JP3670421B2 - 建造物除震構造およびその構築方法 - Google Patents

建造物除震構造およびその構築方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、重構造物やビルなどの建造物に作用する地震の振動・揺れ等の影響を軽減するのに好適な建造物除震構造およびその構築方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、高層ビルや重構造物などの建造物は、建造物の自重、あるいは地震などの外力により、建造物が沈下したり、あるいは傾斜する等の不都合を回避するため、岩盤等の充分に堅い地質からなる支持層上に建造される。
【0003】
この場合、建造物の建設予定地において、その支持層が地表から比較的浅い位置に存在するときには、その支持層の上層に堆積している土壌等を取り除いて、建造物の最下部を構成する基礎部分が、直接にその支持層に当接されて建造され、このような構造を有する基礎は、「直接基礎」と呼ばれている(図5参照)。
【0004】
一方、その支持層が、地表から相当深い位置に存在するときには、適宜な長さを有する基礎杭が、地表から支持層内に到達するまで打ち込まれ、その基礎杭の上部位置に基礎部分が建造され、基礎部分が基礎杭を介して支持層に支持される構造が採用され、このような構造の基礎は、「杭基礎」と呼ばれている(図1参照)。
【0005】
また、これらの建造物においては、地震の際に作用する振動・揺れなどの影響をできるだけ減少させ、建造物の崩壊、あるいはそれに伴う災害等を極力回避することが重要な課題となる。
この場合、単に支持層上に建造物を建造するだけではなく、地震の影響を減少させるための手段を別途備える必要がある。
そして、その手段としては、以下に示された(a)、(b)、(c)、および項目(d)に挙げられた手段が一般的に知られている。
【0006】
(a)建造物本体の構造自体が、地震に対して耐久力のある強固で頑丈な構造となっている。
(b)建造物の最下部を支える基礎部分の構造が地震に対して耐久力のある強固で頑丈な構造になっている。
(c)建造物本体の構造が、いわゆる柔構造とされ、地震の際に作用する外力に対して建造物本体が逆らわずに追従して動く(逃げる)構造になっている。
(d)建造物と基礎部分との間に、地震から受ける外力を吸収可能な装置を介在させ、その装置は免震装置あるいは制震装置といわれる特殊な装置である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記(a )および(b )に示された手段では、建造物の構造自体の強度および耐久性を向上させる設計が必要であるとともに、場合によっては、構造物を構成する材料自体も耐久性のあるものを選択する必要があるので、従来の建造物に比べて、その建造コストがかなりの割合で高くなるという問題がある。
【0008】
また、前記(c )に示された手段では、建造物本体が特殊な設計となるため、設計費用が高くなり、また特殊な構造であるため、建造作業に手間が掛かるなど、建造コストの割高は回避しえないという問題がある。
【0009】
さらに、前記(d )に示された手段では、免震装置や制震装置といった特殊な装置の設置が必要となるとともに、これらの免震装置や制震装置を介在させるために、建造物自体や基礎部分の設計変更を行う必要が生ずる場合があり、建造コストが高くなるという問題がある。
【0010】
本発明の目的は、上記のような問題点を排除した建造物除震構造およびその構築方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
前記目的は、支持層面に対して直接または基礎杭を介して当接される耐圧板状コンクリート部材と、突出部を有する所要数の基礎基部と、前記基礎基部を収容するための前記耐圧板状コンクリート部材に形成された有底穴と、前記有底穴に挿入・載置された前記基礎基部を前記有底穴内に保持するストッパーと、壁部に形成された有底穴に達する空室内に収容されたオイルジャッキと、前記有底穴と前記基礎基部とが対向する間隙内に配置され、前記基礎基部を水平方向へ滑動させることのできる材料で形成された滑動用部材とからなることを特徴とする建造物除震構造によって達成される。
