JP3674614B2 - 画像形成装置および画像形成方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、画像濃度に影響を与える濃度制御因子を最適値に設定する技術(画像形成装置および画像形成方法)に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種の画像形成装置では、感光体およびトナーの疲労・経時変化や、装置周辺における温湿度の変化などに起因して、画像濃度が変化することがある。そこで、従来よりトナー像の画像濃度に影響を与える濃度制御因子、例えば帯電バイアス、現像バイアス、露光量などを適宜調整して画像濃度を安定化させる技術が数多く提案されている。例えば、帯電バイアスおよび現像バイアスを適宜調整することで画像濃度の安定化を図っているものがある(特許文献1参照)。すなわち、この特許文献1に記載の従来技術では、帯電バイアスおよび/または現像バイアスを変えながら、基準パッチ画像を感光体上に形成し、各基準パッチの画像濃度を検出している。そして、これらの検出値に基づき最適な帯電バイアスおよび現像バイアスを決定し、トナー画像の濃度調整を行っている。なお、この明細書では、説明の便宜から、複数のパッチ画像を形成するとともに、各パッチ画像の濃度を検出し、それらの画像濃度に基づいてトナー像の画像濃度を目標濃度に調整するために必要な濃度制御因子の最適値を決定するという一連の処理内容を「処理モード」と称する。
【0003】
また、この処理モードは次のようなタイミングで実行される。すなわち、画像形成装置本体のメイン電源を投入した後、画像が形成できる状態になった時点、例えば、定着温度が規定の温度に達したか、或はその直後とされ、更には、装置本体内にタイマーが設定してある場合には、定期的に、例えば2時間毎に、濃度調整が実行される。
【0004】
【特許文献1 】
特開平10−239924号公報(【0035】〜【0048】、図9)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記従来装置において、最適値の精度を高めるためには、例えば帯電バイアスおよび/または現像バイアスを変化させる間隔を狭めて基準パッチの作成数を多くすることが考えられる。しかしながら、基準パッチの作成数の増大に伴いステップ数が多くなり、最適値の算出に時間がかかってしまい、非効率的なものとなってしまう。
【0006】
また、実際の画像形成装置では、装置の動作状況によってエンジン部(画像形成手段)の状態は大きく異なっている。例えば、装置がスリープモードに突入した後、比較的短時間で復帰した場合には、エンジン部の状態変化は比較的少ないのに対し、復帰するまでに比較的長い時間がかかった場合にはエンジン部の状態が大きく変化している可能性が高い。
【0007】
したがって、その状態に応じた処理モードで濃度調整を行うことができれば、効率的で、かつ高精度の濃度調整を行うことができる。例えば、最適帯電バイアスおよび最適現像バイアスは感光体およびトナーの疲労・経時変化などに応じて変化するが、その変化はある程度の連続性を有している。したがって、例えばスリープ時間が短い場合、直前の濃度調整によって得られた濃度制御因子を基準として濃度調整を行えば、より精度良く濃度調整を行うことができる。これに対して、スリープ時間が比較的長かった場合には、エンジン部の状態を予想することが困難であり、濃度制御因子を比較的広い範囲で変化させて最適値を決定する必要がある。
【0008】
しかしながら、従来技術では、処理モードは単一で、しかも固定化されているため、効率および精度の面で改良の余地が残っている。
【0009】
この発明は上記課題に鑑みなされたものであり、画像濃度に影響を与える濃度制御因子を高精度で、しかも効率良く設定することができる画像形成装置および画像形成方法を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
この発明は、トナー像の画像濃度に影響を与える濃度制御因子を最適値に設定する画像形成装置および画像形成方法であって、上記目的を達成するため、以下のように構成している。この画像形成装置は、スリープ復帰時に、所定の基準に基づいて装置の状態変化の程度を判断し、前記状態変化が小さいと判断された場合以外には、第1の調整動作を行って前記濃度制御因子の最適値を求める一方、前記状態変化が小さいと判断された場合には、前記第1の調整動作より簡素化された第2の調整動作を行って前記濃度制御因子の最適値を求め、該最適値に前記濃度制御因子を設定することを特徴としている。また、この画像形成方法は、装置のスリープ復帰時に、所定の基準に基づいて前記装置の状態変化の程度を判断する工程と、前記状態変化が小さいと判断された場合以外には、第1の調整動作を行って前記濃度制御因子の最適値を求める一方、前記状態変化が小さいと判断された場合には、前記第1の調整動作より簡素化された第2の調整動作を行って前記濃度制御因子の最適値を求め、該最適値に前記濃度制御因子を設定する工程とを備えたことを特徴としている。
【0015】
このように構成された発明では、スリープ復帰時に従来技術のように画一的な濃度制御因子の設定を行うのではなく、まず装置の状態変化の程度を判断した上で、その判断結果に応じた態様で濃度制御因子を設定しているので、濃度制御因子を高精度で、しかも効率良く設定することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
A.画像形成装置の全体構成
図1は、この発明にかかる画像形成装置の一の実施形態を示す図である。また、図2は図1の画像形成装置の電気的構成を示すブロック図である。この画像形成装置は、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の4色のトナーを重ね合わせてフルカラー画像を形成したり、ブラック(K)のトナーのみを用いてモノクロ画像を形成する装置である。この画像形成装置では、ホストコンピュータなどの外部装置から画像信号が制御ユニット1のメインコントローラ11に与えられると、このメインコントローラ11からの指令に応じてエンジンコントローラ12がエンジン部Eの各部を制御してシートSに画像信号に対応する画像を形成する。
【0017】
