JP3675164B2 - 地盤改良機における支持地盤位置検出方法および支持地盤位置検出装置 - Google Patents
地盤改良機における支持地盤位置検出方法および支持地盤位置検出装置 Download PDFInfo
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【発明の属する技術分野】
本発明は、軟弱地盤内の支持地盤上に改良柱体を形成するに際して、この支持地盤の位置を確実、かつ容易に検出することを可能ならしめるようにした地盤改良機における支持地盤位置検出方法および支持地盤位置検出装置の技術分野に属するものである。
【0002】
【従来の技術】
周知のとおり、地盤改良機は、先端に攪拌翼を取付けた攪拌軸をリーダに沿わせて鉛直にし、回転駆動モータにより攪拌軸を回転させると共に、ウインチ等の駆動装置により攪拌軸を下降させていき、地中の所定深度まで攪拌貫入した後に、攪拌翼による攪拌と共に攪拌軸の先端からセメント等の改良材を噴射しながら前記駆動装置により攪拌軸を引上げて、地盤中に改良柱体を形成させるものである。地盤改良機による地盤改良においては、改良柱体に作用する上載荷重を有効に支持地盤に伝達させるために、改良材を噴射する攪拌軸の先端部を軟弱層の下にある支持地盤まで確実に貫入させて、支持地盤位置に確実に到達する改良柱体を形成させる必要がある。ところで、地盤改良機の攪拌軸の先端が支持地盤位置に到達したことを検出する支持地盤位置検出方法や支持地盤位置検出装置は、例えば特開昭62−280411号公報(従来例1)、特開昭62−280412号公報(従来例2)に開示されている。
【0003】
先ず、特開昭62−280411号公報に開示されてなる従来例1を、地盤改良機による施工状態を示す概略説明図の図6と、支持地盤位置検出装置主要部のブロック図の図7とに基づいて説明する。地盤改良機は、図6に示すように、ベースマシン1にリーダ2および先端部に攪拌翼3を有する攪拌軸4等が装着され、この攪拌軸4を回転駆動させる回転駆動モータ5、同じく昇降駆動させる駆動装置6等が設けられ、攪拌軸4の上端に図示しない改良材プラントからのホース7がスイベルジョイント8を介して連結されてなる構成である。なお、地盤の表面を示す符号S′は表土層であり、この表土層S′の下層部分を示す符号Sは軟弱地盤であり、この軟弱地盤Sの下層部分を示す符号Hは硬い支持地盤である。また、表土層S′、軟弱地盤Sを貫通すると共に、硬い支持地盤Hの上面に下端が支えられてなる符号Pは改良柱体である。
【0004】
そして、図7に示すように、回転駆動モータ5の電流値により支持地盤の位置を検出して駆動装置6の駆動停止制御を行う支持地盤位置検出装置Aが設けられている。以下、この支持地盤位置検出装置Aによる支持地盤位置の検出の仕方を説明すると、攪拌軸を回転させる回転駆動モータ5の電流値を電流値検出器10で検出し、この検出値と予め電流値設定器9で設定した回転駆動モータ5の許容電流値とを電流値比較回路11で比較し、前記電流値検出器10で検出した電流値が許容電流値よりも大きい場合に信号を発信し、発信された信号をタイムカウンタ12で積算し、積算により得られた信号積算時間と予め時間値設定器13で設定した設定時間値とを時間値比較回路14で比較し、前記信号積算時間が設定時間値より大きい時に、攪拌軸の先端が一定強度を有する支持地盤位置に到達したとして攪拌軸を昇降させる駆動装置6を停止させるようにしたもので、端的にいえば設定電流値を超過した時間の積算値が設定値を超えたときを以って、攪拌軸の先端が支持地盤位置に到達したとするものである。
【0005】
