JP3675436B2 - インクジェット式記録ヘッド及びその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェット式記録ヘッド及びその製造方法に係わり、特に、圧力発生素子の変位を利用して圧力室の圧力を変化させることによりノズル開口からインク滴を噴射するインクジェット式記録ヘッド及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、インクジェット式記録装置は、列状に並べた状態で形成された多数のノズル開口を有する記録ヘッドと、この記録ヘッドを主走査方向(記録媒体幅方向)に移動させるキャリッジ機構と、記録紙等の記録媒体を副走査方向(紙送り方向)に移動させる紙送り機構とを備えている。
【0003】
上記の記録ヘッドは、ノズル開口に連通した圧力室と、この圧力室内のインク圧力を変化させる圧力発生素子とを備えている。そして、駆動パルスを圧力発生素子に供給することで圧力室内のインク圧力を変化させ、ノズル開口からインク滴を吐出させる。
【0004】
また、上記のキャリッジ機構は、記録ヘッドを主走査方向に移動させる。この移動中において記録ヘッドは、ドットパターンデータにより規定されるタイミングでインク滴を吐出させる。そして、記録ヘッドが移動範囲の終端に達したならば、紙送り機構は記録媒体を副走査方向に移動させる。記録媒体の移動を行ったならば、キャリッジ機構は記録ヘッドを再度主走査方向に移動させ、記録ヘッドは移動中にインク滴を吐出する。なお、印刷に際しては、記録ヘッドの主走査の往路のみで印刷することも、或いは往路及び復路の両方で印刷することもできる。
【0005】
以上の動作を繰り返し行うことにより、ドットパターンデータに基づく画像が記録媒体上に記録される。
【0006】
また、インクジェット式記録装置には、記録ヘッドに対して、所定波形の共通駆動信号から生成した波形の異なる複数種の駆動パルスを適宜選択して印加することにより、同一のノズル開口から異なる種類のドット(例えばサイズの異なるドット)を適宜選択して吐出するタイプのものがある。ここで、共通駆動信号の周期(駆動周期)は、記録装置における印刷速度を規定する。
【0007】
図30は、インクジェット式記録装置の記録ヘッドの一部を拡大して示した断面図であり、図31は、図30に示した記録ヘッドの圧力室及びその周辺を拡大して示した断面図である。図30及び図31に示したようにこの記録ヘッド50は、隔壁51を含む板状の部材52が可撓性シート53の表面に設けられており、可撓性シート53の裏面には、複数の島状部54を含む板状の部材55が設けられている。
【0008】
隔壁51は、複数の圧力室56、複数のインク供給口57、及び共通インク室58のそれぞれを区画している。圧力室56と共通インク室58とは、インク供給口57によって連通している。各島状部54は各圧力室56に対応する位置に形成されている。
【0009】
各島状部54のそれぞれには、積層ピエゾ素子で形成された縦振動モードの圧電振動子から成る圧力発生素子59の先端がそれぞれ当接されており、各圧力発生素子59は固定板60を介してケース61に固定されている。圧力発生素子59にはフレキシブル基板62が接続されている。
【0010】
島状部54の周囲に露出している部分の可撓性シート53は、圧力発生素子59の変位を受けて弾性変形する弾性変形部63を形成している。
【0011】
板状の部材52の表面側にはノズルプレート64が貼着されており、このノズルプレート64には圧力室56に連通するノズル開口65が形成されている。
【0012】
複数のノズル開口65は、記録ヘッド50の副走査方向に沿って多数形成されており、ノズル開口65同士の間隔はドット形成密度に対応した所定ピッチに相当する。
【0013】
共通インク室58には、ケース61の内部、板状の部材55及び可撓性シート53を貫通して延びるインク供給パイプ66の先端部が接続されており、インク供給パイプ66を通して共通インク室58にインクが供給される。
【0014】
図30及び図31に示した従来のインクジェット式記録ヘッドを製造する際には、可撓性シート53の裏面に、島状部54を形成する前の板状の部材55を予め設けておいて、可撓性シート53と反対の側から板状の部材55をエッチングすることにより、所定形状の複数の島状部54を可撓性シート53上に形成するようにしていた。
【0015】
一方、隔壁51の部分については、予め隔壁51が形成されている板状の部材52を、可撓性シート53の表面に接着剤によって貼着していた。このため、図32に示したように接着剤の一部67が圧力室56やインク供給口57にはみ出してしまうことがあった。
【0016】
このように接着剤の一部67が圧力室56やインク供給口57にはみ出すと、例えば、可撓性シート53の可撓性が劣化してしまい、圧力室56において十分な圧力を伝達できなかったり、或いは複数の圧力室56における可撓性シート53の変形量が圧力室56毎にばらついて、ノズル開口65毎のインク吐出特性にばらつきが生じていた。
【0017】
また、可撓性シート53に隔壁51を含む板状の部材52を貼着する際には、圧力室56の位置と島状部54の位置との位置関係を所定のとおりに正確に合わせることが難しく、その結果、圧力室56において十分な圧力を伝達できなかったり、或いは複数の圧力室56における可撓性シート53の変形量が圧力室56毎にばらついて、ノズル開口65毎のインク吐出特性にばらつきが生じていた。
【0018】
さらに、従来の記録ヘッドにおいては、可撓性シート53に貼着する前の、隔壁51を含む板状の部材52に対して、その厚さ方向の一部をエッチングすることによりインク供給口57を溝状に形成していたために、エッチング深さのばらつきによってインク供給口57の流路断面積にばらつきが生じ、その結果、圧力室56において十分な圧力を伝達できなかったり、或いは複数の圧力室56における可撓性シート53の変形量が圧力室56毎にばらついて、ノズル開口65毎のインク吐出特性にばらつきが生じていた。
【0019】
また、一般に、圧力発生素子として縦振動の圧電振動子を用いたインクジェット記録ヘッド(以下「記録ヘッド」という)は、図33および図34に示すように、多数のノズル開口308と圧力室307が形成された流路ユニット301と、この流路ユニット301が貼着されるとともに、圧電振動子306が収容されるヘッドケース302とを備えている。
【0020】
前記流路ユニット301は、ノズル開口308が列設されたノズルプレート303と、前記各ノズル開口308に連通する圧力室307が列設された流路形成板304と、前記各圧力室307の下部開口を塞ぐ振動板305とが積層されて構成されている。前記流路形成板304には、各圧力室307とインク流路310を介して連通し、各圧力室307に導入されるインクを貯留するインク貯留室309が形成されている。
【0021】
前記ヘッドケース302は、合成樹脂製で、上下に貫通する空間312に圧電振動子306が収容されるようになっている。前記圧電振動子306は、後端側がヘッドケース302に取り付けられた固定基板311に固着されるとともに、先端面が振動板305下面の島部305Aに固着されている。
【0022】
そして、駆動回路314で発生させた駆動信号をフレキシブル回路板313を介して圧電振動子306に入力することにより、圧電振動子306を長手方向に伸縮させる。この圧電振動子306の伸縮により、振動板305の島部305Aを振動させて圧力室307内の圧力を変化させ、圧力室307内のインクをノズル開口308からインク滴として吐出させるようになっている。図33において符号315はインク貯留室309にインクを供給するインク供給口である。
【0023】
前記流路ユニット301の流路形成板304としては、従来から、シリコン単結晶基板を異方性エッチングしたもの(例えば、特開平9−123448号等)、感光性樹脂を積層したもの、基板に形成した電鋳部を剥離して一構成部品として使用したもの(例えば、特開平6−305142号,特開平9−300635号等)等が用いられている。
【0024】
前記シリコン単結晶基板を異方性エッチングした流路形成板304では、シリコン単結晶基板に圧力室307やインク流路310となる空間をエッチングによって形成する際、流路の深さをエッチング時間で管理するため、流路の深さの制御が困難で、精度を向上させるのにも限界があった。また、感光性樹脂を積層した流路形成板304では、金属やシリコンと比較して感光性樹脂のヤング率が低く、剛性が低いため、圧力室307を高密度に配列させると、隣接する圧力室307の圧力によって隔壁が変形してクロストークが発生しやすく、高密度なノズル配列が困難である。さらに、基板に形成した電鋳部を剥離して一構成部品として使用した流路形成板304では、電鋳部を基板から剥離させる工程において、電鋳部にそりが発生し、寸法精度が低下しやすい。また、基板に電鋳部を形成させたのち、その電鋳部を剥離させる工程等が必要で、工程も多くコスト引き上げの一因となっていた。
【0025】
また、前記記録ヘッドでは、一枚の流路形成板304に、圧力室307とインク貯留室309ならびにインク流路310が設けられている。このため、流路形成板304に一定以上の面積が必要で、記録ヘッドの小型化に限界があった。また、縦振動モードの圧電振動子306を用いていることから、圧電振動子306の伸縮により流路ユニット301が変形してクロストーク等を生じやすいため、流路ユニット301の剛性をできるだけ向上させる必要もある。このような理由からも、記録ヘッドの小型化に限界があったのが実情である。
【0026】
また、前記従来の流路形成板304は、シリコン単結晶基板を異方性エッチングしたもの、感光性樹脂を積層したもの、基板に形成した電鋳部を剥離して一構成部品として使用したもの等が用いられている。ところが、前記シリコン単結晶基板を異方性エッチングして流路を形成した流路形成板304では、流路の深さをエッチング時間で管理するため、深さの制御が困難で、精度を向上させるのにも限界があった。また、感光性樹脂を積層した流路形成板304では、感光性樹脂の剛性が低いため、圧力室307を高密度に配列させると、圧力室307の隔壁が変形してクロストークが発生しやすく、高密度なノズル配列が困難である。さらに、基板に形成した電鋳部を剥離して使用した流路形成板304では、電鋳部を基板から剥離させる工程においてそりが発生し、精度が低下しやすいうえ、電鋳部を剥離させる工程等が必要で、工程も多くコスト引き上げの一因となっていた。
【0027】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の参考例は、上述した事情を考慮して成されたものであって、ノズル開口毎のインク吐出特性のばらつきを抑制することができるインクジェット式記録ヘッド及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0028】
