JP3673170B2 - レバー式巻上機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、レバー式巻上機に関し、特に荷重が小荷重の場合でも荷のずり落ちを確実に防止でき、且つ遊転を容易で確実に行うことができるレバー式巻上機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のレバー式巻上機の一般的構造は、図5に示すように、駆動軸Aに受圧部材Bが固定され、この受圧部材Bのボス部に一対のブレーキ板C,Cに挟まれた逆転防止輪Dが設けられ、駆動軸Aのねじ部には操作ハンドルEの操作によって進退可能に押圧駆動部材Fが螺合されていた。また、押圧駆動部材Fから右側に突出する駆動軸には、回転制限部材Gが固定され、この回転制限部材Gの外周部には、操作輪Hが回転自在に設けられていた。回転制限部材Gや操作輪Hには突起h,gが設けられており、その突起が押圧駆動部材Fを回転させるものであった。
【0003】
そして、押圧駆動部材Fとこれに対向する受圧部材Bの間に、両者を離す方向に付勢するスプリングIを設けることで、両部材F,B間に隙間を開けた後、その隙間を保持して遊転を可能にするものであった。或いは、操作輪Hの中に、操作輪Hを回転制限部材Gに押圧するスプリングを設けることで、押圧駆動部材Fと受圧部材B間に隙間を開けた後、その隙間を保持して遊転を可能にするものもあった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のレバー式巻上機は、スプリングの付勢力のみで遊転環境を維持するものであり、例えば回転制限部材と操作輪の組付けなど、厳密には構造的に常に相対回転可能とされていた。そのため、無負荷の遊転時に遊転不能となったり、逆に小荷重が吊り下げられていても遊転状態を維持して荷がずり落ちたりするおそれがあった。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、小荷重がかかっている場合には荷のずり落ちを確実に防止でき、且つ遊転必要時には遊転を容易で確実に行うことができるレバー式巻上機を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明のレバー式巻上機は、下記の(A)〜(G)の構成要件を備えることを特徴とする。
(A)歯車伝動系列を介してロードシーブに連結された駆動軸。
(B)この駆動軸に固定された受圧部材。
(C)この受圧部材に設けられ、両面にブレーキ板を重ね合わされて正転のみ可能とされた逆転防止輪。
(D)駆動軸に進退可能に螺合され、ブレーキ板と逆転防止輪を介して受圧部材を押圧して正転可能な押圧駆動部材。
(E)駆動軸と一体回転可能とされ、受圧部材に対する押圧を解くよう押圧駆動部材が逆転した際に押圧駆動部材に当接して、それ以上の逆転を阻止する回転制限突起を形成された回転制限部材。
(F)回転制限部材と一体回転可能とされる共に、回転制限部材に対する軸方向移動により回転制限部材と相対回転可能とされ、押圧駆動部材に当接することで押圧駆動部材を逆転可能な押圧開放突起を形成された操作輪。
(G)操作輪を逆転させる方向に付勢するコイルバネ。
【0007】
また、本発明のレバー式巻上機は、好ましくは上記構成に加えて、前記回転制限部材は円筒状部を備え、その押圧駆動部材側には回転制限突起と径方向外側への突出部を形成されている。さらに、前記操作輪は、回転制限部材の円筒状部と嵌合される円形穴を形成されると共に、押圧駆動部材側に回転制限部材の突出部と係合される係合溝と、押圧開放突起を形成されている。また、操作輪内に配置されるコイルバネにより、操作輪は回転制限部材に対し逆転方向に付勢される。そして、操作輪は、回転制限部材の円筒状部に軸方向移動可能に円形穴を嵌合されており、係合溝に回転制限部材の突出部が係合された状態では、回転制限部材と一体回転される一方、回転制限部材に対し軸方向移動されて、係合溝から回転制限部材の突出部の係合が解除されることで、コイルバネの付勢力によって回転制限部材に対し相対的に逆転されて、押圧駆動部材を回転制限部材の回転制限突起に当たるまで押圧開放突起にて逆転させることを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のレバー式巻上機1について、さらに詳細に説明する。