【0012】
そして、前記請求項1に記載の建造物除震構造の実施の形態としては、前記基礎基部の周側面と前記有底穴の側壁とが対向する間隙に、発泡材料からなるクッション部材を介在させる構成が好適である。
【0013】
また、前記目的は、突出部を有する基礎基部を挿入可能に開口された有底穴が形成された耐圧板状コンクリート部材を支持層面に対して直接または基礎杭を介して当接形成し、壁部に形成された有底穴の底面に達する空室内にオイルジャッキを収容する第1工程と、前記有底穴と前記基礎基部とが対向する間隙内に、該基礎基部を水平方向へ滑動させることのできる材料で形成された滑動用部材を介在させて、前記基礎基部を前記有底穴内に挿入し、オイルジャッキにより基礎基部を所定位置に滑動させ、ストッパーにより保持する第2工程とからなることを特徴とする建造物除震構造の構築方法によって達成される。
【0014】
そして、前記請求項3に記載の建造物除震構造の構築方法の実施の形態としては、前記有底穴の内側壁と前記基礎基部の外周側面と対向する間隙に、発泡材料で形成からなるクッション部材を配設させる構成が好適である。
【0015】
前記請求項1に記載の建造物除震構造では、前記有底穴の側壁と、前記基礎基部の側面とが、互いに所望間隔の間隙で設置されているとともに、前記有底穴の底面と前記基礎基部とが対向当接する間隙に前記滑動用部材を介在させている。
【0016】
従って、地震等の外力が建造物に加わった場合、その外力が前記基礎突出部を介して前記基礎基部に伝達されると、該基礎基部は前記有底穴内で水平方向へ滑動可能となる結果、その外力を前記基礎基部の滑動動作に対応する割合で除去することができる。
【0017】
そして、上記請求項2に記載の建造物除震構造では、前記基礎基部が前記有底穴内で水平方向へ滑動することが可能となるとともに、前記クッション部材により、前記有底穴の側壁と、前記基礎基部の側面とが、直接衝突することがなく、かつ前記基礎基部は緩やかな速度で前記側壁方向へ滑動することが可能となるので、その外力を前記基礎基部の滑動動作に対応する割合で除去することが一層適確に行われる。
【0018】
また、上記請求項3に記載の建造物除震構造の構築方法では、前記有底穴の側壁と、前記基礎基部の側面とが、互いに所望間隔の間隙を介して対向されているとともに、前記有底穴の内定面と前記基礎基部とが対向する間隙に前記滑動用部材介在されている。
【0019】
従って、地震等の外力が建造物に加わった場合、その外力が前記基礎突出部を介して前記基礎基部に伝達されると、該基礎基部は前記有底穴内で水平方向へ滑動する結果、その外力を前記基礎基部の滑動動作に対応する割合で除去することができる。
【0020】
そして、上記請求項4に記載の建造物除震構造の構築方法では、前記基礎基部が前記有底穴内で水平方向へ滑動することが可能となるとともに、前記クッション部材により、前記有底穴の側壁と前記基礎基部の側面とが、互いに直接衝突することがなく、かつ前記基礎基部は緩やかな速度で前記内側壁方向へ滑動することが可能となるので、その外力を前記基礎基部の滑動動作に対応する割合で除去することが一層的確に行われる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る建造物除震構造およびその構築方法の好適な実施の形態を図面に基づいて説明する。
そこで、まず、本発明に係る建造物除震構造について説明すると、図1からわかるように、この実施形態における建造物除震構造1では、複数の基礎杭3が比較的軟質の土壌層10を貫通する長さに設定されて土中に打ち込まれている。
【0022】
また、各々の基礎杭3の最下部位置部分は、建造物20を支えるのに充分な堅さを有する岩盤等の支持層30内に打ち込まれて固定されている。そして、基礎杭3の最上部分には、耐圧板状コンクリート部材5が設けられているとともに、このコンクリート部材5上に建造物20の基礎部材7が設けられており、この構成により建造物除震構造1は、いわゆる杭基礎構造で構築されている。図1では、耐圧板状コンクリート部材5が全部の基礎杭3の上に設置されているが、基礎杭を幾つかのブロックに区分して、各区分毎に耐圧板状コンクリート部材を設けてもよい。
