JP3674507B2 - 内燃機関の排気浄化装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関から排出される排気中のNOxを浄化する内燃機関の排気浄化装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、自動車等に搭載される内燃機関、特に酸素過剰状態の混合気(所謂、リーン空燃比の混合気)を燃焼可能とするディーゼル機関やリーンバーン・ガソリン機関では、該内燃機関の排気中に含まれる窒素酸化物(NOx)を浄化する技術が望まれている。
【0003】
このような要求に対し、内燃機関の排気系にリーンNOx触媒を配置する技術が提案されている。リーンNOx触媒の一つとして、流入する排気の酸素濃度が高いときは排気中の窒素酸化物(NOx)を吸収し、流入する排気の酸素濃度が低下し且つ還元剤が存在するときは吸収していた窒素酸化物(NOx)を放出しつつ窒素(N2)に還元する吸蔵還元型NOx触媒が知られている。
【0004】
吸蔵還元型NOx触媒が内燃機関の排気系に配置されると、内燃機関が希薄燃焼運転されて排気の空燃比が高くなるときは排気中の窒素酸化物(NOx)が吸蔵還元型NOx触媒に吸収され、吸蔵還元型NOx触媒に流入する排気の空燃比が低くなったときは吸蔵還元型NOx触媒に吸収されていた窒素酸化物(NOx)が放出されつつ窒素(N2)に還元される。
【0005】
ところで、吸蔵還元型NOx触媒のNOx吸収能力には限りがあるため、内燃機関が長期にわたって希薄燃焼運転されると、吸蔵還元型NOx触媒のNOx吸収能力が飽和し、排気中の窒素酸化物(NOx)が吸蔵還元型NOx触媒によって除去されることなく大気中に放出されることになる。
【0006】
従って、吸蔵還元型NOx触媒を希薄燃焼式内燃機関に適用する場合は、吸蔵還元型NOx触媒のNOx吸収能力が飽和する前に該吸蔵還元型NOx触媒に流入する排気の空燃比を低下させる、所謂リッチスパイク制御を実行することにより、吸蔵還元型NOx触媒に吸収されている窒素酸化物(NOx)を放出及び還元させる必要がある。
【0007】
リッチスパイク制御の具体的な方法としては、吸蔵還元型NOx触媒より上流を流れる排気中に還元剤たる燃料を添加する方法を例示することができる。
【0008】
尚、吸蔵還元型NOx触媒より上流の排気中に還元剤を添加する場合は、吸蔵還元型NOx触媒に吸収されている窒素酸化物(NOx)に応じて還元剤の添加量を正確に制御することも重要である。
【0009】
これは、吸蔵還元型NOx触媒に吸収されている窒素酸化物(NOx)に対して還元剤の添加量が過剰に多くされると余剰の還元剤が大気中に放出されることになり、吸蔵還元型NOx触媒に吸収されている窒素酸化物(NOx)に対して還元剤の添加量が不足すると吸蔵還元型NOx触媒のNOx吸収能力が飽和し、排気中の窒素酸化物(NOx)が浄化されずに大気中に放出されることになるからである。
【0010】
このような問題に対し、従来では、特許第2845056号公報に記載されたような内燃機関の排気浄化装置が提案されている。この公報に記載された内燃機関の排気浄化装置は、吸蔵還元型NOx触媒において排気中の酸素と反応して消費される還元剤の量と吸蔵還元型NOx触媒に吸収されている窒素酸化物(NOx)を還元するために必要となる還元剤の量とを考慮して、還元剤の添加量を決定することにより、還元剤の過剰供給や供給不足を防止、以て還元剤や窒素酸化物(NOx)の大気中への放出による排気エミッションの悪化を抑制しようとするものである。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、NOx触媒に還元剤の添加が行われるのは、エミッション等の要求からNOx触媒の温度や内燃機関の運転状態が所定の条件を満たしているときだけである。従って、所定の条件を満たさない状態が続くと、NOx触媒にNOxが吸蔵され続ける。
【0012】
このようにしてNOxが吸蔵され続けたNOx触媒に還元剤の添加を行うと、還元剤添加を開始した直後は吸蔵されていたNOxが多量に放出される。このためNOx吸蔵量が少ないNOx触媒の還元を行うときに比較して多量の還元剤を必要とする。このときに還元剤が不足すると、還元されないNOxが大気中へ放出される虞れがある。
【0013】
そこで、NOx触媒に吸蔵されたNOxの量に基づいて還元剤添加量を変更し、NOxの放出量に見合った還元剤を添加することが重要となる。
【0014】
本発明は、上記したような種々の問題に鑑みてなされたものであり、リーンNOx触媒とリッチスパイク制御とを組み合わせて排気中の窒素酸化物(NOx)を浄化する内燃機関の排気浄化装置において、NOx吸蔵量を考慮した還元剤添加を行うことができる技術を提供することにより、還元剤の供給不足などに起因した排気エミッションの悪化を防止することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明は前記課題を解決するために、以下の手段を採用した。即ち、第1の発明に係る内燃機関の排気浄化装置は、酸素過剰状態の混合気を燃焼可能とする希薄燃焼式の内燃機関と、前記内燃機関の排気通路に設けられ、前記還元剤の存在下で排気中のNOx成分を浄化するNOx浄化触媒と、前記排気通路を流通する排気中に還元剤を供給する還元剤供給機構と、前記還元剤供給機構の還元剤供給停止後からの経過時間を検出する経過時間検出手段と、前記経過時間検出手段により検出された経過時間が所定時間よりも長い場合は、この経過時間が前記所定時間以下の場合よりも、前記還元剤供給機構によって供給する還元剤の量を増量し、且つ、前記経過時間検出手段により検出された経過時間に基づいて還元剤の増量分を決定する供給量増量手段と、を具備することを特徴とする。
【0016】
前記供給量増量手段は、前記経過時間検出手段により検出された経過時間が長いほど還元剤の供給量を増量することを特徴とする。
【0017】
前記供給量増量手段は所定量以上の増量は行わないことを特徴とする。
【0018】
このように構成された内燃機関の排気浄化装置では、NOx浄化触媒へ還元剤を供給する必要が生じたときに、還元剤供給機構はNOx浄化触媒より上流の排気通路へ還元剤を供給する。
【0019】
排気通路に供給された還元剤は、排気通路の上流から流れてくる排気とともにNOx浄化触媒へ流入する。この場合、NOx浄化触媒は、還元剤を利用して排気中の有害ガス成分を還元及び浄化することになる。
【0020】
一方、経過時間検出手段は、前記還元剤供給機構が前回の還元剤の供給を行いその後供給を停止したときからの経過時間を検出する。この経過時間が長いほどNOx浄化触媒にはNOxが多く吸蔵されている。
【0021】
従って、供給量増量手段は、経過時間検出手段により検出された経過時間に基づいて還元剤の供給量を増量し、還元剤供給機構はNOx浄化触媒に吸蔵されたNOx量に見合った還元剤を排気中へ供給することが可能となる。
【0022】
還元剤の供給量の増量には、1回の供給量を増量する方法や、供給間隔を狭くする方法等を例示することができる。
【0023】
また、NOx浄化触媒に所定量以上の還元剤の供給を行うと、還元剤の一部がNOxの還元に使用されずにNOx浄化触媒を通過し大気中へ放出される虞れがあるため、所定量以上の還元剤の供給は行わないこととした。
【0024】
前記課題を解決するための、第2の発明に係る内燃機関の排気浄化装置は、酸素過剰状態の混合気を燃焼可能とする希薄燃焼式の内燃機関と、前記内燃機関の排気通路に設けられ、還元剤の存在下で排気中のNOx成分を浄化するNOx浄化触媒と、前記排気通路を流通する排気中に前記還元剤を供給する還元剤供給機構と、前記還元剤供給機構の還元剤供給停止後からの前記NOx浄化触媒に吸蔵されたNOxの量を算出するNOx吸蔵量算出手段と、前記NOx吸蔵量算出手段により算出されたNO x 吸蔵量が閾値よりも多い場合は、このNOx吸蔵量が前記閾値以下の場合よりも、前記還元剤供給機構によって供給する還元剤の量を増量し、且つ、前記NO x 吸蔵量算出手段により算出されたNO x 吸蔵量に基づいて還元剤の増量分を決定する供給量増量手段と、を具備することを特徴とする。
【0025】
