JP3674307B2 - 混練装置およびその混練方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、エラストマーの原材料の混練装置および混練方法に関する。特に、可塑剤を能率的に混練できるようにした混練装置および混練方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
本発明に関する先行技術として図8に示すゴム混練機が存在する。
【0003】
図8は、ゴム混練機の断面図である。
図8に於て、混練機本体61のチャンバ63の内周面は、二つの円筒面を並列に配置して断面3形状に形成されている。このチャンバ63には、円筒面の軸方向に回転軸69が配置されているとともに、ゴム原材料Aと配合剤Bとを混練できるように一対にロータ66が各々設けられている。そして、回転軸69は互いに対向する方向に回転してロータ66によりゴム原材料Aと配合剤Bとを巻込みながら混練するように構成されている。
【0004】
この一対のロータ66の回動により混練されるゴム原材料Aと配合剤Bとは、混練機本体61の上方に設けられた投入口62から供給されるように成されている。
そして、ゴム原材料Aと配合剤Bとが供給されると油圧シリンダのピストンロッド64が図示した状態に降下してフローティングウェイト65によりポリマーであるゴム原材料Aと種々の可塑剤Cを含む配合剤Bとに圧力を加えながらロータ66の回動によりゴム原材料Aと配合剤Bとを混練する。
【0005】
混練されたゴム原材料Aと配合剤Bとは一体となって取出口のドロップドア67を開いて取出口から取り出される。この取り出されたゴム原材料等A,Bは、次の後工程で再度ローラによりシート状に形成される。
尚、チャンバ63の外周側には、冷却チャンバ68が設けられており、この冷却チャンバ68によりゴム原材料Aが混練中の発熱を防止している。又、投入口62には、ドロップドア67が設けられて混練中は投入口62を密閉している。
【0006】
更に、投入口62の反対側にはダクト71が設けられてバックフィルタ(集塵機)72に連通している。このバックフィルタは、チャンバ63内でゴム原材料Aと配合剤(カーボンなど)とを混練するとき、配合剤が外部へ飛散するのを防止するためである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上述のように構成された混練機60に投入される原材料Aとしてはポリマーであり、配合剤としては、カーボンブラックおよびオイル等である。そして、これらの配合剤Bの投入は、ステップ単位で行われている。この配合剤の投入方法によっては、図6に示すように、ポリマの分散割合や混合時間が大きな影響を受けることになる。図6は、一度に多量の配合剤Bを投入した場合の混練電力と混練時間を表したものである。図6に於て、ポリマーとカーボンブラックとを投入した後に、イ点で多量の可塑剤を一度に投入すると、ポリマーの可塑化が急速に進行してロータ66が空回りし、混練が促進できなくなる問題がある。
【0008】
更に、図7に示すものは、原材料Aであるポリマーと充填剤であるカーボンブラックとを投入した後に、可塑剤としてのオイルを3回以上に分けて投入した場合の混練チャートである。この混練では、図6に示すような可塑剤により混練不能になるのを防止するため何回かに分けて可塑剤を投入したものである。しかし、可塑剤を多段階にすることによりフローティングウェイト65の開閉と投入時間の増加により操作時間が長くなるという問題を惹起する。
【0009】
更に、可塑剤を投入するためフローティングウェイト65を何回も開閉(図示上下に移動)するとフローティングウェイト65のまわりに配合剤Bが付着するので、ヘラで作業者が掻き落し作業をしなければならなくなるので、作業時間の増加とともに、掻き落した可塑剤等を再混練しなければならない作業が増加することになる。
【0010】
本発明は、上述のような問題点に鑑み成されたものであって、その技術的課題は、混練時間を最小にすることにある。