【0023】
そのコンクリート部材5には、図1、および図1におけるI-I 線断面図を示す図2からわかるように、各々の基礎部材7が位置決めされる有底穴9が複数設けられている。この場合、基礎部材7は四角柱状の基礎基部11を有し、その基礎基部11の側面は任意の多角形、例えば正方形である。
また、基礎基部11には建造物20を支持する突出部13が設けられており、この突出部13の突出端部に建造物20の最下面が当接している。
なお、突出部13の断面形状は、正四角形状、円形状等、耐久力などに対応させて、適宜選択することができる。
【0024】
そして、有底穴9は、コンクリート部材5に4つの壁部15、15、15、15を立設することにより形成されいる。従って、この実施の形態では、壁部15の内側壁が有底穴9の内側壁を構成している。
【0025】
また、壁部15の内側壁と基礎基部11の外周側面との対向部分には、所望間隔(例えば、約50〜100mm)の間隙17が形成されるように、内側壁の周縁部の大きさは外周側面の周縁部の大きさりも大きく設定されている。さらに、後述する滑動用部材23を配設するために、すなわち有底穴9の深さは基礎基部11の厚さよりも大きい値に設定されている。
【0026】
なお、この実施形態では、有底穴9の底面は、その高さ位置が、コンクリート部材5の上面位置となるように設定されているが、底面がコンクリート部材5の上面の高さ位置よりも高くなる位置、あるいは低くなる位置に設定されることも可能である。
【0027】
そして、図2、および図2におけるIII-III 線断面図を示す図3からわかるように、各壁部15には、有底穴9の底面に達する4つの空室19、19、19、19が形成されており、これらの空内には、それぞれオイルジャッキ40、40、40、40が収容されている。
【0028】
そして、オイルジャッキ40の可動部40A の突出端部は、基礎基部11の側面と当接して、基礎基部11を有底穴9内で滑動させることができるように、ジャッキブース40が位置決めされて空19内に収容されている。
【0029】
この、オイルジャッキ40は、基礎基部11を有底孔9内に位置決めする場合に使用される。例えば、建造物20の建造作業の際に有底孔9内の所定位置に基礎基部11を滑動させる場合、あるいは、地震等の外力で基礎基部11が滑動して所定位置から外れて移動した際に基礎基部11を元の位置に戻す場合等に使用される。
【0030】
ここで、図1、図2、および図1におけるA部拡大図を示す図4からわかるように、基礎基部11の下面と有底穴9の底面とが対向する部分には滑動用部材23が介在されている。
この滑動用部材23は、例えばテフロン等の摩擦係数の低い材料から形成された板状体であり、
基礎基部11が有底穴9内で滑動するときに、その滑動動作をスムーズに行なわせるために配設されている。
【0031】
所望により、基礎基部11の上面には、滑動用部材23と同様な材料で形成され、かつ滑動用部材23と同様の機能を有する滑動用部材を介在させて、基礎基部が地震時に上昇するのを防止するためのストッパー(アップリフト止め)27を当接させることができる。
【0032】
一方、側壁15には、コンクリート部材5の内部には、U字状先端部を有するアンカーボルト31が埋設されており、このアンカーボルト31の突出部分はストッパー27に形成された固定孔に挿通されている。
また、アンカーボルト31の挿通突出部分にナット部材33を螺合することにより、ストッパー27が側壁15に固定される。その結果、地震等の外力が作用しない状態においては、基礎部材7が所定位置に位置決めされた状態で保持される。
【0033】
さらに、この実施形態では、壁部15の内側面15A と基礎基部11との間隙17には、発泡材料からなるクッション部材35が配設されているが、このクッション部材35が配設されない構成も可能である。
