JP3674866B2 - 穀類および豆類の洗浄方法、洗浄浸漬方法および加工方法 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、穀類および豆類の洗浄方法、洗浄浸漬方法および加工方法に関し、特にコンビニ・量販店等のベンダー工場、冷凍米飯・無菌パック各加工場等、大型炊飯加工工場、惣菜工場、豆腐工場などで、洗米や炊飯といった米などの穀類または豆類に適用するのに好適な洗浄方法、洗浄浸漬方法および加工方法に関する。
【従来の技術】
【0002】
従来の洗米方法では、一般に水流でする方法が採用されており、洗米後、ポンプと水を用いて浸漬槽に米を送り、浸漬槽で浸漬して計量切出装置により所定量を炊飯釜に投入している。しかし、この方法では、洗米槽から浸漬槽に移動する際にポンプ等の動力によって破砕米が多量に発生するという問題があり、炊飯後の食味の低下を招いていた。
【0003】
上記のような問題を解決するものとして、米の表面に付着した汚れや糠・澱粉等の付着物(以下、研ぎ汁成分という)を微細気泡の気泡界面に吸着させて分離除去することが提案されている。すなわち、下記特許文献1には、容器内に米を入れ、その容器の底部から容器内に空気溶解水を吐水させ、微細気泡を発生させながら米を洗浄する洗米方法が開示されている。また、特許文献2には、高濃度酸素気泡を含有する高濃度酸素気泡水により米を洗浄する洗米方法が開示されている。
【特許文献1】
特許第3081830号公報
【特許文献2】
特開2001‐259440号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
微細気泡を利用したこれらの洗米方法によれば、米の表面に付着した研ぎ汁成分が微細気泡に吸着されて浮上するため、研ぎ汁成分を容易に分離除去することができ、従来の水流による洗米方法に比べて破砕米ロスを削減することができる。しかしながら、このような手法によってもなお、米の表面に付着した研ぎ汁成分を除去するには不十分である。また、環境面から排水量を減らすために、少量の水で効率的に米を洗浄できる洗米方法が求められている。同様の問題は、米以外の他の穀類や豆類にも存在し、簡単で効率のよい穀類や豆類の洗浄方法が求められている。
【0005】
従って、本発明の主たる目的は、簡単に効率よく洗浄できる穀類および豆類の洗浄方法、これを用いた洗浄浸漬方法を提供することである。
本発明の他の目的は、洗浄水の使用量を削減することができる穀類や豆類の洗浄方法、これを用いた洗浄浸漬方法を提供することである。
本発明のさらに他の目的は、穀類や豆類を簡単に効率よく加工するのに適した穀類および豆類の加工方法を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、二酸化炭素(以下、CO2という)の微細気泡で米を洗浄すると、研ぎ汁成分の分離除去効果が従来の酸素や空気の微細気泡による洗米方法に比べてより一層向上し、これにより美味しい米を炊くことができ、しかも米以外の他の穀類や豆類であっても同様に高い洗浄効果が得られるという新たな事実を見出し、本発明を完成するに至った。CO2の微細気泡が上記効果を有する理由は以下のように推測される。
【0007】
(1)CO2ガスは、酸素や空気に比べて水に溶解しやすく、例えば0℃の水100mlに対して酸素ガスが約4.9ml(4.9%)溶解するのに対して、CO2ガスは171.3ml(171.3%)も溶解する。従って、加圧する圧力も空気や酸素に比べて半分以下の圧力で水に溶解させることが出来る。また、空気や酸素の溶解水は殆どが水との混合であるため、大気開放すると直ちに空気や酸素の気泡が発生して白濁化するのに対して、CO2溶解水は水温によって異なるがほぼ100%に近い溶解率であるため大気開放しても殆ど気泡が発生せず白濁化しない。しかし、CO2溶解水は、米に当たったときの衝撃などによって微細気泡が発生し米に付着する。このとき発生する微細気泡の大きさは、付着する固体の大きさによって決定されるため、米粒のような細粒を洗浄する場合にはより微細な気泡が米の表面に均一に付着して効率よく速やかに研ぎ汁成分を分離除去できるようになり、洗浄効果が向上する。これに対して、空気や酸素の溶解水を大気開放したときの微細気泡は一定の大きさであるため、小さな米粒の表面に均一に付着させることができない。
【0008】
このように、CO2ガスを使用すると、気泡界面が空気や酸素に比べて格段に大きくなり、また、空気や酸素の微細気泡に比べ、気泡が破裂する際の衝撃波の力も極端に強い。これにより、高周波洗浄に似た微動流が発生し、洗浄効果をより一層向上させることができる。
【0009】
(2)CO2ガスは、一般に脂質への溶解作用、タンパク質や澱粉への吸着作用を有する。一方、研ぎ汁成分はタンパク質、澱粉や脂質等からなるため、CO2ガスの微細気泡は研ぎ汁成分を米から速やかに分離除去することができる。
【0010】
(3)CO2ガスは静菌作用を有しており、細菌(好気性菌等)やカビの増殖を抑制する効果がある。これにより、洗米、浸漬の過程での細菌やカビの増殖に起因する臭み成分の発生を防止することができると同時に、炊飯後に釜やコンベア等に付着した糊化物に細菌やカビが増殖するのを抑えることができる。このため、香りのよい美味しい米を炊くことができる。
【0011】
すなわち、本発明にかかる穀類および豆類の洗浄方法は、米などの穀類または豆類を入れた容器内に、CO2ガスを水に溶解させたCO2溶解水を吐出させて、CO2の微細気泡により穀類または豆類を洗浄することを特徴とする。
【0012】
また、本発明の洗浄方法では、穀類または豆類を入れた容器内に、CO2ガスを水に溶解させたCO2溶解水を吐出させて、CO2の微細気泡により穀類または豆類を洗浄すると共に、前記洗浄容器内の水をCO2溶解装置に送り、CO2溶解水として洗浄容器内に循環させるのが好ましい。このように、穀類または豆類を洗浄した水を循環させて再利用することにより、水の使用量が削減され、経済的であるとともに、排水量を低減することができる。
【0013】
この循環方式の場合には、前記容器に設定された上限水位の位置に分岐路を設けて、穀類または豆類の洗浄時に表面に浮上してきた泡を、容器内に水を間欠的または連続的に加水することで、水とともに前記容器外に導くようにすると、容器内の水を清潔に保つことができる。なお、CO2溶解水はCO2溶解・加圧水であるのがよい。
【0014】
本発明において容器内でCO2の微細気泡を発生させる方法は特に限定されないが、例えばCO2溶解水を容器内でゆるやかに流れさせて、このCO2溶解水が容器内の前記穀類または豆類に当たる衝撃によりCO2の微細気泡を発生させることができる。
また、穀類または豆類の粒同士が重なり合ったところでもCO2の微細気泡が発生して均一に洗浄できるように、前記容器内に間欠的に流体(エアー等の気体、水等の液体)を数十秒間噴出させて穀類または豆類を撹拌するのが好ましい。
【0015】
本発明にかかる穀類および豆類の洗浄浸漬方法は、穀類または豆類を入れた容器内に、CO2ガスを水に溶解させたCO2溶解水を吐出させて、CO2の微細気泡により穀類または豆類を洗浄した後、洗浄した穀類または豆類を前記CO2溶解水に所定時間浸漬することを特徴とする。これにより、洗浄において、CO2の微細気泡により研ぎ汁成分などの汚れ成分を分離除去すると共に、浸漬時には水に溶解したCO2による静菌作用が働くため、細菌やカビの増殖を抑制することができる。すなわち、穀類および豆類に芽胞が発芽して生菌化するのをCO2溶解水で抑制することができる。さらに、穀類や豆類をCO2溶解水に浸漬すると、水に浸漬する場合よりも穀類や豆類の膨潤率が高くなる。なお、洗浄浸漬時のCO2発生方法としては、前記した洗浄方法と同様に、例えばCO2溶解水を容器内でゆるやかに流れさせて、このCO2溶解水が容器内の前記穀類または豆類に当たる衝撃によりCO2の微細気泡をさせる方法を採用することができる。
浸漬は、洗浄を行った後、そのまま同一容器内で行ってもよく、あるいは他の容器に洗浄した穀類または豆類を移して行ってもよい。