なお、以下の説明において、左右方向は図1における駆動軸2の軸方向であり、操作輪3側を右側に定義した。また、時計方向(正転)ないし反時計方向(逆転)は、右側から見た状態における駆動軸2を中心とした回転方向として定義した。
【0009】
図1は、本発明のレバー式巻上機1の一実施例を示す縦断面図であり、図2は、そのレバー式巻上機1の主要部の分解斜視図である。
図1において、左右に離間して平行に保持された一対の側板4,5の間には、軸受6,6により回転可能にロードシーブ7が設けられている。ロードシーブ7の中央部には、左右方向に貫通して軸穴7aが形成されている。この軸穴7aには、駆動軸2が回転可能に挿通されている。駆動軸2の左右両端は、ロードシーブ7の左右から突出されて配置される。
【0010】
駆動軸2の右側の突出部には、ロードシーブ7を駆動する手段が設けられる。この突出部には、側板5に近い方から順番に、第1ねじ部2aと、この第1ねじ部2aよりやや小径のスプライン部2bと、第2ねじ部2cが形成されている。なお、第1ねじ部2aと第2ねじ部2cは、いずれも右ねじである。
【0011】
一方、駆動軸2の左側の突出部には、ピニオン歯車2dが設けられている。このピニオン歯車2dは、減速歯車伝動系列Gを介してロードシーブ7に連結されている。なお、これら各歯車2d,Gは、側板4に取り付けられるカバー8により覆われている。
【0012】
駆動軸2の第1ねじ部2aには、側板5に近い方から、受圧部材9と押圧駆動部材10が螺合されている。この内、受圧部材9は、第1ねじ部2aの最内部までねじ込まれて駆動軸2に固定されている。一方、押圧駆動部材10は、受圧部材9の右側に隣接して、第1ねじ部2aに進退可能に螺合されている。
【0013】
受圧部材9は、側板5に近接して左側に、フランジ状のディスク部9aが形成されている。また、受圧部材9は、ディスク部9aの中央部から右向きに、ボス部9bを突出形成されている。受圧部材9のボス部9bには、両端面にブレーキ板11,11を重ね合わされた逆転防止輪12がはめ込まれる。
【0014】
逆転防止輪12は、その外周に円周方向の一方へ傾斜する係止歯を、周方向に所定間隔で形成されている。そして、逆転防止輪12とその両側に配設されたブレーキ板11,11とは、押圧駆動部材10により受圧部材9のディスク部9aに押圧可能とされている。つまり、逆転防止輪12は、受圧部材9のディスク部9aと押圧駆動部材10の間に挟まれることになる。
【0015】
逆転防止輪12は、側板5に保持されたラチェット爪13と係合される。このラチェット爪13は、バネ14により逆転防止輪12の外周部に押圧されて、逆転防止輪12の係止歯と係合される。これにより、逆転防止輪12は、ロードシーブ7の巻上げ方向にのみ回転、つまり正転のみ可能とされている。
【0016】
押圧駆動部材10は略円柱形状に形成され、駆動軸2の第1ねじ部2aに進退可能に螺合されている。押圧駆動部材10の左側面の中央部には、図1に示すように、受圧部材9のボス部9bの先端が差し込み可能な浅い円形穴10aが形成されている。一方、押圧駆動部材10の右側面には、図2に示すように、略扇形の凹溝10b,10bが形成されている。
【0017】
押圧駆動部材10の凹溝10bは、後述する操作輪3の押圧開放突起3aの個数に対応した数だけ形成される。本実施例では、同一形状の二つの凹溝10bが径方向に向かい合って形成されている。なお、押圧駆動部材10の外周部の右半分には、周方向に一定間隔で歯状部10cが形成されている。
【0018】
駆動軸2のスプライン部2bには、押圧駆動部材10の右側に隣接して、回転制限部材15がスプライン結合にて設けられる。従って、回転制限部材15は、駆動軸2と一体回転可能に設けられることになる。回転制限部材15は、図2に示すようにボス状の円筒状部15aを備え、その左側端部に径方向外側に突出してツバ部(突出部)15bが一体形成されている。そして、回転制限部材15の中央部には、軸方向に沿って駆動軸2のスプライン部2bへの係合穴15cが形成されている。
【0019】