又、混練時のロータのスリップ時間を低減することで、混練能率が向上し、混練に伴う品質を安定化させることである。更に又、可塑剤、充填剤等がフローティングウェイト65に付着することや、フローティングウェイト65の開閉により充填剤等が飛散して計量通り配合されず混練の品質が悪化するのを防止することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の混練機は、上述のような課題を解決するために成されたものであって、その技術的課題は以下のように構成されている。すなわち、
【0012】
本発明の第1の観点の混練装置は、エラストマー原材料(A)と可塑剤(b)を有した配合剤(B)とが混入される混練室(4)と混練室(4)内に配置されて動力部により混練回動されるロータ(8)とを有する混練機(2)、混練機(2)の混練室(4)内に可塑剤(b)を供給する供給装置(40)および供給装置(40)で供給される可塑剤(b)の供給を制御するとともに混練機(2)のロータ(8)を回動する動力部(9)の駆動力を電力量(E)で処理する制御装置(24)を具備し、制御装置(24)は動力部(9)の電力量(E)が下限の閾値(P 1 ,P 3 ,P 5 )に低下すると供給装置(40)の可塑剤(b)の供給を中断させるとともに動力部(9)の電力量(E)が上限の閾値(P2,P4,P6)に上昇すると供給装置(40)の可塑剤(b)の供給を再開させるステップを繰返して設定量の可塑剤(b)が混練して完了する制御をするものである。
【0013】
本発明の第2の観点の混練装置は、エラストマー原材料(A)と可塑剤(b)を有した配合剤(B)とが混入される混練室(4)と混練室(4)内に配置されて動力部(9)により混練回動されるロータ(8)とを有する混練機(2)、混練機(2)の混練室(4)内に可塑剤(b)を供給する供給装置(40)および供給装置(40)で供給される可塑剤(b)の供給を制御するとともに混練機(2)のロータ(8)を回動する動力部(9)の駆動力を電力量(E)で処理する制御装置(24)を具備し、制御装置(24)は、前記供給装置(40)による前記可塑剤(b)の供給を中断及び再開する中断再開ステップを繰り返して設定量の前記可塑剤(b)が混練されて完了する制御をし、前記中断再開ステップでは、前記動力部(9)の電力量(E)が当該中断再開ステップの直前の中断再開ステップの電力量(E)の80%の下限の閾値(P 3 ,P 5 )に低下すると供給装置(40)の可塑剤(b)の供給を中断させるとともに動力部(9)の電力量(E)が前記直前の中断再開ステップの電力量(E)の90%の上限の閾値(P 4,P6)に上昇すると供給装置(40)の可塑剤(b)の供給を再開させる制御をするものである。
【0014】
好適には、制御装置(24)は、動力部(9)の電力量(E)が上限の閾値(P2,P4,P6)に上昇すると、その後前記動力部(9)の電力量(E)が下限の閾値(P 1 ,P 3 ,P 5 )に低下して前記可塑剤(b)の供給が中断されるまでの間に、一回当たり50〜500ccの可塑剤(b)を所定の時間間隔で供給装置(40)から供給させる制御に設定されているものである。
【0015】
好適には、制御装置(24)に、動力部(9)の電力量(E)が上限の閾値(P2,P4,P6)に上昇すると5〜20秒の間隔で可塑剤(b)を供給装置(40)から供給させる制御に設定させるものである。
【0016】
本発明の第3の観点の混練方法は、混練装置(1)でエラストマーを混練する方法に於いて、第1ステップでエラストマー(A)と充填剤(a)とを投入して混練し、次に第2ステップで可塑剤(b)を投入して混練するとともに混練するロータ(8)のトルクの電力量(E)の75〜83%の範囲で可塑剤(b)の供給を中断して混練し、第3ステップでロータ(8)のトルクの電力量(E)が第1ステップの電力量(E)の86〜95%に上昇すると可塑剤(b)を供給するステップを繰返して設定された配合の可塑剤(b)を混練するものである。
