JP3747778B2 - 内燃機関の排気浄化装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関の排気浄化装置に関し、例えばディーゼルエンジンの排気中に含まれる浮遊粒子状物質である煤に代表されるパティキュレートマター(Particulate Matter以下特に断らない限り「PM」という。)を捕集する手段を有する排気浄化装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ディーゼルエンジンは経済性に優れている反面、排気中に含まれるPMの除去が重要な課題となっている。このため、大気中にPMが放出されないようにディーゼルエンジンの排気系にPM捕集を行うパティキュレートフィルタ(以下、単に「フィルタ」とする)を設ける技術が周知である。
【0003】
このフィルタにより排気中のPMが一旦捕集される。しかし、捕集されたPMはフィルタに堆積しフィルタの目詰まりを発生させる。この目詰まりによりフィルタ上流の排気の圧力が上昇し内燃機関の出力低下やフィルタの毀損を誘発する。そこで、フィルタ上に捕集されたPMを着火燃焼せしめることによりPMを除去しフィルタの目詰まりを防止する必要が生じる。このようにPMを除去することをフィルタの再生という。
【0004】
しかし、前記フィルタに捕集されたPMを着火燃焼させるためには、例えば500℃以上の高温が必要であるが、ディーゼルエンジンの排気の温度は通常この温度よりも低いためPMの燃焼除去は困難である。
【0005】
このような問題に対し例えば特開平8−338230号公報によれば、触媒を担持したフィルタと、排気中に炭化水素を供給する装置とを使用し、排気中に供給した炭化水素を触媒で燃焼させた際に発生する熱を利用してPMの燃焼を可能とし、以て目詰まりを防止している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、このように炭化水素を排気中に供給してフィルタを高温状態にすると、触媒の熱劣化を誘発し触媒能力の低下の原因となる。
【0007】
ここで、熱劣化について吸蔵還元型NOx触媒を例に説明すると、NOx触媒におけるNOxの吸収は白金Pt(触媒物質)とカリウムK(NOx吸収剤)との界面において行われるが、Ptは熱によってシンタリングを起こし、成長して粒径が大きくなることが知られている。車両用内燃機関から排出される排気の浄化においては、NOx触媒に加わる熱負荷が大きく、白金Ptのシンタリングを避けることはできない。このように白金Ptがシンタリングを起こすと、白金PtとカリウムKの接触面積が少なくなり、即ち、白金PtとカリウムKの界面が少なくなる。この結果、NOx触媒のNOx吸収能力が低下し、NOx浄化能力が低下する。一度シンタリングを起こしたPtをシンタリングする前の状態に戻すことは不可能であり、従って、NOx触媒を熱劣化から回復することはできない。
【0008】
このような問題を解決するために、排気中に供給する炭化水素の量を調整し、触媒温度の上昇を抑制すると、PMの燃焼が促進されずに燃え残る虞がある。この場合、触媒の熱劣化は防止できるが、一方でフィルタの目詰まりが発生する虞がある。
【0009】
本発明は以上の問題を解決するためになされたものであり、本発明が解決しようとする課題は、触媒を坦持したパティキュレートフィルタを具備する内燃機関の排気浄化装置において、フィルタの熱劣化を抑制しつつフィルタに堆積した粒子状物質を完全に除去し、以て長期に亘りフィルタの機能低下を防止することができる技術を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を達成するために本発明の内燃機関の排気浄化装置は、次の手段を採用した。
【0011】
すなわち、内燃機関の排気通路に設けられ排気中に含まれる粒子状物質を捕集し且つ捕集された粒子状物質の燃焼を促進させる触媒が担持されたフィルタと、前記フィルタの温度を上昇させるフィルタ温度上昇手段と、を具備し、前記フィルタ温度上昇手段は、第一の所定条件が成立したときにフィルタの温度を第一の所定温度まで上昇させて前記粒子状物質を燃焼減量し、又、第二の所定条件が成立したときにはフィルタの温度を前記第一の所定温度よりも高温の第二の所定温度に上昇させ、且つ、前記第二の所定温度まで上昇させる間隔は、前記第一の所定温度まで上昇させる間隔よりも長く、該第二の所定温度に昇温している期間は、該第一の所定温度に昇温している期間よりも短いことを特徴とする。
【0012】
このように構成された内燃機関の排気浄化装置では、排気中に含まれる粒子状物質が排気通路に設けられたフィルタによって捕集される。捕集された粒子状物質はフィルタ内に堆積しフィルタの目詰まりの原因となるため、第一の所定条件が成立したときにフィルタ温度上昇手段によってフィルタの温度が上昇され、堆積した粒子状物質が燃焼減量させる。このときにフィルタが高温になると熱劣化し触媒機能が低下するために、フィルタ温度を例えば500℃程度の第一の所定温度にして熱劣化を防止する。
【0013】
しかし、この第一の所定温度では堆積した粒子状物質が燃え残る場合があり、このように残留する粒子状物質は次第に量が増えフィルタの目詰まりを発生させる虞がある。
【0014】
