JP3674078B2 - 白熱電球および反射形照明装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、片封止形ハロゲン電球のような白熱電球およびこれを用いた反射形照明装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
片封止形ハロゲン電球は、石英からなるバルブの一端に圧潰封止構造の封止部が形成されており、このバルブに収容されたフィラメントはリード線を介して上記封止部に封着されたモリブデンなどの金属箔導体に接続されている。
【0003】
ところで、寿命末期になってフィラメントが断線した場合、断線したフィラメントのそれぞれ脚部間、またはこれら脚部に接続されているリード線の端部間に放電が発生することがある。このような放電が発生すると大電流が流れるので、通常は電源回路に介挿されたヒューズが溶断してランプへの通電を絶ち、不点灯にする。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、希にではあるが、上記放電が、溶断したフィラメントの一方と、これと電気的に対向電位となる他方のリード線とモリブデン箔との接続箇所との間に発生することがある。つまり、放電のアークがフィラメントと封止部との間に伸びて発生することがあり、このような場合は、封止部が過熱されて軟化し、バルブの破損を招く心配がある。
【0005】
特開昭54−82879号公報には、片封止形白熱電球においてフィラメントと封止部との間のバルブ内に絶縁遮蔽部材を設けることが開示されている。このような絶縁遮蔽部材はフィラメントの熱が封止部に伝わるのを抑制する作用を奏するが、上記放電のアークは円弧形に伸びるので絶縁遮蔽部材の外側を迂回して封止部に達し、よって上記公報の手段のみでは寿命末期のフィラメント溶断時に、不所望な放電による封止部の損傷を防止することは期待できないという問題がある。
【0006】
本発明はこのような事情にもとづきなされたもので、その目的とするところは、寿命末期にフィラメントの断線により放電が発生した場合、この放電が封止部まで伸びるのを防止し、バルブの破損を未然に防ぐことができる白熱電球および反射形照明装置を提供しようとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、一端に封止部が形成されたバルブと;このバルブに収容されたフィラメントと;上記封止部とフィラメントとの間のバルブ内に設けられた遮蔽部材と;を具備し、上記バルブの上記遮断部材が位置する部分の最大径をa、遮蔽部材のバルブ径方向の最小幅をbとした場合、 a≦2.5bとしたことを特徴とする白熱電球である。
【0008】
請求項2の発明は、上記遮蔽部材は、リード線に支持されたビードガラスにより構成されていることを特徴とする請求項1に記載の白熱電球である。
請求項3の発明は、バルブは、球または楕円球もしくはこれらに類似した形状の球形部とこれに連なる円筒部および封止部を有し、上記球形部にフィラメントが収容されているとともに、円筒部に遮蔽部材が収容されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の白熱電球である。
【0009】
請求項4の発明は、バルブには、内外いずれかの表面に可視光を透過する赤外線反射膜が設けられていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一に記載の白熱電球である。
【0010】
請求項5の発明は、フィラメントの一端と遮蔽部材の最小幅部の外縁とを結んだ線の延長線が上記封止部の外側を通ることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか一に記載の白熱電球である。
【0011】
請求項6の発明は、請求項1ないし請求項5のいずれか一に記載の白熱電球と;この白熱電球が組み込まれた反射体と;を備えたことを特徴とする反射形照明装置である。
【0012】
【作用】