本発明は、上述した事情を考慮して成されたものであって、高精度化や高密度化等に有利なインクジェット式記録へッドおよびその製造方法を提供することを目的とする。
【0029】
本発明は、上述した事情を考慮して成されたものであって、大幅に小型化できて集積率の向上に有利なインクジェット式記録へッドおよびその製造方法を提供することを目的とする。
【0030】
【課題を解決するための手段】
本発明の参考例によるインクジェット式記録ヘッドは、インクを収容した圧力室の圧力を変化させるための圧力発生素子と、表面と裏面とを有する板状部材であって、前記表面側での第1のエッチングによって形成され、前記圧力室、インク供給口、及び共通インク室のそれぞれを区画する隔壁と、前記裏面側での第2のエッチングによって前記圧力室に対応する位置に形成され、前記圧力発生素子の先端が当接される島状部と、前記第1及び第2のエッチングの後に前記島状部の周囲に残存し、前記圧力発生素子の変位を受けて弾性変形する弾性変形部と、を有する板状部材と、前記圧力発生素子の変位による前記圧力室の圧力変化によってインク滴が噴射されるノズル開口が形成され、前記板状部材の前記表面側に配置されたノズルプレートと、を備えたことを特徴とする。
【0031】
また、好ましくは、前記板状部材は、前記表面を含む第1層と、前記裏面を含む第2層と、前記第1層と前記第2層とに挟まれた中間層と、から成り、前記第1のエッチングは、前記第1層を前記中間層に対して選択的にエッチングして前記第1層を貫通するものであり、前記第2のエッチングは、前記第2層を前記中間層に対して選択的にエッチングして前記第2層を貫通するものである。
【0032】
また、好ましくは、前記板状部材は、前記表面を含む第1層と、前記裏面を含む第2層と、前記第1層と前記第2層とに挟まれた中間層と、前記第1層と前記中間層とを接着する第1接着剤層と、前記第2層と前記中間層とを接着する第2接着剤層と、から成り、前記第1のエッチングは、前記第1層を前記第1接着剤層に対して選択的にエッチングして前記第1層を貫通するものであり、前記第2のエッチングは、前記第2層を前記第2接着剤層に対して選択的にエッチングして前記第2層を貫通するものである。
【0033】
また、好ましくは、前記第1層及び前記第2層はステンレス鋼にて形成されており、前記中間層は高分子フィルムにて形成されている。
【0034】
また、好ましくは、前記板状部材は単一材料にて一体に形成されており、前記第1及び第2のエッチングは、前記板状部材の前記表面及び前記裏面における、前記板状部材の厚さ方向の途中までのエッチングである。
【0035】
また、好ましくは、前記板状部材はステンレス鋼にて形成されている。
【0036】
本発明の参考例によるインクジェット式記録ヘッドは、インクを収容した圧力室の圧力を変化させるための圧力発生素子と、表面と裏面とを有する板状部材であって、前記表面側に形成され、前記圧力室、インク供給口、及び共通インク室のそれぞれを区画する隔壁と、前記裏面側の前記圧力室に対応する位置に形成され、前記圧力発生素子の先端が当接される島状部と、前記島状部の周囲に形成され、前記圧力発生素子の変位を受けて弾性変形する弾性変形部と、を有する板状部材であって、前記表面を含む第1層と、前記裏面を含む第2層と、前記第1層と前記第2層とに挟まれた中間層と、から成り、前記第1層と前記中間層との間には接着剤層等の他の層が介在せず、前記第2層と前記中間層との間にも接着剤層等の他の層が介在していない板状部材と、前記圧力発生素子の変位による前記圧力室の圧力変化によってインク滴が噴射されるノズル開口が形成され、前記板状部材の前記表面側に配置されたノズルプレートと、を備えたことを特徴とする。
【0037】
また、好ましくは、前記隔壁は、前記板状部材の前記表面側において、前記第1層を前記中間層に対して選択的にエッチングして前記第1層を貫通する第1のエッチングにより形成されたものであり、前記島状部は、前記板状部材の前記裏面側において、前記第2層を前記中間層に対して選択的にエッチングして前記第2層を貫通する第2のエッチングにより形成されたものである。
【0038】
また、好ましくは、前記板状部材は単一材料にて一体に形成されており、前記隔壁は、前記板状部材の前記表面において、前記板状部材をその厚さ方向の途中までエッチングする第1のエッチングにより形成されたものであり、前記島状部は、前記板状部材の前記裏面において、前記板状部材をその厚さ方向の途中までエッチングする第2のエッチングにより形成されたものである。
【0039】
また、好ましくは、前記板状部材はステンレス鋼にて形成されている。
【0040】
また、好ましくは、前記板状部材と前記ノズルプレートとの間に設けられた基材をさらに有し、前記基材は前記共通インク室に連通する拡張インク室を有する。
【0041】
また、好ましくは、前記拡張インク室は前記共通インク室に対してオフセットされ、前記拡張インク室の一部は前記インク供給口にオーバーラップしている。
【0042】
また、好ましくは、前記板状部材と前記ノズルプレートとの間に設けられた基材をさらに有し、前記基材と前記板状部材との接着及び前記基材と前記ノズルプレートとの接着に、ポリオレフィンフィルム接着剤を用いる。
【0043】
また、好ましくは、前記板状部材の前記表面に前記ノズルプレート又は前記基材を接着剤によって接着する際の前記接着剤のはみ出しを抑制するために、前記板状部材の前記隔壁の前記表面側に接着剤捕捉溝を形成する。
【0044】
本発明の参考例は、インクを収容した圧力室の圧力を変化させるための圧力発生素子と、表面と裏面とを有する板状部材であって、前記表面側に形成され、前記圧力室、インク供給口、及び共通インク室のそれぞれを区画する隔壁と、前記圧力室に対応する位置の前記裏面側に形成され、前記圧力発生素子の先端が当接される島状部と、前記島状部の周囲に形成され、前記圧力発生素子の変位を受けて弾性変形する弾性変形部と、を有する板状部材と、前記圧力発生素子の変位による前記圧力室の圧力変化によってインク滴が噴射されるノズル開口が形成され、前記板状部材の前記表面側に配置されたノズルプレートと、を備えたインクジェット式記録ヘッドを製造するための方法において、前記板状部材の前記表面側に前記隔壁をエッチングによって形成する第1のエッチング工程と、前記板状部材の前記裏面側に前記島状部をエッチングによって形成する第2のエッチング工程と、前記板状部材の前記表面に直接又は他の部材を介在させてノズルプレートを取り付けるノズルプレート取付工程と、を備えたことを特徴とする。
【0045】
また、好ましくは、前記板状部材は、前記表面を含む第1層と、前記裏面を含む第2層と、前記第1層と前記第2層とに挟まれた中間層と、から成り、前記第1のエッチング工程は、前記第1層を前記中間層に対して選択的にエッチングして前記第1層を貫通するものであり、前記第2のエッチング工程は、前記第2層を前記中間層に対して選択的にエッチングして前記第2層を貫通するものである。
【0046】
また、好ましくは、前記板状部材は、前記表面を含む第1層と、前記裏面を含む第2層と、前記第1層と前記第2層とに挟まれた中間層と、前記第1層と前記中間層とを接着する第1接着剤層と、前記第2層と前記中間層とを接着する第2接着剤層と、から成り、前記第1のエッチング工程は、前記第1層を前記第1接着剤層に対して選択的にエッチングして前記第1層を貫通するものであり、前記第2のエッチング工程は、前記第2層を前記第2接着剤層に対して選択的にエッチングして前記第2層を貫通するものである。
【0047】
また、好ましくは、前記板状部材は単一材料にて一体に形成されており、前記第1及び第2のエッチング工程におけるエッチングは、前記板状部材の前記表面及び前記裏面における、前記板状部材の厚さ方向の途中までのエッチングである。
【0048】
また、好ましくは、前記板状部材と前記ノズルプレートとの間に、前記共通インク室に連通する拡張インク室を有する基材を設ける。
【0049】
また、好ましくは、前記拡張インク室を前記共通インク室に対してオフセットして形成し、前記拡張インク室の一部を前記インク供給口にオーバーラップさせる。
【0050】
また、好ましくは、前記板状部材と前記ノズルプレートとの間に基材を設け、前記基材と前記板状部材との接着及び前記基材と前記ノズルプレートとの接着に、ポリオレフィンフィルム接着剤を用いる。
【0051】
また、好ましくは、前記板状部材の前記表面に前記ノズルプレート又は前記基材を接着剤によって接着する際の前記接着剤のはみ出しを抑制するために、前記板状部材の前記隔壁の前記表面側に接着剤捕捉溝を形成する。
【0052】
本発明によるインクジェット式記録ヘッドは、ノズル開口が穿設されたノズルプレートと、前記ノズル開口に連通する圧力室を含む流路が形成された流路形成板と、前記圧力室の開口を塞ぐ振動板とが積層された流路ユニットと、前記振動板を変位させて前記圧力室に圧力変動を与える圧力発生素子と、を備え、前記流路形成板は表面及び裏面を有し、前記流路形成板の前記表面には第1のエッチングによって前記ノズル開口と連通する連通孔が形成されており、前記流路形成板の前記裏面には第2のエッチングによって前記流路が形成されていることを特徴とする。
【0053】
また、好ましくは、前記流路形成板は、前記表面を含み、前記第1のエッチングによって前記連通孔が穿設された第1基板と、エッチング停止層と、前記裏面を含み、前記第2のエッチングによって前記流路が形成された第2基板との積層体を有し、前記連通孔は、前記第1基板の前記表面に対する前記第1のエッチングが前記エッチング停止層にて停止されることにより形成されたものであり、前記流路は、前記第2基板の前記裏面に対する前記第2のエッチングが前記エッチング停止層にて停止されることにより形成されたものである。
【0054】
また、好ましくは、前記第1基板に形成された前記連通孔の開口が前記ノズル開口を構成し、前記第1基板が前記ノズルプレートを兼ねるように構成されている。
【0055】
また、好ましくは、前記エッチング停止層が接着剤層である。
【0056】
また、好ましくは、前記第2基板は金属により形成されており、前記エッチング停止層は前記第2基板を形成する金属よりもエッチングされにくい金属により形成された層である。
【0057】
また、好ましくは、前記第2基板がステンレス鋼もしくはニッケルであり、エッチング停止層がチタン,銀,金のいずれかである。
【0058】
また、好ましくは、前記流路形成板は単一材料にて一体に形成されており、前記第1及び第2のエッチングは、前記流路形成板の前記表面及び前記裏面における、前記流路形成板の厚さ方向の途中までのエッチングである。
【0059】
また、好ましくは、前記流路形成板はステンレス鋼にて形成されている。
【0060】
また、好ましくは、前記圧力発生素子が、縦振動モードの圧電振動子である。
【0061】
また、好ましくは、前記圧力発生素子が、たわみ振動モードの圧電振動子である。
【0062】
