JP3407535B2 - 積層型インクジェット式記録ヘッド、及びその製造方法 - Google Patents

積層型インクジェット式記録ヘッド、及びその製造方法

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JP3407535B2 JP11413696A JP11413696A JP3407535B2 JP 3407535 B2 JP3407535 B2 JP 3407535B2 JP 11413696 A JP11413696 A JP 11413696A JP 11413696 A JP11413696 A JP 11413696A JP 3407535 B2 JP3407535 B2 JP 3407535B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、圧力発生室をたわ
み振動を行う圧電振動子により膨張、収縮させてノズル
開口からインク滴を吐出させる積層型インクジェット式
記録ヘッドに関する。
【0002】
【従来の技術】例えば、特開平6-40035号公報に示され
たように圧力発生室を構成している弾性板の一部領域に
圧電振動板を貼着し、圧電振動板のたわみ変位により圧
力室の容積を変化させてインク滴を発生させるインクジ
ェット式記録ヘッドは、圧力発生室の広い面積を変位さ
せることが可能なため、インク滴を安定して発生させる
ことができるという特徴を備えている。
【0003】このような記録ヘッドは、通常、圧力発生
室、振動板、及び圧電振動板をセラミックスの焼結によ
り製作されたアクチュエータユニットを、複数のノズル
開口列に対応させて形成された金属板から成る単一の流
路構成ユニットに接着層を介して固定して構成されてい
る。このような構成によれば、少なくともアクチュエー
タユニットを焼結作業により構成することができて、製
造工数を削減することができる。しかしながら、記録密
度が高くなると圧電振動板のサイズが小さくなり、圧電
材料のグリーンシートを振動板となるグリーンシートに
貼着したり、また塗布する作業が極めて困難で、とくに
圧電振動板のエッジ部での接合不良等により圧電振動子
の特性にバラつきが生じるという問題がある。
【0004】このような問題を解消するため、特開平5-
261921号公報に見られるように振動板を圧電材料で構成
し、これの表面に圧力発生室に対向する領域にだけ選択
的に駆動電極を形成し、この駆動電極の表面にたわみ振
動を誘起するための剛性部材を作り付けたインクジェッ
ト式記録装置が提案されている。これによれば、圧電振
動板が一枚の板として構成されているため、ここに独立
に形成する場合に比較して接合不良の影響を受け難いた
め、インク吐出特性をノズル開口全てにわたって均一化
することができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところが、さらに高い
密度で印刷を行なわせようとすると、インク滴を吐出さ
せるには十分な変位量を得ることができないという問題
がある。本発明はこのような問題に鑑みてなされたもの
であって、その目的とするところは、圧電振動子の変位
量の安定化と増大を図ることができる積層型インクジェ
ット式記録ヘッドを提供することである。本発明の他の
目的は、上記記録ヘッドの製造方法を提案することであ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】このような問題を解消す
るために本発明においては、圧電材料からなり、表面に
圧力発生室に対向するように駆動電極が、また裏面に少
なくとも前記圧力発生室に対向する領域に共通電極が形
成された振動板と、一方の面を前記振動板により封止さ
れて前記圧力発生室を形成する圧力発生室形成基板と、
該圧力発生室形成基板の他方の面を封止するとともに、
共通のインク室からのインクを前記圧力発生室に供給す
るインク供給口と、前記圧力発生室とノズル開口とを接
続するインク供給口形成基板とからなるアクチュエータ
ユニットと、前記圧力発生室からインクの供給を受けて
インク滴を吐出するノズル開口と、前記共通のインク室
とを備えた流路ユニットとを一体に接合してなる積層型
インクジェット式記録ヘッドにおいて、前記駆動電極の
表面に前記圧力発生室に対向するように前記振動板より
も剛性が大きな第1の振動誘起板と、前記共通電極の表