【0016】
ここで、穀類または豆類の洗浄中に前記容器外に導かれた水および/または浸漬後に穀類または豆類と共に排出された水は回収タンクに送り、この回収タンク内の水を前記容器に供給するのが好ましく、これにより水の使用量を削減することができる。このとき、前記タンクに上澄液排出用のノコギリ状泡切りジョウゴと、沈殿物排出用の弁を設けて、泡を含む上澄液および沈殿物を排出するのが好ましい。
【0017】
また、前記と同様に、洗浄および浸漬工程中に容器内に間欠的に流体を噴出させて穀類または豆類を撹拌するのが好ましい。これにより洗浄工程中に穀類または豆類の粒同士が重なり合ったところでもCO2の微細気泡が発生し洗浄することができ、浸漬工程においても、穀類または豆類に効率よく水を浸透させることができる。流体の噴出は、1回あたり数十秒間でよく、これを設定時間内(すなわち1回の洗浄および浸漬時間のそれぞれ)に数回程度行えばよい。
【0018】
このようにして洗浄および浸漬を終えた穀類または豆類は、ついで加熱処理などの加工工程に送られる。例えば炊飯の場合には、洗浄および浸漬工程を行った後、米にCO2溶解水を加水して炊きあげるのが好ましい。これは、従来の空気加圧溶解気泡水や酸素ガス加圧溶解気泡水に比べ、CO2溶解水は熱を加えると気泡の破壊力が強くなり、微動流により米を常に流動させるため、炊飯時間が短縮でき、ふっくらした御飯を炊くことができる。他の穀類や豆類の場合も、浸漬後、CO2溶解水にて加熱などの加工を行うと、米と同様に、おいしく加工(調理)することができる。
特に、穀類または豆類を二酸化炭素溶解水に所定時間浸漬した後、加熱処理などの加工(例えば炊飯)を行うようにすると、穀類または豆類をおいしく加工することができる。
【0019】
本発明における穀類および豆類は特に限定されるものではなく、例えば穀類としては米、小麦、大麦、ライ麦、燕麦、もろこし、きび、あわ、そばなどが、豆類としては大豆、小豆、おたふくまめ、いんげんまめ、そらまめ、えんどう、ささげ、緑豆、落花生などがそれぞれ挙げられる。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明にかかる穀類および豆類の洗浄方法および洗浄浸漬方法および加工方法の一実施形態として、米の洗米および炊飯方法を例に挙げて、以下図1に従って説明する。図1は本発明の一実施形態に係る洗米および浸漬方法を実施するための装置を示す模式図である。
【0021】
この装置は、図1に示すように、CO2溶解・加圧装置10と洗浄用の容器1とから構成されており、これらが図のような矢印で示される経路をたどる水路(管路)Tに配置されている。
【0022】
CO2溶解・加圧装置10には、シスターンタンク(補助タンク)11と、加圧ポンプ12と、圧力タンク13とが配設されている。また、圧力タンク13には、手動バルブ1v、加熱ヒーター15、下限接点減圧弁1kおよび電磁弁2vが、一端がCO2ガスボンベ14に接続された配管路p13に沿ってこの順に配設されて接続されている。
【0023】
手動バルブ1vを開くとCO2ガスボンベ14から供給された液化CO2が加熱ヒーター15hに送られて気化し、次いで下限接点付減圧弁1kで設定圧力まで減圧され、電磁弁2vを開くことにより圧力タンク13に供給される。供給されたCO2ガスは圧力タンク13内で加圧ポンプ12から供給された加圧水と混合溶解される。
【0024】
CO2溶解・加圧装置10内の圧力タンク13で生成されたCO2溶解加圧水は、水路Tを通って容器1に吐出される。CO2溶解加圧水が容器1に吐出する手前の水路Tには大気圧開放用の圧力調整弁3vが設けられている。
【0025】
容器1の下部領域には、図2に示すように、エアー吐出口2が8〜16ヶ所以上バランスよく設けられている。また、吐出口2には、図1に示すように、ブロワポンプ7から送られた圧縮空気を容器1内に噴射するための噴射孔2aが接続されている。また、容器1の外部にはブロワポンプ7とエアーヘッダー8hが設置されており、このブロワポンプ7とエアーヘッダー8hは中継パイプp7で接続されており、開閉弁8vを開閉することによって間欠的に圧縮空気を供給する。
【0026】
エアーヘッダー8hと吐出口2とは、噴射調整バルブ4vを設けた耐圧ホースp8で接続されている(図1では、噴射調整バルブ4v、耐圧ホースp8の図示を一部省略している)。エアーヘッダー8hから噴射された圧縮空気は、耐圧ホースp8の長さによって圧縮空気の噴射量が異なるため、噴射調整バルブ4vによって噴射量が調整され、圧縮空気をバランスよく容器1内に噴射して、容器1内の米Rを均一に撹拌させる。これにより、米粒同士の重なり合いがほぐされる。
【0027】
また、容器1側面の上限水位の位置には、洗浄工程で微細気泡に吸着されて浮上してきた研ぎ汁成分やその他の浮遊物を含む泡を水とともに排出するための排出口3が設けられており、その排出口3に排出パイプp3が接続されて分岐路を形成している。容器1内の水面が上限水位の位置にある場合には、水面に浮上した研ぎ汁成分等の泡は、排出口3から水とともに排出パイプp3を経て容器1外に排出される。排出パイプp3の下端にはフィルタ3fを備えた排水ピット3aが配設されている。また、排水ピット3a手前の排出パイプp3に三方弁19を設けて、容器1外に排出された泡を含む排水を別の排出パイプP3を通って回収タンク23に回収するようにしてもよい。
【0028】
容器1の底部付近およびCO2溶解・加圧装置10内のシスターンタンク11には、それぞれ給水パイプP1およびP2が接続されている。シスターンタンク11にはボールタップ16が設けられており、これによって一定量の水が貯蔵されている。
【0029】
さらに、容器1の下には計量ボックス5が設置されており、容器1内で洗浄と浸漬をおえた米Rは、吐出バルブ7vを開放することによって計量ボックス5に投入されるようになっている。
【0030】
排液の利用方法として、容器1内の廃液は排出口3から排水パイプp3を経て回収タンク23に送り込まれる。また、容器1内で洗浄と浸漬を終えた米Rは、吐出バルブ7vを開放することによって、水と米が同時に計量ボックス5に流れ込む。計量ボックス5は、周囲にパンチング穴のあいた円筒状であり、その下には排水を受けるための受け皿22があり、米を取り出すためのシャッター22sから構成されている。受け皿22上の排液を回収タンク23まで導くためのパイプP22があり、排液は排水パイプP22を経て回収タンク23に送り込まれる。このように、回収タンク23に送り込まれた排液はタンク中間部よりパイプP9を介してポンプ9で浸漬タンク1に送り込む。回収タンク23上部には、泡切りジョウゴ18が設置されており、パイプP21を経て、泡を含む上澄液を外部に排出する。また、下部には沈殿物が蓄積するため、沈殿物を抜くためにバルブ23vが設けられている。
【0031】
次に、この装置の操作手順と作用を説明する。まず、装置の稼動前にCO2溶解・加圧装置10内のシスターンタンク11から水路Tに給水して水路内を完全に水で満たし、同時に開閉バルブ5vを開放して容器1に接続された給水パイプP1からも給水を行って、容器1内の水位が設定水位に達するまで水を供給する。
【0032】
次に、米Rを設定数量浸漬タンクに投入後、CO2溶解・加圧装置10内の加圧ポンプ12を稼動させて、シスターンタンク11内の水を圧力タンク13に送り、圧力タンク13内でCO2ガスボンベ14から配管路p13を経て供給されたCO2ガスを強制的に溶解させる。
【0033】
圧力タンク13内でCO2ガスと水が混合溶解されたCO2溶解加圧水が、水路Tを経て容器1に入る際に、その圧力を圧力調整弁3vで調整して、すなわち大気開放して、大気圧下でCO2溶解加圧水を容器1内に吐出する。その状態で所定の時間、CO2溶解加圧水の供給を継続し、容器1内が均一にCO2溶解加圧水で満たされるようにする。この状態で、CO2溶解加圧水の供給は設定した洗浄時間の間連続して行う。
【0034】