次に、特開昭62−280412号公報に開示されてなる従来例2を、支持地盤位置検出装置主要部のブロック図の図8を参照しながら説明する。なお、地盤改良機の基本構成は上記実施例1と同構成であるから、地盤改良機の支持地盤位置検出装置Aだけを説明する。即ち、攪拌軸を回転させる回転駆動モータ5の電流値を電流値検出器10で検出し、この検出値と予め電流値設定器9で設定した回転駆動モータ5の許容電流値とを電流値比較回路11で比較し、前記電流値検出器10で検出した電流値が許容電流値よりも大きい場合に信号を発信すると共にその超過電流値を電流値演算器13で求め、前記信号発信時間を積算して得られた超過時間と超過電流値とから超過電気量を求め、電気量比較回路17によりその超過電気量を積算した積算超過電気量が電気量設定器16で予め設定した設定電気量より大きいと判断された時に、攪拌軸の先端が一定強度を有する支持地盤位置に到達したとして攪拌軸を昇降させる駆動装置6を停止させるようにしたもので、積算超過電気量が設定値を超えたときを以って、攪拌軸の先端が支持地盤位置に到達したとするものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、地盤改良機により地盤を改良するに際して、この地盤改良機の攪拌軸の先端が支持地盤位置に到達したことを検出する場合、下記の各事項を満たすことが求められている。
▲1▼ 攪拌軸の先端が支持地盤位置に到達したということをリアルタイムで検出することができること。
▲2▼ 攪拌軸の先端が支持地盤位置に到達したということを客観的に判断することができること。
▲3▼ 掘削データを記録として残すことができること。
【0007】
上記のような観点から、上記従来例1または従来例2に係る地盤改良方法を見てみると、これらの何れもが上記各事項を満足しているのでそれなりに有用であると考えられる。しかしながら、何れも全掘削範囲を演算してモニターに表示する構成であるために、表示スパンが大きすぎて支持地盤近傍の掘削エネルギーの変化を把握することができないので、高精度で支持地盤位置を検出することがでないという解決すべき課題がある。
【0008】
また、先端処理、つまり攪拌軸の先端に未改良部分を残さないように、攪拌軸の先端が支持地盤位置に到達すた後、攪拌翼の上下段差分だけ攪拌軸を一旦引抜き、改良材を噴射しながら攪拌軸を再度支持地盤まで再貫入する操作をする場合、上記のとおり、従来例1では設定電流値を超過した時間の積算値が設定値を超えたときを以って攪拌軸の先端が支持地盤位置に到達したとするものであり、また従来例2では積算超過電気量が設定値を超えたときを以って攪拌軸の先端が支持地盤位置に到達したものとするものであるために、攪拌軸の再貫入深度を正確に把握することができないので、攪拌軸の再貫入深度不足により改良柱体が支持地盤位置に到達しない恐れがあるだけでなく、過剰貫入による無駄が生じる恐れがあるという解決すべき課題がある。
【0009】
従って、本発明の目的とするところは、攪拌軸の先端が支持地盤位置に到達したということを精度良く検出することができ、かつ攪拌軸の再貫入深度を確実に知ることを可能ならしめる地盤改良機における支持地盤位置検出方法および支持地盤位置検出装置を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであって、従って本発明の請求項1に係る地盤改良機における支持地盤位置検出方法が採用した手段の特徴とするところは、回転駆動モータにより回転駆動され、駆動装置により昇降駆動される攪拌軸を有する地盤改良機で地盤を改良するに際して、攪拌軸の先端が支持地盤位置に到達したことを検出する地盤改良機における支持地盤位置検出方法において、支持地盤近傍で単位貫入深さ毎に単位深さ当たりの掘削エネルギーを求め、この求めた掘削エネルギーが予めボーリング調査して得られた支持地盤の掘削エネルギーと等しくなったときに上記攪拌軸の先端が支持地盤位置に到達したとするところにある。
【0011】
本発明の請求項2に係る地盤改良機における支持地盤位置検出方法が採用した手段の特徴とするところは、請求項1に記載の地盤改良機における支持地盤位置検出方法において、上記攪拌軸を回転駆動する回転駆動モータの電流値または回転トルクと攪拌軸の回転数と攪拌軸の貫入速度とから支持地盤近傍で単位貫入深さ毎に単位貫入深さ当たりの掘削エネルギーを求めるところにある。
【0012】
本発明の請求項3に係る地盤改良機における支持地盤位置検出方法が採用した手段の特徴とするところは、請求項1または2のうちの何れか一つの項に記載の地盤改良機における支持地盤位置検出方法において、上記掘削エネルギーの演算を、攪拌軸が予めボーリング調査して得られた改良すべき地盤の深度から所定掘削深さを減じた深度に到達したときから行うところにある。
