JPH11309877A

JPH11309877A - インクジェット式記録ヘッド及びインクジェット式記録装置

Info

Publication number: JPH11309877A
Application number: JP12038598A
Authority: JP
Inventors: Fujio Akaha; 富士男赤羽
Original assignee: Seiko Epson Corp
Current assignee: Seiko Epson Corp
Priority date: 1998-04-30
Filing date: 1998-04-30
Publication date: 1999-11-09

Abstract

(57)【要約】【課題】インクの流速を低下させることなくインクの
流量を増加させることのできるインクジェット式記録ヘ
ッド及びインクジェット式記録装置を提供する。【解決手段】インクを吐出する複数のノズル開口３８
Ａ，３８Ｂと、該ノズル開口３８Ａ，３８Ｂにそれぞれ
連通して少なくとも一列に並設された圧力発生室１１
Ａ，１１Ｂを画成するスペーサ１０と、圧力発生室１１
Ａ，１１Ｂ内にインク吐出のための圧力を発生する圧力
発生手段とを具備するインクジェット式記録ヘッドにお
いて、前記スペーサ１０の厚さ方向に異なる位置に面方
向に重なって設けられ且つ前記圧力発生室１１Ａ，１１
Ｂにインク供給を行う複数のリザーバ２７，２８を具備
し、前記圧力発生室１１Ａ，１１Ｂのそれぞれは、前記
複数のリザーバ２７，２８の何れかと連通されることに
より、インクの流量が増加する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、インク滴を吐出す
るノズル開口と連通する圧力発生室と、この圧力発生室
内にインク吐出の圧力を発生する圧力発生手段とを具備
するインクジェット式記録ヘッド及びインクジェット式
記録装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】圧電振動子や発熱素子によって圧力発生
室内に圧力を発生させ、その圧力によりノズル開口から
インク滴を吐出させるインクジェット式記録ヘッドに
は、圧力発生手段として圧力発生室内に駆動信号により
ジュール熱を発生する抵抗線を設けたバブルジェット式
のものと、圧力発生室の一部を振動板で構成し、この振
動板を圧電振動子により変形させてノズル開口からイン
ク滴を吐出させる圧電振動式の２種類のものに大別され
る。また、圧電振動式のインクジェット式記録ヘッドに
は、圧電振動子の軸方向に伸長、収縮する縦振動モード
の圧電振動子を使用したものと、たわみ振動モードの圧
電振動子を使用したものの２種類が実用化されている。

【０００３】前者は圧電振動子の端面を振動板に当接さ
せることにより圧力発生室の容積を変化させることがで
きて、高密度印刷に適したヘッドの製作が可能である反
面、圧電振動子をノズル開口の配列ピッチに一致させて
櫛歯状に切り分けるという困難な工程や、切り分けられ
た圧電振動子を圧力発生室に位置決めして固定する作業
が必要となり、製造工程が複雑であるという問題があ
る。

【０００４】これに対して後者は、圧電材料のグリーン
シートを圧力発生室の形状に合わせて貼付し、これを焼
成するという比較的簡単な工程で振動板に圧電振動子を
作り付けることができる。

【０００５】また、特開平５−２８６１３１号公報に見
られるように、振動板の表面全体に亙って成膜技術によ
り均一な圧電材料層を形成し、この圧電材料層をリソグ
ラフィ法により圧力発生室に対応する形状に切り分けて
各圧力発生室毎に独立するように圧電振動子を形成した
ものも提案されている。

【０００６】近年、このような圧電振動子を具備するイ
ンクジェット式記録ヘッドによって、量産性が高く、小
型で安価なプリンタが実現されている。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、より高
速、高品質印刷の要求に応えるために、更なる高密度
化、多ノズル化、高周波数駆動が必要とされている。こ
のような高密度、多ノズル、高周波数駆動を行うに当た
り問題となるのは、圧力発生室へのインクの供給であ
る。すなわち、インクの消費が増えるため、供給不足に
ならぬようにリザーバの流路断面を大きくしてインクの
流れに対する抵抗を小さくする必要がある。

【０００８】また、板積層タイプのヘッドでは、小型化
のために、リザーバがアクチュエータの平面サイズ内に
納められている。従って、流路断面を大きくするには、
リザーバの深さ方向に大きくしなければならない。