請求項1の発明によると、バルブの遮蔽部材が位置する部分の最大内径aと遮蔽部材のバルブ径方向の最小幅bとの関係を、a≦2.5bとしたから、寿命末期にフィラメントの断線により放電が発生しても、この放電が封止部まで伸びるのが防止される。すなわち、a>2.5bの場合は、バルブが相対的に太くなるからアークが円弧形に成長し易くなるとともに遮蔽部材の最小幅の外面とバルブの内面との間に大きな隙間が生じ、円弧形状に伸びる上記放電が遮蔽部材を迂回して封止部まで伸びるようになるが、a≦2.5bにすれば、バルブが相対的に細くなるから、アークが円弧形に成長しようとしてもその膨らみがバルブ壁に遮られるようになり、よってアークの成長が規制され、アークの伸びが抑制される。しかも遮蔽部材の最小幅の外面とこの位置のバルブの内面との間が狭隘な隙間となり、この隙間により放電が封止部まで通過するのが抑止される。よって、封止部の破損が防止される。
【0013】
請求項2の発明によれば、遮蔽部材がリード線に支持されたビードガラスにより構成されているから、遮蔽部材の支持構造が簡単であるとともに、一対のリード線の間隔が遮蔽部材により一定に保たれる。
【0014】
請求項3の発明によれば、球形部にフィラメントが収容されているとともに、円筒部に遮蔽部材が収容されているから、放電が封止部側に越え難い。すなわち、円筒部は球形部に比べて細く形成されるので、円筒部に遮蔽部材を収容すると、この遮蔽部材の外周と円筒部の内面との間は一層狭隘な隙間となり、放電が通過し難くなる。
【0015】
請求項4の発明によれば、バルブの内外いずれかの表面に可視光を透過する赤外線反射膜が設けられているから、フィラメントから放出される赤外線が赤外線反射膜で反射されてフィラメントに戻され、フィラメントが加熱されるから効率が向上する。そして、正常点灯中において、フィラメントの熱は遮蔽部材に遮られて封止部に達し難くなり、封止部の温度上昇を防止することができる。
【0016】
請求項5の発明によれば、フィラメントと封止部は遮蔽部材を挾んで相互に陰になるから、点灯中においてフィラメントの熱が遮蔽部材に遮られて封止部に達し難くなり、封止部の温度上昇を一層確実に防止することができる。
請求項6の発明によれば、請求項1ないし請求項5に記載の白熱電球の利点を生かした反射形照明装置を提供することができる。
【0017】
【実施例】
以下本発明について、図1ないし図5に示す第1の実施例にもとづき説明する。
この実施例は片封止形ハロゲン電球およびこれを用いた反射形照明装置に適用した例を示し、図1ないし図3は光源として使用される片封止形ハロゲン電球の構成を示す図、図4はその作用を説明する図、図5は反射形照明装置の図である。
【0018】
図1ないし図3に示す片封止形ハロゲン電球1は、石英ガラスからなる発光管バルブ2の一端に圧潰封止部3が形成されており、この封止部3に連続して円筒部4が形成されており、さらにこの円筒部4に連続して球形部としての楕円球部5が形成されている。楕円球部5は上記封止部3およびその反対側方向に沿う長軸を有し、この長軸方向がバルブ中心軸O1 −O1 となっている。なお、楕円球部5の楕円形状は長軸/短軸の割合が14/10程度に設定されている。
【0019】
楕円球部5の他端にはバルブ中心軸O1 −O1 上に位置して細管6が突設されている。この細管6は、実質的に排気管を封止切りして残った突出部を利用している。
【0020】
上記バルブ2の外面(内面でも可)には可視光透過赤外線反射膜7が形成されている。上記赤外線反射膜7は、図3に示すように、高屈折率層71…低屈折率層72…とを交互に、例えば合計6〜80層の多層膜として構成したものであり、本実施例では合計33層の積層構造としてある。このような赤外線反射膜7は多層干渉作用により赤外線を反射し、しかしながら可視光を透過する作用を奏する。 上記高屈折率層71…は、酸化チタン(TiO2 )を主成分として構成されており、また低屈折率層72…は、酸化ケイ素(シリカ=SiO2 )を主成分としている。
【0021】
上記バルブ2内には、フィラメント8が収容されている。フィラメント8は、タングステンワイヤにて2重コイルに形成されており、そのコイル軸O2 −O2 が上記バルブ中心線O1 −O1 と一致するように配置されている。また、フィラメント8は、楕円球部5の第1の焦点F1 および第2の焦点F2 に概略跨がる長さを有し、フィラメント8の端部はこれら焦点F1 およびF2 の上または焦点を含むその近傍に配置されるようになっている。