回転制限部材15のツバ部15bは、円形以外の各種形状が採用され、例えば略矩形の板状に形成される。図示例では、フランジ状の円板の左右両端部を切除された形状とされている。回転制限部材15のツバ部15bの左側面には、回転制限突起15dが左側に突出形成されている。図2では、円筒状部15aから上方へ突出するツバ部15bに、回転制限突起15dが一体形成されている。
【0020】
回転制限部材15は、その回転制限突起15dが押圧駆動部材10の一の凹溝10bに突入されて配置される。従って、駆動軸2の第1ねじ部2aから螺退するよう押圧駆動部材10が逆転した際には、凹溝10bの周方向の一端部に回転制限突起15dが当たることで、押圧駆動部材10と駆動軸2のそれ以上の相対回転を不能として、押圧駆動部材10が不必要に軸方向右側に移動するのが防止される。
【0021】
回転制限部材15の円筒状部15aの外周には、操作輪3が嵌合される。この操作輪3は、右側に開口した凹穴3bを形成された略円筒形状とされ、左側壁(凹穴3bの底壁)には回転制限部材15の円筒状部15aの外周に嵌合される円形穴3cを形成されている。また、操作輪3の左側壁の左側面には、前記円形穴3cに隣接して、回転制限部材15のツバ部15bと係合可能な係合溝3dが形成されている。本実施例では、回転制限部材15のツバ部15bに対応して、略矩形状の係合溝3dが操作輪3の径方向に延びて、操作輪3の左側面に切欠き形成されている。なお、操作輪3の外周部には、複数個の凹凸3eが周方向に一定間隔で形成されており、操作輪3を持ち易く、回転し易くしている。
【0022】
押圧駆動部材10と対向する操作輪3の左側壁には、押圧駆動部材10の各凹溝10bに突入される押圧解放突起3aが左側に突出して一体形成されている。本実施例では、操作輪3の係合溝3dの短辺側上下位置に、操作輪3の径方向に対向して押圧解放突起3aが形成されており、それぞれ押圧駆動部材10の各凹溝10bに突入される。
【0023】
操作輪3の凹穴3bには、右巻きコイルバネ16が収容されて取り付けられる。この取り付けは、バネ受け部材17を用いて行われる。本実施例のバネ受け部材17は、図1に示すように、断面略ハット形状とされている。つまり、中央部に左側に突出した円筒状部17aを備え、その円筒状部17aは右側に開口され、その右端部の外周部に径方向外側に突出してフランジ17bを一体形成された形状とされている。
【0024】
なお、バネ受け部材17の円筒状部17aの外径は、コイルバネ16の内径よりも小さく、回転制限部材15の円筒状部15aの外径よりも大きく形成されている。また、バネ受け部材17のフランジ17bの外径は、操作輪3の凹穴3bの内径と適合して形成されている。さらに、バネ受け部材17の中央部(円筒状部17aの底)には、駆動軸2のスプライン部2bと適合した係合穴17cが形成されている。
【0025】
そして、コイルバネ16は、一端部を操作輪3の凹穴3bの底(左側壁)に形成した切欠き等に係止され、他端部をバネ受け部材17のフランジ17bに形成した小穴に係止された状態で、操作輪3に対して例えば約90度程度周方向にバネ受け部材17を相対回転(逆転)させて圧縮すると共に、操作輪3の凹穴3b内にバネ16を収めるよう軸方向に圧縮して、バネ受け部材17の係合穴17cを駆動軸2のスプライン部2bに係合して取り付けられる。その状態では、右向きに開口するバネ受け部材17の円筒状部17a内に、駆動軸2の第2ねじ部2cが配置される。従って、その第2ねじ部2cにナット18を螺合することで、バネ受け部材17が駆動軸2に位置決めされる。
【0026】
これにより、回転制限部材15の円筒状部15aの右側面に、バネ受け部材17の左側面が当接されて配置される。そして、回転制限部材15の円筒状部15aに、その軸方向に移動可能に操作輪3の円形穴3cが嵌合される。しかも、操作輪3は、回転制限部材15のツバ部15bとバネ受け部材17の左側壁とに挟まれることで、回転制限部材15の円筒状部15aからの脱落が防止される。
【0027】
ところで、回転制限部材15の円筒状部15aの軸方向長さは、操作輪3の左側壁の厚さ程度とされている。つまり、操作輪3の円形穴3cと係合溝3dのそれぞれの深さを合わせた長さ程度とされている。
【0028】