【０００９】一方、インクジェット式記録ヘッドにとっ
て常に問題となるのが流路内に停滞する気泡である。気
泡は、インク滴の吐出を不安定にしたり、最悪の場合、
吐出不能状態を引き起こして、信頼性を低下させる要因
となる。この気泡を流路内に存在させないために、初期
のインク充填や使用中のヘッドメンテナンス時にノズル
からインクを吸引して気泡の吸出しを行っている。この
インク吸い出し動作で気泡を排出するにはインク流路内
のインクの流速が速いことが肝要である。したがって、
インクの流速を速めるには、流路断面を小さくすること
が必要になる。

【００１０】つまり、インク供給を良好に行い、且つ気
泡排出を確実に行うためには、相反する要求に応えなけ
ればならない。

【００１１】さらには、ヘッドを高密度化するためには
必然的に微細加工を伴い、厚板に微細加工を行うと加工
工具の破損を招くという問題もある。

【００１２】本発明はこのような事情に鑑み、インクの
流速を低下させることなくインクの流量を増加させるこ
とのできるインクジェット式記録ヘッド及びインクジェ
ット式記録装置を提供することを課題とする。

【００１３】

【課題を解決するための手段】本発明の第１の態様は、
インクを吐出する複数のノズル開口と、該ノズル開口に
それぞれ連通して少なくとも一列に並設された圧力発生
室を画成する流路形成基板と、圧力発生室内にインク吐
出のための圧力を発生する圧力発生手段とを具備するイ
ンクジェット式記録ヘッドにおいて、前記流路形成基板
の厚さ方向の異なる位置に面方向に重なって設けられ且
つ前記圧力発生室にインク供給を行う複数のリザーバを
具備し、前記圧力発生室のそれぞれは、前記複数のリザ
ーバの何れかと連通されることを特徴とするインクジェ
ット式記録ヘッドにある。

【００１４】かかる第１の態様では、圧力発生室にイン
クを供給するリザーバを複数に分割し且つ厚さ方向に積
層して形成したことにより、各圧力発生室当たりのリザ
ーバ体積を増大すると共に、各リザーバの厚みを抑えて
当該インク供給室内の気泡排出を容易にすることができ
る。

【００１５】本発明の第２の態様は、第１の態様におい
て、前記一群の圧力発生室は、前記複数のリザーバのそ
れぞれに連通するもの毎に当該圧力発生室と長手方向の
位置が異なるように設けられ、前記複数の圧力発生室の
長手方向の一端部近傍と前記リザーバとを連通するイン
ク供給通路を有することを特徴とするインクジェット式
記録ヘッドにある。

【００１６】かかる第２の態様では、厚さ方向で圧力発
生室に近いリザーバと、長手方向の内側に端部のある圧
力発生室とを連通し、厚さ方向で遠いリザーバと長手方
向外側に端部のある圧力発生室とを連通することによ
り、互いに干渉することなくインク供給のための通路を
形成できる。

【００１７】本発明の第３の態様は、第１又は２の態様
において、前記リザーバは二つあり、前記複数の圧力発
生室は並設方向に交互に異なる前記リザーバに連通して
いることを特徴とするインクジェット式記録ヘッドにあ
る。

【００１８】かかる第３の態様では、隣接する圧力発生
室同士は異なるリザーバからインク供給を受ける。

【００１９】本発明の第４の態様は、第２又は３の態様
において、前記圧力発生室の長手方向の他端部近傍に
は、前記ノズル開口に連通するインク吐出通路が連通し
ていることを特徴とするインクジェット式記録ヘッドに
ある。

【００２０】かかる第４の態様では、各圧力発生室に
は、その端部に連通するインク供給通路を介してリザー
バからインクが供給される。

【００２１】本発明の第５の態様は、第１〜４の何れか
の態様において、前記複数のリザーバのそれぞれは、前
記流路形成基板に順次積層される異なるインク室形成基
板に画成されることを特徴とするインクジェット式記録
ヘッドにある。

