JP3673219B2 - T型梁スラブ、断熱埋込材及び型枠兼用下地ボード - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
フラットスラブの下面側に所定間隔で小梁を突出形成させたT型梁スラブと、それに用いる断熱埋込材及び型枠兼用下地ボードに関する。
【0002】
【従来の技術】
マンションなどの天井面及び床面となるスラブを構築する場合、まず、その下面に型枠となるベニヤ板などせき板を敷き詰めて型枠の組立てを行い、次いで、当該せき板の上にコンクリートを打設し、硬化した後にせき板を取り外して型枠バラシを行い、最後に、天井面となる下向面に内装仕上げを行なうのが一般的である。
【0003】
ところで最近では、スラブのワイドスパン化が図られており、厚さが均等なフラットスラブでは強度不足となるところから、スラブ断面を工夫してスラブを強化したT型梁スラブが用いられている。
【0004】
このT型梁スラブは、フラットスラブの下面側に、小梁となる突条のリブを所定間隔で一体形成したもので、大梁間や耐力壁間に所定間隔で架設される小梁でフラットスラブを支持したものと等しい強度を有する。
【0005】
しかしながら、このようなT型梁スラブは天井面側に多数の突条を形成しなければならないため、その型枠の組立て及び支持がフラットスラブに比して非常に面倒で工期・工費が嵩むだけでなく、コンクリート養生後は、天井面に小梁の凹凸が形成されるために見栄えが悪く、内装工事も面倒でコストが嵩むという問題があった。
【0006】
さらに最近では、次世代省エネルギー基準が告示されており、コンクリートの熱還流を遮断して住宅の高断熱化や壁内結露防止を図るために、型枠を外した後、天井面に断熱材と下地用のボードを2層にして張付けたり、断熱材で形成された下地用のボードを貼り付けなければならず、建築資材が増え、工期が延び、コストが嵩むという問題があった。
【0007】
このため、本出願人は、T型梁スラブを構築する際に、天井面側をフラットに形成し、型枠バラシ、内装用下地ボード及び断熱材の施工の面倒を解消し、ひいては、建築資材の削減、工期の短縮、建築コストの低減を図ることのできるT型梁スラブを提案した(特願2001−49473)。
【0008】
これは、図6に示すように、コンクリート型枠として天井面に敷き詰められた型枠兼用下地ボード41…上に、略直方体の断熱埋込材42…をその長手方向に連結して幅方向に所定間隔で配列固定した後、コンクリート43を打設することにより、断熱埋込材42…の各列の間に形成される複数条の小梁S2…と、断熱埋込材42…の上に形成されるフラットスラブS1を一体に構築するものである。
【0009】
そして、断熱埋込材42は略直方体の発泡樹脂で形成され、その底面側に複数の空気室44…を開口形成することにより、材料費を低減し、断熱効果・防音効果を向上させている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このようにしてT型梁スラブを構築する場合に、コンクリートが養生するまでに染み出す水分が型枠兼用下地ボード41…と埋込材42…との隙間から空気室44に浸入し、そのままコンクリートが固まってしまうと、空気室44は気密空間となるので、水分が外部へ抜けずに溜まったままになり、後々、裏面側からボード41内に染み込んでボード41を変形させたり、表側に染み出して内装を汚す可能性が指摘された。
【0011】
そこで、本発明は、コンクリートから染み出す水分が埋込材の空気室に浸入するのを阻止すると共に、万一浸入してもこれを外部に逃がすことができるようにすることを技術的課題としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】
この課題を解決するために、本発明は、コンクリート型枠として天井面に敷き詰められた型枠兼用下地ボード上に、略直方体の断熱埋込材をその長手方向に連結して幅方向に所定間隔で配列固定した後、コンクリートを打設することにより、前記断熱埋込材の上に形成されるフラットスラブと、断熱埋込材の各列の間に形成される複数条の小梁が一体に構築されたT型梁スラブであって、前記断熱埋込材の底面側に複数の空気室が開口形成されると共に、当該埋込材の底面周縁または各空気室の開口部周縁には、当該埋込材を型枠兼用下地ボードに押し付けようとする下向荷重により圧縮変形して下地ボードに密着する軟弱リブが突出形成され、前記型枠兼用下地ボードには、その側面に開口する配線兼用通気孔が貫通形成されると共に、前記断熱埋込材の空気室と対応する位置に、当該空気室と前記配線兼用通気孔を連通する空気穴が開口されたことを特徴とする。