そこで、本願発明においては、第二の所定条件が成立したときに、第一の所定温度よりも高温の例えば700℃程度の第二の所定温度にフィルタを温度上昇させて、粒子状物質を完全に燃焼除去させることとした。
【0015】
このようにフィルタ温度を第二の所定温度に上昇させると、触媒の熱劣化を誘発する虞がある。そこで、フィルタを第二の所定温度に昇温している期間を第一の所定温度に昇温している期間よりも短くし、且つ、第二の所定条件成立によるフィルタの温度上昇間隔を第一の所定条件成立によるものよりも長くなるように第一及び第二の条件を設定することで、触媒機能の低下を抑制している。
【0016】
フィルタ温度を第一の所定温度に上昇させるときの条件となる第一の所定条件としては、車両が所定の距離を走行したこと、内燃機関の負荷と回転数とから算出された粒子状物質の排出量が所定量に達したこと等を例示することができる。
【0017】
また、フィルタ温度を第二の所定温度に上昇させるときの条件となる第二の所定条件としては、フィルタを第一の所定温度に上昇させて粒子状物質の燃焼減量を所定回数行ったことや、車両が所定の距離を走行したこと、内燃機関の負荷と回転数とから算出された粒子状物質の排出量が所定量に達したこと等を例示することができる。
【0018】
このように、通常は第一の所定温度にフィルタ温度を上昇させて熱劣化を防止しつつ粒子状物質を燃焼減量することができる。
【0019】
また、長い間隔で第一の所定温度よりも高温の第二の所定温度にフィルタを温度上昇させるので、残留した粒子状物質を完全に燃焼除去しつつ触媒の早期機能低下を防止することができる。
【0020】
フィルタ温度上昇手段としては、排気通路に設けたノズルによりフィルタ上流へ還元剤を供給する方法や、内燃機関の気筒内へ機関出力のための燃料を噴射させる主噴射の後の機関出力とはならない時期(例えば膨張行程)に再度燃料を噴射させる副噴射(ポスト噴射ともいう)を用いる方法、外部からヒータを用いてフィルタを直接加熱する方法等が例示できる。
【0021】
フィルタに担持させる触媒としては、吸蔵還元型NOx触媒、選択還元型NOx触媒、酸化触媒等を例示できる。
【0022】
フィルタとしては、パティキュレートフィルタを例示できる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る内燃機関の排気浄化装置の具体的な実施態様について図面に基づいて説明する。ここでは、本発明に係る排気浄化装置を車両駆動用のディーゼル機関に適用した場合を例に挙げて説明する。
【0024】
図1は、本発明に係る排気浄化装置を適用する内燃機関とその吸排気系の概略構成を示す図である。
【0025】
図1に示す内燃機関1は、4つの気筒2を有する水冷式の4サイクル・ディーゼル機関である。
【0026】
内燃機関1は、各気筒2の燃焼室に直接燃料を噴射する燃料噴射弁3を備えている。各燃料噴射弁3は、燃料を所定圧まで蓄圧する蓄圧室(コモンレール)4と接続されている。このコモンレール4には、該コモンレール4内の燃料の圧力に対応した電気信号を出力するコモンレール圧センサ4aが取り付けられている。
【0027】
前記コモンレール4は、燃料供給管5を介して燃料ポンプ6と連通している。この燃料ポンプ6は、内燃機関1の出力軸(クランクシャフト)の回転トルクを駆動源として作動するポンプであり、該燃料ポンプ6の入力軸に取り付けられたポンププーリ6aが内燃機関1の出力軸(クランクシャフト)に取り付けられたクランクプーリ1aとベルト7を介して連結されている。
【0028】
このように構成された燃料噴射系では、クランクシャフトの回転トルクが燃料ポンプ6の入力軸へ伝達されると、燃料ポンプ6は、クランクシャフトから該燃料ポンプ6の入力軸へ伝達された回転トルクに応じた圧力で燃料を吐出する。
【0029】
前記燃料ポンプ6から吐出された燃料は、燃料供給管5を介してコモンレール4へ供給され、コモンレール4にて所定圧まで蓄圧されて各気筒2の燃料噴射弁3へ分配される。そして、燃料噴射弁3に駆動電流が印加されると、燃料噴射弁3が開弁し、その結果、燃料噴射弁3から気筒2内へ燃料が噴射される。
【0030】
次に、内燃機関1には、吸気枝管8が接続されており、吸気枝管8の各枝管は、各気筒2の燃焼室と図示しない吸気ポートを介して連通している。
【0031】
前記吸気枝管8は、吸気管9に接続され、この吸気管9は、エアクリーナボックス10に接続されている。前記エアクリーナボックス10より下流の吸気管9には、該吸気管9内を流通する吸気の質量に対応した電気信号を出力するエアフローメータ11と、該吸気管9内を流通する吸気の温度に対応した電気信号を出力する吸気温度センサ12とが取り付けられている。
【0032】
前記吸気管9における吸気枝管8の直上流に位置する部位には、該吸気管9内を流通する吸気の流量を調節する吸気絞り弁13が設けられている。この吸気絞り弁13には、ステッパモータ等で構成されて該吸気絞り弁13を開閉駆動する吸気絞り用アクチュエータ14が取り付けられている。
【0033】
前記エアフローメータ11と前記吸気絞り弁13との間に位置する吸気管9には、排気の熱エネルギを駆動源として作動する遠心過給機(ターボチャージャ)15のコンプレッサハウジング15aが設けられ、コンプレッサハウジング15aより下流の吸気管9には、前記コンプレッサハウジング15a内で圧縮されて高温となった吸気を冷却するためのインタークーラ16が設けられている。