押圧駆動部材10の歯状部10cは、操作ハンドル19内に収納される。操作ハンドル19は、内側ケース19aと外側ケース19bとから構成されており、内側ケース19aには、押圧駆動部材10のブレーキ板11側を囲む開口が設けられおり、外側ケース19bには、操作輪3の左側壁外周部を囲む開口が設けられている。これら内側ケース19aと外側ケース19bとは、複数個のボルトナットにより一体に結合される。
【0029】
操作ハンドル19は、押圧駆動部材10の下側へ延びるとともに、その内側には、回転方向切り換え爪20が設けられている。回転方向切り換え爪20は、軸21によって両ケース19a,19bに対し回動可能に保持されている。
【0030】
前記軸21は、操作ハンドル19の外部に突出するとともに、この突出部に回転方向切換レバー22が取り付けられている。この切換レバー22を切り換え操作することにより、回転方向切り換え爪20は押圧駆動部材10を巻上げ(UP)方向、又は巻下げ(DOWN)方向に回転されるように係合される他、どちらの方向にも係合されない中立位置に保持される。回転方向切り換え爪20の下端部には、バネ23によって上方へ付勢された押圧部材24が当接され、これにより回転方向切り換え爪20が所定の切り換え位置に弾発的に保持される。
【0031】
両側板4,5間の上部には、上フック25が設けられている。ロードシーブ7に巻き付けられたロードチェーン26の下端には、荷物吊り下げ用の下フック27が連結されている。また、側板5にはカバー28が取り付けられる。このカバー28中央部の筒状開口は、内側ケース19aの筒状の開口部外周に、操作ハンドル19が往復回動し得るように重合されている。内側ケース19aの筒状の開口部内面には、操作ハンドル19の軸方向への移動を規制する断面コ字形状のストッパー筒部材29が嵌挿されている。
【0032】
次に、この実施例のレバー式巻上機1の動作について説明する。
図3及び図4は、上記実施例のレバー式巻上機1の作動状態を示す図であり、図3は荷重負荷状態、図4は遊転状態を示している。なお、図3(A)は、巻上機の主要部の縦断面図、(B)はそのX−X断面図、(C)はそのY−Y断面図である。また、図4も同様に、(A)は巻上機主要部の縦断面図、(B)はそのM−M断面図、(C)はそのN−N断面図である。
【0033】
今、ロードチェーン26の下フック27に荷が吊り下げられている場合には、荷の重量によって駆動軸2は荷が巻下ろされる方向である反時計方向に回転(逆転)しようとする力を受ける。ところが、受圧部材9に設けられた逆転防止輪12の係止歯がラチェット爪13にかみ込んでいるので、押圧駆動部材10は時計方向に回転(正転)しようとして、ブレーキ板11,11や逆転防止輪12を介して受圧部材9を押圧してブレーキ状態を維持する。
【0034】
この状態では、図3に示すように、回転制限部材15の回転制限突起15dや操作輪3の押圧開放突起3aは、押圧駆動部材10の凹溝10bの周方向中間部に配置される。なお、本実施例では、回転制限突起15dと押圧開放突起3aとが押圧駆動部材10の周方向に対応した位置に配置されている。また、押圧開放突起3aは、回転制限突起15dより径方向外側に配置されている。さらに、この荷重負荷状態では、後述するように、必然的に操作輪3の係合溝3dに回転制限部材15のツバ部15bがはめ込まれることになる。
【0035】
以上のようなブレーキ状態において、荷物を巻き上げたい場合には、切換レバー22を巻き上げ方向(UP)に切り換えた後、操作ハンドル19を駆動軸2を中心として往復動させることにより行う。これにより、操作ハンドル19内の回転方向切り換え爪20が押圧駆動部材10を正転させて、受圧部材9を介して駆動軸2を正転させ、ひいてはロードシーブ7を正転させることになる。また逆に、荷物を巻き降ろしたい場合には、切換レバー22を巻き下げ方向(DOWN)に切り換えた後、操作ハンドル19を駆動軸2を中心として往復運動させることにより行うことができる。
【0036】
一方、遊転動作させたい場合は、切換レバー22を中立位置に合わせて、操作輪3を右側に引けばよい。これにより、回転制限部材15のツバ部15bから操作輪3の係合溝3dが抜き外されて、両者の係合が解除される。よって、図4(A)に示すように、操作輪3の左側壁全体が回転制限部材15の円筒状部15aの外周部に配置される。
【0037】