【0013】
本発明によれば、型枠兼用下地ボードに断熱埋込材を押し当てて固定したり、コンクリートを打設すると、断熱埋込材に下向荷重が作用し、その底面周縁または各空気室の開口部周縁に形成された軟弱リブが潰れて圧縮変形するので、型枠兼用下地ボードと埋込材の隙間を塞ぐパッキンの機能を果たし、空気室の周囲から空気室内への水分の浸入が阻止される。
【0014】
また、万一、空気室内に水分が浸入することがあっても、型枠兼用下地ボードには、その側面に開口するように配線兼用通気孔が貫通形成され、各前記断熱埋込材の空気室と対応する位置に、当該空気室と前記配線兼用通気孔を連通する空気穴が開口されているので、浸入した水分は水蒸気となって配線兼用通気孔から外部へ逃がされることとなり、空気室内に溜まったままになることがない。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて具体的に説明する。
図1は本発明に係るT型梁スラブの一例を示す断面図、図2は断熱埋込材を示す斜視図、図3は型枠兼用下地ボードを示す斜視図である。
【0016】
本例のT型梁スラブ1は、コンクリート型枠として天井面に敷き詰められた型枠兼用下地ボード2…上に、略直方体の断熱埋込材3…をその長手方向に連結して幅方向に所定間隔で配列固定した後、その上からコンクリートを打設することにより、前記断熱埋込材3…の上に形成されるフラットスラブS1と、断熱埋込材3…の各列の間に形成される複数条の小梁S2が一体に構築されてなる。
【0017】
型枠兼用下地ボード2は、壁紙などの内装材を直張り可能な耐火性耐力面材4の裏面側に、難燃性又は不燃性の断熱パネル5が積層されて一体に形成されたボード本体2Aに、配線兼用通気孔6が形成されて成る。
【0018】
耐火性耐力面材4としては、無機発泡体及び繊維状物を含む主剤を結合材で祖固めた心材板4Aの表裏両面に、鉱物繊維を含む主剤を結合材で固めた繊維補強層4B、4Bを一体成形して三層構造に形成した厚さ6〜12mm程度のダイライト(大建工業株式会社の商品名)を用いた。
【0019】
この耐火性耐力面材4は、無機質原料が繊維状になって絡み合った多孔質体であり、特類の構造用合板と同等の強度を有し、防腐、防蟻性、防耐火性、通気性に優れ、吸湿による膨張も極めて少ないという建材に適した特性を有している。
【0020】
断熱パネル5としては、熱伝導率が低く、且つ、耐火性能に優れたものが好ましく、本例では、熱伝導率が0.017kcal/m・h・℃(0.020W/m・K)のフェノール発泡樹脂である厚さ50〜70mmのネオマフォーム(旭化成建材株式会社の商品名)やビーズ発泡スチレンボードを用いた。
【0021】
このボード本体2Aには、断熱パネル5の部分に、その側面に開口するように配線兼用通気孔6が貫通形成されている。
そして、断熱埋込材3の底面側に開口形成された各空気室7…と対応する位置に、当該空気室7…と前記配線兼用通気孔6を連通する空気穴6a…が開口されて、型枠兼用下地ボード2が形成されている。
【0022】
断熱埋込材3は、前記断熱パネル5と同様、ネオマフォーム(旭化成建材株式会社の商品名)やビーズ発泡スチレンボードで形成された埋込材本体3Aの底面側に、各空気室7が開口形成されると共に、側壁面8が反響音を弱音化させる連続三角波形状の凹凸面に形成されてなる。
また、各空気室7の側壁面8に、空気室7同士を連通する連結孔8aが形成され、一つの空気室7だけ高湿度にならないようになっている。
【0023】
また、長手方向に延びる中心線X上に、当該断熱埋込材3を型枠兼用下地ボード2に固定するための締付ロッド9を挿通する取付孔10が形成されている。
【0024】
この断熱埋込材3の底面周縁及び取付孔10の底面側開口部10a周縁には、コンクリートを打設したときにその重さにより圧縮変形する軟弱リブ11及び12が突出形成されている。
この軟弱リブ11及び12は、断熱埋込材3と同じ材質で、その形成時に同時に形成され、打設されたコンクリートの荷重で圧縮変形する程度の比較的幅の狭い突条で形成されている。
【0025】