【0017】
【作用】
本発明の混練装置は、第1ステップとしてエラストマー原材料Aと、カーボンブラックの充填剤aとを混練装置1内に投入して混練し、しかる後に可塑剤bをこの混練した原材料Aに供給して混練を続行する。そして、第2ステップは、この可塑剤bを原材料Aに供給して混練開始すると、スリップ現象が惹起するので混練するトルクが下がることになる。そこで、このスリップするのを放置すると混練能率が低下するから、この可塑剤bの供給を中断する下限の閾(閾)値を設ける。この閾値は第1ステップのトルクの電力量Eの75〜83%の範囲に設定すると混練するトータル時間を最小にできるとともに、充填剤の分散化が良好となる。この可塑剤bの供給が中断されると、スリップ現象が少なくなるから、トルクの電力量Eは上昇することになる。そして、第3ステップは第1ステップの電力量Eに対し86〜95%の範囲の電力量Eに上昇したとき可塑剤bの供給を再開する。この86〜95%を上限の閾値と設定する。この可塑剤bの供給により第2のステップと同様にトルクの電力量Eは低下するから、可塑剤bの供給を中断する。このように第4ステップ、第5ステップ、第6ステップと前ステップの上限の閾値を基準にして次の閾値を設定しながら、原材料に対して設定された量の可塑剤bが混練されるまで続行する。
【0018】
混練装置1で混練中に動力部9のトルクが上限の閾値(P2 ,P4 ,P6 )に上昇したとき可塑剤bを供給装置40から供給するが、この供給は、50〜500cc供給するように制御装置24のメモリ部242に設定部25から入力することもできる。
【0019】
又、上限の閾値(P2 ,P4 ,P6 )に上昇したとき、可塑剤bの供給は5〜20秒の間隔で供給するように制御装置24のメモリ部242に入力すると良い。
【0020】
更に、混練装置1の制御装置24は、混練機2を作動させる動力部9の電力メータ(センサ)からの電力量Eの信号をI/F22を介してCPU240に入力するように構成されている。
又、この電力量Eの変化を閾値の設定データにより演算して制御装置24から供給装置40である貯蓄タンク42の供給バルブ41が開弁するように信号を入力する。そして、可塑剤bを混練室4内に供給するように成されている。
【0021】
又、貯蓄タンク42の可塑剤bの温度、容量等のデータを検出して入力できるように、貯蓄タンク42のデータがI/F23を介して制御装置に入力される。
可塑剤bの温度を上昇させて原材料Aに供給すると、スリップ現象が小さくなることも認められるので、可塑剤bの温度管理を制御装置24で処理すると良い。
【0022】
更に、制御装置24は、設定された混練条件をI/F21を介して混練機2に入力できるように成されている。例えば、エラストマー原材料Aの粘性度に応じて混練回転数を制御することも可能になる。
【0023】
そして、混練装置1は、エラストマー原材料Aと充填剤aとを開口部5より混練室に投入し、フローティングウェイト10を降下させて開口部5に嵌着する。次に制御装置24からのI/F21を介した信号入力により動力部9を作動させてロータ8を回転しながらエラストマー原材料等を混練する。このときの動力部9の電力量E1 は制御部に入力されている。
次に、制御装置24からのI/F21aを介して供給バルブ41を開弁させ、貯蓄タンク42内の可塑剤bを混練室4に例えば200ccを供給する。この可塑剤bが供給されると、動力部9のトルクが低下するから、電力メータを介して検知した信号はI/F22により制御装置24に入力される。そして、第1ステップの電力量E1 に対する下限の閾値G1 に電力量E1 が低下した信号を受けて制御装置24から供給バルブ41に対し、閉弁の信号を入力して可塑剤bの供給を中断する。可塑剤bの供給が中断されると、動力部9のトルクが上昇するので、電力量E1 も上昇する。第3ステップとして、この電力量E2 が第1ステップの電力量E1 に対する上限の閾値G2 に達した時点で制御装置24から供給バルブ41への信号入力により、可塑剤bが混練室4へ供給される。この可塑剤bの供給を受けると、動力部9のトルクは低下して電力量E3 が制御装置24にフィードバックされる。このようにして混練が繰返され、可塑剤bは計量された配合割合の全量が混練される。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態の混練装置を図面に基づいて詳述する。