ここで、操作輪3は回転制限部材15に対し、右巻きコイルバネ16により反時計方向に常時付勢されている。従って、操作輪3の底が回転制限部材15のツバ部15bとの係合を解除されて、回転制限部材15の円筒状部15aに移動すると、操作輪3は回転圧縮された右巻きコイルバネ16のバネ力で反時計方向に回転することになる。
【0038】
これにより、図4(B)、(C)に示すように、操作輪3の押圧開放突起3aが反時計方向に回転して、押圧駆動部材10の凹溝10bの一端部(反時計方向の端部)10xに当たって、押圧駆動部材10を反時計方向に回転させる。ところが、回転制限部材15は、スプラインによって駆動軸2に一体化されており、同じ位置を保持するから、押圧駆動部材10の反時計方向の回転に伴って、押圧駆動部材10の凹溝10bの他端部(時計方向の端部)10yが回転制限部材15の回転制限突起15dに当たって、その回転制限突起15dが押圧駆動部材10のそれ以上の回転を阻止することになる。よって、押圧駆動部材10の必要以上の軸方向右側への螺退が防止される。
【0039】
このように、無負荷状態において、切換レバー22を中立位置にして操作輪3を右側に引くと、コイルバネ16の付勢力によって押圧駆動部材10が瞬時に所定量だけ逆転して、駆動軸2の第1ねじ部2aに沿って右側へ移動し、ブレーキ板11との押圧を解くことになる。よって、チェーン26を引いて遊転動作を安定して続けることができる。
【0040】
但し、コイルバネ16のバネ力は遊転動作用に調整しているので、荷がかかっている負荷状態では、荷の重量によって、駆動軸2は荷が巻き降ろされる方向である反時計方向に回転しようとする力を受け、且つ逆転防止輪12の係止歯がラチェット爪13に噛み込んでいるので、押圧駆動部材10は時計方向に回転し、ブレーキ板11と逆転防止輪12とを受圧部材9に押圧してブレーキ状態を維持することになる。しかも、その際、押圧駆動部材10の時計方向への回転によって、操作輪3の係合溝3dに回転制限部材15のツバ部15bが対応した位置になると、コイルバネ16の軸方向バネ力によって、その係合溝3dとツバ部15bとが係合されて、図4の状態から図3の状態に戻されることになる。
【0041】
ところで、無負荷状態で、図4の遊転状態を解除して図3の荷重状態に戻すには、押圧駆動部材10の回転を止めて、操作輪3を時計方向に回転させればよい。具体的には、切換レバー22を巻き上げ方向(UP)ないし巻き下げ方向(DOWN)のいずれかに切り換えることで、操作ハンドル19の回転方向切り換え爪20を歯状部10cにかみ合わせることで、押圧駆動部材10の回転を阻止した状態とする。そして、操作輪3の係合溝3dが回転制限部材15のツバ部15bと対応する位置まで操作輪3を時計方向に回転させると、コイルバネ16の軸方向バネ力によって、その係合溝3dにツバ部15bが入り込んで両者が係合される。
【0042】
この状態では、操作輪3の押圧開放突起3aが、押圧駆動部材10の凹溝10bの時計方向端部10yに当接される。従って、操作輪3を更に時計方向に回転させることで、押圧駆動部材10と受圧部材9間の隙間を埋めることができる。つまり、押圧開放突起3aを介して押圧駆動部材10を時計方向に回転させることで、ブレーキ板11に押圧駆動部材10が密着するまで、駆動軸2の第1ねじ部2aに対し押圧駆動部材10を締めることができる。これにより、図3の初期状態に戻されることになる。
【0043】
以上の巻上機では、遊転状態と荷重状態の切り替えが、従前のようなコイルバネのバネ力だけでなく、それを利用した操作輪3の係合溝3dと回転制限部材15の突出部15bとの係脱によって確実に切り替えがなされる。従って、例えば500kg用巻上機において10〜20kg以下の小荷重がかかっている場合でも、荷のずり落ちを確実に防止できる。つまり、小荷重の場合でも、遊転を解除して自動的に荷重状態に戻すことができる。しかも、無負荷時には確実に遊転状態を維持することができる。
【0044】
なお、本発明のレバー式巻上機1は、上記実施例の構成に限らず適宜変更可能である。
例えば、上記実施例においては、押圧駆動部材10の右側面に略扇形状の凹溝10bを形成したが、円環状の凹溝内を、その径方向に延びるリムにて適宜に仕切って構成してもよい。
【0045】