【００２２】かかる第５の態様では、インク室形成基板
を複数枚積層することにより、複数のリザーバを容易に
形成することができる。

【００２３】本発明の第６の態様は、第５の態様におい
て、前記インク室形成基板に接合されて前記リザーバの
厚さ方向の少なくとも一面を仕切る仕切板には、前記イ
ンク開口からのインク吐出の際に前記リザーバ内に発生
する圧力を吸収する圧力吸収手段が設けられていること
を特徴とするインクジェット式記録ヘッドにある。

【００２４】かかる第６の態様では、仕切板に設けられ
た圧力吸収手段により、リザーバにコンプライアンスを
付与して、インク滴吐出のクロストークを防止する。

【００２５】本発明の第７の態様は、第６の態様におい
て、前記圧力吸収手段は、前記仕切板の前記リザーバに
対応する部分の少なくとも一部に設けられ且つ他の部分
の厚さよりも薄く且つ前記リザーバとは反対側に中空部
を有する薄肉部であることを特徴とするインクジェット
式記録ヘッドにある。

【００２６】かかる第７の態様では、リザーバとは反対
側に中空部を有する薄肉部によりリザーバにコンプライ
アンスが付与される。

【００２７】本発明の第８の態様は、第１〜７の何れか
の態様において、前記圧力発生手段は、前記圧力発生室
の一方面に設けられた振動板上に配設された圧電振動子
であることを特徴とするインクジェット式記録ヘッドに
ある。

【００２８】かかる第８の態様では、各圧電振動子の駆
動によりインク滴を吐出することができる。

【００２９】本発明の第９の態様は、第８の態様におい
て、前記流路形成基板がセラミックスで形成され、前記
圧電振動子の各層がグリーンシート貼付又は印刷により
形成されていることを特徴とするインクジェット式記録
ヘッドにある。

【００３０】かかる第９の態様では、グリーンシートを
積層して焼成することによりヘッドを容易に製造するこ
とができる。

【００３１】本発明の第１０の態様は、第８の態様にお
いて、前記流路形成基板がシリコン単結晶基板からな
り、前記圧力発生室が異方性エッチングにより形成さ
れ、前記圧電振動子の各層が薄膜及びリソグラフィ法に
より形成されたものであることを特徴とするインクジェ
ット式記録ヘッドにある。

【００３２】かかる第１０の態様では、高密度のノズル
開口を有するインクジェット式記録ヘッドを大量に且つ
比較的容易に製造することができる。

【００３３】本発明の第１１の態様は、第１〜７の何れ
かの態様において、前記圧力発生手段は、前記圧力発生
室内に設けられた発熱素子であることを特徴とするイン
クジェット式記録ヘッドにある。

【００３４】かかる第１１の態様では、各発熱素子を加
熱することにより、インク滴を吐出することができる。

【００３５】本発明の第１２の態様は、第１〜１０の何
れかの態様のインクジェット式記録ヘッドを具備するこ
とを特徴とするインクジェット式記録装置にある。

【００３６】かかる第１２の態様では、インクの流速を
低下させることなくインクの流量を増加させることので
きるので、高密度化、多ノズル化、高周波数駆動等によ
り、高速、高品質印刷可能なインクジェット式記録装置
が実現される。

【００３７】

【発明の実施の形態】以下に本発明を実施形態に基づい
て詳細に説明する。

【００３８】（実施形態１）図１は本発明に使用するイ
ンクジェット式記録ヘッドの一例を示す分解斜視図、図
２はその断面図、図３は、圧力発生室とリザーバとの位
置関係を示す図である。

【００３９】図示するように、圧力発生室を形成する流
路形成基板となるスペーサ１０は、例えば、１５０μｍ
程度の厚みを有するジルコニア（ＺｒＯ₂）などのセラ
ミックス板で形成されている。それぞれのスペーサ１０
には圧力発生室１１となる貫通孔の列が形成されてい
る。また、各列の圧力発生室１１は、本実施形態では、
詳細を後述するように、隣接するもの同士の長手方向端
部の位置を千鳥状に若干ずらして形成されており、端部
が内側に位置する第１の群の圧力発生室１１Ａと、端部
が外側に位置する第２の群の圧力発生室１１Ｂとから構
成されている。