また、好ましくは、前記第2のエッチングによって前記流路形成板の前記裏面に形成された前記流路は、前記圧力室と、前記圧力室にインクを供給するインク供給路と、前記圧力室に供給されるインクを貯留するインク貯留室とに対応する空間である。
【0063】
また、好ましくは、前記流路形成板の前記表面に、前記インク貯留室に連通する追加のインク貯留室が前記第1のエッチングよって前記連通孔と共に形成されている。
【0064】
また、好ましくは、互いに積層された一対の前記流路形成板を備えている。
【0065】
また、好ましくは、前記流路形成板の前記裏面には金属層が積層されており、前記金属層にも前記流路が形成されている。
【0066】
本発明は、ノズル開口が穿設されたノズルプレートと、前記ノズル開口に連通する圧力室を含む流路が形成された流路形成板と、前記圧力室の開口を塞ぐ振動板とが積層された流路ユニットと、前記振動板を変位させて前記圧力室に圧力変動を与える圧力発生素子と、を備えたインクジェット式記録ヘッドを製造するための方法において、表面及び裏面を有する板状の部材の前記表面に、前記ノズル開口と連通する連通孔をエッチングによって形成する第1のエッチング工程と、前記板状の部材の前記裏面に、前記圧力室を含む前記流路をエッチングによって形成する第2のエッチング工程と、前記第1及び第2のエッチング工程によって前記板状の部材から形成された前記流路形成板の前記表面側及び前記裏面側に前記ノズルプレート及び前記振動板を積層して前記流路ユニットを形成する工程と、を備えたことを特徴とする。
【0067】
また、好ましくは、前記板状の部材は、前記表面を含む第1部材と、エッチング停止層と、前記裏面を含む第2部材とを積層して構成されており、前記第1及び第2のエッチングは前記エッチング停止層にて停止される。
【0068】
また、好ましくは、前記流路形成板は単一材料にて一体に形成されており、前記第1及び第2のエッチングは、前記流路形成板の前記表面及び前記裏面における、前記流路形成板の厚さ方向の途中までのエッチングである。
【0069】
また、好ましくは、前記第2のエッチング工程において前記流路形成板の前記裏面に形成された前記流路は、前記圧力室と、前記圧力室にインクを供給するインク供給路と、前記圧力室に供給されるインクを貯留するインク貯留室とに対応する空間である。
【0070】
また、好ましくは、前記第1のエッチング工程において、前記板状の部材の前記表面に、前記インク貯留室に連通する追加のインク貯留室を前記連通孔と共に形成する。
【0071】
本発明の参考例によるインクジェット式記録ヘッドは、ノズル開口が穿設されたノズルプレートと、前記ノズル開口に連通する圧力室と前記圧力室に供給するインクが貯留されるインク貯留室とが形成されると共に、前記圧力室の開口を塞ぐ振動板を有する流路形成板と、を含んでなる流路ユニットと、前記振動板を変位させることにより前記圧力室に圧力変動を与える縦振動モードの圧電振動子と、を備え、前記流路形成板は、前記圧力室が形成された第1流路基板と、前記圧力室を前記ノズル開口に連通させる連通孔と前記インク貯留室とが形成された第2流路基板と、前記第1流路基板と前記第2流路基板との間に配置され、前記圧力室と前記インク貯留室とを連通させる供給口が形成された供給口プレートと、を含み、前記圧力室と前記インク貯留室とが少なくとも部分的に重なり合っており、前記第1流路基板は、前記圧力室が形成された第1エッチング板と、前記振動板を構成する第1エッチング停止層と、前記圧電振動子が当接される島部を前記振動板の表面に形成する第2エッチング板と、を含み、前記圧力室は前記第1エッチング板を前記第1エッチング停止層までエッチングすることにより形成されたものであり、前記島部は前記第2エッチング板を前記第1エッチング停止層までエッチングすることにより形成されたものである。
【0072】
また、好ましくは、前記第2流路基板の前記ノズルプレート側に、前記インク貯留室の圧力変動を吸収しうるダンパ室が形成されている。
【0073】
また、好ましくは、前記第2流路基板は、前記インク貯留室が形成された第3エッチング板と、前記ダンパ室が形成された第4エッチング板と、前記第3および第4エッチング板の間に存在する第2エッチング停止層と、を含むものであり、前記インク貯留室は前記第3エッチング板を前記第2エッチング停止層までエッチングすることにより形成されたものであり、前記ダンパ室は前記第4エッチング板を前記第2エッチング停止層までエッチングすることにより形成されたものである。
【0074】
また、好ましくは、前記エッチング停止層は接着剤層である。
【0075】
また、好ましくは、前記エッチング板は金属にて形成されており、前記エッチング停止層は前記エッチング板を形成する金属よりもエッチングされにくい金属の層である。
【0076】
また、好ましくは、前記エッチング板はステンレス鋼もしくはニッケルから成り、前記エッチング停止層はチタン,銀,金のいずれかから成る。
【0077】
また、好ましくは、前記エッチング停止層は高分子材料フィルムから成り、前記エッチング停止層は接着層を介して前記エッチング板とラミネートされている。
【0078】
本発明の参考例によるインクジェット式記録ヘッドは、ノズル開口が穿設されたノズルプレートと、前記ノズル開口に連通する圧力室と前記圧力室に供給するインクが貯留されるインク貯留室とが形成されると共に、前記圧力室の開口を塞ぐ振動板を有する流路形成板と、を含んでなる流路ユニットと、前記振動板を変位させることにより前記圧力室に圧力変動を与える圧力発生素子と、を備え、前記流路形成板は、エッチング停止層を間に挟んで一対のエッチング板を積層して形成した積層体を含み、前記圧力室及び前記インク貯留室の少なくともいずれか一方は、前記エッチング板を前記エッチング停止層までエッチングすることによって形成されたものであり、前記エッチング停止層は、前記インク貯留室の一部を画成する可撓板及び前記振動板の少なくともいずれか一方を構成することを特徴とする。
【0079】
本発明の参考例は、ノズル開口が穿設されたノズルプレートと、前記ノズル開口に連通する圧力室と前記圧力室に供給するインクが貯留されるインク貯留室とが形成されると共に、前記圧力室の開口を塞ぐ振動板を有する流路形成板と、を含んでなる流路ユニットと、前記振動板を変位させることにより前記圧力室に圧力変動を与える縦振動モードの圧電振動子と、を備えたインクジェット式記録ヘッドを製造するための方法において、第1エッチング板と第2エッチング板とを、第1エッチング停止層を間に挟んで積層して積層体を形成する工程と、前記第1エッチング板を前記第1エッチング停止層までエッチングすることにより前記圧力室を形成する工程と、前記第2エッチング板を前記第1エッチング停止層までエッチングすることにより前記圧電振動子が当接される島部を形成する工程と、前記圧力室及び前記島部が形成された前記積層体から成る第1流路基板に、前記圧力室を前記ノズル開口に連通させる連通孔と前記インク貯留室とが形成された第2流路基板を、前記圧力室と前記インク貯留室とが少なくとも部分的に重なり合うようにして積層する工程と、を備えたことを特徴とする。
【0080】
また、好ましくは、前記第2流路基板を形成する工程をさらに有し、この工程は、第3エッチング板と第4エッチング板とを、第2エッチング停止層を間に挟んで積層して積層体を形成する工程と、前記第3エッチング板を前記第2エッチング停止層までエッチングすることにより前記インク貯留室及び前記連通孔を形成する工程と、前記第4エッチング板を前記第2エッチング停止層までエッチングすることにより、前記インク貯留室の圧力変動を吸収しうるダンパ室を形成する工程と、を含む。
【0081】
また、好ましくは、前記圧力室と前記インク貯留室とを連通させる供給口が形成された供給口プレートを前記第1流路基板と前記第2流路基板との間に配置する工程をさらに有する。
【0082】
また、好ましくは、前記ノズルプレート、第2流路基板、前記供給口プレート、及び前記第1流路基板の接合にフイルム接着剤を用い、接着する部材の接着面に存在する開口部に対応する前記フィルム接着剤の部分を、前記フィルム接着剤を前記接着する部材に接着する前に予め抜いておくようにする。
【0083】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の参考例の一実施形態によるインクジェット式記録ヘッド及びその製造方法について説明する。
【0084】
図1は本発明の参考例としての一実施形態によるインクジェット式記録ヘッドの要部を示した断面図であり、この記録ヘッド1は、表面2aと裏面2bとを有する板状部材2を有し、この板状部材2の裏面2bはケース3の前面に貼着されている。板状部材2は、表面2aを含む第1層4と、裏面2bを含む第2層5と、第1層4と第2層5とに挟まれた可撓性シートより成る中間層6と、から構成されている。
【0085】
図1及び図2に示したように、第1層4には、表面2a側での第1のエッチングによって隔壁7が形成されており、この隔壁7は、複数の圧力室8、複数のインク供給口9、及び共通インク室10のそれぞれを区画している。圧力室8と共通インク室10とは、インク供給口9によって連通している。第1のエッチングには、例えばウェットエッチングを使用することができる。
【0086】
図1及び図3に示したように、第2層5には、裏面2b側での第2のエッチングによって複数の圧力室8に対応する位置に複数の島状部11が形成されている。第2のエッチングには、例えばウェットエッチングを使用することができる。
【0087】
図1及び図4に示したように複数の島状部11のそれぞれには、積層ピエゾ素子で形成された縦振動モードの圧電振動子から成る圧力発生素子12の先端がそれぞれ当接されており、図1に示したように各圧力発生素子12は固定板13を介してケース3に固定されている。圧力発生素子12にはフレキシブルケーブル14が接続されている。
【0088】
図1及び図4に示したように、島状部11の周囲に露出している部分の中間層6は、圧力発生素子12の変位を受けて弾性変形する弾性変形部15を形成している。
【0089】
図1に示したように板状部材2の表面2a側には基材16が貼着されており、この基材16には圧力室8に連通する連通孔17が形成されている。基材16の表面にはノズルプレート18が貼着されており、このノズルプレート18には基材16の連通孔17に連通するノズル開口19が形成されている。ノズル開口19は、記録ヘッド1の副走査方向に沿って多数形成されていると同時に、主走査方向にも複数列形成されている。副走査方向のノズル開口19同士の間隔はドット形成密度に対応した所定ピッチに相当する。
【0090】
共通インク室10には、ケース3の内部、第2層5、及び中間層6を貫通して延びるインク供給パイプ20の先端部が接続されており、インク供給パイプ20を通して共通インク室10にインクが供給される。
【0091】