このように洗浄の間、CO2溶解加圧水の供給は連続して行われる一方、容器1内のCO2溶解加圧水は排出口3から排出パイプp3を経て容器1外に連続的に排出されるため、容器1内にはCO2溶解加圧水の流れが生じる。このCO2溶解加圧水の流れが米Rに当たる衝撃によりCO2の微細気泡が大量に発生する。この微細気泡が米Rの表面に付着した研ぎ汁成分等を吸着して、泡の浮力と微細気泡が破壊されるときに発生する微動流により、それらを容器1の水面にまで浮上させる。これが、本実施形態における洗浄工程の形態である。本実施形態では、この洗浄・浸漬工程を60〜120分間行う。
容器1内でのCO2溶解加圧水の流れは、ゆるやかな流れであるのが好ましく、具体的には容器1の容量によって変わるが、110L/分以下、好ましくは20〜110L/分程度の流速で流れるのがよい。
【0035】
さらに、この洗浄工程中に、開閉弁8vを間欠的に開閉してエアーヘッダー8hに間欠的に圧縮空気を供給し、調整バルブ4vで供給量を調整しながら吐出口2から圧縮空気を間欠的に容器1内の米Rに噴射する。これは、上記したようにCO2溶解加圧水が米Rに当たったときに発生するのCO2の微細気泡によって米Rは洗浄されるが、それだけでは、米粒同士が重なり合ったところまで完全にCO2の微細気泡が入り込めないため、この圧縮空気の噴射によって米Rを撹拌して、米粒同士を完全に分離するためである。この吐出口2からの圧縮空気の噴射は、従来の洗米装置のように米粒を破砕するほどのものではなく米粒同士の分離を促進するだけの作用をなす。この実施形態では、前記した洗浄・浸漬工程の時間中にこの圧縮空気の噴射を約10〜20分おきに約30秒以内ずつ1〜5回行えばよい。また、この圧縮空気の噴射によって、米粒同士の分離が図られるだけでなく、CO2の微細気泡で分離されなかった米粒表面の研ぎ汁成分の分離も促進される。
【0036】
また、この洗浄工程中に水面に浮遊してきた研ぎ汁成分やその他の浮遊物の塊は、容器1の水面で皮膜を形成するが、それらは、米を洗浄した排水とともに排出口3から容器1外に排出される。
【0037】
容器1外に排出された研ぎ汁成分等の泡(浮遊物)の塊は、排出パイプp3を通って、その下端に設けられた排水ピット3aのフィルタ3fで濾し取られる。濾し取られた残滓の廃棄は人手で行っても良いし、図示はしないが、センサなどを設けておいて、フィルタ3f内の残滓が一定量になると、自動的に廃棄するような機構を設けてもよい。
【0038】
排液は、排水ピット3a手前の排出パイプp3に設けた三方弁19によって、排出パイプP3を通って回収タンク23に回収してもよい。また、浸漬完了時、米と一緒に吐出された水は一度受け皿4で受け排水パイプP4を通って回収タンク23に送り込まれる。このようにして、回収タンク23に送り込まれた排液は、相当に泡が発生するため、ノコギリ状のオーバーフロージョウゴ21で泡切り後、廃液パイプp21を通って上澄み液を排出する。回収タンク23内の排液は送りポンプ9によって送液パイプp9を通って強制的に容器1に送り込まれる。この方法を採ることによって、排液の再利用が図れると同時に環境汚染も防止でき、水使用量の削減も図れる。また、排液には米から分離した濃厚な栄養分が含まれているので、この栄養分の一部が米に付着して炊飯工程に送られることになるので、栄養価を高めるうえでも好ましいといえる。
【0039】
以上のような洗浄工程を終了した後、引き続き容器1にCO2溶解加圧水の供給を行いながら同一タンク内で所定時間の浸漬工程に入る。このように米Rの容器1内で浸漬を行うので、洗浄と浸漬を別々のタンク(容器)で行う装置の場合のように、米を工程の間に移行させる必要がないため破砕米の発生や流出米のロスがなくなり、作業工程の簡略化が図れ、装置全体の小型化にも寄与する。
【0040】
そして、この浸漬工程においても、ブロワポンプ7からエアーヘッダー8hに圧縮空気を供給し、調整バルブ4vで調整しながら吐出口2aから容器1内の米Rに間欠的に噴射する。本実施形態では、圧縮空気の噴射を10〜30秒ずつ3〜5回行った。従って、米粒同士の重なりが崩されて各米粒に均一に水が浸透するようになる。また、圧縮空気の噴射を30秒以上、回数は5回以上行うと、破砕米の発生率が高くなる。
【0041】
また、本実施形態では、浸漬工程中にも容器1内にCO2溶解加圧水の供給を行い、洗浄および浸漬工程を連続して行ったが、本発明はこれに限定されるものではなく、浸漬工程中はCO2溶解加圧水の供給を行わずに、洗浄工程と浸漬工程を分けて行ってもよい。
【0042】
以上のようにして、一連の洗浄および浸漬工程が終了すると、容器1の底面の吐出バルブ7vを開いて計量ボックス5内に米Rを投入して水切りと同時に計量を行った後、受け皿22下のシャッター22sを開いて米Rを釜6に投入して炊飯工程に入る。水切りされた水は、前記のように受け皿22から排水パイプP22を通って回収タンク23に送り込まれるか、または受け皿22から直接排水される。
【0043】
炊飯工程では、洗米・浸漬工程で使用したのと同じCO2溶解加圧水を加水するのが好ましい。CO2溶解水は一般に使用される水より体積が大きく比重が軽いため多く加水でき、また米粒内は気泡を含んだCO2溶解水が浸透するため、炊飯時の釜内での対流も一般の水に比べて激しく、対流して気化するので蒸し時間を多く取れ、そのため炊き増えはもちろん均一にふっくらした御飯が提供できる。
【0044】
次に、本発明の他の実施形態にかかる洗米方法および炊飯方法を図3に従って説明する。図3は本発明の他の実施形態に係る循環式の洗米および浸漬方法を実施するための装置を示す模式図である。なお、図1および図2に示した構成部材と同じ構成部材については、同一符号を付して説明を省略する。
【0045】
この装置は、図3に示すように、CO2溶解・加圧装置10と容器1とを有し、これらが図のような矢印で示される経路をたどる循環水路(管路)Sに配置されている。CO2溶解・加圧装置10内の圧力タンク13および加圧ポンプ12は循環水路Sによって接続されている。
【0046】
CO2溶解・加圧装置10内の圧力タンク13で生成されたCO2溶解加圧水は、循環水路Sを通って容器1に吐出される。CO2溶解加圧水が容器1に吐出する手前の循環水路Sには大気圧開放用の圧力調整弁3vが配設されている。
【0047】
容器1は、その上限水位付近に吸水口8が設置されており、容器1内で米Rを洗浄したCO2ガス溶解水は、この吸水口8から吸い上げられて循環水路Sに戻り、CO2溶解・加圧装置10内の加圧ポンプ12に送られる。また、この吸水口8は、研ぎ汁成分等の塊が入らないようにフィルター方式になっており、上限水位よりも下方に配置される。加圧ポンプ12に送られた循環水は再び加圧されて循環水路S内を循環する。
【0048】
また、容器1には、研ぎ汁成分等の塊や泡の排出をよりスムーズに行うため、容器1の側面の、その上限水位の高さで排出口3に対向する位置に水の噴射ノズル4(押圧手段)が設けられており、その噴射ノズル4から水を噴射して研ぎ汁成分などの泡(または塊)を強制的に排出口3に追いやっている。なお、押圧手段として、水の噴射ノズルに代えてエアーの噴射ノズルを設けてもよい。
【0049】
また、容器1の底部付近および循環水路Sには、それぞれ水の補給を行うための給水パイプP1、P2が接続されている。前記噴射ノズル4からの水の噴射に代えて、またはこの噴射と共に、容器1の底部に接続されたパイプP1から容器1内に加水して水位を高め、表面の泡(または塊)を排出口3に追いやるようにしてよい。容器1の底部へのパイプP1からの加水は間欠的であればよい。
【0050】
次に、この装置の操作手順と作用を説明する。まず、給水パイプP1、P2にて、容器1内の水位が吸水口8より上部に達するまで水で満たす。容器1内への給水は、開閉バルブ5vを開放して容器1に接続された給水パイプP1から行う。
【0051】
次に、CO2溶解・加圧装置10内の加圧ポンプ12を稼動させて循環水路S内の水を矢印の向きに循環させる。加圧ポンプ12を出た水は、圧力タンク13に入り、CO2ガスと強制的に混合されてCO2溶解加圧水となる。
【0052】
