JP3672145B2 - 建設機械の運転室のフロア - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、油圧ショベルやブルドーザ等の建設機械の運転室のフロアの構造に係り、特に、フロアに付着する土砂等を容易に洗い流すことのできる建設機械の運転室のフロアおよびその清掃方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
先ず、油圧ショベル20について図13により説明する。
下部走行体21は図示しない走行モータにより前後走行自在となっている。
この下部走行体21の上部にはスイングサークル22を介して、上部旋回体23が装着されている。この上部旋回体23は図示しない旋回モータにより旋回可能となっている。
この上部旋回体23には作業機30,マシンキャブ26,運転室27およびカウンタウエイト28を取着している。
作業機30はブーム31,アーム33,バケット35、および各油圧シリンダ32,34,36等から構成されている。
油圧ショベル20は前記の走行モータ、旋回モータおよび油圧シリンダ32,34,36を駆動することにより、土砂の掘削作業を行うようになっている。
前記運転室27は、オペレータが出入りする度に靴についた土砂がフロアに落ちて汚れるとの問題がある。
このため、従来から運転室27のフロア上にはマットを敷いてフロアが汚れることを防止している。
マットに付着する土砂が多くなると、マットに水を掛けてブラシ等により洗浄している。また、マットの下に入り込んだ土砂や塵埃等の場合は、マットをフロアから外して、フロアをモップや電気掃除機等で清掃している。
このように、作業現場でオペレータが運転室内の狭い所を清掃する、あるいは、フロアからマットを取外して清掃する必要がある。
【0003】
このような問題点を解決するために、本特許出願人は先に実開平1−108838号を出願している。この出願内容は車両のキャビンのフロア上のフロアマットにおいて、フロアが傾斜を有すればこれを利用し、又、平面であればフロアマット上面が傾斜となる断面形状にしてなる、いずれにせよフロアマット上面の傾斜と、前記傾斜が集中してなる少なくとも1箇所以上の底部の穴と、前記傾斜面全面において、前記底部の穴を中心に穴から最遠部の高部に向かって放射状に配置した溝とを備え、フロアマット上のゴミや土が車両の振動によって、自然に穴内に集堆するのを可能にしたことを特徴とする傾斜溝付きフロアマットが記載されている。
【0004】
また、実開平5−5560号によれば、産業機械の運転室の床面上に敷設される床敷材において、本体マット部と該本体マット部の一部を補間する形状の補助マット部から構成し、該補助マット部を固定マット部と該固定マット部に対して回動可能な可動マット部から構成し、該固定マットを前記運転室床面に固定するように構成したことを特徴とする産業機械の運転室用床敷材が記載されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、油圧ショベル等の建設機械の運転室は、フロア上に運転のための操作レバーや操作ペダル等が突出して設けられているので、マットでフロアを完全に覆うことはできない。
また、マットの下、およびマットが敷かれていない部分に入った土砂等を排出することができない。特に、オペレータシートの後方部はエアコン等の機器が載置されているので狭所に堆積する埃、ゴミ等を取除くことはできない。
【0006】
前記実開平1−108838号公報に記載のマットは、マット上の土砂や塵埃等がマットの特定箇所に集まり易くしたものである。
また、前記実開平5−5560号公報に記載のマットは、マットを回動させることにより土砂や塵埃を放出し、マットを外さないで清掃できるようにしている。しかしながら、前記実用新案は、いずれもマット上に溜まった土砂や塵埃の除去の容易化を図ったものであり、マットの下や、マットが敷かれていない狭所に入った土砂や塵埃の排出することはできない。
【0007】
本発明は、上記従来の問題点に着目し、運転室内のフロア端部に土砂を排出する排出口を設け、この排出口が下流側になるように運転室を傾けて、上流側から水を流すことにより、マットの下や、マットが敷かれていない狭所に入った土砂や塵埃が、水と一緒に排出口から流出する建設機械の運転室のフロアを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段および作用効果】
上記目的を達成するために、本発明に係る建設機械の運転室のフロアの第1発明は、運転室の支柱および側壁等を支持する左取付座、右取付座、前部取付座および後部取付座に固定されるフロアと、このフロア上に操作レバー等の操縦装置とを備えた建設機械の運転室のフロアにおいて、前記運転室のフロアは、土砂等を排出する排出口が配設され、前記フロアの上面より上方に配置される散水管と、この散水管に接続される給水具とを備えたことを特徴とする。
上記構成によれば、給水具にホースを接続して水道水を送水すれば、散水管からフロアに散水される水によりフロアに付着する土砂等を排出口から車体外部へ容易に洗い流すことができる。したがって、従来のようにフロアをモップや電気掃除機等で清掃する手間がかからず、運転室のフロアを簡単に清掃することができる。
また、運転室の近傍に水タンクを配置して、水ポンプにより洗浄水を給水具に圧送するようにすれば、建設機械が市街地を離れて稼働するときに便利である。
【0009】
第2発明は、第1発明の構成において、前記排出口は、排出管を接続してなることを特徴とする。
上記構成によれば、フロアに散水して洗い流される土砂等は排出管から地面に落下するようになっており、車体を汚すことがないようになっている。
【0010】
第3発明は、第1発明の構成において、前記左取付座、右取付座、前部取付座および後部取付座のうちの少なくとも1ケ所以上で、かつ、前記フロアを固定する角部に排出口を配設したものである。
上記構成によれば、第1発明の作用効果に加えて、フロアと前記取付座とを固定する角部に設けた排出口から土砂等をすべて洗い流すことができる。
【0011】
第4発明は、第1発明の構成において、前記前部取付座および後部取付座は、平面視で略U字状、あるいは、V字状に形成され、かつ、前記前部取付座、および/あるいは後部取付座と前記フロアを固定する角部の少なくとも1ケ所に排出口を配設したものである。
上記構成によれば、第1発明の作用効果に加えて、前部取付座と後部取付座は、平面視で略U字状、あるいは、V字状に形成されているので、運転室を傾斜させて排出口が下側になるようにしてフロアに散水すれば、U字状、あるいは、V字状に形成される前部取付座、あるいは、後部取付座に沿って水が流れて、フロアに付着する土砂等を排出口から車体外部に洗い流すことができる。
【0012】
第5発明は、第1発明乃至第4発明のうちのいずれかに記載の構成において、前記操縦装置の前方で、かつ、前記前部取付座と前記フロアとを固定する角部の少なくとも1ケ所に排出口を配設したことを特徴とする建設機械の運転室のフロア。
上記構成によれば、運転室を前傾斜させて排出口が下側になるようにしてフロアに散水すれば、操縦装置の前方にある前部取付座に沿って水が流れて、フロアに付着する土砂等を排出口から車体外部に洗い流すことができる。
【0013】
第6発明は、第1発明乃至第5発明のうちのいずれかに記載の構成において、前記フロアは、前方傾斜、あるいは、後方傾斜状態に配設されることを特徴とする。
上記構成によれば、フロアを前方傾斜、あるいは、後方傾斜させて配設するようにしたので、フロアに散水したときにフロアに付着する土砂等を排出口から車体外部へ容易に洗い流すことができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明に係る建設機械の運転室のフロアの第1実施例について図1乃至図10により説明する。なお、図13と共通の部品については同一符号を付して説明する。
先ず、図1,図1のA−A断面図の図3に示すように、運転室27Aのフロア1は上部旋回体23のフレーム23aに複数箇所で緩衝材2を介してボルト3により取着されている。
図1のZ視図の図2,図2のB−B断面図の図4に示すように、運転室27Aは、支柱や側壁等を支持する前部取付座4,後部取付座5,左取付座6,右取付座7を有している。これらの取付座4,5,6,7はフロア1の上面に当接して、ボルト8により締着されている。
前記の前後左右部取付座4,5,6,7は一体に構成されている。
図2のB−B断面図の図4は、取付座7とフロア1とをボルト8により締着状態の右前方側1ケ所のみ図示しているが、取付座4,5,6とフロア1とをボルト8により締着する右後方側、左前方側、および左後方側も同一構成となっており、図4により説明する。
図4に示すように、取付座4,5,6,7は、フロア1の下面から立ち上がる側壁4a,5a,6a,7aを有している。
図2に示すように、前後部取付座4,5は四隅部にコーナリブ4c,4d,5c,5dを内側に張り出しており、前部取付座4とコーナリブ4c,4dは、平面視で略U字状(この実施例ではU字状としているが、これ以外にV字状にしても良い)に形成されている。また、後部取付座5とコーナリブ5c,5dは、平面視で略U字状(あるいはV字状にしても良い)に形成されている。
【0017】
次に、図2,図2のC−C断面図の図5に示すように、フロア1の上面と前部取付座4の壁4aとで形成される角部Pにフロア1の上面に外部に通じる排出口1aを図2に示すように左右2箇所設けている。
図5は、フロア1の上面と前部取付座4の壁4aとで形成される角部Pのフロア1の上面に外部に通じる排出口1aを示している。
この排出口1aは、フロア1の上面と前部取付座4の壁4aとで形成される角部Pで、かつ、図2に示す操縦装置50の前方の中央部に配設するようにしても良い。
また、図5と同様に、フロア1の上面と後部取付座5の壁5aとで形成される角部P、フロア1の上面と左取付座6の壁6aとで形成される角部P、およびフロア1の上面と右取付座7の壁7aとで形成される角部Pにも同様に排出口1aを複数箇所配設するようにしても良い。
【0018】
図6は、フロア1に配設される土砂等の排出口を示すものである。
フロア1には複数の排出口1e,1fが配設されている。図に示す排出口1e,1fは適宜位置を変更して土砂等が排出し易いように、フロア1の中央部に排出口を設ける、各取付座4,5,6,7とフロア1とを固定する角部に排出口1a,1b,1c,1dを設ける、あるいは、前記角部の近傍に排出口を設けることにより、土砂等が排出し易いようにしてある。
図7は、前記各排出口1a,1b,1c,1d,1e,1fに排出管1Pを接続した状態を示している。この排出管1Pからフロア1に付着する土砂等を水と一緒に洗い流して地面に落下させるようにしてあるので、上部旋回体のフレーム23a等を汚さないようになっている。
【0019】
次に、図1乃至図7の作動について図8乃至図10を参照して説明する。
図8に示すように、建設機械40をブロック等に乗り上げて、運転室27Aが前傾斜状態にする。この状態で図9,図10に示すように、フロア1の後部から洗浄水を散水することにより、洗浄水は矢印に示すように流れる。
これにより、フロア1に付着する土砂等は、洗浄水に洗い流されて前記フロア1の上面と前部取付座4の壁4aとで形成される角部Pの近傍の排出口1a,1aから車体の外に排出される。
また、前述の如く、フロア1の上面と後部取付座5の壁5aとで形成される角部P、フロア1の上面と左取付座6の壁6aとで形成される角部P、およびフロア1の上面と右取付座7の壁7aとで形成される角部Pにも同様に排出口1aを複数箇所配設した場合は、建設機械40をブロック等に乗り上げて、運転室27Aを後傾斜状態、左傾斜状態、および右傾斜状態にして、排出口1aを傾斜下側に位置するようにすれば、上記と同様にフロアに散水するとフロア1に付着する土砂等は、洗浄水に洗い流されて排出口1a,1aから車体の外に排出することはできる。
また、図2に示すように、前後部取付座4,5は四隅部にコーナリブ4c,4d,5c,5dを内側に張り出して、略U字状(あるいはV字状)に構成したことにより、洗浄水が流れ易くしている。
さらに、図6に示す、フロア1に複数の排出口1a,1b,1c,1d,1e,1fを配設することにより、土砂等を洗浄水で容易に車体外部に排出させることができる。
さらにまた、図7に示す、排出口1a,1b,1c,1d,1e,1fに排出管1Pを接続しているので、土砂等は排出管1Pから地面に落下するので車体を汚すことはない。
これにより、従来のようにフロアをモップや電気掃除機等で清掃する手間がかからず、運転室のフロアを簡単に清掃することができる。
【0020】
本発明に係る建設機械の運転室のフロアの第2実施例について、図11により説明する。尚、第2実施例は、フロアが前傾斜している構成としているが、これ以外は第1実施例と同様の構成であり、図1乃至図5を参照して説明する。
図11に示すように、上部旋回体のフレーム23bに対して、フロア1Aはθ2 だけ前傾して配設されて、図1乃至図5に示す前部取付座4,後部取付座5,左取付座6,右取付座7に図示しないボルトにより固定されている。
また、図11は、フロア1Aを前傾斜した構成を示しているが、このフロア1Aを後傾斜させて配設するようにしても良い。
これにより、フロアを前方傾斜、あるいは、後方傾斜させて配設するようにしたので、建設機械を傾斜させる必要がなく、フロアに散水したときにフロアに付着する土砂等が排出口から車体外部へ容易に洗い流すことができる。
【0021】
本発明に係る建設機械の運転室のフロアの第3実施例について、図11,図12により説明する。尚、第3実施例は、フロアが前傾斜している構成としているが、これ以外は第1実施例と同様の構成であり、図1乃至図5を参照して説明する。図11に示す、フロア1Aの上面に当接して、かつ、フロア1Aの後方に噴射ノズル11aと給水口11bを有する散水管11を配置している。
運転室27Bの後部に配設されるマシンキャブ26の内部に給水入口12b,給水出口12a,およびコック12cを有する給水具12を配設している。
前記散水管11の給水口11bと前記給水具12の給水口11bとをホース13で接続している。
給水具12の給水入口12bは図示しない水道水等を導くホース14と接続している。この給水入口12bには、水道水以外に、図示しない水タンクをマシンキャブ26内に配置させて、水ポンプにより洗浄水を圧送するようにすれば、建設機械が市街地を離れて稼働するときに便利である。
これにより、建設機械40を傾斜させる必要がなく、図12に示す如く、マシンキャブ26のドア26aを開けて、ホース14を給水具12の入口12bに連結し、コック12cを開くだけでフロア1Aの清掃が極めて容易にできる。
また、給水具12はマシンキャブ26の内部にあり、外部に露出していないので、作業時に土や石に接触して破損することはない。
【0022】
上記第3実施例の散水管11、ホース13、給水具12を前記第1実施例に適用して清掃の容易化を図れることは言うまでもない。
【0023】
次に、本発明の建設機械の運転室のフロアの清掃方法について図8乃至図10により説明する。
(1)図示しないフロアマットをフロア1の上面から取り外す。
(2)図8に示すように、片側のクローラの下にブロック等をかませて、車体をθ1 だけ傾斜させる。次いで、運転室27Aを前傾斜させて外部に通じる排出口1aが傾斜下側となるようにする。
(3)フロア1の上面で、排出口1aから見て上側から洗浄水を流す。
これにより、図9,図10に示す如く、土砂、塵埃等が洗い流されて洗浄水と一緒に排出口1aから車体外部に排出される。
(4)ブロックを取外して車体姿勢を元の状態に戻し、前記フロアマットをフロアフ1の上面に敷いて清掃完了である。
【0024】
本発明の建設機械の運転室のフロアおよびその清掃方法は、建設機械以外の産業車両等の運転室に適用できることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の運転室のフロアの第1実施例の側面図である。
【図2】同、図1のZ視図である。
【図3】同、図1のA−A断面図である。
【図4】同、図2のB−B断面図である。
【図5】同、図2のC−C断面図である。
【図6】同、フロアに配設される排出口の説明図である。
【図7】同、排出口に排出管を接続した状態を説明する図である。
【図8】同、建設機械の運転室を前傾させた図である。
【図9】同、運転室のフロアを上面から見た洗浄水の流れを示す図である。
【図10】同、運転室の側面から見た洗浄水の流れを示す図である。
【図11】本発明の他の運転室のフロア構造と散水管を配置した説明図である。
【図12】同、給水具の取付け位置を説明する図である。
【図13】従来の油圧ショベルを説明する図である。
【符号の説明】
1,1A フロア
1a,1b,1c,1d,1e,1f 排出口
1P 排出管
3,8 ボルト
4 前部取付座
5 後部取付座
6 左取付座
7 右取付座
4a,5a,6a,7a 壁
4c,4d,5c,5d コーナリブ
11 散水管
12 給水具
13,14 ホース
20,40 建設機械
23 上部旋回体
23a フレーム
26 マシンキヤブ
26a ドア
27,27A,27B 運転室
50 操縦装置
Claims (6)
- 運転室の支柱および側壁等を支持する左取付座、右取付座、前部取付座および後部取付座に固定されるフロアと、このフロア上に操作レバー等の操縦装置とを備えた建設機械の運転室のフロアにおいて、前記運転室のフロアは、土砂等を排出する排出口が配設され、前記フロアの上面より上方に配置される散水管と、この散水管に接続される給水具とを備えたことを特徴とする建設機械の運転室のフロア。
- 請求項1記載の建設機械の運転室のフロアにおいて、前記排出口は、排出管を接続してなることを特徴とする建設機械の運転室のフロア。
- 請求項1記載の建設機械の運転室のフロアにおいて、前記左取付座、右取付座、前部取付座および後部取付座のうちの少なくとも1ケ所以上で、かつ、前記フロアを固定する角部に排出口を配設したことを特徴とする建設機械の運転室のフロア。
- 請求項1記載の建設機械の運転室のフロアにおいて、前記前部取付座および後部取付座は、平面視で略U字状、あるいは、V字状に形成され、かつ、前記前部取付座、および/あるいは後部取付座と前記フロアを固定する角部の少なくとも1ケ所に排出口を配設したことを特徴とする建設機械の運転室のフロア。
- 請求項1乃至4のうちのいずれかに記載の建設機械の運転室のフロアにおいて、前記操縦装置の前方で、かつ、前記前部取付座と前記フロアとを固定する角部の少なくとも1ケ所に排出口を配設したことを特徴とする建設機械の運転室のフロア。
- 請求項1乃至5のうちのいずれかに記載の建設機械の運転室のフロアにおいて、前記フロアは、前方傾斜、あるいは、後方傾斜状態に配設されることを特徴とする建設機械の運転室のフロア。
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