上記構成よりなる記録ヘッド1においては、縦振動モードの圧力発生素子12は、充電されると電界と直交する方向に収縮し、放電すると電界と直交する方向に伸長する特性を有する。したがって、この記録ヘッド1では、充電されることにより圧力発生素子12は後方に収縮し、この収縮に伴って島状部11が後方に引き戻され、収縮していた圧力室8が膨張する。この膨張に伴って共通インク室10のインクがインク供給口9を通って圧力室8内に流入する。一方、放電することにより圧力発生素子12は前方に向けて伸長し、島状部11が前方に押されて圧力室8が収縮する。この収縮に伴って圧力室8内のインク圧力が高くなる。
【0092】
そこで、フレキシブルケーブル14を介して圧力発生素子12に共通駆動信号(COM)や印字データ(SI)等を供給し、所定の駆動パルスにて圧力発生素子12を動作させることにより、ノズル開口19からインク滴を噴射することができる。
【0093】
次に、本実施形態によるインクジェット式記録ヘッドの製造方法について説明する。
【0094】
まず、中間層6を第1層4及び第2層5によって挟み込んで形成した、エッチング加工前の板状部材2を用意する。ここで、板状部材2の具体的な構成としては、図5(a)に示したように、中間層6をポリイミド(PI)にて形成し、第1層4及び第2層5をステンレス鋼にて形成したものを使用することができる。中間層6は、ポリイミドに代えてチタンで形成することも可能である。要するに、第1層4、第2層5、及び中間層6の各材料の組み合わせを、第1層4及び第2層5を、中間層6に対して選択的にエッチングできるように決定する。
【0095】
また、図5(b)に示したように、中間層6を高分子材料(PPS)にて形成し、第1層4及び第2層5をステンレス鋼にて形成すると共に、第1層4と中間層6とを第1接着剤層21にて接着し、第2層5と中間層6とを第2接着剤層22にて接着して板状部材2を構成しても良い。
【0096】
さらに、図5(c)に示したように、第1層4、第2層5、及び中間層6のすべてをステンレス鋼にて形成すると共に、第1層4と中間層6とを第1接着剤層21にて接着し、第2層5と中間層6とを第2接着剤層22にて接着して板状部材2を構成しても良い。
【0097】
そして、第1のエッチング工程において、板状部材2の表面2a側から第1層4を貫通するエッチングを所定のパターンにて行い、第1層4に隔壁7を形成する。この第1のエッチング工程は、中間層6に対して第1層4が選択的にエッチングされるような条件の下で実施される。
【0098】
次に、第2のエッチング工程において、板状部材2の裏面2b側から第2層5を貫通するエッチングを所定のパターンにて行い、第2層5に複数の島状部11を形成する。この第2のエッチング工程は、中間層6に対して第2層5が選択的にエッチングされるような条件の下で実施される。
【0099】
そして、ノズルプレート取付工程において板状部材2の表面2aに基材16を貼着し、この基材16の表面にノズルプレート18を貼着する。
【0100】
以上述べたように本実施形態によれば、板状部材2の表面2a及び裏面2bに対する第1及び第2のエッチングによって、表面2a側に隔壁7を、裏面2b側に島状部11をそれぞれ形成するようにしたので、従来技術において問題であった圧力室8、インク供給口9等への接着剤のはみ出しの問題がなく、また、圧力室8と島状部11との位置合わせの精度が向上し、このため、ノズル開口19毎のインク吐出特性のばらつきを抑制することができる。
【0101】
さらに、中間層6に対して第1層4を選択的にエッチングすることによって、中間層6をエッチングすることなく第1層4のみをその全厚にわたってエッチングすることが可能であり、その結果、第1層4の厚みによってインク供給口9の流路断面積が決定されることになり、インク供給口9毎の流路断面積のばらつきが抑制されてノズル開口19毎のインク吐出特性のばらつきが抑制される。
【0102】
なお、本実施形態ではノズルプレート18と板状部材2との間に基材16を介在させるようにしたが、一変形例としては、図6に示したように基材16を省略して、板状部材2の表面2aにノズルプレート18を直接貼着しても良い。
【0103】
また、本実施形態の他の変形例としては、図7に示したように、基材16と板状部材2との接着及び基材16とノズルプレート18との接着に、ポリオレフィンフィルム接着剤23を用いることもできる。
【0104】
次に、本発明の参考例としての他の実施形態について図8を参照して説明する。なお、本実施形態は上述した実施形態の構成を一部変更したものであり、以下では、上記実施形態と異なる部分について説明する。
【0105】
本実施形態においては、基材16に、共通インク室10に連通する拡張インク室30、及び圧力室8に連通する拡張圧力室31が形成されている。拡張インク室30は共通インク室10に対してオフセットされ、拡張インク室30の一部はインク供給口9にオーバーラップしている。拡張圧力室31も圧力室8に対してオフセットされている。
【0106】
拡張インク室30及び拡張圧力室31は、前述した第1のエッチング工程におけるエッチング能力に限界があるために第1層4の厚みを十分にとれないような場合に、共通インク室10及び圧力室8の容積を十分に確保する上で有効である。
【0107】
なお、図8においては、拡張圧力室31は基材16の厚さ方向の途中までに形成されているが、図8に破線で示したように、拡張圧力室31を基材16の厚さ方向に貫通させて形成することもできる。
【0108】
このように本実施形態においては、拡張インク室30を共通インク室10に対してオフセットして配置したので、隣接する圧力室8間で生じるいわゆるクロストークを防止することが可能であり、また、共通インク室10内の気泡を圧力室8へ送り出し易くなるので、ノズル開口19からの気泡の排出性を高めることができる。
【0109】
次に、本発明の参考例としての他の実施形態について図9を参照して説明する。なお、本実施形態は上述した各実施形態の構成を一部変更したものであり、以下では、上記各実施形態と異なる部分について説明する。
【0110】
図9に示したように本実施形態においては、板状部材2の隔壁7の表面2a側に、複数の接着剤捕捉溝40が形成されている。そして、これらの接着剤捕捉溝40は、板状部材2の表面2aにノズルプレート18又は基材16を接着剤によって接着する際に接着剤の一部を受け入れ、これにより、圧力室8やインク供給口9等への接着剤のはみ出しが抑制される。
【0111】
このように本実施形態においては、インク供給口9や圧力室8への接着剤のはみ出しを抑制することができるので、接着剤のはみ出しに起因した記録ヘッド1の性能劣化を防止することができる。
【0112】
次に、本発明の参考例としての他の実施形態について図10を参照して説明する。なお、本実施形態は上述した各実施形態の構成を一部変更したものであり、以下では、上記各実施形態と異なる部分について説明する。
【0113】
本実施形態においては、板状部材2は単一材料にて一体に形成されている。ここで、単一材料としてはステンレス鋼が好ましい。
【0114】
そして、図1に示した上記実施形態で説明した第1のエッチング工程において、全体がステンレス鋼より成る板状部材2の表面2aに対して、板状部材2の厚さ方向の途中までの第1のエッチング(ハーフエッチング)を行い、これによって隔壁7を形成する。第1のエッチングとしては、エッチング深さの制御性が高いという点でドライエッチングが好ましい。
【0115】
また、図1に示した上記実施形態で説明した第2のエッチング工程において、板状部材2の裏面2bに対して、板状部材2の厚さ方向の途中までの第2のエッチング(ハーフエッチング)を行い、これによって複数の島状部11を形成する。第2のエッチングとしては、エッチング深さの制御性が高いという点でドライエッチングが好ましい。
【0116】
上記第1及び第2のエッチング工程の後には、島状部11の周囲に、板状部材2をその両面2a、2bから減肉して形成された弾性変形部15が残置される。
【0117】
このように本実施形態においては、板状部材2の全体を単一材料にて一体に形成したので、板状部材2を製造するための必要部品点数及び製造工程数を減らすことができる。
【0118】
次に、本発明の他の実施形態について説明する。
図11は、本発明のインクジェット式記録ヘッドの一実施形態を示す図である。本実施形態による記録ヘッドは、縦振動モードの圧電振動子106を用いた記録ヘッドであり、ノズル開口108と圧力室107が形成された流路ユニット101と、この流路ユニット101が貼着されるとともに、圧電振動子106が収容されるヘッドケース102とを備えている。
【0119】
前記流路ユニット101は、ノズル開口108が列設されたステンレス鋼製のノズルプレート103と、前記各ノズル開口108に連通する圧力室107が列設された流路形成板104と、前記各圧力室107の下部開口を塞ぐ振動板105とが積層されて構成されている。流路形成板104は、表面104a及び裏面104bを有する。
【0120】
前記流路形成板104は、ノズル開口108に連通する連通孔121が穿設された第1基板120の下面に、エッチング停止層125を介して第2基板122が積層されて構成されている。
【0121】
前記第1基板120を形成する材料としては、ある程度の剛性と被エッチング性を備えたものであれば特に限定するものではなく、各種のものを用いることができ、例えば、ステンレス鋼やニッケル,アルミニウム,鉄,銅,亜鉛等各種の金属材料をあげることができる。これらのなかでも、特に、ステンレス鋼やニッケルは、耐食性に優れるうえ比較的エッチング加工もしやすいことから好ましく用いられる。
【0122】
また、前記第2基板122を形成する材料としては、ある程度の剛性と被エッチング性を備えたものであれば特に限定するものではなく、各種のものを用いることができ、例えば、ステンレス鋼やニッケル,アルミニウム,鉄,銅,亜鉛等各種の金属材料をあげることができる。特に、ステンレス鋼やニッケルは、耐食性に優れるうえ比較的エッチング加工もしやすいことから好ましく用いられる。
【0123】
さらに、前記エッチング停止層125を形成する材料としては、第1基板120と第2基板122がエッチング停止層25を介して積層された状態で、この積層体がエッチングされたときに、第1基板120及び第2基板122のエッチングがそこで停止しうるものであれば、特に限定するものではなく、各種のものを用いることができる。例えば、エポキシ系接着剤,ウレタン系接着剤,ポリエステル系接着剤等の熱硬化樹脂系接着剤や、ポリイミド系接着剤等の熱可塑性樹脂接着剤等の各種接着剤があげられる。これらの接着剤は、揮発成分が少なく、揮発後のポーラス化が防止されるため、好適に用いることができる。また、チタン,金,銀等、第1基板120および第2基板122を形成する金属材料よりもエッチングされにくい金属材料等もあげられる。
【0124】
そして、前記第1基板120は、第1基板120の図11(a)中の上面側、つまり流路形成板104の表面104a側からエッチング停止層125までエッチングされることにより、ノズル開口108と連通する連通孔が形成されている。