【0034】
このように構成された吸気系では、エアクリーナボックス10に流入した吸気は、該エアクリーナボックス10内の図示しないエアクリーナによって吸気中の塵や埃等が除去された後、吸気管9を介してコンプレッサハウジング15aに流入する。
【0035】
コンプレッサハウジング15aに流入した吸気は、該コンプレッサハウジング15aに内装されたコンプレッサホイールの回転によって圧縮される。前記コンプレッサハウジング15a内で圧縮されて高温となった吸気は、インタークーラ16にて冷却された後、必要に応じて吸気絞り弁13によって流量を調節されて吸気枝管8に流入する。吸気枝管8に流入した吸気は、各枝管を介して各気筒2の燃焼室へ分配され、各気筒2の燃料噴射弁3から噴射された燃料を着火源として燃焼される。
【0036】
一方、内燃機関1には、排気枝管18が接続され、排気枝管18の各枝管が図示しない排気ポートを介して各気筒2の燃焼室と連通している。
【0037】
前記排気枝管18は、前記遠心過給機15のタービンハウジング15bと接続されている。前記タービンハウジング15bは、排気管19と接続され、この排気管19は、下流にて図示しないマフラーに接続されている。
【0038】
前記排気管19の途中には、吸蔵還元型NOx触媒を担持したパティキュレートフィルタ20が配置されている。フィルタ20より下流の排気管19には、該排気管19内を流通する排気の空燃比に対応した電気信号を出力する空燃比センサ23と、該排気管19内を流通する排気の温度に対応した電気信号を出力する排気温度センサ24とが取り付けられている。
【0039】
前記した空燃比センサ23及び排気温度センサ24より下流の排気管19には、該排気管19内を流通する排気の流量を調節する排気絞り弁21が設けられている。この排気絞り弁21には、ステッパモータ等で構成されて該排気絞り弁21を開閉駆動する排気絞り用アクチュエータ22が取り付けられている。
【0040】
このように構成された排気系では、内燃機関1の各気筒2で燃焼された混合気(既燃ガス)が排気ポートを介して排気枝管18へ排出され、次いで排気枝管18から遠心過給機15のタービンハウジング15bへ流入する。タービンハウジング15bに流入した排気は、該排気が持つ熱エネルギを利用してタービンハウジング15b内に回転自在に支持されたタービンホイールを回転させる。その際、タービンホイールの回転トルクは、前述したコンプレッサハウジング15aのコンプレッサホイールへ伝達される。
【0041】
前記タービンハウジング15bから排出された排気は、排気管19を介してフィルタ20へ流入し、排気中のPMが捕集され且つ有害ガス成分が除去又は浄化される。フィルタ20にてPMを捕集され且つ有害ガス成分を除去又は浄化された排気は、必要に応じて排気絞り弁21によって流量を調節された後にマフラーを介して大気中に放出される。
【0042】
また、排気枝管18と吸気枝管8とは、排気枝管18内を流通する排気の一部を吸気枝管8へ再循環させる排気再循環通路(EGR通路)25を介して連通されている。このEGR通路25の途中には、電磁弁などで構成され、印加電力の大きさに応じて前記EGR通路25内を流通する排気(以下、EGRガスと称する)の流量を変更する流量調整弁(EGR弁)26が設けられている。
【0043】
前記EGR通路25においてEGR弁26より上流の部位には、該EGR通路25内を流通するEGRガスを冷却するEGRクーラ27が設けられている。
【0044】
このように構成された排気再循環機構では、EGR弁26が開弁されると、EGR通路25が導通状態となり、排気枝管18内を流通する排気の一部が前記EGR通路25へ流入し、EGRクーラ27を経て吸気枝管8へ導かれる。
【0045】
その際、EGRクーラ27では、EGR通路25内を流通するEGRガスと所定の冷媒との間で熱交換が行われ、EGRガスが冷却されることになる。
【0046】
EGR通路25を介して排気枝管18から吸気枝管8へ還流されたEGRガスは、吸気枝管8の上流から流れてきた新気と混ざり合いつつ各気筒2の燃焼室へ導かれ、燃料噴射弁3から噴射される燃料を着火源として燃焼される。
【0047】
ここで、EGRガスには、水(H2O)や二酸化炭素(CO2)などのように、自らが燃焼することがなく、且つ、吸熱性を有する不活性ガス成分が含まれているため、EGRガスが混合気中に含有されると、混合気の燃焼温度が低められ、以て窒素酸化物(NOx)の発生量が抑制される。
【0048】
更に、EGRクーラ27においてEGRガスが冷却されると、EGRガス自体の温度が低下するとともにEGRガスの体積が縮小されるため、EGRガスが燃焼室内に供給されたときに該燃焼室内の雰囲気温度が不要に上昇することがなくなるとともに、燃焼室内に供給される新気の量(新気の体積)が不要に減少することもない。
【0049】
次に、本実施の形態に係るフィルタ20について説明する。
【0050】
