JP3671425B2 - 放電灯点灯装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、高周波インバータ回路を用いて放電灯を点灯させる調光機能付きの放電灯点灯装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、高周波インバータ回路を用いた放電灯点灯装置において、放電灯を始動させる時には、始動するに十分な電圧を放電灯両端に印加する。この際、始動前の状態によっては、印加電圧によってランプ管壁或いは近接導体に漏れ電流が流れてしまう。よって、始動させるためにはこの漏れ電流分を供給するとともに、放電に寄与する主放電電流も併せて供給しなければならない。このため、従来では始動前に高い電圧を印加する場合、電流には制限を設けておらず、点灯時の電流で制限しているだけである。つまり、インバータ回路の負荷特性(負荷電流‐負荷電圧特性)を、ある条件によって切換えるということは行っていない。よって、調光点灯させたい場合には、放電灯を一旦全光始動させてから、所望の調光レベルに移行させる方式を採っている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
よって、このような従来方式による場合、直接調光始動させることができず、一旦全光始動により点灯させてから、その点灯時の電圧‐電流特性曲線に従い所望レベルに調光制御するため、始動の瞬間には放電灯に大きな電流が流れることになり、瞬時に調光用に電流を絞っても一瞬明るく光ってしまう現象を生じ、不快感を与える。
【0004】
この点、定電流制御を行う高周波インバータ回路を用いたものでは、調光信号のレベルに対応した負荷電流で直接的に調光始動させることが考えられる。例えば、図8に示すような負荷電圧‐負荷電流を持つ負荷特性でインバータ回路を始動させることになる。ところが、同図に示すような深調光レベルによる調光始動の場合、上記のようなランプ管壁或いは近接導体に対する漏れ電流の影響により、負荷特性曲線上のA点が始動時の動作点となってしまう。これは、当該負荷特性の負荷電圧V L より低い電圧であり、始動に必要な電圧が得られないため、始動点灯できないものとなってしまう。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明では、放電灯を点灯させる高周波インバータ回路を備え、調光信号に基づきこの高周波インバータ回路の動作周波数を可変制御して調光点灯させるようにした放電灯点灯装置において、前記放電灯の始動に必要な前記放電灯の主放電電流とその漏れ電流分とを考慮して設定された負荷電圧値による定電圧制御の負荷特性と調光信号に応じた負荷特性との2段階に前記高周波インバータ回路の負荷特性を設定し、任意の調光レベルで前記放電灯を始動させる調光始動に際して、前記定電圧制御の負荷特性で前記高周波インバータ回路を動作させて前記放電灯を始動させ、始動に伴う前記高周波インバータ回路の負荷電圧が前記放電灯が全光点灯に至る前の電圧値の段階で前記高周波インバータ回路を前記調光信号に応じた負荷特性に切換えて動作させる負荷特性制御手段を設けた。
【0006】
この際、請求項2記載の発明では、前者の負荷特性は、前記定電圧制御に加えて、前記漏れ電流分以上の電流値であって全光点灯時の負荷電流よりも小さい値として予め設定された基準電流値による定電流制御を含む。
【0007】
請求項3記載の発明では、放電灯を点灯させる高周波インバータ回路を備え、調光信号に基づきこの高周波インバータ回路の動作周波数を可変制御して調光点灯させるようにした放電灯点灯装置において、前記放電灯の始動に必要な前記放電灯の主放電電流とその漏れ電流分とを満たし全光点灯時の負荷電流よりも小さい値の基準電流値を予め設定し、任意の調光レベルで前記放電灯を始動させる調光始動に際して、その調光信号のレベルに対応する負荷電流値が前記基準電流値未満のときにはこの基準電流値による定電流制御の負荷特性で前記高周波インバータ回路を動作させて前記放電灯を始動させ当該放電灯点灯後に前記高周波インバータ回路を調光信号に応じた定電流制御の負荷特性に切換え、調光信号のレベルに対応する負荷電流値が前記基準電流値以上のときにはその負荷電流値による定電流制御の負荷特性で前記高周波インバータ回路により前記放電灯を始動させる負荷特性制御手段を設けた。