CO2溶解加圧水が、循環水路Sを経て容器1に入る際に、その圧力を圧力調整弁3vで調整して、すなわち大気開放して、大気圧下でCO2溶解加圧水を容器1内に吐出する。その状態で所定の時間、CO2溶解加圧水を循環させて、容器1内が均一にCO2溶解加圧水で満たされるようにする。この状態で、容器1内に米Rを投入した段階で、容器1内のCO2溶解加圧水をゆるやかに循環させる連続運転を行う。これにより、CO2溶解加圧水が米Rに当たったときの衝撃でCO2の微細気泡が発生し、米Rの洗浄が行われる。循環はゆるやかに行うのがよく、具体的には容器1の容量により変化するが、110L/分以下、好ましくは20〜110L/分程度であればよい。
【0053】
洗浄工程中に水面に浮遊してきた研ぎ汁成分やその他の浮遊物の塊や泡は、循環流の流れによって排出口3から自然に排出パイプp3に流れてタンク1外に排出されるが、本実施形態では、その排出をスムーズに行うため、開閉バルブ9vを開放して排出口3の対向位置に設けられた噴射ノズル4から水を噴射し、研ぎ汁成分の塊や泡を強制的に排出口3の方に追いやるか、容器1の底部へパイプP1から間欠的に加水を行っている。
【0054】
また、容器1内の水を洗浄水として再利用するための方法として、廃液を排出口3から三方弁19および排出パイプP3を通って回収タンク23に回収する。また、浸漬完了時、米と一緒に吐出された水を一度受け皿22で受け、排水パイプP22を通って回収タンク23に送り込まれる。このようにして回収タンク23に送り込まれた排液は、相当泡が発生するため、ノコギリ状のオーバーフロージョウゴ21を通って、泡切り後排水する。回収タンク23内の排液は、送りポンプ9によってパイプP9を通って容器1に送り込まれる。この方法を取ることによって、排液の再利用が図れると同時に環境にやさしく、また水使用量の削減も図れる。
【0055】
容器1内の米Rを洗浄したCO2溶解水は、吸水口8から吸い上げられて循環水路Sに戻り、CO2溶解・加圧装置10内の加圧ポンプ12に送られる。
【0056】
以上のような洗浄工程を終了した後、引き続き循環水路S内の循環を行いながら同一タンク内で設定時間(10分ないし40分)の浸漬工程に入る。このように、本実施形態では、米を洗浄したCO2溶解水を循環させて再利用し、かつ米Rの容器1内で浸漬を行うため、水の消費量を抑えることができるとともに、破砕米および流出米のロスがなくなり、作業工程の簡略化が図れ、装置全体の小型化にも寄与する。
【0057】
そして、この浸漬工程においても、ブロワポンプ7からエアーヘッダー8hに圧縮空気を供給し、調整バルブ4vで調整しながら吐出口2aから容器1内の米Rに間欠的に噴射する。本実施形態では、圧縮空気の噴射を10〜30秒ずつ3〜5回行う。これによって米粒同士の重なりが崩されて各米粒に均一に水が浸透するようになる。また、圧縮空気の噴射を30秒以上、回数は5回以上行うと破砕米の発生率が高くなるおそれがある。
【0058】
なお、洗浄・浸漬工程では、洗浄工程中に研ぎ汁成分の塊を容器1外に排出する際に、同時に排出された水を補給するため、開閉バルブ6vを開放して給水パイプP2から循環水路S内に水を補給する。
【0059】
また、本実施形態では、浸漬工程中にも循環水路S内の循環を行い、洗浄および浸漬工程を連続して行ったが、本発明はこれに限定されるものではなく、浸漬工程中はCO2溶解加圧水の循環を止めておいてもよい。
【0060】
以上のようにして、一連の洗米および浸漬工程が終了すると、容器1の底面の吐出バルブ7vを開いて計量ボックス5内に米Rを投入し、水切りと同時に計量を行った後、米Rは受け皿22下のシャッター22sを開いて釜6に投入されて炊飯工程に入る。水切りされた水は、受け皿22から排水パイプP22を通って回収タンク23に送り込まれるか、または受け皿22から直接排水される。
【0061】
なお、本発明におけるCO2溶解加圧装置は、加圧タンク内でCO2ガスと水を溶解させ、浸漬タンク手前で圧力調整弁により圧力調整をして大気開放して大気圧下でCO2溶解加圧水を浸漬タンク内に吐出するが、他の方法として圧力調整弁をなくして浸漬タンク内に分散管を設けて吐出する方法とか浸漬タンク内での吐出部分でのノズル方式もあり、溶解方法も加圧タンクを使用しないでのエゼクター式・ゼット式・バブルジェネレータ式等が考えられる。また、その他のCO2溶解方法として、自給式ポンプ手前吸込側からエアーを取り入れ、加圧タンクにCO2ガスを入れ、タンク内で混合溶解させる方法とか、浸漬タンク内でエアーとCO2ガスとを混合溶解させる方法もある。
【0062】
また、図1〜図3に示すような複数の吐出口2を設けた流体噴出手段に代えて、図4に示すような噴射パイプ24を容器1の底部付近に設置してもよい。この噴射パイプ24は長手筒状の閉パイプが略十字状に組まれたものであって、各パイプの表面には圧縮空気などの流体を噴出させるための噴射孔24aが設けられており、ポンプ7から噴射パイプ24内に間欠的または連続的に流体を供給する。
さらに上記実施形態では洗米方法および炊飯方法について説明したが、他の穀類や豆類の洗浄、浸漬および加工にも同様にして適用可能である。
【0063】
【発明の効果】
本発明によれば、水に対する溶解度が高いCO2ガスを用いて、容器内にCO2溶解水を吐出させて、CO2の微細気泡により穀類や豆類を洗浄するので、研ぎ汁成分等の吸着作用が増大し、さらにCO2の特性である脂質やタンパク質に対する高い溶解・吸着作用により脂質やタンパク質等の汚れ成分を簡単に効率よく分離除去でき、高い洗浄効果を有する。しかも、CO2は静菌作用を有するので、洗浄・浸漬工程でのカビや細菌の増殖に起因する臭み成分の発生を抑制できる。また洗浄から次工程への穀類や豆類の移動がないので穀類や豆類の破砕が少なくなり、米の場合には炊飯後の糊化現象も抑えられ、香りの良い美味しい米を炊くことができる。
また、洗浄効率がよいので、容器に投入する穀類や豆類の量も、空気溶解加圧水や酸素溶解加圧水に比べ倍以上の投入が可能になり、そのため作業時間の短縮が図れると同時に、水の消費量を削減することができるため経済的であり、かつ排水量を削減できるため河川の汚濁防止にも役立つ。
【0064】
洗浄および浸漬工程中に洗浄タンク内の米に流体を噴射させて穀類や豆類を攪拌させることにより、粒同士の重なりが崩され、洗浄時には汚れ成分等の分離除去が促進され、浸漬工程では穀類や豆類の各粒が水と接する面積が増して水が均一に浸透して穀類や豆類の膨張を促進し、一層美味しく加工することができる。また、洗浄タンクと浸漬タンクを兼用すると、装置全体の小型化および作業時間の短縮が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態かかる洗米方法を実施するための装置の模式図である。
【図2】洗浄タンクの下部領域を示す部分拡大図である。
【図3】本発明の他の実施形態かかる循環式の洗米方法を実施するための装置の模式図である。
【図4】本発明で使用する噴射パイプを示す斜視図である。
【符号の説明】
1 洗浄タンク(容器)
8h エアーヘッダー
10 CO2溶解・加圧装置
12 加圧ポンプ
13 圧力タンク
S 循環水路
R 米
【発明の属する技術分野】
本発明は、穀類および豆類の洗浄方法、洗浄浸漬方法および加工方法に関し、特にコンビニ・量販店等のベンダー工場、冷凍米飯・無菌パック各加工場等、大型炊飯加工工場、惣菜工場、豆腐工場などで、洗米や炊飯といった米などの穀類または豆類に適用するのに好適な洗浄方法、洗浄浸漬方法および加工方法に関する。
【従来の技術】
【0002】
従来の洗米方法では、一般に水流でする方法が採用されており、洗米後、ポンプと水を用いて浸漬槽に米を送り、浸漬槽で浸漬して計量切出装置により所定量を炊飯釜に投入している。しかし、この方法では、洗米槽から浸漬槽に移動する際にポンプ等の動力によって破砕米が多量に発生するという問題があり、炊飯後の食味の低下を招いていた。
【0003】
上記のような問題を解決するものとして、米の表面に付着した汚れや糠・澱粉等の付着物(以下、研ぎ汁成分という)を微細気泡の気泡界面に吸着させて分離除去することが提案されている。すなわち、下記特許文献1には、容器内に米を入れ、その容器の底部から容器内に空気溶解水を吐水させ、微細気泡を発生させながら米を洗浄する洗米方法が開示されている。また、特許文献2には、高濃度酸素気泡を含有する高濃度酸素気泡水により米を洗浄する洗米方法が開示されている。