図4にフィルタ20の構造を示す。なお、図4において(A)はフィルタ20の横方向断面を示しており、(B)はフィルタ20の縦方向断面図を示している。図4(A)及び(B)に示されるようにフィルタ20は、互いに平行をなして延びる複数個の排気流通路50,51を具備するいわゆるウォールフロー型である。これら排気流通路は下流端が栓52により閉塞された排気流入通路50と、上流端が栓53により閉塞された排気流出通路51とにより構成される。なお、図4(A)においてハッチングを付した部分は栓53を示している。従って、排気流入通路50および排気流出通路51は薄肉の隔壁54を介して交互に配置される。換言すると排気流入通路50および排気流出通路51は各排気流入通路50が4つの排気流出通路51によって包囲され、各排気流出通路51が4つの排気流入通路50によって包囲されるように配置される。
【0051】
フィルタ20は例えばコージライトのような多孔質材料から形成されており、従って排気流入通路50内に流入した排気は図4(B)において矢印で示されるように周囲の隔壁54内を通って隣接する排気流出通路51内に流出する。
【0052】
本発明による実施例では各排気流入通路50および各排気流出通路51の周壁面、即ち各隔壁54の両側表面上および隔壁54内の細孔内壁面上には例えばアルミナからなる担体の層が形成されており、この担体上に吸蔵還元型NOx触媒が坦持されている。
【0053】
次に、本実施の形態に係るフィルタ20に担持された吸蔵還元型NOx触媒の働きについて説明する。
【0054】
フィルタ20は、例えば、アルミナを担体とし、その担体上に、カリウム(K)、ナトリウム(Na)、リチウム(Li)、もしくはセシウム(Cs)等のアルカリ金属と、バリウム(Ba)もしくはカルシウム(Ca)等のアルカリ土類と、ランタン(La)もしくはイットリウム(Y)等の希土類とから選択された少なくとも1つと、白金(Pt)等の貴金属とを担持して構成されている。尚、本実施の形態では、アルミナからなる担体上にバリウム(Ba)と白金(Pt)とを担持して構成される吸蔵還元型NOx触媒を例に挙げて説明する。
【0055】
このように構成されたNOx触媒は、該NOx触媒に流入する排気の酸素濃度が高いときは排気中の窒素酸化物(NOx)を吸収する。
【0056】
一方、NOx触媒は、該NOx触媒に流入する排気の酸素濃度が低下したときは吸収していた窒素酸化物(NOx)を放出する。その際、排気中に炭化水素(HC)や一酸化炭素(CO)等の還元成分が存在していれば、NOx触媒は、該NOx触媒から放出された窒素酸化物(NOx)を窒素(N2)に還元せしめることができる。
【0057】
尚、NOx触媒のNOx吸放出作用については明らかにされていない部分もあるが、おおよそ以下のようなメカニズムによって行われていると考えられる。
【0058】
先ず、NOx触媒では、該NOx触媒に流入する排気の空燃比がリーン空燃比となって排気中の酸素濃度が高まると、図2(A)に示されるように、排気中の酸素(O2)がO2 -またはO2-の形で白金(Pt)の表面上に付着する。排気中の一酸化窒素(NO)は、白金(Pt)の表面上でO2 -またはO2-と反応して二酸化窒素(NO2)を形成する(2NO+O2→2NO2)。二酸化窒素(NO2)は、白金(Pt)の表面上で更に酸化され、硝酸イオン(NO3 -)の形でNOx触媒に吸収される。尚、NOx触媒に吸収された硝酸イオン(NO3 -)は、酸化バリウム(BaO)と結合して硝酸バリウム(Ba(NO32)を形成する。
【0059】
このようにNOx触媒に流入する排気の空燃比がリーン空燃比であるときは、排気中の窒素酸化物(NOx)が硝酸イオン(NO3-)としてNOx触媒に吸収される。
【0060】
上記したようなNOx吸収作用は、流入排気の空燃比がリーン空燃比であり、且つNOx触媒のNOx吸収能力が飽和しない限り継続される。従って、NOx触媒に流入する排気の空燃比がリーン空燃比であるときは、NOx触媒のNOx吸収能力が飽和しない限り、排気中の窒素酸化物(NOx)がNOx触媒に吸収され、排気中から窒素酸化物(NOx)が除去されることになる。
【0061】
これに対して、NOx触媒では、該NOx触媒に流入する排気の酸素濃度が低下すると、白金(Pt)の表面上において二酸化窒素(NO2)の生成量が減少するため、酸化バリウム(BaO)と結合していた硝酸イオン(NO3 -)が逆に二酸化窒素(NO2)や一酸化窒素(NO)となってNOx触媒から離脱する。
【0062】
その際、排気中に炭化水素(HC)や一酸化炭素(CO)等の還元成分が存在していれば、それらの還元成分が白金(Pt)上の酸素(O2 -またはO2-)と部分的に反応して活性種を形成する。この活性種は、NOx触媒から放出された二酸化窒素(NO2)や一酸化窒素(NO)を窒素(N2)に還元せしめることになる。
【0063】
従って、NOx触媒に流入する排気の空燃比が理論空燃比又はリッチ空燃比となって排気中の酸素濃度が低下するとともに還元剤の濃度が高まると、NOx触媒に吸収されていた窒素酸化物(NOx)が放出及び還元され、以てNOx触媒のNOx吸収能力が再生されることになる。
【0064】
ところで、内燃機関1が希薄燃焼運転されている場合は、内燃機関1から排出される排気の空燃比がリーン雰囲気となり排気の酸素濃度が高くなるため、排気中に含まれる窒素酸化物(NOx)がNOx触媒に吸収されることになるが、内燃機関1の希薄燃焼運転が長期間継続されると、NOx触媒のNOx吸収能力が飽和し、排気中の窒素酸化物(NOx)がNOx触媒にて除去されずに大気中へ放出されてしまう。