【0022】
上記フィラメント8は、一対の内部リード線10、11間に架設されている。これら内部リード線10および11は、基端部が記圧潰封止部3に封着されたモリブデンMoなどからなる金属箔導体12,13に接続されており、先端部はバルブ2の円筒部4を通って楕円球部5に導かれている。これら一対の内部リード線10、11は、途中が円筒部4内において本発明の遮蔽部材に相当するビードガラス9により連結されており、これによりこれら内部リード線10、11は相互の間隔が保たれている。
【0023】
上記ビードガラス9は例えば一対の内部リード線10、11が並ぶ方向に長く伸びる長円形状または棒状をなしており、円筒部4内に配置されている。ビードガラス9の外周面は円筒部4の内周面に接近されており、このビードガラス9の最小幅をbとし、このビードガラス9が位置している箇所のバルブ2の最大内径、本例の場合は円筒部4の最大内径をaとした場合、
a≦2.5b
の関係をなすように形成されている。ちなみに、バルブ2の最大内径aは10mm、ビードガラス9の最小幅bは4.8mmであり、a=2.1bとなっている。
【0024】
また、上記ビードガラス9はフィラメント8と封止部3との間に設けられているから、フィラメント8と封止部3はビードガラス9を挾んで相互に陰となるように配置されている。すなわち、フィラメント8の端部とビードガラス9の外縁を結んだ線の延長線Lは、封止部3の外を通過するようになっており、言い換えるとフィラメント8の端部からビードガラス9を臨んだ場合のビードガラス9外縁の展開角θの中に封止部3が存在されるようになっている。
【0025】
上記一対の内部リード線10、11の途中はビードガラス9を貫通して楕円球部5に伸びており、一方の内部リード線10は楕円球部5内を他端側に伸びて前記細管6に差し込まれており、この差し込み部が細管6に機械的に係止されて係止部10aをなしている。そしてこの内部リード線10の先端は、上記細管6内の係止部10aからさらにバルブ中心線O1 −O1 に沿ってフィラメント8の他端側に伸びている。
【0026】
前記フィラメント8は両端部にコイル形状の脚部8a、8bを有しており、これら脚部8a,8bが上記内部リード線10、11のそれぞれ先端部に継線されている。これによりフィラメント8はこれら内部リード線10、11間に架設されている。
【0027】
上記圧潰封止部3に封着されたモリブデンMoなどからなる金属箔導体12,13には、図2に示すように、外部リード線14、15が接続されている。
そして、上記バルブ2の圧潰封止部3は、セラミック製の絶縁ベース16が被冠されており、この絶縁ベース16は圧潰封止部3に対して接着剤17により接合されている。絶縁ベース16は、捩じ込み形口金18および外部端子19を有し、上記外部リード線14、15はこれら捩じ込み形口金18および外部端子19に接続されている。
【0028】
このような構成のハロゲン電球1は、図5に示すように、反射体20に収容されて使用される。
反射体20は、反射面21が形成されたリフレクタ22を有し、このリフレクタ22にはセラミックなどからなる口金23が接合されている。この口金23には捩じ込み形口金24および外部端子25が設けられており、これら捩じ込み形口金24および外部端子25を介して電源に接続されるようになっている。
【0029】
上記リフレクタ22はガラス、金属、樹脂などからなり、この内面に形成された反射面21はアルミニウムなどを蒸着して形成してもよいが、本発明の光干渉膜により形成することもできる。この場合の光干渉膜は、図示しないが図3の場合と似ており、高屈折率層と低屈折率層とを交互に多層積層として構成されており、これらの多層干渉作用により可視光を反射し、しかしながら赤外線を透過する作用を奏し、いわゆる可視光反射膜とされている。よって反射体20はダイクロイックミラーとなっている。
【0030】