【００４０】このスペーサ１０の一方面は、例えば、厚
さ１０μｍのジルコニアの薄板からなる弾性板１２によ
り封止され、弾性板１２の表面には下電極膜１３が形成
されている。また、下電極膜１３の上には、圧力発生室
１１Ａ，１１Ｂ毎に独立して圧電体膜１４が固定されて
いる。この圧電体膜１４は、圧電材料からなるグリーン
シートを貼付したり、圧電材料をスパッタリングする等
の方法により形成される。さらに、各圧電体膜１４の表
面には、それぞれ上電極膜１５が形成され、この上電極
膜１５上には、例えば、フレキシブルケーブル等の外部
配線１６が設けられている。したがって、下電極膜１３
と、各圧力発生室１１Ａ，１１Ｂ毎に設けられた圧電体
膜１４上の上電極膜１５との間に、外部配線１６を介し
て印刷データに基づいて電圧を印加することにより、各
圧電体膜１４は弾性板１２と共にたわみ変形する。

【００４１】一方、スペーサ１０の他方面側は、圧力発
生室底板１７により封止されている。圧力発生室底板１
７の圧力発生室１１Ａ，１１Ｂのそれぞれの外側端部に
対向する部分には、インク供給通路１８Ａ及び１８Ｂと
なる供給連通孔１９Ａ及び１９Ｂが形成されている。ま
た、圧力発生室底板１７の圧力発生室１１Ａ，１１Ｂの
内側の端部に対向する部分には、後述するインク吐出通
路２０Ａ及び２０Ｂとなる、吐出連通孔２１Ａ，２１Ｂ
が二列に形成されている。したがって、各圧力発生室１
１Ａ、１１Ｂは、長手方向一端部からインクが吐出され
ると同時に他端部からインクが供給される。

【００４２】また、圧力発生室底板１７上には、インク
供給口形成基板２２と、第１のリザーバ形成基板２３
と、仕切板２４と、第２のリザーバ形成基板２５と、ノ
ズルプレート２６とが順次積層され、圧力発生室１１Ａ
及び１１Ｂにインクを供給するリザーバであるリザーバ
２７及び２８が重ねて設けられている。そして、詳しく
は後述するが、リザーバ２７は、インク供給通路１８Ａ
を介して、圧力発生室１１Ａへのインク供給を行い、リ
ザーバ２８は、インク供給通路１８Ｂを介して圧力発生
室１１Ｂへのインク供給を行う。

【００４３】インク供給口形成基板２２は、厚さ１５０
μｍのジルコニアの薄板からなり、リザーバ２７の一方
面を封止すると共に、圧力発生室底板１７の供給連通孔
１９Ａ及び１９Ｂのそれぞれに連通し且つ供給連通孔１
９Ａ，１９Ｂよりも径の小さいインク供給口２９Ａ及び
２９Ｂと、圧力発生室底板１７の吐出連通孔２１Ａ，２
１Ｂと連通する吐出連通孔３０Ａ，３０Ｂとが形成され
ている。また、詳しくは後述するが、インク供給口２９
Ａ及び２９Ｂの列方向の端部近傍には、外部からリザー
バにインクを供給するためのインク導入口３１Ａが形成
されている。

【００４４】第１のリザーバ形成基板２３には、基板を
貫通するリザーバ２７が形成されている。このリザーバ
２７は、第１の群の圧力発生室１１Ａにインクを供給す
るためのものであり、リザーバ２７の外側の端部２７ａ
は、第１の群の圧力発生室１１Ａの長手方向外側の端部
に対向する領域に沿って形成され、第２の群の圧力発生
室１１Ｂの端部よりも内側に位置しており、インク供給
口形成基板２２の供給連通孔１９Ａが連通している。す
なわち、リザーバ２７と圧力発生室１１Ａとを連通する
インク供給通路１８Ａは、圧力発生室底板１７に設けら
れた供給連通孔１９Ａと、インク供給口形成基板２２に
設けられたインク供給口２９Ａとによって構成されてい
る。

【００４５】また、リザーバ２７の外側には、インク供
給口形成基板２２のインク供給口２９Ｂと連通してイン
ク供給通路１８Ｂを構成する供給連通孔３２が形成さ
れ、リザーバ２７の内側には、インク供給口形成基板２
２の吐出連通孔３０Ａ，３０Ｂと連通してインク吐出通
路２０Ａ，２０Ｂを構成する吐出連通孔３３Ａ，３３Ｂ
が形成されている。