このように画像形成手段として機能するエンジン部Eでは、像担持体ユニット2の感光体21にトナー像を形成可能となっている。すなわち、像担持体ユニット2は、図1の矢印方向に回転可能な感光体21を備えており、さらに感光体21の周りにその回転方向に沿って、帯電手段としての帯電ローラ22、現像手段としての現像器23Y,23C,23M,23K、およびクリーニング部24がそれぞれ配置されている。帯電ローラ22は帯電バイアス発生部121から高電圧が印加されており、感光体21の外周面に当接して外周面を均一に帯電させる。
【0018】
そして、この帯電ローラ22によって帯電された感光体21の外周面に向けて露光ユニット3からレーザ光Lが照射される。この露光ユニット3は、図2に示すように、画像信号切換部122と電気的に接続されており、この画像信号切換部122を介して与えられる画像信号に応じてレーザ光Lを感光体21上に走査露光して感光体21上に画像信号に対応する静電潜像を形成する。例えば、エンジンコントローラ12のCPU123からの指令に基づき、画像信号切換部122がパッチ作成モジュール124と導通している際には、パッチ作成モジュール124から出力されるパッチ画像信号が露光ユニット3に与えられてパッチ潜像が形成される。一方、画像信号切換部122がメインコントローラ11のCPU111と導通している際には、ホストコンピュータなどの外部装置よりインターフェース112を介して与えられた画像信号に応じてレーザ光Lを感光体21上に走査露光して感光体21上に画像信号に対応する静電潜像が形成される。
【0019】
こうして形成された静電潜像は現像部23によってトナー現像される。すなわち、この実施形態では現像部23として、イエロー用の現像器23Y、シアン用の現像器23C、マゼンタ用の現像器23M、およびブラック用の現像器23Kがこの順序で感光体21に沿って配置されている。これらの現像器23Y,23C,23M,23Kは、それぞれ感光体21に対して接離自在に構成されており、エンジンコントローラ12からの指令に応じて、上記4つの現像器23Y、23M、23C、23Kのうちの一の現像器が選択的に感光体21に当接するとともに、現像バイアス発生部125によって高電圧が印加されて選択された色のトナーを感光体21の表面に付与して感光体21上の静電潜像を顕在化する。
【0020】
現像部23で現像されたトナー像は、ブラック用現像器23Kとクリーニング部24との間に位置する一次転写領域R1で転写ユニット4の中間転写ベルト41上に一次転写される。なお、この転写ユニット4の構造については後で詳述する。
【0021】
また、一次転写領域R1から周方向(図1の矢印方向)に進んだ位置には、クリーニング部24が配置されており、一次転写後に感光体21の外周面に残留付着しているトナーを掻き落とす。
【0022】
次に、転写ユニット4の構成について説明する。この実施形態では、転写ユニット4は、ローラ42〜47と、これら各ローラ42〜47に掛け渡された中間転写ベルト41と、この中間転写ベルト41に転写された中間トナー像をシートSに二次転写する二次転写ローラ48とを備えている。この中間転写ベルト41には、転写バイアス発生部126から一次転写電圧が印加されている。そして、カラー画像をシートSに転写する場合には、感光体21上に形成される各色のトナー像を中間転写ベルト41上に重ね合わせてカラー像を形成するとともに、給排紙ユニット6の給紙部63によってカセット61、手差しトレイ62あるいは増設カセット(図示省略)からシートSを取出して二次転写領域R2に搬送する。そして、このシートSに、カラー像を二次転写してフルーカラー画像を得る。また、モノクロ画像をシートSに転写する場合には、感光体21上にブラックトナー像のみを中間転写ベルト41上に形成し、カラー画像の場合と同様にして二次転写領域R2に搬送されてきたシートSに転写してモノクロ画像を得る。
【0023】
なお、二次転写後、中間転写ベルト41の外周面に残留付着しているトナーについては、ベルトクリーナ49によって除去される。このベルトクリーナ49は、中間転写ベルト41を挟んでローラ46と対向して配置されており、適当なタイミングでクリーナブレードが中間転写ベルト41に対して当接してその外周面に残留付着しているトナーを掻き落す。
【0024】
また、ローラ43の近傍には、後述するようにして中間転写ベルト41の外周面に形成されるパッチ画像の濃度を検出するためのパッチセンサPSが配置されるとともに、中間転写ベルト41の基準位置を検出するための同期用読取センサRSが配置されている。
【0025】
図1に戻ってエンジン部Eの構成説明を続ける。転写ユニット4によってトナー像が転写されたシートSは、給排紙ユニット6の給紙部63によって所定の給紙経路(2点鎖線)に沿って二次転写領域R2の下流側に配設された定着ユニット5に搬送され、搬送されてくるシートS上のトナー像をシートSに定着する。そして、当該シートSはさらに給紙経路630に沿って排紙部64に搬送される。
【0026】
この排紙部64は2つの排紙経路641a,641bを有しており、一方の排紙経路641aは定着ユニット5から標準排紙トレイに延びるとともに、他方の排紙経路641bは排紙経路641aとほぼ平行に、再給紙部66とマルチビンユニットとの間に延びている。これらの排紙経路641a,641bに沿って3組のローラ対642〜644が設けられており、定着済みのシートSを標準排紙トレイやマルチビンユニット側に向けて排出したり、その他方面側にも画像を形成するために再給紙部66側に搬送したりする。
【0027】
この再給紙部66は、図1に示すように、上記のように排紙部64から反転搬送されてきたシートSを再給紙経路664(2点鎖線)に沿って給紙部63のゲートローラ対637に搬送するものであり、再給紙経路664に沿って配設された3つの再給紙ローラ対661〜663で構成されている。このように、排紙部64から搬送されてきたシートSを再給紙経路664に沿ってゲートローラ対637に戻すことによって給紙部63においてシートSの非画像形成面が中間転写ベルト41を向いて当該面に画像を二次転写可能となる。
【0028】