【0065】
特に、内燃機関1のようなディーゼル機関では、大部分の運転領域においてリーン空燃比の混合気が燃焼され、それに応じて大部分の運転領域において排気の空燃比がリーン空燃比となるため、NOx触媒のNOx吸収能力が飽和し易い。
【0066】
従って、内燃機関1が希薄燃焼運転されている場合は、NOx触媒のNOx吸収能力が飽和する前にNOx触媒に流入する排気中の酸素濃度を低下させるとともに還元剤の濃度を高め、NOx触媒に吸収された窒素酸化物(NOx)を放出及び還元させる必要がある。
【0067】
本実施の形態に係る内燃機関の排気浄化装置は、フィルタ20より上流の排気通路を流通する排気中に還元剤たる燃料(軽油)を添加する還元剤供給機構を備え、この還元剤供給機構から排気中へ燃料を添加することにより、フィルタ20に流入する排気の酸素濃度を低下させるとともに還元剤の濃度を高めるようにした。
【0068】
還元剤供給機構は、図1に示されるように、その噴孔が排気枝管18内に臨むよう内燃機関1のシリンダヘッドに取り付けられ、所定の開弁圧以上の燃料が印加されたときに開弁して燃料を噴射する還元剤噴射弁28と、前述した燃料ポンプ6から吐出された燃料を前記還元剤噴射弁28へ導く還元剤供給路29と、この還元剤供給路29の途中に設けられ該還元剤供給通路29内を流通する燃料の流量を調整する流量調整弁30と、この流量調整弁30より上流の還元剤供給路29に設けられて該還元剤供給路29内の燃料の流通を遮断する遮断弁31と、前記流量調整弁30より上流の還元剤供給路29に取り付けられ該還元剤供給路29内の圧力に対応した電気信号を出力する還元剤圧力センサ32と、を備えている。
【0069】
尚、還元剤噴射弁28は、該還元剤噴射弁28の噴孔が排気枝管18におけるEGR通路25との接続部位より下流であって、排気枝管18における4つの枝管の集合部に最も近い気筒2の排気ポートに突出するとともに、排気枝管18の集合部へ向くようシリンダヘッドに取り付けられることが好ましい。
【0070】
これは、還元剤噴射弁28から噴射された還元剤(未燃の燃料成分)がEGR通路25へ流入するのを防止するとともに、還元剤が排気枝管18内に滞ることなく遠心過給機のタービンハウジング15bへ到達するようにするためである。
【0071】
尚、図1に示す例では、内燃機関1の4つの気筒2のうち1番(#1)気筒2が排気枝管18の集合部と最も近い位置にあるため、1番(#1)気筒2の排気ポートに還元剤噴射弁28が取り付けられているが、1番(#1)気筒2以外の気筒2が排気枝管18の集合部と最も近い位置にあるときは、その気筒2の排気ポートに還元剤噴射弁28が取り付けられるようにする。
【0072】
また、前記還元剤噴射弁28は、シリンダヘッドに形成された図示しないウォータージャケットを貫通、あるいはウォータージャケットに近接して取り付けられるようにし、前記ウォータージャケットを流通する冷却水を利用して還元剤噴射弁28が冷却されるようにしてもよい。
【0073】
このような還元剤供給機構では、流量調整弁30が開弁されると、燃料ポンプ6から吐出された高圧の燃料が還元剤供給路29を介して還元剤噴射弁28へ印加される。そして、還元剤噴射弁28に印加される燃料の圧力が開弁圧以上に達すると、該還元剤噴射弁28が開弁して排気枝管18内へ還元剤としての燃料が噴射される。
【0074】
還元剤噴射弁28から排気枝管18内へ噴射された還元剤は、排気枝管18の上流から流れてきた排気ととともにタービンハウジング15bへ流入する。タービンハウジング15b内に流入した排気と還元剤とは、タービンホイールの回転によって撹拌されて均質に混合され、リッチ空燃比の排気を形成する。
【0075】
このようにして形成されたリッチ空燃比の排気は、タービンハウジング15bから排気管19を介してフィルタ20に流入し、フィルタ20に吸収されていた窒素酸化物(NOx)を放出させつつ窒素(N2)に還元することになる。
【0076】
その後、流量調整弁30が閉弁されて燃料ポンプ6から還元剤噴射弁28への還元剤の供給が遮断されると、還元剤噴射弁28に印加される燃料の圧力が前記開弁圧未満となり、その結果、還元剤噴射弁28が閉弁し、排気枝管18内への還元剤の添加が停止されることになる。
【0077】
以上述べたように構成された内燃機関1には、該内燃機関1を制御するための電子制御ユニット(ECU:Electronic Control Unit)35が併設されている。このECU35は、内燃機関1の運転条件や運転者の要求に応じて内燃機関1の運転状態を制御するユニットである。
【0078】
ECU35には、コモンレール圧センサ4a、エアフローメータ11、吸気温度センサ12、吸気管圧力センサ17、空燃比センサ23、排気温度センサ24、還元剤圧力センサ32、クランクポジションセンサ33、水温センサ34、アクセル開度センサ36等の各種センサが電気配線を介して接続され、上記した各種センサの出力信号がECU35に入力されるようになっている。
【0079】
一方、ECU35には、燃料噴射弁3、吸気絞り用アクチュエータ14、排気絞り用アクチュエータ22、EGR弁26、流量調整弁30、遮断弁31等が電気配線を介して接続され、上記した各部をECU35が制御することが可能になっている。
