JP3680947B2 - 積層型インクジェット式記録ヘッド - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は印字データの入力を受けた時点で、インク滴を飛翔させて記録用紙にドットを形成させる、板材を積層して構成されたインクジェット式記録ヘッドに関する。
【0002】
【従来の技術】
入力情報に応じて複数のノズルからインク滴を噴射して文字や図形を出力するオンデマンド型インクジェットヘッドは、ワイヤドット式記録ヘッドに比較して印字品質が高く、かつ騒音が低く、さらにページプリンタに比較してランニングコストが低いため急速に普及している。
【0003】
このインクジェット式記録ヘッドの中で、プレートに複数のノズルを穿孔してプレートの面に垂直な方向にインク滴を吐出させる、所謂フェイスイジェクト式インクジェットヘッドは、ノズル配置の自由度が高いことや、また積層構造であるため、製造が比較的簡単であるという特徴を備えている。
【0004】
図13は、このような積層構造を有するインクジェット式記録ヘッドの一例を示すもので、平面上に配列された細長い圧力発生室96を区画するチヤンネルプレート94は、その一方の面を圧力発生室96に対応して配置された圧電振動子97を持つ振動板95で封止され、他方の面を制限オリフィス98を有する制限プレート93で封止されて構成されている。
【0005】
制限プレート93の表面に積層されたマニフォールドプレート92には、制限オリフィス98を経由してそれぞれの圧力発生室96にインクを供給するリザーバ室99を区画する通孔が開けられいる。リザーバ室99は、インクタンクからのインクを供給するための流路100、101、102が、振動板95とチヤンネルプレート94と制限プレート93とを貫通して形成されている。
【0006】
またインクを吐出するノズル103は、振動板95と反対側に固定されるノズルプレート90に穿孔され、ノズルと各圧力発生室を接続するノズル連通孔104、105、106がそれぞれ制限プレート93とマニフォールドプレート92とを貫通して形成されている。
【0007】
この積層型インクジェット式記録ヘッドは、典型的には各圧力発生室は、一列0.04インチから0.06インチの間隔で2列対向配置され、またノズルは、0.02インチから0.03インチの間隔で一列に配置されたノズルに交互に接続されている。
【0008】
ところで、このようなインクジェット式記録ヘッドの記録品質を向上させるは、吐出するインク滴を微細化し、記録される画素の密度を高くすることが重要である。更に、画素の密度を上げたうえで記録速度を確保するには、インク滴を吐出するノズルの数を増やすことも必要となる。特に、カラー記録にあっては、一画素を3色乃至4色の画素で形成するため、必然的に多くのノズルと、それに至るまでの複雑な流路構成が必要となる。
【0009】
特に、記録される画素の密度を上げて記録品質を高めるには、ノズルの配列密度を高くする必要があり、インク収容部から個別のノズルに至る流路流路は極めて微細な構造となる。これは、平面的な寸法や配置のみならず、厚さに関しても同様である。平面寸法がより小さな通孔を板に加工するには、厚さも孔径と同程度にまで薄くする必要がある。
【0010】
このような問題を解消するため、複数の記録ヘッドを、ノズルの位置をずらせて複数取付けることも実際に行われているが、各記録ヘッド間の相対位置精度を維持するために極めて高い組み立て精度が要求される。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、比較的簡単な位置決め作業で製造の歩留まりを確保しつつ、高い密度でノズルを形成でき、外部のインク供給源との接続を形成して容易にキャリッジに組み込むことができる積層型インクジェット式記録ヘッドを提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