なお、図2において、符号113はホストコンピュータなどの外部装置よりインターフェース112を介して与えられた画像を記憶するためにメインコントローラ11に設けられた画像メモリであり、符号127はエンジン部Eを制御するための制御データやCPU123における演算結果などを一時的に記憶するためのRAMであり、さらに符号128はCPU123で行う演算プログラムなどを記憶するROMである。
【0029】
B.画像形成装置における濃度調整動作
次に、上記のように構成されている画像形成装置における画像の濃度調整動作について説明する。
【0030】
図3は、図1の画像形成装置における濃度調整動作を示すフローチャートである。この画像形成装置では、同図に示すように、ステップS1で濃度調整動作を実行して現像バイアスおよび帯電バイアスを更新設定する必要があるか否かが判断される。例えば、画像形成装置本体のメイン電源を投入した後、画像を形成できる状態になると、バイアス設定を開始するように構成してもよい。また、装置本体内に設けられたタイマー(図示省略)によって連続使用時間を計測し、数時間毎にバイアス設定を開始するようにしてもよい。
【0031】
このステップS1で「YES」と判断されてバイアス設定が開始されると、ステップS2,S3を実行して最適現像バイアスを算出し、それを現像バイアスとして設定する(ステップS4)。また、それに続いて、ステップS5を実行して最適帯電バイアスを算出し、それを帯電バイアスとして設定する(ステップS6)。こうして、現像バイアスおよび帯電バイアスの最適化が行われる。以下、現像バイアス算出処理(ステップS3)および帯電バイアス算出処理(ステップS5)の内容について、それぞれ詳細に説明する。
【0032】
B−1.現像バイアス算出処理
図4は、図3の現像バイアス算出処理の内容を示すフローチャートである。この現像バイアス算出処理(ステップS3)では、まず装置の動作状況に応じて処理モードとして第1および第2処理モードのうち、いずれか一方を選択する(ステップS301)。この第1処理モードは後述するように広レンジ(現像バイアスの可変領域全体)内で現像バイアスを変化させて最適現像バイアスの暫定値を求め、さらに暫定値に基づき狭レンジ(可変領域の約1/3)内で現像バイアスを変化させながら最適現像バイアスを決定するものであり、エンジン部Eの状態を予想することができない場合に適している。これに対し、第2処理モードは後述するように前回の最適現像バイアスを含む狭レンジ(可変領域の約1/3)内で現像バイアスを変化させながら最適現像バイアスを決定するものであり、エンジン部Eの状態変化が少ない場合に適している。なお、この実施形態では、ステップS301での具体的な選択判断は次の基準で実行している。
【0033】
(1)電源投入時→第1処理モード
電源投入時では、エンジン部Eの状態を全く予想することができないため、現像バイアスの可変領域全体で現像バイアスを変化させながら最適現像バイアスを決定する。
【0034】
(2)スリープ復帰時で且つスリープ時間が所定時間未満である場合→第2処理モード
スリープ復帰の場合、エンジン部Eの状態が大きく変化してしまっている可能性があるが、スリープ時間が短い場合には、エンジン部Eの状態変化は小さいと推測されるため、前回の最適現像バイアスを含む狭レンジ(可変領域の約1/3)内で現像バイアスを変化させながら最適現像バイアスを決定する。
【0035】
(3)スリープ復帰時で且つ定着ユニット5の定着温度が所定温度以上である場合→第2処理モード
スリープ復帰の場合、エンジン部Eの状態が大きく変化してしまっている可能性があるが、定着ユニット5内の熱源である定着器が高温に保たれている場合には、エンジン部Eの状態変化が小さいと推測されるため、前回の最適現像バイアスを含む狭レンジ(可変領域の約1/3)内で現像バイアスを変化させながら最適現像バイアスを決定する。
【0036】
(4)スリープ復帰時(上記(2)および(3)の場合を除く)→第1処理モード
上記した(2)および(3)以外では、スリープ復帰時、エンジン部Eの状態が大きく変化してしまっている可能性があるため、現像バイアスの可変領域全体で現像バイアスを変化させながら最適現像バイアスを決定する。
【0037】
(5)連続した画像形成時→第2処理モード
画像形成が継続的に行われている場合、前回の濃度調整時からエンジン部Eの状態が大きく変化する可能性が低いので、前回の最適現像バイアスを含む狭レンジ(可変領域の約1/3)内で現像バイアスを変化させながら最適現像バイアスを決定する。
【0038】
以上のような判断基準に基づき、第1処理モードを選択した場合には、第1現像バイアス算出処理(ステップS311〜S313、S302)を実行して最適現像バイアスを決定する一方、第2処理モードを選択した場合には、第2現像バイアス算出処理(ステップS321、S322、S302)を実行して最適現像バイアスを決定する。以下、それぞれに分けて説明する。
【0039】
B−1−1.第1現像バイアス算出処理(第1処理モード)
第1現像バイアス算出処理では、図4に示すように、すべての色(この実施形態では、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の4色)についてパッチ画像を形成する旨の設定を行った(ステップS311)後、ステップS312に進んで比較的広いレンジで、しかも比較的広い間隔で段階的に現像バイアスを変化させながら、複数のパッチ画像を形成し、各パッチ画像の濃度に基づき最適画像濃度を得るために必要な現像バイアスを暫定的に求める。その処理内容について、図5および図6を参照しつつ詳述する。
【0040】
図5は、図4の広レンジでのバイアス算出処理の内容を示すフローチャートである。また、図6は、図5の処理内容、および後で説明する狭レンジでのバイアス算出処理の内容を示す模式図である。この算出処理では、パッチ画像を作成する色を最初の色、例えばイエローに設定する(ステップS312a)。そして、帯電バイアスを予めステップS2で設定した既定値で、かつ広レンジの範囲内で現像バイアスを比較的広い間隔(第1間隔)で4段階に設定する(ステップS312b)。例えば、この実施形態では、現像バイアス発生部125によって現像部23に供給可能な現像バイアスの可変帯域(Vb01〜Vb10)全体を広レンジとして設定し、この広レンジ(Vb01〜Vb10)内のうち4点Vb01,Vb04,Vb07,Vb10を現像バイアスとして設定している。このように、この実施形態では、第1間隔W1を、