【００４６】かかる第１のリザーバ形成基板２３のイン
ク供給口形成基板２２とは反対側は、仕切板２４により
封止されている。また、封止板２４には、第１のリザー
バ形成基板２３の供給連通孔３２に連通する供給連通孔
３６が形成されている。また、インク吐出通路２０Ａ，
２０Ｂを構成する吐出連通孔３７Ａ，３７Ｂが形成さ
れ、さらに、供給連通孔３６の列方向の端部近傍には、
インク供給口形成基板２２と同様に、外部からリザーバ
にインクを供給するためのインク導入口３１Ｂが形成さ
れている。

【００４７】一方、第２のリザーバ形成基板２５は、第
１のリザーバ形成基板２３と同様に、基板を貫通するリ
ザーバ２８が形成されている。このリザーバ２８は、第
２の群の圧力発生室１１Ｂにインクを供給するためのも
のであり、リザーバ２７と略同一形状に形成されてい
る。リザーバ２８の外側の端部２８ａは、第２の群の圧
力発生室１１Ｂの長手方向外側の端部に対向する領域に
沿って形成されている。すなわち、リザーバ２８はリザ
ーバ２７よりも圧力発生室１１の長手方向外側に設けら
れており、このリザーバ２８のリザーバ２７よりも外側
の部分は、圧力発生室底板１７の供給連通孔１９Ｂ及び
インク供給口形成基板２２のインク供給口２９Ｂと、さ
らに第１のリザーバ形成基板２３のリザーバ２７の外側
に設けられた供給連通孔３２と、仕切板２４に設けられ
た供給連通孔３６とからなるインク供給通路１８Ｂを介
して、圧力発生室１１Ｂの長手方向外側の端部に連通さ
れている。

【００４８】また、リザーバ２８の内側には、インク吐
出通路２０Ａ，２０Ｂを構成する吐出連通孔３４Ａ，３
４Ｂが形成されている。

【００４９】このようなリザーバ２７及び２８が形成さ
れている第１のリザーバ形成基板２３及び第２のリザー
バ形成基板２５は、それぞれインク流路を構成するのに
適した、例えば、ステンレス鋼などの耐食性を備えた板
材で形成されることが好ましい。また、その厚さは、加
工性の面から約２００μｍ以下であることが好ましく、
例えば、本実施形態では、約１５０μｍの板材とした。
また、仕切板２４は、厚さ１００μｍのステンレス鋼板
とした。

【００５０】ノズルプレート２６は、第２のリザーバ形
成基板２５上に固着され、リザーバ２８の一方面を封止
している。また、各圧力発生室１１Ａ、１１Ｂに連通さ
れインクを吐出するためのノズル開口３８Ａ，３８Ｂが
圧力発生室１１Ａ，１１Ｂと同一の配列ピッチで形成さ
れ、圧力発生室１１Ａ及び１１Ｂの長手方向端部の位置
に沿って、千鳥状に配置されている。ノズルプレート２
６の中央側に位置するノズル開口３８Ａは、スペーサ１
０上の各基板に形成された吐出連通孔２１Ａ，３０Ａ，
３３Ａ，３４Ａ，３７Ａで構成されるインク吐出流路２
０Ａを介して圧力発生室１１Ａと連通されている。一
方、外側に位置するノズル開口３８Ｂは、同様に、吐出
連通孔２１Ｂ，３０Ｂ，３３Ｂ，３４Ｂ，３７Ｂで構成
されたインク吐出通路２０Ｂを介して圧力発生室１１Ｂ
と連通されている。

【００５１】なお、セラミックス製の各部材は、基本的
には積層された後焼結されて一体的に形成すればよい
が、本実施形態では、圧力発生室底板２２上の各層は、
接着剤層３９を介して固着されている。また、第２のリ
ザーバ形成基板２５及びノズルプレート２６も、セラミ
ックスとして一体的に形成することもできる。

