JP3675410B2 - 鋼管補剛ブレース材 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、主として建築、土木用の構造部材として用いられる、塑性変形能力および地震エネルギ吸収能力に優れた、鋼管で補剛された鋼管補剛ブレース材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
平鋼からなる軸材を補剛鋼管内に貫通支持させたブレース材は、簡単な構造でありながら、引張り方向だけでなく圧縮方向にも優れた地震エネルギ吸収性能を有しているため、種々提案され、建築や土木の分野で採用されている。
【0003】
このようなブレース材の一例として、たとえば特開平7−324377号公報(以下、従来技術1と称す)に記載された発明がある。この発明に係る、鋼管で補剛されたアンボンド鉄骨ブレースは、H型や十字型断面の軸材を、略外接する口径の補剛鋼管内に挿入して軸材の座屈を防止するようにしたものである。
【0004】
また、たとえば特開平11−172783号公報(以下、従来技術2と称す)に記載された発明に係るブレース部材は、軸材である平鋼と、補剛鋼管である角形鋼管の相対する隅との隙間を調整するために、両者の間に、潤滑性ライナーを挿入し、角形鋼管による補剛効果を高め、同時に両者が摺動する際の摩擦音を防止したものである
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従来技術1では、補剛鋼管による軸材の補剛効果が、補剛鋼管と軸材との隙間の大きさに大きく影響されるため、かかる隙間の大きさを軸材の板厚の1/10〜1/20程度にする必要がある。しかしながら、隙間精度の管理が、軸材が平鋼の場合は、隙間が対向する2カ所であるため比較的容易であるのに対し、軸材がH型や十字型断面の場合は、隙間が4カ所になるため隙間精度の管理が極めて困難であるという問題点がある。特に、4カ所の隙間精度を保証した状態で、補剛鋼管内に軸材を挿入することが極めて困難であるという問題点がある。
【0006】
また、従来技術2は、従来技術1の前記問題点を解決するものであるが、軸材を平鋼で構成しているため耐力が不足する場合がある。このため、十字型断面の軸材と同じ耐力にしようとすると、平鋼自体の板厚を厚くするとともに、これにともなって柱や梁に接合するためのガゼットプレートの板厚も厚くしなければならないので、架構重量の増加、当該部材の素材コストの上昇、当該部材の製作コストの上昇および当該部材の施工コストの上昇を招くという問題点がある。
【0007】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであり、板厚を厚くすることなく所定の耐力を有し、且つ軸材と補剛鋼管との隙間の精度が保証され、且つ比較的容易に製作することができる鋼管補剛ブレース材を得ることを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る鋼管補剛ブレース材は、以下のとおりである。
(1) 角形鋼管からなる補剛鋼管と、該補剛鋼管内に貫通されて軸力を負担する軸材とを有する鋼管補剛ブレース材であって、
前記軸材が、両側縁部が前記補剛鋼管の対向する隅部に隙間を介して対峙する板状の主軸材と、前記補剛鋼管の内面と隙間を介して前記主軸材の側面に設置された副軸材を有し、
前記補剛鋼管の内面と前記副軸材との隙間の大きさが、前記主軸材の板厚相当でありかつ前記補剛鋼管の隅部と前記主軸材との隙間より大きいことを特徴とするものである。
【0009】
(2) 前記(1)において、前記主軸材の両側縁部の一部が、前記補剛鋼管の対向する隅部に当接することを特徴とするものである。
【0010】
(4) 前記(1)乃至(3)において、前記軸材が、十字型断面であることを特徴とするものである。
(5) 前記(1)乃至(3)において、前記副軸材が、T字型断面であることを特徴とするものである。
(6) 前記(1)乃至(3)において、前記軸材の断面が、不等辺十字型であって、前記主軸材の内法寸法が主軸材の板厚の6.5倍以下、前記副軸材の内法寸法が前記副軸材の板厚の5.5倍以下であることを特徴とするものである。
(7) 前記(1)乃至(3)において、前記軸材の断面が、不等辺十字型であって、前記主軸材の断面積が前記副軸材の断面積の1.5倍以上であることを特徴とするものである。
【0011】
(8) 前記(1)乃至(6)において、前記主軸材の断面積が前記軸材の全断面積の45%以下であって,前記主軸材を形成する鋼材の応力上昇率が1.3以上であることを特徴とするものである。