W1=Vb10−Vb07=Vb07−Vb04=Vb04−Vb01
としている。
【0041】
このようなバイアス設定で4つのイエローベタ画像(図7)を感光体上に順次形成し、さらに図8(a)に示すように、これらを予め決められた配列順序で中間転写ベルト41の外周面に転写して第1パッチ画像PI1を形成する(ステップS312c)。
【0042】
次のステップS312dでは、すべてのパッチ作成色についてパッチ画像を作成したか否かを判断し、「NO」と判断される間は、パッチ作成色を次の色に設定し(ステップS312e)、ステップS312b,S312cを繰り返して図8(b)〜(d)に示すようにシアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の順序で中間転写ベルト41の外周面上に第1パッチ画像PI1をさらに形成していく。
【0043】
一方、ステップS312dで「YES」と判断すると、16(=4種類×4色)個のパッチ画像PI1の画像濃度をパッチセンサPSで測定する(ステップS312f)。この実施形態では、すべてのパッチ作成色についてパッチ画像PI1を形成した後で、先頭位置のパッチ画像(この実施形態では、ブラック(K)のパッチ画像)から順番にパッチ画像PI1の画像濃度を測定しているが、各パッチ作成色のパッチ画像PI1を形成する毎にパッチ画像PI1の画像濃度を順次測定するようにしてもよい。この点に関しては、後のバイアス算出処理(図9、図10、図12、図13、図16および図17)においても同様である。
【0044】
これに続いて、ステップS312gで目標濃度に対応する現像バイアスを求め、これを暫定バイアスとしてRAM127に一時的に記憶する。ここで、測定結果(画像濃度)が目標濃度と一致している場合には、その画像濃度に対応する現像バイアスを暫定バイアスとすればよく、また一致しない場合には、図6(b)に示すように、目標濃度を挟むデータD(Vb04),D(Vb07)に基づく直線補間や平均化処理などによって暫定バイアスを求めることができる。
【0045】
こうして、暫定バイアスが求まると、図4の狭レンジでのバイアス算出処理(1)を実行する。図9は、図4の狭レンジでのバイアス算出処理(1)の内容を示すフローチャートである。この算出処理では、先の算出処理(ステップS312)と同様に、パッチ画像を作成する色を最初の色、例えばイエローに設定する(ステップS313a)。そして、帯電バイアスを予めステップS2で設定した既定値で、かつステップS312で求めた暫定バイアスを含む狭レンジの範囲内で現像バイアスを第1間隔W1よりも狭い間隔(第2間隔)で4段階に設定する(ステップS313b)。例えば、この実施形態では、現像バイアスの可変帯域(Vb01〜Vb10)の約1/3を狭レンジとして設定しており、暫定バイアスが図6(b)に示すように現像バイアスVb05,Vb06の間である場合には、4点Vb04,Vb05,Vb06,Vb07を現像バイアスとして設定している(同図(c))。このように、この実施形態では、第2間隔W2を、
W2=Vb07−Vb06=Vb06−Vb05=Vb05−Vb04
としている。
【0046】
このようなバイアス設定で4つのイエローベタ画像(図7)を感光体上に順次形成し、さらに図8(a)に示すように、これらを中間転写ベルト41の外周面に転写して第1パッチ画像PI1を形成する(ステップS313c)。そして、先の算出処理(ステップS312)と同様に、ステップS313dですべてのパッチ作成色についてパッチ画像が作成されたと判断するまで、パッチ作成色を次の色に設定し(ステップS313e)、ステップS313b,S313cを繰り返してシアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の順序で中間転写ベルト41の外周面上に第1パッチ画像PI1をさらに形成していく。
【0047】
こうして16(=4種類×4色)個のパッチ画像PI1が中間転写ベルト41に形成されると、先頭位置のパッチ画像(この実施形態では、ブラック(K)のパッチ画像)から順番にパッチ画像PI1の画像濃度をパッチセンサPSで測定する(ステップS313f)。これに続いて、ステップS313gで目標濃度に対応する現像バイアスを求める。ここで、測定結果(画像濃度)が目標濃度と一致している場合には、その画像濃度に対応する現像バイアスを暫定バイアスとすればよく、また一致しない場合には、図6(d)に示すように、目標濃度を挟むデータD(Vb05),D(Vb06)に基づく直線補間などによって最適現像バイアスを求めることができる。
【0048】
そして、全てのパッチ作成色について最適現像バイアスが求まった場合、ステップS302に進んで、上記のようにして求められた最適現像バイアスをRAM127に記憶し、後述する帯電バイアスの算出時や通常の画像形成処理において、RAM127から読み出し、現像バイアスとして設定する。
【0049】
以上のように、この第1現像バイアス算出処理(第1処理モード)では、広レンジで、かつ第1間隔W1で目標濃度の画像を得るために必要な現像バイアスを暫定的に求め、さらに暫定バイアスを含む狭レンジで、しかもより細かい間隔(第2間隔)W2で現像バイアスを設定して目標濃度を得るために必要な現像バイアスを求め、これを最終的に最適現像バイアスとしている。したがって、次のような効果が得られる。
【0050】
例えば画像形成装置本体のメイン電源が投入された時点では、上記したようにエンジン部Eの状態を全く予想することができないため、現像バイアスの可変領域全体で現像バイアスを変化させながら最適現像バイアスを決定する必要がある。そこで、現像バイアス可変帯域(Vb01〜Vb10)を複数の狭レンジに分け、各狭レンジで上記バイアス算出処理(1)と同様の処理を実行して最適現像バイアスを求めることも可能である。しかしながら、この比較例では、分割数に比例してステップ数が多くなり、最適現像バイアスの算出に時間を要してしまうという問題がある。逆に、分割数を少なくすると、上記問題を解消することができるものの、1つの分割レンジ内でのバイアス間隔が第2バイアス間隔W2よりも広がり、その結果、最適現像バイアスの算出精度が落ちて画像濃度を目標濃度に正確に調整することができないという別の問題が生じてしまう。
【0051】
