JP3670411B2 - 絞り吊り用ハッカー - Google Patents

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正夫 斉藤
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初雄 津山
太一 中山
勲 百瀬
昇 平田
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イーグルクランプ株式会社
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、板鋼やH鋼等の端部を引っかけてワイヤ等により絞って吊り上げるように用いられる絞り吊り用ハッカーに関する。
【0002】
【従来の技術】
鋼材等の被吊り上げ物を吊り上げ運搬するための吊り具としてのハッカーは公知である。
【0003】
ハッカーは、上記したように、鋼材の端部を爪のようなフック部材で引っかけて使用されるもので、このようなハッカーをたとえばH鋼の張り出し部の両端に複数配置し、これらハッカーの吊環にワイヤを架け渡して上方で絞って吊り上げるものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ハッカーは、絞り吊りを行うものであるため、カムによる押さえ力を利用して被吊り上げ物を吊り上げるクランプとは違って、被吊り上げ物の端部を引っかけて絞るだけなので、吊り上げ運搬中に横滑りを起こす危険性がある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
そこで本発明は、横滑りを防止することのできる新規な構成の絞り吊り用ハッカーを提供することを目的とする。
【0006】
すなわち本発明は、2個を一組として使用して被吊り上げ物の端部を引っ掛けてワイヤ (4) などにより絞り吊りするために用いられる絞り吊り用ハッカーであって、被吊り上げ物の端部を受容可能な開口部(13)を有すると共に第1の長溝(14)を有する本体(10)と、前記本体に対して回動可能に軸支されると共に第2の長溝(22)を有するアーム(20)と、前記第1および第2の長溝を挿通する軸(16)を一端に有することにより前記本体および前記アームに対してそれぞれ相対移動可能に取り付けられると共に他端には前記ワイヤなどを架け渡すための回転自在カラーを有する吊環部材(30)とを有してなり、吊り上げ時に前記吊環部材の軸が前記第1および第2の長溝に沿って移動したときに前記アームの先端部が前記本体の開口部に向けて突出する方向に前記アームが回転するよう付勢されてなることを特徴とする。
【0007】
本発明の好適な態様によれば、無負荷状態では第1および第2の長溝のそれぞれ一端が略整列していて該整列端を吊環部材の軸が挿通しており、該整列端から他端に向かうにつれてこれら第1および第2の長溝が互いに徐々に離れる方向に延長するように形成される。
【0008】
好ましくは、第1の長溝は斜め上方に90度未満の所定傾斜角度に延長し、第2の長溝は第1の長溝の傾斜角度とは異なる傾斜角度に延長している。
【0009】
アームの先端部には、本体の開口部に挿入される被吊り上げ物の端部側面に当接可能な当接部材が設けられることが好ましい。
【0010】
また、吊環部材の軸に両側に平行面を有するカラーを嵌装することができる。この場合、カラーは該平行面が本体の第1の長溝の内側面と面接しながら相対移動可能とされる。
【0011】
【発明の実施の形態】
図1および図2は、本発明の一実施例による絞り吊り用ハッカーを無負荷状態にあるものとして示す。このハッカーは、本体10と、アーム20と、吊環部材30とから構成されている。これら各構成部材は高張力鋼や合金鋼等の強度および耐久性に優れた金属材料で形成される。
【0012】
本体10は、所定の略同一形状を有する一対の本体板11、11が防撓材12を介して所定間隔を置いて溶接一体化されてなる。以下一方の本体板11について説明すると、側方に開口する開口部13を有して略U字形に形成されており、該開口部13に鋼材等の被吊り上げ物の端部が挿入されるようになっている。
【0013】
開口部13の上方において斜め上方に延長する長溝14が形成される。本実施例では、長溝14の傾斜角度は直上に対して約50度とされている。
【0014】
また、開口部13の奥方には、アーム20の基端部に設けられるアームピン21を挿通する挿通孔15が設けられる。