【0025】
図1は、本発明の一実施の形態を示す混練装置の断面図である。
図1に於て、1は混練装置である。混練装置1は、混練機2と制御装置24と可塑剤の供給装置40とから構成されている。
【0026】
混練機2は、混練本体3とフローティングウェイト10とを組合わせることにより構成される。
混練本体3は、断面半球状に形成された円筒面を2個合体した形の混練室4を形成している。そして、混練室4の図示上方は円筒面に形成されて閉口部5を設けている。
【0027】
混練室4の半円形円筒面の中心軸には、それぞれ第1と第2の回転軸6a,6bが設けられている。この回転軸6a,6bには各々第1と第2の羽根7a,7bが設けられて一対のロータ8を構成している。このロータ8は、動力部9によって第1と第2の回転軸6a,6bが、両者間に向かって互いに回転し、互いの第1の羽根7aと第2の羽根7bによってポリマーの原材料Aと配合剤Bと可塑剤Cとを圧延しながら混練するように構成されている。
【0028】
次に、フローティングウェイト10は、混練本体3の開口部5内に嵌合する外周面11が設けられているとともに、先端に原材料Aが混練しやすいように押さえ込む圧接面12を形成している。
このフローティングウェイト10は、油圧シリンダ13により開口部5内に嵌合するとともに、離脱するように構成されている。油圧シリンダ13の両端には、フローティングウェイト10を案内するガイドロッド16が設けられており、図1の状態で混練しているとき、又は、図2の状態に移動するとき、更に、図2の状態から図1の状態に移動するときには、フローティングウェイト10を案内するとともに保持する役目をしている。
【0029】
図2は、フローンティングウェイト10が混練本体3より上方へ移動した状態図である。
図2の状態で、ポリマーの原材料Aと配合剤Bとを混練本体3に投入する。又、混練本体3内で混練が完了して生地を取り出すときは、図2の状態にして取り出される。
【0030】
上述のように構成された混練装置1には原材料Aであるポリマーと、種々の配合剤Bとを混練室4に投入して混練される。配合剤Bには種々のものがあり、ポリマー成形品に使用される目的およびその成形品に要求される性能に応じ選択されている。このうち、本発明に関連するものとしては、充填剤aと可塑剤bとが少なくとも配合剤Bとして混練される。
【0031】
充填剤としては、カーボンブラック、酸化珪素等がある。
又、可塑剤bとしては、ペプタイガー、プロセス油、伸展油、エステーツ系可塑剤、植物系油脂類等が知られている。
【0032】
この混練機2は、制御装置24により制御されながら上述のポリマーの原材料Aと配合剤Bとを混練する。
この制御装置24は、PC(プログラマブルコントローラ)の制御が価格の点から好ましい。
【0033】
制御措置40は図3のように構成されている。そして、制御装置24は、混練機2の動力部9と結線されているとともに、動力部9の電力計にも直結されている。更に、動力部9の回転時間、混練温度もフィードバックできるよに構成されている。
【0034】
可塑剤bの供給装置40は、混練本体3に供給口が取付けられており、可塑剤bを貯留タンク42からパイプ43を介して供給される。この供給の制御は、制御装置24により供給バルブ41を作動させて行われる。
【0035】
図3の制御装置24は、PC(プログラマブルコントローラ)で、そのCPU240を中心にメモリ部242とデータを入力する設定器(プログラミングツール)25が設けられている。尚、この設定器25からは1/O装置246を介して入力される。