これに対して、本実施形態では、上記のように広レンジでのバイアス算出処理(ステップS312)によって凡その現像バイアスを暫定的に求めた上で、さらに暫定バイアス近傍の狭レンジで、しかも細かい間隔(第2間隔)W2で現像バイアスを変化させて最適現像バイアスを算出しているので、上記比較例と比べて、短時間で、しかも高精度に最適現像バイアスを求めることができる。
【0052】
また、現像バイアスに対するトナー量、つまり画像濃度の変化を示す現像γ特性は環境条件、耐久条件などに応じて大きく変化し、しかも非線形であることから、上記した第1現像バイアス算出処理(第1処理モード)は以下に説明する優れた効果を有する。
【0053】
図18は、現像γ特性の典型的な例を示すグラフである。同図に示すように、ある環境条件などの下で画像形成装置が現像γ特性Aを有していたとしても、環境条件などが変化すると、その変化に応じて画像形成装置の現像γ特性は最初の現像γ特性Aから現像γ特性Bへと変化してしまう。特に、現像γ特性の傾きがその環境条件などの影響を受けやすく、その傾きが大きく変化してしまう。
【0054】
そのため、現像γ特性Aの場合に画像形成装置の最適現像バイアスが値Vb(A)であったものが、僅かな環境条件などの変化によって現像γ特性Bに変化してしまうと、最適現像バイアスは値Vb(B)への大きく変化してしまう。したがって、このような現像γ特性を考慮すれば、必然的に現像バイアス可変帯域を広げておく必要があり、上記したように本発明にかかる第1処理モードを最適現像バイアスの算出に適用するのがより好適であることがわかる。
【0055】
さらに言えば、種々のトナーのうちでも非磁性一成分のトナーを用いている画像形成装置において、その効果はより顕著なものとなる。以下、その理由について詳述する。キャリアに対するトナー温度の制御性などを考慮して、近年、非磁性一成分のトナーが採用されてきている。この一成分トナーを使用する画像形成装置は、二成分トナーを使用する画像形成装置に比べてトナーの帯電量が環境、耐久条件によって変化しやすいという特徴を有している。というのも、二成分トナーはトナーと混合されているキャリアとの接触面積が大きいために帯電量が比較的安定しやすいのに対し、一成分トナーは帯電量をコントロールするキャリアが存在しないために現像器内部の帯電機構のみによってトナーを帯電させており、この帯電機構とトナーとの接触面積が二成分トナーとキャリアとの接触面積に比べて圧倒的に少ないからである。したがって、非磁性一成分のトナーを使用する画像形成装置に対して本発明を適用するのがさらに一層好適であるといえる。
【0056】
また、トナーの転写性を向上させるために、トナーに添加する外添剤の量を一般的な量よりも多く、例えば1.5%以上添加することがある。この場合にも、本発明の有用性が顕著なものとなる。なんとなれば、この外添剤も環境の影響を受け易く、この外添剤の量が1.5%以上となると、その影響が如実に現れて環境条件の変化による現像γ特性の変化が大きくなり、このようなトナーを使用する画像形成装置に対して本発明を適用するのがさらに一層好適であるといえる。なお、本実施形態にかかる画像形成装置のように、中間転写方式を採用している画像形成装置では、転写性の向上がより求められ、その結果、外添剤の量も他の方式の画像形成装置に比べて多くなる傾向にあり、その点においても本発明の有用性が発揮されるといえる。
【0057】
これらのことを総合すると、非磁性一成分で、外添剤を1.5%以上含むトナーを用いる画像形成装置および画像形成方法に対して、本発明を適用すると、優れた効果、つまりトナー像の画像濃度を目標濃度に調整するために必要な濃度制御因子の最適値をより高精度に、しかも効率良く決定することができるという効果がより顕著なものとなる。
【0058】
B−1−2.第2現像バイアス算出処理(第2処理モード)
ところで、この実施形態では、図4のステップS301で第2処理モードを選択すると、第2現像バイアス算出処理を実行して最適現像バイアスを決定しているが、これは上記したように判断基準(2)、(3)および(5)のような場合、エンジン部Eの状態変化は小さいと推測されるためである。すなわち、最適帯電バイアスおよび最適現像バイアスは感光体およびトナーの疲労・経時変化などに応じて変化するが、その変化はある程度の連続性を有している。したがって、上記判断基準(2)、(3)および(5)のような場合には、直前の画像濃度測定結果(ステップS313fや後述するステップS322g)に基づき最適現像バイアスを予想することができる。そこで、この実施形態にかかる現像バイアス算出処理(ステップS3)では、上記判断基準(2)、(3)および(5)に該当すると判断すると、次のように処理を簡素化して短時間で、しかも正確に最適現像バイアスを算出している。
【0059】
この第2現像バイアス算出処理では、すべての色(この実施形態では、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の4色)についてパッチ画像を形成する旨の設定を行った(ステップS321)後、ステップS322に進んで狭レンジでのバイアス算出処理(2)を実行して暫定バイアスを求めることなしに最適現像バイアスを求めている。以下、その処理内容について図10を参照しつつ説明する。
【0060】
図10は、図4の狭レンジでのバイアス算出処理(2)の内容を示すフローチャートである。また、図11は、図10の処理内容を示す模式図である。この算出処理が、先に説明した狭レンジでのバイアス算出処理(1)と大きく相違する点は、図9の算出処理(1)では帯電バイアスを既定値に設定するとともに、暫定バイアスを含む狭レンジでの4種類の現像バイアスを設定している(ステップS313b)のに対して、このバイアス算出処理(2)では直前の画像濃度測定によって求められてRAM127に記憶されている最適帯電バイアスを帯電バイアスとして設定するとともに、同RAM127に記憶されている最適現像バイアスを含む狭レンジでの4種類の現像バイアスを設定している(ステップS322b)点であり、その他の構成は同一である。したがって、ここでは、同一構成の説明については、省略する。
【0061】
