JP3671228B2 - 紫いもの加工方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、紫いもの加工方法に関し、具体的には紫いもを蒸切干しても色調の劣化しにくい加工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ジャガイモ、柿等の果菜は、長期保存の目的で切干し加工される場合があり、この際、アスコルビン酸を用いた前処理を行うことにより、変色を防止してその食品の商品価値を損なわれにくくする技術が知られている(特許文献1、2参照)。これは、アスコルビン酸が酸化酵素を不活性化することにより、色素に対する酸化作用が弱くなり、色素の発色が維持されやすくなることによると考えられている。
【0003】
【特許文献1】
特開平8−289720号公報
【特許文献1】
特公昭61−13788号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、紫いもは、ポリフェノールの一種であるアントシアニン系の色素により、微妙な紫色を呈する独特の色調を持っている。ポリフェノール類は特に酸化作用を受けやすく、これらを多く含有する紫いもは、特に蒸煮・乾燥により変色しやすい。そのため、上述の他の果菜の変色防止方法を紫いもに直接適用しても、製品が著しく黒変したり、色調が暗紫色になったりし、十分な効果を発揮しない場合が多い。
【0005】
従って、本発明の目的は、上記実情に鑑み、紫いもの加工を行った場合にも、変色を抑制することができる加工方法を提供する点にある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上述のアントシアニン等のポリフェノール類が酸化を受けやすいにもかかわらず、紫いもが生澱粉を大量に含むため、酸化防止剤が内部にまで作用することが抑制されていると予想され、その結果、他の果菜に比べて変色防止効果が低下しているものと予想されることを見いだした。そこで、澱粉の物性に着目し、鋭意研究の結果、澱粉の糊化温度近傍においてアスコルビン酸処理を行えば、紫いもの変色を効果的に抑制できることを実験的にみいだし、本発明に想到した。
【0007】
つまり、前記目的を達成するための本発明の紫いもの加工方法の特徴手段は、紫いもに含まれる澱粉の糊化温度近傍で、前記紫いもをアスコルビン酸処理液に浸漬処理する前処理行程を行った後、
前記前処理行程を経た紫いもを、蒸煮する蒸煮工程を行い、
その蒸煮された紫いもを乾燥する乾燥工程を行う点にある。
【0008】
ここで、澱粉の糊化温度とは、澱粉の構造により温度の異なるものであって、果菜の種類、品種ごとに微妙に異なる値をとる。また、一つの果菜中に含まれる澱粉にも鎖長などにばらつきがあるため、ある程度の温度域を有する。そのため、本発明でいう糊化温度近傍とは、各紫いもの品種毎に固有の澱粉の糊化温度を調べた場合に、糊化が起こり始める温度から、糊化が明確に始まってしまう温度を含めた温度域を指すものとする。
【0009】
澱粉の糊化温度近傍でアスコルビン酸を作用させると、そのアスコルビン酸は、糊化しつつある澱粉が吸水するのに伴い、紫いも組織の内部に進入し易くなって、その酸化酵素の失活に役立てられているのではないかと考えられる。そのため、上述の前処理行程を行うことにより、アスコルビン酸が、酸化酵素の作用を抑え、後続の処理中あるいは製品の保存中におけるアントシアニンの酸化を抑制できることになると考えられる。
【0010】
従って、変色の発生しにくい紫いも加工品を提供できるようになって、食品としての付加価値を高めることができた。また、このような温度は、澱粉の糖化酵素が働きやすい温度でもあるため、紫いもの甘味増加にも寄与し、食品としての付加価値をさらに高められる。
【0011】
尚、紫いもの加工に際して、皮を除去した紫いも原料をそのまま前処理行程に供してもよく、紫いも原料を切断したものを前処理行程に供してもよい。ここで、切断した後前処理行程を行うと、紫いもの組織全体にアスコルビン酸が迅速に作用するので好ましい。
【0012】
尚、前記紫いもとして具体的には、パープルスイートロード、種子島紫、九州139号から選ばれる少なくとも一種のものは、やや色素量の多い品種であり、商品価値も高く、また、色素の酸化防止を行う上でも意味が大きい。これらの紫いもの生産する澱粉の糊化温度は、それぞれ、77.45℃、71.55℃、73.60℃であり、前記前処理行程が71℃〜77℃での糊化温度が紫いもの澱粉の糊化温度として最適値であると考えられる。
【0013】
また、前記アスコルビン酸処理液が、アスコルビン酸を1〜5%含有するものである場合、色調の改善効果が発揮され、かつ、紫いもが固くなりすぎないことから好ましいことが実験的に見いだされている。また、このときの前記前処理行程時間としては1〜3時間が最適である。
