JP3673067B2 - ポリオキサゾリングラフト塩化ビニル系重合体及びその製造方法 - Google Patents

ポリオキサゾリングラフト塩化ビニル系重合体及びその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は新規なグラフトポリマー及びその製造方法に関し、詳しくは塩化ビニル系重合体鎖に他の原子団を介してオキサゾリン開環重合体鎖が結合したグラフトポリマー及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
本発明は、塩化ビニル系重合体を幹とする新規なグラフトポリマー及びその製造方法を提供するものである。
【0003】
2−アルキル−2−オキサゾリンは、カチオン重合触媒を用いて重合させることによってポリ(N−アシルエチレンイミン)の構造を有する開環重合体となり、この開環重合体は、規制された条件下では、活性な2−アルキル−2−オキサゾリニウム塩末端を有するリビングポリマーであることが知られている。
【0004】
又、該開環重合体は、その分子鎖構造から、ジメチルアセトアミドのような非プロトン性極性溶剤の高分子同族体とみなすことができ、アルキル基がメチル及びエチル基の場合は強い親水性となり、ブチル基以上では疎水性となる。このような性質を利用して、例えば、ポリ(2−メチル−2−オキサゾリン)鎖とポリ(2−ブチル−2−オキサゾリン)鎖を有するブロックコポリマーを界面活性剤等の機能性高分子として利用することも試みられている。
【0005】
更に、他の試みとして、2−アルキル−2−オキサゾリン開環重合体の活性末端を利用して、塩化ビニル系重合体鎖に直接2−メチル−2−オキサゾリンの開環重合体鎖をグラフトさせる方法が、Prakash D.Trivedi 及びDonald N.Schulz によって報告されている(Polymer Bulletin ,Vol.3,37〜44(1980)) 。
この方法は、塩化ビニル系重合体鎖中に存在する微量のアリルクロライド単位(サイト)に2−メチル−2−オキサゾリンのカチオン開環重合体鎖を直接グラフトさせるものであり、塩化ビニル系重合体のジメチルホルムアミド等の溶剤の溶液中で、あるいは2−メチル−2−オキサゾリン(MeOxz)の溶液中で、重合開始剤及びグラフト反応開始剤としてKIあるいはAgOSO2CF3を用いてMeOxzの開環重合を行わせ、同時にその開環重合体と塩化ビニル系重合体とのグラフト反応を行わせる方法である。グラフト反応は下記の式(2)で示される。
【0006】
Figure 0003673067
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このグラフト反応は、塩化ビニル系重合体鎖中の微量のアリルクロライド単位の塩素原子を利用するものであることから、グラフト鎖の数をコントロールすることはできず、又、開環重合とグラフト反応とを同時に行わせることから、2−メチル−2−オキサゾリンの開環重合体鎖長(重合度)をコントロールすることも困難であり、機能性塩化ビニル系重合体の製造方法としては自由度の小さい反応であり、実用化に結びつけることは困難であった。
【0008】
本発明者らは、上記のような問題がなく、種々の機能を付与させることができる自由度のあるグラフト重合体の製造方法を開発すべく鋭意検討した結果、塩化ビニル系重合体の任意の塩化ビニル単位の塩素原子を利用して該重合体に導入した特定の原子団と、2−アルキル−2−オキサゾリンの開環リビングポリマーとを反応させることによって、グラフト鎖の数、該開環重合体鎖長を任意にコントロールし得るグラフトポリマーが得られることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
【0009】
【課題を解決するための手段】
かくして本発明によれば、重合度が10〜10,000の下記の一般式(3)で表されるポリオキサゾリングラフト塩化ビニル系重合体が提供される。
【0010】
Figure 0003673067
【0011】
(式中のa〜dはそれぞれの単位の割合を表し、aは40〜93モル%、bは0〜50モル%、cは0.1〜50モル%、dは0〜50モル%、Xは塩化ビニルの共単量体単位を表し、Arは置換基を有することもあるアリール基を、Yは重合度が3〜1,000の2−アルキル−2−オキサゾリン(アルキル基の炭素数は1〜8)のカチオン開環重合体鎖を表す。)
