサンプル面上にφ1μmにフォーカスする光学系
を有し、光ビーム変調手段として半導体レーザードライ
ブ回路を有し、可逆・非可逆各々の情報に応じて2段階
の出力信号を発生する信号出力手段を具備する記録装置
を使用し、2つの情報に応じてサンプル面上の強度が可
逆モードの場合は8mW、非可逆モードでは16mWの
2段階に変調して、各々250ns基板側から記録ビー
ム光を照射した。
【0079】この記録媒体を用い、上記記録装置の試料
面上ビーム光強度を2mWに下げ、連続点灯(CW)で
記録層側より一対の偏光板を介して反射率を測定したと
ころ表14のような結果が得られた。
【0080】
【表14】
【0081】また、本記録媒体に対して、波長780n
m、定格出力強度35mWのLDをサンプル面上にφ5
μmにフォーカスし、連続点灯(CW)、試料面上ビー
ム光強度を8mW、線速200mm/sで基板側から消
去光を照射したところ、上記記録ピットの内8mWで記
録した部分は完全に消去できることが確認されたが、1
5mWで記録した部分は消去光線速を20mm/sに減
速して数回走査したにも関わらず、消去することはでき
なかった。
【0082】実施例4 光学研磨された厚さ1.2mmのパイレクスガラスを基
板1として用い、これに厚さ約900Åのクロム膜を蒸
着し、光熱変換層4を設けた。この上にポリアミック酸
数重量%を含むN−メチルピロリドン溶液をスピンコー
トし約100nmの薄膜を形成した後、270℃で1時
間脱水縮合しポリイミド化した。この膜に100g/c
2の荷重で10回ラビング処理し、配向層3を形成し
た。次いで、この配向層上に前記No.33の液晶をテ
トラヒドロフラン中に約10重量%溶解した溶液を用
い、スピンコート法により前記配向層3上に厚さ1.2
μmの記録層2を形成し、オーブン中で170℃で30
分間配向処理を施し、図3に示す構成の記録媒体を作製
した。この記録媒体を偏光顕微鏡を用いて、直交ニコル
下で観察したところ、ステージ角に依存して大きな明暗
差を呈することから本高分子液晶のメソーゲン部位が基
板に対して良好なホモジニアス配向をしていることが確
認された。
【0083】次に光ビーム出力手段として波長780n
m、定格出力強度35mWの半導体レーザー(LD)と
これをサンプル面上にφ5μmにフォーカスする光学系
を有し、光ビーム変調手段として半導体レーザードライ
ブ回路を有し、5種類の情報に応じて5段階の出力信号
を発生する信号出力手段を具備する記録装置を使用し、
5つの情報に応じてサンプル面上の強度を0mW、12
mW、13mW、14mW、15mWの5段階に変調さ
せて、各々25μs基板側から記録ビーム光を照射し
た。この信号に基づくレーザービームの照射により大き
さな異なる5段階の情報が記録された。このサンプルを
用い、上記記録装置の試料面上ビーム光強度を2mWに
下げ、連続点灯(CW)で記録層側より一対の偏光板を
介して反射率を測定したところ表15のような結果が得
られた。
【0084】
【表15】 また本記録媒体を再度オーブン中で170℃で30分間
配向処理を施すことにより、上記記録ピットは完全に消
去できることが確認された。
【0085】実施例5 光学研磨された厚さ1.2mmの硼硅酸ガラスを基板1
として用い、この基板1上に厚さ約1000Åのクロム
膜を蒸着して光熱変換層4を設けた。そしてその上にポ
リアミック酸数重量%を含むN−メチルピロリドン溶液
をスピンコート法にて塗布して、約500nmの薄膜を
形成した。これを270℃で1時間脱水縮合してポリイ
ミド化し、室温放冷後、この膜に100g/cm2の荷
重で10回ラビング処理を施し、配向層3を形成した。
次いで、この配向層3上に前記のNo.33の液晶をテ
トラヒドロフラン溶液中に10重量%溶解した溶液を用
い、配向層同様スピンコート法により厚さ約1.6μm
の記録層2を形成した後、オーブン中で170℃で30
分間配向処理を施し、図3に示す構成の記録媒体を作製
した。
【0086】この記録媒体を偏光顕微鏡を用いて直交ニ
コル下で観察したところ、ステージ角に依存して明らか
な明暗差を呈することから、高分子液晶記録膜が基板に
対して良好なホモジニアス配向をしていることが確認さ
れた。また本記録媒体のリターデーションを顕微分光シ
ステムにより測定したところ、波長780nmにおいて
約190nmであった。
【0087】次に光源として波長780nm、定格出力
強度35mWの半導体レーザー(LD)とこのビーム光
をサンプル面上にφ5μmに集光する光学系を持ち、さ
らにビーム光を変調する手段としてLDドライブ回路と
本記録媒体を定速で運動させるモータおよびモータドラ
イブを有する記録装置を使用し、5種類の情報に応じて
レーザー光強度を5段階に変調しながら、当該記録媒体
の基板1側から100mm/sの走査速度で、デューテ
ィー比50%にて、表16の条件により記録光を照射し
た。
【0088】
【表16】
【0089】本記録媒体を用い、上記記録装置のビーム
光強度を3mWに下げ、連続点灯(CW)にて記録層側
より一対に互いに直交する偏光板を介して、当該記録部
分の反射光量を測定したところ、表16のような結果が
得られた。
【0090】また、本記録媒体を上記記録装置にてレー