また、前記蒸煮工程が、加熱水蒸気による場合、1〜3時間加熱水蒸気に晒すものであることが好ましい。尚、ここで、加熱水蒸気というものは、水の沸騰によって発生する水蒸気を指し、常圧では100℃の水蒸気をいう。
また、前記乾燥工程は、室温以下の冷暗所で2〜4日間行うことが好ましく、具体的には12℃、RH20%程度の屋内に3日程度乾燥させることが好ましい。
これらの処理により紫いもは特に蒸切干に加工される際に、変色がおきにくくかつ、硬度もあまり高くならないので、蒸切干紫いもとして高い品質のものを提供できることになる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
本発明の紫いもの加工方法は、図1に示す手順で行われる。
まず、収穫されたパープルスイートロードのいもを洗浄し、剥皮、切断する。切断は、紫いもの両端部を除去したものを縦方向にスライスした。
スライスされた紫いもは、アスコルビン酸処理液に、管理温度75℃で2時間浸漬される(前処理行程)。
前記アスコルビン酸処理液としては、2g/Lのアスコルビン酸を含有する水溶液を用いた。
【0015】
前記アスコルビン酸処理液から取り出された紫いものスライスは、蒸し器に移され、加熱水蒸気により2時間蒸煮される(蒸煮工程)。
【0016】
蒸煮された紫いものスライスは、冷暗所(12℃、20%RHの屋内)で乾燥させられ、蒸切干紫いもの製品とされる(乾燥工程)。
【0017】
その結果得られた蒸切干紫いもは、図2に示すように鮮やかな紫色の色調が維持されたものとなり、前記前処理行程におけるアスコルビン酸処理を行わなかったものに比べきわめて商品価値の高いものが得られることがわかった。
【0018】
【実施例】
以下に本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
上述の実施の形態における紫いも種としてパープルスイートロードの他に、種子島紫、九州139号を用い、前記前処理行程のアスコルビン酸処理温度を種々変化させた実験を行った。その結果得られた蒸切干紫いもの性状を表1に示す。尚、ここでのべた条件以外は上述の実施の形態のものと同じである。
【0019】
【表1】
(注)色調・硬度は無処理のものとの差で示している。
【0020】
表1中の色調はハンター色差計により測定した。Lは明度、aは赤色度、bは黄色度を示す。また、硬度は、6mm径の円柱が表面を貫入するときの力(単位N)を測定した。表1より、パープルスイートロードでは、蒸切干の明度では差は無いものの、赤色度は75℃で効果が大きい。また、種子島紫では、明度および赤色度の改善効果が75℃で大きいことがわかる。また、九州139号では、明度の改善効果が75℃で大きく、85℃での赤色度の改善効果も大きいが、総合的に考えると明度の改善から75℃の方が有利と考えられる。
3材料の平均で見ると、明度および赤色度とも、75℃での効果が大きく、従って、色調は75℃の処理で改善効果が大きいといえ、糊化温度近傍における前処理が最も好ましいことがわかる。
【0021】
次に、アスコルビン酸処理を行う場合のアスコルビン酸濃度を種々変更して実験を行った。その結果得られた蒸切干紫いもの性状を表2に示す。尚、ここでのべた条件以外は上述の実施の形態のものと同じである。
【0022】
【表2】
【0023】
表2より、いずれの紫いもの場合であっても、アスコルビン酸濃度の増加に伴って蒸切干の硬度が高くなる傾向にあることが読みとれ、特に種子島紫の場合を見ると、5g/L以下程度が好適であることがわかる。また、アスコルビン酸は1g/L程度で色調の変化等に影響を与えていることがわかる。つまり、紫いもに対するアスコルビン酸処理の際の濃度は1〜5g/Lが好ましいことがわかる。
【図面の簡単な説明】
【図1】紫いも加工方法の手順を示す図
【図2】蒸切干紫いもの形態を示す図
Claims (5)
- 紫いもに含まれる澱粉の糊化温度近傍で、前記紫いもをアスコルビン酸処理液に浸漬処理する前処理行程を行った後、
前記前処理行程を経た紫いもを、蒸煮する蒸煮工程を行い、
その蒸煮された紫いもを乾燥する乾燥工程を行う紫いもの加工方法。 - 前記紫いもが、パープルスイートロード、種子島紫、九州139号から選ばれる少なくとも一種のものであり、前記前処理行程が71℃〜77℃で行われる請求項1記載の紫いもの加工方法。
- 前記アスコルビン酸処理液が、アスコルビン酸を1〜5%含有するものであり、前記前処理行程を1〜3時間行う請求項1記載の紫いもの加工方法。
- 前記蒸煮工程が、加熱水蒸気に1〜3時間晒すものである請求項1記載の紫いもの加工方法。
- 前記乾燥工程が、室温以下の冷暗所で2〜4日間行われる請求項1記載の紫いもの加工方法。
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