前記供給量増量手段は、前記NOx吸蔵量算出手段により算出されたNOx吸蔵量が多いほど還元剤の供給量を増量することができる。
【0026】
前記供給量増量手段は所定量以上の還元剤供給量の増量は行わないようにすることができる。
【0027】
このように構成された内燃機関の排気浄化装置では、第1の発明と比較しNOx供給量を増量する判断基準が相違する。第1の発明においては、前回の還元剤の供給時からの経過時間に基づいて還元剤供給量を増量したが、第2の発明においては、NOx浄化触媒に吸蔵されたNOxの量に基づいて還元剤供給量を増量する。
【0028】
ここで、NOx浄化触媒に吸蔵されたNOxの量は例えば内燃機関の負荷及び回転数に基づいて予め求められた数値マップにより算出することができる。
【0029】
前記供給量増量手段は、還元剤が複数回に亘って供給されるときの供給の間隔を短くして、還元剤の供給回数を増加させることにより、全体として還元剤の供給量を増量させることができる。
【0030】
還元剤の供給は複数回に分けて行われることがあるので、一回あたりの供給量を増量しなくても、供給の間隔を短くして供給回数を増加させれば、全体として還元剤の供給量を増量させることができる。
【0031】
【発明の実施の形態】
<第1の実施の形態>
以下、本発明に係る内燃機関の排気浄化装置の具体的な実施態様について図面に基づいて説明する。ここでは、本発明に係る排気浄化装置を車両駆動用のディーゼル機関に適用した場合を例に挙げて説明する。
【0032】
図1は、本発明に係る排気浄化装置を適用する内燃機関とその吸排気系の概略構成を示す図である。
【0033】
図1に示す内燃機関1は、4つの気筒2を有する水冷式の4サイクル・ディーゼル機関である。
【0034】
内燃機関1は、各気筒2の燃焼室に直接燃料を噴射する燃料噴射弁3を備えている。各燃料噴射弁3は、燃料を所定圧まで蓄圧する蓄圧室(コモンレール)4と接続されている。このコモンレール4には、該コモンレール4内の燃料の圧力に対応した電気信号を出力するコモンレール圧センサ4aが取り付けられている。
【0035】
前記コモンレール4は、燃料供給管5を介して燃料ポンプ6と連通している。この燃料ポンプ6は、内燃機関1の出力軸(クランクシャフト)の回転トルクを駆動源として作動するポンプであり、該燃料ポンプ6の入力軸に取り付けられたポンププーリ6が内燃機関1の出力軸(クランクシャフト)に取り付けられたクランクプーリ1aとベルト7を介して連結されている。
【0036】
このように構成された燃料噴射系では、クランクシャフトの回転トルクが燃料ポンプ6の入力軸へ伝達されると、燃料ポンプ6は、クランクシャフトから該燃料ポンプ6の入力軸へ伝達された回転トルクに応じた圧力で燃料を吐出する。
【0037】
前記燃料ポンプ6から吐出された燃料は、燃料供給管5を介してコモンレール4へ供給され、コモンレール4にて所定圧まで蓄圧されて各気筒2の燃料噴射弁3へ分配される。そして、燃料噴射弁3に駆動電流が印加されると、燃料噴射弁3が開弁し、その結果、燃料噴射弁3から気筒2内へ燃料が噴射される。
【0038】
次に、内燃機関1には、吸気枝管8が接続されており、吸気枝管8の各枝管は、各気筒2の燃焼室と図示しない吸気ポートを介して連通している。
【0039】
前記吸気枝管8は、吸気管9に接続され、この吸気管9は、エアクリーナボックス10に接続されている。前記エアクリーナボックス10より下流の吸気管9には、該吸気管9内を流通する吸気の質量に対応した電気信号を出力するエアフローメータ11と、該吸気管9内を流通する吸気の温度に対応した電気信号を出力する吸気温度センサ12とが取り付けられている。
【0040】
前記吸気管9における吸気枝管8の直上流に位置する部位には、該吸気管9内を流通する吸気の流量を調節する吸気絞り弁13が設けられている。この吸気絞り弁13には、ステッパモータ等で構成されて該吸気絞り弁13を開閉駆動する吸気絞り用アクチュエータ14が取り付けられている。
【0041】
前記エアフローメータ11と前記吸気絞り弁13との間に位置する吸気管9には、排気の熱エネルギを駆動源として作動する遠心過給機(ターボチャージャ)15のコンプレッサハウジング15aが設けられ、コンプレッサハウジング15aより下流の吸気管9には、前記コンプレッサハウジング15a内で圧縮されて高温となった吸気を冷却するためのインタークーラ16が設けられている。
【0042】
このように構成された吸気系では、エアクリーナボックス10に流入した吸気は、該エアクリーナボックス10内の図示しないエアクリーナによって吸気中の塵や埃等が除去された後、吸気管9を介してコンプレッサハウジング15aに流入する。
【0043】
コンプレッサハウジング15aに流入した吸気は、該コンプレッサハウジング15aに内装されたコンプレッサホイールの回転によって圧縮される。前記コンプレッサハウジング15a内で圧縮されて高温となった吸気は、インタークーラ16にて冷却された後、必要に応じて吸気絞り弁13によって流量を調節されて吸気枝管8に流入する。吸気枝管8に流入した吸気は、各枝管を介して各気筒2の燃焼室へ分配され、各気筒2の燃料噴射弁3から噴射された燃料を着火源として燃焼される。
【0044】
一方、内燃機関1には、排気枝管18が接続され、排気枝管18の各枝管が図示しない排気ポートを介して各気筒2の燃焼室と連通している。
【0045】
前記排気枝管18は、前記遠心過給機15のタービンハウジング15bと接続されている。前記タービンハウジング15bは、排気管19と接続され、この排気管19は、下流にて図示しないマフラーに接続されている。
【0046】
前記排気管19の途中には、排気中の有害ガス成分を浄化するための排気浄化触媒20が配置されている。排気浄化触媒20より下流の排気管19には、該排気管19内を流通する排気の空燃比に対応した電気信号を出力する空燃比センサ23と、該排気管19内を流通する排気の温度に対応した電気信号を出力する排気温度センサ24とが取り付けられている。
【0047】
前記した空燃比センサ23及び排気温度センサ24より下流の排気管19には、該排気管19内を流通する排気の流量を調節する排気絞り弁21が設けられている。この排気絞り弁21には、ステッパモータ等で構成されて該排気絞り弁21を開閉駆動する排気絞り用アクチュエータ22が取り付けられている。
【0048】
このように構成された排気系では、内燃機関1の各気筒2で燃焼された混合気(既燃ガス)が排気ポートを介して排気枝管18へ排出され、次いで排気枝管18から遠心過給機15のタービンハウジング15bへ流入する。タービンハウジング15bに流入した排気は、該排気が持つ熱エネルギを利用してタービンハウジング15b内に回転自在に支持されたタービンホイールを回転させる。その際、タービンホイールの回転トルクは、前述したコンプレッサハウジング15aのコンプレッサホイールへ伝達される。
【0049】
前記タービンハウジング15bから排出された排気は、排気管19を介して排気浄化触媒20へ流入し、排気中の有害ガス成分が除去又は浄化される。排気浄化触媒20にて有害ガス成分を除去又は浄化された排気は、必要に応じて排気絞り弁21によって流量を調節された後にマフラーを介して大気中に放出される。
【0050】
また、排気枝管18と吸気枝管8とは、排気枝管18内を流通する排気の一部を吸気枝管8へ再循環させる排気再循環通路(EGR通路)25を介して連通されている。このEGR通路25の途中には、電磁弁などで構成され、印加電力の大きさに応じて前記EGR通路25内を流通する排気(以下、EGRガスと称する)の流量を変更する流量調整弁(EGR弁)26が設けられている。
【0051】
前記EGR通路25においてEGR弁26より上流の部位には、該EGR通路25内を流通するEGRガスを冷却するEGRクーラ27が設けられている。
【0052】
このように構成された排気再循環機構では、EGR弁26が開弁されると、EGR通路25が導通状態となり、排気枝管18内を流通する排気の一部が前記EGR通路25へ流入し、EGRクーラ27を経て吸気枝管8へ導かれる。
【0053】
その際、EGRクーラ27では、EGR通路25内を流通するEGRガスと所定の冷媒との間で熱交換が行われ、EGRガスが冷却されることになる。