【0080】
ここで、ECU35は、図3に示すように、双方向性バス350によって相互に接続された、CPU351と、ROM352と、RAM353と、バックアップRAM354と、入力ポート356と、出力ポート357とを備えるとともに、前記入力ポート356に接続されたA/Dコンバータ(A/D)355を備えている。
【0081】
前記入力ポート356は、クランクポジションセンサ33のようにデジタル信号形式の信号を出力するセンサの出力信号を入力し、それらの出力信号をCPU351やRAM353へ送信する。
【0082】
前記入力ポート356は、コモンレール圧センサ4a、エアフローメータ11、吸気温度センサ12、吸気管圧力センサ17、空燃比センサ23、排気温度センサ24、還元剤圧力センサ32、水温センサ34、アクセル開度センサ36、等のように、アナログ信号形式の信号を出力するセンサのA/D355を介して入力し、それらの出力信号をCPU351やRAM353へ送信する。
【0083】
前記出力ポート357は、燃料噴射弁3、吸気絞り用アクチュエータ14、排気絞り用アクチュエータ22、EGR弁26、流量調整弁30、遮断弁31等と電気配線を介して接続され、CPU351から出力される制御信号を、前記した燃料噴射弁3、吸気絞り用アクチュエータ14、排気絞り用アクチュエータ22、EGR弁26、流量調整弁30、あるいは遮断弁31へ送信する。
【0084】
前記ROM352は、燃料噴射弁3を制御するための燃料噴射制御ルーチン、吸気絞り弁13を制御するための吸気絞り制御ルーチン、排気絞り弁21を制御するための排気絞り制御ルーチン、EGR弁26を制御するためのEGR制御ルーチン、フィルタ20に捕集されたPMを燃焼除去するためのPM燃焼制御ルーチン、フィルタ20の酸化物による被毒を解消するための被毒解消制御ルーチン等のアプリケーションプログラムを記憶している。
【0085】
前記ROM352は、上記したアプリケーションプログラムに加え、各種の制御マップを記憶している。前記制御マップは、例えば、内燃機関1の運転状態と基本燃料噴射量(基本燃料噴射時間)との関係を示す燃料噴射量制御マップ、内燃機関1の運転状態と基本燃料噴射時期との関係を示す燃料噴射時期制御マップ、内燃機関1の運転状態と吸気絞り弁13の目標開度との関係を示す吸気絞り弁開度制御マップ、内燃機関1の運転状態と排気絞り弁21の目標開度との関係を示す排気絞り弁開度制御マップ、内燃機関1の運転状態とEGR弁26の目標開度との関係を示すEGR弁開度制御マップ、内燃機関1の運転状態と還元剤の目標添加量(もしくは、排気の目標空燃比)との関係を示す還元剤添加量制御マップ、還元剤の目標添加量と流量調整弁30の開弁時間との関係を示す流量調整弁制御マップ等である。
【0086】
前記RAM353は、各センサからの出力信号やCPU351の演算結果等を格納する。前記演算結果は、例えば、クランクポジションセンサ33がパルス信号を出力する時間的な間隔に基づいて算出される機関回転数である。これらのデータは、クランクポジションセンサ33がパルス信号を出力する都度、最新のデータに書き換えられる。
【0087】
前記バックアップRAM354は、内燃機関1の運転停止後もデータを記憶可能な不揮発性のメモリである。
【0088】
前記CPU351は、前記ROM352に記憶されたアプリケーションプログラムに従って動作して、燃料噴射弁制御、吸気絞り制御、排気絞り制御、EGR制御、PM燃焼制御、被毒解消制御等を実行する。
【0089】
例えば、燃料噴射弁制御では、CPU351は、先ず、燃料噴射弁3から噴射される燃料量を決定し、次いで燃料噴射弁3から燃料を噴射する時期を決定する。
【0090】
燃料噴射量を決定する場合は、CPU351は、RAM353に記憶されている機関回転数とアクセル開度センサ36の出力信号(アクセル開度)とを読み出す。CPU351は、燃料噴射量制御マップへアクセスし、前記機関回転数及び前記アクセル開度に対応した基本燃料燃料噴射量(基本燃料噴射時間)を算出する。CPU351は、エアフローメータ11、吸気温度センサ12、水温センサ34等の出力信号値等に基づいて前記基本燃料噴射時間を補正し、最終的な燃料噴射時間を決定する。
【0091】
燃料噴射時期を決定する場合は、CPU351は、燃料噴射開始時期制御マップへアクセスし、前記機関回転数及び前記アクセル開度に対応した基本燃料噴射時期を算出する。CPU351は、エアフローメータ11、吸気温度センサ12、水温センサ34等の出力信号値をパラメータとして前記基本燃料噴射時期を補正し、最終的な燃料噴射時期を決定する。
【0092】
燃料噴射時間と燃料噴射時期とが決定されると、CPU351は、前記燃料噴射時期とクランクポジションセンサ33の出力信号とを比較し、前記クランクポジションセンサ33の出力信号が前記燃料噴射開始時期と一致した時点で燃料噴射弁3に対する駆動電力の印加を開始する。CPU351は、燃料噴射弁3に対する駆動電力の印加を開始した時点からの経過時間が前記燃料噴射時間に達した時点で燃料噴射弁3に対する駆動電力の印加を停止する。
【0093】