【0015】
アーム20は、一対の本体板11、11の間に挟み込まれて配置され、上記のように、本体10の挿通孔15を挿通するアームピン21を軸として本体10に対して回動可能に軸支されている。
【0016】
アームピン21と反対側の端部近くには斜め上方に延長する長溝22が設けられる。本実施例では、長溝22は、本体10の長溝14と同じ傾斜方向に直上に対して約10度の傾斜角度を有するものとして形成されている。また、本体10の長溝14とアーム20の長溝22は、無負荷時において、それらの下方端同士が略同心状に整列した位置となるように形成されている。
【0017】
アーム20の先端部下面には、このハッカーを絞り吊りに用いたときに、本体10の開口部13内に挿入された被吊り上げ物の端部に当接する当接部材23が溶接等により一体的に設けられる。
【0018】
吊環部材30は、本体板11、11の外側に配置される一対の吊環板31、31を有する。これら吊環板31、31は、それらの一端において、カラー19を嵌装したボルト16が本体10の長溝14とアーム20の長溝22を挿通し、本体板11、11の外側でナット17、17をボルト16の両端に締め付けることにより、本体10に取り付けられる。かくして、吊環部材30は、長溝14に沿って移動可能に本体10に対して取り付けられると共に、ボルト16の長溝14内の移動に伴ってアーム20をアームピン21を軸として回動させるようにアーム20と連結される。
【0019】
なお、カラー19は、図3に示すように、両側に平行面19a、19aを作り、この平行面19a、19aで長溝14の内側面と面接しながら移動するように構成することが好ましい。これにより、移動時の面圧抵抗を減少させることができる。
【0020】
吊環板31、31の他端は本体10の上方に配置され、スペーサ32およびカラー33を介装したボルト34が該他端を挿通し、吊環板31、31の外側でナット35、35をボルト34の両端に締め付けることにより、吊環板31、31が所定間隔をおいて平行に支持され連結固定される。カラー33はスペーサ32の外側を回動自在に設けられる。
【0021】
図4はこのハッカーの無負荷状態と負荷状態とを模式的に示してその作用を説明する図であり、説明に不要な部材は図示省略してある。無負荷状態の各部材はは実線または破線で示される位置にある(図1と同様)。
【0022】
この無負荷状態において本体10の開口部13に被吊り上げ物(図示せず)の端部を挿入して、吊環部材30のカラー33に架けたワイヤ(図示せず)を絞り込むことにより吊環部材30を上方に引き上げる力が加えられると、吊環部材30を本体10に連結しているボルト16が長溝14に沿って斜め上方に移動する。 無負荷状態においては、ボルト16は本体10の長溝14とアーム20の長溝22とが略整列している一端部分を挿通する位置にあるが、これら長溝14、22は該整列端部から他端に向かうにつれて互いに徐々に離れる方向に延長しているため、ボルト16が長溝14の他端に向かって移動しようとするとき、その移動されたボルト16の位置がアーム20の長溝22の開口領域内となるように、アーム20がアームピン21を軸として図4において時計方向に回転する。
【0023】
すなわち、吊環部材30が図4において仮想線で示される吊り上げ位置に移動したとき、これに伴ってアーム20も同図に仮想線で示される位置に回転移動し、その先端部の当接部材23を本体開口部13に向けて突出させる。
【0024】
かくして、開口部13に挿入された被吊り上げ物の端部は、開口部13に向けて突出するよう付勢された当接部材23と、これに対向する本体顎部上面18との間に圧接挟持され、横滑りを生じさせることなく安定した吊り上げを行うことが可能となる。
【0025】
なお、負荷状態において吊環部材30は、図4に仮想線で示される位置にあるボルト16を軸として回転可能であり、これによって様々な引っ張り方向(一例として図5参照)に追従することができる。
【0026】
図5は本発明のハッカーの使用例を示し、H型鋼1の一方の張り出し部2の両端を本発明のハッカーの本体開口部13に挿入し、それらハッカーの吊環部材カラー33にワイヤ4を架け渡して該チェーンを絞り込んだ状態で上方でチェーン(図示せず)に連結し、これをクレーン(図示せず)等で吊り上げて運搬するものである。このような用法によるときは、H型鋼1の長手方向に所定間隔をおいて複数対のハッカーを用いて吊り上げを行う。
【0027】