面に前記第1の振動誘起板の間で、かつ前記圧力発生室
を区画する隔壁の近傍に、前記隔壁の表面に接して前記
振動板よりも剛性の大きな第2の振動誘起板とを形成
て構成されている。
【0007】
【作用】駆動電極が形成されている領域の上面には振動
板よりも剛性の高い第1の振動誘起板が固定されている
ため、この領域が表面側に凸となるようにたわむ。そし
て、第1の振動誘起板と境を接するように振動板の裏面
の、振動板よりも剛性が大きな第2の振動誘起板の反力
を受けるため、第1の振動誘起板単独の場合よりもたわ
み量が拡大される。
【0008】
【発明の実施の形態】そこで以下に本発明の詳細を図示
した実施例に基づいて説明する。図1、図2、図3
(イ)、(ロ)は、それぞれ本発明の一実施例を示すも
のであって、図中符号1は、流路ユニットで、共通のイ
ンク室3、及びノズル開口4を備え、連通孔5、6、7
を介して後述するアクチュエータユニット2の圧力発生
室8にインクを供給したり、また圧力発生室8で加圧さ
れたインクをノズル開口4からインク滴として吐出させ
るものである。
【0009】流路ユニット1は、不錆鋼等に圧力発生室
8側が拡開するテーパ状の通孔を穿設してノズル開口4
が形成されたノズルプレート21と、所定の厚みの不錆
鋼に共通のインク室3及び連通孔5となる窓や通孔をプ
レスにより形成した共通のインク室形成基板10と、圧
力発生室8の両端に位置してこれら連通孔5や共通のイ
ンク室3に接続する連通孔6、7を穿設した連通基板1
1とをそれぞれの間にポリオレフィンフィルム等の熱溶
着フィルム12、13を介して溶着して構成されてい
る。なお、図中符号14は、共通のインク室3に対向す
る領域に形成されたダンパ室を示す。
【0010】一方、流路ユニット1に固定されるアクチ
ュエータユニット2は、圧力発生室8を形成する圧力発
生室形成基板20と、これの一方を封止して共通のイン
ク室3と圧力発生室8との流体抵抗を規制するインク供
給口21と、圧力発生室8とノズル開口4とを接続する
連通孔22とを備えたインク供給口形成基板23と、圧
力発生室形成基板20の他面を封止する振動板24とを
一体に接合して構成されている。
【0011】この振動板24は、厚さ10μm程度のP
ZT等の圧電材料からなる板として構成され、表面とな
る側には圧力発生室8に対向する領域に図4に示すよう
に駆動電極25が金属の蒸着やスパッタリング等により
形成されている。
【0012】駆動電極25の表面には圧力発生室8をた
わませる領域には、図5に示したように振動板24の剛
性よりも大きく、振動板24に変位をたわみ振動に変換
するのに適した短冊状の第1の誘起振動板26がメッキ
やスパッタリング、スクリーンマスク厚膜印刷法等で作
り付けられている。この振動誘起板26はその幅W1が
駆動電極の幅W2よりも小さく、かつ圧力発生室8の全
域に及ぶ長さに選択されている。そして、これに連続す
るようにして圧力発生室8から外れた領域にまで延びる
引出し電極部26aが形成されている。
【0013】振動板24の裏面には、図6に示したよう
に圧力発生室8、8、8‥‥が形成されている領域を覆
うように耐インク性を備えたアルミニューム、銅、クロ
ム等の金属層を形成して共通電極27が形成されてい
る。
【0014】共通電極27の表面には第1の振動誘起板
板26の間に位置する領域、つまり圧力発生室8を区画
する隔壁8aの近傍に、図7に示したようにインクに対
して耐蝕性を備え、振動板24よりも剛性が高くなるよ
うにその厚みが設定されたニッケルやジルコニウム等の
短冊状の第2の誘起振動板28が圧力発生室8の配列ピ
ッチに合わせて作り付けられている。
【0015】これら振動板24、圧力発生室形成基板2
0、及びインク供給口形成基板23は、セラミックに焼
成する過程で一体に重ね合わされて一体物として構成さ
れ、熱溶着フィルム29により流路ユニット1のインク
供給口形成基板11に固定されてインクジェット式記録
装置に構成されている。
【0016】こうような記録ヘッドは、焼成により圧電
振動板となるPZT等の圧電材料のグリーンシートの一
方の面の少なくとも圧力発生室8に対向する領域に共通
電極27を蒸着やスパッタリングにより形成する。次い
で共通電極27の表面に圧力発生室8と対向する領域で
は間隙が生じるように圧力発生室8を区画する隔壁8a
に中心が対向する位置に、第2の振動誘起板28を金属