ザー光強度6mW、走査速度0.64mm/sにて基板
側から消去光を連続点灯(CW)にて照射したところ、
上記記録ピットはほぼ完全に消去できることが確認され
た。
【0091】実施例6 光学研磨された厚さ1.2mmのパイレクスガラスを基
板1として用い、この基板1上に厚さ約1000Åのク
ロム膜を蒸着して光熱変換層4を設けた。そしてその上
にポリアミック酸数重量%を含むN−メチルピロリドン
溶液をスピンコート法により塗布して、約500nmの
薄膜を形成した。これを270℃で1時間脱水縮合して
ポリイミド化し、室温放冷後、この膜に100g/cm
2の荷重で10回ラビング処理を施し、配向層3を形成
した。次いで、この配向層3上に前記のNo.33の液
晶をテトラヒドロフラン溶液中に10重量%溶解した溶
液を用い、配向層同様スピンコート法により厚さ約1.
6μmの記録層2を形成した後、オーブン中で170℃
で30分間配向処理を施し、図3に示す構成の記録媒体
を作製した。
【0092】この記録媒体を偏光顕微鏡を用いて直交ニ
コル下で観察したところ、ステージ角に依存して明らか
な明暗差を呈することから、高分子液晶記録膜が基板に
対して良好なホモジニアス配向をしていることが確認さ
れた。また本記録媒体のリターデーションを顕微分光シ
ステムにより測定したところ、波長780nmにおいて
約190nmであった。
【0093】次に光源として波長780nm、定格出力
強度35mWの半導体レーザー(LD)とこのビーム光
をサンプル面上にφ5μmに集光する光学系を持ち、さ
らにビーム光を変調する手段としてLDドライブ回路と
本記録媒体を定速で運動させるモータおよびモータドラ
イブを有する記録装置を使用し、3種類の情報に応じて
レーザー光強度を3段階に変調しながら、当該記録媒体
の基板1側から100mm/sの走査速度で、デューテ
ィー比50%にて、表17の条件により記録光を照射し
た。
【0094】
【表17】
【0095】本記録媒体を用い、上記記録装置のビーム
光強度を3mWに下げ、連続点灯(CW)にて記録層側
より、一対に互いに直交する偏光板を介して、当該記録
部分の反射光量を測定したところ、表17のような結果
が得られた。
【0096】また、本記録媒体を上記記録装置にてレー
ザー光強度6mW、走査速度0.64mm/sにて、基
板側から消去光を連続点灯(CW)にて照射したとこ
ろ、上記記録ピットは可逆記録がほぼ完全に消去できる
のに対して、非可逆記録はほとんど変化なく消去できな
いことが、偏光顕微鏡で確認された。
【0097】
【発明の効果】本発明によれば、高分子液晶記録層の厚
さ方向の一部分の配向状態を変化させることにより記録
を行うために、記録時の転送速度を向上させるだけでな
く、記録時の変化部分が消去の際に元の状態に戻りやす
いため消し残りがなくかつ消去速度が高速化され、信頼
性の高い記録、消去を行うことが可能となる。また、本
発明によれば、高分子液晶層の膜厚方向の配向状態変化
あるいは相状態変化の大きさを簡便に多段階に制御する
ことにより、多値記録が可能となり、記録密度を飛躍的
に向上させることができる。さらに、本発明によれば、
高分子液晶層の膜厚方向の配向状態変化あるいは相変化
の範囲を簡便に制御して、単一記録媒体で可逆・非可逆
の2種類の記録を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における記録ピットの大きさのコントロ
ールの説明図である。
【図2】本発明における記録ピットの大きさのコントロ
ールの説明図である。
【図3】本発明に用いる記録媒体の層構成例を示す断面
図である。
【図4】図3の記録媒体の記録層内に形成されるべき温
度分布を示す断面図である。
【図5】本発明における記録の状態の一例を示す断面図
である。
【図6】長時間照射によって記録層全体に渡って形成さ
れる記録の状態の一例を示す断面図である。
【図7】本発明に用いる記録媒体の別の層構成例を示す
断面図である。
【図8】本発明に係る情報記録装置の構成例を示す概略
図である。
【符号の説明】
1 基板 2 記録層 3 配向層 4 光熱変換層 10 情報信号処理装置 11 光源ドライブ
回路 12,20 光源 13,21 整形レ
ンズ 14,15,24 対物レンズ 16 ミラー 22 ビームスプリッター 23 波長板 25 集光レンズ 26 検出器 27 再生信号処理装置 29 制御装置 30 情報記録媒体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 寺村 薫 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株 式会社リコー内 (72)発明者 太田 正文 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株 式会社リコー内 (56)参考文献 特開 平2−236525(JP,A) 特開 平1−162246(JP,A) 特開 昭57−120235(JP,A) 特開 昭61−188750(JP,A) 特開 平3−235916(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G11B 7/0045 G11B 7/24