【0125】
また、前記第2基板122は、前記第2基板122が図11(a)中の下面側、つまり流路形成板104の裏面104b側からエッチング停止層125までエッチングされることにより、圧力室107と、前記各圧力室107にインクを供給するインク流路110と、前記圧力室107に供給されるインクを貯留するインク貯留室109とに対応する流路が形成されている。
【0126】
一方、前記ヘッドケース102は、合成樹脂製で、上下に貫通する空間112に圧電振動子106が収容されるようになっている。前記圧電振動子106は、後端側がヘッドケース102に取り付けられた固定基板111に固着されるとともに、先端面が振動板105下面の島部105Aに固着されている。
【0127】
そして、駆動回路114で発生させた駆動信号をフレキシブル回路板113を介して圧電振動子106に入力することにより、圧電振動子106を長手方向に伸縮させる。この圧電振動子106の伸縮により、振動板105の島部105Aを振動させて圧力室107内の圧力を変化させ、圧力室107内のインクをノズル開口108からインク滴として吐出させるようになっている。
【0128】
このように、本実施形態による記録ヘッドでは、前記第1基板120がエッチング停止層125までエッチングされることにより連通孔121が形成されると共に、前記第2基板122がエッチング停止層125までエッチングされることにより圧力室107,インク流路110,インク貯留室109となる流路が形成されている。このため、連通孔121の深さは第1基板120の厚みで決定され、圧力室107,インク流路110,インク貯留室109の深さは、第2基板122の厚みで決定されるので、それらの深さ寸法が極めて高精度なものとなる。また、圧力室107同士の隔壁も剛性が高く、圧力室107を高密度に配置することができる。さらに、電鋳部の剥離工程等を必要としないため、精度が低下することもなく、コスト的にも有利である。また、圧力室107と連通孔121との位置合わせ精度を向上させることができる。
【0129】
また、エッチング停止層125が、エッチングされる第1基板120及び第2基板122を形成する金属よりもエッチングされにくい金属層である場合や、第1基板120及び第2基板122がステンレス鋼もしくはニッケルであり、エッチング停止層125がチタン,銀,金のいずれかである場合には、確実に第1基板120及び第2基板122のエッチングを停止できるうえ、流路ユニット101を構成する部材の線膨張率を略均一にできるため、そりの発生が少なく、大型化が可能となる。さらに、圧力室107同士の隔壁の剛性も高くなり、圧力室107を高密度に配置することができる。
【0130】
図12は、本発明の他の実施形態のインクジェット式記録ヘッドを示す。この記録ヘッドは、たわみ振動モードの圧電振動子106Aを用いた記録ヘッドであり、流路ユニット101の振動板105に、上部電極116および下部電極117に挟まれた圧電振動子106Aが貼着されている。
【0131】
この記録ヘッドでは、圧電振動子106Aに駆動信号が入力されると、圧電振動子106Aが横方向にたわみ振動することにより圧力室107の圧力が変動し、圧力室107内のインクがインク滴としてノズル開口108から吐出されるようになっている。それ以外は、図11に示すものと同様であり、同様の部分には同じ符号を付している。
【0132】
この記録ヘッドでも、図11に示した上記実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0133】
図13は、本発明のインクジェット式記録ヘッドの製造方法の一実施形態を示す工程説明図である。この例では、まず、図13(a)に示すように、第1基板120と第2基板122をエッチング停止層125を介してラミネートして、板状の部材を成す積層体を形成する。この例では、エッチング停止層25として接着剤を用い、例えば、第1基板120若しくは第2基板122の片面に接着剤を塗布したのち両基板120,122を接着することによりラミネートが行われる。
【0134】
ついで、図13(b)、(c)に示すように、両基板120,122の表面に、感光性樹脂124を塗布し、連通孔121に対応する連通孔パターン123’、及び圧力室107,インク流路110,インク貯留室109に対応する流路パターン123の露光,現像を行なうことにより、第1基板120の連通孔パターン123’及び第2基板122の流路パターン123に対応する部分を露出させ、それ以外の表面のマスキングを行う。
【0135】
ここで、前記感光性樹脂124としては、エッチング浴に耐えるものであれば特に限定するものではなく、各種のものを用いることができるが、厚みの均一性や比較的厚い皮膜を形成させることができることから、ドライフィルムフォトレジストが好適に用いられる。
【0136】
ついで、前記積層体をエッチング浴に浸漬し、第1基板120及び第2基板122を陽極として直流電圧を印可することにより、図13(d)に示すように、第1基板120の連通孔パターン123’および第2基板122の前記流路パターン123の部分を溶解して圧力室107,インク流路110,インク貯留室109および連通孔121を形成する。ここで、前記エッチング浴としては、特に限定するものではなく、各種の浴を用いることができ、例えば、塩化第2鉄水溶液浴等が用いられる。
【0137】
そののち、図13(e)に示すように、感光性樹脂124を除去したのち、図13(f)に示すように、連通孔121の部分に残ったエッチング停止層125をブラスト,プレス,レーザ加工等の手法により除去し、流路形成板104を形成する。つぎに、必要に応じ、図13(g)に示すように、圧力室107,インク流路110,インク貯留室109内に露出したエッチング停止層125を、ブラスト,レーザ加工等の手法により除去することが行われる。このようにすることにより、特に、エッチング停止層125とインクとの濡れ性が悪い場合に、気泡の付着等が防止され、効果的である。
【0138】
このように、図13に示した記録ヘッドの製造方法では、第1基板120及び第2基板122をエッチング停止層125までエッチングすることにより連通孔121、及び圧力室107,インク流路110,インク貯留室109となる流路を形成させるため、流通孔121の深さが第1基板120の厚みで決定され、流路の深さが第2基板122の厚みで決定され、これらの深さ寸法が極めて高精度な記録ヘッドを得ることができる。また、圧力室107同士の隔壁も剛性が高く、圧力室107を高密度に配置することができる。さらに、剥離工程等を必要としないため、精度が低下することもなく、コスト的にも有利である。また、圧力室107と連通孔121との位置合わせ精度を向上させることができる。
【0139】
図14は、本発明のインクジェット式記録ヘッドの他の実施形態を示す。この記録ヘッドは、第1基板120のインク貯留室109と対応する部分に、インク貯留室109に連通してインク貯留室109の一部(追加のインク貯留室)となる開口部109Aが形成されている。この開口部109Aは、第1基板120に対するエッチングによって連通孔121と共に形成される。本実施形態による記録ヘッドは、開口部109Aを備えている点以外は、図11に示す記録ヘッドと同様であり、同様の部分には同じ符号を付している。
【0140】
この記録ヘッドでは、第2基板122だけでなく第1基板120にも追加のインク貯留室となる空間109Aが設けられ、スペースを有効活用することができるとともに、インク貯留室109,109Aの容量に余裕ができて流路抵抗が低減されるとともにインク貯留室109,109Aを介したクロストークも低減される。それ以外は、図11に示した上記実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0141】
図15は、本発明のインクジェット式記録ヘッドの製造方法の他の実施形態を示す工程説明図である。この例は、図14に示す記録ヘッドの製造方法であり、まず、図15(a)に示すように、第1基板120と第2基板122をエッチング停止層125を介してラミネートする。ついで、図15(b)、(c)に示すように、両基板120,122の表面に、感光性樹脂124を塗布し、圧力室107,インク流路110,インク貯留室109に対応する流路パターン123および連通孔121,開口部109Aに対応する連通孔・開口部パターン123’の露光,現像を行なうことにより、第1基板120の連通孔・開口部パターン123’及び第2基板122の流路パターン123の部分を露出させ、それ以外の表面のマスキングを行う。
【0142】
ついで、積層体にエッチングを施すことにより、図15(d)に示すように、第1基板120および第2基板122の連通孔・開口部パターン123’及び流路パターン123の部分を溶解して圧力室107,インク流路110,インク貯留室109、連通孔121および開口部109Aを形成する。
【0143】
そののち、図15(e)に示すように、感光性樹脂124を除去したのち、図15(f)に示すように、連通孔121および開口部109Aの部分に残ったエッチング停止層125をブラスト,プレス,レーザ加工等の手法により除去し、流路形成板104を形成する。つぎに、必要に応じ、図15(g)に示すように、圧力室107,インク流路110内に露出したエッチング停止層125を、ブラスト,レーザ加工等の手法により除去することが行われる。
【0144】
この記録ヘッドの製造方法は、第1基板120に対するエッチングによって連通孔121と共に開口部109Aを形成する点以外は図13に示した記録ヘッドの製造方法と同様であり、図13に示した製造方法と同様の作用・効果を奏する。
【0145】
図16は、本発明のインクジェット式記録ヘッドの他の実施形態を示す。
【0146】
この記録ヘッドは、エッチング停止層125を介して第1および第2基板120,122が積層された積層体から成る流路形成板104を2組備えており、両流路形成板104が互いに積層されている。流路形成板104同士の界面は、エポキシ系接着剤,両面テープ,ポリオレフィン系接着剤等で接着されている。また、インク貯留室109と対応する部分の第1基板120に、インク貯留室109に連通してインク貯留室109の一部となる開口部109Aが形成されている。流路形成板104を2枚備えている点以外は図14に示す記録ヘッドと同様であり、同様の部分には同じ符号を付している。
【0147】
この記録ヘッドでは、第2基板122を2枚備えているので、圧力室107やインク貯留室109の容積を十分に確保することができる。また、第2基板122だけでなく第1基板120にも追加のインク貯留室109Aとなる空間が設けられ、スペースを有効活用することができるとともに、インク貯留室109,109Aの容量に余裕ができて流路抵抗が低減されるとともにインク貯留室109,109Aを介したクロストークも低減される。それ以外は、図11及び図14に示した上記実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0148】
