JP3702919B2 - インクジェット式記録ヘッド - Google Patents
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Description
【発明の属する技術の分野】
本発明は、ノズル開口に連通する圧力発生室の一部領域に圧電振動子を設けて、圧電振動子のたわみ振動により圧力発生室を圧縮してインク滴を発生させるインクジェット式記録ヘッドに関する。
【0002】
【従来の技術】
高速な印刷と高密度印刷に対応するために、1つの記録ヘッド当たりのノズル開口数を増大させることが行われているが、インクジェット式記録ヘッドは、ノズル開口や圧力発生室等のインクという液体を扱う関係上、ノズル開口や流路を均一かつ高い精度で形成することが要求される。
そしてノズル開口や流路の1にでも不具合が発生すると、印字品質が極端に低下して記録ヘッドとしての用をなさなくなるため、ワイヤインパクト式記録ヘッドや熱転写型記録ヘッドに比較してその製造の歩留まりが悪いという問題を抱えている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このような問題を解消するため、比較的ノズル開口数の少ない記録ヘッドを多数個製造し、この記録ヘッドをユニットとして複数個、1枚の基板に固定して1つの記録ヘッドを構成することも考えられるが、隣接するユニットの壁の厚みがノズル開口の配列ピッチ以上となるため、1つのユニットの幅分だけずらてジグザグに配置する必要があり、記録ヘッドの幅がユニットの幅の2倍程度に大きくなるという問題がある。
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは記録ヘッドの幅の大幅な増大を招くこと無く、複数のユニットを用いて1記録ヘッド当たりのノズル数を増大させることができるインクジェット式記録ヘッドを提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
このような問題を解消するために本発明においては、圧力発生手段によりインクを加圧する圧力発生室を複数、配列方向に対して角度θで傾斜させて一列に配置するとともに、前記圧力発生室の配列方向の端面の壁面が、前記圧力発生室の配列方向に角度θだけ傾斜するように構成されたヘッドユニットを、前記圧力発生室の配列方向の端面の対向する前記圧力発生室のピッチが前記ヘッドユニット自体の前記圧力発生室のピッチと同一となるように前記傾斜に沿って前記壁面の方向へ平行にずらせて紙送り方向に複数、流路ユニットに固定し、また前記流路ユニットに前記各列の複数のヘッドユニットを跨ぐようにリザーバを形成するとともに、前記ヘッドユニットの隣接領域に形成される段差領域に前記リザーバに接続するインク導入口が配置されている。
【0005】
【作用】
ヘッドユニット同士が対向する外壁が圧力発生室の配列方向に直交する線に対して傾斜しているため、外壁に沿って平行にずらせると、対向するヘッドユニットの圧力発生室の配列方向の距離が変化するから、対向する圧力発生室の間隔を圧力発生室の配列方向への移動を伴いながら変更できる。このためヘッドユニットの幅方向へのズレ量が少なくなり、小型化が可能となる。
【0006】
【発明の実施の形態】
そこで以下に本発明の詳細を図示した実施例に基づいて説明する。
図1、及び図2は、本発明の一実施例を示すものであって、図中符号1、2は同一仕様に構成された後述するヘッドユニットで、複数個、この実施例では2個が上下関係となるように、かつ後述する間隔ΔLずらされて3列分が主走査方向、つまり記録ヘッドの移動方向に等間隔に固定部材としても機能する後述する流路ユニット6の表面に固定されている。
【0007】
ヘッドユニット1及びヘッドユニット2にはそれぞれ2列の独立した圧力発生室4、5が形成されていて、上下のヘッドユニット1、2の各列の圧力発生室4、4、及び5、5がそれぞれが2つのヘッドユニット1、2を跨ぐように形成された流路ユニット6のリザーバ8、9に連通されている。
【0008】
各列A,B,Cの上下の対向するヘッドユニット1、2の対角点には各列のユニット1、2の各リザーバ8、9にインクを供給するためのインク導入口11、12が形成されていて、これに連通させるインク供給管14、15がヘッドケース13に設置され、同一列の圧力発生室4、5が連通するリザーバ8、9にそれぞれ独立してインクを供給することができるようになっている。
【0009】
このように各リザーバ8、9が独立しているため、各ノズル開口列A−1、A−2、B−1、B−2、C−1、C−2から異なる色のインク滴を吐出させることが可能となり、例えばノズル開口列A−1、A−2、B−1をそれぞれ同一ピッチでかつ相互間を埋めるように配置してこれらに黒インクを、また、ノズル開口列B−2、C−1、C−2を副走査方向、つまりキャリッジの移動方向に平行な線に一致するように配置するとともに、それぞれのノズル開口列B−2、C−1、C−2のリザーバにシアン、マゼンタ、及びイエロのインクを供給することにより、高いドット密度のモノクロ画像と、カラー画像を印刷できる記録ヘッドを構成することができる。
【0010】
また、この実施例においては各ヘッドユニット1、2のリザーバ8、9に外部のタンクからインクを供給するインク導入口11、12を各列A,B,Cの2のヘッドユニット1、2の対角点に配置しているため、各列A,B,Cの境界で形成される段差部のデッドスペースを有効に利用してインク供給管14、15を取付けることができる。
【0011】
図3は、上述のヘッドユニットと流路形成ユニット6との一実施例を示すものである。なお、他方のヘッドユニット2は、ヘッドユニット1と同一構造を採るので説明を省略する。
【0012】
先ずヘッドユニット1に付いて説明する。
図中符号21は、スペーサで、深さ150μm程度の圧力発生室4、5を構成するのに適した厚みを持つジルコニア(ZrO2)などのセラミックス板からなる基板に、図5に示したようにノズル開口38、39の配列方向D,Eに対してその長手方向の軸線が鋭角θとなるように配列されている。
【0013】
また両端の圧力発生室に接する外壁1a、1bは、圧力発生室4、5の長手方向の軸線に、また他方向(図中、左右)の外壁1c、1dはノズル開口38、39の配列線D,Eにほぼ平行となるように構成されている。そして外壁1a,1bは、その厚みW1、W2が可及的に薄く構成されている。
【0014】
このように圧力発生室4、5をその軸線方向が配列線に対して鋭角θとなるように傾斜させて配列することにより、直角に配列した圧力発生室4’に比較して、同一幅のヘッドユニット内に長く構成することが可能となり、特に高密度化により幅を小さくせねばならない場合にあっても、圧力発生室としての容積が確保しやすくなる。
【0015】
符号22は、振動板で、スペーサ21と一体に焼成したときに十分な接合力を発揮するとともに、後述する圧電振動子23、24の歪みにより弾性変形する材料、この実施例ではスペーサ21と同一の、厚さ10μmのジルコニアの薄板で構成されている。
【0016】
23、24はそれぞれ前述の圧電振動子で、振動板22の表面に形成されている共通の電極25、26の表面に、圧電材料のグリーンシートを焼結して作り付けられ、また表面に個別電極27、28が形成されている。
【0017】
次に流路形成ユニット6について説明する。
図中符号30は、スペーサ21の他面を封止する蓋板で、この実施例では厚さ150μmのジルコニアの薄板からなり、ノズルプレート3のノズル開口38、39と圧力発生室4、5とを接続する通孔31、32と、リザーバ8、9と圧力発生室4、5とを接続してインク滴吐出に必要な流路抵抗を確保するインク供給口33、34を穿設して構成されている。
【0018】
35は、インク供給流路形成基板で、インク流路を構成するに適した例えば150μmのステンレス鋼などの耐蝕性を備えた板材に、リザーバ8、9となる通孔と、圧力発生室4、5とノズル開口とを結ぶ通孔36、37を穿設して構成されている。
【0019】
リザーバ8、9は、図4に示したように蓋板30にΔLだけずらせて固定される各ヘッドユニット1、2の圧力発生室4、5の位置に合わせて上部領域8a,9aと下部領域8b、9bとの分けられ相互にΔLだけずれる1つの通孔として形成され、それぞれ下端、または上端にインク導入口11、12が設けられている。
【0020】
3は、前述のノズルプレートで、2組みのノズル開口38、39は、図6に示したように各組みで一定の距離Lを持ち、かつ相互でΔLだけ走査方向にずらせて設けられている。このズレ量ΔLは、それぞれ2つのヘッドユニット1、2を固定する場合には各ヘッドユニット同士が重畳せず、かつユニット1、2の対向面近傍でのノズル開口の紙送り方向のピッチがP0と一定になる値に選択されている。
【0021】
すなわち、各列A,B,Cにおいて第1のヘッドユニット1と第2のヘッドユニット2とを、その境界領域において第1のヘッドユニット1に対向する最下端のノズル開口と、第2のヘッドユニット2の上端のノズル開口との間隔P1が、各列A,B,Cの上下のヘッドユニット1、2のノズル開口ピッチP0に一致するように相互間でΔLずらせたり、また必要に応じてギャップΔGを設けて流路ユニット6に固定される。
【0022】
この場合、上下に配置される第1、第2のヘッドユニット1、2の下外壁1b、及び上外壁1aがそれぞれ配列線D、Eに対して角度θで傾斜しているため、主走査方向にヘッドユニット1、2の幅よりも小さなズレ量ΔLで境界でのピッチP1をピッチP0に一致させることができる。
【0023】
このように構成された記録ヘッドは、各列における第1のヘッドユニット1と第2のヘッドユニット2とに、これらの間隔ΔLに相当するドット数分だけ、印字タイミングをずれらせて印字信号を印加することにより同一直線上にノズル開口が形成されている記録ヘッドと同様に印刷動作を行わせることができる。また列間では各列A、B,Cの間隔のドット数に応じた分だけ印字信号のタイミングをずらせることにより各列のドットを重ねて印刷することができる。
【0024】
なお、上述の実施例においては3列の場合に例を採って説明したが、4列以上であっても同様に構成できることは明らかである。
【0025】
【発明の効果】
以上、説明したように本発明によれば、ヘッドユニットの幅方向へのズレ量が小さくなり、また少ないインク導入口からインクを供給できて、ヘッドを小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す組立て斜視図である。
【図2】振動板及びインク供給管を取り外して圧力発生室と中心としたインク流路の構造を示す図である。
【図3】本発明のインクジェット式記録ヘッドの一実施例を、圧力発生室近傍での断面構造でもって示す図である。
【図4】インク流路形成基板の一実施例を示す正面図である。
【図5】ヘッドユニットの圧力発生室の配列形態を示す図である。
【図6】同一列をなす2つのヘッドユニットの位置関係を示す図である。
【符号の説明】
1、2 ヘッドユニット
3 ノズルプレート
4、5 圧力発生室
8、9 リザーバ
11、12 インク導入口
14、15 インク供給管
23、24 圧電振動子
35 インク流路形成基板
38、39 ノズル開口
Claims (2)
- 圧力発生手段によりインクを加圧する圧力発生室を複数、配列方向に対して角度θで傾斜させて一列に配置するとともに、前記圧力発生室の配列方向の端面の壁面が、前記圧力発生室の配列方向に角度θだけ傾斜するように構成されたヘッドユニットを、前記圧力発生室の配列方向の端面の対向する前記圧力発生室のピッチが前記ヘッドユニット自体の前記圧力発生室のピッチと同一となるように前記傾斜に沿って前記壁面の方向へ平行にずらせて紙送り方向に複数、流路ユニットに固定し、また前記流路ユニットに前記各列の複数のヘッドユニットを跨ぐようにリザーバを形成するとともに、前記ヘッドユニットの隣接領域に形成される段差領域に前記リザーバに接続するインク導入口が配置されているインクジェット式記録ヘッド。
- 前記ヘッドユニットが、記録ヘッドの移動方向に列状に複数配置されている請求項1に記載のインクジェット式記録ヘッド。
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