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも基板上に配向状態の変化また
    は相変化を起こして記録、消去を行う高分子液晶からな
    る記録層と該高分子液晶を配向させる配向層を有し、該
    記録層は光照射のみにより、その厚さ方向の一部分の配
    向状態または相状態を変化させる記録モードと、当該記
    録層の厚さ方向の全部分の配向状態または相状態を変化
    させる記録モードの、少なくとも2種以上の記録モード
    で記録可能な記録媒体を用い、膜厚の一部分を変化させ
    る前者の記録モードの場合は、光照射のみで消去可能な
    記録ピットを形成し、膜厚の全部分を変化させる後者の
    記録モードの場合では、光照射のみでは消去できない記
    録ピットを形成する、少なくとも2種類以上の記録ピッ
    トを形成することを特徴とする記録方法。
  2. 【請求項2】 記録媒体として、少なくとも再生用の光
    源として半導体レーザーあるいはHe/Neレーザーを
    用い、さらに該照射光を記録媒体面に対して垂直方向か
    ら照射する場合に、記録層を構成する高分子液晶の初期
    配向状態の膜厚方向の複屈折率と膜厚の積(リターデー
    ション)が25〜750nmの範囲である記録層を有す
    る記録媒体を用いることを特徴とする請求項1に記載の
    記録方法。
  3. 【請求項3】 入力した信号を変換する信号処理手段と
    記録時に半導体レーザーあるいはHe/Neレーザーの
    光ビームを出力する光ビーム出力手段と、該光ビーム出
    力手段から2段階以上の強度の光ビームを出力せしめる
    光ビーム変調手段を具備し、請求項1又は2に記載の記
    録方法を採用することによって、システム構成の変更を
    伴わずに、光照射のみにより消去可能な記録モードと、
    光照射のみでは消去できない記録モードを併用すること
    を特徴とする記録装置。
JP03259909A 1990-09-12 1991-09-11 記録方法及び記録装置 Expired - Fee Related JP3141299B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP03259909A JP3141299B2 (ja) 1990-09-12 1991-09-11 記録方法及び記録装置