【0054】
EGR通路25を介して排気枝管18から吸気枝管8へ還流されたEGRガスは、吸気枝管8の上流から流れてきた新気と混ざり合いつつ各気筒2の燃焼室へ導かれ、燃料噴射弁3から噴射される燃料を着火源として燃焼される。
【0055】
ここで、EGRガスには、水(H2O)や二酸化炭素(CO2)などのように、自らが燃焼することがなく、且つ、吸熱性を有する不活性ガス成分が含まれているため、EGRガスが混合気中に含有されると、混合気の燃焼温度が低められ、以て窒素酸化物(NOx)の発生量が抑制される。
【0056】
更に、EGRクーラ27においてEGRガスが冷却されると、EGRガス自体の温度が低下するとともにEGRガスの体積が縮小されるため、EGRガスが燃焼室内に供給されたときに該燃焼室内の雰囲気温度が不要に上昇することがなくなるとともに、燃焼室内に供給される新気の量(新気の体積)が不要に減少することもない。
【0057】
次に、本実施の形態に係る排気浄化触媒20について具体的に説明する。
【0058】
排気浄化触媒20は、還元剤の存在下で排気中の窒素酸化物(NOx)を浄化するNOx触媒である。このようなNOx触媒としては、選択還元型NOx触媒や吸蔵還元型NOx触媒等を例示することができるが、ここでは吸蔵還元型NOx触媒を例に挙げて説明する。以下、排気浄化触媒20を吸蔵還元型NOx触媒20と称するものとする。
【0059】
吸蔵還元型NOx触媒20は、例えば、アルミナを担体とし、その担体上に、カリウム(K)、ナトリウム(Na)、リチウム(Li)、もしくはセシウム(Cs)等のアルカリ金属と、バリウム(Ba)もしくはカルシウム(Ca)等のアルカリ土類と、ランタン(La)もしくはイットリウム(Y)等の希土類とから選択された少なくとも1つと、白金(Pt)等の貴金属とを担持して構成されている。尚、本実施の形態では、アルミナからなる担体上にバリウム(Ba)と白金(Pt)とを担持して構成される吸蔵還元型NOx触媒を例に挙げて説明する。
【0060】
このように構成された吸蔵還元型NOx触媒20は、該吸蔵還元型NOx触媒20に流入する排気の酸素濃度が高いときは排気中の窒素酸化物(NOx)を吸収する。
【0061】
一方、吸蔵還元型NOx触媒20は、該吸蔵還元型NOx触媒20に流入する排気の酸素濃度が低下したときは吸収していた窒素酸化物(NOx)を放出する。その際、排気中に炭化水素(HC)や一酸化炭素(CO)等の還元成分が存在していれば、吸蔵還元型NOx触媒20は、該吸蔵還元型NOx触媒20から放出された窒素酸化物(NOx)を窒素(N2)に還元せしめることができる。
【0062】
尚、吸蔵還元型NOx触媒20のNOx吸放出作用については明らかにされていない部分もあるが、おおよそ以下のようなメカニズムによって行われていると考えられる。
【0063】
先ず、吸蔵還元型NOx触媒20では、該吸蔵還元型NOx触媒20に流入する排気の空燃比がリーン空燃比となって排気中の酸素濃度が高まると、図2(A)に示されるように、排気中の酸素(O2)がO2 -またはO2-の形で白金(Pt)の表面上に付着する。排気中の一酸化窒素(NO)は、白金(Pt)の表面上でO2 -またはO2-と反応して二酸化窒素(NO2)を形成する(2NO+O2→2NO2)。二酸化窒素(NO2)は、白金(Pt)の表面上で更に酸化され、硝酸イオン(NO3 -)の形で吸蔵還元型NOx触媒20に吸収される。尚、吸蔵還元型NOx触媒20に吸収された硝酸イオン(NO3 -)は、酸化バリウム(BaO)と結合して硝酸バリウム(Ba(NO3)2)を形成する。
【0064】
このように吸蔵還元型NOx触媒20に流入する排気の空燃比がリーン空燃比であるときは、排気中の窒素酸化物(NOx)が硝酸イオン(NO3-)として吸蔵還元型NOx触媒20に吸収される。
【0065】
上記したようなNOx吸収作用は、流入排気の空燃比がリーン空燃比であり、且つ吸蔵還元型NOx触媒20のNOx吸収能力が飽和しない限り継続される。従って、吸蔵還元型NOx触媒20に流入する排気の空燃比がリーン空燃比であるときは、吸蔵還元型NOx触媒20のNOx吸収能力が飽和しない限り、排気中の窒素酸化物(NOx)が吸蔵還元型NOx触媒20に吸収され、排気中から窒素酸化物(NOx)が除去されることになる。
【0066】
これに対して、吸蔵還元型NOx触媒20では、該吸蔵還元型NOx触媒20に流入する排気の酸素濃度が低下すると、白金(Pt)の表面上において二酸化窒素(NO2)の生成量が減少するため、酸化バリウム(BaO)と結合していた硝酸イオン(NO3 -)が逆に二酸化窒素(NO2)や一酸化窒素(NO)となって吸蔵還元型NOx触媒20から離脱する。
【0067】
その際、排気中に炭化水素(HC)や一酸化炭素(CO)等の還元成分が存在していれば、それらの還元成分が白金(Pt)上の酸素(O2 -またはO2-)と部分的に反応して活性種を形成する。この活性種は、吸蔵還元型NOx触媒20から放出された二酸化窒素(NO2)や一酸化窒素(NO)を窒素(N2)に還元せしめることになる。
【0068】
従って、吸蔵還元型NOx触媒20に流入する排気の空燃比が理論空燃比又はリッチ空燃比となって排気中の酸素濃度が低下するとともに還元剤の濃度が高まると、吸蔵還元型NOx触媒20に吸収されていた窒素酸化物(NOx)が放出及び還元され、以て吸蔵還元型NOx触媒20のNOx吸収能力が再生されることになる。
【0069】
ところで、内燃機関1が希薄燃焼運転されている場合は、内燃機関1から排出される排気の空燃比がリーン雰囲気となり排気の酸素濃度が高くなるため、排気中に含まれる窒素酸化物(NOx)が吸蔵還元型NOx触媒20に吸収されることになるが、内燃機関1の希薄燃焼運転が長期間継続されると、吸蔵還元型NOx触媒20のNOx吸収能力が飽和し、排気中の窒素酸化物(NOx)が吸蔵還元型NOx触媒20にて除去されずに大気中へ放出されてしまう。
【0070】
特に、内燃機関1のようなディーゼル機関では、大部分の運転領域においてリーン空燃比の混合気が燃焼され、それに応じて大部分の運転領域において排気の空燃比がリーン空燃比となるため、吸蔵還元型NOx触媒20のNOx吸収能力が飽和し易い。
【0071】
従って、内燃機関1が希薄燃焼運転されている場合は、吸蔵還元型NOx触媒20のNOx吸収能力が飽和する前に吸蔵還元型NOx触媒20に流入する排気中の酸素濃度を低下させるとともに還元剤の濃度を高め、吸蔵還元型NOx触媒20に吸収された窒素酸化物(NOx)を放出及び還元させる必要がある。
【0072】
これに対し、本実施の形態に係る内燃機関の排気浄化装置は、吸蔵還元型NOx触媒20より上流の排気通路を流通する排気中に還元剤たる燃料(軽油)を添加する還元剤供給機構を備え、この還元剤供給機構から排気中へ燃料を添加することにより、吸蔵還元型NOx触媒20に流入する排気の酸素濃度を低下させるとともに還元剤の濃度を高めるようにした。
【0073】
還元剤供給機構は、図1に示されるように、その噴孔が排気枝管18内に臨むよう内燃機関1のシリンダヘッドに取り付けられ、所定の開弁圧以上の燃料が印加されたときに開弁して燃料を噴射する還元剤噴射弁28と、前述した燃料ポンプ6から吐出された燃料を前記還元剤噴射弁28へ導く還元剤供給路29と、この還元剤供給路29の途中に設けられ該還元剤供給通路29内を流通する燃料の流量を調整する流量調整弁30と、この流量調整弁30より上流の還元剤供給路29に設けられて該還元剤供給路29内の燃料の流通を遮断する遮断弁31と、前記流量調整弁30より上流の還元剤供給路29に取り付けられ該還元剤供給路29内の圧力に対応した電気信号を出力する還元剤圧力センサ32と、を備えている。
【0074】
尚、還元剤噴射弁28は、該還元剤噴射弁28の噴孔が排気枝管18におけるEGR通路25との接続部位より下流であって、排気枝管18における4つの枝管の集合部に最も近い気筒2の排気ポートに突出するとともに、排気枝管18の集合部へ向くようシリンダヘッドに取り付けられることが好ましい。
【0075】
これは、還元剤噴射弁28から噴射された還元剤(未燃の燃料成分)がEGR通路25へ流入するのを防止するとともに、還元剤が排気枝管18内に滞ることなく遠心過給機のタービンハウジング15bへ到達するようにするためである。