このような問題を解消するために本発明の積層型インクジェット式記録ヘッドは、複数のノズルが形成されたノズルプレートと、少なくとも1つのリザーバ室、及び前記ノズルに連通する連通孔を備えたリザーバ室形成基板と、第1、第2の連通孔及びリザーバ口を備えたインク供給口形成基板とを、前記ノズルプレート、リザーバ形成基板、インク供給口形成基板の順序で積層して構成された流路ユニットと、側壁により区画された複数の圧力発生室を形成する圧力発生室形成基板と、該圧力発生室形成基板の一方の面に固定される振動板と、前記圧力発生室に対応して前記振動板の表面に形成された圧電振動子とからなるアクチュエータユニットと、前記アクチュエータユニットと流路ユニットとを収容する凹部及び外部からのインクの供給を受ける流路が形成されたヘッド固定部材と、からなり、前記アクチュエータユニット及び流路ユニットを前記凹部に収容するとともに、前記流路ユニットの前記リザーバ口と前記流路とが直接連通するように前記ヘッド固定部材に前記流路ユニットが固定されている。
【0014】
【実施例】
そこで、以下に本発明の詳細を図示した実施例の基づいて説明する。
図1は本発明の積層型インクジェット式記録ヘッドが搭載された記録装置の実施例を示すものであって、図中符号2は、印字機構部で、キャリッジモータ81によって主走査方向(図中、矢印Aの方向)に移動するキャリッジ80に搭載されていて、プラテン83に位置決めされながら紙送りモータ84によって副走査方向(図中、矢印B方向)に移動する記録媒体82の幅方向に移動するようになっている。
【0015】
印字機構部2は、図2に示したように後述するインクジェット式記録ヘッド10と、インク収容部70と、これらを接合するヘッド固定部材20とから構成されている。
【0016】
インク収容部70は、大気連通口76が形成された蓋体77により封止可能な容器にインク吸収部材74を収容するとともに、一端が記録ヘッド10に、他端がインク収容部70に延びるインク供給管72により形成される流路21を介してインクを記録ヘッド10に供給できるように構成されている。なお、図中符号71は、封止用のOリングを、また75は、インク供給管72に設けられたフィルタを示す。
【0017】
このような構成により、印字信号に応じて記録ヘッド10を主走査方向に移動させながらインク滴を吐出するとともに、インク収容部70からインクの供給を受け、1行印刷後に記録媒体の副走査方向に移動させ、もって2次元面上に画像を形成する。
【0018】
また、印字が一定時間以上行なわれない場合にはインク吸引手段85が設けられている待機位置86に移動する。インク吸引手段85は、キャップ87と、図示しないキャップ進退機構とを有し、記録ヘッド10のノズル面にキャップ87を当接させた状態で待機する。
【0019】
なお、上述の実施例においては、インク収容部70をキャリッジ80に搭載しているが、ケース等にインクタンクを配置し、チューブを介して記録ヘッド10にインクを供給するようにすることもできる。
【0020】
図3、図4は、それぞれ上述のインクジェット式記録ヘッド10の一実施例を示すもので、記録ヘッド10は板状のアクチュエータユニット30を、これを実装するのに十分な面積を持つ同じく板状の流路ユニット40の表面に固定して構成されている。アクチュエータユニット30の一方の面には、後述する圧電振動子への駆動信号を印加するためのフレキシブルケーブル26の一端が接続されている。
【0021】
図5は、アクチュエータユニットの一実施例を示すものであって、アクチュエータユニット30は、封止基板31と圧力発生室形成基板32と振動板33とを順次積層して構成されている。振動板33の表面にはそれぞれの圧力発生室5に対応して、個別に分離された下部電極35が形成されていて、この下部電極35の表面に対応して電歪材料からなる圧電振動子34の層が形成され、さらに圧電振動子34の表面には下部電極35とで圧電振動子34を挟むように上部電極36が複数の圧電振動子34に股がるように形成されている。
【0022】
すなわち、下部電極35には個別の圧電振動子34を選択的に駆動するための個別駆動信号が加えられる。共通電極として機能する上部電極36と個別電極である下部電極35は、振動板33上に形成された接続端子37とフレキシブルプリント基板(FP)26とで外部の駆動回路に接続される。インク滴吐出に必要なインク圧力を発生する圧力発生室5は、圧力発生室形成基板32に細長く形成された通孔により平面内の配列が規定され、通孔の周囲が側壁となり隣接する圧力発生室が区画、分離されている。
【0023】