そして、混練機2の動力に費やす電力をインターフェース回路I/F22を介してA/DC244でデジタル形式の信号に変換してCPUに入力できるように成されている。又、貯留タンク42内の可塑剤bの温度をI/F23からA/DC244を介してCPU240に入力される。
【0036】
更に、CPU240は、メモリ部242のデータをもとにメモリ部242に記憶されている制御プログラムを動作させ、D/AC243によりデジタル形式の供給バルブ41へ信号を入力して可塑剤bの供給を電力量から制御する。
【0037】
上述のように構成されている混練装置1は、図4に示すフローチャートによりゴム原材料Aであるポリマーと配合剤Bのうちの充填剤aであるカーボンブラックとを混練本体3からフローティングウェイト10を上昇させ、図2に示す状態にして投入する。そして、図4のフローチャートを基に第1の実施の形態について以下に詳述する。 第1の実施の形態に於ける第1ステップは、ポリマーの原材料Aと充填剤aとを混練室4内でロータ8を回動して制御装置24の設定仕様に従い混練される。このときの最終の初期電力値P0 を制御装置24のメモリ部242に入力される。
尚、この充填剤aをポリマーに十分に混練される工程(BIT)が含まれている。
【0038】
次に第2ステップでは、制御装置24からの信号を受けた供給装置40である供給バルブ41は、可塑剤を蓄えた貯蓄タンク42から可塑剤bを混練室4内に注入(供給)する。尚、この注入(供給)量と注入(供給)頻度及びトータル注入量と注入終了後の制御因子(時間、温度、積算電力等)は、メモリ部242に混練仕様として入力しておく。
【0039】
この注入量は、一回当り50〜500ccであり、この実施例では200ccとした。又、注入頻度は、5〜20秒の間隔が好ましい。この実施例では10secに設定して実施される。
【0040】
又、注入量は、設定値の200cc以上注入したか否かチェックされる。この注入量200ccが注入されたことを確認の上注入完了となる。
又、注入間隔は10secであり、10sec以上の間隔であるか否か確認される。
【0041】
そして、第3ステップは、前述のメモリ部242に入力されている初期電力値P01の80%を第1の閾値P1 とするとともに、90%を第2の閾値P2 として設定する。
そして、10sec間隔で200ccの可塑剤bを注入しながら連続に混練する。この連続混練工程中に混練動力の電力値Eは可塑剤の注入量がある一定量に達した時点で急激に降下するが、設定値の電力の第1閾値P1 より電力が低下した時点で注入を一時中断する。しかし、混練は続行されている。
【0042】
この電力の低下は、ロータ8のスリップに伴って電力が低下するものである。しかし、混練が続行されているから、可塑剤bが混入されていくにつれて電力値Eが上昇し始めることになる。この電力値の上昇が前述の第2閾値P2 に達した時点で制御装置24の指令により2回目の可塑剤の注入が再開されることになる。
【0043】
次に、第4のステップは、この可塑剤bの再注入直前の瞬間電力値P02をI/F22を介して制御装置24のメモリ部242に入力されており、電力値P02の80%を第3閾値P3 に設定するとともに、その90%を第4閾値P4 として設定した上でメモリ部242に入力される。
そして、前述と同様の工程に従い、第3閾値P3 に低下した時点で可塑剤の注入が中断されながら混練されて第4閾値P4 に達した時点で、可塑剤の注入が開始される。
【0044】
この第3および第4のステップに従いながら、ポリマー原材料Aの量に対応した計量の可塑剤bが配合混練完了するまで図4のフローチャートの右側のフローに従い、繰返しの各ステップが実施される。尚、図4のフローチャートで右側の各ステップごとの仕様の閾値は、各ステップごとに上述のごとく段階に下方へ設定される。
【0045】
上述の繰返しの工程により、この可塑剤bのトータル配合量が完了すると、図4の左側のフローに従い可塑剤注入完了として予め設定しておいた混練仕様の制御因子に切換えて混練され、その全混練のステップを完了する。