尚、燃料噴射制御において内燃機関1の運転状態がアイドル運転状態にある場合は、CPU351は、水温センサ34の出力信号値や、車室内用空調装置のコンプレッサのようにクランクシャフトの回転力を利用して作動する補機類の作動状態等をパラメータとして内燃機関1の目標アイドル回転数を算出する。そして、CPU351は、実際のアイドル回転数が目標アイドル回転数と一致するよう燃料噴射量をフィードバック制御する。
【0094】
また、吸気絞り制御では、CPU351は、例えば、RAM353に記憶されている機関回転数とアクセル開度とを読み出す。CPU351は、吸気絞り弁開度制御マップへアクセスし、機関回転数及びアクセル開度に対応した目標吸気絞り弁開度を算出する。CPU351は、前記目標吸気絞り弁開度に対応した駆動電力を吸気絞り用アクチュエータ14に印加する。その際、CPU351は、吸気絞り弁13の実際の開度を検出して、実際の吸気絞り弁13の開度と目標吸気絞り弁開度との差分に基づいて前記吸気絞り用アクチュエータ14をフィードバック制御するようにしてもよい。
【0095】
また、排気絞り制御では、CPU351は、例えば、内燃機関1が冷間始動後の暖機運転状態にある場合や、車室内用ヒータが作動状態にある場合などに排気絞り弁21を閉弁方向へ駆動すべく排気絞り用アクチュエータ22を制御する。
【0096】
この場合、内燃機関1の負荷が増大し、それに対応して燃料噴射量が増量されることなる。その結果、内燃機関1の発熱量が増加し、内燃機関1の暖機が促進されるとともに、車室内用ヒータの熱源が確保される。
【0097】
次に、本発明の要旨となるPM燃焼制御について説明する。
【0098】
図5(A)は、時間と共に変化するフィルタ20の通路面積を表した図である。また、図5(B)は、図5(A)に対応したフィルタ20の床温を示した図である。ここで、フィルタ20の通路面積とは、排気が図4(B)に示される隔壁54を通過するときの間隙の面積である。
【0099】
本実施の形態では、第一の所定温度を例えば600℃以下とし、第二の所定温度を例えば700℃以上としてフィルタの昇温制御を行った。また、フィルタ20を第一の所定温度に昇温することを「通常再生」と称し、第二の所定温度に昇温することを「強度再生」と称している。
【0100】
通常再生では、CPU351は、フィルタ20に流入する排気中に燃料を添加する燃料添加制御を実行する。
【0101】
燃料添加制御では、CPU351は、所定の周期毎に燃料添加制御実行条件が成立しているか否かを判別する。この燃料添加制御実行条件としては、例えば、フィルタ20が活性状態にあるか、排気温度センサ24の出力信号値(排気温度)が所定の上限値以下であるか、被毒解消制御が実行されていないか、等の条件を例示することができる。
【0102】
上記したような燃料添加制御実行条件が成立していると判定された場合は、CPU351は、還元剤噴射弁28から還元剤たる燃料を噴射させるべく流量調整弁30を制御することにより、フィルタ20に流入する排気の空燃比を一時的に所定の目標リッチ空燃比とする。
【0103】
具体的には、CPU351は、RAM353に記憶されている機関回転数、アクセル開度センサ36の出力信号(アクセル開度)、エアフローメータ11の出力信号値(吸入空気量)、燃料噴射量等を読み出す。更に、CPU351は、前記した機関回転数とアクセル開度と吸入空気量と燃料噴射量とをパラメータとしてROM352の還元剤添加量制御マップへアクセスし、排気の空燃比を予め設定された目標リッチ空燃比とする上で必要となる還元剤の添加量(目標添加量)を算出する。
【0104】
続いて、CPU351は、前記目標添加量をパラメータとしてROM352の流量調整弁制御マップへアクセスし、還元剤噴射弁28から目標添加量の還元剤を噴射させる上で必要となる流量調整弁30の開弁時間(目標開弁時間)を算出する。
【0105】
流量調整弁30の目標開弁時間が算出されると、CPU351は、流量調整弁30を開弁させる。この場合、燃料ポンプ6から吐出された高圧の燃料が還元剤供給路29を介して還元剤噴射弁28へ供給されるため、還元剤噴射弁28に印加される燃料の圧力が開弁圧以上に達し、還元剤噴射弁28が開弁する。
【0106】
CPU351は、流量調整弁30を開弁させた時点から前記目標開弁時間が経過すると、流量調整弁30を閉弁させる。この場合、燃料ポンプ6から還元剤噴射弁28への還元剤の供給が遮断されるため、還元剤噴射弁28に印加される燃料の圧力が開弁圧未満となり、還元剤噴射弁28が閉弁する。
【0107】
このように流量調整弁30が通常目標開弁時間だけ開弁されると、通常目標添加量の燃料が還元剤噴射弁28から排気枝管18内へ噴射されることになる。そして、還元剤噴射弁28から噴射された還元剤は、排気枝管18の上流から流れてきた排気と混ざり合って目標リッチ空燃比の混合気を形成してフィルタ20に流入する。
【0108】
この結果、フィルタ20に流入する排気の空燃比は、比較的に短い周期でリーンとリッチとを交互に繰り返すことになる。そして、フィルタ20に流入した燃料が触媒により燃焼し、フィルタ20が昇温することとなる。
【0109】
このようにして、通常再生においては、目標添加量の設定によりフィルタ20の温度が例えば600℃以下の温度に維持されるため、高温による熱劣化を防止しつつPMを燃焼減量させることができる。
【0110】