また、封止基板31には圧力発生室5を封止すべく側壁と気密的に接合され圧力発生室31の底壁を形成するとともに、各圧力発生室毎にアクチュエータユニット外からインクを供給するための第1の連通孔38と、インク滴を吐出するノズル3と接続するための第2の連通孔39とが形成されていて、各圧力発生室5の両端部近傍で圧力発生室5に接続している。
【0024】
流路ユニット40は、ノズルプレート41とリザーバ室形成基板42とインク供給口形成基板43とを順次積層して構成されている。リザーバ室形成基板42には、リザーバ室6を区画する通孔が形成されており、通孔の一方の面をノズルプレート41で、他方の面をインク供給口形成基板43で封止することで構成されている。リザーバ室6は、インク収容部74からのインクを各圧力発生室5に分岐させるマニフォールドとしての機能を有し、基板面から見て、各圧力発生室5と平面的に重なる部分からアクチュエータユニット30と平面的に重ならない部分に渡つて形成されている。
【0025】
このリザーバ室6にあって、各圧力発生室5と平面的に重なる部分のインク供給口形成基板43には、リザーバ室6から各圧力発生室5へ個別にインクを供給するインク供給口4が穿孔されており、アクチュエータユニット30と平面的に重ならない領域には、インク収容部74からのインクをリザーバ室6に導くリザーバ口8が穿孔されている。また、ノズルプレート41にはインク滴を吐出するノズル3が、圧力発生室5に対応して穿孔されている。このノズル3と対応する圧力発生室5とを接続するため、インク供給口形成基板43とリザーバ形成基板42にはノズル3に対応してノズル連通孔44、45が形成されている。
【0026】
流路ユニット40の一方の面に開口するインク供給口4、及びノズル連通孔44は、それぞれ一対一に対応するアクチュエータユニット30の第1の連通孔38、及び第2の連通孔39に重なる位置に形成されており、アクチュエータユニット30と流路ユニット40との対応する開口を重ねて接合することにより、各ユニット間の流路が接続される。
【0027】
次に、流路ユニット40とアクチュエータユニット30からなるヘッドユニット10内のインク流れを細長い圧力発生室に沿つた断面構造を示す図6に基づいて説明する。
図6は、説明を簡素化するためにリザーバ口8を圧力発生室5と同一断面に配置して示すもので、インク収容部から導かれたインクはリザーバ口8、リザーバ室6、インク供給口4、連通孔38を経由して圧力発生室5に供給される。インクの供給口は、流路へ初めてインクを充填する場合や流路内に気泡が発生したり、インクの粘度が大きくなった場合にはインク吸引手段85を用いて、ノズル3から吸引して強制的に排出される。
【0028】
また、印刷時には、ノズル3に形成されるメニスカスの毛細管力によってインク収容部から圧力発生室5にインクが流れ込む。圧電振動子34は、振動板33とともにユニモルフ振動子を構成しており、圧電振動子34への電圧印加により圧電振動子34は面内方向に収縮する。振動板33は圧力発生室5を収縮する方向にたわみ変形して、圧力発生室5に圧力を発生させる。この圧力により、圧力発生室5から連通路39、ノズル連通孔44、45を経てノズル3に至るインク流が発生し、ノズル3からインク滴が吐出する。
【0029】
ところでこの実施例においては、ノズルプレート41は、薄肉部41aと厚肉部41bとの2層構造になっていて、ノズル3と接続する連通孔45の近傍のみが薄肉部41aとして構成されている。
このノズルプレート41は、圧力発生室5からのインクの圧力で弾性変形可能な金属板にノズル3をプレス加工等で穿設した後、ノズル3の近傍以外の領域をクローム等を強度が確保できる厚さにメッキして厚肉部41bを形成して構成されている。
【0030】
このようにノズル3の近傍にのみ薄肉部41aを備え、他の領域を厚肉部41bとすることにより、連通孔45の近傍における薄肉部41aが圧力発生室5の圧力を受けて弾性変形するため、インク滴吐出に必要なコンプライアンスを確保できる一方、特に後述する複数のアクチュエータユニットを複数固定した記録ヘッドを構成する場合には、その剛性を高めてたわみを可及的に小さくすることができる。そして、ノズル3が一段低い位置に存在するため、記録用紙等との接触を防止することもできる。
【0031】