【0046】
上述の第1の実施の形態に於ては、電力の閾値を各ステップごとに80%を下位値とするとともに上位閾値を90%としたが、下位閾値を75%とするとともに、上位閾値を95%等に設定することもできる。つまり、混練中の計量された電力量Eがある値に下がれば、可塑剤bの注入を中止して混練を続行し、可塑剤の中止とともに電力値は上昇するので、ある値に達すると、可塑剤を再開し、この各工程を繰返すことにより、全量の可塑剤bを配合するようにすると、無駄時間のない混練が可能となり、混練作業が最適に短縮されるとともに、配合剤Bによる品質管理を最高状態にすることが期待できる。
【0047】
図5は、この第1の実施の形態に於ける混練時間と混練動力の電力との関係を表したものである。
【0048】
図5は、イに於て原材料であるポリマーAとカーボンブラックaとを混練機2に投入して混練したときの電力値の変化である。
次にロは、ポリマーにカーボンが混入した(BIT)際の電力値の変化である。
【0049】
上述の混練完了に伴い、電力値が第1閾値P1 、第3閾値P3 、第5閾値P5 に低下すれば、可塑剤の注入を停止するとともに、第2閾値P2 、第4閾値P4 、第6閾値P6 に上昇すれば、可塑剤の注入を再開した電力値の時間に対する変化である。
【0050】
この図5の混練時間に対する電力量Eの変化から明らかなように、全混練の動力の電力量Eを低減することができるとともに、混練時間も図7に示す従来の優れた混練機の混練時間に対し30〜40%の混練時間を短縮することができる。
【0051】
【発明の効果】
本発明の混練装置は、最適制御の混練方法を見いだしたことにより、混練時間を従来に比べて飛躍的に向上させることができる。
更に、混練の最適制御の方法として、電力値の上限と下限とを各ステップごとに前工程の電力値Eに対し段階的にある閾値に下げていくことにより極めて効率的な混練制御を可能にすることが期待できる。
【0052】
又、従来はフローティングウェイトに可塑剤が付着するので、掻き落とし作業を混練中に行わねばならなかったが、段階的に最適量を注入することにより、この可塑性の付着が防止できることになる。
【0053】
更に、品質管理に於ても、スリップ時間を短縮できるので、混練に於ける配合の分散が均一になり、品質が向上する。更に又、可塑剤がフローティングウェイトに付着することも防止できるので、計量通りの可塑剤をエラストマー原材料に配合して、可塑剤不足による品質の低下も防止できる効果が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の混練装置の断面図である。
【図2】図1のフローティングウェイトが上昇して開口部を開いた状態図である。
【図3】図1の制御装置の要部構成図である。
【図4】図1の混練のフローチャートである。
【図5】図1の混練時間と混練効力の電力との関係図である。
【図6】従来の混練時間と混練電力との関係図である。
【図7】従来の他の混練時間と混練電力との関係図である。
【図8】従来の混練機の断面図である。
【符号の説明】
1・・・・混練装置
2・・・・混練機
3・・・・混練本体
4・・・・混練室
5・・・・開口部
6a・・・第1の回転軸
6b・・・第2の回転軸
7a・・・第1の羽根
7b・・・第2の羽根
8・・・・ロータ
9・・・・動力部
10・・・フローティングウェイト
11・・・外周面
12・・・圧接面
13・・・油圧シリンダ
16・・・ガイドロット
21〜23・・・I/F(インターフェース)
24・・・制御装置
25・・・設定器
240・・CPU
242・・メモリ部
243・・D/AC
244・・A/DC
246・・I/O装置
25・・・設定器
40・・・供給装置
41・・・供給バルブ
42・・・貯留タンク
43・・・供給パイプ
60・・・混練機
61・・・混練機本体
62・・・投入口
63・・・チャンバ
64・・・ピストンロッド
65・・・フローティングウェイト