【0076】
尚、図1に示す例では、内燃機関1の4つの気筒2のうち1番(#1)気筒2が排気枝管18の集合部と最も近い位置にあるため、1番(#1)気筒2の排気ポートに還元剤噴射弁28が取り付けられているが、1番(#1)気筒2以外の気筒2が排気枝管18の集合部と最も近い位置にあるときは、その気筒2の排気ポートに還元剤噴射弁28が取り付けられるようにする。
【0077】
また、前記還元剤噴射弁28は、シリンダヘッドに形成された図示しないウォータージャケットを貫通、あるいはウォータージャケットに近接して取り付けられるようにし、前記ウォータージャケットを流通する冷却水を利用して還元剤噴射弁28が冷却されるようにしてもよい。
【0078】
このような還元剤供給機構では、流量調整弁30が開弁されると、燃料ポンプ6から吐出された高圧の燃料が還元剤供給路29を介して還元剤噴射弁28へ印加される。そして、還元剤噴射弁28に印加される燃料の圧力が開弁圧以上に達すると、該還元剤噴射弁28が開弁して排気枝管18内へ還元剤としての燃料が噴射される。
【0079】
還元剤噴射弁28から排気枝管18内へ噴射された還元剤は、排気枝管18の上流から流れてきた排気ととともにタービンハウジング15bへ流入する。タービンハウジング15b内に流入した排気と還元剤とは、タービンホイールの回転によって撹拌されて均質に混合され、リッチ空燃比の排気を形成する。
【0080】
このようにして形成されたリッチ空燃比の排気は、タービンハウジング15bから排気管19を介して吸蔵還元型NOx触媒20に流入し、吸蔵還元型NOx触媒20に吸収されていた窒素酸化物(NOx)を放出させつつ窒素(N2)に還元することになる。
【0081】
その後、流量調整弁30が閉弁されて燃料ポンプ6から還元剤噴射弁28への還元剤の供給が遮断されると、還元剤噴射弁28に印加される燃料の圧力が前記開弁圧未満となり、その結果、還元剤噴射弁28が閉弁し、排気枝管18内への還元剤の添加が停止されることになる。
【0082】
以上述べたように構成された内燃機関1には、該内燃機関1を制御するための電子制御ユニット(ECU:Electronic Control Unit)35が併設されている。このECU35は、内燃機関1の運転条件や運転者の要求に応じて内燃機関1の運転状態を制御するユニットである。
【0083】
ECU35には、コモンレール圧センサ4a、エアフローメータ11、吸気温度センサ12、吸気管圧力センサ17、空燃比センサ23、排気温度センサ24、還元剤圧力センサ32、クランクポジションセンサ33、水温センサ34、アクセル開度センサ36等の各種センサが電気配線を介して接続され、上記した各種センサの出力信号がECU35に入力されるようになっている。
【0084】
一方、ECU35には、燃料噴射弁3、吸気絞り用アクチュエータ14、排気絞り用アクチュエータ22、EGR弁26、流量調整弁30、遮断弁31等が電気配線を介して接続され、上記した各部をECU35が制御することが可能になっている。
【0085】
ここで、ECU35は、図3に示すように、双方向性バス350によって相互に接続された、CPU351と、ROM352と、RAM353と、バックアップRAM354と、入力ポート356と、出力ポート357とを備えるとともに、前記入力ポート356に接続されたA/Dコンバータ(A/D)355を備えている。
【0086】
前記入力ポート356は、クランクポジションセンサ33のようにデジタル信号形式の信号を出力するセンサの出力信号を入力し、それらの出力信号をCPU351やRAM353へ送信する。
【0087】
前記入力ポート356は、コモンレール圧センサ4a、エアフローメータ11、吸気温度センサ12、吸気管圧力センサ17、空燃比センサ23、排気温度センサ24、還元剤圧力センサ32、水温センサ34、アクセル開度センサ36、等のように、アナログ信号形式の信号を出力するセンサのA/D355を介して入力し、それらの出力信号をCPU351やRAM353へ送信する。
【0088】
前記出力ポート357は、燃料噴射弁3、吸気絞り用アクチュエータ14、排気絞り用アクチュエータ22、EGR弁26、流量調整弁30、遮断弁31等と電気配線を介して接続され、CPU351から出力される制御信号を、前記した燃料噴射弁3、吸気絞り用アクチュエータ14、排気絞り用アクチュエータ22、EGR弁26、流量調整弁30、あるいは遮断弁31へ送信する。
【0089】
前記ROM352は、燃料噴射弁3を制御するための燃料噴射制御ルーチン、吸気絞り弁13を制御するための吸気絞り制御ルーチン、排気絞り弁21を制御するための排気絞り制御ルーチン、EGR弁26を制御するためのEGR制御ルーチン、吸蔵還元型NOx触媒20に吸収された窒素酸化物(NOx)を浄化するためのNOx浄化制御ルーチン、吸蔵還元型NOx触媒20の酸化物による被毒を解消するための被毒解消制御ルーチン等のアプリケーションプログラムを記憶している。
【0090】
前記ROM352は、上記したアプリケーションプログラムに加え、各種の制御マップを記憶している。前記制御マップは、例えば、内燃機関1の運転状態と基本燃料噴射量(基本燃料噴射時間)との関係を示す燃料噴射量制御マップ、内燃機関1の運転状態と基本燃料噴射時期との関係を示す燃料噴射時期制御マップ、内燃機関1の運転状態と吸気絞り弁13の目標開度との関係を示す吸気絞り弁開度制御マップ、内燃機関1の運転状態と排気絞り弁21の目標開度との関係を示す排気絞り弁開度制御マップ、内燃機関1の運転状態とEGR弁26の目標開度との関係を示すEGR弁開度制御マップ、内燃機関1の運転状態と還元剤の目標添加量(もしくは、排気の目標空燃比)との関係を示す還元剤添加量制御マップ、還元剤の目標添加量と流量調整弁30の開弁時間との関係を示す流量調整弁制御マップ、還元剤供給停止後からの経過時間とNOx吸蔵量との関係を示すNOx吸蔵量算出マップ、NOx吸蔵量と還元剤供給量を増量するための補正係数との関係を示す還元剤供給量補正係数算出マップ等である。
【0091】
前記RAM353は、各センサからの出力信号やCPU351の演算結果等を格納する。前記演算結果は、例えば、クランクポジションセンサ33がパルス信号を出力する時間的な間隔に基づいて算出される機関回転数である。これらのデータは、クランクポジションセンサ33がパルス信号を出力する都度、最新のデータに書き換えられる。
【0092】
前記バックアップRAM354は、内燃機関1の運転停止後もデータを記憶可能な不揮発性のメモリである。
【0093】
前記CPU351は、前記ROM352に記憶されたアプリケーションプログラムに従って動作して、燃料噴射弁制御、吸気絞り制御、排気絞り制御、EGR制御、NOx浄化制御、被毒解消制御等を実行する。
【0094】
例えば、燃料噴射弁制御では、CPU351は、先ず、燃料噴射弁3から噴射される燃料量を決定し、次いで燃料噴射弁3から燃料を噴射する時期を決定する。
【0095】
燃料噴射量を決定する場合は、CPU351は、RAM353に記憶されている機関回転数とアクセル開度センサ36の出力信号(アクセル開度)とを読み出す。CPU351は、燃料噴射量制御マップへアクセスし、前記機関回転数及び前記アクセル開度に対応した基本燃料燃料噴射量(基本燃料噴射時間)を算出する。CPU351は、エアフローメータ11、吸気温度センサ12、水温センサ34等の出力信号値等に基づいて前記基本燃料噴射時間を補正し、最終的な燃料噴射時間を決定する。
【0096】
燃料噴射時期を決定する場合は、CPU351は、燃料噴射開始時期制御マップへアクセスし、前記機関回転数及び前記アクセル開度に対応した基本燃料噴射時期を算出する。CPU351は、エアフローメータ11、吸気温度センサ12、水温センサ34等の出力信号値をパラメータとして前記基本燃料噴射時期を補正し、最終的な燃料噴射時期を決定する。
【0097】
燃料噴射時間と燃料噴射時期とが決定されると、CPU351は、前記燃料噴射時期とクランクポジションセンサ33の出力信号とを比較し、前記クランクポジションセンサ33の出力信号が前記燃料噴射開始時期と一致した時点で燃料噴射弁3に対する駆動電力の印加を開始する。CPU351は、燃料噴射弁3に対する駆動電力の印加を開始した時点からの経過時間が前記燃料噴射時間に達した時点で燃料噴射弁3に対する駆動電力の印加を停止する。