(9) 前記(1)乃至(8)において、前記軸材の長手方向端部に設置した接合用部材の耐力が、前記軸材の長手方向中央部の耐力の1.2倍以上であることを特徴とするものである。
【0012】
(10) 前記(1)乃至(9)において、前記軸材の長手方向端部に設置した接合用部材が、略十字型断面形状を有し、該接合用部材の側縁部が、前記補剛鋼管の隅部に直接またはライナープレートを介して当接することを特徴とするものである。
(11) 前記(1)乃至(9)において、前記主軸材を形成する鋼材が低降伏点鋼でつくられることを特徴とするものである。
【0013】
本発明は、軸材を主軸材と主軸材に設置した副軸材を有する構成にしたことにより、主軸材の板厚を増すことなく所定の耐力を具備する。さらに、補剛鋼管である角形鋼管を弾性的に扁平にした状態で、角形鋼管内に軸材を挿入し、その後、角形鋼管を元の形に戻すことにより、該挿入を容易にするとともに、軸材の側縁部と角形鋼管の隅部との隙間精度の管理を容易にするものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
[実施の形態1]
図1は、本発明の実施の形態1に係る鋼管補剛ブレース材の断面図である。図1において、(a)は補剛鋼管が略正方形断面で、軸材が溶接接合された不等辺十字型断面のもの、(b)は補剛鋼管が略正方形断面で、軸材が一体成形された不等辺十字型断面のもの、(c)は補剛鋼管が略菱形断面で、軸材が溶接接合された等辺十字型断面のもの、(d)は補剛鋼管が略菱形断面で、軸材が一体成形された等辺十字型断面のものである。(e)は補剛鋼管が略菱形断面で、断面T字状の軸材が溶接接合された不等辺略十字型断面のもの、(f)は補剛鋼管が略菱形断面で、断面T字状の軸材が一体成形された等辺略十字型断面のものである。
【0015】
図1の(a)において、10は略正方形断面の補剛鋼管、20は軸材、21は軸材20を構成する主軸材、22は軸材20を構成する副軸材、23は主軸材21と副軸材22を接合する接合部である。そして、主軸材21の側縁部イと補剛鋼管10の隅部ホとの間、および主軸材21の側縁部ハと補剛鋼管10の隅部トとの間には、それぞれ所定の大きさの隙間30(たとえば、主軸材21の板厚の1/15)が確保されている。
一方、副軸材22の側縁部ロと補剛鋼管10の隅部ヘとの間、および副軸材22の側縁部ニと補剛鋼管10の隅部チとの間には、それぞれ所定の大きさの隙間40(たとえば、主軸材21の板厚相当分)が確保されている。
【0016】
したがって、軸材20の耐力は、主軸材21の面外変形が副軸材22により拘束されていることにより、肉厚を増大することなく、所定の値を確保することができる。これは、副軸材22に拘束されている主軸材21は、座屈波形が主軸材21のみのものより大きくなるためであり、これにより、補剛鋼管10を変形させる力も小さくなるためである。
さらに、補剛鋼管10を扁平に弾性的に変形させ、隅部ホと隅部トの距離を拡大した場合、隙間30は拡大し、また隙間40も相当の大きさを保つため、補剛鋼管10内に軸材20を容易に挿入することができる。
よって、補剛鋼管10内に軸材20を挿入する作業を可能あるいは容易にするだけのために、隙間30の大きさを設定する必要がなくなる。よって、かかる制約を受けることなく、隙間30の大きさを所定の値に設定すること、あるいは、主軸材21の側縁部を補剛鋼管10の隅部に当接させることが可能になるから、軸材20の補剛鋼管10による補剛効果が増大する。
【0017】
図1の(b)において、50は軸材であって、図1の(a)における主軸材21および副軸材22が一体に成形されたものである。なお、図1の(a)と同じ部分にはこれと同じ符号を付し、一部の説明を省略する。したがって、図1の(b)においても、図1の(a)と同じ作用、効果が得られる。
【0018】
図1の(c)において、60は略菱形断面の補剛鋼管、70は軸材、71は軸材70を構成する主軸材、72は軸材70を構成する副軸材、73は主軸材71と副軸材72を接合部である。そして、主軸材71の側縁部リと補剛鋼管60の隅部ワとの間、および主軸材71の側縁部ルと補剛鋼管60の隅部ヨとの間には、それぞれ所定の大きさの隙間80(たとえば、主軸材71の板厚の1/15)が確保されている。
一方、副軸材72の側縁部ヌと補剛鋼管60の隅部カとの間、および副軸材72の側縁部オと補剛鋼管60の隅部タとの間には、それぞれ所定の大きさの隙間90(たとえば、主軸材71の板厚相当分)が確保されている。