また、上記実施例では、押圧駆動部材10に二つの凹溝10b,10bを形成し、一方の凹溝10bに押圧開放突起3aと回転制限突起15dを突入する一方、他方の凹溝10bに押圧開放突起3aを突入した例を示したが、押圧駆動部材10に一つの凹溝10bを形成し、その凹溝10bに押圧開放突起3aと回転制限突起15dを突入してなる構成としてもよい。この場合には、操作輪3には押圧開放突起3aを一つだけ形成すればよい。
【0046】
また、上記実施例では、操作輪3の係合穴3dやそれに適合する回転制限部材15の突出部(ツバ部)15bは、それぞれ略板状に形成したが、軸方向への操作輪3の移動によって係合穴3dと突出部15bとの係脱が可能であれば、これら形状は適宜に変更可能なことは勿論である。
【0047】
さらに、上記実施例の巻上機1では、操作ハンドル19にて押圧駆動部材10を回転させ、その押圧駆動部材10でブレーキ板11を直接押圧する構成であったが、特公平7−29754号公報に示されるように、歯状部付きの回転力伝達部材を操作ハンドルで回転させて、その内側に嵌め込まれた円錐状摩擦部材を介して、押圧駆動部材を回転させてブレーキ板を押圧する構成の巻上機にも適用可能である。
【0048】
【発明の効果】
以上詳述したように、この発明のレバー式巻上機によれば、遊転を容易で確実に行うことができ、しかも小荷重がかかっている場合には荷のずり落ちを確実に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のレバー式巻上機の一実施例を示す縦断面図である。
【図2】図1のレバー式巻上機の主要部の分解斜視図である。
【図3】図1のレバー式巻上機の荷重負荷状態を示し、(A)は巻上機の主要部の縦断面図、(B)はそのX−X断面図、(C)はそのY−Y断面図である。
【図4】図1のレバー式巻上機の遊転状態を示し、(A)は巻上機主要部の縦断面図、(B)はそのM−M断面図、(C)はそのN−N断面図である。
【図5】従来の一般的なレバー式巻上機の主要部を示す縦断面図である。
【符号の説明】
1 レバー式巻上機
2 駆動軸
3 操作輪
3a 押圧開放突起
3c 円形穴
3d 係合溝
7 ロードシーブ
9 受圧部材
10 押圧駆動部材
11 ブレーキ板
12 逆転防止輪
15 回転制限部材
15a 円筒状部
15b 突出部(ツバ部)
15d 回転制限突起
16 コイルバネ
G 歯車伝動系列

Claims (1)

  1. 歯車伝動系列を介してロードシーブに連結された駆動軸と、
    この駆動軸に固定された受圧部材と、
    この受圧部材に設けられ、両面にブレーキ板を重ね合わされて正転のみ可能とされた逆転防止輪と、
    駆動軸に進退可能に螺合され、ブレーキ板と逆転防止輪を介して受圧部材を押圧して正転可能な押圧駆動部材と、
    駆動軸と一体回転可能とされ、受圧部材に対する押圧を解くよう押圧駆動部材が逆転した際に押圧駆動部材に当接して、それ以上の逆転を阻止する回転制限突起を形成された回転制限部材と、
    回転制限部材と一体回転可能とされる共に、回転制限部材に対する軸方向移動により回転制限部材と相対回転可能とされ、押圧駆動部材に当接することで押圧駆動部材を逆転可能な押圧開放突起を形成された操作輪と、
    操作輪を逆転させる方向に付勢するコイルバネとを備え、
    前記回転制限部材は円筒状部を備え、その押圧駆動部材側には回転制限突起と径方向外側への突出部を形成されており、
    前記操作輪は、回転制限部材の円筒状部と嵌合される円形穴を形成されると共に、押圧駆動部材側に回転制限部材の突出部と係合される係合溝と、押圧開放突起を形成されており、
    操作輪内に配置されるコイルバネにより、操作輪は回転制限部材に対し逆転方向に付勢されており、
    操作輪は、回転制限部材の円筒状部に軸方向移動可能に円形穴を嵌合されており、係合溝に回転制限部材の突出部が係合された状態では、回転制限部材と一体回転される一方、回転制限部材に対し軸方向移動されて、係合溝から回転制限部材の突出部の係合が解除されることで、コイルバネの付勢力によって回転制限部材に対し相対的に逆転されて、押圧駆動部材を回転制限部材の回転制限突起に当たるまで押圧開放突起にて逆転させる
    ことを特徴とするレバー式巻上機。
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