【特許文献1】
特許第3081830号公報
【特許文献2】
特開2001‐259440号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
微細気泡を利用したこれらの洗米方法によれば、米の表面に付着した研ぎ汁成分が微細気泡に吸着されて浮上するため、研ぎ汁成分を容易に分離除去することができ、従来の水流による洗米方法に比べて破砕米ロスを削減することができる。しかしながら、このような手法によってもなお、米の表面に付着した研ぎ汁成分を除去するには不十分である。また、環境面から排水量を減らすために、少量の水で効率的に米を洗浄できる洗米方法が求められている。同様の問題は、米以外の他の穀類や豆類にも存在し、簡単で効率のよい穀類や豆類の洗浄方法が求められている。
【0005】
従って、本発明の主たる目的は、簡単に効率よく洗浄できる穀類および豆類の洗浄方法、これを用いた洗浄浸漬方法を提供することである。
本発明の他の目的は、洗浄水の使用量を削減することができる穀類や豆類の洗浄方法、これを用いた洗浄浸漬方法を提供することである。
本発明のさらに他の目的は、穀類や豆類を簡単に効率よく加工するのに適した穀類および豆類の加工方法を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、二酸化炭素(以下、CO2という)の微細気泡で米を洗浄すると、研ぎ汁成分の分離除去効果が従来の酸素や空気の微細気泡による洗米方法に比べてより一層向上し、これにより美味しい米を炊くことができ、しかも米以外の他の穀類や豆類であっても同様に高い洗浄効果が得られるという新たな事実を見出し、本発明を完成するに至った。CO2の微細気泡が上記効果を有する理由は以下のように推測される。
【0007】
(1)CO2ガスは、酸素や空気に比べて水に溶解しやすく、例えば0℃の水100mlに対して酸素ガスが約4.9ml(4.9%)溶解するのに対して、CO2ガスは171.3ml(171.3%)も溶解する。従って、加圧する圧力も空気や酸素に比べて半分以下の圧力で水に溶解させることが出来る。また、空気や酸素の溶解水は殆どが水との混合であるため、大気開放すると直ちに空気や酸素の気泡が発生して白濁化するのに対して、CO2溶解水は水温によって異なるがほぼ100%に近い溶解率であるため大気開放しても殆ど気泡が発生せず白濁化しない。しかし、CO2溶解水は、米に当たったときの衝撃などによって微細気泡が発生し米に付着する。このとき発生する微細気泡の大きさは、付着する固体の大きさによって決定されるため、米粒のような細粒を洗浄する場合にはより微細な気泡が米の表面に均一に付着して効率よく速やかに研ぎ汁成分を分離除去できるようになり、洗浄効果が向上する。これに対して、空気や酸素の溶解水を大気開放したときの微細気泡は一定の大きさであるため、小さな米粒の表面に均一に付着させることができない。
【0008】
このように、CO2ガスを使用すると、気泡界面が空気や酸素に比べて格段に大きくなり、また、空気や酸素の微細気泡に比べ、気泡が破裂する際の衝撃波の力も極端に強い。これにより、高周波洗浄に似た微動流が発生し、洗浄効果をより一層向上させることができる。
【0009】
(2)CO2ガスは、一般に脂質への溶解作用、タンパク質や澱粉への吸着作用を有する。一方、研ぎ汁成分はタンパク質、澱粉や脂質等からなるため、CO2ガスの微細気泡は研ぎ汁成分を米から速やかに分離除去することができる。
【0010】
(3)CO2ガスは静菌作用を有しており、細菌(好気性菌等)やカビの増殖を抑制する効果がある。これにより、洗米、浸漬の過程での細菌やカビの増殖に起因する臭み成分の発生を防止することができると同時に、炊飯後に釜やコンベア等に付着した糊化物に細菌やカビが増殖するのを抑えることができる。このため、香りのよい美味しい米を炊くことができる。
【0011】
すなわち、本発明にかかる穀類および豆類の洗浄方法は、米などの穀類または豆類を入れた容器内に、CO2ガスを水に溶解させたCO2溶解水を吐出させて、CO2の微細気泡により穀類または豆類を洗浄することを特徴とする。
【0012】
また、本発明の洗浄方法では、穀類または豆類を入れた容器内に、CO2ガスを水に溶解させたCO2溶解水を吐出させて、CO2の微細気泡により穀類または豆類を洗浄すると共に、前記洗浄容器内の水をCO2溶解装置に送り、CO2溶解水として洗浄容器内に循環させるのが好ましい。このように、穀類または豆類を洗浄した水を循環させて再利用することにより、水の使用量が削減され、経済的であるとともに、排水量を低減することができる。
【0013】
この循環方式の場合には、前記容器に設定された上限水位の位置に分岐路を設けて、穀類または豆類の洗浄時に表面に浮上してきた泡を、容器内に水を間欠的または連続的に加水することで、水とともに前記容器外に導くようにすると、容器内の水を清潔に保つことができる。なお、CO2溶解水はCO2溶解・加圧水であるのがよい。
【0014】
本発明において容器内でCO2の微細気泡を発生させる方法は特に限定されないが、例えばCO2溶解水を容器内でゆるやかに流れさせて、このCO2溶解水が容器内の前記穀類または豆類に当たる衝撃によりCO2の微細気泡を発生させることができる。
また、穀類または豆類の粒同士が重なり合ったところでもCO2の微細気泡が発生して均一に洗浄できるように、前記容器内に間欠的に流体(エアー等の気体、水等の液体)を数十秒間噴出させて穀類または豆類を撹拌するのが好ましい。
【0015】
本発明にかかる穀類および豆類の洗浄浸漬方法は、穀類または豆類を入れた容器内に、CO2ガスを水に溶解させたCO2溶解水を吐出させて、CO2の微細気泡により穀類または豆類を洗浄した後、洗浄した穀類または豆類を前記CO2溶解水に所定時間浸漬することを特徴とする。これにより、洗浄において、CO2の微細気泡により研ぎ汁成分などの汚れ成分を分離除去すると共に、浸漬時には水に溶解したCO2による静菌作用が働くため、細菌やカビの増殖を抑制することができる。すなわち、穀類および豆類に芽胞が発芽して生菌化するのをCO2溶解水で抑制することができる。さらに、穀類や豆類をCO2溶解水に浸漬すると、水に浸漬する場合よりも穀類や豆類の膨潤率が高くなる。なお、洗浄浸漬時のCO2発生方法としては、前記した洗浄方法と同様に、例えばCO2溶解水を容器内でゆるやかに流れさせて、このCO2溶解水が容器内の前記穀類または豆類に当たる衝撃によりCO2の微細気泡をさせる方法を採用することができる。
浸漬は、洗浄を行った後、そのまま同一容器内で行ってもよく、あるいは他の容器に洗浄した穀類または豆類を移して行ってもよい。
【0016】
ここで、穀類または豆類の洗浄中に前記容器外に導かれた水および/または浸漬後に穀類または豆類と共に排出された水は回収タンクに送り、この回収タンク内の水を前記容器に供給するのが好ましく、これにより水の使用量を削減することができる。このとき、前記タンクに上澄液排出用のノコギリ状泡切りジョウゴと、沈殿物排出用の弁を設けて、泡を含む上澄液および沈殿物を排出するのが好ましい。
【0017】
また、前記と同様に、洗浄および浸漬工程中に容器内に間欠的に流体を噴出させて穀類または豆類を撹拌するのが好ましい。これにより洗浄工程中に穀類または豆類の粒同士が重なり合ったところでもCO2の微細気泡が発生し洗浄することができ、浸漬工程においても、穀類または豆類に効率よく水を浸透させることができる。流体の噴出は、1回あたり数十秒間でよく、これを設定時間内(すなわち1回の洗浄および浸漬時間のそれぞれ)に数回程度行えばよい。
【0018】