【0098】
尚、燃料噴射制御において内燃機関1の運転状態がアイドル運転状態にある場合は、CPU351は、水温センサ34の出力信号値や、車室内用空調装置のコンプレッサのようにクランクシャフトの回転力を利用して作動する補機類の作動状態等をパラメータとして内燃機関1の目標アイドル回転数を算出する。そして、CPU351は、実際のアイドル回転数が目標アイドル回転数と一致するよう燃料噴射量をフィードバック制御する。
【0099】
また、吸気絞り制御では、CPU351は、例えば、RAM353に記憶されている機関回転数とアクセル開度とを読み出す。CPU351は、吸気絞り弁開度制御マップへアクセスし、機関回転数及びアクセル開度に対応した目標吸気絞り弁開度を算出する。CPU351は、前記目標吸気絞り弁開度に対応した駆動電力を吸気絞り用アクチュエータ14に印加する。その際、CPU351は、吸気絞り弁13の実際の開度を検出して、実際の吸気絞り弁13の開度と目標吸気絞り弁開度との差分に基づいて前記吸気絞り用アクチュエータ14をフィードバック制御するようにしてもよい。
【0100】
また、排気絞り制御では、CPU351は、例えば、内燃機関1が冷間始動後の暖機運転状態にある場合や、車室内用ヒータが作動状態にある場合などに排気絞り弁21を閉弁方向へ駆動すべく排気絞り用アクチュエータ22を制御する。
【0101】
この場合、内燃機関1の負荷が増大し、それに対応して燃料噴射量が増量されることなる。その結果、内燃機関1の発熱量が増加し、内燃機関1の暖機が促進されるとともに、車室内用ヒータの熱源が確保される。
【0102】
また、EGR制御では、CPU351は、RAM353に記憶されている機関回転数、水温センサ34の出力信号(冷却水温度)、アクセル開度センサ36の出力信号(アクセル開度)等を読み出し、EGR制御の実行条件が成立しているか否かを判別する。
【0103】
上記したEGR制御実行条件としては、冷却水温度が所定温度以上にある、内燃機関1が始動時から所定時間以上連続して運転されている、アクセル開度の変化量が正値である等の条件を例示することができる。
【0104】
上記したようなEGR制御実行条件が成立していると判定した場合は、CPU351は、機関回転数とアクセル開度とをパラメータとしてEGR弁開度制御マップへアクセスし、前記機関回転数及び前記アクセル開度に対応した目標EGR弁開度を算出する。CPU351は、前記目標EGR弁開度に対応した駆動電力をEGR弁26に印加する。一方、上記したようなEGR制御実行条件が成立していないと判定した場合は、CPU351は、EGR弁26を全閉状態に保持すべく制御する。
【0105】
更に、EGR制御では、CPU351は、内燃機関1の吸入空気量をパラメータとしてEGR弁26の開度をフィードバック制御する、いわゆるEGR弁フィードバック制御を行うようにしてもよい。
【0106】
EGR弁フィードバック制御では、例えば、CPU351は、アクセル開度や機関回転数等をパラメータとして内燃機関1の目標吸入空気量を決定する。その際、アクセル開度と機関回転数と目標吸入空気量との関係を予めマップ化しておき、そのマップとアクセル開度と機関回転数とから目標吸入空気量が算出されるようにしてもよい。
【0107】
上記した手順により目標吸入空気量が決定されると、CPU351は、RAM353に記憶されたエアフローメータ11の出力信号値(実際の吸入空気量)を読み出し、実際の吸入空気量と目標吸入空気量とを比較する。
【0108】
前記した実際の吸入空気量が前記目標吸入空気量より少ない場合には、CPU351は、EGR弁26を所定量閉弁させる。この場合、EGR通路25から吸気枝管8へ流入するEGRガス量が減少し、それに応じて内燃機関1の気筒2内に吸入されるEGRガス量が減少することになる。その結果、内燃機関1の気筒2内に吸入される新気の量は、EGRガスが減少した分だけ増加する。
【0109】
一方、実際の吸入空気量が目標吸入空気量より多い場合には、CPU351は、EGR弁26を所定量開弁させる。この場合、EGR通路25から吸気枝管8へ流入するEGRガス量が増加し、それに応じて内燃機関1の気筒2内に吸入されるEGRガス量が増加する。この結果、内燃機関1の気筒2内に吸入される新気の量は、EGRガスが増加した分だけ減少することになる。
【0110】
次に、NOx浄化制御では、CPU351は、吸蔵還元型NOx触媒20に流入する排気の空燃比を比較的に短い周期でスパイク的(短時間)にリッチ空燃比とする、リッチスパイク制御を実行する。
【0111】
リッチスパイク制御では、CPU351は、所定の周期毎にリッチスパイク制御実行条件が成立しているか否かを判別する。このリッチスパイク制御実行条件としては、例えば、吸蔵還元型NOx触媒20が活性状態にあるか、排気温度センサ24の出力信号値(排気温度)が所定の上限値以下であるか、被毒解消制御が実行されていないか、等の条件を例示することができる。
【0112】
上記したようなリッチスパイク制御実行条件が成立していると判定された場合は、CPU351は、還元剤噴射弁28からスパイク的に還元剤たる燃料を噴射させるべく流量調整弁30を制御することにより、吸蔵還元型NOx触媒20に流入する排気の空燃比を一時的に所定の目標リッチ空燃比とする。
【0113】
具体的には、CPU351は、RAM353に記憶されている機関回転数、アクセル開度センサ36の出力信号(アクセル開度)、エアフローメータ11の出力信号値(吸入空気量)、燃料噴射量等を読み出す。更に、CPU351は、前記した機関回転数とアクセル開度と吸入空気量と燃料噴射量とをパラメータとしてROM352の還元剤添加量制御マップへアクセスし、排気の空燃比を予め設定された目標リッチ空燃比とする上で必要となる還元剤の添加量(目標添加量)を算出する。
【0114】
続いて、CPU351は、前記目標添加量をパラメータとしてROM352の流量調整弁制御マップへアクセスし、還元剤噴射弁28から目標添加量の還元剤を噴射させる上で必要となる流量調整弁30の開弁時間(目標開弁時間)を算出する。
【0115】
流量調整弁30の目標開弁時間が算出されると、CPU351は、流量調整弁30を開弁させる。この場合、燃料ポンプ6から吐出された高圧の燃料が還元剤供給路29を介して還元剤噴射弁28へ供給されるため、還元剤噴射弁28に印加される燃料の圧力が開弁圧以上に達し、還元剤噴射弁28が開弁する。
【0116】
CPU351は、流量調整弁30を開弁させた時点から前記目標開弁時間が経過すると、流量調整弁30を閉弁させる。この場合、燃料ポンプ6から還元剤噴射弁28への還元剤の供給が遮断されるため、還元剤噴射弁28に印加される燃料の圧力が開弁圧未満となり、還元剤噴射弁28が閉弁する。
【0117】
このように流量調整弁30が目標開弁時間だけ開弁されると、目標添加量の燃料が還元剤噴射弁28から排気枝管18内へ噴射されることになる。そして、還元剤噴射弁28から噴射された還元剤は、排気枝管18の上流から流れてきた排気と混ざり合って目標リッチ空燃比の混合気を形成して吸蔵還元型NOx触媒20に流入する。
【0118】
この結果、吸蔵還元型NOx触媒20に流入する排気の空燃比は、比較的に短い周期で「リーン」と「スパイク的な目標リッチ空燃比」とを交互に繰り返すことになり、以て、吸蔵還元型NOx触媒20が窒素酸化物(NOx)の吸収と放出・還元とを交互に短周期的に繰り返すことになる。
【0119】
本実施の形態では、燃料の増量を流量調整弁30の開弁時間を延長して実現している。しかし、一回あたりの流量調整弁30の開弁時間を変更せずに、流量調整弁30の開弁間隔を短くすることによっても同様の効果を得ることができる。また、流量調整弁30の開弁間隔は予めマップ化したものをROM352に記憶させておけばよい。
【0120】
次に、本実施の形態における還元剤供給量増量方法について説明する。
【0121】
図4は、本発明に係る還元剤供給量増量方法を表すフローチャートである。
【0122】