【0034】
以上のように構成された建造物除震構造1では、建造物20に地震等の外力が作用すると、その建造物20を支えている基礎部材7の基礎基部11が、有底孔9内で水平方向へ滑動する。従って、外力が建造物20に与える影響が、基礎基部11の滑動動作に対応する割合で除去されるので、これにより、建造物20に対して除震をすることができる。
【0035】
以上説明したように、この実施形態では、有底穴9の内側壁となる壁部15の側壁と、基礎基部11の側面とが、所望間隔の間隙17を介して対向されている。また、有底穴9の底面と基礎基部11の下面とが対向する間隙に滑動用部材23が配設されるとともに、固定部材27と基礎基部11とが対向する間隙にも滑動用部材25が介在されている。
【0036】
従って、地震等の外力が建造物20に加わった場合、その外力が基礎突出部13を介して基礎基部11に伝達されると、基礎基部11は有底穴9内で水平方向へ滑動する結果、その外力が基礎基部11の滑動動作に対応する割合で除去される。
すなわち、従来の基礎構造の一部を設計変更するだけで除震が行えるので、建造物20全体の建造コストを下げることが可能となる。
【0037】
また、クッション部材35により、有底穴9の側壁と、基礎基部11の側面とが、互いに直接衝突することがなく、かつ基礎基部11はクッション材35を圧縮しつつ緩やかな速度で側壁方向へ滑動可能となる。
従って、基礎基部11の滑動距離が間隙17の間隔を越えるような地震が到来した場合等においても、有底穴9の側壁と基礎基部11とが早い速度で衝突することによる不都合を回避して、地震等の外力をより的確に除去することが可能となり、除震効果をさらに向上させることができるという利点がある。
【0038】
なお、本発明に係る建造物除震構造は、上記実施の形態における「杭基礎」構造とされた基礎構造の他、図5に示された「直接基礎」構造の建造物20に対しても適用することができる。
この場合、基礎杭3が打ち込まれず、支持層30の上層にある土壌10が取り除かれて、コンクリート部材5は、その支持層30上に直接形成されるが、その他の構成は、図1に示された「杭基礎」構造の場合と同様である。
【0039】
従って、図5中、図1中と同一構成部分には同一符号を付し、その説明は省略する。
そして、その「直接基礎」構造の場合においても、上記実施形態と同様、建造物20の建造コストを下げることが可能となるとともに、クッション部材35が配設される構成を採用することにより、除震効果がさらに向上されるという利点をも有する。
【0040】
次に、本発明に係る建造物除震構造の構築方法の好適な実施形態を、図1、図2、図3、および図4を参照して説明する。
この実施形態では、図1に示された建造物除震構造1が構築される。まず、基礎杭3が軟質土壌10を貫いて岩盤等の支持層30内まで打ち込まれる。また、基礎部材7は予め工場等で製造されて作業現場に準備される。
【0041】
第1工程では、図3および図4からわかるように、底面と側壁とを有する有底穴9を形成するため、コンクリート部材5に壁部15およびオイルジャッキ40を収容するための空19が形成される。
【0042】
コンクリート部材5を形成する際に、固定部材27を固定させるためのアンカーボルト31は、そのU字状先端部分から適宜な範囲にわたってコンクリート部材5中に埋設固定される。そして、コンクリート部材5と壁部15とが一体に形成される場合、アンカーボルト31は壁部15から適宜長さ突出させた状態で、コンクリート部材5および壁部15内に固定される。
【0043】
次に、有底穴9の底面に上に滑動用部材23を配設するとともに、有底穴9の側壁と基礎基部11の側面とにより形成される間隙17内にクッション材35を配設する。なお、クッション部材35を使用しない構成も可能である。
【0044】
第2工程では、有底穴9の底面上に滑動用部材23を配設し、基礎基部11が有底穴9内に位置決めされて載置される。
この場合、図2からわかるように、有底穴9内に基礎基部11を載置した後、オイルジャッキ40により基礎基部11を所定位置に滑動させ、所定位置に基礎基部11を保持する。