このようにして洗浄および浸漬を終えた穀類または豆類は、ついで加熱処理などの加工工程に送られる。例えば炊飯の場合には、洗浄および浸漬工程を行った後、米にCO2溶解水を加水して炊きあげるのが好ましい。これは、従来の空気加圧溶解気泡水や酸素ガス加圧溶解気泡水に比べ、CO2溶解水は熱を加えると気泡の破壊力が強くなり、微動流により米を常に流動させるため、炊飯時間が短縮でき、ふっくらした御飯を炊くことができる。他の穀類や豆類の場合も、浸漬後、CO2溶解水にて加熱などの加工を行うと、米と同様に、おいしく加工(調理)することができる。
特に、穀類または豆類を二酸化炭素溶解水に所定時間浸漬した後、加熱処理などの加工(例えば炊飯)を行うようにすると、穀類または豆類をおいしく加工することができる。
【0019】
本発明における穀類および豆類は特に限定されるものではなく、例えば穀類としては米、小麦、大麦、ライ麦、燕麦、もろこし、きび、あわ、そばなどが、豆類としては大豆、小豆、おたふくまめ、いんげんまめ、そらまめ、えんどう、ささげ、緑豆、落花生などがそれぞれ挙げられる。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明にかかる穀類および豆類の洗浄方法および洗浄浸漬方法および加工方法の一実施形態として、米の洗米および炊飯方法を例に挙げて、以下図1に従って説明する。図1は本発明の一実施形態に係る洗米および浸漬方法を実施するための装置を示す模式図である。
【0021】
この装置は、図1に示すように、CO2溶解・加圧装置10と洗浄用の容器1とから構成されており、これらが図のような矢印で示される経路をたどる水路(管路)Tに配置されている。
【0022】
CO2溶解・加圧装置10には、シスターンタンク(補助タンク)11と、加圧ポンプ12と、圧力タンク13とが配設されている。また、圧力タンク13には、手動バルブ1v、加熱ヒーター15、下限接点減圧弁1kおよび電磁弁2vが、一端がCO2ガスボンベ14に接続された配管路p13に沿ってこの順に配設されて接続されている。
【0023】
手動バルブ1vを開くとCO2ガスボンベ14から供給された液化CO2が加熱ヒーター15hに送られて気化し、次いで下限接点付減圧弁1kで設定圧力まで減圧され、電磁弁2vを開くことにより圧力タンク13に供給される。供給されたCO2ガスは圧力タンク13内で加圧ポンプ12から供給された加圧水と混合溶解される。
【0024】
CO2溶解・加圧装置10内の圧力タンク13で生成されたCO2溶解加圧水は、水路Tを通って容器1に吐出される。CO2溶解加圧水が容器1に吐出する手前の水路Tには大気圧開放用の圧力調整弁3vが設けられている。
【0025】
容器1の下部領域には、図2に示すように、エアー吐出口2が8〜16ヶ所以上バランスよく設けられている。また、吐出口2には、図1に示すように、ブロワポンプ7から送られた圧縮空気を容器1内に噴射するための噴射孔2aが接続されている。また、容器1の外部にはブロワポンプ7とエアーヘッダー8hが設置されており、このブロワポンプ7とエアーヘッダー8hは中継パイプp7で接続されており、開閉弁8vを開閉することによって間欠的に圧縮空気を供給する。
【0026】
エアーヘッダー8hと吐出口2とは、噴射調整バルブ4vを設けた耐圧ホースp8で接続されている(図1では、噴射調整バルブ4v、耐圧ホースp8の図示を一部省略している)。エアーヘッダー8hから噴射された圧縮空気は、耐圧ホースp8の長さによって圧縮空気の噴射量が異なるため、噴射調整バルブ4vによって噴射量が調整され、圧縮空気をバランスよく容器1内に噴射して、容器1内の米Rを均一に撹拌させる。これにより、米粒同士の重なり合いがほぐされる。
【0027】
また、容器1側面の上限水位の位置には、洗浄工程で微細気泡に吸着されて浮上してきた研ぎ汁成分やその他の浮遊物を含む泡を水とともに排出するための排出口3が設けられており、その排出口3に排出パイプp3が接続されて分岐路を形成している。容器1内の水面が上限水位の位置にある場合には、水面に浮上した研ぎ汁成分等の泡は、排出口3から水とともに排出パイプp3を経て容器1外に排出される。排出パイプp3の下端にはフィルタ3fを備えた排水ピット3aが配設されている。また、排水ピット3a手前の排出パイプp3に三方弁19を設けて、容器1外に排出された泡を含む排水を別の排出パイプP3を通って回収タンク23に回収するようにしてもよい。
【0028】
容器1の底部付近およびCO2溶解・加圧装置10内のシスターンタンク11には、それぞれ給水パイプP1およびP2が接続されている。シスターンタンク11にはボールタップ16が設けられており、これによって一定量の水が貯蔵されている。
【0029】
さらに、容器1の下には計量ボックス5が設置されており、容器1内で洗浄と浸漬をおえた米Rは、吐出バルブ7vを開放することによって計量ボックス5に投入されるようになっている。
【0030】
排液の利用方法として、容器1内の廃液は排出口3から排水パイプp3を経て回収タンク23に送り込まれる。また、容器1内で洗浄と浸漬を終えた米Rは、吐出バルブ7vを開放することによって、水と米が同時に計量ボックス5に流れ込む。計量ボックス5は、周囲にパンチング穴のあいた円筒状であり、その下には排水を受けるための受け皿22があり、米を取り出すためのシャッター22sから構成されている。受け皿22上の排液を回収タンク23まで導くためのパイプP22があり、排液は排水パイプP22を経て回収タンク23に送り込まれる。このように、回収タンク23に送り込まれた排液はタンク中間部よりパイプP9を介してポンプ9で浸漬タンク1に送り込む。回収タンク23上部には、泡切りジョウゴ18が設置されており、パイプP21を経て、泡を含む上澄液を外部に排出する。また、下部には沈殿物が蓄積するため、沈殿物を抜くためにバルブ23vが設けられている。
【0031】
次に、この装置の操作手順と作用を説明する。まず、装置の稼動前にCO2溶解・加圧装置10内のシスターンタンク11から水路Tに給水して水路内を完全に水で満たし、同時に開閉バルブ5vを開放して容器1に接続された給水パイプP1からも給水を行って、容器1内の水位が設定水位に達するまで水を供給する。
【0032】
次に、米Rを設定数量浸漬タンクに投入後、CO2溶解・加圧装置10内の加圧ポンプ12を稼動させて、シスターンタンク11内の水を圧力タンク13に送り、圧力タンク13内でCO2ガスボンベ14から配管路p13を経て供給されたCO2ガスを強制的に溶解させる。
【0033】
圧力タンク13内でCO2ガスと水が混合溶解されたCO2溶解加圧水が、水路Tを経て容器1に入る際に、その圧力を圧力調整弁3vで調整して、すなわち大気開放して、大気圧下でCO2溶解加圧水を容器1内に吐出する。その状態で所定の時間、CO2溶解加圧水の供給を継続し、容器1内が均一にCO2溶解加圧水で満たされるようにする。この状態で、CO2溶解加圧水の供給は設定した洗浄時間の間連続して行う。
【0034】
このように洗浄の間、CO2溶解加圧水の供給は連続して行われる一方、容器1内のCO2溶解加圧水は排出口3から排出パイプp3を経て容器1外に連続的に排出されるため、容器1内にはCO2溶解加圧水の流れが生じる。このCO2溶解加圧水の流れが米Rに当たる衝撃によりCO2の微細気泡が大量に発生する。この微細気泡が米Rの表面に付着した研ぎ汁成分等を吸着して、泡の浮力と微細気泡が破壊されるときに発生する微動流により、それらを容器1の水面にまで浮上させる。これが、本実施形態における洗浄工程の形態である。本実施形態では、この洗浄・浸漬工程を60〜120分間行う。
容器1内でのCO2溶解加圧水の流れは、ゆるやかな流れであるのが好ましく、具体的には容器1の容量によって変わるが、110L/分以下、好ましくは20〜110L/分程度の流速で流れるのがよい。
【0035】
さらに、この洗浄工程中に、開閉弁8vを間欠的に開閉してエアーヘッダー8hに間欠的に圧縮空気を供給し、調整バルブ4vで供給量を調整しながら吐出口2から圧縮空気を間欠的に容器1内の米Rに噴射する。これは、上記したようにCO2溶解加圧水が米Rに当たったときに発生するのCO2の微細気泡によって米Rは洗浄されるが、それだけでは、米粒同士が重なり合ったところまで完全にCO2の微細気泡が入り込めないため、この圧縮空気の噴射によって米Rを撹拌して、米粒同士を完全に分離するためである。この吐出口2からの圧縮空気の噴射は、従来の洗米装置のように米粒を破砕するほどのものではなく米粒同士の分離を促進するだけの作用をなす。この実施形態では、前記した洗浄・浸漬工程の時間中にこの圧縮空気の噴射を約10〜20分おきに約30秒以内ずつ1〜5回行えばよい。また、この圧縮空気の噴射によって、米粒同士の分離が図られるだけでなく、CO2の微細気泡で分離されなかった米粒表面の研ぎ汁成分の分離も促進される。