上記ハロゲン電球1は、絶縁ベース16に取り付けた捩じ込み形口金18を、上記反射体20の口金23に設けた図示しないソケットに脱着可能に取り付けることにより反射体20の口金24および外部端子25に電気的に接続されるようになっている。
【0031】
このような構成の片封止形ハロゲン電球の作用を説明する。
外部リード線14,15を通じて、電源の電圧を加えるとフィラメント8に電流が流れ、よってフィラメント8が発光する。この光は周囲に放出され、バルブ2の楕円球部5を透過して外部に放射される。そして、この光が楕円球部5の外面に形成した赤外線反射膜7を透過する時に可視光は透過されるが赤外線は反射される。
【0032】
上記赤外線反射膜7で反射された赤外線は、バルブ2の内部に戻され、この帰還した赤外線はフィラメント8を加熱する。この場合、フィラメント8はそのコイル軸O2 −O2 がバルブ中心線O1 −O1 と一致するように配置されているから、赤外線反射膜7で反射された赤外線はフィラメント8に効率よく戻される。
【0033】
しかも、本実施例の場合、フィラメント8は、楕円球形をなすバルブ2の第1の焦点F1 および第2の焦点F2 に跨がる長さ以上の長さを有し、端部はこれら焦点F1 およびF2 の上に配置されているから、第1の焦点F1 から出た赤外線は第2の焦点F2 に戻り、また第2の焦点F2 から出た赤外線は第1の焦点F1 に戻るので、赤外線の帰還率、つまり回収率が高くなる。
【0034】
よって、フィラメント8は電源から供給される電力エネルギーに加えて上記赤外線反射膜7で反射された赤外線によっても熱エネルギーが与えられるので、温度上昇が促され、白熱化が促される。したがって、発光強度を、赤外線反射膜を設けない場合と同等レベルにしようとすれば、赤外線反射膜7で反射されてフィラメント8を加熱する熱エネルギーの分だけ電源から供給される電力エネルギーを少なくすることができ、消費電力を節約することができる。
【0035】
上記構成のハロゲン電球1は、図4に示す反射体20に収容された場合、バルブ2および赤外線反射膜7を透過した可視光は、光干渉作用をなす可視光反射膜により形成された反射面21で反射され、リフレクタ22の前面開口部から前方を照射する。この場合、赤外線の多くは赤外線反射膜7によりバルブ2内に戻されるからリフレクタ22に達する割合が少なく、リフレクタ22の温度上昇が防止される。しかも反射面21で赤外線はリフレクタ22の壁側に透過されてリフレクタ22の背部に逃がされるから、赤外線がリフレクタ22の前方に照射されず、温度上昇を嫌う可視光照射に有効となる。
【0036】
また、上記反射形照明装置によれば、ハロゲン電球1の効率が向上するから、その利点を活用することができ、効率の優れた照明装置となる。
そして、リフレクタ22の反射面21に可視光反射赤外線透過膜をコーティングしてダイクロイックミラーとした場合は、照射面の温度上昇をさらに抑止することができる。
【0037】
上記実施例においては、遮蔽部材が位置している箇所のバルブ2の最大内径、つまり円筒部4の最大内径をa、遮蔽部材に相当するビードガラス9の最小幅をbとした場合、a≦2.5bとしたから、寿命末期にフィラメント8が断線して放電が発生しても、この放電が封止部3まで伸びるのが防止される。寿命末期にフィラメント8が断線した場合、これら断線にて分断された通電部材間で放電が発生することがある。通常は図4のAで示すように、フィラメント8の脚部8a、8b間、またはこれら脚部8a、8bに近い一対の内部リード線10、11間でアークが飛ぶ。この場合は、大電流が流れるので電源回路のヒューズが溶断して電源回路を絶つ。
【0038】