【0008】
請求項1又は2記載の発明において、請求項4記載の発明では、前記調光信号に応じた負荷特性は、調光信号のレベルに応じた電流値により定電流制御であり、請求項5記載の発明では、前記調光信号に応じた負荷特性は、調光信号のレベルに応じた電流値により定電流制御であることとした。
【0009】
【作用】
請求項1,2記載の発明においては、調光始動に際して高周波インバータ回路の負荷特性を漏れ電流をも考慮しつつ制限された負荷特性として放電灯を始動させてから調光信号に応じた負荷特性に切換えて点灯に至らせることにより、漏れ電流の影響があっても十分な始動電圧が得られ、よって、一瞬明るく光るような過程を経ることなく、直接的に調光始動させることができる。
【0010】
また、請求項3記載の発明においては、漏れ電流をも考慮して制限された基準電流値を予め設定しておき、調光信号のレベルに対応した負荷電流値がこの基準電流値よりも小さい場合には基準電流値による定電流制御なる負荷特性で高周波インバータ回路を動作させて放電灯を始動させるので、漏れ電流の影響があっても十分な始動電流が得られるとともに、一瞬明るく光るような過程を経ることなく、直接的に調光始動させることができる。
【0011】
さらに、請求項4,5記載の発明においては、放電灯始動後の動作を調光レベルに応じた定電流制御又は定電力制御で行わせるため、安定した調光点灯となる。
【0012】
【実施例】
本発明の第一の実施例を図1及び図2に基づいて説明する。まず、本実施例の概略基本構成として、直流電源1には高周波インバータ回路2を介して放電灯3が接続されている。前記高周波インバータ回路2は例えばハーフブリッジ構成の一対のスイッチング素子を備え、そのオン・オフ発振動作により放電灯3に高周波電力を供給するものである。このような高周波インバータ回路2にはその動作周波数を可変制御するための周波数制御回路4が設けられ、調光制御回路5からの調光信号のレベルに応じて前記高周波インバータ回路2の動作周波数を可変することで調光点灯可能とされている。ここでは、定電流制御による調光制御をかけるため、電流検出手段6により検出される負荷電流IL が調光信号のレベルに対応した値となるように調光制御回路5からの調光信号は、この電流検出手段6を介して前記周波数制御回路4に入力されている。
【0013】
しかして、本実施例ではこのような基本構成に加え、調光始動時に前記周波数制御回路4を介して前記高周波インバータ回路2の負荷特性を2段階に切換え制御する負荷特性制御手段8が付加されている。この負荷特性制御手段8は、電位検出手段9により放電灯3に対する負荷電圧VL を検出し、図2に示すようにある負荷電圧VREF を境にして前記高周波インバータ回路2の負荷特性を2段に切換える制御をかけるものである。このため、電位検出手段9による検出出力である負荷電圧VL は比較器11に入力され、基準電圧VREF と比較され、負荷特性の切換え制御に供される。即ち、この比較器11の比較結果に応じて切換え制御されるスイッチSW1,SW2が電流検出手段6、電位検出手段9と周波数制御回路4との間に介在されている。VL ≧VREF の時には、図1に示すように、スイッチSW2側がオンしスイッチSW1側がオフするように設定され、VL <VREF の時には、スイッチSW2側がオフしスイッチSW1側がオンするように設定されている。
【0014】
このような構成において、ある調光レベルで始動させようとする場合の動作を説明する。まず、スイッチSW2側がオンとされ、高周波インバータ回路2を全光点灯を想定した負荷特性に従い始動させつつ、負荷電圧VL の値を常に検出し、比較器11で切換え用の基準電圧VREF と比較する。この過程で、放電灯3の管壁等への漏れ電流ILEの特性分を満足し得る点Aを通過するので、この点Aが始動時の動作点となり、十分な始動電圧が得られる。その後、全光点灯時を想定した負荷電流IL に達すると、負荷電圧VL が下げられる負荷特性制御となる。
【0015】
この電圧低下動作において、負荷電圧VL が基準電圧VREF よりも小さくなると、比較器11の出力によりスイッチSW2側がオフされ、スイッチSW1側がオンすることにより、高周波インバータ回路2の負荷特性が、調光信号のレベルに応じた定電流制御となる負荷特性に切換えられる。即ち、図2に示すように負荷特性が切換えられ、さらに負荷電圧VL が下げられて、点灯時の電圧‐電流特性曲線と交差する点Bで点灯し、かつ、点灯後には、この点Bが動作点として維持される。