図17は、本発明のインクジェット式記録ヘッドの他の実施形態を示す。
【0149】
この記録ヘッドは、圧力室107側の振動板105の表面に、金属層105Bが設けられ、前記金属層105Bのインク貯留室109および圧力室107に対応する部分に、インク貯留室109および圧力室107の一部となる空間が形成されている。前記第2基板122と金属層105Bとの界面は、エポキシ系接着剤,両面テープ,ポリオレフィン系接着剤等で接着されている。それ以外は、図14に示すものと同様であり、同様の部分には同じ符号を付している。
【0150】
この記録ヘッドでは、第2基板122だけでなく金属層105Bにもインク貯留室109や圧力室107となる空間が設けられ、スペースを有効活用することができるとともに、インク貯留室109の容量に余裕ができて流路抵抗が低減されるとともにインク貯留室109を介したクロストークも低減される。それ以外は、図11,図14に示した上記実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0151】
図18は、本発明のインクジェット式記録ヘッドの他の実施形態を示す。
【0152】
この記録ヘッドは、第1基板120に形成された連通孔121の開口がノズル開口108になっており、前記第1基板120がノズルプレート103を兼ねるようになっている。それ以外は、図11に示す記録ヘッドと同様であり、同様の部分には同じ符号を付している。この記録ヘッドでは、流路ユニット101を構成する部材数や工程数や減少し、精度向上やコスト低下の面で有利である。それ以外は、図11に示した上記実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0153】
なお、上記各実施形態においてはエッチング停止層125として接着剤を用いた場合を示したが、エッチング停止層125としてチタン,金,銀等の金属材料を用いた場合は、第1および第2基板120,122とのラミネートは、例えば、クラッド等の手法により行うことができる。また、前記各実施形態では、本発明を圧電振動子の振動によりインク滴を吐出させる記録ヘッドに適用した例を説明したが、いわゆるバブルジェット式の記録ヘッドにも適用することができる。これらの場合でも、同様の作用効果を奏する。
【0154】
また、上述した実施形態の変形例としては、流路形成板104をステンレス鋼等の単一材料にて一体に形成し、流路形成板104の表面104a及び裏面4bに対して流路形成板104の厚さ方向の途中までエッチングすることにより、連通孔121,圧力室107,インク貯留室109等を形成することもできる。この場合にはエッチングの終了点を、例えばエッチング時間によって管理する。
【0155】
次に、本発明の参考例としての他の実施形態について説明する。
図19〜図23は、本発明のインクジェット式記録ヘッドの一実施形態を示す図である。
【0156】
図19に示したように本実施形態による記録ヘッドは、縦振動モードの圧電振動子206を用いた記録ヘッドであり、ノズル開口208と圧力室207が形成された流路ユニット201と、この流路ユニット201が貼着されるとともに、圧電振動子206が収容されるヘッドケース202とを備えている。
【0157】
前記流路ユニット201は、ノズル開口208が列設されたステンレス鋼製のノズルプレート203と、前記各ノズル開口208に連通する圧力室207と、前記圧力室207に供給するインクが貯留されるインク貯留室209が形成されるとともに、前記圧力室207の開口を塞ぐ振動板205を含む流路形成板204とが積層されて構成されている。
【0158】
前記流路形成板204は、圧力室207が形成された第1流路基板223と、前記圧力室207をノズル開口208に連通させる連通孔219とインク貯留室209とが形成された第2流路基板228と、前記第1および第2流路基板223,228の間に配設され、前記圧力室207をノズル開口208に連通させる連通孔219ならびにインク貯留室209のインクを圧力室207に供給する供給口217が形成された供給口プレート224とが積層されて構成されている。図21は、圧力室207,連通孔219、ノズル開口298、及び供給口217の位置関係を示してる。
【0159】
前記第1流路基板223は、エッチングにより圧力室207が形成された第1エッチング板220と、振動板295として作用する第1エッチング停止層222と、図23に示したように前記振動板205の表面に島部205Aを形成する第2エッチング板221とが積層されて構成されている。図20は、圧力室207と島部205Aとの位置関係を示している。
【0160】
また、前記第2流路基板228は、図22に示したようにエッチングによりインク貯留室209が形成された第3エッチング板225と、インク貯留室209の圧力変動を吸収するダンパ室218がエッチングにより形成された第4エッチング板226と、前記第3および第4エッチング板225,226の間に存在し、ダンパフィルム(可撓板)216として作用する第2エッチング停止層227とが積層されて構成されている。
【0161】
そして、前記記録ヘッドは、第1流路基板223と第2流路基板228とが供給口プレート224を介して積層された流路形成板204を備えることにより、圧力室207のノズルプレート203側にインク貯留室209が重ねられて設けられている。また、前記インク貯留室209のノズルプレート203側にダンパ室218が設けられている。図19において、符号232はノズルプレート203に穿設され、前記ダンパ室218内を大気と連通させる大気連通孔である。
【0162】
前記各エッチング板220,221,225,226の材質としては、ある程度の剛性と被エッチング性を備えたものであれば特に限定するものではなく、各種のものを用いることができ、例えば、ステンレス鋼やニッケル,アルミニウム,鉄,銅,亜鉛等各種の金属材料をあげることができる。特に、ステンレス鋼やニッケルは、耐食性に優れるうえ比較的エッチング加工もしやすいことから好ましく用いられる。
【0163】
さらに、前記各エッチング停止層222,227を形成する材料としては、前記各エッチング板220,221,225,226が各エッチング停止層222,227を介して積層された状態で、この積層体がエッチングされたときに、各エッチング板220,221,225,226のエッチングがそこで停止しうるものであれば、特に限定するものではなく、各種のものを用いることができる。例えば、エポキシ系接着剤,ウレタン系接着剤,ポリエステル系接着剤等の熱硬化樹脂系接着剤や、ポリイミド系接着剤等の熱可塑性樹脂接着剤等の各種接着剤があげられる。これらの接着剤は、揮発成分が少なく、揮発後のポーラス化が防止されるため、好適に用いることができる。また、チタン,金,銀等、各エッチング板220,221,225,226を形成する金属材料よりもエッチングされにくい金属材料や樹脂フィルム(高分子材料フィルム)等も用いることができる。
【0164】
そして、前記第1流路基板223では、第1エッチング板220が図19中の上面側から第1エッチング停止層222までエッチングされることにより圧力室207が形成され、第2エッチング板221が図19中の下面側から第1エッチング停止層222までエッチングされることにより島部205Aが形成されている。そして、エッチングされずにフィルム状に残った第1エッチング停止層222が、振動板205として機能するようになっている。
【0165】
また、前記第2流路基板228では、第3エッチング板225が図19中の下面側から第2エッチング停止層227までエッチングされることによりインク貯留室209が形成され、第4エッチング板226が図19中の上面側から第2エッチング停止層227までエッチングされることによりダンパ室218が形成されている。そして、エッチングされずにフィルム状に残った第2エッチング停止層227が、ダンパフィルム216として機能するようになっている。
【0166】
一方、前記ヘッドケース202は、合成樹脂製で、上下に貫通する空間212に圧電振動子206が収容されるようになっている。前記圧電振動子206は、縦振動モードの圧電振動子206であり、後端側がヘッドケース202に取り付けられた固定基板211に固着されるとともに、先端面が振動板205上の島部205Aに固着されている。
【0167】
そして、駆動回路214で発生させた駆動信号をフレキシブル回路板213を介して圧電振動子206に入力することにより、圧電振動子206を長手方向に伸縮させる。この圧電振動子206の伸縮により、振動板205の島部205Aを上下振動させて圧力室207内の圧力を変化させ、圧力室207内のインクをノズル開口208からインク滴として吐出させるようになっている。
【0168】
このように、本実施形態による記録ヘッドでは、圧力室207とインク貯留室209とが重なり合うように設けられているため、従来の記録ヘッドにくらべ、流路ユニット201の面積を大幅に小さくすることができ、記録ヘッドを大幅に小型化でき、集積率の向上に有利となる。また、流路ユニット201の厚み寸法も比較的大きくできるため、縦振動モードの圧電振動子206の振動方向の剛性が大幅に向上し、流路ユニット201の変形によるクロストーク等が生じにくくなる。さらに、圧力室207のノズルプレート203側にダンパ室218が設けられているため、それほど構造を複雑化したり大型化したりすることなくインク貯留室209の圧力変動を吸収でき、インク貯留室209を介したクロストークの発生等を防止できる。
【0169】
また、前記記録ヘッドでは、前記第1および第2エッチング板220,221が第1エッチング停止層222までエッチングされることにより圧力室207および島部205Aが形成されている。また、前記第3および第4エッチング板225,226が第2エッチング停止層227までエッチングされることによりインク貯留室209およびダンパ室218が形成されている。したがって、圧力室207,インク貯留室209,ダンパ室218の深さや島部205Aの厚みは、各エッチング板220,221,225,226の厚みで決定されるため、深さ寸法・厚み寸法が極めて高精度なものとなる。また、圧力室207同士の隔壁も剛性が高く、圧力室207を高密度に配置することができる。さらに、剥離工程等を必要としないため、精度が低下することもなく、コスト的にも有利である。また、エッチング停止層222,227を接着剤で形成することにより、エッチングを確実に停止できると共に流路形成板204の製造が容易となる。
【0170】
また、エッチング停止層222,227が、エッチング板220,221,225,226を形成する金属よりもエッチングされにくい金属層である場合や、エッチング板220,221,225,226がステンレス鋼もしくはニッケルであり、エッチング停止層222,227がチタン,銀,金のいずれかである場合には、確実にエッチング板220,221,225,226のエッチングを停止できるうえ、流路形成板204を構成する部材の線膨張率を略均一にできるため、そりの発生が少なくなる。さらに、圧力室207同士の隔壁の剛性も高くなり、圧力室207を高密度に配置することができる。