又、本発明によれば、塩化ビニル系重合体とアミノチオフェノールとを反応させて得られるアミノチオフェノキシ基含有塩化ビニル系重合体と2−アルキル−2−オキサゾリンのリビング開環重合体とを反応させることを特徴とするポリオキサゾリングラフト塩化ビニル系重合体の製造方法が提供される。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明方法の特徴は、2−アルキル−2−オキサゾリンのカチオン開環重合と、該開環重合体と塩化ビニル系重合体とのグラフト反応を、それぞれ独立に行うことであり、このことによって、グラフト鎖の数及びグラフト鎖の長さ(重合度)をコントロールすることができることである。
【0013】
以下に本発明で使用する原料成分について説明する。
本発明でグラフトポリマーの幹を構成する塩化ビニル系重合体には、塩化ビニルの単独重合体(ホモポリマー)並びに塩化ビニル及びこれと共重合可能なエチレン系不飽和単量体との共重合体が含まれる。
【0014】
エチレン系不飽和単量体としては、例えば、エチレン、プロピレン等のオレフィン;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル;アクリル酸、メタクリル酸等の不飽和モノカルボン酸;アクリル酸エチル、アクリル酸−n−ブチル、アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸−N,N−ジメチルアミノエチル等の不飽和モノカルボン酸エステル;メタクリルアミド等の不飽和アミド;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル化合物;マレイン酸、フマル酸等の不飽和ジカルボン酸、これらのエステル及び酸無水物;N−置換マレイミド類;ビニルメチルエーテル等のビニルエーテル;塩化ビニリデン等のビニリデン化合物が挙げられる。これらは1種又は2種以上塩化ビニルと共重合される。
【0015】
上記の共重合体においては、共重合体中の塩化ビニルの含有量は特に制限されないが、塩化ビニルホモポリマーの有する種々の特性が失われない範囲が好ましく、コモノマーの種類によって異なるが、通常、50〜97重量%である。又、塩化ビニル系重合体の重合度は、特に制限されないが、通常、10〜10,000、好ましくは100〜5,000、更に好ましくは300〜2,000の範囲である。
【0016】
本発明で使用するアミノチオフェノールは、アミノ基が芳香族環のチオール基結合炭素のo−位、p−位又はm−位に結合しているものが単独であるいは2種以上の混合物として使用することができる。アミノチオフェノールの芳香族環(前記一般式(3)中のAr)には、置換基を有することができる。置換基は後記の塩化ビニル系重合体との反応及びリビングオキサゾリンポリマーとの反応を阻害しない置換基であれば特に制限されない。例えば、炭素数が1〜4程度の低級アルキル基等が挙げられる。
【0017】
本発明で使用する2−アルキル−2−オキサゾリン(以下では単にオキサゾリンと称することがある)は、アルキル基の炭素数が1〜8のものが好ましく、前記のようにアルキル基の炭素数が2以下では該オキサゾリンのカチオン開環重合体は親水性となり、アルキル基の炭素数が3以上では疎水性となる。従って、アルキル基の炭素数を選択、組み合わせることで親水性〜疎水性の程度を種々変えることができる。
【0018】
次に以上の原料成分を用いたポリオキサゾリングラフト塩化ビニル系重合体の製造方法について説明する。
本発明では、先ず、塩化ビニル系重合体とアミノチオフェノール(ATP)とを反応させて塩化ビニル系重合体にアミノチオフェノキシ基を導入する。この該基導入反応は公知であり(例えば、森 邦夫、中村儀郎、高分子化学、第28巻、第507頁(1971)等)、塩化ビニル系重合体として塩化ビニルホモポリマー(PVC)を用いた場合の反応は下記の式(4)で示される。PVC−ATPは、反応生成物のアミノチオフェノキシ基が導入されたPVCを表す。
【0019】
Figure 0003673067
【0020】
上記の反応は、塩化ビニル系重合体の溶液中で行われる。溶剤としては、該重合体の可溶性溶剤、例えば、テトラヒドロフラン(THF)、ジメチルホルムアミド(DMF)、エチレンジアミン、ジメチルアセトアミド(DMAc)、プロピレンジアミン等が用いられる。アミノチオフェノールの使用量は、塩化ビニル系重合体鎖にグラフトするポリオキサゾリン鎖の本数(モル数)によって決められ、特に制限されない。又、反応に際しては、生成する塩酸を捕捉するために受酸剤として炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等を溶剤中に共存させることができる。反応温度は、通常、室温〜溶剤の沸点以下の温度であり、好ましくは30〜100℃である。反応時間は反応温度によるが、通常1〜10時間程度である。
