JP3675542B2 - 波形記録計 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は波形記録計に関し、さらに詳しく言えば、測定記録動作中に記録条件が変更された場合でも、その新たに設定された記録条件にしたがって測定記録動作を続行させるとともに、測定終了後においてどの時点で記録条件が変更されたかが分かるようにした波形記録計に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
波形記録計において、アナログ入力信号はA/D変換器を介してディジタルの波形データとして取り込まれ、例えばRAMよりなるストレージメモリに格納される。このストレージメモリへの波形データの書込み、読出しはCPU(制御手段)にて制御され、CPUは操作部(キーボード)にて設定された記録条件にしたがって波形データを処理してプリンタもしくはディスプレイに表示する。
【0003】
実時間記録の場合には、あらかじめ操作部により記録条件として、例えばチャートスピードや電圧軸レンジなどが設定され、その記録条件にしたがってデータ処理が行なわれる。図3にはそのデータ処理の一例のフローチャートが示されている。
【0004】
すなわち、測定記録スタートキーが押されることにより、当初設定された記録条件にしたがって立上がるが、すぐに次のステップでその記録条件、例えばチャートスピードに変更はないかが判断され、変更がない場合には所定の記録長に至るまでストレージメモリへの波形データの書込みおよび読出しと、プリンタもしくはディスプレイに対する表示のための表示処理が行なわれる。
【0005】
これに対して、その動作中に操作部より例えばチャートスピード(波形データの取込みスピード)の変更指示があった場合には、それまでの測定動作を中断し、新たに設定されたチャートスピードに基づいて測定記録をし直す(リスタート)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
これによれば、ソフトウェア(プログラム)的には、その処理が簡単に行なわれるが、記録条件の変更の都度、測定記録をし直すリスタートがかかるため被測定対象の連続記録ができない、という問題があった。
【0007】
なお、測定動作中に例えば上記のようにチャートスピードの変更指示があった場合、リスタートさせることなくそのまま測定動作を続行させると、いつの時点でどのようにチャートスピードが変更されたかが記録に残らないため、原則として測定動作中でのチャートスピードやその他の記録条件(例えば電圧軸レンジ)の変更は禁じられているのが実情であった。
【0008】
本発明は、このような従来の問題点を解決するためになされたもので、その目的は、測定動作中にチャートスピードなどの記録条件が変更された場合でも、その変更データの履歴を残した上で、測定動作を続行させて連続記録ができるようにした波形記録計を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1の発明は、アナログ入力信号をディジタルの波形データに変換するA/D変換器と、同A/D変換器にて変換された上記波形データを逐次記憶するストレージメモリと、プリンタおよび/またはディスプレイを含む表示手段と、上記ストレージメモリへのデータ書込み、読出しおよび上記表示手段に対してのデータ表示処理を制御する制御手段と、同制御手段に記録条件を設定する操作部とを備え、上記操作部により設定された記録条件にしたがって上記波形データを上記表示手段に表示する波形記録計において、上記操作部にて設定される記録条件を記憶する記録目次レジスタを備え、当該記録計の動作中に上記操作部より記録条件の変更がなされた場合、上記制御手段はその変更された記録条件およびその変更時点の時間データを上記記録目次レジスタに格納し、以後当該記録計を変更された記録条件にしたがって動作させ、所定の記録長が終了した後に、上記ストレージメモリ内の波形データを上記ディスプレイに表示する際、上記記録目次レジスタ内の変更データにしたがってカーソル指示値が変更されることを特徴としている。
【0010】
このように、記録条件が変更される都度、その変更データが記録目次レジスタに格納されるため、リスタートをかけることなくそのまま測定動作を続行させて連続記録させても、記録波形データを解析する上で支障は生じない。
【0011】