したがって、図1の(a)と同様に、軸材70の耐力は、所定の値が確保され、さらに、補剛鋼管60内に軸材70を容易に挿入することができ、軸材70の補剛鋼管60による補剛効果が増大する。
【0019】
図1の(d)において、100は軸材であって、図1の(c)における主軸材71および副軸材72が一体に成形されたものである。なお、図1の(c)と同じ部分にはこれと同じ符号を付し、一部の説明を省略する。したがって、図1の(d)においても、図1の(c)と同じ作用、効果が得られる。
【0020】
なお、図1の(a)乃至(d)において、軸材20、50、70、100を略十字形断面としているが、実施の形態1はこれに限定するものではなく、主軸材の一方の面にのみ副軸材が設置されたもの(略T字形断面)、一対の副軸材の大きさ(長さまたは厚さ等)がそれぞれ同一でない非対称のもの、あるいは、主軸材の一方または両方の面に複数の副軸材が設置されたものであってもよい。
なお、補剛鋼管が略菱形断面で、軸材が不等辺十字型断面のものであってもよい。また、軸材の主軸材が略菱形断面の長い対角線位置または短い対角線の位置のいずれに配置されてもよい。さらに、主軸材の方が、副軸材より長くてもあるいは短くてもよい。
【0021】
図1の(e)において、110は略菱形断面の補剛鋼管、150は軸材、151は軸材150を構成する主軸材、152は軸材150を構成する断面T字状の副軸材、153は主軸材151と副軸材152との接合部である。そして、主軸材151の側縁部レと補剛鋼管110の隅部ナとの間、および主軸材151の側縁部ツと補剛鋼管110の隅部ムとの間には、それぞれ所定の大きさの隙間120(たとえば、主軸材151の板厚の1/15)が確保されている。
一方、副軸材152の側縁部ソと補剛鋼管120の隅部ラとの間、および副軸材152の側縁部ネと補剛鋼管110の隅部ウとの間には、それぞれ所定の大きさの隙間130(たとえば、主軸材151の板厚相当分)が確保されている。
したがって、図1の(a)と同様に、軸材150の耐力は、所定の値が確保され、さらに、補剛鋼管110内に軸材150を容易に挿入することができ、軸材150の補剛鋼管110による補剛効果が増大する。特に、副軸材152が断面T字状であるため、軸材150自体の耐力が増大している。
【0022】
図1の(f)において、160は軸材であって、図1の(e)における主軸材151および副軸材152が一体に成形されたものである。なお、図1の(e)と同じ部分にはこれと同じ符号を付し、一部の説明を省略する。したがって、図1の(f)においても、図1の(e)と同じ作用、効果が得られる。
【0023】
[実施の形態2]
図2は、本発明の実施の形態2に係る鋼管補剛ブレース材の断面図である。図2は実施の形態1(図1)において、主軸材の側縁部と補剛材の隅部との間の隙間にライナーを挿入したものである。なお、実施の形態1(図1)と同じ部分にはこれと同じ符号を付し、一部の説明を省略する。
【0024】
図2の(a)は、図1の(a)において、隙間30にライナー210を挿入したものである。
すなわち、補剛鋼管10を扁平に弾性的に変形させ、隅部ホと隅部トの距離を拡大した状態で(隙間30が拡大した状態)で、補剛鋼管10内に軸材20およびライナー210を容易に挿入することができる。
したがって、図1の(a)と同様の作用、効果が得られる。さらに、主軸材21の側縁部イ、ハが、ライナー210を介して補剛材10の隅部ホ、トに確実に拘束されるから、所定の補剛効果が保証される。また、主軸材21の側縁部イ、ハが、補剛材10の隅部ホ、トに直接当接しないから、摺動にともなう摩擦音の発生が防止される。
【0025】
図2の(b)は、図1の(b)において、隙間30にライナー210を挿入したものである。
図2の(c)および(d)は、図1の(c)および(d)において、隙間80にライナー220を挿入したものである。
図2の(e)および(f)は、図1の(e)および(f)において、隙間120にライナー230を挿入したものである。
したがって、図2の(b)、(c)、(d)、(e)および(f)は、それぞれ図1の(b)、(c)、(d)、(e)および(f)と同様の作用、効果が得られる。さらに、図2の(a)と同様に、所定の補剛効果が保証され、摺動にともなう摩擦音の発生が防止される。
【0026】
[実施の形態3]
図3は、本発明の実施の形態3に係る鋼管補剛ブレース材の端部に設置した接合用部材を示す、(a)は部分側面図および(b)は断面図ある。なお、実施の形態1(図1の(a))と同じ部分にはこれと同じ符号を付し、一部の説明を省略する。また、接合用部材とは、鋼管補剛ブレース材を柱・梁等の架構に設置するためのものであって、たとえば、ボルト穴が穿設され、架構に設置されたブラケットにボルトにより設置されるものである。