【0021】
かくして得られるアミノチオフェノキシ基が導入された塩化ビニル系重合体(PVC−ATP)は、反応混合物から単離され、あるいは溶剤や反応混合物中の残存物質がリビングポリオキサゾリンの活性を失わせることもなく、又、グラフト反応を阻害しない場合には上記の反応後の反応混合物のままグラフト反応に使用することができる。
【0022】
次に、アミノチオフェノキシ基が導入された塩化ビニル系重合体とオキサゾリンのリビングポリマーとを反応させてグラフト重合体を形成させる。
オキサゾリンのリビングポリマーの形成は、アミノチオフェノキシ基が導入された塩化ビニル系重合体の存在下に行うこともできるが、グラフト効率の点から、別途独立した系で重合することが好ましい。
【0023】
オキサゾリンのリビングポリマーは、オキサゾリンを溶剤を用いて、あるいは溶剤を用いないバルクの状態でカチオン重合触媒により開環重合することによって得ることができる。重合方法自体は公知であり、本発明においても公知の方法によってオキサゾリンのリビングポリマーを得ることができる。溶剤としては、例えば、アセトニトリル、ベンゾニトリル、ニトロメタン、ニトロベンゼン、クロルベンゼン、THF、トルエン等が用いられる。
【0024】
カチオン重合触媒としては、従来公知のカチオン重合触媒が使用でき、例えば、メチルトシラート、メチルトリフラート、ヨウ化メチル、塩化ベンジル、トリエチルオキソニウム塩、ジメチル硫酸等が挙げられる。重合温度は、通常、30〜100℃である。オキサゾリンの開環重合体の鎖長(重合度)は、オキサゾリンと重合触媒のモル比によって決まるので、オキサゾリンの開環重合体の鎖長が所望の長さとなるように重合触媒の使用量を決めることができる。
重合触媒としてメチルトシラート(MeOTs)を用いた場合の2−アルキル−2−オキサゾリン(ROxz)のリビングポリマー(PROxz)は下記の式(5)で示され、この場合には上記のモル比が、例えば、10の時はnは10である。
【0025】
Figure 0003673067
【0026】
最後に、上記で得られるオキサゾリンのリビングポリマー(PROxz)とアミノチオフェノキシ基が導入された塩化ビニル系重合体(PVC−ATP)とを反応させることによってオキサゾリンポリマーがグラフトした塩化ビニル系重合体(PVC−ATP−g−PROxz)が得られる。反応式は下記の式(6)で示される。
該リビングポリマーの使用量は、通常、アミノチオフェノキシ基と等モルであるが、反応効率を考慮すると過剰に使用することが好ましい。グラフト反応は両ポリマーの共通溶剤中で行われる。反応温度は、通常、20〜100℃、好ましくは30〜80℃である。反応時間は反応温度によるが、通常、10〜200時間程度である。溶剤としては、例えば、THF、N−メチルピロリドン(NMP)、DMF、DMAc、ベンゾニトリル、アセトニトリル、ニトロメタン、クロロベンゼン、トルエン等が挙げられる。
反応終了後、凝固、凍結乾燥等の通常の単離手段で反応液から生成ポリマーを単離し、乾燥することによって目的のグラフトポリマーを得ることができる。
【0027】
Figure 0003673067
【0028】
上記の反応は塩化ビニルの単独重合体(PVC)について示したものであるが、塩化ビニル単量体とエチレン系不飽和単量体との共重合体を用いた場合を含めたポリオキサゾリングラフト塩化ビニル系重合体の化学構造は前記の式(3)で表される。グラフト反応の効率及びグラフト重合体の特性から、塩化ビニル単量体単位の割合(a)は40〜93モル%、非グラフトATP導入塩化ビニル単量体(b)の割合は0〜50モル%、グラフトATP導入塩化ビニル単量体(c)の割合は0.1〜50モル%及びエチレン系不飽和単量体単位(d)の割合は0〜50モル%である。又、グラフト重合体の重合度は10〜10,000、好ましくは100〜5,000、更に好ましくは300〜2,000である。尚、上記の各単位の割合(a)〜(d)の最適値は、グラフト重合体が要求特性を満足するように決められる。
【0029】
【実施例】
次に実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。
【0030】
実施例1〜3
(1)ポリ塩化ビニル(PVC)へのアミノチオフェノキシ基の導入