【0036】
また、この洗浄工程中に水面に浮遊してきた研ぎ汁成分やその他の浮遊物の塊は、容器1の水面で皮膜を形成するが、それらは、米を洗浄した排水とともに排出口3から容器1外に排出される。
【0037】
容器1外に排出された研ぎ汁成分等の泡(浮遊物)の塊は、排出パイプp3を通って、その下端に設けられた排水ピット3aのフィルタ3fで濾し取られる。濾し取られた残滓の廃棄は人手で行っても良いし、図示はしないが、センサなどを設けておいて、フィルタ3f内の残滓が一定量になると、自動的に廃棄するような機構を設けてもよい。
【0038】
排液は、排水ピット3a手前の排出パイプp3に設けた三方弁19によって、排出パイプP3を通って回収タンク23に回収してもよい。また、浸漬完了時、米と一緒に吐出された水は一度受け皿4で受け排水パイプP4を通って回収タンク23に送り込まれる。このようにして、回収タンク23に送り込まれた排液は、相当に泡が発生するため、ノコギリ状のオーバーフロージョウゴ21で泡切り後、廃液パイプp21を通って上澄み液を排出する。回収タンク23内の排液は送りポンプ9によって送液パイプp9を通って強制的に容器1に送り込まれる。この方法を採ることによって、排液の再利用が図れると同時に環境汚染も防止でき、水使用量の削減も図れる。また、排液には米から分離した濃厚な栄養分が含まれているので、この栄養分の一部が米に付着して炊飯工程に送られることになるので、栄養価を高めるうえでも好ましいといえる。
【0039】
以上のような洗浄工程を終了した後、引き続き容器1にCO2溶解加圧水の供給を行いながら同一タンク内で所定時間の浸漬工程に入る。このように米Rの容器1内で浸漬を行うので、洗浄と浸漬を別々のタンク(容器)で行う装置の場合のように、米を工程の間に移行させる必要がないため破砕米の発生や流出米のロスがなくなり、作業工程の簡略化が図れ、装置全体の小型化にも寄与する。
【0040】
そして、この浸漬工程においても、ブロワポンプ7からエアーヘッダー8hに圧縮空気を供給し、調整バルブ4vで調整しながら吐出口2aから容器1内の米Rに間欠的に噴射する。本実施形態では、圧縮空気の噴射を10〜30秒ずつ3〜5回行った。従って、米粒同士の重なりが崩されて各米粒に均一に水が浸透するようになる。また、圧縮空気の噴射を30秒以上、回数は5回以上行うと、破砕米の発生率が高くなる。
【0041】
また、本実施形態では、浸漬工程中にも容器1内にCO2溶解加圧水の供給を行い、洗浄および浸漬工程を連続して行ったが、本発明はこれに限定されるものではなく、浸漬工程中はCO2溶解加圧水の供給を行わずに、洗浄工程と浸漬工程を分けて行ってもよい。
【0042】
以上のようにして、一連の洗浄および浸漬工程が終了すると、容器1の底面の吐出バルブ7vを開いて計量ボックス5内に米Rを投入して水切りと同時に計量を行った後、受け皿22下のシャッター22sを開いて米Rを釜6に投入して炊飯工程に入る。水切りされた水は、前記のように受け皿22から排水パイプP22を通って回収タンク23に送り込まれるか、または受け皿22から直接排水される。
【0043】
炊飯工程では、洗米・浸漬工程で使用したのと同じCO2溶解加圧水を加水するのが好ましい。CO2溶解水は一般に使用される水より体積が大きく比重が軽いため多く加水でき、また米粒内は気泡を含んだCO2溶解水が浸透するため、炊飯時の釜内での対流も一般の水に比べて激しく、対流して気化するので蒸し時間を多く取れ、そのため炊き増えはもちろん均一にふっくらした御飯が提供できる。
【0044】
次に、本発明の他の実施形態にかかる洗米方法および炊飯方法を図3に従って説明する。図3は本発明の他の実施形態に係る循環式の洗米および浸漬方法を実施するための装置を示す模式図である。なお、図1および図2に示した構成部材と同じ構成部材については、同一符号を付して説明を省略する。
【0045】
この装置は、図3に示すように、CO2溶解・加圧装置10と容器1とを有し、これらが図のような矢印で示される経路をたどる循環水路(管路)Sに配置されている。CO2溶解・加圧装置10内の圧力タンク13および加圧ポンプ12は循環水路Sによって接続されている。
【0046】
CO2溶解・加圧装置10内の圧力タンク13で生成されたCO2溶解加圧水は、循環水路Sを通って容器1に吐出される。CO2溶解加圧水が容器1に吐出する手前の循環水路Sには大気圧開放用の圧力調整弁3vが配設されている。
【0047】
容器1は、その上限水位付近に吸水口8が設置されており、容器1内で米Rを洗浄したCO2ガス溶解水は、この吸水口8から吸い上げられて循環水路Sに戻り、CO2溶解・加圧装置10内の加圧ポンプ12に送られる。また、この吸水口8は、研ぎ汁成分等の塊が入らないようにフィルター方式になっており、上限水位よりも下方に配置される。加圧ポンプ12に送られた循環水は再び加圧されて循環水路S内を循環する。
【0048】
また、容器1には、研ぎ汁成分等の塊や泡の排出をよりスムーズに行うため、容器1の側面の、その上限水位の高さで排出口3に対向する位置に水の噴射ノズル4(押圧手段)が設けられており、その噴射ノズル4から水を噴射して研ぎ汁成分などの泡(または塊)を強制的に排出口3に追いやっている。なお、押圧手段として、水の噴射ノズルに代えてエアーの噴射ノズルを設けてもよい。
【0049】
また、容器1の底部付近および循環水路Sには、それぞれ水の補給を行うための給水パイプP1、P2が接続されている。前記噴射ノズル4からの水の噴射に代えて、またはこの噴射と共に、容器1の底部に接続されたパイプP1から容器1内に加水して水位を高め、表面の泡(または塊)を排出口3に追いやるようにしてよい。容器1の底部へのパイプP1からの加水は間欠的であればよい。
【0050】
次に、この装置の操作手順と作用を説明する。まず、給水パイプP1、P2にて、容器1内の水位が吸水口8より上部に達するまで水で満たす。容器1内への給水は、開閉バルブ5vを開放して容器1に接続された給水パイプP1から行う。
【0051】
次に、CO2溶解・加圧装置10内の加圧ポンプ12を稼動させて循環水路S内の水を矢印の向きに循環させる。加圧ポンプ12を出た水は、圧力タンク13に入り、CO2ガスと強制的に混合されてCO2溶解加圧水となる。
【0052】
CO2溶解加圧水が、循環水路Sを経て容器1に入る際に、その圧力を圧力調整弁3vで調整して、すなわち大気開放して、大気圧下でCO2溶解加圧水を容器1内に吐出する。その状態で所定の時間、CO2溶解加圧水を循環させて、容器1内が均一にCO2溶解加圧水で満たされるようにする。この状態で、容器1内に米Rを投入した段階で、容器1内のCO2溶解加圧水をゆるやかに循環させる連続運転を行う。これにより、CO2溶解加圧水が米Rに当たったときの衝撃でCO2の微細気泡が発生し、米Rの洗浄が行われる。循環はゆるやかに行うのがよく、具体的には容器1の容量により変化するが、110L/分以下、好ましくは20〜110L/分程度であればよい。
【0053】
洗浄工程中に水面に浮遊してきた研ぎ汁成分やその他の浮遊物の塊や泡は、循環流の流れによって排出口3から自然に排出パイプp3に流れてタンク1外に排出されるが、本実施形態では、その排出をスムーズに行うため、開閉バルブ9vを開放して排出口3の対向位置に設けられた噴射ノズル4から水を噴射し、研ぎ汁成分の塊や泡を強制的に排出口3の方に追いやるか、容器1の底部へパイプP1から間欠的に加水を行っている。
【0054】