【0016】
これにより、漏れ電流ILEの影響があっても十分な始動電圧を確保できるとともに、基準電圧VREF に基づき負荷特性が切換えられて実際の点灯に移行するので、全光点灯等を経て本来の調光に移行することがなく、一瞬明るく光ってから調光点灯するといった不快感を与えることなく、調光始動させることができる。
【0017】
なお、本実施例において、負荷特性切換えのための基準電圧VREF は、点灯時の電圧‐電流特性曲線が低温時には図2中に仮想線で示すように上昇する傾向にある点をも考慮し、低温時においても放電灯3を点灯維持し得る値に設定されている。
【0018】
つづいて、本発明の第二の実施例を図3及び図4により説明する。前記実施例で示した部分と同一部分は同一符号を用いて示す。本実施例は、前記実施例をより実際的としたもので、調光始動に際して、2段階の負荷特性中、最初に用いらる負荷特性をより制限されたものとしたものである。即ち、前記実施例では漏れ電流ILE分をも考慮して当初は全光時の負荷特性としたが、本実施例では、負荷電圧VL が基準電圧VREF 以上の段階で負荷電流IL も制限するものとし、図4に示すように、少なくとも放電灯3の主放電電流とその管壁等に対する漏れ電流とを満たし得る値IL =IREF としたものである。
【0019】
このため、本実施例では、比較器11による比較の結果、VL ≧VREF の段階でも電圧制御手段12による負荷電圧VL の制御がかけられるとともに、電流制御手段13によりIL =IREF となる負荷電流IL の規制制御がかけられ、VL <VREF となった以降の段階では、I1 ,I2 ,I3 等のように、設定された調光信号のレベルに応じた定電流制御が電流制御手段14によってかけられる。
【0020】
よって、動作的には前記実施例の場合と同様であるが、負荷電圧VL が基準電圧VREF よりも大きい段階でも負荷電流IL を制限しているので、より電力の無駄等のない状態で、調光始動させることが可能となる。
【0021】
さらに、本発明の第三の実施例を図5及び図6により説明する。本実施例は、前記実施例を利用しつつ、制御をより簡単にしたものである。即ち、調光始動時であっても全て高周波インバータ回路2の負荷特性を切換える制御を行わず、設定された調光信号のレベルに対応する負荷電流IL が前記実施例で説明したような電流値(基準電流値)IREF よりも小さい時のみ、負荷特性の切換えを伴う制御を選択し、調光信号のレベルに対応する負荷電流IL がIL ≧IREF の場合にはそのまま電流IL による定電流制御で調光始動させるようにしたものである。
【0022】
このため、本実施例では、調光制御回路5を通して設定された調光信号のレベルに対応する負荷電流IL の値を基準電流値IREF と比較する比較器15が設けられ、この比較器15による比較の結果、IL <IREF の場合には、高周波インバータ回路2は電流制御手段13によりIL =IREF なる定電流制御をかける負荷特性とされ、IL ≧IREF の時には通常通り、IL なる所望値の定電流制御をかける負荷特性とされる。ここに、前記電流制御手段13による定電流制御を始動時の一定時間に規制するため、タイマ回路16が介在され、所定時間経過後には設定された調光信号のレベルに対応する負荷電流IL による定電流制御を伴う負荷特性に移行し、調光点灯するとともに、点灯維持される。
【0023】
なお、前記実施例においては、放電灯始動後は調光レベルに応じた定電流制御で動作する放電灯点灯装置について説明したが、例えば図7に示すような所謂定電力制御で動作するように構成してもよい。
【0024】
【発明の効果】
請求項1,2記載の発明によれば、調光始動に際して高周波インバータ回路の負荷特性を漏れ電流をも考慮しつつ制限された負荷特性として放電灯を始動させてから調光信号に応じた負荷特性に切換えて点灯に至らせるようにしたので、漏れ電流の影響があっても十分な始動電圧を得ることができ、よって、一瞬明るく光るような過程を経ることなく、直接的に調光始動させることができる。
【0025】