の厚膜メッキや、スパッタリング、厚膜印刷法で形成す
る。
【0017】上述の工程で形成された部材を圧力発生室
形成基板20の一方の面に、また圧力発生室形成基板2
0の他方の面にインク供給口形成基板23とを接合す
る。この状態では振動板24の表面に駆動電極25や第
1の振動誘起板26が作り付けられていないので、振動
板24を圧力発生室8内に陥没させてしまったり、歪む
ませることなく、面全体を均一に加圧することができ、
各層を確実に接合することができる。
【0018】このようにして接合された部材を焼成する
ことにより振動板24の上面に作り付けるべき駆動電極
25や第1の振動誘起板26を備えない流路ユニット2
の半製品が焼結体として完成する。そして圧力発生室8
に対向するように表面に導電材料のスパッタリングや蒸
着により駆動電極25を形成して、これの表面に金属を
蒸着したり、またセラミックスの厚膜印刷等で第1の振
動誘起板26を形成する。
【0019】そして最後に、この焼結体と、予め別の工
程で製作した流路ユニット1とを接着剤により接着した
り、また両者の間に熱溶着フィルム29を介装して熱溶
着により接合することにより記録ヘッドが完成する。
【0020】この実施例において、共通電極27と駆動
電極25とに駆動信号を印加すると、駆動電極25と対
向する領域が圧力発生室8の幅方向に収縮する。ところ
が、駆動電極25が形成されている領域の上面には振動
板24よりも剛性の高い第1の振動誘起板26が固定さ
れているため、図8に示したようにこの領域が圧力発生
室8側から外方を凸とするようにたわむ。そして、第1
の振動誘起板26と境を接するように振動板24の裏面
の、振動板24よりも剛性が大きな第2の振動誘起板2
8、28の反力を受けるため、第1の振動誘起板26単
独の場合よりもたわみ量が拡大される。
【0021】これにより、高密度配列により圧力発生室
の容積を小さくせざるを得ない場合にも、圧力発生室8
の容積変化率を拡大できて、印刷に必要なインク量のイ
ンク滴を吐出させることができる。
【0022】なお、上述の実施例のおいては第1の振動
誘起板26を金属などに導電材料で構成し、その一端を
圧力発生室8の領域外まで延長して駆動信号供給用の配
線パターンを形成しているが、第1の振動誘起板26を
セラミック等の絶縁材料で構成した場合には、駆動電極
25に接続する導電パターンを形成して駆動電極25に
信号を供給するように構成できる。
【0023】また、上述の実施例においては、第2の振
動誘起板26を圧力発生室8を区画する隔壁8aを跨ぐ
連続体として形成しているが、図9に示したように各圧
力発生室8に収まるように隔壁8aに対向する領域で分
離された2つの分割体28a、28aとして形成しても
同様の作用を奏することは明らかである。
【0024】
【発明の効果】以上、説明したように本発明によれば、
第1の振動誘起板と境を接するように振動板の裏面の、
振動板よりも剛性が大きな第2の振動誘起板の反力を受
けて、第1の振動誘起板単独の場合よりもたわみ量が拡
大することができ、圧力発生室の小型化が可能となり、
高密度配列に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す斜視図である。
【図2】本発明の一実施例を流路ユニットとアクチュエ
ータユニットに分離して示す図である。
【図3】図(イ)、(ロ)は、それぞれ圧力発生室の長
手方向、及び幅方向での断面構造を示す断面図である。
【図4】弾性板の表面に形成される駆動電極に一実施例
を示す図である。
【図5】駆動電極の表面に形成される第1の振動誘起板
の一実施例を示す図である。
【図6】弾性板の裏面に形成される共通電極の一実施例
を示す図である。
【図7】共通電極の表面に形成される第2の振動誘起板
の一実施例を示す図である。
【図8】同上装置における圧力発生室の膨張状態を示す
図である。
【図9】本発明の他の実施例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 流路ユニット 2 アクチュエータユニット 3 共通のインク室 4 ノズル開口 8 圧力発生室 20 圧力発生室形成基板 21 インク供給口 23 インク供給口形成基板 24 振動板 25 駆動電極 26 第1の振動誘起板 27 共通電極 28 第2の振動誘起板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B41J 2/045 B41J 2/055 B41J 2/16