【0013】
本発明の請求項4に係る地盤改良機における支持地盤位置検出方法が採用した手段の特徴とするところは、請求項1または2のうちの何れか一つの項に記載の地盤改良機における支持地盤位置検出方法において、上記単位貫入深さ当たりの掘削エネルギーを単位貫入深さ毎にモニターに画面表示するところにある。
【0014】
本発明の請求項5に係る地盤改良機における支持地盤位置検出方法が採用した手段の特徴とするところは、請求項1または2のうちの何れか一つの項に記載の地盤改良機における支持地盤位置検出方法において、上記攪拌軸の先端が到達した最新深度をモニターに画面表示するところにある。
【0015】
本発明の請求項6に係る地盤改良機における支持地盤位置検出方法が採用した手段の特徴とするところは、請求項1または2のうちの何れか一つの項に記載の地盤改良機における支持地盤位置検出方法において、上記攪拌軸の先端が、深度方向に最初に掘削した時に掘削エネルギーを演算し、モニターに画面表示するところにある。
【0016】
本発明の請求項7に係る地盤改良機における支持地盤位置検出装置が採用した手段の特徴とするところは、回転駆動モータにより回転駆動され、駆動装置により昇降駆動される攪拌軸を有する地盤改良機の上記攪拌軸の先端が支持地盤位置に到達したことを検出する地盤改良機における支持地盤位置検出装置において、上記攪拌軸の先端が支持地盤位置に到達したと判断するために支持地盤近傍で求められた単位貫入深さ毎に単位貫入深さ当たりの掘削エネルギーを演算する演算装置と、この演算装置により演算された演算結果を画面表示するモニターとからなるところにある。
【0017】
本発明の請求項8に係る地盤改良機における支持地盤位置検出装置が採用した手段の特徴とするところは、回転駆動モータにより回転駆動され、駆動装置により昇降駆動される攪拌軸を有する地盤改良機の上記攪拌軸の先端が支持地盤位置に到達したことを検出する地盤改良機における支持地盤位置検出装置において、上記攪拌軸を回転駆動する回転駆動モータの電流値を検出する電流検出器と、上記攪拌軸の貫入速度を検出する深度・速度検出器と、上記攪拌軸の回転数を検出する回転数検出器と、これら検出器により検出された電流値と回転数と貫入速度とから、上記攪拌軸の先端が支持地盤位置に到達したと判断するために支持地盤近傍で求められた所定の単位貫入深さ毎に単位貫入深さ当たりの掘削エネルギーを演算する演算装置と、この演算装置により演算された演算結果を画面表示するモニターとからなるところにある。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の地盤改良機における支持地盤位置検出方法を実現する実施の形態に係る支持地盤位置検出装置を、これを備えてなる地盤改良機の模式的構成説明図の図1(a)と、そのブロック図の図1(b)と、掘削深度に対するN値の関係説明図の図2(a)と、掘削深度に対する掘削エネルギーの関係説明図の図2(b)と、モニター画面を示す図の図3と、掘削深度と電流との関係説明図の図4(a)と、掘削深度と貫入速度との関係説明図の図4(b)と、掘削深度と掘削エネルギーEとの関係説明図の図4(c)と、支持地盤位置到達フロー説明図の図5とを順次参照しながら説明する。但し、地盤改良機の基本構成は、段落番号[0003]において説明した従来例1に係るものと同構成であるから、その相違する点だけの説明に止める。
【0019】
図1 ( a ) に示す符号1は地盤改良機で、この地盤改良機1には支持地盤位置検出装置10が設けられている。即ち、地盤改良機1に、そのリーダ2により支持され、下端に攪拌翼3が設けられてなる攪拌軸4を回転駆動する回転駆動モータ5の電流値を検出する電流検出器11と、前記攪拌軸4の掘削深度と貫入速度とを検出する深度・速度検出器12と、前記攪拌軸4の回転数を検出する回転数検出器13とが取付けられている。そして、図1 ( b ) に示すように、電流検出器11で検出された回転駆動モータ5の電流値と、深度・速度検出器12で検出された攪拌軸4の掘削深度および貫入速度と、回転数検出器13で検出された攪拌軸4の回転数とが、アナログ値をデジタル値に変換するA/D変換器14に入力されると共に、このA/D変換器14でデジタル変換された電流値と、掘削深度および貫入速度と、回転数とが演算装置15に入力されるようになっている。