このように、第2処理モードでは、暫定バイアスを求めずに、直前の画像濃度測定結果(前回の最適現像バイアス)を用いて狭レンジで、しかも第2間隔で4種類の現像バイアスを設定し、各色のパッチ画像を形成して最適現像バイアスを求めるようにしているので、第1処理モード(ステップS312+ステップS313)と対比すると、最適現像バイアスをさらに一層短時間で求めることができる。
【0062】
また、従来技術(特開平10−239924号公報に記載の技術)と対比すると、最適現像バイアスを高精度で求めることができるという特有の効果を有する。その理由について説明する。従来技術では現像バイアスと帯電バイアスとを予め3組記憶しておき、これら3つの現像バイアスでパッチ画像をそれぞれ形成する。したがって、現像バイアスの変化し得る範囲、つまり現像バイアス可変帯域とほぼ同程度の範囲をカバーするためには、3つの現像バイアスを比較的広い間隔で設定しなければならない。
【0063】
これに対して、本実施形態では、現像バイアス可変帯域(Vb01〜Vb10)のうち直前の最適現像バイアスを含む狭レンジの範囲内で現像バイアスを変化させており、現像バイアス可変帯域の約1/3程度で済み、現像バイアスの間隔(第2間隔)は従来技術よりも狭くなっている。その結果、最適現像バイアスをより高精度に算出することができる。なお、現像バイアスを変化させるレンジ範囲を単に狭くしただけでは、求めようとする最適現像バイアスが当該レンジから外れて正確な最適現像バイアスの算出が困難となるが、本実施形態では、直前の最適現像バイアスを中心に狭レンジを設定するようにしているので、このような問題が発生する確率は極めて小さい。
【0064】
こうして求められた最適現像バイアスについては、RAM127に既に記憶されている最適現像バイアスと書き換えて最新のものに更新する(図4のステップS302)。そして、図3に戻り、上記のようにして算出された最適現像バイアスをRAM127から読み出し、これを現像バイアスとして設定する。それに続いて、最適帯電バイアスを算出し(ステップS5)、それを帯電バイアスとして設定する(ステップS6)。
【0065】
B−2.最適帯電バイアス算出処理
図12は、図3の帯電バイアス算出処理の内容を示すフローチャートである。この帯電バイアス算出処理(ステップS5)では、現像バイアス算出処理の場合と同様に、まず装置の動作状況に応じて処理モードとして第3および第4処理モードのうち、いずれか一方を選択する(ステップS501)。この第3処理モードは後述するように予め設定した既定値を含む狭レンジ(可変領域の約1/3)内で帯電バイアスを変化させながら、複数のパッチ画像を形成し、各パッチ画像の濃度に基づき最適画像濃度を得るために必要な帯電バイアスを決定するものであり、エンジン部Eの状態を予想することができない場合に適している。これに対し、第4処理モードは後述するように前回の最適帯電バイアスを含む狭レンジ(可変領域の約1/3)内で帯電バイアスを変化させながら最適帯電バイアスを決定するものであり、エンジン部Eの状態変化が少ない場合に適している。なお、この実施形態では、ステップS501での具体的な選択判断は次の基準で実行している。
【0066】
(1)電源投入時→第3処理モード
電源投入時では、エンジン部Eの状態を全く予想することができないため、予め設定した既定値を含む狭レンジ(可変領域の約1/3)内で帯電バイアスを変化させながら最適帯電バイアスを決定する。
【0067】
(2)スリープ復帰時で且つスリープ時間が所定時間未満である場合→第4処理モード
スリープ復帰の場合、エンジン部Eの状態が大きく変化してしまっている可能性があるが、スリープ時間が短い場合には、エンジン部Eの状態変化は小さいと推測されるため、前回の最適帯電バイアスを含む狭レンジ(可変領域の約1/3)内で帯電バイアスを変化させながら最適帯電バイアスを決定する。
【0068】
(3)スリープ復帰時で且つ定着ユニット5の定着温度が所定温度以上である場合→第4処理モード
スリープ復帰の場合、エンジン部Eの状態が大きく変化してしまっている可能性があるが、定着ユニット5内の熱源である定着器が高温に保たれている場合には、エンジン部Eの状態変化が小さいと推測されるため、前回の最適帯電バイアスを含む狭レンジ(可変領域の約1/3)内で帯電バイアスを変化させながら最適帯電バイアスを決定する。
【0069】
(4)スリープ復帰時(上記(2)および(3)の場合を除く)→第3処理モード
上記した(2)および(3)以外では、スリープ復帰時、エンジン部Eの状態が大きく変化してしまっている可能性があるため、予め設定した既定値を含む狭レンジ(可変領域の約1/3)内で帯電バイアスを変化させながら最適帯電バイアスを決定する。
【0070】
(5)連続した画像形成時→第4処理モード
画像形成が継続的に行われている場合、前回の濃度調整時からエンジン部Eの状態が大きく変化する可能性が低いので、前回の最適帯電バイアスを含む狭レンジ(可変領域の約1/3)内で帯電バイアスを変化させながら最適帯電バイアスを決定する。
【0071】
以上のような判断基準に基づき、第3処理モードを選択した場合には、第1帯電バイアス算出処理(ステップS511、S512、S502)を実行して最適帯電バイアスを決定する一方、第4処理モードを選択した場合には、第2帯電バイアス算出処理(ステップS521、S522、S502)を実行して最適帯電バイアスを決定する。以下、それぞれに分けて説明する。
【0072】
B−2−1.第1帯電バイアス算出処理(第3処理モード)
第1帯電バイアス算出処理では、図12に示すように、すべての色(この実施形態では、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の4色)についてパッチ画像を形成する旨の設定を行った(ステップS511)後、ステップS512に進んで、予め設定した既定値を含み、かつ狭レンジの範囲内で帯電バイアスを比較的狭い間隔で4段階に帯電バイアスを変化させながら、複数のパッチ画像を形成し、各パッチ画像の濃度に基づき最適画像濃度を得るために必要な帯電バイアスを求める。以下、その処理内容の詳細について図13〜図15を参照しつつ説明する。
【0073】