しかし、希ではあるがアークが伸びて、図4のBで示すように、フィラメント8の一方の脚部8aまたはこれに近い一方の内部リード線10と、封止部3の他方のリード線11とモリブデン箔13との接続部との間でアークが生じることがある。このような場合、ビードガラス9によりアークの伸びを遮蔽し、封止部3にアークスポットを発生させないようにするのが望まれる。そこで、a≦2.5bとすることにより、アークの伸びを防止した。すなわち、ビードガラス9部分のバルブの最大内径aがa>2.5bの場合は、円筒部4が太くなるからアークが円弧を描き易くなり、加えてビードガラス9の最小幅部の外面と円筒部4の内面との間に大きな隙間が生じ、よって円弧形状に伸びるアークがビードガラス9を迂回して封止部3まで伸びる。これに対し、a≦2.5bにすれば、円筒部4が細くなるからアークが円弧形に成長しようとしてもその膨らみがバルブ壁に遮られて成長が規制され、アークの伸びが抑制される。しかもビードガラス9の最小幅部の外面と円筒部4の内面との間が狭隘な隙間となり、このビードガラス9により放電の通過が規制される。よって封止部3にアークスポットが発生されなくなり、封止部3の破損が防止されることになる。
【0039】
下記表1は、楕円球部5の最大内径をa、ビードガラス9の最小幅をbとした場合、これらの寸法を種々変えて封止部3に破損が発生する割合を調べた結果を示すデータである。
【0040】
【表1】
Figure 0003674078
【0041】
上記表1の実験結果から、a≦2.5bとすることにより、封止部3の破損が防止されることが確認される。また、バルブの径が細くなる程、アークの飛び越えが少なくなることも判る。
【0042】
また、上記実施例の場合、リード線10、11に取り付けられたビードガラス9が本発明の遮蔽部材を構成しているから、他に格別な遮蔽部材が不要であり、かつ遮蔽部材の支持構造が簡単になるとともに、一対のリード線10、11の間隔がこの遮蔽部材(ビードガラス9)により一定に保たれる。
【0043】
さらに、上記実施例の場合、楕円球形部5にフィラメント8が収容されているとともに、円筒部4にビードガラス9が収容されているから、放電が封止部3側へ越え難い。すなわち、円筒部4は楕円球部5に比べて細く形成されるので、円筒部4にビードガラス9を収容すれば、ビードガラス9の外周と円筒部4の内面との間が狭隘な隙間となり、放電が通過し難くなる。
【0044】
そして、バルブ2の表面に赤外線反射膜7が設けられる場合は、フィラメント8から放出される赤外線が赤外線反射膜7で反射されてフィラメント8に戻され、フィラメント8が加熱されることから効率が向上するが、フィラメント8の温度が赤外線反射膜7を設けない場合に比べて上昇する。このようなフィラメント8の熱は封止部3に輻射熱として伝えられ封止部3の温度上昇を招き、モリブデン箔12などが早期に酸化する心配があるが、フィラメント8から出る熱はビードガラス9に遮られて封止部3に達し難くなり、よって封止部3の温度上昇を防止することができる。この場合、フィラメント8の端部とビードガラス9の外縁を結んだ線の延長線Lが、封止部3の外を通過するようになっており、言い換えるとフィラメント8の端部からビードガラス9を臨んだ場合のビードガラス9外縁の展開角θの中に封止部3が存在されるようになっているから、フィラメント8と封止部3はビードガラス9を挾んで相互に陰になり、よってフィラメント8の熱はビードガラス9に遮られるから封止部3に達し難くなり、封止部3の温度上昇を一層確実に防止することができる。
【0045】
また、封止部3を圧潰封止する場合、封止部3を加熱して軟化させるが、この場合石英材料である酸化ケイ素SiO2 が昇華してバルブ2内に拡散しようとするが、この酸化ケイ素の昇華もビードガラス9に遮られるようになり、バルブ2内に拡散するのが抑止される。
【0046】
なお、上記実施例においては、バルブ形状が円筒部5と楕円球部5を有する形状の場合について説明したが、本発明はこれに限らず、図6に示すような円筒形バルブの場合であっても実施可能である。すなわち、図6においては2は石英からなる円筒形バルブ、3は圧潰封止部、7は赤外線反射膜、8はフィラメント、9は遮蔽部材に相当するビードガラス、9aはアンカ−ワイヤ、10,11は内部リード線、12,13はモリブデン箔、16は絶縁ベース、18は捩じ込み形口金、19は端子である。
このような円筒形の片封止形ハロゲン電球の場合でも、本発明の条件を具備すれば、寿命末期に放電が発生した場合にもバルブの破損を防止することができる。
遮蔽部材やビードガラスの形状は、長円形状または棒状に限らず、円板形などであってもよい。
【0047】
【発明の効果】