この場合、上記記録目次レジスタに格納される上記時間データは、上記記録条件が変更された時点に上記ストレージメモリに書き込まれる波形データのアドレスであることが好ましく、これによれば、記録波形データを解析するに際して、そのアドレスにより変更時点の時間軸位置を容易に読み取ることができる。
【0012】
また、所定の記録長が終了した後において、上記記録目次レジスタの記憶データが上記プリンタにより打ち出し可能とすることが好ましく、これによれば、記録条件の変更履歴を容易に把握することが可能となる。
【0013】
また、請求項の発明によれば、所定の記録長が終了した後に、上記ストレージメモリ内の波形データを上記ディスプレイに表示する際、上記記録目次レジスタ内の変更データにしたがってカーソル指示値が変更されるため、記録条件が変更された記録領域内のデータ値をそのカーソル指示値から直読することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の技術的思想をよりよく理解するうえで、図1および図2を参照しながらその実施の形態について説明する。
【0015】
図1には本発明による一実施例の概略的なブロック線図が例示されており、これによると、この波形記録計はアナログ入力信号を所定に増幅する増幅器11と、そのアナログ入力信号をディジタルの波形データに変換するA/D変換器12とを備えている。
【0016】
A/D変換器12の出力側には制御手段としてのCPU(中央処理ユニット)13が用意されている。このCPU13は操作部(キーボード)14から与えられる記録条件に基づいてROM15から所定の処理プログラムを読み出し、その処理プログラムにしたがってA/D変換器12からの波形データをストレージメモリ1に逐次書き込む。
【0017】
実時間記録時においては、CPU13はこの書き込み動作と並行してストレージメモリ1から波形データを読み出し、所定の表示処理を行なってプリンタ17もしくはディスプレイ18を動作させる。
【0018】
この場合、CPU13にはストレージメモリ1とは別に記録目次レジスタ19が設けられている。この記録目次レジスタ19には、操作部14にて設定されるチャートスピードや電圧軸レンジなどの記録条件と、その記録条件の設定もしくは変更時点の時間データとがストレージメモリ1へのデータ書き込みと同期して書き込まれる。
【0019】
次に、この波形記録計の動作を図2のフローチャートに沿って説明する。測定に先だって、操作部14にてチャートスピードや電圧軸レンジ、および取り込むデータ数を意味する記録長などの記録条件が設定される。なお、変数iは記録目次レジスタ19内のレジスタ番号である。
【0020】
操作部14からスタート指示が与えられると、まず、ステップST1で変数i=0なる処理が行なわれ、次のステップST2で当初設定された記録条件が読み取られる。そして、ステップST3でその記録条件が記録目次レジスタ19内の0番目のレジスタに格納される。この場合、波形データの取り込み前であるため、波形データのアドレスの書き込みは行なわれない。
【0021】
そして、ステップST4で変数i=i+1として新たな変数iを設定した後、ステップST5で波形データの取り込みと、表示・印字処理とが並行して行なわれる。すなわち、CPU13はA/D変換器12からの波形データをストレージメモリ16に逐次書き込むとともに、そのストレージメモリ16から波形データを読み出して、所定の表示処理を実行してプリンタ17もしくはディスプレイ18を動作させる。
【0022】
この表示処理は例えば1表示ライン単位で行なわれ、表示処理後のステップST6で記録条件が変更されたかが判断される。NOであれば、次のステップST7で所定の記録長まで波形データが取り込まれたかが判断される。NOであれば、ステップST5に戻りステップST6でYES、すなわち記録条件が変更されないかぎり所定の記録長に至るまで、ステップST5〜ステップST7が繰り返し実行される。
【0023】
これに対し、この一連の動作中において、操作部14により記録条件の内の例えばチャートスピード(波形データの取込みスピード)が変更された場合には、ステップST6でYESと判断され、ステップST2に戻り、その変更されたチャートスピードの変更データが読み取られる。
【0024】
そして、次のステップST3で記録目次レジスタ19内の1番目のレジスタにその変更データと、その変更時点の時間データとが格納される。この例では、その時間データとしてその変更時点にストレージメモリ16に書き込まれた波形データのアドレスを用いている。