この実施例においては一つのアクチュエータユニット30に対向させて2列の圧力発生室5が形成されており、相互に圧力発生室配列間隔の2分の1だけ配列方向にずらして配置されている。また、対応するノズル3も相互にノズル配列間隔の2分の1だけずらして2列に配設されている。したがって主走査方向Aから見たノズル3の配列間隔は圧力発生室間隔の2分の1となり、ノズル3の配列密度が実質的に2倍になっている。
【0032】
一つのアクチュエータユニット30には、1列あるいは3列以上に圧力発生室を配列することもできるが、2列の配列形態を採用すると、圧電振動子への給電線をアクチュエータユニット30の両側の空間に配置できるため、配線構造が簡素化できる。
【0033】
また、上述の実施例においては、2列の圧力発生室へV字あるいはU字型の共通のリザーバ室6を介してインクを供給するようにしているが、各列の圧力発生室に独立したリザーバ室を連通させることにより、各ノズル列から色の異なるインク滴を吐出させることが可能となる。
【0034】
次ぎに、上述した流路ユニット40の具体例について説明する。
厚さ50乃室150μmのステンレス板よりなるノズルプレート41には開口径30乃至50μmのテーパ孔からなるノズル3が、列内の間隔が564μmで、2列に形成されている。リザーバ形成基板42は厚さ150μmのステンレス板をプレス加工してリザーバ室6を区画する通孔と、ノズル連通孔45とが形成されている。
【0035】
ノズル連通孔45の直径は板材の厚みと同じ150μm程度が好ましい。インク供給口形成基板43は50乃室150μmのステンレス板をプレス加工してインク供給口4とノズル連通孔44が穿孔されている。インク供給孔4は圧力発生室5の圧力によって発生するインク流が、リザーバ室6側へ逃げるのを抑制してノズル3側へ向けるために、ノズルの流体インピーダンスと等しいか、大き目に設定するのが好ましい。
【0036】
この実施例においてはインク供給口4は、ノズル3と同じ寸法に選択され、断面が厚さ方向に拡大するテーパ部を持つよう形状が選択されている。テーパを持たせたため、最狭部の直径を板厚より小さくでき、また精度良く形成することができる。ノズル連通孔44の直径は、リザーバ室形成基板42のノズル連通孔45より大きく、圧力発生室5の幅よりは小さく、200乃至300μmに選択されている。このように設定することにより、圧力発生室5からノズル3への流路を漸次狭くなるように構成でき、流路中に気泡が滞留するのを防止できる。
【0037】
流路ユニットを構成するこれら3枚のプレートは、相互に関連付けられた通孔が連通するように積層されている。これらプレート相互は、ろう接合、拡散接合、接着剤、型抜きされた接着シート等が採用できるが、ここではインクに腐食されないエポキシ樹脂からなる接着剤により接合されている。
各プレートは、ステンレス板が用いられているが、インクに腐食されない素材であれば、セラミクス、硝子、シリコン等の無機材料や、ニッケル等の金属材料や、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリサルォン等のプラスチック材料から適宜各プレートの機能に合わせて材料を選択して組み合わせることができる。
【0038】
そして加工法としては、ノズルプレート41やインク供給口形成基板43は比較的基板が薄く、形成される穴の直径が小さく、高い精度を要求さえれるので、プラスチツクプレートをエキシマレーザで加工する方法や、ニッケルの電鋳で形成してもよい。
【0039】
本発明では、流路ユニット40は、アクチュエータユニット30の固定基板を兼ねているため、高い剛性が要求されるため、靭性と剛性を兼ね備えた金属材料が好適である。特にリザーバ室形成基板42は、形成される通孔のサイズが他のプレートの通孔よりも大きいため、他のプレートよりも厚いプレートを用いて剛性を確実に確保できる構造が好ましい。
【0040】
次に、アクチュエータユニット30の具体例について説明する。圧力発生室形成基板32は、厚さ150μmのジルコニアの焼成体で、複数の圧力発生室5がノズル3と同じく列内の間隔が564μmで、2列に形成されている。圧力発生室5の幅は350乃至450μmで長さは1乃至3mmである。これらの寸法は、ドット形成に必要なインク滴量やノズル配列密度等により、最適な値に選択されている。