【００５２】また、上述したように、インク供給口形成
基板２２には、外部のインクタンクから、リザーバ２７
にインクを供給するインク導入口３１Ａが設けられてお
り、リザーバ２７の隅部２７ｂと連通されている。また
同様に、仕切板２４にも、リザーバ２８にインクを供給
するインク導入口３１Ｂが設けられており、リザーバ２
８の隅部２８ｂと連通されている。そして、本実施形態
では、リザーバ２７の隅部２７ｂとリザーバ２８の隅部
２８ｂとが同じ位置に形成されているため、リザーバ２
７とリザーバ２８とはインク導入口３１Ｂによって連通
されている。したがって、インクは一つのインク導入口
３１Ａからリザーバ２７に供給されると共に、さらにイ
ンク導入口３１Ｂを介してリザーバ２８にも供給され
る。しかしながら、例えば、リザーバ２８の形状を変え
て隅部２８ｂの位置をずらし、その位置で連通するよう
にしてもよい。この場合には、第１のリザーバ形成基板
２３及び仕切板２４に、インク導入口３１Ｂに連通する
貫通孔を形成して、それぞれのリザーバ２７及び２８毎
に独立したインク導入口からインクを供給することがで
きる。

【００５３】このように形成したインクジェット式記録
ヘッドは、図示しない外部インク供給手段と接続したイ
ンク導入口３１Ａ及び３１Ｂからインクを取り込み、各
リザーバ２７，２８からノズル開口３８Ａ，３８Ｂに至
るまで内部をインクで満たした後、図示しない外部の駆
動回路からの記録信号に従い、圧力発生室１１Ａ，１１
Ｂに対応するそれぞれの下電極膜１３と上電極膜１５と
の間に外部配線１６を介して電圧を印加し、弾性板１
２、下電極膜１３及び圧電体膜１４をたわみ変形させる
ことにより、各圧力発生室１１Ａ，１１Ｂ内の圧力が高
まりノズル開口３８Ａ，３８Ｂからインク滴が吐出す
る。

【００５４】このように、複数のリザーバを厚さ方向に
重ねて設け、各リザーバからインクを供給する圧力発生
室の数を減らすことにより、圧力発生室一つ当たりの流
路の容積が増加され、損失水頭が低減する。また、リザ
ーバの厚さ、すなわち、流路の断面積が増加されていな
いため、インク吐出の際にリザーバ内のインク流速を高
くでき、流路内の気泡の停滞も防止できる。したがっ
て、高密度化、多ノズル化によりインク流量が増加して
も、良好なインク供給を行うことができる。

【００５５】なお、本実施形態では、圧力発生室１１
Ａ，１１Ｂは、隣接するもの同士の長手方向端部の位置
を千鳥状に若干ずらして形成し、長手方向一端部でリザ
ーバと連通され、他端部でノズル開口と連通されている
が、これに限定されず、例えば、圧力発生室を幅方向に
直線状に並べて、一部の圧力発生室についてはノズル開
口あるいはリザーバに連通する部分が端部ではないよう
にしてもよい。

【００５６】（実施形態２）図４は、実施形態２のイン
クジェット式記録ヘッドの断面図である。

【００５７】本実施形態は、リザーバ２７及びリザーバ
２８を仕切っている仕切板に圧力吸収手段を設けた例で
ある。すなわち、本実施形態では、図４に示すように、
仕切板２４Ａは、例えば、厚さ５μｍでリザーバ２７の
一方側の面を封止するステンレス鋼板の薄肉板４０と、
厚さ５０μｍでリザーバ２８の一方面を封止し、リザー
バ２８に対向する一部にエッチングにより凹部４１ａが
形成された封止板４１とを接合して成り、凹部４１ａを
構成する薄肉壁４１ｂの厚さも５μｍである。

【００５８】このような構成によっても、実施形態１と
同様の効果が得られる。また、凹部４１ａに対応する部
分の薄肉板４０及び薄肉壁４１ｂがリザーバ２７及びリ
ザーバ２８の一部を構成しているので、インク滴吐出の
際に発生するノズル開口３８Ａ，３８Ｂと反対側へ向か
う圧力を、薄肉板４０及び薄肉壁４１ｂが吸収すること
により、他の圧力発生室にリザーバを経由して不要な正
又は負の圧力が加わるのを防止することができる。すな
わち、リザーバにコンプライアンスを付与してインク吐
出のクロストークを防止することができる。