図13は、ステップS512での処理内容、つまり図12の狭レンジでのバイアス算出処理(3)の内容を示すフローチャートである。また、図14は、図13の処理内容を示す模式図である。この算出処理では、パッチ画像を作成する色を最初の色、例えばイエローに設定する(ステップS512a)。そして、予めステップS2で設定した既定値を含み、かつ狭レンジの範囲内で帯電バイアスを比較的狭い間隔(第3間隔)で4段階に設定する(ステップS512b)。このように、帯電バイアス算出処理は、現像バイアス算出処理とは異なり、広レンジでの算出処理を行うことなく、狭レンジでの算出処理のみを実行する。なお、この実施形態では、帯電バイアスの可変帯域(Va01〜Va10)の約1/3を狭レンジとして設定しており、例えば既定値あるいは直前の最適帯電バイアスが図14(a)に示すように帯電バイアスVa05,Va06の間である場合には、4点Va04,Va05,Va06,Va07を帯電バイアスとして設定している。このように、この実施形態では、第3間隔W3を、
W3=Va07−Va06=Va06−Va05=Va05−Va04
としている。
【0074】
上記のようにしてイエロー色について4種類の帯電バイアスが設定されると、帯電バイアスを最も低い値Va04から段階的に増大させながら、各イエローのハーフトーン画像(図15)を感光体上に順次形成し、これらを中間転写ベルト41の外周面に転写して第2パッチ画像PI2を形成する(図8(a):ステップS512c)。
【0075】
次のステップS512dは、すべてのパッチ作成色について第2パッチ画像を作成したか否かを判断し、「NO」と判断される間は、パッチ作成色を次の色に設定し(ステップS512e)、ステップS512b〜S512dを繰り返して図8(b)〜(d)に示すようにシアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の順序で中間転写ベルト41の外周面上に第2パッチ画像PI2をさらに形成していく。
【0076】
一方、ステップS512dで「YES」と判断すると、16(=4種類×4色)個のパッチ画像PI2の画像濃度をパッチセンサPSで測定する(ステップS512f)。また、これに続いて、ステップS512gで目標濃度に対応する帯電バイアスを求める。ここで、測定結果(画像濃度)が目標濃度と一致している場合には、その画像濃度に対応する帯電バイアスを最適帯電バイアスとすればよく、また一致しない場合には、図14(b)に示すように、目標濃度を挟むデータD(Va05),D(Va06)に基づく直線補間などによって最適帯電バイアスを求めることができる。
【0077】
そして、全てのパッチ作成色について最適帯電バイアスが求まると、ステップS502に進んで、上記のようにして求められた最適帯電バイアスをRAM127に記憶し、通常の画像形成処理において、RAM127から読み出し、帯電バイアスとして設定する。
【0078】
B−2−2.第2帯電バイアス算出処理(第4処理モード)
この実施形態では、現像バイアス算出処理の場合と同様の理由に基づき、図12のステップS501で第4処理モードを選択すると、第2帯電バイアス算出処理を実行して最適帯電バイアスを決定している。
【0079】
この第2帯電バイアス算出処理では、すべての色(この実施形態では、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の4色)についてパッチ画像を形成する旨の設定を行った(ステップS521)後、ステップS522に進んで狭レンジでのバイアス算出処理(4)を実行して最適帯電バイアスを求めている(ステップS522)。
【0080】
図16は、図12の狭レンジでのバイアス算出処理(4)の内容を示すフローチャートである。この算出処理が、先に説明した狭レンジでのバイアス算出処理(3)と大きく相違する点は、図13の算出処理(3)では帯電バイアスを既定値に基づき狭レンジでの4種類の帯電バイアスを設定している(ステップS512b)のに対して、このバイアス算出処理(4)では直前の画像濃度測定によって求められてRAM127に記憶されている帯電バイアスに基づき狭レンジでの4種類の帯電バイアスを設定している(ステップS515b)点であり、その他の構成は同一である。したがって、ここでは、同一構成の説明については、省略する。
【0081】
そして、全てのパッチ作成色について最適帯電バイアスが求まると、ステップS502に進んで、上記のようにして求められた最適帯電バイアスをRAM127に記憶し、通常の画像形成処理において、RAM127から読み出し、帯電バイアスとして設定する。
【0082】
B−3.実施形態による効果
以上のように、この実施形態によれば、最適現像バイアスを決定するために予め第1および第2処理モードを準備しておき、装置の動作状況に応じて第1処理モードあるいは第2処理モードを選択的に実行しているので、動作状況に応じて最も適切な処理モードを選択実行することができ、効率良く、しかも高精度で、濃度制御因子の一つである現像バイアスの最適値を決定することができる。
【0083】
また、帯電バイアスについても同様である。すなわち、最適帯電バイアスを決定するために予め第3および第4処理モードを準備しておき、装置の動作状況に応じて第3処理モードあるいは第4処理モードを選択的に実行しているので、動作状況に応じて最も適切な処理モードを選択実行することができ、効率良く、しかも高精度で、濃度制御因子の一つである帯電バイアスの最適値を決定することができる。
【0084】
C.その他
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば、上記実施形態では判断基準(2)、(3)および(5)の場合にはエンジン部Eの状態変化は小さいとの予想に基づき第2処理モードを選択的に実行するように構成しているが、その状態変化が予想以上に大きくなり、第2処理モードで最適現像バイアスを決定することができないケースも考えられる。このようなケースにも適切に対処するためには、図17に示すように、第2処理モードにおいて、全てのパッチ作成色について最適現像バイアスを算出することができなかったと判断する(ステップS323)と、ステップS312に進んで第1処理モードをさらに実行すればよい。こうすることで、エンジン部E(画像形成手段)の状態が大きく変化した場合にも柔軟に対応して精度良く最適現像バイアスを決定することができる。
【0085】