また、容器1内の水を洗浄水として再利用するための方法として、廃液を排出口3から三方弁19および排出パイプP3を通って回収タンク23に回収する。また、浸漬完了時、米と一緒に吐出された水を一度受け皿22で受け、排水パイプP22を通って回収タンク23に送り込まれる。このようにして回収タンク23に送り込まれた排液は、相当泡が発生するため、ノコギリ状のオーバーフロージョウゴ21を通って、泡切り後排水する。回収タンク23内の排液は、送りポンプ9によってパイプP9を通って容器1に送り込まれる。この方法を取ることによって、排液の再利用が図れると同時に環境にやさしく、また水使用量の削減も図れる。
【0055】
容器1内の米Rを洗浄したCO2溶解水は、吸水口8から吸い上げられて循環水路Sに戻り、CO2溶解・加圧装置10内の加圧ポンプ12に送られる。
【0056】
以上のような洗浄工程を終了した後、引き続き循環水路S内の循環を行いながら同一タンク内で設定時間(10分ないし40分)の浸漬工程に入る。このように、本実施形態では、米を洗浄したCO2溶解水を循環させて再利用し、かつ米Rの容器1内で浸漬を行うため、水の消費量を抑えることができるとともに、破砕米および流出米のロスがなくなり、作業工程の簡略化が図れ、装置全体の小型化にも寄与する。
【0057】
そして、この浸漬工程においても、ブロワポンプ7からエアーヘッダー8hに圧縮空気を供給し、調整バルブ4vで調整しながら吐出口2aから容器1内の米Rに間欠的に噴射する。本実施形態では、圧縮空気の噴射を10〜30秒ずつ3〜5回行う。これによって米粒同士の重なりが崩されて各米粒に均一に水が浸透するようになる。また、圧縮空気の噴射を30秒以上、回数は5回以上行うと破砕米の発生率が高くなるおそれがある。
【0058】
なお、洗浄・浸漬工程では、洗浄工程中に研ぎ汁成分の塊を容器1外に排出する際に、同時に排出された水を補給するため、開閉バルブ6vを開放して給水パイプP2から循環水路S内に水を補給する。
【0059】
また、本実施形態では、浸漬工程中にも循環水路S内の循環を行い、洗浄および浸漬工程を連続して行ったが、本発明はこれに限定されるものではなく、浸漬工程中はCO2溶解加圧水の循環を止めておいてもよい。
【0060】
以上のようにして、一連の洗米および浸漬工程が終了すると、容器1の底面の吐出バルブ7vを開いて計量ボックス5内に米Rを投入し、水切りと同時に計量を行った後、米Rは受け皿22下のシャッター22sを開いて釜6に投入されて炊飯工程に入る。水切りされた水は、受け皿22から排水パイプP22を通って回収タンク23に送り込まれるか、または受け皿22から直接排水される。
【0061】
なお、本発明におけるCO2溶解加圧装置は、加圧タンク内でCO2ガスと水を溶解させ、浸漬タンク手前で圧力調整弁により圧力調整をして大気開放して大気圧下でCO2溶解加圧水を浸漬タンク内に吐出するが、他の方法として圧力調整弁をなくして浸漬タンク内に分散管を設けて吐出する方法とか浸漬タンク内での吐出部分でのノズル方式もあり、溶解方法も加圧タンクを使用しないでのエゼクター式・ゼット式・バブルジェネレータ式等が考えられる。また、その他のCO2溶解方法として、自給式ポンプ手前吸込側からエアーを取り入れ、加圧タンクにCO2ガスを入れ、タンク内で混合溶解させる方法とか、浸漬タンク内でエアーとCO2ガスとを混合溶解させる方法もある。
【0062】
また、図1〜図3に示すような複数の吐出口2を設けた流体噴出手段に代えて、図4に示すような噴射パイプ24を容器1の底部付近に設置してもよい。この噴射パイプ24は長手筒状の閉パイプが略十字状に組まれたものであって、各パイプの表面には圧縮空気などの流体を噴出させるための噴射孔24aが設けられており、ポンプ7から噴射パイプ24内に間欠的または連続的に流体を供給する。
さらに上記実施形態では洗米方法および炊飯方法について説明したが、他の穀類や豆類の洗浄、浸漬および加工にも同様にして適用可能である。
【0063】
【発明の効果】
本発明によれば、水に対する溶解度が高いCO2ガスを用いて、容器内にCO2溶解水を吐出させて、CO2の微細気泡により穀類や豆類を洗浄するので、研ぎ汁成分等の吸着作用が増大し、さらにCO2の特性である脂質やタンパク質に対する高い溶解・吸着作用により脂質やタンパク質等の汚れ成分を簡単に効率よく分離除去でき、高い洗浄効果を有する。しかも、CO2は静菌作用を有するので、洗浄・浸漬工程でのカビや細菌の増殖に起因する臭み成分の発生を抑制できる。また洗浄から次工程への穀類や豆類の移動がないので穀類や豆類の破砕が少なくなり、米の場合には炊飯後の糊化現象も抑えられ、香りの良い美味しい米を炊くことができる。
また、洗浄効率がよいので、容器に投入する穀類や豆類の量も、空気溶解加圧水や酸素溶解加圧水に比べ倍以上の投入が可能になり、そのため作業時間の短縮が図れると同時に、水の消費量を削減することができるため経済的であり、かつ排水量を削減できるため河川の汚濁防止にも役立つ。
【0064】
洗浄および浸漬工程中に洗浄タンク内の米に流体を噴射させて穀類や豆類を攪拌させることにより、粒同士の重なりが崩され、洗浄時には汚れ成分等の分離除去が促進され、浸漬工程では穀類や豆類の各粒が水と接する面積が増して水が均一に浸透して穀類や豆類の膨張を促進し、一層美味しく加工することができる。また、洗浄タンクと浸漬タンクを兼用すると、装置全体の小型化および作業時間の短縮が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態かかる洗米方法を実施するための装置の模式図である。
【図2】洗浄タンクの下部領域を示す部分拡大図である。
【図3】本発明の他の実施形態かかる循環式の洗米方法を実施するための装置の模式図である。
【図4】本発明で使用する噴射パイプを示す斜視図である。
【符号の説明】
1 洗浄タンク(容器)
8h エアーヘッダー
10 CO2溶解・加圧装置
12 加圧ポンプ
13 圧力タンク
S 循環水路
R 米
Claims (10)
- 穀類または豆類を入れた容器内に、二酸化炭素ガスを水に溶解させた二酸化炭素溶解水を吐出させて、二酸化炭素の微細気泡により穀類または豆類を洗浄することを特徴とする穀類および豆類の洗浄方法。
- 穀類または豆類を入れた容器内に、二酸化炭素ガスを水に溶解させた二酸化炭素溶解水を吐出させて、二酸化炭素の微細気泡により穀類または豆類を洗浄すると共に、前記洗浄容器内の水を二酸化炭素溶解装置に送り、二酸化炭素溶解水として洗浄容器内に循環させることを特徴とする穀類および豆類の洗浄方法。
- 前記容器に設定された上限水位の位置に分岐路を設けて、穀類または豆類の洗浄時に表面に浮上してきた泡を、容器内に水を加水することで、水とともに前記容器外に導くようにした請求項2記載の洗浄方法。
- 前記容器内に二酸化炭素溶解水の流れを生じさせて、二酸化炭素溶解水が容器内の前記穀類または豆類に当たる衝撃により二酸化炭素の微細気泡を発生させる請求項1または2記載の洗浄方法。
- 前記容器内に間欠的に流体を噴出させて穀類または豆類を撹拌する請求項1〜4のいずれかに記載の洗浄方法。
- 穀類または豆類を入れた容器内に、二酸化炭素ガスを水に溶解させた二酸化炭素溶解水を吐出させて、二酸化炭素の微細気泡により穀類または豆類を洗浄した後、洗浄した穀類または豆類を二酸化炭素溶解水に所定時間浸漬することを特徴とする穀類および豆類の洗浄浸漬方法。
- 穀類または豆類の洗浄中に前記容器外に導かれた水および/または浸漬後に穀類または豆類と共に排出された水を回収タンクに送り、この回収タンク内の水を前記容器に供給することを特徴とする請求項6記載の洗浄浸漬方法。
- 前記回収タンクに上澄液排出用のノコギリ状泡切りジョウゴと、沈殿物排出用の弁とを設けて、泡を含む上澄液および沈殿物を排出することを特徴とする請求項7記載の洗浄浸漬方法。
- 前記洗浄および浸漬工程中に、前記容器内に間欠的に流体を噴出させて穀類または豆類を撹拌する請求項6〜8のいずれかに記載の洗浄浸漬方法。
- 穀類または豆類を二酸化炭素溶解水に所定時間浸漬した後、加熱処理などの加工を行うことを特徴とする穀類および豆類の加工方法。
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