【0020】
上記演算装置15は、デジタル変換されて入力された電流値と、貫入速度と、回転数とに基づいて、デジタル変換されて入力された掘削深度が、予めボーリン グ調査して得られた、改良すべき地盤のN値に基づく掘削深度から予め設定した所定掘削深さ、例えば、1mを減じた深度に到達したときから、予め設定した所定掘削深さである1mを0.1mの単位貫入深さ毎に単位貫入深さ0.1m当たりの掘削エネルギーE ( kW・h/m ) と、上記N値と回転数とから掘削基準エネルギーE s( kW・h/m ) とを演算するもので、これら掘削エネルギーE、掘削基準エネルギーE s を下記▲2▼式から求めるものである。なお、掘削エネルギーEを演算する距離を1mとしたのは、通常この1mの範囲内に支持地盤位置があることを知見したからである。
【0021】
ここで、攪拌軸4の回転トルクがT ( N・m ) 、攪拌軸4の貫入速度がv ( m/min ) 、Nが改良すべき地盤のN値、a,b,cおよびdが改良すべき地盤の質によって定まる係数であるとすると、攪拌軸4の回転トルクTは下記▲1▼式で表すことができる。
T=a ( v+b )( N+c ) +d‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥▲1▼
この▲1▼式を ( T−d ) / ( v+b ) =a ( N+c ) と変形して、左辺と右辺とのそれぞれに攪拌軸4の回転数nを乗じると掘削エネルギーが得られる。
( T−d ) n/ ( v+b ) =a ( N+c ) n‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥▲2▼
【0022】
即ち、上記▲2▼式の左辺は、分子が攪拌翼3の回転動力 ( kW ) であり、分母が貫入速度 ( m/min ) であるから掘削エネルギーである。そして、左辺と右辺とから掘削エネルギーEと掘削基準エネルギーEsとを求めることができる。
E = ( T−d ) n/ ( v+b ) ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥▲3▼
Es=a ( N+c ) n‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥▲4▼
【0023】
上記のような▲3▼、▲4▼式を用いることの妥当性を検証するために、改良すべき地盤のN値と掘削エネルギーEとの相関の程度をみてみると、図2 ( a ) , ( b ) から良く理解されるように、事前のボーリング調査により求めた掘削深度20m付近で掘削エネルギーEが大きくなっており、N値と掘削エネルギーEとがほぼ相関していることが判る。このことは、上記▲3▼,▲4▼式を用いることにより、支持地盤 位置を検出し得ることを示唆するものである。
【0024】
さらに、掘削深度により変化する電流値A、貫入速度vおよび掘削エネルギーEはモニター16の画面に表示されると共に、データ集積のために掘削速度に対するこれら電流値A、貫入速度vおよび掘削エネルギーEの変化を記録する記録器17とから構成されている。
【0025】
上記モニター16は、図3において左上側に示す攪拌軸4の掘削深さと、攪拌軸4の駆動条件 ( 速度、回転数および電流値 ) とを表示する深度−駆動条件表示画面16aと、左下側に示す縦軸が掘削深度で、横軸が掘削エネルギーである掘削深度−掘削エネルギーの関係表示画面16bと、右側に示す縦軸が掘削深度で、横軸が掘削経過時間である掘削深度−掘削経過時間の関係表示画面16cとから形成されている。そして、掘削深度−掘削エネルギーの関係表示画面16bには、例えば掘削深度29.6mから最深の掘削深度が30.5mまで、単位貫入深さ0.1m当たりの掘削エネルギーE、つまり29.6m,29.7m,…30.4m,30.5mの掘削エネルギーEが10本の横向きの棒グラフとして表示され、また掘削深度−掘削経過時間の関係表示画面16cには、掘削深度に対する掘削経過時間が表示されるように構成されている。