図3において、接合用部材300は、略十字状断面であって、軸材20の主軸材21に接合された主接合部321と、副軸材22に接合された副接合部322を有している。
【0027】
主接合部321の幅(図中、位置ヰと位置ヲとの距離)は主軸材21の幅(位置イと位置ハとの距離)と同一で、主接合部321の板厚は主軸材21の板厚より大きく、主接合部321の側縁部(位置ヰ、ヲ)の両角は面取りされている。副接合部322の幅(図中、位置ノと位置クとの距離)は図示しない補剛鋼管10の対向する隅部間の距離(図1における位置ヘと位置チとの距離)に同一で、副接合部322の板厚は副軸材22の板厚より大きく、副接合部322の側縁部(位置ノ、ク)の両角は面取りされている。
したがって、軸材20に接合された接合部材300を、補剛鋼管10に挿入すると、主接合部321および副接合部322の合計4の側縁部(位置ヰ、ノ、ヲ、ク)は、図示しない補剛鋼管10の4隅(図1における位置ホ、ヘ、ト、チ)にそれぞれ対峙する(直接またはライナーを介して当接、または所定の隙間を有する)。また、接合部材300の耐力が軸材20の耐力の1.2倍以上になっている。よって、軸材20が降伏した場合でも接合部材300は、弾性を維持し、且つ補剛管との相対位置を保持することができる。
【0028】
また、接合部材300を軸材20より高い強度(降伏応力)の材料により形成した場合には、主接合部321の板厚と主軸材21の板厚を同一に、副接合部322の板厚と副軸材22の板厚を同一にしても、接合部材300の耐力を軸材20の耐力の1.2倍以上にすることができる。
なお、実施の形態3は、実施の形態1および実施の形態2に示すいずれの形状の補剛鋼管および軸材について適用することができる。
【0029】
[実施の形態4]
図4は、本発明の実施の形態4に係る鋼管補剛ブレース材の累積塑性変形能力を算定するための圧縮引張繰り返し実験の概要を示す模式図である。補剛鋼管(角形)は、STKR400、□−150x150x9を用いている。
図4において、軸材20を補剛鋼管10内に挿入し、軸材20の長手方向端部に接合用部材300を接合し、さらに、接合用部材300に実験用取付部400,500を接合している。そして、実験用取付部500を図示しない圧縮引張繰り返し試験機に取付る。
【0030】
図5は、本発明の実施の形態4に係る鋼管補剛ブレース材の軸材の断面図である。軸材は不等辺の十字型圧延形鋼であり、降伏点が100N/mm2の低降伏点鋼を用いている。また、主軸材の内法寸法および板厚を図中B1、t1で定義した、副軸材の内法寸法および板厚を図中B2、t2で定義する。
【0031】
図6は、本発明の実施の形態4に係る鋼管補剛ブレース材の累積塑性変形能力を算定するための荷重−変位曲線である。載荷は軸材の平均歪量で±0.5%、±1.0%を2回繰り返したあと、1.5%を荷重が最大荷重から5%下がったところまでの累積塑性変形能力を算定した。累積塑性変形能力の算定は図6に示すように塑性吸収エネルギを降伏耐力と降伏変形の積で除した値とする。
【0032】
表1は、本発明と比較例(副軸材の側縁部も補剛鋼管に当接する例、および副軸材を具備しない例(平鋼型軸材))についての前記実験から算定した累積塑性変形能力を示す。主軸材の内法寸法B1は、補剛鋼管の対向する隅に当接するものとし、板厚t1を変更した。また、副軸材の内法寸法B2は主軸材の内法寸法B1の1/2とし、板厚t2を変更した。
一般に,1回の大地震で必要とされるエネルギ吸収部材の必要累積塑性変形能力は数百(200〜400)であるので、1000を越えれば数回の地震に耐えることができ交換の必要もなく、望ましい耐震性を奏する。
表1より、補剛鋼管により支軸材のみ補剛した本発明1は、支軸材および副軸材の両方を補剛した比較例1とほぼ同一の累積塑性変形倍率を示すことから、本発明が、製作の容易性と所定の耐震性を具備したのものであることが示される。また、主軸材の幅厚比(B1/t1)が大きく(板厚が薄く)なるほど累積塑性変形能力が低下することがわかる。
そして、主軸材の幅厚比が6.5程度で、副軸材の幅厚比(B2/t2)が5.5以下であれば累積塑性変形能力は1000を越え、十分な塑性変形能を示す。
なお、主軸材の幅厚比が7.5程度で、副軸材の幅厚比が5.5程度の場合でも、1回の地震には耐えることができる。
【0033】
【表1】
【0034】