【0045】
さらに、ストッパー27を、滑動用部材25をを介して基礎基部11に当接するとともに、アンカーボルト31の突出部分をストッパー27の固定孔に挿通させて突出したアンカーボルト31に、ナット部材33が螺合・締結されることにより、基礎基部11を位置決めされた状態で有底穴9内に固定する。
【0046】
以上説明したように、この実施形態では、有底穴9の壁部15の側壁と、基礎基部11の側面とが所望間隔の間隙17を介して対向している。また、有底穴9の底面と基礎基部11の下面とが対向する間隙内に滑動用部材23を配設するとともに、ストッパー27と基礎基部11とが対向する間隙にも滑動用部材25を介在させることができる。
【0047】
従って、地震等の外力が建造物20に加わった場合、その外力が基礎突出部13を介して基礎基部11に伝達されると、基礎基部11は有底穴9内で水平方向へ滑動する結果、その外力が基礎基部11の滑動動作に対応する割合で除去される。
すなわち、従来の基礎構造の一部を設計変更するだけで除震が行えるので、建造物20全体の建造コストを下げることが可能となる。
【0048】
また、クッション部材35により、有底穴9側壁と、基礎基部11の側面とが直接衝突することがなく、かつ基礎基部11はクッション材35を圧縮しつつ、緩やかな速度で側壁方向へ滑動することができる。
【0049】
従って、基礎基部11の滑動距離が間隙17の間隔を越えるような地震が到来した場合等においても、有底穴9の側壁と基礎基部11とが早い速度で衝突することによる不都合を回避して、地震等の外力をより的確に除去することが可能となり、除震効果をさらに向上させることができるという利点がある。
【0050】
なお、本発明に係る建造物除震構造の構築方法は、上記実施形態における「杭基礎」構造とされた基礎構造の他、図5に示された「直接基礎」構造の建造物20に対しても適用することができる。
この場合、基礎杭3が打ち込まれず、支持層30の上層にある土壌10が取り除かれて、コンクリート部材5はその支持層30上に直接形成される他は、図1に示された「杭基礎」構造の場合と同様の工程で行われる。
【0051】
そして、その「直接基礎」構造の場合においても、建造物除震構造の構築方法の上記実施の形態と同様に、建造物20の建造コストを下げることが可能となるとともに、クッション部材35が配設される構成を採用することにより、除震効果がさらに向上されるという利点をも有する。
【0052】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、前記請求項1に記載の建造物除震構造では、有底穴の側壁と、基礎基部の側面とが、所望間隔の間隙を介して対向しているとともに、有底穴の底面と基礎基部とが対向する間隙、および所望により固定部材と基礎基部とが対向する間隙に各々前記滑動用部材介在させることができる。
【0053】
従って、地震等の外力が建造物に加わった場合、その外力が基礎突出部を介して基礎基部に伝達されると、該基礎基部は有底穴内で水平方向に滑動する結果、その外力が基礎基部の滑動動作に対応する割合で除去される。 すなわち、従来の基礎構造の一部を設計変更するだけで除震が行えるので、建造物全体の建造コストを下げることが可能となる。
【0054】
そして、上記請求項2に記載の建造物除震構造では、基礎基部が有底穴内で水平方向に滑動することが可能となり、従来の基礎構造の一部を設計変更するだけで除震が行えるので、建造物全体の建造コストを下げることが可能となる。
【0055】
さらに、クッション部材により、有底穴の側壁と基礎基部の側面とが直接衝突することがなく、かつ基礎基部は緩やかな速度で側壁方向へ滑動可能となるので、前記外力をより的確に除去することが可能となり、除震効果をさらに向上させることができるという効果をも有する。
【0056】
また、上記請求項3に記載の建造物除震構造の構築方法では、有底穴の側壁と基礎基部の側面とが、所望間隔の間隙を介して対向されているとともに、有底穴の底面と基礎基部とが対向する間隙、および固定部材と基礎基部とが対向する間隙に滑動用部材が介在されている。