【0026】
ところで、この場合、モニター16の掘削深度−掘削エネルギーの関係表示画面16bには、深度29.6mから30.5mまでの掘削エネルギーEが単位貫入深さ0.1m毎に表示されているが、例えば最深の掘削深度が30.6mになった場合には、29.7mから30.6mの間の単位貫入深さ0.1m当たりの掘削エネルギーEが10本の棒グラフとして表示されるというように、掘削深度が0.1m深くなる毎にスクロールされるように構成されている。なお、掘削エネルギーEの演算を開始し始める掘削深度29.5mや最深の掘削深度30.5mは、ある工事現場の場合であって、工事現場が変われば当然これらの深度は変わるものである。
【0027】
上記記録器17には、図4 ( a ) , ( b ) , ( c ) に示すとおり、掘削深度29.5mから最深の掘削深度が30.5mまでの、掘削深度と電流との関係、掘削深度と貫入速度との関係、掘削深度と掘削エネルギーとの関係がそれぞれデータ集積のために記録される。
【0028】
支持地盤の深度は事前のボーリングにより判明しているので、攪拌軸4の先端が支持地盤位置に到達した時の掘削基準エネルギーEsを事前に決めておけば、掘削時にモニター16の掘削深度−駆動条件表示画面16bに表示される掘削エネルギーEを監視するだけで、リアルタイムにしかも個人差なく、攪拌軸4の先端が30.5mの支持地盤位置に到達したということを知ることができる。
【0029】
ところで、本実施の形態に係る支持地盤位置検出装置10によれば、上記のとおり、掘削深度が予めボーリング調査して得られた改良すべき地盤のN値に基づく掘削深度から予め測定した1mを減じた深度に到達したときから、予め設定した1m分を、0.1m掘削する毎に0.1m当たりの掘削エネルギーE ( kW・h/m ) を演算してモニター16に表示するように構成されているが、攪拌軸4の先端側に未改良部分が残らないように、この攪拌軸4の先端が支持地盤位置に到達した後、攪拌翼3の上下段差分だけこの攪拌軸4を一旦引抜き、引抜いた攪拌軸4を再度支持地盤の深度まで改良材を噴射しながら再貫入するという先端処理を行う場合には、攪拌軸4の先端が最初に未掘削地盤に到達した深度から掘削エネルギーEをモニター16に画面表示するようになっている。
【0030】
以下、図5を参照しながら、本実施の形態に係る支持地盤位置検出装置10による支持地盤位置検出の仕方を説明する。
深度・速度検出器12で検出され、A/D変換器14でデジタル変換されて入力される攪拌軸4の掘削深度が、予めボーリング調査して得られた改良すべき地盤のN値に基づく掘削震度から、予め設定した1mの所定掘削深さを減じた深度、例えば29.5mの深度に到達すると、自動的に支持地盤位置検出フローがスタートされてステップ1に進み、攪拌軸4の貫入速度、電流値、回転数を検出し てステップ2に進む。
【0031】
ステップ2において、予め設定した深度だけ、具体的には0.1mだけ深度が増加したか否かが判定され、深度が0.1m増加していないと判定されたNoの場合にはステップ1に戻り、また深度が0.1m増加したと判定されたYesの場合にはステップ3に進む。
【0032】
ステップ3において、上記▲3▼式と、▲4▼式、つまりE= ( T−d ) n/ ( v+b ) 、Es=a ( N+c ) nの式により0.1m当たりの掘削エネルギーEと掘削標準エネルギーEsの演算が行われて、ステップ4に進む。
【0033】
ステップ4において、モニター16の掘削深度−掘削エネルギーの関係表示画面16bに掘削深度に対する掘削エネルギーEを表示してステップ5に進む。
【0034】
ステップ5において、掘削エネルギーEが掘削標準エネルギーEsを超過したか否かが判定され、掘削エネルギーEが掘削標準エネルギーEsに到達していないと判定されたNoの場合にはステップ1に戻り、0.1m当たりの掘削エネルギーEが掘削標準エネルギーEsに到達したと判定されたYesの場合にはステップ6に進む。0.1m当たりの掘削エネルギーEと掘削標準エネルギーEsとの大小比較判定は、掘削エネルギーEが掘削標準エネルギーEsに到達するまで、0.1m毎に繰り返される。