【0041】
封止基板31は厚さ150μmのジルコニアの焼成体で、圧力発生室5の一方の表面を封止するように圧力発生室形成基板32の一方の面に接合される。封止基板31の1対の連通孔38、39の直径は共に300μmに選択されている。振動板33は厚さ10乃至20μmのジルコニアの焼成体で、圧力発生室5の他方の面を封止するように接合される。振動板33上に圧力発生室5に対応して下部電極35を形成し、その表面に幅が圧力発生室5の幅の80乃室90%で、厚さが20乃至40μmのチタン酸ジルコン酸鉛等の圧電セラミクス材料を積層して圧電振動子34が形成されている。なお、ジルコニアの代わりにアルミナ、窒化アルミ、チタン酸ジルコン酸鉛等の他のセラミック材料を用いることが出来る。
【0042】
次ぎに上述したアクチュエータユニットの製造方法について説明する。
図7(A)に示したように振動板33と、予め圧力発生室5を区画する通孔がプレスで打ち抜かれた圧力発生室形成基板32と、予めプレスで連通孔を打ち抜かれた封止基板とをグリーンシート、つまり粘土状の状態で圧着し、その後800℃から1000℃の温度で一体に焼成する。これにより各基板が接着剤を必要とすることなく接合される。
【0043】
次に図7(B)に示すように下部電極35として白金、パラジウム、銀一パラジウム、銀一白金、白金−パラジウムからなる合金のうち少なくとも1種類以上を主成分とする材料を印刷によって圧力発生室5に対応する部分に電極としてのパターンを形成し、これを焼成する。
その後、図7(C)に示すように圧電材料34を同じく印刷によって積層し、焼成してアクチュエータユニットに仕上げる。そして最後に複数の圧電振動子に股がってクロム、金、ニッケル、銅等からなる共通電極をスバッタリングで形成する。
【0044】
このように一体焼成によって構成されたアクチュエータ30は、非常に微細な構造を持つ圧力発生室形成基板32と薄い振動板33とが焼成で強固に接合されているため、気密性と耐インク腐食性に優れたものとなる上に、その製造過程は粘土版を重ねる作業や、印刷技術でぺースト状の電極あるいは圧電振動子となる材料を塗布し、これを焼成するだけであるから、極めて簡単にかつ高い精度で製造することができる。
【0045】
焼成によって一体に形成する上述の方法は非常に優れているが、従来行われているように、金属や樹脂からなる基板を接着や溶着や融着で接合する方法、硝子やシリコン基板をエッチングで加工する方法や、プラスチックの成型で形成する方法や、振動坂上にチップ状の圧電振動子を実装する方法等を組み合わせて、アクチュエータユニットを形成できることは言うまでもない。
【0046】
なお、実施例では、圧力発生室5からリザーバ室6に戻るインクのインク流れを流路ユニット40に設けたインク供給口4で制限するようにしているが、アクチュエータユニット30に形成されている第1の連通孔38を、インクの戻りを制限できるサイズに絞るようにしてもよい。
【0047】
図8は、アクチュエータユニット30の他の実施例を示すもので、前述の封止基板31を設けること無く、アクチュエータユニット30の一方の面に圧力発生室5を開口させ、流路ユニット40のインク供給口形成基板43によりこの開口を封止したものである。この実施例によれば、部品点数を削減でき、コストを抑さえることが可能となる。
【0048】
次に、上述のアクチュエータユニットを複数使用していろいろな記録ヘッドを構成する手法を図9、図10に基づいて説明する。
図中符号60は、流路ユニットで、2列のノズルからなるノズル群3a、3b、3cを、少なくとも3つのアクチュエータユニット30a、30b、30cが重なることなく配置できるサイズの金属の板材からなるノズルプレート61と、リザーバ室形成基板62、インク供給口形成基板63とを積層して構成されている。
【0049】
ノズルプレート61は、金属の板材にノズル3からなるノズル群3a、3b、3cを形成するとともに、前述の図6に示したようにノズル3の近傍にコンプライアンスを確保するための薄肉部41aが形成されている。
【0050】
リザーバ室形成基板62は、リザーバ室6a、6b、6cを区画する通孔が形成されており、通孔の一方の面をノズルプレート61で、他方の面をインク供給口形成基板63で封止することでリザーバ室6a、6b、6cが構成され、インク収容部74からのインクを各圧力発生室5に分岐させるマニフォールドとしての機能を有している。