そして、断熱埋込材3の底面周縁に設けられた軟弱リブ11が打設されたコンクリートの重さにより圧縮変形することにより、そのコンクリートから水分が染み出しても、断熱埋込材3周囲から空気室7への浸入が阻止される。また、取付孔10の底面側開口部10aの周縁に設けられた軟弱リブ12が圧縮変形することにより、取付孔10内に打設されたコンクリートから水分が染み出しても、取付孔10の内側から空気室7への浸入が阻止される。
【0026】
なお、前記取付孔10に隣接する空気室7aは、必要に応じて上面を開口させてコンクリートを流し込むことができるように、断熱埋込材3の上面部分が薄く形成されると共に、周囲には凹溝(脆弱部)13が形成されている。さらに、比較的面積の広い各空気室7には、コンクリート打設時にその重さで埋込材3の上面がつぶれないように脚14が形成されている。
【0027】
なお、15は埋込材固定具であって、断熱埋込材3の取付孔10に挿通される締付ロッド9と、取付孔10の位置に対応して型枠兼用下地ボード2の耐火性耐力面材4に接着剤やビスなどで固定されるベース16と、断熱埋込材3の上に載せられる配筋用スペーサ17からなる。
【0028】
そして、断熱埋込材3の取付孔10に挿通された締付ロッド9の上下両端9U、9Dを、前記ベース16及びスペーサ17の係合部16a、17aに係合することにより断熱埋込材3を型枠兼用下地ボード2に固定するように成っている。
また、配筋用スペーサ17にはコンクリートから抜け落ちないように引張抵抗を増大させるフランジ状のアンカー18が形成されている。
【0029】
そして、型枠兼用下地ボード2の上に断熱埋込材3を置き、取付孔10に締付ロッド9を挿し入れ、その下端部をベース16に係合させた状態で、その上端部を配筋用スペーサ17に係合させる。
これにより、断熱埋込材3はその上面から配筋用スペーサ17で押え付けられて下向荷重が作用して下地ボード2に押し当てられるので、その底面に形成された軟弱リブ11及び12が潰れて圧縮変形する。
【0030】
そして、コンクリートを打設すると、その重みで、断熱埋込材3にさらに下向荷重が作用するので、軟弱リブ11及び12も潰れてさらに圧縮変形する。
このようにして、軟弱リブ11及び12が圧縮変形されてパッキンの機能を果たすので、断熱埋込材3の底面は下地ボード2に密着され、水分の侵入が確実に阻止される。
【0031】
また、軟弱リブ11及び12が変形する際に皺が寄るなどして、十分に気密性が維持できずに、空気室7内に水分が浸入しても、その水分は、水蒸気となって各空気室7から空気穴6aを介して配線兼用通気孔6を通り、外部に逃がされる。
さらに、一部の空気穴6aが何らかの原因で塞がってしまっても、各空気室7同士が連結孔8aを介して連通されているので、その水蒸気は他の空気室7から配線兼用通気孔6を通り外部に確実に逃がされる。
【0032】
また、図5に示すように、互いに隣接する型枠兼用下地ボード2R及び2Lを継ぎ合わす継合せ面21R及び21Lを合いじゃくり面に加工すると共に、その一方の継合せ面21Lに凹溝22を形成してもよい。
この場合、継合せ面21R及び21L同士を当接させて継ぎ合わせると、凹溝22により継合せ面21R及び21Lの間に通気孔23が形成される。
【0033】
したがって、コンクリートが養生するまでに染み出す水や湿った空気が断熱埋込材3の空気室7内に浸入した場合は、その水分を配線兼用通気孔6から外部に逃がすことができ、型枠兼用下地ボード2R及び2Lの隙間に侵入した場合は、通気孔23を通って外部に逃がされ、室内側に染み出したり、内装材を汚すことがない。
【0034】
なお、型枠兼用下地ボード2R及び2Lはスラブ1を構築する場合に限らず、内外壁を構築する場合に使用することもできる。
この場合、型枠兼用下地ボード2R及び2Lに埋込材3を配列固定する必要はないので、各ボード2R及び2Lは、空気穴6aを形成することなく、通気孔23となる凹溝22及び配線兼用通気孔6が形成されていれば足り、中間部に配線兼用通気孔6も必要ない場合は通気孔23となる凹溝22のみを形成し、この通気孔23を配線兼用通気孔として使用すればよい。
【0035】
このようにして構築されるT型梁スラブ1は、階下と階上の間に設けられる大梁に支持されるが、支持形式としては、大梁の下端側がT型梁スラブ1の下方に出っ張るようにその上端面同士を面一に合せて支持する形式であっても、また、階上の床に配管空間を形成すると共に階下の天井の出っ張りを無くすため大梁の上端側をT型梁スラブの上方に突出させて下端面同士を面一に合せて支持する所謂逆梁スラブ構造形式であっても、さらに、大梁の上端側及び下端側の双方がT型梁スラブの上下両方に出っ張るようにT型梁スラブ1を大梁の中間高さに支持する形式であっても良い。