ステップ101においては、還元剤たる燃料の添加を行うリッチスパイク制御実行の可否について判定される。このリッチスパイク制御実行条件としては、例えば、吸蔵還元型NOx触媒20が活性状態にあるか、排気温度センサ24の出力信号値(排気温度)が所定の上限値以下であるか、被毒解消制御が実行されていないか、等の条件を例示することができる。これらの実行条件を満たしていると判定された場合は、ステップ102へ進み、実行条件を満たしていないと判定された場合は、ステップ111へ進む。
【0123】
ステップ102においては、前回のリッチスパイク制御終了から現在までの経過時間が所定時間以上であるか否か判定される。前回のリッチスパイク制御終了からの経過時間はRAM353に蓄積され記憶される。
【0124】
経過時間が所定時間以上でない場合は、NOx触媒20から放出されるNOxの量は通常の燃料添加量で還元できる量なので、通常の燃料添加量でNOxの還元を行うか否かを判定するためにステップ113へ進む。
【0125】
一方、前回のリッチスパイク制御終了からの経過時間が所定時間よりも長い場合は、NOx触媒20にNOxが多量に吸蔵されているため、リッチスパイク制御を実行するとNOx触媒20から多量にNOxが放出され、通常の燃料添加量では不足してしまう。そこで添加する燃料量を補正して、燃料の不足を補うためにステップ103へ進む。
【0126】
ステップ113では、経過時間が所定時間に達しているか否か判定される。所定時間に達している場合は、NOx触媒20からNOxの放出が必要なためステップ114に進む。否定判定の場合には、NOx触媒20は、まだNOxの吸蔵を行うことができるのでリッチスパイク制御を行わずにステップ111に進む。
【0127】
ステップ114では、前記した通常のリッチスパイク制御を実行しNOxの還元を行い、その後、ステップ109へ進む。
【0128】
ステップ103では、燃料添加量の増量を行う実行回数を算出する。経過時間が長いと、NOx触媒20に吸蔵されたNOxの量が多くなり、一回のリッチスパイク制御で総てのNOxを放出させることは困難となる。また、NOx触媒20に所定量以上の燃料の添加を行うと、燃料の一部がNOxの還元に使用されずにNOx触媒20を通過し大気中へ放出される虞れがある。そこで、本実施の形態では、複数回に分けて添加燃料の増量を行うこととした。この増量を行う回数は、RAM353に記憶されている前回のリッチスパイク制御終了時からの経過時間を、予め定めておいた図6に示す前回のリッチスパイク制御終了時からの経過時間と燃料添加量の増量回数との関係に代入して算出される。増量回数は、前回のリッチスパイク制御終了時からの経過時間が所定時間以上のときに、経過時間に応じて増加する。しかし、添加燃料の増量を行う回数が多いと、燃料添加制御中に車両の運転状態等が燃料添加実行条件から外れてしまう虞があるため、所定回数以上の増量は行わないこととした。
【0129】
算出された燃料添加量の増量を行う回数は、RAM353に記憶される。このように増量を行う回数が記憶されたRAM353の領域を本実施の形態では、「カウンタ」と称し、RAM353に増量を行う回数を記憶させることを「カウンタにセットする」と称する。
【0130】
ステップ104では、RAM353に記憶されている燃料添加量の増量を行った回数が0よりも大きいか否か判定される。0よりも大きいと判定された場合は、燃料の増量を行うべくステップ105に進む。
【0131】
否定判定がなされた場合は、添加量の増量を行う必要がないので、ステップ113に進む。
【0132】
ステップ105では、経過時間が所定時間以上であるか否か判定される。ここでの所定時間はステップ102の判定条件として用いられた所定時間よりも短い。そして、所定時間は、機関回転数(クランクポジションセンサ33からの出力パルス)と機関負荷(アクセル開度センサ36からの出力信号)と所定時間とをパラメータとして、予め定められたマップにより算出される。
【0133】
経過時間が短いときにリッチスパイク制御を行うと、NOx触媒20に所定量以上の燃料の添加を行うのと同様に、燃料の一部がNOxの還元に使用されずにNOx触媒20を通過し大気中へ放出される虞れがある。そのため、経過時間が所定時間を経過した後にリッチスパイク制御を行うこととした。
【0134】
経過時間が所定時間以上である場合は、リッチスパイク制御を行うためにステップ106に進む。否定判定の場合には、ステップ111に進む。
【0135】
ステップ106では、燃料添加量を補正する補正量の算出を行う。リッチスパイク制御が行われていなかった時間に基づいて燃料添加量を補正し増量することにより通常の燃料添加量で不足する燃料を補う。実際に添加される燃料の添加量は次式により求めることができる。
【0136】
補正燃料添加量=通常燃料添加量×補正係数
ここで、通常燃料添加量はステップ114のリッチスパイク制御で添加される燃料の量と同じである。また、燃料添加量の補正係数は、RAM353に記憶されている前回のリッチスパイク制御終了時からの経過時間を、予め定めておいた図5に示す前回のリッチスパイク制御終了時からの経過時間と燃料添加量の補正係数との関係に代入して算出される。
【0137】
この補正燃料添加量に基づいて、ステップ107でリッチスパイク制御を行う。
【0138】
補正係数は、前回のリッチスパイク制御終了時からの経過時間が所定時間以上のときに、経過時間に応じて増加する。しかし、NOx触媒20に所定量以上の燃料の添加を行うと、燃料の一部がNOxの還元に使用されずにNOx触媒20を通過し大気中へ放出される虞れがあるため、補正係数に上限値を設定して所定量以上の燃料の添加は行わないこととした。
【0139】
ステップ108では、CPU351はカウンタから1を減算し、新たにこの計算結果をカウンタにセットする。
【0140】
ステップ109では、RAM353に記憶されている経過時間をリセットする。
【0141】
ステップ110では、今回のリッチスパイク制御中にNOx触媒20に吸蔵されたNOxが、吸蔵されるのに必要とされる時間を考慮して次回のリッチスパイク制御を行うために、NOx吸蔵時間を算出する。このとき、単にリッチスパイク制御が実行されていた時間を計測したのでは、NOx触媒20の床温によって吸蔵されるNOx量が変動するため、排気の温度でリッチスパイク制御実行時間を補正することとした。こうすることにより、実際に吸蔵されたNOx量に見合ったNOx吸蔵時間を算出することができる。
【0142】
この時間は次式により算出することができる。
【0143】
NOx吸蔵時間=リッチスパイク制御実行時間×経過時間補正係数
ここで、リッチスパイク制御実行時間は、リッチスパイク制御実行開始と同時にRAM353に実行開始後の経過時間を蓄積し記憶させておくことにより求めることができる。また、経過時間補正係数は、排気温度センサ24により検出された温度を、排気の温度と経過時間補正係数との関係を示す図7に代入することにより算出される。ここで、NOx触媒20の床温が所定温度のときにNOxの吸蔵量が一番多く、所定温度から高く、若しくは低くなるに従って吸蔵量が低下する。このようにリッチスパイク制御中にはNOx触媒20の温度が上昇しているためNOxの吸蔵量が変動するので、NOx触媒20から流出する排気の温度をNOx触媒20の床温に代用し、この温度に基づいて補正を行うこととした。
【0144】
ここで、求められたNOx吸蔵時間は、他のステップで判定条件として用いられる所定時間の修正に用いられる。新たに設定される所定時間は次式により算出することができる。
【0145】
所定時間=基本所定時間+NOx吸蔵時間
ここで、基本所定時間は予め定めてあった所定の時間でROM352にマップとして記憶されているものである。
【0146】
同じ経過時間でもNOx吸蔵時間が長くなると、NOx触媒20に吸蔵されるNOx量が多くなるため、燃料添加時にNOxの放出量が多くなる。そこで、NOx吸蔵時間が長くなるにつれて、判定条件に用いられる所定時間を長くすることにより燃料添加の間隔を長くした。このようにして増加したNOx量に見合った添加間隔でリッチスパイク制御を行うことができる。
この計算により修正された所定時間はRAM353に記憶され、次回からの判定条件として用いられる。
【0147】
ステップ111では、新たにRAM353に記憶させる経過時間を算出する。この経過時間は、次式により算出される。