66・・・ロータ
67・・・ドロップドア
68・・・冷却チャンバ
69・・・回転軸
71・・・ダクト
A・・・・ゴム原材料
B・・・・配合剤
a・・・・充填剤
b・・・・可塑剤
Claims (5)
- エラストマー原材料(A)と可塑剤(b)を有した配合剤(B)とが混入される混練室(4)と前記混練室(4)内に配置されて動力部(9)により混練回動されるロータ(8)とを有する混練機(2)、前記混練機(2)の混練室(4)内に前記可塑剤(b)を供給する供給装置(40)および前記供給装置(40)で供給される前記可塑剤(b)の供給を制御するとともに前記混練機(2)の前記ロータ(8)を回動する前記動力部(9)の駆動力を電力量(E)で処理する制御装置(24)を具備し、前記制御装置(24)は前記動力部(9)の電力量(E)が下限の閾値(P1,P3,P5)に低下すると前記供給装置(40)の前記可塑剤(b)の供給を中断させるとともに前記動力部(9)の電力量(E)が上限の閾値(P2,P4,P6)に上昇すると前記供給装置(40)の前記可塑剤(b)の供給を再開させるステップを繰返して設定量の前記可塑剤(b)が混練されて完了する制御をすることを特徴とする混練装置。
- エラストマー原材料(A)と可塑剤(b)を有した配合剤(B)とが混入される混練室(4)と前記混練室(4)内に配置されて動力部(9)により混練回動されるロータ(8)とを有する混練機(2)、前記混練機(2)の混練室(4)内に前記可塑剤(b)を供給する供給装置(40)および前記供給装置(40)で供給される前記可塑剤(b)の供給を制御するとともに前記混練機(2)の前記ロータ(8)を回動する前記動力部(9)の駆動力を電力量(E)で処理する制御装置(24)を具備し、前記制御装置(24)は、前記供給装置(40)による前記可塑剤(b)の供給を中断及び再開する中断再開ステップを繰り返して設定量の前記可塑剤(b)が混練されて完了する制御をし、前記中断再開ステップでは、前記動力部(9)の電力量(E)が当該中断再開ステップの直前の中断再開ステップの電力量(E)の80%の下限の閾値(P 3,P5)に低下すると前記供給装置(40)の前記可塑剤(b)の供給を中断させるとともに前記動力部(9)の電力量(E)が前記直前の中断再開ステップの電力量(E)の90%の上限の閾値(P 4,P6)に上昇すると前記供給装置(40)の前記可塑剤(b)の供給を再開させる制御をすることを特徴とする混練機。
- 前記制御装置(24)は、前記動力部(9)の電力量(E)が上限の閾値(P2,P4,P6)に上昇すると、その後前記動力部(9)の電力量(E)が下限の閾値(P 1 ,P 3 ,P 5 )に低下して前記可塑剤(b)の供給が中断されるまでの間に、一回当たり50〜500ccの前記可塑剤(b)を所定の時間間隔で前記供給装置(40)から供給させる制御に設定されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の混練機。
- 前記制御装置(24)は、前記動力部(9)の電力量(E)が上限の閾値(P2 ,P4 ,P6 )に上昇すると5〜20秒の間隔で前記可塑剤(b)を前記供給装置(40)から供給させる制御に設定させることを特徴とする請求項1又は請求項2又は請求項3に記載の混練機。
- 混練装置(1)でエラストマーを混練する方法に於いて、第1ステップでエラストマー(A)と充填剤(a)とを投入して混練し、次に第2ステップで可塑剤(b)を投入して混練するとともに混練するロータ(8)のトルクの電力量(E)が前記第1ステップのトルクの電力量(E)の75〜83%の範囲で前記可塑剤(b)の供給を中断して混練し、第3ステップで前記ロータ(8)のトルクの電力量(E)が前記第1ステップのトルクの電力量(E)の86〜95%に上昇すると前記可塑剤(b)を供給するステップを繰返して設定された配合の前記可塑剤(b)を混練する混練方法。
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