【0171】
また、エッチング停止層222,227が樹脂フィルム(高分子材料フィルム)であり、前記エッチング停止層222,227が接着層を介してエッチング板220,221,225,226とラミネートされている場合には、確実にエッチング板220,221,225,226のエッチングを停止できるうえ、エッチング停止層222,227の強度が高く、エッチング停止層222,227を振動板205やダンパフィルム216として機能させることが容易となる。
【0172】
つぎに、前記インクジェット式記録ヘッドの製造方法について説明する。
図24は、前記記録ヘッドの第1流路基板223の製造工程を示し、図25は、第2流路基板228の製造工程を示し、図26は、流路ユニット201の製造工程を示す。
【0173】
前記第1流路基板223は、つぎのようにしてつくられる。まず、図24(a)に示すように、第1および第2エッチング板220,221を準備し、前記第1エッチング板220と第2エッチング板221とを、第1エッチング停止層222を介してラミネートして積層体を形成する。
【0174】
この例では、エッチング停止層222として、図27に示すように、樹脂フィルム236を用い、例えば、樹脂フィルム236の両面に接着剤237を塗布したのち両エッチング板220,221を接着することによりラミネートが行われる。
【0175】
ついで、図24(b)に示すように、前記第1エッチング板220および第2エッチング板221の表面に、感光性樹脂229を塗布したのち、図24(c)に示すように、圧力室207ならびに島部205Aの外周部に対応する流路パターン230の露光,現像を行なうことにより、両エッチング板220,221表面の前記流路パターン230に対応する部分を露出させ、それ以外の表面のマスキングを行う。
【0176】
ここで、前記感光性樹脂229としては、エッチング浴に耐えるものであれば特に限定するものではなく、各種のものを用いることができるが、厚みの均一性や比較的厚い皮膜を形成させることができることから、ドライフィルムフォトレジストが好適に用いられる。
【0177】
つぎに、前記積層体をエッチング浴に浸漬し、前記第1および第2エッチング板220,221を陽極として直流電圧を印可することにより、図24(d)に示すように、両エッチング板220,221の流路パターン230の部分を溶解し、圧力室207および島部205Aを形成する。ここで、前記エッチング浴としては、特に限定するものではなく、各種の浴を用いることができ、例えば、塩化第2鉄水溶液浴等が用いられる。
【0178】
そののち、図24(e)に示すように、感光性樹脂229を除去することにより、第1流路基板223が形成される。
【0179】
つぎに、第2流路基板228は、つぎのようにしてつくられる。まず、図25(a)に示すように、第3および第4エッチング板225,226を準備し、前記第3エッチング板225と第4エッチング板226とを、第2エッチング停止層227を介してラミネートする。この例でも、前記第2エッチング停止層227として、図27に示した第1エッチング停止層222と同様に、両面に接着剤237が塗布された樹脂フィルム236が用いられている。
【0180】
ついで、図25(b)に示すように、前記第3エッチング板225および第4エッチング板226の表面に、感光性樹脂229を塗布したのち、図25(c)に示すように、インク貯留室209,ダンパ室218ならびに連通孔219に対応する流路パターン230の露光,現像を行なうことにより、両エッチング板225,226表面の前記流路パターン230に対応する部分を露出させ、それ以外の表面のマスキングを行う。
【0181】
つぎに、前記第3および第4エッチング板225,226をエッチングすることにより、図25(d)に示すように、両エッチング板225,226の流路パターン230の部分を溶解し、インク貯留室209,ダンパ室218ならびに連通孔219を形成する。
【0182】
そののち、図25(e)に示すように、感光性樹脂229を除去したのち、図25(f)に示すように、連通孔219の部分に残った第2エッチング停止層227をブラスト,プレス,レーザ加工等の手法により除去し、第2流路基板228が形成される。
【0183】
一方、板状体にプレス,レーザ加工等を施すことによりノズル開口208および大気連通孔232を穿設してノズルプレート203を準備するとともに、板状体に同じくプレス,レーザ加工等を施して連通孔219および供給口217を穿設して供給口プレート224を準備する。
【0184】
そして、図26に示すように、前記ノズルプレート203,第2流路基板228,供給口プレート224,第1流路基板223を、積層して接着剤等で接合することにより、流路ユニット201を完成させ、この流路ユニット201を圧電振動子206が収容されたヘッドケース202と接合することにより図19に示した記録ヘッドが得られる。
【0185】
このように、本実施形態による記録ヘッドの製造方法では、前記各エッチング板220,221,225,226を各エッチング停止層222,227までエッチングすることにより圧力室207,島部205A,インク貯留室209,ダンパ室218となる流路を形成させるため、前記流路の深さ等が各エッチング板220,221,225,226の厚みで決定され、深さ寸法・厚み寸法が極めて高精度な記録ヘッドを得ることができる。また、圧力室207同士の隔壁も剛性が高く、圧力室207を高密度に配置することができる。さらに、剥離工程等を必要としないため、精度が低下することもなく、コスト的にも有利である。
【0186】
図28は、本発明の参考例としての他の実施形態のインクジェット式記録ヘッドを示す。
【0187】
この記録ヘッドは、ノズルプレート203,第2流路基板228,供給口プレート224,第1流路基板223が、フィルム接着剤231A,231B,231Cを介して接合されている。それ以外は、図19に示すものと同様であり、同様の部分には同じ符号を付している。この記録ヘッドでも、図19に示した上記実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0188】
図29は、図28に示したインクジェット式記録ヘッドの製造方法を示す工程説明図である。この方法では、第1流路基板223の上面に、あらかじめ圧力室207に対応する開口部に合わせて型抜きされたフィルム接着剤231Cを貼着するとともに、第2流路基板228の上面に、あらかじめダンパ室218に対応する開口部に合わせて型抜きされたフィルム接着剤231Aを貼着し、第2流路基板228の下面にあらかじめインク貯留室209に対応する開口部に合わせて型抜きされたフィルム接着剤231Bを貼着する。
【0189】
つぎに、前記各フィルム接着剤231A,231B,231Cが貼着された第1流路基板223と第2流路基板228を、ノズルプレート203および供給口プレート224と積層して接合することにより、流路ユニット201を完成させる。それ以外は、図24〜図27に示した上記製造方法と同様にして記録ヘッドがつくられる。
【0190】
図29に示した製造方法によれば、流路内に接着剤がはみ出して、吐出に悪影響を及ぼしたり、気泡が付着することによる吐出不良等の発生を防止できる。それ以外は、図24〜図27に示した上記製造方法と同様の作用効果を奏する。
【0191】
なお、前記各実施形態では、エッチング停止層222,227として両面に接着剤237が塗布された樹脂フィルム236を用いた例を示したが、エッチング停止層222,227としてチタン,金,銀等の金属材料を用いた場合は、各エッチング板220,221,225,226とのラミネートは、例えば、クラッド等の手法により行うことができる。また、エッチング停止層222,227として接着剤を用いた場合は、各エッチング板220,221,225,226とのラミネートは、例えば、各エッチング板220,221,225,226に接着剤を塗布して接合する等の手法により行うことができる。これらの場合でも、同様の作用効果を奏する。
【0192】
【発明の効果】
以上述べたように本発明の参考例によれば、板状部材の表面及び裏面に対する第1及び第2のエッチングによって、表面側に隔壁を、裏面側に島状部をそれぞれ形成するようにしたので、従来技術において問題であった圧力室、インク供給口等への接着剤のはみ出しの問題がなく、また、圧力室と島状部との位置合わせの精度が向上し、このため、ノズル開口毎のインク吐出特性のばらつきを抑制することができる。
【0193】
また、第1層、第2層、及びこれら両層間の中間層によって板状部材を形成し、第1層を中間層に対して選択的にエッチングすることによって、中間層をエッチングすることなく第1層のみをその全厚にわたってエッチングすることが可能であり、その結果、第1層の厚みによってインク供給口の流路断面積が決定されることになり、インク供給口毎の流路断面積のばらつきが抑制されてノズル開口毎のインク吐出特性のばらつきが抑制される。
【0194】
本発明のインクジェット式記録ヘッドによれば、流路形成基板の表面及び裏面には第1及び第2のエッチングによって連通孔及び流路が形成されているので、感光性樹脂を積層した流路形成板を備えた従来の記録ヘッドに比べて、圧力室同士の隔壁の剛性を向上させて圧力室を高密度に配置したものとすることができる。さらに、電鋳部の剥離工程等を必要としないため、精度が低下することもなく、コスト的にも有利である。また、圧力室と連通孔との位置合わせ精度を向上させることができる。
【0195】
また、第1基板とエッチング停止層と第2基板とを積層して流路形成板を構成すれば、連通孔及び流路は、第1基板及び第2基板がエッチング停止層までエッチングされることにより形成されたものであるから、連通孔及び流路の深さは、エッチング時間によって制御されるのではなく第1基板及び第2基板の厚みで決定されるため、連通孔及び流路の深さ寸法が極めて高精度なものとなる。
【0196】
本発明のインクジェット式記録ヘッドの製造方法によれば、板状の部材の表面及び裏面に、第1及び第2のエッチングによって連通孔及び流路を形成するので、感光性樹脂を積層して流路形成板を形成する従来の記録ヘッドの製造方法に比べて、圧力室同士の隔壁の剛性を向上させて圧力室を高密度に配置したものとすることができる。さらに、電鋳部の剥離工程等を必要としないため、精度が低下することもなく、コスト的にも有利である。また、圧力室と連通孔との位置合わせ精度を向上させることができる。
【0197】
また、第1基板とエッチング停止層と第2基板とを積層して板状の部材を構成すれば、連通孔及び流路は、第1基板及び第2基板がエッチング停止層までエッチングされることにより形成されるから、連通孔及び流路の深さは、エッチング時間によって制御されるのではなく第1基板及び第2基板の厚みで決定されるため、連通孔及び流路の深さ寸法が極めて高精度なものとなる。