【0148】
経過時間(i)=経過時間(i−1)+燃料添加制御実行間隔
ここで、燃料添加制御実行間隔は、リッチスパイク制御が行われる間隔である。
【0149】
ステップ112では、燃料添加量の増量回数を表すカウンタが0であるか否か、又は、還元剤たる燃料の添加を行うリッチスパイク制御実行条件が不成立か否か判定される。
【0150】
通常の添加量でリッチスパイク制御を行われたときは、カウンタが0であるので本ルーチンを終了する。燃料添加量の増量が行われたときは、ステップ103で算出された回数だけ添加量を増量したリッチスパイク制御が行われるとカウンタが0となり、本ルーチンを終了する。
【0151】
また、本ルーチンを実行中に燃料添加実行条件から外れた場合には一旦ルーチンを終了する。このときの判定条件は、ステップ101でなされたものと共通である。
【0152】
このようにしてリッチスパイク制御が行われなかった時間に基づいて燃料添加量を補正し、NOx触媒20のNOx放出量見合った燃料添加を行うことができる。
【0153】
このことにより、添加する燃料の不足による大気中へのNOx放出を防止することができる。
<第2の実施の形態>
以下、第2の発明に係る内燃機関の排気浄化装置の具体的な実施態様について説明する。
【0154】
この実施の形態は第1の実施の形態と比較して以下の点で相違する。
【0155】
第1の実施の形態においては、燃料の添加量を補正する判断基準をリッチスパイク制御が行われなかった時間としたが、本実施の形態においては、NOx触媒20に吸蔵されたNOxの量を基準として燃料添加量を補正する。
【0156】
その他の構成については、第1の実施の形態と共通なので説明を割愛する。
【0157】
図8は、本発明に係る還元剤供給量増量方法を表すフローチャートである。
【0158】
ステップ201においては、還元剤たる燃料の添加を行うリッチスパイク制御の実行の可否について判定する。このリッチスパイク制御実行条件としては、例えば、吸蔵還元型NOx触媒20が活性状態にある、排気温度センサ24の出力信号値(排気温度)が所定の上限値以下である、被毒解消制御が実行されていない、等の条件を例示することができる。これらの実行条件を満たしている場合は、ステップ202へ進み、実行条件を満たしていない場合は、ステップ210へ進む。
【0159】
ステップ202においては、前回のリッチスパイク制御終了からのNOx吸蔵量が閾値よりも多いか否か判定される。前回のリッチスパイク制御終了からのNOx吸蔵量は、内燃機関1の負荷(アクセル開度センサ36からの信号)と回転数(クランクポジションセンサ33から発生するパルス)に基づいて予めROM352に格納した数値マップを使用して算出される。
【0160】
NOx吸蔵量が閾値以下の場合は、NOx触媒20から放出されるNOxの量は通常の燃料添加量で還元できる量なので、通常の燃料添加量でNOxの還元を行うためにステップ214へ進む。
【0161】
前回のリッチスパイク制御終了からのNOx吸蔵量が閾値よりも多い場合は、NOx触媒20から放出されるNOx量が多くなり、通常の燃料添加量では不足してしまう。そこで添加する燃料量を補正して、燃料の不足を補うためにステップ203へ進む。
【0162】
ステップ214では、RAM353に通常の添加量でリッチスパイク制御を行う旨の数値をRAM353に記憶させる。本実施の形態では、このことを「通常添加ON」と称している。
【0163】
ステップ215では、前回のリッチスパイク制御終了からのNOx吸蔵量が閾値と等しいか否か判定を行う。ここで、判定条件として用いる閾値はステップ202で使用したものと共通である。
【0164】
NOx吸蔵量が閾値と等しい場合は、通常の燃料添加量にてリッチスパイク制御を行うべくステップ216に進む。否定判定の場合は、NOx触媒20は、まだNOxの吸蔵を行うことができるのでリッチスパイク制御を行わずにステップ210に進む。
【0165】
ステップ216では、通常の添加量でリッチスパイク制御を実行し、NOxの還元を行い、その後、ステップ210に進む。
【0166】
ステップ203では、RAM353に添加量を増量してリッチスパイク制御を行わない旨の数値をRAM353に記憶させる。本実施の形態では、このことを「通常添加OFF」と称している。
【0167】
ステップ204では、NOx触媒20に吸蔵されているNOx量が閾値よりも多いか否か判定される。ここで、閾値は、ステップ202の閾値よりも少なく、燃料添加量を増量しなくても還元を行えるNOx吸蔵量を表す数値である。
【0168】
NOx吸蔵量が閾値よりも大きい場合は、燃料添加量を増量してリッチスパイク制御を行うべくステップ205に進む。否定判定の場合には、添加量の増量は必要ないので、通常の添加量でリッチスパイク制御を行うべくステップ214に進む。
【0169】
ステップ205では、前回の添加を行ったときからの経過時間が、所定時間に達しているか否か判定される。ここで、所定時間は、機関回転数(クランクポジションセンサ33からの出力パルス)と機関負荷(アクセル開度センサ36からの出力信号)と所定時間とをパラメータとして、予め定められたマップにより算出される。また、経過時間は、RAM353に蓄積され記憶される。
【0170】
経過時間が短いときにリッチスパイク制御を行うと、NOx触媒20に所定量以上の燃料の添加を行うのと同様に、燃料の一部がNOxの還元に使用されずにNOx触媒20を通過し大気中へ放出される虞れがある。そのため、経過時間が所定時間を経過した後にリッチスパイク制御を行うこととした。
【0171】
経過時間が所定時間に達している場合は、リッチスパイク制御を行うためにステップ206に進む。否定判定の場合には、ステップ209に進む。
【0172】
ステップ206では、燃料添加量の補正量の算出を行う。NOx触媒20に燃料を添加すると、NOx放出量が多く通常の燃料添加量では不足する。そこで、NOx触媒20のNOx吸蔵量に基づいて燃料添加量を補正し増量する。実際に添加される燃料の添加量は次式により求めることができる。
【0173】
補正燃料添加量=通常燃料添加量×補正係数
ここで、通常燃料添加量はステップ215のリッチスパイク制御で添加される燃料の量と同じである。また、燃料添加量の補正係数は、ステップ204で算出されたNOx触媒20のNOx吸蔵量を、予め定めておいた図9に示すNOx触媒20のNOx吸蔵量と燃料添加量の補正係数との関係に代入して算出される。
【0174】
この補正燃料添加量に基づいて、ステップ207でリッチスパイク制御が行われる。
【0175】
補正係数は、NOx触媒20に吸蔵されているNOx量が所定量以上のときに、NOx吸蔵量に応じて増加する。しかし、NOx触媒20に所定量以上の燃料の添加を行うと、燃料の一部がNOxの還元に使用されずにNOx触媒20を通過し大気中へ放出される虞れがあるため、補正係数に上限値を設定して所定量以上の燃料の添加は行わないこととした。
【0176】
ステップ208では、RAM353に記憶されている経過時間をリセットする。
【0177】
ステップ209では、CPU351が経過時間を積算しRAM353に記憶させる。
【0178】
ステップ210では、今回のリッチスパイク制御で還元された単位時間あたりのNOx量を次式により算出する。
【0179】
NOx還元量=基本NOx還元量×温度補正係数
ここで、基本NOx還元量は、燃料添加量と基本NOx還元量との関係を示す図10(a)から求めることができる。還元されたNOx量はNOx触媒20に添加された燃料量と相関関係があるためである。図10(a)中の燃料添加量とは、ステップ204又はステップ215で行われたリッチスパイク制御における燃料添加量である。この燃料添加量をステップ204又はステップ215において予めRAM353に記憶させておき、この数値を図10(a)に代入することにより基本修正経過時間が算出される。
【0180】
一方、温度係数は、排気温度センサ24により検出された排気の温度を予めRAM353に記憶させておき、排気の温度と温度係数との関係を示す図10(b)に前記記憶させた数値を代入して算出される。ここで、NOx触媒20の床温が所定温度のときにNOxの放出・還元量が一番多く、所定温度から高く、若しくは低くなるに従って放出・還元量が低下する。このようにNOxが放出され還元される量は、NOx触媒20の床温により変動するため、NOx触媒20から流出する排気の温度をNOx触媒20の床温に代用し、この温度に基づいて補正を行うこととした。