なお、以上は、補剛鋼管として角形鋼管について記載しているが、本発明の補剛鋼管は、これに限定するものではなく、円形鋼管または楕円形鋼管であっても、内周の対向する位置に、主軸材の側縁部を拘束することができる突条等(たとえば、並行して設置した棒材等)を設置したものは、本発明の作用、効果を奏するため、本発明の補剛鋼管に含まれるものである。
【0035】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、容易に製作することができ、軸材と補剛鋼管との隙間の精度を保証し、且つ所定の耐力および耐震性を有する鋼管補剛ブレース材が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1に係る鋼管補剛ブレース材の断面図である。
【図2】本発明の実施の形態2に係る鋼管補剛ブレース材の断面図である。
【図3】本発明の実施の形態3に係る鋼管補剛ブレース材の端部に設置した接合用部材を示す、(a)は部分側面図および(b)は断面図ある。
【図4】本発明の実施の形態4に係る鋼管補剛ブレース材の累積塑性変形能力を選定するための圧縮引張繰り返し実験の概要を示す模式図である。
【図5】本発明の実施の形態4に係る鋼管補剛ブレース材の軸材の断面図である。
【図6】本発明の実施の形態4に係る鋼管補剛ブレース材の累積塑性変形能力を算定するための荷重−変位曲線である。
【符号の説明】
10 略正方形断面の補剛鋼管
20 接合構造の軸材
21 軸材20を構成する主軸材
22 軸材20を構成する副軸材
23 主軸材21と副軸材22を接合部
30 主軸材の側縁部と補剛鋼管との隙間
40 副軸材の側縁部と補剛鋼管との隙間
50 一体成形された軸材
210 ライナー
220 ライナー
Claims (11)
- 角形鋼管からなる補剛鋼管と、該補剛鋼管内に貫通されて軸力を負担する軸材とを有する鋼管補剛ブレース材であって、
前記軸材が、両側縁部が前記補剛鋼管の対向する隅部に隙間を介して対峙する板状の主軸材と、前記補剛鋼管の内面と隙間を介して前記主軸材の側面に設置された副軸材を有し、
前記補剛鋼管の内面と前記副軸材との隙間の大きさが、前記主軸材の板厚相当でありかつ前記補剛鋼管の隅部と前記主軸材との隙間より大きいことを特徴とする鋼管補剛ブレース材。 - 前記主軸材の両側縁部の一部が、前記補剛鋼管の対向する隅部に当接することを特徴とする請求項1記載の鋼管補剛ブレース材。
- 前記主軸材の両側縁部が前記補剛鋼管の対向する隅部に隙間を介して配置され、該隙間にライナープレートが挿入されていることを特徴とする請求項1記載の鋼管補剛ブレース材。
- 前記軸材が、十字型断面であることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の鋼管補剛ブレース材。
- 前記副軸材が、T字型断面であることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の鋼管補剛ブレース材。
- 前記軸材の断面が、不等辺十字型であって、前記主軸材の内法寸法が主軸材の板厚の6.5倍以下、前記副軸材の内法寸法が前記副軸材の板厚の5.5倍以下であることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の鋼管補剛ブレース材。
- 前記軸材の断面が、不等辺十字型であって、前記主軸材の断面積が前記副軸材の断面積の1.5倍以上であることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の鋼管補剛ブレース材。
- 前記主軸材の断面積が前記軸材の全断面積の45%以下であって,前記主軸材を形成する鋼材の応力上昇率が1.3以上であることを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載の鋼管補剛ブレース材。
- 前記軸材の長手方向端部に設置した接合用部材の耐力が、前記軸材の長手方向中央部の耐力の1.2倍以上であることを特徴とする請求項1乃至8の何れかに記載の鋼管補剛ブレース材。
- 前記軸材の長手方向端部に設置した接合用部材が、略十字型断面形状を有し、該接合用部材の側縁部が、前記補剛鋼管の隅部に直接またはライナープレートを介して当接することを特徴とする請求項1乃至9の何れかに記載の鋼管補剛ブレース材。
- 前記主軸材を形成する鋼材が低降伏点鋼でつくられることを特徴とする請求項1乃至9の何れかに記載の鋼管補剛ブレース材。
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