【0036】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、コンクリート養生の際に染み出す水分の空気室への侵入を確実に阻止することができると共に、万一浸入してもこれを外部に逃がすことができるので、空気室内に水分が溜まることによる不具合を解消することができるという大変優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るT型梁スラブの一例を示す断面図。
【図2】本発明に係る断熱埋込材の一例を示す底面図。
【図3】その断面図。
【図4】本発明に係る型枠兼用下地ボードの一例を示す斜視図。
【図5】本発明に係る型枠兼用下地ボードの他の例を示す斜視図。
【図6】従来のT型梁スラブを示す断面図。
【符号の説明】
1………T型梁スラブ
2………型枠兼用下地ボード
2A………ボード本体
3………断熱埋込材
3A………埋込材本体
S1………フラットスラブ
S2………小梁
4………耐火性耐力面材
6………配線兼用通気孔
6a………空気穴
7………空気室7
10………取付孔
10a………底面側開口部
11,12………軟弱リブ
Claims (5)
- コンクリート型枠として天井面に敷き詰められた型枠兼用下地ボード上に、略直方体の断熱埋込材をその長手方向に連結して幅方向に所定間隔で配列固定した後、コンクリートを打設することにより、前記断熱埋込材の上に形成されるフラットスラブと、断熱埋込材の各列の間に形成される複数条の小梁が一体に構築されたT型梁スラブであって、
前記断熱埋込材の底面側に複数の空気室が開口形成されると共に、当該埋込材の底面周縁または各空気室の開口部周縁には、当該埋込材を型枠兼用下地ボードに押し付けようとする下向荷重により圧縮変形して下地ボードに密着する軟弱リブが突出形成され、
前記型枠兼用下地ボードには、その側面に開口する配線兼用通気孔が貫通形成されると共に、前記断熱埋込材の空気室と対応する位置に、当該空気室と前記配線兼用通気孔を連通する空気穴が開口されたことを特徴とするT型梁スラブ。 - フラットスラブの下面側に所定間隔で小梁を突出させたT型梁スラブを構築する際に、そのコンクリート型枠として天井面に敷き詰められた型枠兼用下地ボード上に載置されて、その上から打設されるコンクリートで埋設される略直方体の断熱埋込材であって、
埋込材本体の底面側には、型枠兼用下地ボードの側面に開口される配線兼用通気孔に連通してその上面に開口される空気穴と対応する位置に、複数の空気室が開口形成されると共に、埋込材本体の底面周縁または各空気室の開口部周縁には、埋込材本体を型枠兼用下地ボードに押し付けようとする下向荷重により圧縮変形して下地ボードに密着する軟弱リブが突出形成されていることを特徴とするT型梁スラブ用断熱埋込材。 - 前記埋込材本体を下地ボードに固定するための取付孔が、当該本体を上下に貫通して形成されると共に、当該取付孔の底面側開口部周縁には、埋込材本体を型枠兼用下地ボードに押し付けようとする下向荷重により圧縮変形して下地ボードに密着する軟弱リブが突出形成された請求項2記載の断熱埋込材。
- フラットスラブの下面側に所定間隔で小梁を突出させたT型梁スラブを構築する際にコンクリート型枠としてその下面高さに敷き詰められ、底面に複数の空気室が開口形成された断熱埋込材を載置してその上からコンクリートを打設することにより、埋込材の底面周縁または各空気室開口部周縁に形成された軟弱リブが圧縮変形されて密着される型枠兼用下地ボードであって、
ボード本体内には、その側面に開口するように配線兼用通気孔が貫通形成されると共に、ボード本体上に載置固定される前記断熱埋込材の空気室と対応する位置に、当該空気室と前記配線兼用通気孔を連通する空気穴が開口されたことを特徴とする型枠兼用下地ボード。 - 隣接する2枚の下地ボードの側面同士を当接させて継ぎ合わせたときに、その継合せ面の間に通気孔となる隙間を生ずる凹溝が形成されて成る請求項4記載の型枠兼用下地ボード。
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