【0051】
各アクチュエータユニット30a、30b、30cの圧力発生室5と平面的に重なる領域のインク供給口形成基板63には、リザーバ室6a、6b、6cから各アクチュエータユニット30a、30b、30cの圧力発生室5a、5b、5cにインクを供給するインク供給口4a、4b、4cが穿孔されており、アクチュエータユニット30a、30b、30cが重ならない領域には、インク収容部74からのインクをリザーバ室6a、6b、6cに導くリザーバ口8a、8b、8cが設けられている。
【0052】
流路ユニット60の一方の面に開口するインク供給口4a、4b、4c、及びノズル連通孔64a、64b、64cは、それぞれ一対一に対応するアクチュエータユニット30a、30b、30cの第1の連通孔38、及び第2の連通孔39に重なる位置に形成されており、アクチュエータユニット30a、30b、30cと流路ユニット60とを対応する開口を重ねて接合することにより、1枚の流路ユニット60に3つのアクチュエータ30a、30b、30cの流路が接続できる。
【0053】
このように流路ユニット60は、前述したようにアクチュエータユニット毎に独立したリザーバ室6a、6b、6cを持ち、各々のリザーバ室6a、6b、6cに対応して独立したリザーバ口8a、8b、8cが設けられているため、ノズル群3a、3b、3c毎に異なるインク、例えばシアン、マゼンタ、イエローの3色のインクを同一のヘッド供給して、同一流路ユニットから色の異なるインク滴を吐出させることができる。
【0054】
また、流路ユニット60は、簡単な加工法であるプレス加工等により高い位置精度でノズルの孔を形成できるとともに、比較的剛性の高い材料でもある金属を主体として構成することができる。一方、アクチュエータユニット30a、30b、30cは、焼成により固着が可能で、しかも本質的に電気絶縁性を備えるものの、大きくなると焼成時に反りやうねりが生じ易いセラミックで構成されている。
【0055】
このため、アクチュエータユニット30a、30b、30cを可及的に小型のものとして、製造の歩留まりを上げるとともに、これをノズルが高い位置精度で形成されている共通の流路ユニット60に貼着することにより、高い密度と精度のノズルを備えた大型の記録ヘッドを高い歩留まりで製造することが可能となる。
また、駆動信号が印加される圧電振動子34は、セラミックにより構成されて電気絶縁性を本質的に備えた振動板33に形成できるから、電極形成のための特別な絶縁前処理が不要となる。
【0056】
図11は、各色毎にアクチュエータユニット30a、30b、30cをシアンマゼンタ、イエローの各色に対応してドットを形成する場合の一実施例を、ノズル3と圧力発生室5との相対位置で示すものである。
【0057】
この記録ヘッドは、各色のノズルは同一位置にインク像を生成できるよう、副走査方向Bの位置が同一に配置されている。一つの色に着目すると、ピッチP1で配置された圧力発生室が対向して2列有り、相互にピッチP1の半分であるピッチP2だけ副走査方向にずれて配置されている。このため、副走査方向の実質的ノズル密度はP2となっている。
【0058】
一般にインク毎に性質が異なるため、同一の流路構成では、最艮の画像を得ることが難しいが、本発明のインクジェット式記録ヘッドでは、流路ユニット60のノズル3の形状とインク供給口4a、4b、4cの形状とをインク毎に最適に調整するだけで、アクチユェータユニットを同一の構造に構成しても最艮の画像を得ることができる。これにより同一のアクチュエータユニットを製造するだけで済むから、量産効果によるコストの引き下げが期待できる。
【0059】
また、流路ユニット60のノズル3の形状あるいはインク供給口4の形状を変えるだけで、各ノズル群3a、3b、3cから異なるインク滴量のインクを吐出するインクジェット式記録ヘッドが構成できるため、やはり同一のアクチュエータユニットを用いても濃度を滑らかに変化させることができるインクジェット式記録ヘッドを得ることができる。
【0060】