(1)2口フラスコに50℃で減圧乾燥した重合度1450のPVC(新第一塩ビ社製 ZEST 1400Z)を3.94g(63.0mmol塩化ビニル単位)入れて窒素置換した後、エチレンジアミン28.15g(468.4mmol)を加えてPVCを溶解させ、o−アミノチオフェノール(o−ATP)2.94g(23.5mmol)を加えて、40℃で2時間攪拌しながら反応させた。
【0031】
エチレンジアミン溶液から反応生成物を濾別し、1N塩酸中に24時間浸漬して濾過し、更に0.1NのNaOH中で24時間攪拌した後濾過した。残渣をTHF70mlに溶解し、これに大量のメタノールを添加して再沈澱させた。沈澱を濾別し、25℃で減圧乾燥してo−アミノチオフェノキシ基が導入されたPVC(o−PVC−ATP)3.82gを得た。1H−NMRより求めたo−ATP導入塩化ビニル単位は7.5モル%であった。
【0032】
(2)2口フラスコに50℃で減圧乾燥した上記のPVCを2.00g(32.0mmol塩化ビニル単位)を入れて窒素置換した後、DMF30mlを加えてPVCを溶解させた。p−ATPを4.01g(32.0mmol)と炭酸カリウム2.21g(16mmol)を加え、60℃で5時間攪拌した。生成した少量の沈澱を濾別した後、濾過液を大量のメタノールに添加して反応生成物を沈殿させ、2時間攪拌した後濾過した。25℃で24時間減圧乾燥して2.26gのp−アミノチオフェノキシ基が導入されたPVC(p−PVC−ATP)を得た。1H−NMRより求めたp−ATP導入塩化ビニル単位は12.0モル%であった。
【0033】
(2)リビングポリ(2−アルキル−2−オキサゾリン)の製造
(1)窒素置換したアンプルにメチルトシラート(MeOTs)2.458g(13.2mmol)とアセトニトリル28mmlを入れ、2−メチル−2−オキサゾリン(MeOxz)11.847g(139.2mmol)を加えて封管後、80℃で20時間振とうさせた。生成した開環重合体(PMeOxz)の1H−NMRより求めた重合度は10.6であった。
なお、本例のMeOxz/MeOTs(モル比)は10.6である。
【0034】
(2)窒素置換したアンプルにメチルトシラート(MeTsO)0.447g(2.4mmol)とアセトニトリル8mlを入れ、2−ブチル−2−オキサゾリン(BuOxz)3.065g(24.1mmol)を加えて封管後、80℃で20時間振とうさせた。生成した開環重合体(PBuOxz)の1H−NMRより求めた重合度は10.0であった。
なお、本例のBuOxz/MeOTs(モル比)は10.0である。
【0035】
(3)グラフト重合体の製造
(1)アンプルに上記のo−PVC−ATP(ATP導入塩化ビニル単位7.5モル%)0.24g(ATP導入塩化ビニル単位0.28mmol)を入れ、窒素置換した後、THF12mlを加えて該PVCを溶解した。この溶液に上記のPMeOxz(重合度10.6)を0.30g(0.28mmol)加え、50℃で144時間攪拌した。窒素雰囲気中で淡褐色の反応混合液から不溶分を濾別し、濾液を大量のメタノールに添加して反応生成物を沈殿させた。沈澱を25℃で減圧乾燥させ、白色の固形物0.225gを得た。1H−NMRより求めたアミンの反応率は57.8モル%であった。
得られた実施例1のグラフト重合体をo−PVC−ATP−g−PMeOxzとする。
【0036】
(2)アンプルに上記のp−PVC−ATP(ATP導入塩化ビニル単位12.0モル%)0.24g(ATP導入塩化ビニル単位0.42mmol)を入れ、窒素置換した後、NMPを12ml加えて該PVCを溶解した。この溶液に上記のPMeOxz(重合度10.6)を0.45g(0.42mmol)加え、50℃で96時間攪拌した。窒素雰囲気中で淡褐色の反応混合液から不溶分を濾別し、濾液を大量のメタノールに添加して反応生成物を沈殿させた。沈澱を25℃で減圧乾燥させ、褐色の固形物0.566gを得た。1H−NMRより求めたアミンの反応率は定量的であった。
得られた実施例2のグラフト重合体をp−PVC−ATP−g−PMeOxzとする。
【0037】
(3)アンプルに上記のp−PVC-ATP(ATP導入塩化ビニル単位7.5モル%)0.33g(ATP導入塩化ビニル単位0.38mmol)を入れ、窒素置換した後、NMPを12ml加えて該PVCを溶解した。この溶液に上記のPBuOxz(重合度10.0)を0.55g(0.38mmol)加え、50℃で144時間攪拌した。窒素雰囲気中で淡褐色の反応混合液から不溶分を濾別し、濾液を大量のメタノールに添加して反応生成物を沈殿させた。沈澱を25℃で減圧乾燥させ、褐色の固形物0.341gを得た。1H−NMRより求めたアミンの反応率は27.3モル%であった。
この実施例3のグラフト重合体をo−PVC−ATP−g−PBuOxzとする。