【0035】
ステップ6において、掘削エネルギーEが掘削標準エネルギーEsに到達して、攪拌軸4の先端が30.5mの支持地盤位置に到達したので、攪拌軸4による改良地盤の掘削作業が停止されると共に、セメント等の改良材を噴射しながらの攪拌軸4の引抜きによる改良柱体の造成が行われ、ステップ7に進む。
【0036】
ステップ7において、攪拌軸4が改良地盤から完全に引抜かれ、改良柱体の造成が終了するとステップ8に進む。
【0037】
ステップ8において、後の地盤改良工事改善資料として活用し得るデータを集積するために、掘削速度に対する貫入速度、電流値、掘削エネルギーの変化が記録器17により記録されて一本の改良柱体の造成工事が終了する。そして、この地盤改良機1は次の造成位置に移動される。
【0038】
以上説明したように、本発明の実施の形態に係る支持地盤位置検出装置10によれば、従来例1または2のように全掘削範囲を演算してモニターに表示するものではなく、初めて到達した深度から浅い方の1mを0.1m毎に0.1m当たりの掘削エネルギーEを演算してモニター16に表示する構成であって、かつ改良地盤を0.1m掘削する毎に0.1m分スクロールして表示するものである。従って、30.5mの全掘削深さをモニター表示する場合の約1/30のスパンとなるため視認性が良く、高精度で支持地盤位置を検出することができる。
【0039】
さらに、本実施の形態に係る支持地盤位置検出装置10によれば、上記のとおり、攪拌軸4の先端が最初に未掘削地盤に到達した深度から掘削エネルギーEをモニター16に画面表示する構成で、攪拌軸4の先端の到達深度を確実に検出表示することができるため、上記のような先端処理をする場合、従来例1や2のように、攪拌軸4の再貫入深度不足により改良柱体が支持地盤位置に到達しないという恐れも、拡販軸4の先端の過剰貫入により無駄が生じるような恐れもない。
【0040】
なお、本実施の形態に係る支持地盤位置検出装置10においては、掘削エネルギーを求めるのに、上記のとおり、攪拌軸4を回転駆動する回転駆動モータ5の電流値を用いたが、この回転駆動モータ5の回転トルクを用いて掘削エネルギーを求めることもできる。
【0041】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明の請求項1乃至6に係る地盤改良機における支持地盤位置検出方法によれば、支持地盤近傍で単位貫入深さ毎に単位貫入深さ当たり の掘削エネルギーを求めるもので、全掘削範囲を演算する従来例1または2に比較して表示スパンが小スパンになるため、従来例1または2の場合よりも高精度で支持地盤位置を検出することができるという優れた効果がある。
【0042】
また、本発明の請求項4に係る地盤改良機における支持地盤位置検出方法によれば、モニターの表示画面に表示される単位貫入深さ当たりの掘削エネルギーを監視するだけで、リアルタイムにしかも個人差なく、攪拌軸の先端が支持地盤位置に到達したことを知ることができるという優れた効果がある。
【0043】
また、本発明の請求項7または8に係る支持地盤位置検出装置によれば、支持地盤近傍で単位貫入深さ毎に単位貫入深さ当たりの掘削エネルギーを求めるもので、全掘削範囲を演算する従来例1または2に比較して表示スパンが小スパンになるため、高精度で支持地盤位置を検出することができ、しかも掘削エネルギーがモニターに画面表示されるため、このモニターの表示画面を監視するだけで、リアルタイムにしかも個人差なく、攪拌軸の先端が支持地盤位置に到達したことを知ることができるという優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係り、図1(a)は支持地盤位置検出装置を備えてなる地盤改良機の模式的構成説明図、図1(b)は支持地盤位置検出装置のブロック図である。
【図2】図2(a)は掘削深度に対するN値の関係説明図、図2(b)は掘削深度に対する掘削エネルギーの関係説明図である。
【図3】本発明の実施の形態に係り、支持地盤位置検出装置のモニター画面を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態に係り、図4(a)は掘削深度と電流との関係説明図、図4(b)は掘削深度と貫入速度との関係説明図、図4(c)は掘削深度と掘削エネルギーEとの関係説明図である。