また、上記実施形態では、現像バイアスの可変帯域(Vb01〜Vb10)の約1/3を狭レンジとして設定しているが、狭レンジの幅はこれに限定されるものではないが、この幅が広くなると、狭レンジを用いる意義が薄れ、最適現像バイアスの算出精度が低下するため、現像バイアス可変帯域の約1/2以下に設定する必要がある。また、第1および第2処理モードにおける狭レンジを同一幅としているが、同一にすることが必須要件ではなく、相互に異なるように設定してもよい。なお、これらのことについては、帯電バイアスの狭レンジの場合も同様である。
【0086】
また、上記実施形態では、4色のトナーを用いたカラー画像を形成することができる画像形成装置であったが、本発明の適用対象はこれに限定されるものではなく、モノクロ画像のみを形成する画像形成装置にも当然に適用することができる。また、上記実施形態にかかる画像形成装置は、ホストコンピュータなどの外部装置よりインターフェース112を介して与えられた画像を複写紙、転写紙、用紙およびOHP用透明シートなどのシートに形成するプリンタであるが、本発明は複写機やファクシミリ装置などの電子写真方式の画像形成装置全般に適用することができる。
【0087】
また、上記実施形態では、感光体21上のトナー像を中間転写ベルト41に転写し、このトナー像をパッチ画像として、その画像濃度を検出するとともに、その検出結果に基づき最適現像バイアスおよび最適帯電バイアスを算出しているが、中間転写ベルト以外の転写媒体(転写ドラム、転写ベルト、転写シート、中間転写ドラム、中間転写シート、反射型記録シートあるいは透過性記録シートなど)にトナー像を転写してパッチ画像を形成する画像形成装置にも本発明を適用することができる。また、転写媒体にパッチ画像を形成する代わりに、感光体上のパッチ画像の濃度を検出するパッチセンサを設け、このパッチセンサによって感光体上の各パッチ画像の画像濃度を検出し、その検出結果に基づき最適現像バイアスおよび最適帯電バイアスを算出するようにしてもよい。
【0088】
さらに、上記実施形態では、濃度制御因子として現像バイアスおよび帯電バイアスの最適値を求めているが、いずれか一方のみの最適値を求める場合、また転写バイアスや露光量などの他の濃度制御因子の最適値を求める場合にも本発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明にかかる画像形成装置の一の実施形態を示す図である。
【図2】 図1の画像形成装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図3】 図1の画像形成装置における濃度調整動作を示すフローチャートである。
【図4】 図3の現像バイアス算出処理の内容を示すフローチャートである。
【図5】 図4の広レンジでのバイアス算出処理の内容を示すフローチャートである。
【図6】 図5の処理内容、および後で説明する狭レンジでのバイアス算出処理の内容を示す模式図である。
【図7】 第1パッチ画像を示す図である。
【図8】 パッチ画像の形成順序を示す図である。
【図9】 図4の狭レンジでのバイアス算出処理(1)の内容を示すフローチャートである。
【図10】 図4の狭レンジでのバイアス算出処理(2)の内容を示すフローチャートである。
【図11】 図10の処理内容を示す模式図である。
【図12】 図3の帯電バイアス算出処理の内容を示すフローチャートである。
【図13】 図12の狭レンジでのバイアス算出処理(3)の内容を示すフローチャートである。
【図14】 図13の処理内容を示す模式図である。
【図15】 第2パッチ画像を示す図である。
【図16】 図12の狭レンジでのバイアス算出処理(4)の内容を示すフローチャートである。
【図17】 この発明にかかる画像形成方法の他の実施形態を示す図である。
【図18】 図1の画像形成装置における環境条件などの変化に伴う現像γ特性の変化を示すグラフである。
【符号の説明】
1…制御ユニット(制御手段)、11…メインコントローラ(制御手段)、12…エンジンコントローラ(制御手段)、111…CPU(制御手段)、123…CPU(制御手段)、E…エンジン部(画像形成手段)
Claims (6)
- トナー像の画像濃度に影響を与える濃度制御因子を最適値に設定する画像形成装置において、
スリープ復帰時に、所定の基準に基づいて装置の状態変化の程度を判断し、
前記状態変化が小さいと判断された場合以外には、第1の調整動作を行って前記濃度制御因子の最適値を求める一方、前記状態変化が小さいと判断された場合には、前記第1の調整動作より簡素化された第2の調整動作を行って前記濃度制御因子の最適値を求め、該最適値に前記濃度制御因子を設定する
ことを特徴とする画像形成装置。 - 前記第1の調整動作では、予め定められた範囲内で前記濃度制御因子の最適値を求める一方、前記第2の調整動作では、前記範囲のうち、前記スリープ復帰の直前に設定されていた最適値に基づき定めた一部範囲内で前記濃度制御因子の最適値を求める請求項1に記載の画像形成装置。
- 前記第1の調整動作では、前記範囲で前記濃度制御因子を変更設定しながらパッチ画像を形成し、その濃度検出結果に基づき前記濃度制御因子の最適値を求める一方、
前記第2の調整動作では、前記範囲のうちの前記一部範囲で前記濃度制御因子を変更設定しながらパッチ画像を形成し、その濃度検出結果に基づき前記濃度制御因子の最適値を求める請求項2に記載の画像形成装置。 - 前記基準は、スリープ時間の長さである請求項1ないし3のいずれかに記載の画像形成装置。
- 熱源を有し、前記トナー像をシートに定着させる定着手段をさらに備え、
前記基準は、前記定着手段の定着温度である請求項1ないし3のいずれかに記載の画像形成装置。 - トナー像を形成する画像形成装置における、該トナー像の画像濃度に影響を与える濃度制御因子を最適値に設定する画像形成方法において、
前記装置のスリープ復帰時に、所定の基準に基づいて前記装置の状態変化の程度を判断する工程と、
前記状態変化が小さいと判断された場合以外には、第1の調整動作を行って前記濃度制御因子の最適値を求める一方、前記状態変化が小さいと判断された場合には、前記第1の調整動作より簡素化された第2の調整動作を行って前記濃度制御因子の最適値を求め、該最適値に前記濃度制御因子を設定する工程と
を備えたことを特徴とする画像形成方法。
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