また、請求項3記載の発明によれば、漏れ電流をも考慮して制限された基準電流値を予め設定しておき、調光信号のレベルに対応した負荷電流値がこの基準電流値よりも小さい場合には基準電流値による定電流制御なる負荷特性で高周波インバータ回路を動作させて放電灯を始動させるようにしたので、漏れ電流の影響があっても十分な始動電流を得ることができ、一瞬明るく光るような過程を経ることなく、直接的に調光始動させることができる。
【0026】
さらに、請求項4,5記載の発明によれば、放電灯始動後の動作を調光レベルに応じた定電流制御又は定電力制御で行わせるようにしたので、安定した調光点灯が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一の実施例を示すブロック図である。
【図2】その制御を示す特性図である。
【図3】本発明の第二の実施例を示すブロック図である。
【図4】その制御を示す特性図である。
【図5】本発明の第三の実施例を示すブロック図である。
【図6】その制御を示す特性図である。
【図7】定電力制御の変形例を示す特性図である。
【図8】従来の制御を示す特性図である。
【符号の説明】
2 高周波インバータ回路
3 放電灯
8 負荷特性制御手段
Claims (5)
- 放電灯を点灯させる高周波インバータ回路を備え、調光信号に基づきこの高周波インバータ回路の動作周波数を可変制御して調光点灯させるようにした放電灯点灯装置において、
前記放電灯の始動に必要な前記放電灯の主放電電流とその漏れ電流分とを考慮して設定された負荷電圧値による定電圧制御の負荷特性と調光信号に応じた負荷特性との2段階に前記高周波インバータ回路の負荷特性を設定し、
任意の調光レベルで前記放電灯を始動させる調光始動に際して、前記定電圧制御の負荷特性で前記高周波インバータ回路を動作させて前記放電灯を始動させ、始動に伴う前記高周波インバータ回路の負荷電圧が前記放電灯が全光点灯に至る前の電圧値の段階で前記高周波インバータ回路を前記調光信号に応じた負荷特性に切換えて動作させる負荷特性制御手段を設けたことを特徴とする放電灯点灯装置。 - 前者の負荷特性は、前記定電圧制御に加えて、前記漏れ電流分以上の電流値であって全光点灯時の負荷電流よりも小さい値として予め設定された基準電流値による定電流制御を含む、ことを特徴とする請求項1記載の放電灯点灯装置。
- 放電灯を点灯させる高周波インバータ回路を備え、調光信号に基づきこの高周波インバータ回路の動作周波数を可変制御して調光点灯させるようにした放電灯点灯装置において、
前記放電灯の始動に必要な前記放電灯の主放電電流とその漏れ電流分とを満たし全光点灯時の負荷電流よりも小さい値の基準電流値を予め設定し、
任意の調光レベルで前記放電灯を始動させる調光始動に際して、その調光信号のレベルに対応する負荷電流値が前記基準電流値未満のときにはこの基準電流値による定電流制御の負荷特性で前記高周波インバータ回路を動作させて前記放電灯を始動させ当該放電灯点灯後に前記高周波インバータ回路を調光信号に応じた定電流制御の負荷特性に切換え、調光信号のレベルに対応する負荷電流値が前記基準電流値以上のときにはその負荷電流値による定電流制御の負荷特性で前記高周波インバータ回路により前記放電灯を始動させる負荷特性制御手段を設けたことを特徴とする放電灯点灯装置。 - 前記調光信号に応じた負荷特性は、調光信号のレベルに応じた電流値により定電流制御であることを特徴とする請求項1又は2記載の放電灯点灯装置。
- 前記調光信号に応じた負荷特性は、調光信号のレベルに応じた電力値により定電力制御であることを特徴とする請求項1又は2記載の放電灯点灯装置。
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JPH06283295A JPH06283295A (ja) | 1994-10-07 |
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1993
- 1993-03-30 JP JP07136993A patent/JP3671425B2/ja not_active Expired - Lifetime
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