【００５９】なお、本実施形態では、仕切板を二層で構
成するようにしたがこれに限定されず、例えば、三層以
上で構成してもよい。何れにしても、リザーバの一部に
他の部分よりも厚さの薄い薄肉部分を設け、リザーバ内
の圧力を吸収するようにすればよい。

【００６０】（他の実施形態）以上、本発明の各実施形
態を説明したが、インクジェット式記録ヘッドの基本的
構成は上述したものに限定されるものではない。

【００６１】例えば、上述の実施形態では、２枚のリザ
ーバ形成基板で２つのリザーバが深さ方向に重なるよう
に形成したが、これに限定されず、さらにリザーバ形成
基板を増やし、３つ以上のリザーバが重なるように形成
するようにしてもよい。

【００６２】また、例えば、上述の実施形態では、圧力
発生室を、交互に長手方向の位置をずらして配設するよ
うにしたが、これに限定されず、例えば、複数個おきに
端部の位置をずらして配設するようにしてもよい。

【００６３】なお、上述の各実施形態では、グリーンシ
ートを貼付する等の方法により形成される厚膜型のイン
クジェット式記録ヘッドを例にしたが、勿論これに限定
されるものではなく、例えば、成膜及びリソグラフィプ
ロセスを応用して製造される薄膜型のインクジェット式
記録ヘッドにも本発明を採用することができる。

【００６４】また、上述の実施形態では、たわみ変位型
の圧電振動子を有するインクジェット式記録ヘッドにつ
いて説明したが、例えば、圧電材料と電極形成材料とを
サンドイッチ状に交互に挟んで積層した構造の縦振動モ
ードの圧電振動子を有するインクジェット式記録ヘッド
に応用することができる。

【００６５】さらに、上述した圧電振動式のインクジェ
ット式記録ヘッドに限定されず、例えば、バブルジェッ
ト式のインクジェット式記録ヘッド等、種々の構造のイ
ンクジェット式記録ヘッドに応用することができること
はいうまでもない。

【００６６】また、これら各実施形態のインクジェット
式記録ヘッドは、インクカートリッジ等と連通するイン
ク流路を具備する記録ヘッドユニットの一部を構成し
て、インクジェット式記録装置に搭載される。図５は、
そのインクジェット式記録装置の一例を示す概略図であ
る。

【００６７】図５に示すように、インクジェット式記録
ヘッドを有する記録ヘッドユニット１Ａ及び１Ｂは、イ
ンク供給手段を構成するカートリッジ２Ａ及び２Ｂが着
脱可能に設けられ、この記録ヘッドユニット１Ａ及び１
Ｂを搭載したキャリッジ３は、装置本体４に取り付けら
れたキャリッジ軸５に軸方向移動自在に設けられてい
る。この記録ヘッドユニット１Ａ及び１Ｂは、例えば、
それぞれブラックインク組成物及びカラーインク組成物
を吐出するものとしている。

【００６８】そして、駆動モータ６の駆動力が図示しな
い複数の歯車およびタイミングベルト７を介してキャリ
ッジ３に伝達されることで、記録ヘッドユニット１Ａ及
び１Ｂを搭載したキャリッジ３はキャリッジ軸５に沿っ
て移動される。一方、装置本体４にはキャリッジ軸５に
沿ってプラテン８が設けられており、図示しない給紙ロ
ーラなどにより給紙された紙等の記録媒体である記録シ
ートＳがプラテン８に巻き掛けられて搬送されるように
なっている。

【００６９】

【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、複
数のリザーバを厚さ方向に重ねて設けるようにしたの
で、インク流路の断面積を広げることなく、容積を広げ
ることができるため、損失水頭を低減することができ
る。これにより、インク流量を増加させ、且つインク流
路内の気泡の停滞を防止することができる。したがっ
て、インク供給を良好に行うことができる。

【００７０】また、ヘッドを構成する各層の厚さを増加
させる必要がないため、微細加工も比較的容易に行うこ
とができるという効果も得られる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施形態１に係るインクジェット式記
録ヘッドの分解斜視図である。