以上説明したように請求項1の発明によると、遮蔽部材が設けられている箇所のバルブの最大内径aと遮蔽部材のバルブ径方向の最小幅bとの関係を、a≦2.5bとしたから、寿命末期にフィラメントの断線により放電が発生しても、この放電が封止部まで伸びるのが防止される。よって、封止部の金属箔導体の接続箇所のアークスポットが発生するのが回避されることになり、封止部の破損が防止される。
【0048】
請求項2の発明によれば、遮蔽部材がリード線に支持されたビードガラスにより構成されているから、格別な遮蔽部材が不要であり、遮蔽部材の支持構造が簡単であるとともに、一対のリード線の間隔が遮蔽部材により一定に保たれる。
【0049】
請求項3の発明によれば、円筒部は球形部に比べて細く形成されるので、円筒部に遮蔽部材を収容すると、この遮蔽部材の外周と円筒部の内面との間は一層狭隘な隙間となり、よって放電が通過し難くなる。このため放電が封止部まで伸びるのが防止される。
【0050】
請求項4の発明によれば、バルブの内外いずれかの表面に可視光を透過する赤外線反射膜が設けられているから、フィラメントから放出される赤外線が赤外線反射膜で反射されてフィラメントに戻され、フィラメントが加熱されるから効率が向上する。そして、フィラメントの熱は遮蔽部材に遮られて封止部に達し難くなり、封止部の温度上昇を防止することができる。
【0051】
請求項5の発明によれば、フィラメントと封止部は遮蔽部材を挾んで相互に陰になるから、点灯中においてフィラメントの熱が遮蔽部材に遮られて封止部に達し難くなり、封止部の温度上昇を一層確実に防止することができる。
請求項6の発明によれば、請求項1ないし請求項5に記載の白熱電球の利点を生かした反射形照明装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例を示し、球形部と円筒部を有するハロゲン電球の斜視図。
【図2】同実施例のハロゲン電球の正面図。
【図3】赤外線反射膜を構成する多層干渉膜の構造を模式的に示す断面図。
【図4】同実施例のハロゲン電球の作用を説明する図。
【図5】図1ないし図4に示すハロゲン電球を光源とした反射形照明装置の断面図。
【図6】本発明の第2の実施例を示し、円筒形ハロゲン電球の斜視図。
【符号の説明】
1…ハロゲン電球
2…バルブ
3…封止部 4…円筒部
5…楕円球部 6…細管
7…赤外線反射膜
8…フィラメント
9…ビードガラス(遮蔽部材)
20…反射体
21…反射面
22…リフレクタ

Claims (6)

  1. 一端に封止部が形成されたバルブと;
    このバルブに収容されたフィラメントと;
    上記封止部とフィラメントとの間のバルブ内に設けられた遮蔽部材と;
    を具備し、上記バルブの上記遮断部材が位置する部分の最大径をa、遮蔽部材のバルブ径方向の最小幅をbとした場合、
    a≦2.5b
    としたことを特徴とする白熱電球。
  2. 上記遮蔽部材は、リード線に支持されたビードガラスにより構成されていることを特徴とする請求項1に記載の白熱電球。
  3. バルブは、球または楕円球もしくはこれらに類似した球形部と、これに連なる円筒部および封止部を有し、上記球形部にフィラメントが収容されているとともに、円筒部に遮蔽部材が収容されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の白熱電球。
  4. バルブには、内外いずれかの表面に可視光を透過する赤外線反射膜が設けられていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一に記載の白熱電球。
  5. フィラメントの一端と遮蔽部材の最小幅部の外周とを結んだ線の延長線が上記封止部の外側を通ることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか一に記載の白熱電球。
  6. 請求項1ないし請求項5のいずれか一に記載の白熱電球;
    この白熱電球が組み込まれた反射体と;
    を備えたことを特徴とする反射形照明装置。
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