Applications Claiming Priority (7)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP24150190 1990-09-12
JP24908790 1990-09-19
JP2-241501 1990-10-31
JP2-249087 1990-10-31
JP29504290 1990-10-31
JP2-295042 1990-10-31
JP03259909A JP3141299B2 (ja) 1990-09-12 1991-09-11 記録方法及び記録装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH0520712A JPH0520712A (ja) 1993-01-29
JP3141299B2 true JP3141299B2 (ja) 2001-03-05

Family

ID=27477848

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP03259909A Expired - Fee Related JP3141299B2 (ja) 1990-09-12 1991-09-11 記録方法及び記録装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3141299B2 (ja)

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20000000563A (ko) * 1998-06-01 2000-01-15 장용균 정보기록매체
US6881570B1 (en) 1998-12-15 2005-04-19 Fuji Photo Film Co., Ltd. Test piece and quantitative method and apparatus for an organism-oriented substance
JP4671494B2 (ja) * 2000-12-12 2011-04-20 株式会社半導体エネルギー研究所 情報装置の駆動方法
JP5525657B2 (ja) * 2011-06-07 2014-06-18 日立コンシューマエレクトロニクス株式会社 光情報記録再生装置
JP6950914B2 (ja) * 2016-09-20 2021-10-13 国立研究開発法人産業技術総合研究所 受光応答装置

Also Published As

Publication number Publication date
JPH0520712A (ja) 1993-01-29

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP0306925B1 (en) Recording method and recording apparatus
KR100719431B1 (ko) 광학 기록 매체, 및 광학 기록 매체를 이용하는 기록 및/또는 재생 장치
US5339306A (en) Detecting interferential diffraction of a reflected beam from a polymer liquid crystal recording medium
Sabi et al. Photoaddressable polymers for rewritable optical disc systems
JPS63216791A (ja) レーザー光学的書き込み及び読み出し法、その装置及び多層レーザ光学的データディスク
JP3141299B2 (ja) 記録方法及び記録装置
US5272552A (en) Optical modulation device and method using modulation layer of helical polymer liquid crystal having a helical chiral smectic C phase
JP3080454B2 (ja) カード型光記録媒体およびその製造方法
JP2515566B2 (ja) 記憶媒体
JP3030425B2 (ja) 記録方法及び記録装置
JP3047002B2 (ja) 記録方法
JPS62162254A (ja) 光記録読出方法
JPH03120625A (ja) 情報記録再生装置
JP3054785B2 (ja) 記録の消去方法
JP2810379B2 (ja) 情報記録媒体
JPH04336284A (ja) 記録方法及び記録装置
JP2004535036A (ja) 情報の記録及び読出し手段を備えた多層複合液晶光メモリシステム
JP2678219B2 (ja) 光記録媒体へのデータ固定方法,光記録媒体,及びデータ記録装置
JP2696696B2 (ja) 情報記録媒体
JP3068420B2 (ja) 光学的情報記録媒体の再生方法
JP2632920B2 (ja) 記録方法、記録媒体及び記録装置
JP2515567B2 (ja) 記録方法
JPH05128592A (ja) 光情報記録媒体とそれを用いた記録再生装置
EP0651381A1 (en) Optical storage medium and method of storing information
JP2696697B2 (ja) 情報記録媒体

Legal Events

Date Code Title Description
FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20071222

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081222

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081222

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091222

Year of fee payment: 9

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees