JP3671806B2 - 振動計測方法及び装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、振動計測方法及び装置に係り、特に、測定対象物の振動を非接触で計測する振動計測方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
特開平11―287700号公報には、自己混合型レーザドップラ振動計を用いて振動を計測する装置が開示されている。自己混合型レーザドップラ振動計では、レーザ共振器で出射されたレーザ光は、測定対象物で散乱反射し、その一部は戻り光としてレーザ共振器へ戻る。戻り光の周波数は、測定対象物で反射する際のドップラ効果によって変化する。出射光の周波数と戻り光の周波数の差であるドップラ周波数は、測定対象物の速度に応じて変化する。
【0003】
この戻り光がレーザ共振器へ戻ると、出射光と自己混合され、戻り光周波数と出射光周波数の差に応じてビート波が生じる。戻り光と出射光の周波数差はドップラ周波数であるため、計測したビート波の周波数はドップラ周波数であり、測定対象物が発振波長λの半分(λ/2)変位したときに一波生じる。上記公報記載の手法では、ビート波の波数を計数し、波数にλ/2を掛け、また、所定の折り返し判定処理を行うことで、測定対象物の変位変化を算出していた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来例では、発振波長λの半分を最小単位として測定対象物の変位量を計測するため、測定精度が発振波長の長さに依存してしまい、測定精度を向上させることが困難となってしまう、という不都合があった。また、上記公報記載の手法や、他の従来例では、振動の状態に応じた予備測定を行って各種制御用の値を特定した後に、同様な環境での振動計測を行う手法が多く、予備測定を前提とせずに高精度で測定対象物の振動を計測することが難しい、という不都合があった。
【0005】
【発明の目的】
本発明は、係る従来例の有する不都合を改善し、特に、予備測定を前提とせずに且つ発振波長の長さによる制限を受けない精度で測定対象物の振動を計測することのできる振動計測方法及び装置を提供することを、その目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明では、測定対象物に向けてレーザ光を出射するレーザ光出射工程と、このレーザ光出射工程にて出射され測定対象物で反射した戻り光を受光する戻り光受光工程と、この戻り光受光工程にて受光した戻り光と出射光とを自己混合させると共に当該自己混合によるビート波を検出するビート波検出工程とを備えている。そして、このビート波検出工程に続いて、当該ビート波を微分する微分工程と、この微分工程にて微分された微分波形のうち傾きが急峻なニードル部分を抽出するニードル部分抽出工程と、このニードル部分抽出工程にて抽出されたニードル部分を除去すると共に当該微分波形の内当該ニードル部分が存在したニードル位置を加工するニードル位置加工工程と、このニードル位置加工工程にて加工された加工微分波形に基づいて振動情報を出力する振動情報出力工程とを備えた、という構成を採っている。これにより前述した目的を達成しようとするものである。
【0007】
レーザ光出射工程では、レーザ共振器で発振されたレーザ光を測定対象物の測定位置へ向けて出射する。続いて、戻り光受光工程では、測定対象物の速度に応じたドップラ効果によって周波数が変化した戻り光を受光する。ビート波検出工程では、2つの異なる周波数となった出射光と戻り光とのビート波を検出する。測定対象物の振動の折り返し位置では、測定対象物の速度は「0」であり、ドップラ効果が生じない。このためビート波は折り返し位置で鋸歯状とはならず、測定対象物の変位変化と同様に変化する波形となる。一方、測定対象物の変位量がλ/2となる毎に、ビート波は鋸歯状となる。鋸歯状のビート波の周期は、測定対象物がλ/2分変位するのに要した時間である。従って、鋸歯状波の傾きは測定対象物の速度に依存して定まる。このため、ビート波の横軸を時間としたとき、縦軸は測定対象物の変位量に応じたものと考えることができる。従って、ビート波を時間微分した微分波形は、測定対象物の速度変化に応じた波形となる。
【0008】
ビート波は、測定対象物の移動方向に応じて立ち上がり又は立ち下がりの一方が急峻となる。この鋸歯状の部分と折り返し時の変位に応じた丸みの部分(S字部分)とを有するビート波を微分すると、この微分波形中に、微分波形の立ち上がり及び立ち下がりが共に急峻となる部分が生じる。本明細書では、この部分をニードル部分といい、その位置をニードル位置という。このニードル部分は、鋸歯状波が急峻に変化した位置に生じる。そして、ニードル部分の波高値は、他の部分と比較して大きくなる。すなわち、鋸歯状波(一波又は半波)を有するビート波の微分波形には、立ち上がりから立ち下がりまでの波高値変化が急激で、且つ、立ち上がりから立ち下がりまでの周期が比較的短いニードル部分(ニードルピーク)が生じる。
【0009】
ニードル部分抽出工程は、微分波形のうち傾きが急峻なニードル部分を抽出する。「傾きが急峻」というときには、そのピークとなる波高値が大きく、また、その周期が短い部分を意味する。波高値が大きいというときには、たとえば、S字部分の微分波形の波高値に対して、十分に大きい波高値となることを意味する。このニードル部分は、対応するビート波に急峻部分が存在した場合に、その時刻にて生じる。このため、完全なS字状態ビート波では、ニードル部分は生じない。
ニードル位置加工工程では、微分波形のうちニードル部分を除去すると共に当該微分波形の内当該ニードル部分が存在したニードル位置を加工する。すると、測定対象物の折り返し部分と、鋸歯状波の内急峻ではない側の傾きとを使用した不連続な微分波形を得ることができる。この微分波形は測定対象物の速度変化に応じて値が変化する波形であるため、振動情報出力工程では、例えば、ニードル位置を補完した波形を速度変化波形としたり、また、積分した波形を変位変化波形とすることができる。
【0010】
また、好ましい実施形態では、ニードル位置加工工程にて、他のレーザ部を使用して同時に計測したビート波の微分波形を用いてニードル位置の波形を置き換えるようにしても良い。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1の実施形態の構成を示すフローチャートである。第1実施形態による振動計測方法は、測定対象物に向けてレーザ光を出射するレーザ光出射工程S1と、このレーザ光出射工程S1にて出射され測定対象物で反射した戻り光を受光する戻り光受光工程S2と、この戻り光受光工程S2にて受光した戻り光と出射光とを自己混合させると共に当該自己混合によるビート波を検出するビート波検出工程S3と、ビート波を微分する微分工程S4と、この微分工程S4にて微分された微分波形のうち傾きが急峻なニードル部分40(図7(B)参照)を抽出するニードル部分抽出工程S5と、このニードル部分抽出工程S5にて抽出されたニードル部分を除去すると共に当該微分波形の内当該ニードル部分が存在したニードル位置41(図7(D)参照)を加工するニードル位置加工工程S6と、このニードル位置加工工程S6にて加工された加工微分波形に基づいて振動情報を出力する振動情報出力工程S7とを備えている。
【0012】
図2は、図1に示した振動計測方法の実施に好適な振動計測装置の構成を示すブロック図である。図2に示す第1実施形態による振動計測装置は、測定対象物10に向けてレーザ光を出射すると共に当該測定対象物からの戻り光を受光するレーザ共振器14と、このレーザ共振器内での出射光と戻り光との自己混合によるビート波を検出するビート波検出手段20と、レーザ共振器14にレーザ駆動電流を供給するレーザ駆動回路22と、ビート波検出手段20によって検出されたビート波を信号処理すると共に処理結果を振動情報として出力する信号処理手段21とを備えている。
【0013】
図2に示す例では、レーザ部(または、レーザヘッド)12は、レーザ共振器であるレーザダイオード(LD)14と、ビート波検出手段20として機能するフォトダイオード(PD)と、出射光及び戻り光を集光するレンズ16とを備えている。
【0014】
信号処理手段21は、前記ビート波を微分する微分処理部24と、この微分処理部24によって微分された微分波形のうち前後の傾きが急峻なニードル部分40を抽出するニードル部分抽出部25と、このニードル部分抽出部25によって抽出されたニードル部分25を除去すると共に当該微分波形の内当該ニードル部分が存在したニードル位置41を加工するニードル位置加工部26とを備えると良い。
【0015】
また、信号処理手段21は、ニードル位置加工部26によって加工された微分波形を速度変化波形として出力する速度変化波形出力部27と、微分波形を積分した波形を振動変位変化波形として出力する変位変化波形出力部28とを備えている。図2に示す例では、速度変化波形出力部27と変位変化波形出力部28との両方を備える構成としているが、振動計測装置の用途によって、どちらか一方のみを備えるようにしても良い。これは、以下の各実施形態においても同様である。
【0016】
以下、まず、本実施形態の前提となる技術及び本実施形態に対する比較例となる「時間比率による変位量算出」の手法を説明する。続いて、ビート波を微分することで振動情報を生成する本実施形態の詳細を説明する。図3は、ビート波の状態の種類を示す波形図である。測定対象物10の速度に応じた出射光と戻り光との周波数差に応じてレーザ共振器内でビート波が生じる。このビート波は、測定対象物がλ/2変位したときに一波生じる。測定対象物の振動変位量がλ/2よりも十分に大きい場合には、鋸歯状の波が多数生じる。振動変位量が、λ/2前後よりも大きくなる場合では、ビート波は図3(A)に示すようなM字状態となる。振動変位量がさらに小さくなると、ビート波は鋸歯状とならず、図3(B)に示すS字状態となる。S字状態のビート波は、測定対象物の変位変化をそのまま表す。図3に示すように、測定対象物の折り返し付近でのM字状態又は鋸歯状態のビート波は、S字状態と略同様の形状となる。以下、「M字状態等」というときには、図3(A)に示すような鋸歯状波一波又は鋸歯状波半波を有するM字状態と、鋸歯状波を多数有する鋸歯状態との両方を含む。「S字状態」というときには、鋸歯状波成分が完全に現れない図3(B)に示す波形をいう。また、M字状態等のビート波のうち、測定対象物の折り返し位置にて鋸歯状波が崩れ、丸みを帯びた波形部分のみに言及する場合に、「S字部分」ということがある。M字状態等のS字部分のビート波波形の性質と、S字状態のビート波波形の性質は、ほぼ同一である。
【0017】
図4は、S字状態のビート波の振幅と測定対象物の変位量との関係を説明するための波形図であり、鋸歯状態のビート波形である。鋸歯状波一波とλ/2変化が対応しているため、ビート波の電圧値とこのλ/2という長さとの関係を求めることで、ビート波の単位電圧当たりの測定対象物の変位量を求めておき、これによりS字部分又はS字状態のビート波から測定対象物の変位量を求めることが考えられる。鋸歯状態のビート波を観察すると、図4に示す時間t1 + t2 で測定対象物がλ/2変位している。このため、測定対象物がλ/2変位したと推定できる基準電圧値は、符号31で示す部分では時間t2での変位量を無視することとなるため、符号30で示す値であると推定することができる。従って、測定対象物がλ/2変位したと判断するビート波の基準電圧は時間t1とt2との比率に注意すると、符号30で示す値となる。
【0018】
鋸歯状波のボトムを0とし、符号31で示す鋸歯状態のビート波の振幅(波高値)をV1とすると、基準振幅30は、V1 × {(t1+t2)/t1}で表される。このビート波が鋸歯状とならずに基準振幅30に至ったときに、測定対象物はλ/2変位するから、ビート波の値当たりの変位量は、「(λ/2)/基準振幅30」である。このため、計測したS字状態の振幅V1にこのビート波の値当たりの変位量を掛けることで、S字状態の振幅V1の時の測定対象物の変位量を算出することができる。このように、S字状態又はS字部分でのビート波の振幅値を用いて、測定対象物の変位量Xを次式(1)で求めることができる。この式(1)を用いて測定対象物の振動変位を算出した例を図5に示す。
【0019】
【数1】
Figure 0003671806
【0020】
照射したレーザ光と、ドップラ効果による周波数シフトが起こった戻り光との間での共振により、ビート波が生じ、その鋸歯状波の傾きが定まる。これは、鋸歯状波の頂点の左右の傾きの両方についていえる。このため、図6(A)乃至(D)に示すように、鋸歯状波一波分測定対象物が変位する間に速度変化がなければ、頂点の左右の傾きの比は変化しない。従って、ビート波の単位電圧当たりの測定対象物の変位量を定める係数(振幅変換率)は一つで良い。
【0021】
S字状態、または、M字状態中のS字状態となっている部分のビート波は、振動変位の変化をそのまま表す波形であるため扱いやすいという利点があるが、変位量を求める際に図4及び式(1)に従って算出するには、図4に示す時間t1とt2の時間比率を予め求めておかなければならない。このため、時間比率による手法では、振動面を一定速度として反映できていなかった部分の時間的な比率を計測したり、適当な速度を持つ振動面を計測し、統計的に時間比率を算出するなど、予備的な計測が必要であった。
【0022】
また、図4に示す時間比率による変位量算出手法では、λ/2未満の分解能で測定対象物の変位量を算出することができるが、処理ステップ数が多くなってしまう。この時間比率による変位量算出手法では、まず、予備測定を行い、鋸歯状波の立ち上がりと立ち下がりの時間比率を算出する。続いて、実際の測定を行いビート波を得る。鋸歯状態又はM字状態では、鋸歯状となっている部分については波数を計数することで変位量が求まる一方、測定対象物の折り返し部分で、S字状となっている部分では、時間比率と上記ビート波に対する変位量の係数とにより変位量を算出する必要がある。このため、ビート波を微分して傾きの緩急を調べることで、ビート波を鋸歯状の部分とS字状の部分との2グループに分ける。そして、時間比率と式(1)を用いてグループ間の振幅変換率を算出する。続いて、各グループにて波数又はビート波の振幅に基づいて変位量を算出し、この変位量を時間軸で結合する。
【0023】
このように、時間比率を用いて変位量を算出するには、予備測定、微分処理、グループ分け、振幅変換率の算出、波数の計測、ビート波振幅毎の変位量算出、変位量の結合という多数のステップが必要となる。
【0024】
これに対し、本実施形態では、ビート波を微分した微分波形を速度変化波形として扱うことで、測定対象物の振動を計測する。また、好ましい実施形態では、微分波形を加工した加工微分波形を積分することで、λ/2以下の精度で測定対象物の変位変化を算出する。
【0025】
図7(A)はビート波の一例を示す図で、図7(B)はその微分波形の一例を示す図である。M字状態のビート波を微分すると、図7(B)に示す波形となる。図7(B)に示すように、M字状態のビート波の傾きが急峻な部分に対応して、微分波形には針状のピークが生じる。この符号40で示すピークを、本明細書ではニードル部分40という。
【0026】
ビート波は、S字状の部分では振動変位の変化そのものを表し、そして、M字状態及び鋸歯状波の状態では、図6に示すように、その傾きは測定対処物の速度に依存している。測定対象物の速度変化は連続しているため、鋸歯状波の傾きの変化も連続している。従って、図7(B)に示す微分波形のうち、ニードル部分を除去した波形は、測定対象物の折り返しにより生じたS字状部分の波形と、鋸歯状波の緩やかな傾き側の波形を微分したものである。振動変位変化の連続性から、ニードル部分を除去した状態での微分波形は、断続的ではあるものの、値の変化として連続している。
【0027】
図7(C)に示すように、ニードル部分40の値は他の微分波形の値と比較して十分に大きいため、図7(D)に示す微分波形中のニードル部分の位置(ニードル位置)を検出するのは比較的容易である。ニードル部分位置41にてニードル部分40を微分波形から切り離し、直線又は近似曲線でニードル位置を補完すると、加工微分波形が生成される。この加工微分波形は、測定対象物の速度の変化を表す速度変化波形である。従って、この速度変化波形を積分すると、図7(E)に示すように変位変化波形を得ることができる。
【0028】
図2に示すニードル位置加工部26は、図7(C)に示すニードル部分の検出から図7(E)に示すニードル部分の加工までを行う。ニードル部分の切り取りは図7に示すようにしきい値を用いて行ってもよいし、ニードル部分の周期に対して微分波形の周期が十分に長い場合には、ローパスフィルタを通過させることで微分波形の除去及び接続を行うようにしても良い。また、例えば、微分波形の値の変化を追跡して予め定められた時間内に予め定められた値以上変化する点を抽出することで、ニードル位置42を発見するようにしても良い。
【0029】
図8は、ビート波の状態や振動速度によらず、1度の計測で安定してニードル位置41を検出する例を示すブロック図である。図8に示す例では、ニードル位置加工部26は、所定のニードル部分抽出用しきい値を前記微分波形の値の最大値近傍の開始位置から微分波形の値のゼロ近傍まで走査するしきい値走査機能35と、このしきい値走査機能35によって走査される範囲を前記微分波形と当該しきい値とがクロスするクロス数で分割するしきい値範囲分割機能36と、前記ゼロ近傍でのクロス数に対してクロス数が予め定められた比率範囲内となるしきい値範囲内にしきい値を設定するしきい値設定機能37と、前記微分波形の内前記しきい値設定機能で設定されたしきい値とクロスする部分に基づいてニードル位置と判定するニードル位置判定機能38とを備えている。
【0030】
図7(C)に示す例では、しきい値42Aの図示した位置では微分波形のうち2つのニードルピークとクロスしているため、しきい値走査機能35は、図7(C)中、上方から微分波形の値が0となる方向へとしきい値の値を減少させる。図7(C)で示す位置までしきい値42Aが走査されたとすると、現に走査した範囲内では2つのニードル部分40とクロスしているため合計で4回クロスしている。一方、微分波形のゼロクロス数は、4つのニードル部分で8回、微分波形2周期で4回の計12回である。このため、しきい値範囲分割機能は、未だしきい値を走査していない符号42Cで示すゼロクロス側の範囲(ゼロ位置では、クロス数12回)と、現にしきい値の走査が完了している符号42Bで示す範囲(クロス数4回)とに分割する。しきい値の走査が完了すると、図7(D)に示すように、符号42Bで示すクロス数「4」の範囲と、符号42Cで示すクロス数「12」の範囲とに分割される。
【0031】
しきい値設定機能37は、ゼロ近傍でのクロス数に対してクロス数が予め定められた比率範囲内となるしきい値範囲内にしきい値を設定する。予め定められた比率範囲としては、例えばゼロクロス数を基準として、クロス数が約1/2から1/3になるレベルを算出する。
【0032】
図7に示す例では、しきい値範囲が2つしかないため、符号42Bで示す範囲にてしきい値を定義するが、実際の信号では種々のノイズや複雑な振動による影響等のため、このしきい値範囲の選択処理が必要となる。しきい値範囲が選択されると、しきい値設定機能37は、このしきい値範囲内で、任意のレベルにしきい値を固定する。任意のレベルとしては、例えば、符号42Bで示す範囲のなかで、ゼロに近い適当な高さとする。また、しきい値範囲42B,42Cの選択を行うと、ビート波が図3(B)に示すS字状態である場合に、ニードル部分抽出処理が中断される。従って、ビート波がS字状態である時に対する特別な処理が不要である。
【0033】
図7(D)に示す例では、微分波形がプラスの値を取る領域についてのみしきい値範囲を設定した状態であるが、微分波形のプラス側とマイナス側から絶対値を同一としつつ上下から挟み込むようにクロス数を計数し、プラス側とマイナス側の両方のクロス数を合計して、その合計したクロス数の比率範囲に基づいてしきい値を定めるようにしても良い。また、測定対象物の振動が単振動に近い場合などは、プラス側のみでしきい値を求め、そのしきい値のプラスマイナスの符号を変換するようにしてもよい。
【0034】
続いて、ニードル位置判定機能38は、微分波形の内前記しきい値設定機能37で設定されたしきい値とクロスする部分をニードル位置41と判定する。より具体的には、ニードル位置判定機能38は、3つのクロス位置のうち、間隔が短い2つのクロス位置を選択し、これをニードル位置41の候補とする。この候補位置近傍での微分波形のゼロクロス時間幅を利用して、ニードル位置41を定める。このゼロクロス時間幅よりも少し広めの範囲をニードル位置41とすると、ニードル部分40の切り出しでニードル部分40が微分波形に残ることがなくなる。
【0035】
図8に示す例では、ニードル位置判定機能38に、このニードル位置判定機能38によって判定されたニードル位置に基づいてニードル位置にて微分波形を切断すると共に直線又は近似曲線で接続するニードル位置加工機能39を併設している。ニードル位置加工機能39は、ニードル位置でのニードル部分を除去してさらに直線等で加工すると、加工した微分波形を加工微分波形として出力する。
【0036】
図7に示す例では、微分波形2周期分の範囲内でしきい値範囲の決定処理等を行ったが、測定した全時間幅について単一のしきい値を定めるようにしても良い。また、測定環境によっては、振動周期の数倍程度の任意の範囲内でしきい値範囲の決定等を行うと、レーザ光の戻り光強度の変化の影響をさらに減少することができる。従って、外来光が多い箇所や、測定対象物表面の反射率が一定ではない場合や、測定対象物の振動方向に対して角度を有して測定することで戻り光量が変化する場合であっても、これらの要因によるビート波形の変動の影響を受けずに安定してニードル部分40の切り出しを行うことができる。
【0037】
上述した鋸歯状波の立ち上がり時間と立ち下がり時間の差に基づく変位変化波形の生成と比較して、本実施形態では、ビート波の種類によるグループ分けなどを行う必要がない。従って、本実施形態では振動情報生成に必要な処理数が大幅に減少される。また、S字状態のビート波の傾きとM字状態のビート波の傾きの連続性に基づいて、ニードル部分に対応するM字状態の急峻部分の影響を補完するため、統計的な近似にとどまる時間比率による手法と比較して精度を大幅に向上させることができる。また、図8に示した例では、しきい値の特定処理についてまで、予備計測や事前のパラメータの設定等の処理が不要であり、従って、測定環境やレーザ光の照射角度等が変化する毎にパラメータを再入力する等の煩雑さがなくなる。
【0038】
図7には鋸歯状波が生じていないM字状態のビート波を例としたが、図9に示すように、鋸歯状波を多数含むM字状態のビート波であっても図1に示す処理で振動情報を良好に生成することができる。図9は、ビート波が鋸歯状波である場合の信号処理例を示す波形図であり、図9(A)は鋸歯状のビート波の一例を示す図で、図9(B)はその微分波形の一例を示す図である。図9(B)に示すように、鋸歯状態のビート波の傾きは測定対象物の速度に依存して定まるため、このビート波の傾きは測定対象物の振動による速度変化に応じて連続的に変化する。そして、この鋸歯状波の傾きは鋸歯状態ビート波中のS字部分(測定対象物の折り返し部分)の傾きと連続している。従って、ニードルピークとなる部分を除いて、微分波形は連続した値を取る。
【0039】
この微分波形のニードル部分40を除去し、ビート波の傾きの連続性に従って接続すると、図9(C)に示すニードルカット微分波形(加工微分波形)となる。そして、この測定対象物の振動速度の変化を表すニードルカット微分波形を積分することで、変位変化波形を生成することができる。このとき、図9に示すように、ニードル部分は鋸歯状波一波毎に生じる。従って、ニードルピークと次のニードルピークとの間に、測定対象物はλ/2分変位している。これを利用すると、図9(D)に示すように変位波形の値と測定対象物の変位量を関連づけることができる。図9(D)では説明のためにニードル部分のピークと変位変化波形の値とを関連づけたが、図9(A)に示すビート波のゼロクロス位置を検出し、その各時刻を変位変化波形にてプロットすると、λ/4を単位としてより正確な変位量を求めることができる。
【0040】
この変位量の算出について時間比率による手法と比較すると、時間比率の場合にはビート波の急峻部分の振幅への影響についてλ/2に対する「推定」に基づいて算出していたが、図9に示す例ではビート波の間隔からλ/2を直接に変位変化波形へ適用するため、誤差が少ない。さらに、鋸歯状波の時間比率は鋸歯状波一波内にて測定対象物の速度が変化した場合には同一比率とならず、振動は速度変化を周期的に繰り返すものであるため、全ての鋸歯状波の時間比率が一定となるとは限らない。これに対して、図9に示す例では、鋸歯状波の傾きとS字部分の傾きの連続性を利用してニードル部分を補完するため、より振動状態に即した近似を行うことができる。これによっても、時間比率による手法と比較して図9に示す変位量の算出精度は向上する。
【0041】
図10は、本実施形態での実行例を示す波形図であり、図10(A)はM字状態ビート波の一例を示す図で、図10(B)はその微分波形の一例を示す図である。図10(A)に示す例では、ビート波は、鋸歯状波が存在しないM字状態となっている。この波形を微分すると、図10(B)に示す波形となる。図10(B)中、横線はしきい値である。図11(A)はニードル部分を除去したニードルカット微分波形の一例を示す図である。ビート波に重畳していた高周波成分の影響が若干残っているが、図11(B)に示すニードルカット微分波形から算出した変位変化波形では、その影響が小さくなった。例えば、振動周期の算出を良好に行うことのできる波形となった。
【0042】
上述したように本実施形態によると、M字状態又は鋸歯状態を含むビート波の急峻部分の検出にビート波を微分した微分波形のニードル部分を利用するため、予備測定がなくてもビート波の急峻部分の検出が可能であり、この検出の際にビート波振幅の変動に対して強い。また、アナログ回路、デジタル回路、コンピュータによる振動計測用のプログラムの実行のいずれにおいても構成可能である。そして、微分波形のニードル部分を除去し、ビート波の傾きの連続性を利用して加工するため、変位変化量算出の精度が向上した。また、ビート波の傾きの変化の連続性を利用するため、例えば減衰していく振動など、時間経過に沿って、鋸歯状波が多数ある状態から、図10(A)に示すようなM字状態となり、さらにS字状態となるようなビート波であっても、特別なビート波種別の判定処理を行わずに、一括して速度変化波形及び変位変化波形を生成することができる。そして、しきい値レベルの決定に微分波形とのクロス数(横切り回数)を用いるため、比較的簡単な処理でニードル部分の検出が可能となった。また、クロス数のカウント範囲(時間幅)を任意の範囲として時間経過に沿ってしきい値レベルを変化させる例では、戻り光量変動の影響を減少することができる。
【0043】
<第2実施形態: S字状態ビート波を利用>
第2実施形態では、微分波形のニードル位置の補完に、別途計測したS字状態のビート波を利用する。本実施形態では、振動変位変化の全体形状を把握するためにS字状態ビート波を利用し、一方、振動変位変化の詳細を把握するためにM字状態ビート波を利用している。速度測定を行う場合でも、測定対象物の移動成分をCosθ倍に減少させた変位量がλ/2以下であれば急峻部分が発生しないため、同様の変位変換例が利用可能となる。
【0044】
図12は、本発明の第2実施形態の構成例を示すブロック図である。第2実施形態による振動計測装置は、測定対象物10の測定面Aに向けて第1のレーザ光を出射すると共に当該測定対象物からの戻り光を受光する第1のレーザ共振器を有する第1のレーザ部12Aと、前記測定面10Aの法線方向に対して所定角度θを有する第2のレーザ共振器を有する第2のレーザ部1Bとを備えている。この第1及び第2のレーザ部12A,12Bは、第1のレーザ共振器及び第2のレーザ共振器で生成されるビート波をそれぞれ検出する第1及び第2のビート波検出手段(PD)を備えている(図12には図示せず)。そして、第2のレーザ部12Bの設置位置を定める所定角度θを、当該第2のレーザ共振器方向への前記測定対象物の変位量が当該第2のレーザ共振器の発振波長のλ/2未満となる角度に設定する。すると、この第2のレーザ部では、S字状態のビート波を出力する。
【0045】
振動計測装置はさらに、これら第1及び第2のフォトダイオードによって検出された第1及び第2のビート波を対象に信号処理すると共に処理結果を振動情報として出力する信号処理手段21とを備えている。この信号処理手段21は、第1のビート波を微分すると共に振動変位変化を表すS字状態の第2のビート波を微分する微分処理部24と、この微分処理部24によって微分された第1の微分波形のうち前後の傾きが急峻なニードル部分を抽出するニードル部分抽出部25と、このニードル部分抽出部25によって抽出されたニードル部分を前記第1の微分波形から除去すると共に当該微分波形の内当該ニードル部分が存在したニードル位置を加工するニードル位置加工部26とを備える。そして、本実施形態では特に、このニードル位置加工部26が、前記微分処理部24によって微分された第2の微分波形に基づいて前記第1の微分波形のニードル位置を補完するS字使用補完機能44を備えている。
【0046】
図12に示す例では、1つの微分処理部24が2種類のビート波をそれぞれ微分する例を示したが、アナログ回路で実現する場合には各レーザ部毎に微分処理部24を備えると良い。微分処理部24及びニードル部分抽出部25の処理は、第1実施形態と同様である。本実施形態では、第2のレーザ部12Bで計測したS字状態のビート波を利用して第1のレーザ部12Aで計測したビート波の微分波形のニードル位置を補完する点に特徴を有する。図12に示すように、第2のレーザ部を所定角度θ方向に設置すると、第1のレーザ部12Aでの戻り光量と比較して第2のレーザ部12Bの戻り光量がCosθ倍に減少する。このため、ニードル位置加工部26が、第1の微分波形の振幅に応じて前記S字状態のビート波を微分した第2の微分波形の振幅を調整する振幅調整機能43を備えるようにしても良い。この振幅調整機能44は、M字状態ビート波を微分した第1の微分波形の振幅に基づいて増幅率を調整するようにしても良い。
【0047】
図13は、第2実施形態での処理例を示すフローチャートである。まず、第1のレーザ部12Aを振動方向と同一方向の向きに配置し、第2のレーザ部をこの振動方向を含む平面内で、当該振動方向に対して角度θを成す方向に配置することで、第2のレーザ部から出力されるビート波をS字状態のビート波とする。第2のレーザ部12Bを使用して、S字状態のビート波を測定し(ステップS11)、微分する(ステップS12)。S字状態ビート波の測定と同時に、第1のレーザ部12Aを使用して、鋸歯状波を多数含む鋸歯状態又は鋸歯状波一波又は半波を含むM字状態(鋸歯状態とM字状態とを含めた意味でM字状態等ともいう)のビート波を測定する(ステップS16)。そして、この第1のレーザ部12Aによって測定されたビート波を微分する(ステップS17)。このM字状態等のビート波の微分波形を、ここでは、M字等微分波形という。
【0048】
S字状態のビート波の微分波形(以下、S字状態微分波形という)と、M字等微分波形とは、測定対象物の振動速度に応じた波形であるため、M字等微分波形のニードル部分を除き、同一周期、同位相となるが、第2のレーザ部12Bでの戻り光量は第1のレーザ部の戻り光量よりも少ないため、S字状態ビート波の微分波形の振幅とM字等微分波形の振幅とは異なる。このため、ステップS13にて、M字等微分波形との一致が多くなるように、S字状態微分波形の振幅倍率を決定する。この振幅倍率が適切な値に設定された状態では、M字等微分波形のニードル部分以外の部分で、S字状態微分波形とM字状等微分波形とが一致する。続いて、S字状態微分波形を増幅し(ステップS14)、M字等微分波形のニードル位置をS字状態微分波形の値で置き換える(ステップS19)。そして、この加工微分波形に基づいて、振動情報を出力する(ステップS20)。なお、この例では、ステップS18は実行しない。
【0049】
また、第1のレーザ部12Aと第2のレーザ部12Bとの設置状態(光学系の設置状態)が変化しなければ、M字状態ビート波とS字状態ビート波が示す振幅の比率は同一であるため、必要な時にだけ振幅増幅倍率を計算することで、処理の軽減を図ることができる。
【0050】
図13中点線で示すステップS18は、ニードル部分の影響によりM字状態とS字状態の一致がうまくできない場合の変位変換例である。例えば、十分な戻り光量が得られないため、ビート波の急峻部分が鈍ってしまい、微分波形におけるニードル部分の比率が大きくなってしまった場合、ニードル部分の検出を先に行い(ステップS18)、ニードル部分以外の波形にて一致処理を行う(ステップS13)。これにより、M字状態ビート波の微分波形とS字状態ビート波の微分波形との一致に対する精度を向上させることが可能となる。
【0051】
図14は、本実施形態でのS字状態のビート波を利用した補完処理を説明するための波形図である。図14(A)に示すような鋸歯状波が生じない時のM字状態のビート波を微分すると、図14(B)に示すようなニードル部分40を有する微分波形(M字等微分波形)となる。一方、図14(C)に示すS字状態のビート波を微分すると、図14(D)に示すS字状態微分波形となる。S字状態微分波形の振幅は、M字等微分波形のニードル部分40を除いた部分の振幅よりも小さくなっているため、このS字状態微分波形を増幅した後にニードル部分40の置き換えを行う。すると、図14(E)に示す加工微分波形となる。この加工微分波形は、第1実施形態の場合と異なり、ニードル位置についても実際の振動を測定した信号である。
【0052】
図15は、S字状態ビート波を測定するレーザ部の配置例を示す説明図である。S字状態ビート波を測定する第2のレーザ部12Bは、測定面の振動方向を含む平面内で所定角度θが当該測定面が変位しても略同一角度となる向きに配置すると良い。「所定角度θが当該測定面が変位しても略同一角度となる向き」という方向は、図15(A)に示すように、実線で示す測定対象物の測定面10Aが点線で示す位置に変位した場合に、図15(B)に示すように、振動方向と主な戻り光の進行方向との成す角θが変化しない方向をいう。図15(C)に示すように、測定面が湾曲していて且つ測定方向に直交する方向に振動する場合には、図15(D)に示すように戻り光の向きが時間(振動面10Aの位置)によって変化してしまうと、戻り光量が時間と共に変化するため、好ましくない。
【0053】
振動や速度を測定する場合、戻り光量が変化しない方が安定して検出が可能であるが、図15(C)及び(D)に示すように、測定対象物の形状によっては測定面の向き(法線方向)が振動による変位に応じて変化する。図15(A)及び(B)に示すように、平面での測定であれば斜め方向からレーザを照射しても測定面とレーザ光の成す角は変化しないが、曲面であれば測定面と斜め方向からのレーザ光の成す角は変化してしまう。このため、測定対象物の形状が円筒である場合では、円筒の軸方向へ向かってレーザ光を斜めにすると良い。これにより、測定面の角度変化を抑えることができる。例えば、超音波振動子のホーンに取り付けられたキャピラリなどの円筒形状物であれば、図15(E)に示すように、2つのレーザ部12A,12Bを円筒軸方向に設置することで、測定面10Aでの角度変化を少なくすることができる。
【0054】
図16(A)はM字状態ビート波の一例を示す図で、図16(B)はその微分波形を示す図で、図16(C)はS字状態ビート波の一例を示す図で、図16(D)はその微分波形を示す図である。図16(B)に示すように、M字等微分波形にはニードル部分40が生じている。また、図16(D)に示すように、S字状態微分波形は、S字状態ビート波のS/N比が高くない等の理由から、高周波のノイズが重畳してしまっている。
【0055】
図17(A)は図16(D)に示すS字状態ビート波の微分波形を使用してM字状態ビート波の微分波形を加工した加工微分波形の一例を示す図で、図17(B)はその変位変化波形の一例を示す図である。図17(A)に示すように、S字状態ビート波の振幅調整と、ニードル部分の置き換えとによって、連続した速度変化波形(加工微分波形)を得ることができた。図17(B)はこの加工微分波形を積分した変位変化波形では、M字状態ビート波を用いることで、S/N比の向上を図っているため、図16(C)と比較して高周波ノイズの影響が減少している。
【0056】
上述したように本実施形態によると、M字状態ビート波から測定対象物の変位変化波形を生成するために、2つのレーザ部を使用するようにしたため、変位情報が得にくいビート波の急峻部分(微分波形上のニードル位置)についても実際に測定した変位情報を得ることができる。また、一方のレーザ部の設置位置を調整することでS字状態ビート波を得るため、測定対象部物の振動変位変化の大まかな形状をS字状態ビート波の微分波形から得ることができ、一方、細部波形をM字状態ビート波の微分波形から得ることができる。そして、微分処理やニードル位置の抽出等は第1実施形態での手法と同様の手法を採用するため、予備測定がなくても高精度な検出が可能となるという利点を維持する。一方、S字状態ビート波を検出するための角度θを大きくすると、戻り光量が少なくなりS/N比が悪化する。このため、S字状態ビート波の微分波形で置き換えた部分についてM字状態ビート波を微分した波形ほどの実際の測定精度を向上させることは難しい。この点、第3実施形態及び第4実施形態にて変位変化波形の全体の測定精度を向上させる手法が開示される。
【0057】
また、M字状態ビート波の微分波形と、S字状態ビート波の微分波形とでは、M字状態ビート波の急峻部分以外の部分で波形が一致するため、急峻部分(ニードル部分)の抽出にS字状態ビート波の微分波形を利用することでニードル部分の切り出し処理の精度を向上させると共に安定させることができる。そして、第1実施形態でのニードル位置の補完を直線又は近似曲線で行う場合と比較して、第2実施形態では、実際に振動を計測したS字状態ビート波の微分波形を用いるため、実際の変位情報を算出可能であり、M字状態ビート波の急峻部分で生じた変位変化を捉えることができ、このため、測定結果に対する信頼性を第1の実施形態よりも向上させることができる。
【0058】
また、M字状態ビート波の急峻部分の置き換えをS字状態ビート波の微分波形状で行うと、積分を行う段階でバイアス成分が自動的に加算され、従って、変位波形での各部分の高さ調整が不要となる。
【0059】
また、レーザ部等の光学設置条件が変化しない場合には、図13のステップS13による振幅倍率の決定処理を省略できるため、繰り返し処理の動作速度を向上させることができる。また、図13のステップS18にてM字等微分波形のニードル部分を除去した後にステップS13の振幅倍率の決定を行う場合には、戻り光を得る条件が悪化しても対応可能となる。さらに、円筒形状の物体の振動測定を行う時に、2つのレーザ部を円筒の軸方向と振動方向とを含む平面内に配置すると、振動による戻り光量の増減を少なくすることができる。
【0060】
<第3実施形態: 位置をずらした複数のレーザ部を利用>
第3実施形態では、第2実施形態でS字状態のビート波をニードル部分の加工に用いる場合の不都合を改善する手法を開示する。第1実施形態は1つのレーザ部という簡易な構成で振動情報を得ることができるという利点があり、第2実施形態ではビート波の急峻部分についても実際の振動を計測できるという利点がある。一方、第2実施形態では、S字状態ビート波を得るために第2のレーザ部の照射角を大きくする必要があるため、測定のために比較的大きな空間が必要となり、また、測定対象物の機構が複雑な場合には、S字状態ビート波を測定するための第2のレーザ部の配置場所を設けることができない場合も想定される。
【0061】
また、S字状態ビート波はS/N比が低く、また変位量をCosθ倍にした形で測定を行うため、精度の向上が難しく、すると、加工ビート波はニードル位置にて周期的に精度が落ちた情報となってしまう。そして、第2のレーザ部でS字状態のビート波を得るために、測定対象物で散乱反射した光の一部が共振器へ戻る角度の範囲内で、且つ変位量をCosθ倍したときにその長さがλ/2の範囲に限定されてしまうため、変位量の大きい測定対象物の振動を測定することが難しくなってしまう。
【0062】
このため、第3実施形態及び第4実施形態では、2つ以上のM字状態ビート波又は鋸歯状態ビート波(両者を含めて、M字状態等ビート波という)を用いて測定対象物の振動を計測する。第3実施形態では、レーザ共振器の位置をそれぞれずらすことでM字状態等ビート波の急峻部分の位置を相互にずらす。第4実施形態では、レーザの発振波長をそれぞれ異なる長さに設定することで、同様の効果を得る。
【0063】
図18は、本発明の第3実施形態の構成例を示す説明図であり、図18(A)は振動計測装置の全体構成を示す図である。図18(A)に示すように、本実施形態での振動測定装置は、測定対象物に向けて所定の光路長を介してレーザ光を出射すると共に戻り光を受光する複数のレーザ部12A、12Bとを備えている。図18に示す例では、レーザ部を2つとしている。レーザ部12A,12Bはそれぞれ、レーザ共振器(LD)と、このレーザダイオードからそれぞれ出力されるビート波を検出するビート波検出手段(フォトダイオード)とを備えている。そして、このレーザ部12A,12Bをそれぞれ、複数のレーザ共振器の前記各光路長を、それぞれ予め定められた光路長差ΔL分異なる長さに設定している。ΔLは、図18(A)に示すL1 - L2である。または、レーザ共振器間の距離である。
【0064】
この各光路長の差ΔLを、前記レーザ光の発振波長をλ、レーザ部の数をkとしたときに、次式に従う長さとなるように各レーザ部12A,12Bの位置を定めると良い。
ΔL=(λ/2)/k+λ/2×n (n: 0,1,2..)
レーザ部を2個とする場合には、k=2として、λ/4ずつオフセットさせると良い。すなわち、2個のM字状態等ビート波は、約1/2周期ずれていることが望ましい。また、レーザ部を3個とする場合には、λ/6ずつオフセットさせると良い。そして、第3実施形態では、同一種類のレーザ共振器を用いることで、複数のレーザ部12A,12Bの発振波長を揃えている。また、それぞれのレーザ部を同一測定点へ照射させるためには、片方あるいは両方のレーザ部を若干斜めにして配置する。この場合、2つのレーザ部の照射方向と振動方向とが成す角θに応じて、変位変化量算出に際して1/Cosθ倍で補正を行う。また、測定対象物上の測定点面積を小さくする必要がない場合では、2つのレーザ光を平行光とするようにレーザ部を設置することで算出時の補正を省略することができる。
【0065】
図18(B)に示すように、レーザ部12A,12Bにそれぞれ、当該レーザ共振器の測定対象物に対する位置を前記光路長差ΔL前後分変動させる微動アクチュエータ48A,48Bを併設し、ΔLを調整するようにしても良い。数10 [nm] でレーザ部を位置づける微動アクチュエータとしては、例えば、ピエゾアクチュエータを用いることができる。図18(B)では、2つのレーザ部の両方に微動アクチュエータを設ける例を示したが、一方のみに微動アクチュエータを設けるようにしても良い。図18(C)に示すように、1つのレーザ筐体49にレーザ部12A,12B(又はレーザ共振器及びフォトダイオード)をΔL分オフセットさせて、レンズ16A,Bを介して固定しても良い。1つのレーザ筐体に複数のレーザ部を固定する場合には、外来振動によりレーザ筐体が振動したとしても、距離差が変化しない。また、レーザ部を1つとする場合とほぼ同様の測定空間で振動計測を行うことができる。
【0066】
第3実施形態での振動計測装置は、この複数のフォトダイオードによって検出され、増幅回路23によって増幅されたビート波に基づいて振動情報を生成する信号処理手段21を備えている。この信号処理手段21は、各フォトダイオードによって出力されたビート波を微分する微分処理部24と、この微分処理部24によって微分された複数の微分波形のうち一方の微分波形の傾きが急峻なニードル部分40を他の微分波形の対応部分で置き換える微分波形加工部45とを備えている。微分処理部24の動作は、第2実施形態と同様である。
【0067】
図19は、第3実施形態での測定原理を説明するための波形図である。レーザドップラ振動計では、測定対象物の変位量がλ/2変化する毎にその速度に応じてビート波が周期的に変化する。このため、距離差がλ/4となったときは、発生するビート波に半周期のずれが生じる。このため、同一の変位変化の計測を行ったとしても、2個のレーザ部の距離差Lがλ/2の倍数でなければ、同一のM字状態ビート波は出現せず、M字状態ビート波の急峻部分の出現タイミングが多少ずれた形で出現する。
【0068】
図19(B)に示すように、AとCのビート波を比較すると、急峻部分の位置は重なってはおらず、同様にBとDやCとE(=A)でも急峻部分の重なりがないため、一方の波形における急峻部分での変位変化の情報をもう一方からそのまま得ることができることが判る。
【0069】
図20は、本実施形態での信号処理例を示すフローチャートである。図20に示す例では、一方のレーザ部12Bを若干斜めに設置して測定点を一致させた場合の変位変換処理例であるため、ビート波2を測定した後(ステップS31)、一方のレーザ部12Bによって計測されたビート波を1/Cosθ倍している(ステップS32)。ただし、このステップS32以外では、複数のビート波のうち、どのビート波を基準とするかは任意である。図20に示す例では、M字状態等ビート波2を用いてM字状態等ビート波1のニードル位置41を補完する。
【0070】
ステップS31の実行と同時に、M字状態ビート波1を測定し(ステップS34)、続いて、これを微分する。そして、微分波形1のニードル位置を検出する(ステップS36)。このニードル位置の検出には、例えば第1実施形態で示した手法を用いると良い。また、微分波形1のニードル位置41が特定されたため、このニードル位置41を対応する微分波形2で置き換える(ステップS37)。このとき、図19に示すようにレーザ部の配置関係から、相互にニードル部分が重なっていないため、ステップS37での処理が完了すると、加工微分波形にニードル部分は残っていない。
【0071】
図21は、図20で示す処理で使用する波形例を示す波形図である。図21(A)に示すビート波1を微分すると、図21(B)に示す微分波形1となる。同様に、図21(C)に示すビート波2を微分すると、微分波形2となる。微分波形1のニードル位置40を微分波形2の値で置き換えると(図21(E,F))、図21(G)に示す加工微分波形を得ることができる。
【0072】
図20及び図21に示す例では、一方の微分波形のニードル部分を他方の微分波形で置き換えることで、加工微分波形を生成したが、2つの微分波形のニードル部分をそれぞれ互いの微分波形で置き換え、加工微分波形を2つ生成した後、この2つの加工微分波形を合成するようにしても良い。この場合、図18に示す微分加工部45は、複数の微分波形の前記ニードル部分をそれぞれ他の微分波形の対応部分に基づいて補完する全微分波形補完機能46と、この全微分波形補完機能46によってニードル部分を補完された複数の加工微分波形を合成する加工微分波形合成機能47とを備えている。
【0073】
図22は、この全微分波形補完機能46及び加工微分波形合成機能47を用いて合成加工微分波形を生成する処理例を示すフローチャートである。図20のステップS31からステップS35までは同様の処理となる。従って、微分波形2が算出され(ステップS41)、また、微分波形1が算出される(ステップS44)。続いて、微分波形1及び2のニードル位置をそれぞれ検出する(ステップS42,45)。微分波形1のニードル位置は微分波形2の対応部分で置き換え(ステップS46)、一方、微分波形2のニードル位置は微分波形1の対応部分で置き換える。続いて、2つの加工微分波形を合成する(ステップS47)。そして、この合成した合成加工微分波形基づいて振動情報を出力する(ステップS48)。
【0074】
図23は図22に示した処理で用いる波形例を示す波形図である。図23(A)乃至(D)で示すように微分波形1及び2を算出した後、図23(E)及び(F)で示すように、それぞれの微分波形を修正する。続いて、図23(E)及び図23(G)に示す2つの加工微分波形を合成する(図23(G))。ここでは、2個の加工微分波形の平均処理を行い、個々のレーザに起因する誤差要因を少なくしている。また、レーザ部を3つ以上使用し、より誤差の少ない合成加工微分波形を生成するようにしても良い。
【0075】
図24は、第3実施形態での実行例を示す波形図であり、図24(A)はM字状態ビート波1及びその微分波形1を示す図で、図24(B)はM字状態ビート波2及びその微分波形2を示す図である。図24(A)及び(B)に示すように2つのビート波の急峻部分がずれていることが判る。これを図20に示すフローチャートに従って処理すると、微分波形2で修正された微分波形1と、その変位変化波形は図24(C)に示す如くとなる。
【0076】
図25は、図22に示す処理での実行例を示す波形図であり、図25(A)はM字状態ビート波1とその加工微分波形を示す図で、図25(B)はM字状態ビート波2とその加工微分波形2を示す図で、図25(C)は加工微分波形1及び2を合成した合成加工微分波形を示す図である。図25に示す例では、図24に示す例と比較して変位変化波形の測定精度が向上した。
【0077】
上述したように第3実施形態によると、複数のレーザ共振器を略同一位置に配置し、また、レーザ発振波長を揃えているため、それぞれのレーザ共振器から出力されるビート波のS/N比を同程度に維持することができ、このため、ニードル位置の置き換え後の精度低下を防止することができる。そして、複数のレーザ共振器を略同一位置に配置することで、測定空間を小さくすることができるため、複雑な機構でレーザ配置個所が少ない測定対象物の振動を良好に測定することができる。レーザ光をコリメート光とすると、測定対象物の移動距離にかかわらず速度測定を行うことができる。
【0078】
また、レーザ部に微動アクチュエータを併設する例では、後からの微調整により光路長差ΔLを調整できるため、レーザ部の固定と距離差ΔLの調整を分けることができる。一方、1つのレーザ筐体内に複数のレーザ部を所定の距離差ΔLずらして固定する例では、常にビート波の急峻部分が重ならない構成とすることができ、また、外来振動によりレーザ筐体が揺れても、内部の共振器は同時に揺れるため、距離差ΔLが変化することがなく、このため、外来振動時にもビート波の急峻部分が重なることなく、さらに、レーザ部を1つ配置する場合と同様の作業量で複数のレーザ部を測定空間に配置することができる。
【0079】
複数のレーザ部(レーザ共振器)の位置をレーザ数に応じてビート波の周期がずれるように配置すると、微分波形のニードル位置を確実に補完することができる。複数のレーザ光を平行させるように配置すると、算出時の補正計算である1/Cosθ倍を省略し、処理を軽くすることができる。そして、M字状態等ビート波の急峻部分の検出に微分波形を利用することとなるため急峻部分の検出が容易となる。
【0080】
また、複数のビート波の微分波形をそれぞれ他のビート波の微分波形を用いて加工した後に、加工微分波形を合成する例では、ランダムノイズ等による測定誤差の影響を低減することができる。
【0081】
<第4実施形態: 発振波長の異なる2複数のレーザ部を利用>
第3実施形態では、複数のレーザ共振器の配置位置をずらすことで、ビート波の周期をずらし、これにより微分波形のニードル位置の修正を行っていた。この第3実施形態の若干の不都合としては、次のようなことが考えられる。すなわち、例えば固定した2つのレーザ共振器間の距離差ΔLが約λ/2(λ=780 [nm] のとき、λ/2=390 [nm] )の倍数となってしまった場合に、すなわち、図19(B)に示すAとEとの組み合わせとなってしまった場合には、2つのM字状態ビート波は同様の周期及び位相となり、急峻部分の置き換えが全く不能となってしまう。そして、レーザ共振器間の距離差ΔLに基づいてニードル位置の置き換えを行う手法であると、例えば2つのレーザ部の位置を離してしまうと外来振動の影響が個別に現れることとなるため、2つのレーザ部を離して固定することができなくなってしまう。
【0082】
このため、本実施形態では、レーザ部の距離差ΔLではなく、各レーザ部の発振波長の差に基づいてM字状態等ビート波の急峻部分の位置を変化させる。これにより、2つのレーザ部の配置の自由度が向上する。
【0083】
図26は、本発明の第4実施形態の構成例を示す説明図であり、図26(A)はレーザ部を3つとする場合の構成例を示す図である。第4実施形態による振動計測装置は、測定対象物に向けて所定の光路長を介してレーザ光を出射すると共に当該測定対象物からの戻り光を受光する複数のレーザ部12C,12D,12Eを備えている。この複数のレーザ部12C,12D,12Eは、それぞれ異なる発振波長のレーザ光を発振させるレーザ共振器と、この複数のレーザ共振器からそれぞれ出力されるビート波を検出する複数のビート波検出手段とを備えている。
【0084】
図26(B)に示すように、例えばレーザ部の数を2つとする場合には、例えば、一方を赤外光レーザ(波長λ1=780 [nm] )とし、他方を赤色レーザ(λ2=635 [nm] )のように波長差を設けると良い。この場合、M字状態等ビート波はそれぞれ図26(C)及び(D)に示すように急峻部分の位置が変化する。この図26(C)及び(D)に示す例では、振動の波高値が約390 [nm] の振動を測定したもので、双方とも同程度の振幅変化を示している。
【0085】
本実施形態での振動計測装置は、この複数のビート波検出手段によって検出されたビート波に基づいて振動情報を生成する信号処理手段を備えている。この信号処理手段は、各ビート波検出手段によって出力されたビート波を微分する微分処理部24と、この微分処理部24によって微分された複数の微分波形のうち一方の微分波形の傾きが急峻なニードル部分を他の微分波形の対応部分で置き換える微分波形加工部21とを備えている。
【0086】
第4実施形態での信号処理例は、第3実施形態とほぼ同様であり、図20に示す処理により振動情報を生成することができる。また、図26に示す微分波形加工部50は、図18に示す第3実施形態での微分波形加工部45と同様に、全微分波形補完機能46と、加工微分波形合成機能47とを備え、図22に示す処理を行うようにしてもよい。第4実施形態では、ニードル部分の置き換えが不能となる時刻が周期的に現れてしまうことがある。
【0087】
M字状態ビート波は、変位がλ/2変化するときに鋸歯状波一波分のビート波変化を示し、ビート波急峻部分の出現間隔がλ/2となるため、発振波長λにより2つのビート波の急峻部分間隔には差が生じる。発振波長λが異なる2種類のレーザ共振器を用いるとある瞬間において急峻部分が重なる距離差であった場合でも、その前後の急峻部分では重なりがなくなる組み合わせとなる。
【0088】
図27は、本実施形態で扱う波形例を示す波形図であり、図26(C)及び(D)に示すビート波を説明のために簡略化したものである。このため、振動の波高値は約390 [nm] である。図27(A)に示すように、時刻t1からt2の間に、符号51で示すようにちょうどビート波1周期分変化しているため、測定対象物の変位量が約λ1/2=390 [nm] であることがわかる。図27(B)に示す例では、符号52で示すように、約ビート波1.2周期分の変化であるため、振動の波高値=約1.2×λ2/2=約1.2×317.5=約390 [nm]であり、図27(A)に示す場合と同一である。
【0089】
図27(C)に示すように、振動の波高値を600 [nm] (振幅は300 [nm])、λ1=400 [nm]、λ2=600 [nm]であるとすると、測定対象物が600 [nm]変位する間に、λ1でのビート波には符号53で示し間隔で3つの波が、λ2でのビート波には符号54で示す2つの波が生じる。図27(A)及び(B)や、図27(D)及び(E)に示すように、波長差を異ならせることでM字状態等ビート波の急峻部分をずらすことができる。
【0090】
図28は、第4実施形態での急峻部分の重なりの例を示す説明図である。図28(A)に示すように測定対象物を固定し、レーザ部を時系列で測定対象物へ近づけた場合、測定対象物とレーザ部の戻り光量は時系列で上昇する。このとき、レーザ部とレーザ部との間の距離は変化させない。この場合、図28(B)に示すように、ある瞬間において急峻部分55が重なる状態であった場合でも、その前後の急峻部分では重なりがなくなる。すなわち、ニードル位置41が重ならない期間56と、重なる期間57とを有する。これは、2つのレーザ発振波長の相違によって急峻の重なり期間57の時刻が変化することを意味する。
【0091】
定常状態の振動を測定する場合には、複数回測定を繰り返すことで、急峻部分の重なりを完全に除去することができる。この場合、図26に示す信号処理手段21が、複数の微分波形についてそれぞれのニードル位置が重なった部分がある場合に前記微動アクチュエータを駆動制御して前記光路長を変化させた後に再測定させる再測定制御手段60を備えると良い。
【0092】
この場合の処理例を図29に示す。図29に示すように、微分波形2及び微分波形1を算出し(ステップS41,S44)、それぞれのニードル位置を例えば第1実施形態と同様の手法で検出した後(ステップS42,S45)、ニードル位置の重なり57があるか否かを判定する。ニードル位置の重なりがなければ、ニードル位置を置き換えて(ステップS54)振動情報の生成を行う。一方、ニードル位置に重なりがある場合には、ニードル位置が重ならない期間56についてのみニードル位置の置き換え処理を行い(ステップS52)、続いて、レーザ部の相対距離を変更する等の再測定の設定を行う(ステップS53)。再測定を時にニードル部分の重なりが存在していなければ、ステップS54を経由して処理を終了する。一方、ニードル部分の重なりがまだ残っている場合には、この再測定を繰り返す。
【0093】
定常状態ではない振動を測定する場合には、2つのレーザ共振器の発振波長の差を大きくとることで、急峻部分の重なり頻度を少なくすることで対応する。例えば、発振波長が635 [nm] のレーザ共振器と、発振波長1.5[μm] 程度のレーザ共振器を組み合わせることで、635 [nm] と780 [nm] の組み合わせに対して急峻部分の重なり頻度を約半分に下げることができる。また、相互に発振波長が異なるレーザ部を3つ以上用いることで、それぞれの波長差に応じて、さらに急峻部分の重なり頻度を下げることができる。このように、第4実施形態では、2つの半導体レーザ共振器の距離差を固定できない場合であっても、レーザ発振波長の異なる2種類のビート波を利用して、急峻部分55が重なっていない時間帯56を利用して振動変位算出を行うことができる。
【0094】
上述したように第4実施形態によると、複数の半導体レーザに異なった発振波長を持つレーザ素子(レーザ共振器)を使用するため、第3実施形態のようにレーザ部の距離差ΔLを固定する必要がなくなり、また、複数のM字状態ビート波は同様の変化とはならないため、急峻部分の置き換えが全くできなくなるケースがなくなり、さらに、複数のレーザ部を離して固定することが可能となるため、測定空間に対する配置の自由度が向上する。
【0095】
また、半導体レーザの発振波長の差が大きい2種類の素子を使用する構成では、発振波長が短いレーザによるビート波で分解能を維持したまま、急峻部分の重なりの頻度を少なくすることができる。そして、振動が定常状態である場合には、測定を繰り返すことでニードル位置の置き換えミスを少なくすることができ、定常状態の変位算出精度を向上させることができる。また、3種類以上の発振波長のレーザ素子を使用する例では、それぞれのビート波から急峻部分を検出し、重なっていない2組によってニードル位置の置き換えを行うことで、ニードル位置を加工できない回数が大幅に減少する。
【0096】
【発明の効果】
本発明は以上のように構成され機能するので、これによると、ニードル位置加工工程にて、微分波形のうち、ニードル部分を除去すると共に当該微分波形の内当該ニードル部分が存在したニードル位置を加工するため、鋸歯状波の内急峻ではない側の傾きと振動の折り返し部分での丸み部分の傾きとを使用した微分波形を得ることができ、この微分波形は測定対象物の速度変化に応じて値が変化する波形であるため、振動情報出力工程では、例えば、ニードル位置を補完した波形を速度変化波形としたり、また、積分した波形を変位変化波形とすることができ、そして、ビート波の微分からニードル部分の加工まで予め定めておく設定項目が存在しないことから、予備的な計測をせずに直接測定対象物の振動を計測することができ、そして、加工した微分波形を速度変化波形として扱うことができるため、ビート波検出の精度で測定対象物の振動を計測することができ、レーザ発振波長の長さと比較して小さい長さの変位量まで計測することができる、という従来にない優れた振動計測方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態の構成を示すフローチャートである。
【図2】図1に示した振動計測方法の実施に好適な振動計測装置の構成を示すブロック図である。
【図3】ビート波の種別を示す説明図であり、図3(A)はM字状態のビート波を示す図で、図3(B)はS字状態のビート波を示す図である。
【図4】ビート波の上昇部分と加工部分の関係を示す波形図である。
【図5】ビート波の振幅を用いて振動変位を算出した例を示す波形図であり、図5(A)は振動変位の例を示す図で、図5(B)は計測したビート波の一例を示す図で、図5(C)は算出波形の一例を示す図である。
【図6】鋸歯状のビート波一波の傾きの関係を示す説明図であり、図6(A)は上昇部分と加工部分の比率を示す図で、図6(B)は振動速度が大きい場合の比率を示す図で、図6(C)は振動速度が中程度の場合の比率を示す図で、図6(D)は振動速度が小さい場合の例を示す図である。
【図7】ビート波と微分波形等との関係を示す波形図であり、図7(A)はビート波の一例を示す図で、図7(B)はその微分波形の一例を示す図で、図7(C)は微分波形としきい値の関係を示す図で、図7(D)は微分波形中のニードル位置を示す図で、図7(E)はニードル部分を除去した微分波形の一例を示す図で、図7(F)は微分波形から求めた変位変化波形の一例を示す図である。
【図8】図2に示したニードル位置加工部の詳細構成の一例を示すブロック図である。
【図9】ビート波が鋸歯状波である場合の信号処理例を示す波形図であり、図9(A)は鋸歯状のビート波の一例を示す図で、図9(B)はその微分波形の一例を示す図で、図9(C)は微分波形からニードル部分を除去したニードルカット微分波形を例示する図で、図9(D)はニードルカット微分波形を積分した変位変化波形の一例を示す図である。
【図10】本実施形態での実行例を示す波形図であり、図10(A)はM字状態ビート波の一例を示す図で、図10(B)はその微分波形の一例を示す図である。
【図11】本実施形態での実行例を示す波形図であり、図11(A)はニードル部分を除去したニードルカット微分波形の一例を示す図で、図11(B)はニードルカット微分波形から算出した変位変化波形の一例を示す図である。
【図12】本発明の第2実施形態の構成例を示すブロック図である。
【図13】第2実施形態での処理例を示すフローチャートである。
【図14】本実施形態でのS字状態のビート波を利用した補完処理を説明するための波形図であり、図14(A)はM字状態のビート波を例示する図であり、図14(B)はその微分波形を示す図で、図14(C)はS字状態のビート波を例示する図であり、図14(D)はその微分波形を示す図で、図14(E)はS字状態ビート波の微分波形を用いてニードル位置を加工した加工微分波形の一例を示す図である。
【図15】S字状態ビート波を測定するレーザ部の配置例を示す説明図であり、図15(A)は測定面が平面である場合の例を示す図で、図15(B)はこの場合の主な戻り光の方向を示す図で、図15(C)は測定面が湾曲していて且つ測定方向に直交する方向に振動する例を示す図で、図15(D)はこの場合の主な戻り光の方向を示す図で、図15(E)は測定面が湾曲していて且つ測定方向を含む平面内で定義される方向にて振動する例を示す図である。
【図16】本実施形態での実行例を示す波形図であり、図16(A)はM字状態ビート波の一例を示す図で、図16(B)はその微分波形を示す図で、図16(C)はS字状態ビート波の一例を示す図で、図16(D)はその微分波形を示す図である。
【図17】本実施形態での実行例を示す波形図であり、図17(A)は図16(D)に示すS字状態ビート波の微分波形を使用してM字状態ビート波の微分波形を加工した加工微分波形の一例を示す図で、図17(B)はその変位変化波形の一例を示す図である。
【図18】本発明の第3実施形態の構成例を示す説明図であり、図18(A)は振動計測装置の全体構成を示す図で、図18(B)はレーザ部の構成例を示す図で、図18(C)はレーザ部の他の構成例を示す図である。
【図19】第3実施形態での測定原理を説明するための波形図であり、図19(A)はビート波と計測位置等との関係を示す図で、図19(B)はレーザ・ヘッドをλ/8ずつずらした場合のM字状態ビート波の波形例を示す図である。
【図20】本実施形態での信号処理例を示すフローチャートである。
【図21】本実施形態で扱う波形例を示す波形図であり、図21(A)は第1のビート波の例を示す図で、図21(B)はその微分波形1を示す図で、図21(C)は第2のビート波の例を示す図で、図21(D)はその微分波形2を示す図で、図21(E)は微分波形1のニードル部分を抽出した例を示す図で、図21(F)はこれに対応する微分波形2の対応部分を例示する図で、図21(G)はニードル部分の入れ替えによる加工微分波形の一例を示す図である。
【図22】本実施形態での他の信号処理例を示すフローチャートである。
【図23】本実施形態で扱う波形例を示す波形図であり、図23(A)は第1のビート波の例を示す図で、図23(B)はその微分波形1を示す図で、図23(C)は第2のビート波の例を示す図で、図23(D)はその微分波形2を示す図で、図23(E)は微分波形1を修正した加工微分波形1の例を示す図で、図23(F)は微分波形2を修正した加工微分波形2の例を示す図で、図23(G)は加工微分波形1と加工微分波形2を合成した合成加工微分波形の例を示す図である。
【図24】本実施形態での実行例を示す波形図であり、図24(A)はM字状態ビート波1及びその微分波形1を示す図で、図24(B)はM字状態ビート波2及びその微分波形2を示す図で、図24(C)はニードル部分修正後の加工微分波形1とその変位変化波形を例示する波形図である。
【図25】図22に示す処理での実行例を示す波形図であり、図25(A)はM字状態ビート波1とその加工微分波形を示す図で、図25(B)はM字状態ビート波2とその加工微分波形2を示す図で、図25(C)は加工微分波形1及び2を合成した合成加工微分波形を示す図である。
【図26】本発明の第4実施形態の構成例を示す説明図であり、図26(A)はレーザ部を3つとする場合の構成例を示す図で、図26(B)はレーザ部を2つとする場合のそれぞれの波長を例示する図で、図26(C)は図26(B)に示す場合の一方の波長によるM字状態ビート波を例示する図で、図26(D)は他方の波長によるM字状態ビート波を例示する図である。
【図27】本実施形態で扱う波形例を示す波形図であり、図27(A)は第1の波長によるM字状態ビート波の例を示す図で、図27(B)は第2の波長によるM字状態ビート波の例を示す図で、図27(C)は測定対象物の振動振幅の例を示す図で、図27(D)は第1の波長でのM字状態の波形及び位相を示す図で、図27(E)は第2の波長でのM字状態ビート波の波形及び位相を示す図である。
【図28】本実施形態での計測例を示す説明図であり、図28(A)は測定対象物とレーザヘッドの相対距離(光路長)を変化させる例を示す図で、図28(B)は第1のM字状態ビート波と第2のM字状態ビート波のニードル位置の周期的な重なりを示す図である。
【図29】本実施形態での信号処理例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
10 測定対象物
12 レーザ部(又は、レーザヘッド)
14 レーザ共振器(LD)
20 ビート波検出手段(又は、フォトダイオード,PD)
21 信号処理手段
22 レーザ駆動回路
24 微分処理部
25 ニードル部分抽出部
26 ニードル位置加工部
27 速度変化波形出力部
28 変位変化波形出力部
35 しきい値走査機能
36 しきい値範囲分割機能
37 しきい値設定機能
38 ニードル部分判定機能
39 ニードル部分加工機能

Claims (13)

  1. 測定対象物に向けてレーザ光を出射するレーザ光出射工程と、このレーザ光出射工程にて出射され測定対象物で反射した戻り光を受光する戻り光受光工程と、この戻り光受光工程にて受光した戻り光と出射光とを自己混合させると共に当該自己混合によるビート波を検出するビート波検出工程とを備え、
    このビート波検出工程に続いて、当該ビート波を微分する微分工程と、この微分工程にて微分された微分波形のうち傾きが急峻なニードル部分を抽出するニードル部分抽出工程と、このニードル部分抽出工程にて抽出されたニードル部分を除去すると共に当該微分波形の内当該ニードル部分が存在したニードル位置を加工するニードル位置加工工程と、このニードル位置加工工程にて加工された加工微分波形に基づいて振動情報を出力する振動情報出力工程とを備えたことを特徴とする振動計測方法。
  2. 測定対象物に向けてレーザ光を出射すると共に当該測定対象物からの戻り光を受光するレーザ共振器と、このレーザ共振器内での出射光と戻り光との自己混合によるビート波を検出するビート波検出手段と、このビート波検出手段によって検出されたビート波を信号処理すると共に処理結果を振動情報として出力する信号処理手段とを備え、
    前記信号処理手段が、前記ビート波を微分する微分処理部と、この微分処理部によって微分された微分波形のうち前後の傾きが急峻なニードル部分を抽出するニードル部分抽出部と、このニードル部分抽出部によって抽出されたニードル部分を除去すると共に当該微分波形の内当該ニードル部分が存在したニードル位置を加工するニードル位置加工部とを備えたことを特徴とする振動計測装置。
  3. 前記信号処理手段が、前記ニードル位置加工部によって加工された微分波形を速度変化波形として出力する速度変化波形出力部と、前記微分波形を積分した波形を振動変位変化波形として出力する変位変化波形出力部とを備えたことを特徴とする請求項2記載の振動計測装置。
  4. 前記ニードル位置加工部が、所定のニードル部分抽出用しきい値を前記微分波形の値の最大値近傍の開始位置から微分波形の値のゼロ近傍まで走査するしきい値走査機能と、このしきい値走査機能によって走査される範囲を前記微分波形と当該しきい値とがクロスするクロス数で分割するしきい値範囲分割機能と、前記ゼロ近傍でのクロス数に対してクロス数が予め定められた比率範囲内となるしきい値範囲内にしきい値を設定するしきい値設定機能と、前記微分波形の内前記しきい値設定機能で設定されたしきい値とクロスする部分に基づいてニードル位置と判定するニードル位置判定機能とを備えたことを特徴とする請求項2記載の振動計測装置。
  5. 測定対象物の測定面に向けて第1のレーザ光を出射すると共に当該測定対象物からの戻り光を受光する第1のレーザ共振器と、前記測定面の法線方向に対して所定角度θを有する第2のレーザ共振器と、前記第1のレーザ共振器及び第2のレーザ共振器で生成されるビート波をそれぞれ検出する第1及び第2のビート波検出手段と、これら第1及び第2のビート波検出手段によって検出された第1及び第2のビート波を対象に信号処理すると共に処理結果を振動情報として出力する信号処理手段とを備え、
    前記所定角度θを、当該第2のレーザ共振器方向への前記測定対象物の変位量が当該第2のレーザ共振器の発振波長のλ/2未満となる角度に設定し、
    前記信号処理手段が、前記第1のビート波を微分すると共に振動変位変化を表すS字状態の第2のビート波を微分する微分処理部と、この微分処理部によって微分された第1の微分波形のうち前後の傾きが急峻なニードル部分を抽出するニードル部分抽出部と、このニードル部分抽出部によって抽出されたニードル部分を前記第1の微分波形から除去すると共に当該微分波形の内当該ニードル部分が存在したニードル位置を加工するニードル位置加工部とを備え、
    このニードル位置加工部が、前記微分処理部によって微分された第2の微分波形に基づいて前記第1の微分波形のニードル位置を補完するS字使用補完機能を備えたことを特徴とする振動計測装置。
  6. 前記ニードル位置加工部が、前記第1の微分波形の振幅に応じて前記S字状態のビート波を微分した第2の微分波形の振幅を調整する振幅調整機能を備えたことを特徴とする請求項5記載の振動計測装置。
  7. 前記第2のレーザ共振器を、前記測定面の振動方向を含む平面内で前記所定角度θが当該測定面が変位しても略同一角度となる向きに配置したことを特徴とする請求項5又は6記載の振動計測装置。
  8. 測定対象物に向けて所定の光路長を介してレーザ光を出射すると共に戻り光を受光する複数のレーザ共振器と、この複数のレーザ共振器からそれぞれ出力されるビート波を検出する複数のビート波検出手段と、この複数のビート波検出手段によって検出されたビート波に基づいて振動情報を生成する信号処理手段とを備え、
    前記複数のレーザ共振器の前記各光路長を、それぞれ予め定められた光路長差ΔL分異なる長さに設定し、
    前記信号処理手段が、前記各ビート波検出手段によって出力されたビート波を微分する微分処理部と、この微分処理部によって微分された複数の微分波形のうち一方の微分波形の傾きが急峻なニードル部分を他の微分波形の対応部分で置き換える微分波形加工部とを備えたことを特徴とする振動計測装置。
  9. 前記各光路長の差ΔLを、前記レーザ光の発振波長をλ、レーザ共振器の数をkとしたときに次式
    ΔL=(λ/2)/k+λ/2×n (n: 0,1,2..)
    で表される長さに設定したことを特徴とする請求項8記載の振動計測装置。
  10. 前記レーザ共振器に、当該レーザ共振器の測定対象物に対する位置を前記光路長差ΔL分変動させる微動アクチュエータを併設したことを特徴とする請求項8又は9記載の振動計測装置。
  11. 前記微分波形加工部が、前記複数の微分波形の前記ニードル部分をそれぞれ他の微分波形の対応部分に基づいて補完する全微分波形補完機能と、この全微分波形補完機能によってニードル部分が補完された複数の加工微分波形を合成する加工微分波形合成機能とを備えたことを特徴とする請求項8記載の振動計測装置。
  12. 前記測定対象物に向けて所定の光路長を介してレーザ光を出射すると共に当該測定対象物からの戻り光を受光する複数のレーザ部と、この複数のレーザ部にて生成されるビート波に基づいて振動情報を生成する信号処理手段とを備え、
    前記複数のレーザ部が、それぞれ異なる発振波長のレーザ光を発振させるレーザ共振器と、複数のレーザ共振器からそれぞれ出力されるビート波を検出する複数のビート波検出手段とを備え、
    前記信号処理手段が、前記各ビート波検出手段によって出力されたビート波を微分する微分処理部と、この微分処理部によって微分された複数の微分波形のうち一方の微分波形の傾きが急峻なニードル部分を他の微分波形の対応部分で置き換える微分波形加工部とを備えたことを特徴とする振動計測装置。
  13. 前記レーザ共振器に、当該レーザ共振器の測定対象物に対する位置を変動させる微動アクチュエータを併設し、
    前記信号処理手段が、前記複数の微分波形についてそれぞれのニードル位置が重なった部分がある場合に前記微動アクチュエータを駆動制御して前記光路長を変化させた後に再測定させる再測定制御部を備えたことを特徴とする請求項12記載の振動計測装置。
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