【0025】
次に、ステップST4で変数iに「1」を加算し、次の記録条件変更に備えた後、変更された記録条件にしたがってステップST5以降の各ステップが実行され、所定の記録長に至った時点で終了となる。なお、電圧軸レンジが変更された場合にも、上記と同じくその変更データと変更時点の時間データとが記録目次レジスタ19に格納され、変更履歴として残される。
【0026】
この波形記録計によると、測定動作の途中で記録条件が変更されたとしても、その変更データが記録目次レジスタ19に格納され、必要に応じて例えばプリンタ17よりその変更データをリストとして打ち出すことができる。
【0027】
したがって、再印字や再表示の際に、いつの時点でどのように記録条件が変更されたかを容易に知ることができる。このため、例えば途中でチャートスピードを変更したとしても、ユーザーは変更の位置と内容を理解することができ、測定動作中に記録条件が変更されたとしても、リスタートをかけることなく連続記録が可能となる。
【0028】
また、ストレージメモリ16に取り込んだ波形データをディスプレイ18に表示する場合、記録目次レジスタ19に格納されている変更データと、カーソルにより指示されている位置のアドレスとを対比することにより、途中で記録条件を変更した領域においても、そのカーソル指示値をそのときの記録条件に応じた値に変換して表示することができる。
【0029】
なお、記録目次レジスタ19内の変更データはユーザーが積極的に消去しないかぎり保存されるため、例えば次の測定記録時に記録目次レジスタ19からその変更データを呼び出して、前回測定記録時と同じ記録条件で次の測定記録を行なうこともできる。
【0030】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、次のような効果が奏される。すなわち、操作部にて設定される記録条件を記憶する記録目次レジスタを備え、測定記録動作中に操作部より記録条件の変更がなされた場合、その変更された記録条件およびその変更時点の時間データを記録目次レジスタに格納し、以後その変更された記録条件にしたがって動作させ、所定の記録長が終了した後に、ストレージメモリ内の波形データをディスプレイに表示する際、記録目次レジスタ内の変更データにしたがってカーソル指示値を変更するようにしたことにより、リスタートをかけることなくそのまま測定動作を続行させて連続記録させても、記録波形データを解析する上で支障は生じない。また、記録条件が変更された記録領域内のデータ値をそのカーソル指示値から直読することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による波形記録計の一実施例を示した概略的なブロック線図。
【図2】同実施例の動作説明用のフローチャート。
【図3】従来の波形記録計の動作説明用のフローチャート。
【符号の説明】
11 増幅器
12 A/D変換器
13 CPU(制御手段)
14 操作部
15 ROM
16 ストレージメモリ
17 プリンタ
18 ディスプレイ
19 記録目次レジスタ

Claims (1)

  1. アナログ入力信号をディジタルの波形データに変換するA/D変換器と、同A/D変換器にて変換された上記波形データを逐次記憶するストレージメモリと、プリンタおよび/またはディスプレイを含む表示手段と、上記ストレージメモリへのデータ書込み、読出しおよび上記表示手段に対してのデータ表示処理を制御する制御手段と、同制御手段に記録条件を設定する操作部とを備え、上記操作部により設定された記録条件にしたがって上記波形データを上記表示手段に表示する波形記録計において、
    上記操作部にて設定される記録条件を記憶する記録目次レジスタを備え、当該記録計の動作中に上記操作部より記録条件の変更がなされた場合、上記制御手段はその変更された記録条件およびその変更時点の時間データを上記記録目次レジスタに格納し、以後当該記録計を変更された記録条件にしたがって動作させ、所定の記録長が終了した後に、上記ストレージメモリ内の波形データを上記ディスプレイに表示する際、上記記録目次レジスタ内の変更データにしたがってカーソル指示値が変更されることを特徴とする波形記録計。
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