【0198】
本発明のインクジェット式記録ヘッドによれば、同じ平面に圧力室とインク貯留室が設けられるのではなく、これらが少なくとも部分的に重なり合うように設けられているため、従来の記録ヘッドにくらべ、流路ユニットの面積を大幅に小さくすることができ、記録ヘッドを大幅に小型化でき、集積率の向上に有利となる。また、流路ユニットの厚み寸法を比較的大きくできるため、縦振動モードの圧電振動子の振動方向の剛性が向上し、流路ユニットの変形によるクロストーク等が生じにくくなる。
【0199】
また、本発明の参考例としてのインクジェット式記録ヘッドの製造方法によれば、第1エッチング板と第2エッチング板を第1エッチング停止層までエッチングして圧力室および島部を形成させるため、圧力室の深さならびに島部の厚みをエッチング時間によって制御するのではなく、第1エッチング板および第2エッチング板の厚みで決定するため、圧力室の深さおよび島部の厚み寸法が極めて高精度な記録ヘッドを得ることができる。また、圧力室同士の隔壁も剛性を向上させて圧力室を高密度に配置させることができる。さらに、剥離工程等を含まないため、精度が低下することもなく、コスト的にも有利である。
【0200】
また、好ましくは、第3エッチング板及び第4エッチング板を第2エッチング停止層までエッチングしてインク貯留室ならびにダンパ室を形成することにより、インク貯留室およびダンパ室の深さがエッチング時間によって制御するのではなく、第3エッチング板と第4エッチング板の厚みで決定するため、インク貯留室およびダンパ室の深さ寸法が極めて高精度な記録ヘッドを得ることができる。また、剥離工程等を含まないため、精度が低下することもなく、コスト的にも有利である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の参考例の一実施形態によるインクジェット式記録ヘッドの要部を示した断面図。
【図2】図1のA−A線に沿った断面図。
【図3】図1のB−B線に沿った断面図。
【図4】図2のC−C線に沿った断面図。
【図5】板状部材の各種構成を示した断面図であり、(a)はPI層の両側にSUS層を設けた構成、(b)はPPS層の両側に接着剤層を介してSUS層を設けた構成、(c)はSUS層の両側に接着剤層を介してSUS層を設けた構成。
【図6】図1に示した実施形態の一変形例における板状部材及びノズルプレートを示した断面図。
【図7】図1に示した実施形態の他の変形例における板状部材、基材、及びノズルプレートを示した断面図。
【図8】本発明の参考例の他の実施形態における板状部材、基材、及びノズルプレートを示した断面図。
【図9】本発明の参考例の他の実施形態における板状部材の隔壁を表面側から見た図。
【図10】本発明の参考例の他の実施形態における板状部材、基材、及びノズルプレートを示した断面図。
【図11】本発明のインクジェット式記録ヘッドの一実施形態を示す図であり、(a)は縦断面図、(b)は(a)のA−A断面図、(c)は(b)のB−B断面図である。
【図12】本発明のインクジェット式記録ヘッドの他の実施形態を示す図であり、(a)は縦断面図、(b)は(a)のA−A断面図である。
【図13】本発明のインクジェット式記録ヘッドの製造方法の一実施形態を示す工程説明図である。
【図14】本発明のインクジェット式記録ヘッドの他の実施形態を示す縦断面図である。
【図15】本発明のインクジェット式記録ヘッドの製造方法の他の実施形態を示す工程説明図である。
【図16】本発明のインクジェット式記録ヘッドの他の実施形態を示す縦断面図である。
【図17】本発明のインクジェット式記録ヘッドの他の実施形態を示す縦断面図である。
【図18】本発明のインクジェット式記録ヘッドの他の実施形態を示す縦断面図である。
【図19】本発明の参考例としてのインクジェット式記録ヘッドの一実施形態を示す縦断面図である。
【図20】図19のA面に沿ったインクジェット式記録ヘッドの部分断面図である。
【図21】図19のB面に沿ったインクジェット式記録ヘッドの部分断面図である。
【図22】図19のC面に沿ったインクジェット式記録ヘッドの部分断面図である。
【図23】図19のD面に沿ったインクジェット式記録ヘッドの部分断面図である。
【図24】図19に示したインクジェット式記録ヘッドの第1流路基板の製造工程を示す図である。
【図25】図19に示したインクジェット式記録ヘッドの第2流路基板の製造工程を示す図である。
【図26】図19に示したインクジェット式記録ヘッドの流路ユニットの製造工程を示す図である。
【図27】図19に示したインクジェット式記録ヘッドのエッチング停止層を示す要部拡大断面図である。
【図28】本発明の参考例としてのインクジェット式記録ヘッドの他の実施形態を示す縦断面図である。
【図29】図28に示したインクジェット式記録ヘッドの製造工程を示す図である。
【図30】従来のインクジェット式記録ヘッドを示した断面図。
【図31】図30に示した記録ヘッドの圧力室及びその周辺を拡大して示した断面図。
【図32】図31に示した圧力室の内部に接着剤がはみ出した状態を示した断面図。
【図33】従来のインクジェット式記録ヘッドを示す分解斜視図である。
【図34】従来のインクジェット式記録ヘッドを示す縦断面図である。
【符号の説明】
1 インクジェット式記録ヘッド
2 板状部材
2a 板状部材の表面
2b 板状部材の裏面
3 ケース
4 第1層
5 第2層
6 中間層
7 隔壁
8 圧力室
9 インク供給口
10 共通インク室
11 島状部
12 圧力発生素子
15 弾性変形部
16 基材
17 連通孔
18 ノズルプレート
19 ノズル開口
21 第1接着剤層
22 第2接着剤層
23 ポリオレフィンフィルム接着剤
30 拡張インク室
31 拡張圧力室
40 接着剤捕捉溝
101 流路ユニット
103 ノズルプレート
104 流路形成板
105 振動板
106 圧電振動子
107 圧力室
108 ノズル開口
120 第1基板
121 連通孔
122 第2基板
125 エッチング停止層
201 流路ユニット
203 ノズルプレート
204 流路形成板
205 振動板
206 圧電振動子
207 圧力室
209 インク貯留室

Claims (12)

  1. ノズル開口が穿設されたノズルプレートと、前記ノズル開口に連通する圧力室を含む流路が形成された流路形成板と、前記圧力室の開口を塞ぐ振動板とが積層された流路ユニットと、
    前記振動板を変位させて前記圧力室に圧力変動を与える圧力発生素子と、を備え、
    前記流路形成板は表面及び裏面を有し、前記流路形成板の前記表面には第1のエッチングによって前記ノズル開口と連通する連通孔が形成されており、前記流路形成板の前記裏面には第2のエッチングによって前記流路が形成されており、
    前記流路形成板は、前記表面を含み、前記第1のエッチングによって前記連通孔が穿設された第1基板と、エッチング停止層と、前記裏面を含み、前記第2のエッチングによって前記流路が形成された第2基板との積層体を有し、
    前記連通孔は、前記第1基板の前記表面に対する前記第1のエッチングが前記エッチング停止層にて停止されることにより形成されたものであり、
    前記流路は、前記第2基板の前記裏面に対する前記第2のエッチングが前記エッチング停止層にて停止されることにより形成されたものであり、
    前記第2のエッチングによって前記流路形成板の前記裏面に形成された前記流路は、前記圧力室と、前記圧力室にインクを供給するインク供給路と、前記圧力室に供給されるインクを貯留するインク貯留室とに対応することを特徴とするインクジェット式記録ヘッド。
  2. 前記第1基板に形成された前記連通孔の開口が前記ノズル開口を構成し、前記第1基板が前記ノズルプレートを兼ねるように構成されている請求項記載のインクジェット式記録ヘッド。
  3. 前記エッチング停止層が接着剤層である請求項又はに記載のインクジェット式記録ヘッド。
  4. 前記第2基板は金属により形成されており、前記エッチング停止層は前記第2基板を形成する金属よりもエッチングされにくい金属により形成された層である請求項乃至のいずれか一項に記載のインクジェット式記録ヘッド。
  5. 前記第2基板がステンレス鋼もしくはニッケルであり、エッチング停止層がチタン,銀,金のいずれかである請求項記載のインクジェット式記録ヘッド。
  6. 前記圧力発生素子が、縦振動モードの圧電振動子である請求項1乃至のいずれか一項に記載のインクジェット式記録ヘッド。
  7. 前記圧力発生素子が、たわみ振動モードの圧電振動子である請求項1乃至のいずれか一項に記載のインクジェット式記録ヘッド。
  8. 前記流路形成板の前記表面に、前記インク貯留室に連通する追加のインク貯留室が前記第1のエッチングよって前記連通孔と共に形成されている請求項1乃至7のいずれか一項に記載のインクジェット式記録ヘッド。
  9. 互いに積層された一対の前記流路形成板を備えている請求項1乃至のいずれか一項に記載のインクジェット式記録ヘッド。
  10. 前記流路形成板の前記裏面には金属層が積層されており、前記金属層にも前記流路が形成されている請求項1乃至のいずれか一項に記載のインクジェット式記録ヘッド。
  11. ノズル開口が穿設されたノズルプレートと、前記ノズル開口に連通する圧力室を含む流路が形成された流路形成板と、前記圧力室の開口を塞ぐ振動板とが積層された流路ユニットと、
    前記振動板を変位させて前記圧力室に圧力変動を与える圧力発生素子と、を備えたインクジェット式記録ヘッドを製造するための方法において、
    表面及び裏面を有する板状の部材の前記表面に、前記ノズル開口と連通する連通孔をエッチングによって形成する第1のエッチング工程と、
    前記板状の部材の前記裏面に、前記圧力室を含む前記流路をエッチングによって形成する第2のエッチング工程と、
    前記第1及び第2のエッチング工程によって前記板状の部材から形成された前記流路形成板の前記表面側及び前記裏面側に前記ノズルプレート及び前記振動板を積層して前記流路ユニットを形成する工程と、を備え
    前記板状の部材は、前記表面を含む第1部材と、エッチング停止層と、前記裏面を含む第2部材とを積層して構成されており、前記第1及び第2のエッチングは前記エッチング停止層にて停止され、
    前記第2のエッチング工程において前記流路形成板の前記裏面に形成された前記流路は、前記圧力室と、前記圧力室にインクを供給するインク供給路と、前記圧力室に供給されるインクを貯留するインク貯留室とに対応することを特徴とするインクジェット式記録ヘッドの製造方法。
  12. 前記第1のエッチング工程において、前記板状の部材の前記表面に、前記インク貯留室に連通する追加のインク貯留室を前記連通孔と共に形成する請求項11記載のインクジェット式記録ヘッドの製造方法。
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