【0038】
グラフト重合体の分析方法
(1)アミノチオフェノキシ基の導入量
アミノチオフェノキシ基含有塩化ビニル系重合体のアミノチオフェノキシ基の導入量(含有量)は、該重合体の1HNMR(基準物質テトラメチルシラン)におけるベンゼン核プロトン(6.3〜7.3ppm)と塩化ビニルのCH2のプロトン(1.7〜2.4ppm)のシグナルの積分比より求めた。
(2)ポリオキサゾリンの重合度
ポリオキサゾリンのCD3CN溶液の1HNMRにおけるポリオキサゾリン主鎖中のNCH2のプロトン(3.40〜3.52ppm)と末端のNCH3のプロトン(2.95ppm)のシグナルの積分比より求めた。
(3)アミンの反応率
アミノチオフェノキシ基中のアミンの反応率をグラフトポリマーのDMF−d7 溶液の1HNMRにおけるポリオキサゾリン鎖のNCH2のプロトン(3.5ppm)と該基中のベンゼン核プロトン(6.3〜7.3ppm)のシグナルの積分比より求めた。
(4)グラフト率
ATPが導入された塩化ビニル系重合体に対するポリオキサゾリンの割合(重量%)である。
【0039】
得られたポリオキサゾリングラフト塩化ビニル重合体は下記の構造を有するものであり、上記の方法で分析した結果を表1に示す。
ポリオキサゾリングラフトPVCの構造
−(塩化ビニル単位)−(非グラフトATP導入塩化ビニル単位)
−(グラフトATPー導入塩化ビニル単位)
【0040】
【表1】
Figure 0003673067
【0041】
上記の分析結果は、塩化ビニル系重合体へのATPの導入反応及びATP導入塩化ビニル系重合体とリビングポリオキサゾリンとをカップリングさせてグラフト重合体を得るそれぞれの過程での分析結果に基づくものであるが、得られたグラフト重合体を上記の方法で分析した場合にも表1に示す結果と同等の分析結果が得られた。
【0042】
実施例4〜7
塩化ビニル系重合体としてとして重合度が1050のPVC(新第一塩ビ社製ZEST 1000Z)を用い実施例1〜3と同様にしてポリオキサゾリングラフト塩化ビニル重合体を合成した。グラフト条件及び分析結果を表2に示す。
【0043】
【表2】
Figure 0003673067
【0044】
上記の分析結果は、塩化ビニル系重合体へのATPの導入反応及びATP導入塩化ビニル系重合体とリビングポリオキサゾリンとをカップリングさせてグラフト重合体を得るそれぞれの過程での分析結果に基づくものであるが、得られたグラフト重合体を上記の方法で分析した場合にも表2に示す結果と同等の分析結果が得られた。
【0045】
実施例1〜7で得られたポリオキサゾリングラフト塩化ビニル重合体及びPVCのフィルムを、DMFを溶剤としてガラス面上に作製し、ガラス面側と空気側の水に対する接触角を測定した。又、各重合体のガラス転移温度(Tg)をDSC(示差走査熱量計)により測定した。熱分解温度(Td)は、熱重量分析(TGA)における5%重量減少温度と示差熱分析(DTA)の発熱ピークが一致するのでDTAの発熱ピーク温度を熱分解温度とした。以上の測定結果を表3に示す。尚、表中のMe及びBuは、それぞれメチル基、n−ブチル基を表す。
【0046】
【表3】
Figure 0003673067
【0047】
【発明の効果】
以上の本発明によれば2−アルキル−2−オキサゾリン重合体のアルキル基の炭素数によって親水性(炭素数が2以下)と親油性(炭素数が3以上)とを兼ね備えた重合体が提供される。
従って、親水性の該重合体をグラフトさせた塩化ビニル系重合体を用いることによって静電防止性の各種成形体を製造することができる。

Claims (2)

  1. 重合度が10〜10,000の下記の一般式(1)で表されるポリオキサゾリングラフト塩化ビニル系重合体。
    Figure 0003673067
    (式中のa〜dはそれぞれの単位の割合を表し、aは40〜93モル%、bは0〜50モル%、cは0.1〜50モル%、dは0〜50モル%、Xは塩化ビニルの共単量体単位を表し、Arは置換基を有することもあるアリール基を、Yは重合度が3〜1,000の2−アルキル−2−オキサゾリン(アルキル基の炭素数は1〜8)のカチオン開環重合体鎖を表す。)
  2. 塩化ビニル系重合体とアミノチオフェノールとを反応させて得られるアミノチオフェノキシ基含有塩化ビニル系重合体と2−アルキル−2−オキサゾリンのリビングポリマーとを反応させることを特徴とするポリオキサゾリングラフト塩化ビニル系重合体の製造方法。
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