【0057】
従って、地震等の外力が建造物に加わった場合、その外力が基礎突出部を介して基礎基部に伝達されると、該基礎基部は有底穴内で水平方向に滑動することが可能となり、その外力が基礎基部の滑動動作に対応する割合で除去される。
すなわち、従来の基礎構造の一部を設計変更するだけで除震が行えるので、建造物全体の建造コストを下げることが可能となる。
【0058】
そして、上記請求項4に記載の建造物除震構造の構築方法では、基礎基部が有底穴内で水平方向へ滑動することが可能となり、従来の基礎構造の一部を設計変更するだけで除震が行えるので、建造物全体の建造コストを下げることが可能となる。
【0059】
さらに、クッション部材により、有底穴の側壁と基礎基部の側面とが直接衝突することがなく、かつ基礎基部は緩やかな速度で内側壁方向へ滑動可能となるので、外力の除去をより的確に除去することが可能となり、除震効果をさらに向上させることができるという効果も有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る建造物除震構造の好適な実施の形態における建造物除震構造等を示す全体構成概略図である。
【図2】建造物除震構造を構成する有底穴等の構成を示す説明図である。
【図3】図2におけるIII-III 線断面図であって、オイルジャッキの配設構造等を示す説明図である。
【図4】図1におけるA部拡大図であって、建造物除震構造の要部を示す構成説明図である。
【図5】本発明に係る建造物除震構造が、「直接基礎」構造に適用された場合の全体構成概略図である。
【符号の説明】
1 建造物除震構造
3 基礎杭
5 耐圧板状コンクリート部材
7 基礎部材
9 有底穴
10 軟質土壌層
11 基礎基部
13 基部突出部
15 壁部
17 間隙
20 建造物
23 滑動用部材
19 間隙
30 支持層
27 ストッパー
31 アンカーボルト
33 ナット部材
35 クッション部材
40 オイルジャッキ

Claims (4)

  1. 支持層(30)に対して直接または基礎杭(3)を介して当接される耐圧板状コンクリート部材(5)と、突出部(13)を有する所要数の基礎基部(11)と、前記基礎基部(11)を収容するための前記耐圧板状コンクリート部材(5)に形成された有底穴(9)と、前記有底穴(9)内に挿入・載置された前記基礎基部(11)を前記有底穴(9)内に保持するストッパー(27)と、壁部(15)に形成された有底穴(9)に達する空室内に収容されたオイルジャッキ(40)と、前記有底穴(9)と前記基礎基部(11)とが対向する間隙内に配置され、前記基礎基部(11)を水平方向へ滑動させることのできる材料で形成された滑動用部材(23)とからなることを特徴とする建造物除震構造(1)。
  2. 前記基礎基部(11)の側面と前記有底穴(9)の側壁とが対向する間隙(17)に、発泡材料からなるクッション部材(35)を介在させたことを特徴とする請求項1に記載の建造物除震構造(1)。
  3. 突出部(13)を有する基礎基部(11)を挿入可能に開口された有底穴(9)が形成された耐圧板状コンクリート部材(5)を支持層(30)に対して直接または基礎杭(3)を介して当接形成し、壁部(15)に形成された有底穴(9)の底面に達する空室内にオイルジャッキ(40)を収容する第1工程と、前記有底穴(9)と前記基礎基部(11)とが対向する間隙内に、該基礎基部(11)を水平方向へ滑動させることのできる材料で形成された滑動用部材(23)を介在させて、前記基礎基部(11)を前記有底穴(9)内に挿入し、オイルジャッキ(40)により基礎基部(11)を所定位置に滑動させ、ストッパー(27)により保持する第2工程とからなることを特徴とする建造物除震構造の構築方法。
  4. 前記有底穴(9)の側壁と前記基礎基部(11)の側面とが対向する間隙(17)に、発泡材料からなるクッション部材(35)を配設させることを特徴とする請求項3に記載の建造物除震構造の構築方法。
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