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 圧電材料からなり、表面に圧力発生室に
    対向するように駆動電極が、また裏面に少なくとも前記
    圧力発生室に対向する領域に共通電極が形成された振動
    板と、一方の面を前記振動板により封止されて前記圧力
    発生室を形成する圧力発生室形成基板と、該圧力発生室
    形成基板の他方の面を封止するとともに、共通のインク
    室からのインクを前記圧力発生室に供給するインク供給
    口と、前記圧力発生室とノズル開口とを接続するインク
    供給口形成基板とからなるアクチュエータユニットと、 前記圧力発生室からインクの供給を受けてインク滴を吐
    出するノズル開口と、前記共通のインク室とを備えた流
    路ユニットとを一体に接合してなる積層型インクジェッ
    ト式記録ヘッドにおいて、 前記駆動電極の表面に前記圧力発生室に対向するように
    前記振動板よりも剛性が大きな第1の振動誘起板と、前
    記共通電極の表面に前記第1の振動誘起板の間で、かつ
    前記圧力発生室を区画する隔壁の近傍に、前記隔壁の表
    面に接して前記振動板よりも剛性の大きな第2の振動誘
    起板とを形成してなる積層型インクジェット式記録ヘッ
    ド。
  2. 【請求項2】 圧電材料からなり、表面に圧力発生室に
    対向するように駆動電極が、また裏面に少なくとも前記
    圧力発生室に対向する領域に共通電極が形成された振動
    板と、一方の面を前記振動板により封止されて前記圧力
    発生室を形成する圧力発生室形成基板と、該圧力発生室
    形成基板の他方の面を封止するとともに、共通のインク
    室からのインクを前記圧力発生室に供給するインク供給
    口と、前記圧力発生室とノズル開口とを接続するインク
    供給口形成基板とからなるアクチュエータユニットと、 前記圧力発生室からインクの供給を受けてインク滴を吐
    出するノズル開口と、前記共通のインク室とを備えた流
    路ユニットとを一体に接合してなる積層型インクジェッ
    ト式記録ヘッドにおいて、 前記駆動電極の表面に前記圧力発生室に対向するように
    前記振動板よりも剛性が大きな第1の振動誘起板と、前
    記共通電極の表面に前記第1の振動誘起板の間で、かつ
    前記圧力発生室を区画する隔壁を跨ぐように前記振動板
    よりも剛性の大 きな第2の振動誘起板とを形成してなる
    積層型インクジェット式記録ヘッド。
  3. 【請求項3】 圧電材料の一方の面の少なくとも前記圧
    力発生室に対向する領域に共通電極を構成する工程と、
    前記共通電極の表面に圧力発生室側に間隙を形成するよ
    うに前記圧力発生室を区画する隔壁に対向する位置に、
    第2の振動誘起板を形成する第1の工程と、圧力発生室
    形成基板の一方の面に第1の工程で形成された部材を、
    他方の面にインク供給口形成基板とを接合して焼成する
    第2の工程と、前記圧力発生室に対向するように表面に
    駆動電極を形成する第3の工程と、前記駆動電極の表面
    に第1の振動誘起板を形成する第4の工程と、前記圧力
    発生室からのインクを受けてインク滴を吐出するノズル
    開口と、共通のインク室とを備えた流路ユニットに前記
    第4の工程で形成された部材を熱溶着により接合する第
    5の工程と、とからなる積層型インクジェット式記録ヘ
    ッドの製造方法。
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EP97106000A EP0803918B2 (en) 1996-04-11 1997-04-11 Piezoelectric vibrator unit, ink jet recording head using the piezoelectric vibrator unit and method of manufacturing the same

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