しかし、通常再生における温度では低温のためPMが燃え残る虞がある。燃え残ったPMは図5(A)に示されるように徐々にフィルタ20の通路面積を狭めてしまう。
【0111】
そこで、強度再生を行う条件が成立したときに通常再生よりもフィルタ20の温度を上昇させる強度再生を行い燃え残ったPMを除去することとした。
【0112】
この強度再生を行う条件としては、通常再生を行うときの条件に加えて、例えば、通常再生を所定回数行ったことや、車両が所定の距離を走行したこと、前回の強度再生から所定の時間が経過していること、内燃機関の負荷と回転数とから算出されたPMの排出量が所定量に達したこと等が挙げられる。
【0113】
上記したような強度再生実行条件が成立していると判定された場合は、CPU351は、通常再生時よりも多量の燃料をフィルタ20に供給すべく流量調整弁30を制御することにより、フィルタ20に流入する排気の空燃比を一時的に所定の目標リッチ空燃比とする。
【0114】
ここで、通常再生時よりも多量の燃料を供給する方法としては、還元剤噴射弁28の開弁時間を長くする、開弁間隔を短くする等が挙げられる。
【0115】
そして、CPU351は、RAM353に記憶されている機関回転数、アクセル開度センサ36の出力信号(アクセル開度)、エアフローメータ11の出力信号値(吸入空気量)、燃料噴射量等を読み出す。更に、CPU351は、前記した機関回転数とアクセル開度と吸入空気量と燃料噴射量とをパラメータとしてROM352の還元剤添加量制御マップへアクセスし、排気の空燃比を予め設定された目標リッチ空燃比とする上で必要となる還元剤の添加量(目標添加量)を算出する。
【0116】
続いて、CPU351は、前記目標添加量をパラメータとしてROM352の流量調整弁制御マップへアクセスし、還元剤噴射弁28から目標添加量の還元剤を噴射させる上で必要となる流量調整弁30の開弁時間(目標開弁時間)を算出する。
【0117】
以下、通常再生と同様に燃料の添加を行い、図5(B)に示されるようにフィルタ20の温度を例えば700℃以上まで昇温する。
【0118】
このときに排気温度センサ24の出力値からフィルタ20の床温を推定して燃料添加のフィードバック制御を行うようにしても良い。
【0119】
このように昇温されたフィルタ20においては、通常再生では燃え残って堆積したPMを着火燃焼させることができ、フィルタ20を再生することができる。
【0120】
また、強度再生を行うとフィルタ20の熱劣化を誘発する虞があるので、強度再生の実行時間は通常再生の実行時間よりも短くすることが好ましい。
【0121】
【発明の効果】
本出願に係る内燃機関の排気浄化装置によれば、触媒の熱劣化を抑制しつつフィルタの目詰まりを解消することができる。
【0122】
よって、フィルタの機能を長期に亘って維持することができ、排気エミッションの悪化を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る内燃機関の排気浄化装置を適用する内燃機関とその吸排気系の概略構成を示す図である。
【図2】 (A)は、吸蔵還元型NOx触媒のNOx吸収メカニズムを説明する図である。(B)は、吸蔵還元型NOx触媒のNOx放出メカニズムを説明する図である。
【図3】 ECUの内部構成を示すブロック図である。
【図4】 (A)は、パティキュレートフィルタの横方向断面を示す図である。(B)は、パティキュレートフィルタの縦方向断面を示す図である。
【図5】 (A)は、フィルタの通路面積の変化を示す図である。(B)は、フィルタの床温の変化を示す図である。
【符号の説明】
1・・・・内燃機関
2・・・・気筒
3・・・・燃料噴射弁
4・・・・コモンレール
5・・・・燃料供給管
6・・・・燃料ポンプ
18・・・排気枝管
19・・・排気管
20・・・パティキュレートフィルタ
21・・・排気絞り弁
23・・・空燃比センサ
25・・・EGR通路
26・・・EGR弁
27・・・EGRクーラ
28・・・還元剤噴射弁
29・・・還元剤供給路
30・・・流量調整弁
31・・・遮断弁
32・・・還元剤圧力センサ
33・・・クランクポジションセンサ
34・・・水温センサ
35・・・ECU
351・・CPU
352・・ROM
353・・RAM
354・・バックアップRAM
50・・・排気流入通路
51・・・排気流出通路
54・・・隔壁

Claims (1)

  1. 内燃機関の排気通路に設けられ排気中に含まれる粒子状物質を捕集し且つ捕集された粒子状物質の燃焼を促進させる触媒が担持されたフィルタと、
    前記フィルタの温度を上昇させるフィルタ温度上昇手段と、
    を具備し、
    前記フィルタ温度上昇手段は、第一の所定条件が成立したときにフィルタの温度を第一の所定温度まで上昇させて前記粒子状物質を燃焼減量し、又、第二の所定条件が成立したときにはフィルタの温度を前記第一の所定温度よりも高温の第二の所定温度に上昇させ、且つ、前記第二の所定温度まで上昇させる間隔は、前記第一の所定温度まで上昇させる間隔よりも長く、該第二の所定温度に昇温している期間は、該第一の所定温度に昇温している期間よりも短いことを特徴とする内燃機関の排気浄化装置。
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