【図5】本発明の実施の形態に係り、支持地盤位置到達フロー説明図である。
【図6】従来例1に係り、地盤改良機による施工状態を示す概略説明図である。
【図7】従来例1に係る支持地盤位置検出装置主要部のブロック図である。
【図8】従来例2に係る支持地盤位置検出装置主要部のブロック図である。
【符号の説明】
1…地盤改良機、2…リーダ、3…攪拌翼、4…攪拌軸、5…回転駆動モータ、10…支持地盤位置検出装置、11…電流検出器、12…深度・速度検出器、13…回転数検出器、14…A/D変換器、15…演算装置、16…モニター、16a…深度−駆動条件表示画面、16b…掘削深度−掘削エネルギーの関係表示画面、16c…掘削深度−掘削経過時間の関係表示画面、17…記録器。
Claims (8)
- 回転駆動モータにより回転駆動され、駆動装置により昇降駆動される攪拌軸を有する地盤改良機で地盤を改良するに際して、攪拌軸の先端が支持地盤位置に到達したことを検出する地盤改良機における支持地盤位置検出方法において、支持地盤近傍で単位貫入深さ毎に単位深さ当たりの掘削エネルギーを求め、この求めた掘削エネルギーが予めボーリング調査して得られた支持地盤の掘削エネルギーと等しくなったときに上記攪拌軸の先端が支持地盤位置に到達したとすることを特徴とする地盤改良機における支持地盤位置検出方法。
- 上記攪拌軸を回転駆動する回転駆動モータの電流値または回転トルクと攪拌軸の回転数と攪拌軸の貫入速度とから支持地盤近傍で単位貫入深さ毎に単位貫入深さ当たりの掘削エネルギーを求めることを特徴とする請求項1に記載の地盤改良機における支持地盤位置検出方法。
- 上記掘削エネルギーの演算を、攪拌軸が予めボーリング調査して得られた改良すべき地盤の深度から所定掘削深さを減じた深度に到達したときから行うことを特徴とする請求項1または2のうちの何れか一つの項に記載の地盤改良機における支持地盤位置検出方法。
- 上記単位貫入深さ当たりの掘削エネルギーを単位貫入深さ毎にモニターに画面表示することを特徴とする請求項1または2のうちの何れか一つの項に記載の地盤改良機における支持地盤位置検出方法。
- 上記攪拌軸の先端が到達した最新深度をモニターに画面表示することを特徴とする請求項1または2のうちの何れか一つの項に記載の地盤改良機における支持地盤位置検出方法。
- 上記攪拌軸の先端が、深度方向に最初に掘削した時に掘削エネルギーを演算し、モニターに画面表示することを特徴とする請求項1または2のうちの何れか一つの項に記載の地盤改良機における支持地盤位置検出方法。
- 回転駆動モータにより回転駆動され、駆動装置により昇降駆動される攪拌軸を有する地盤改良機の上記攪拌軸の先端が支持地盤位置に到達したことを検出する地盤改良機における支持地盤位置検出装置において、上記攪拌軸の先端が支持地盤位置に到達したと判断するために支持地盤近傍で求められた単位貫入深さ毎に単位貫入深さ当たりの掘削エネルギーを演算する演算装置と、この演算装置により演算された演算結果を画面表示するモニターとからなることを特徴とする地盤改良機における支持地盤位置検出装置。
- 回転駆動モータにより回転駆動され、駆動装置により昇降駆動される攪拌軸を有する地盤改良機の上記攪拌軸の先端が支持地盤位置に到達したことを検出する地盤改良機における支持地盤位置検出装置において、上記攪拌軸を回転駆動する回転駆動モータの電流値を検出する電流検出器と、上記攪拌軸の貫入速度を検出する深度・速度検出器と、上記攪拌軸の回転数を検出する回転数検出器と、これら検出器により検出された電流値と回転数と貫入速度とから、上記攪拌軸の先端が支持地盤位置に到達したと判断するために支持地盤近傍で求められた所定の単位貫入深さ毎に単位貫入深さ当たりの掘削エネルギーを演算する演算装置と、この演算装置により演算された演算結果を画面表示するモニターとからなることを特徴とする地盤改良機における支持地盤位置検出装置。
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