【図２】本発明の実施形態１に係るインクジェット式記
録ヘッドを示す断面図である。

【図３】本発明の実施形態１の圧力発生室とリザーバと
の位置関係を示す図である。

【図４】本発明の実施形態２に係るインクジェット式記
録ヘッドの断面図である。

【図５】本発明の一実施形態に係るインクジェット式記
録装置の概略図である。

【符号の説明】

１０スペーサ１１Ａ，１１Ｂ圧力発生室１２弾性板１３下電極膜１４圧電体膜１５上電極膜１７圧力発生室底板１８Ａ，１８Ｂインク供給通路２０Ａ，２０Ｂインク吐出通路２２インク供給口形成基板２３第１のリザーバ形成基板２４仕切板２５第２のリザーバ形成基板２６ノズルプレート２７，２８リザーバ３８Ａ，３８Ｂノズル開口

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】インクを吐出する複数のノズル開口と、
該ノズル開口にそれぞれ連通して少なくとも一列に並設
された圧力発生室を画成する流路形成基板と、圧力発生
室内にインク吐出のための圧力を発生する圧力発生手段
とを具備するインクジェット式記録ヘッドにおいて、前記流路形成基板の厚さ方向の異なる位置に面方向に重
なって設けられ且つ前記圧力発生室にインク供給を行う
複数のリザーバを具備し、前記圧力発生室のそれぞれ
は、前記複数のリザーバの何れかと連通されることを特
徴とするインクジェット式記録ヘッド。
【請求項２】請求項１において、前記一群の圧力発生
室は、前記複数のリザーバのそれぞれに連通するもの毎
に当該圧力発生室と長手方向の位置が異なるように設け
られ、前記複数の圧力発生室の長手方向の一端部近傍と
前記リザーバとを連通するインク供給通路を有すること
を特徴とするインクジェット式記録ヘッド。
【請求項３】請求項１又は２において、前記リザーバ
は二つあり、前記複数の圧力発生室は並設方向に交互に
異なる前記リザーバに連通していることを特徴とするイ
ンクジェット式記録ヘッド。
【請求項４】請求項２又は３において、前記圧力発生
室の長手方向の他端部近傍には、前記ノズル開口に連通
するインク吐出通路が連通していることを特徴とするイ
ンクジェット式記録ヘッド。
【請求項５】請求項１〜４の何れかにおいて、前記複
数のリザーバのそれぞれは、前記流路形成基板に順次積
層される異なるインク室形成基板に画成されることを特
徴とするインクジェット式記録ヘッド。
【請求項６】請求項５において、前記インク室形成基
板に接合されて前記リザーバの厚さ方向の少なくとも一
面を仕切る仕切板には、前記ノズル開口からのインク吐
出の際に前記リザーバ内に発生する圧力を吸収する圧力
吸収手段が設けられていることを特徴とするインクジェ
ット式記録ヘッド。
【請求項７】請求項６において、前記圧力吸収手段
は、前記仕切板の前記リザーバに対応する部分の少なく
とも一部に設けられ且つ他の部分の厚さよりも薄く且つ
前記リザーバとは反対側に中空部を有する薄肉部である
ことを特徴とするインクジェット式記録ヘッド。
【請求項８】請求項１〜７の何れかにおいて、前記圧
力発生手段は、前記圧力発生室の一方面に設けられた振
動板上に配設された圧電振動子であることを特徴とする
インクジェット式記録ヘッド。
【請求項９】請求項８において、前記流路形成基板が
セラミックスで形成され、前記圧電振動子の各層がグリ
ーンシート貼付又は印刷により形成されていることを特
徴とするインクジェット式記録ヘッド。
【請求項１０】請求項８において、前記流路形成基板
がシリコン単結晶基板からなり、前記圧力発生室が異方
性エッチングにより形成され、前記圧電振動子の各層が
薄膜及びリソグラフィ法により形成されたものであるこ
とを特徴とするインクジェット式記録ヘッド。
【請求項１１】請求項１〜７の何れかにおいて、前記
圧力発生手段は、前記圧力発生室内に設けられた発熱素
子であることを特徴とするインクジェット式記録ヘッ
ド。
【請求項１２】請求項１〜１１の何れかのインクジェ
ット式記録ヘッドを具備することを特徴とするインクジ
ェット式記録装置。