【0181】
ステップ211では、リッチスパイク制御実行の有無にかかわらず、NOx触媒20に吸蔵される単位時間あたりのNOx量を算出する。これは、リッチスパイク制御実行中においても、NOx触媒20に流入する排気中のNOxがNOx触媒20に吸蔵されるためである。
【0182】
このNOx量は次式により算出することができる。
【0183】
NOx吸蔵量=(単位時間あたりの入ガスNOx量)×(NOx吸蔵係数)
ここで、単位時間あたりの入りガスNOx量は、内燃機関1の負荷(アクセル開度センサ36からの信号)と回転数(クランクポジションセンサ33から発生するパルス)に基づいて予めROM352に格納した数値マップを使用して算出される。また、NOx吸蔵係数は、排気温度センサ24により検出された温度を、排気の温度とNOx吸蔵係数との関係を示す図11に代入して算出される。ここで、NOx触媒20の床温が所定温度のときにNOxの吸蔵量が一番多く、所定温度から高く、若しくは低くなるに従って吸蔵量が低下する。このようにリッチスパイク制御中にはNOx触媒20の温度が上昇しているためNOxの吸蔵量が変動するので、NOx触媒20から流出する排気の温度をNOx触媒20の床温に代用し、この温度に基づいて補正を行うこととした。
【0184】
ステップ212では、今回のリッチスパイク制御実行後に放出されずにNOx触媒20に吸蔵されているNOxの量を算出する。今回のリッチスパイク制御で還元されなかったNOxの量を考慮して、次回のリッチスパイク制御を行うためである。単位時間あたりの触媒に吸蔵されているNOx量は、次式により求まる。
【0185】
触媒NOx吸蔵量(i)=触媒NOx吸蔵量(i−1)+NOx吸蔵量−NOx還元量
このようにして求めた「触媒NOx吸蔵量」を、RAM353に記憶されている「触媒NOx吸蔵量」に代えてRAM353に記憶させる。
【0186】
ステップ213では、「通常添加ON」であるか否か、又は、還元剤たる燃料の添加を行うリッチスパイク制御実行条件が不成立か否か判定される。
【0187】
通常の添加量でリッチスパイク制御を行われたときは、「通常添加ON」であるので本ルーチンを終了する。燃料添加量の増量が行われたときは、ステップ204で否定判定がなされると、「通常添加ON」となり、本ルーチンを終了する。
【0188】
また、本ルーチンを実行中に燃料添加実行条件から外れた場合には一旦ルーチンを終了する。このときの判定条件は、ステップ201でなされたものと共通である。
【0189】
このようにしてNOx触媒20に吸蔵されたNOx量に基づいて燃料添加量を補正し、NOx触媒20のNOx放出量に見合った燃料添加を行うことができる。
【0190】
このようにして、添加する燃料の不足によって還元されずに大気中へNOxが放出されるのを防止することができる。
【0191】
【発明の効果】
本願発明によれば、NOx浄化触媒に還元剤が添加されなかった時間に基づいて還元剤供給量を増量し、NOx放出量に見合った還元剤の供給を行うことができる。
【0192】
また、NOx浄化触媒に吸蔵されたNOx量に基づいて還元剤供給量を増量し、NOx放出量に見合った還元剤の供給を行うことができる。
【0193】
よって、還元剤の供給不足などに起因した排気エミッションの悪化を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る内燃機関の排気浄化装置を適用する内燃機関とその吸排気系の概略構成を示す図である。
【図2】 (A)は、吸蔵還元型NOx触媒のNOx吸収メカニズムを説明する図である。(B)は、吸蔵還元型NOx触媒のNOx放出メカニズムを説明する図である。
【図3】 ECUの内部構成を示すブロック図である。
【図4】 第1の発明に係る還元剤供給量増量方法を表すフローチャート図である。
【図5】 前回のリッチスパイク制御終了時からの経過時間と燃料添加量の補正係数との関係を示す図である。
【図6】 前回のリッチスパイク制御終了時からの経過時間と燃料添加量の増量回数との関係を示す図である。
【図7】 排気の温度と経過時間補正係数との関係を示す図である。
【図8】 第2の発明に係る還元剤供給量増量方法を表すフローチャート図である。
【図9】 NOx触媒のNOx吸蔵量と燃料添加量の補正係数との関係を示す図である。
【図10】(a)は、燃料添加量と基本NOx還元量との関係を示す図である。(b)は、排気の温度と温度係数との関係を示す図である。
【図11】排気の温度とNOx吸蔵係数との関係を示す図である。
【符号の説明】
1・・・・内燃機関
2・・・・気筒
3・・・・燃料噴射弁
4・・・・コモンレール
5・・・・燃料供給管
6・・・・燃料ポンプ
18・・・排気枝管
19・・・排気管
20・・・吸蔵還元型NOx触媒
21・・・排気絞り弁
23・・・空燃比センサ
25・・・EGR通路
26・・・EGR弁
27・・・EGRクーラ
28・・・還元剤噴射弁
29・・・還元剤供給路
30・・・流量調整弁
31・・・遮断弁
32・・・還元剤圧力センサ
33・・・クランクポジションセンサ
34・・・水温センサ
35・・・ECU
351・・CPU
352・・ROM
353・・RAM
354・・バックアップRAM
Claims (7)
- 酸素過剰状態の混合気を燃焼可能とする希薄燃焼式の内燃機関と、
前記内燃機関の排気通路に設けられ、前記還元剤の存在下で排気中のNOx成分を浄化するNOx浄化触媒と、
前記排気通路を流通する排気中に還元剤を供給する還元剤供給機構と、
前記還元剤供給機構の還元剤供給停止後からの経過時間を検出する経過時間検出手段と、
前記経過時間検出手段により検出された経過時間が所定時間よりも長い場合は、この経過時間が前記所定時間以下の場合よりも、前記還元剤供給機構によって供給する還元剤の量を増量し、且つ、前記経過時間検出手段により検出された経過時間に基づいて還元剤の増量分を決定する供給量増量手段と、
を具備することを特徴とする内燃機関の排気浄化装置。 - 前記供給量増量手段は、前記経過時間検出手段により検出された経過時間が長いほど還元剤の供給量を増量することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の排気浄化装置。
- 前記供給量増量手段は所定量以上の増量は行わないことを特徴とする請求項1又は2に記載の内燃機関の排気浄化装置。
- 酸素過剰状態の混合気を燃焼可能とする希薄燃焼式の内燃機関と、
前記内燃機関の排気通路に設けられ、還元剤の存在下で排気中のNOx成分を浄化するNOx浄化触媒と、
前記排気通路を流通する排気中に前記還元剤を供給する還元剤供給機構と、
前記還元剤供給機構の還元剤供給停止後からの前記NOx浄化触媒に吸蔵されたNOxの量を算出するNOx吸蔵量算出手段と、
前記NOx吸蔵量算出手段により算出されたNO x 吸蔵量が閾値よりも多い場合は、このNOx吸蔵量が前記閾値以下の場合よりも、前記還元剤供給機構によって供給する還元剤の量を増量し、且つ、前記NO x 吸蔵量算出手段により算出されたNO x 吸蔵量に基づいて還元剤の増量分を決定する供給量増量手段と、
を具備することを特徴とする内燃機関の排気浄化装置。 - 前記供給量増量手段は、前記NOx吸蔵量算出手段により算出されたNOx吸蔵量が多いほど還元剤の供給量を増量することを特徴とする請求項4に記載の内燃機関の排気浄化装置。
- 前記供給量増量手段は所定量以上の還元剤供給量の増量は行わないことを特徴とする請求項4又は5に記載の内燃機関の排気浄化装置。
- 前記供給量増量手段は、還元剤が複数回に亘って供給されるときの供給の間隔を短くして、還元剤の供給回数を増加させることにより、全体として還元剤の供給量を増量させることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の内燃機関の排気浄化装置。
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