図12は、複数のアクチュエータユニット30a、30b、30cを用いて、ドット密度の高いインクジェット式記録ヘッドを構成する場合の実施例を示すもので、この実施例においては、一つのアクチュエータユニット30a、30b、30cに対応する2列のノズルは、各々6pピッチで並んでおり、副走査方向Bにpだけずらして並置されている。対応する2列の圧力発生室は、副走査方向Bに3pピッチずらして並置されているため、各ノズルは圧力発生室の中心軸に対して片寄つて配置される。
【0061】
3つのアクチュエータユニット30a、30b、30cと夫々に対応したノズル列は、副走査方向Bに2pピッチずつ相互にずれており、従つて、主走査方向Bから見るとpピッチ間隔でノズルが配置されることになる。すなわち、ピッチ6pで配置された圧力発生室5を用いて、その6倍の密度でドットを形成することができる。
【0062】
以上説明したように本発明においては、1つの共通の流路ユニット60に複数のアクチュエータユニットを取付けることにより、同一のアクチュエータユニットの流路ユニットに対する固定する位置を変えるだけで、いろいろな用途に対応した記録ヘッドを簡単に構成することができる。
【0063】
また、アクチュエータユニットを同一の流路ユニット60に分散させて実装しているため、圧電振動子の熱を速やかに放散させることができるばかりでなく、金属等の比較的高い精度で通孔を形成できる流路ユニットでノズルの位置やサイズの精度を規定できる一方、大型になる程、焼成が困難になるアクチニエータユニットを小型にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のインクジェット記録ヘッドが適用される記録装置の一例を示す図である。
【図2】 本発明のインクジェット式記録ヘッドの一例を示す断面図である。
【図3】 流路ユニットに1つのアクチュエータユニットを固定して構成したインクジェット式記録ヘッドを示す図である。
【図4】 同上記録ヘッドのアクチュエータユニット側の構造を示す図である。
【図5】 同上記録ヘッドの内部構造を示す分解斜視図である。
【図6】 同上記録ヘッドの断面構造を示す図である。
【図7】 同図(A)、(B)、(C)は、それぞれ本発明の記録ヘッドに使用するアクチュエータユニットの製造方法を示す図である。
【図8】 同上記録ヘッドの他の実施例を示す図である。
【図9】 本発明のインクジェット式記録ヘッドの一実施例を示す分解斜視図である。
【図10】 本発明のインクジェット式記録ヘッドをアクチュエータユニットが取付けられている側の構造を示す図である。
【図11】 本発明のインクジェット式記録ヘッドの他の実施例を、圧力発生室とノズルの配列形態で示す図である。
【図12】 本発明のインクジェット式記録ヘッドの他の実施例を、圧力発生室とノズルの配列形態で示す図である。
【図13】 従来の積層型インクジェット式記録ヘッドの一実施例を示す図である。
【符号の説明】
20 ヘッド固定部材、 21 インク供給用の流路、 22、23 凹部、30、30a、30b、30c アクチュエータユニット、40 流路ユニット
Claims (2)
- 複数のノズルが形成されたノズルプレートと、少なくとも1つのリザーバ室、及び前記ノズルに連通する連通孔を備えたリザーバ室形成基板と、第1、第2の連通孔及びリザーバ口を備えたインク供給口形成基板とを、前記ノズルプレート、リザーバ形成基板、インク供給口形成基板の順序で積層して構成された流路ユニットと、
側壁により区画された複数の圧力発生室を形成する圧力発生室形成基板と、該圧力発生室形成基板の一方の面に固定される振動板と、前記圧力発生室に対応して前記振動板の表面に形成された圧電振動子とからなるアクチュエータユニットと、
前記アクチュエータユニットと流路ユニットとを収容する凹部及び外部からのインクの供給を受ける流路が形成されたヘッド固定部材と、
からなり、前記アクチュエータユニット及び流路ユニットを前記凹部に収容するとともに、前記流路ユニットの前記リザーバ口と前記流路とが直接連通するように前記ヘッド固定部材に前記流路ユニットが固定された積層型インクジェット式記録ヘッド。 - 前記ノズルプレート、前記リザーバ室形成基板、前記インク供給口形成基板が金属部材により構成されている請求項1記載の積層型インクジェット式記録ヘッド。
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