また、上記実施例によるハッカーは本体10の開口部13の下方域において本体板11、11の間に空間が配されているため、図6に示すように、このハッカーをH型鋼1の長手方向の両端において使用し、ビーム3を本体板11、11間の空間に挿入し、ビーム3上端に一体化されている張り出し部2の周辺領域を本体開口部13に挿入して、前記のようにしてワイヤ4を架け渡して絞って吊り上げることも可能である。
【0028】
図7および図8は本発明の別の実施例による絞り吊り用ハッカーを示す。これらの図は主としてハッカーが無負荷状態にあるものとして示しているが、図7には併せて負荷状態の各部材の位置が仮想線で示されている。
【0029】
このハッカーの本体40は、鋼材等の被吊り上げ物の端部を挿入する開口部41を一側に有して略U字形に形成された1枚の本体板42からなり、該開口部41に臨む部分には幅広の支持部材43が設けられている。
【0030】
開口部41の上方において斜め上方に延長する長溝44が形成される。本実施例では、長溝44の傾斜角度は直上に対して約30度とされている。
【0031】
また、開口部43の奥方には、アーム(アーム板50、50)の基端部に設けられるアームピン51を挿通する挿通孔45が設けられる。
【0032】
本体板41を挟んで両側に一対のアーム板50、50が配置されている。以下一方のアーム板50について説明する。
【0033】
アーム板50は、上記のように、本体板41の挿通孔45を挿通するアームピン51を軸として本体40に対して回動可能に軸支されている。
【0034】
アームピン51と反対側の端部近くには垂直に延長する長溝52が設けられる。長溝52は本体板41の長溝44とは、無負荷時においてそれらの下方端同士が略同心状に整列した位置となるように形成されている。
【0035】
アーム板50の先端部下面には、このハッカーを絞り吊りに用いたときに、本体40の開口部41内に挿入された被吊り上げ物の端部に当接する当接部材53が溶接等により一体的に設けられる。当接部材53は、本体板41の支持部材43と共働して被吊り上げ物を圧接挟持して支持する。
【0036】
吊環部材60は、アーム板50、50の外側に配置される一対の吊環板61、61を有する。これら吊環板61、61は、それらの一端において、ボルト46が本体41の長溝44とアーム板50の長溝52を挿通し、アーム板50、50の外側でナット47、47をボルト46の両端に締め付けることにより取り付けられる。かくして、吊環部材60は、長溝44に沿って移動可能に本体40に対して取り付けられると共に、ボルト46の長溝44内の移動に伴ってアーム板50をアームピン51を軸として回動させるようにアーム板50と連結される。
【0037】
吊環板61、61の他端は本体40の上方に配置され、回動自在のカラー62を介装したボルト63が該他端を挿通し、吊環板61、61の外側でナット64、64をボルト63の両端に締め付けることにより、吊環板61、61が所定間隔をおいて平行に支持され連結固定される。
【0038】
この実施例によるハッカーの作用は、前述の実施例におけると略同様である。すなわち、無負荷状態において本体40の開口部41に被吊り上げ物(図示せず)の端部を挿入して、吊環部材60のカラー62に架けたワイヤ(図示せず)を絞り込んで吊環部材60を上方に引き上げる力を加えると、ボルト46が本体40の長溝44内を移動し、これに伴って、同じボルト46を挿通している長溝52を有するアーム板50がアームピン51を軸として図7において時計方向に回転する。かくして、アーム板50および吊環部材60は図7に仮想線で示す位置に移動し、被吊り上げ物を支持部材43と当接部材53との間に圧接挟持する。
【0039】
図示されないが、当接部材53の表面には必要に応じてプラスチックやゴム等の緩衝材を張り付けることができる。当接部材53の表面に緩衝材を設けることは、本発明の絞り吊り用ハッカーを鋼材以外の比較的軟質な吊荷を吊り上げることに使用する場合に特に好適である。
【0040】
【発明の効果】
本発明の絞り吊り用ハッカーによれば、吊り上げ時の自重により本体開口部内に挿入された被吊り上げ物の端部を圧接挟持する力が作用するため、横滑りを防止して、安定した吊り上げを行うことができる。
【0041】
また、本体およびアームに形成される長溝の相対角度を変えることによって吊荷に対する押さえ力を容易に調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例によるハッカーの構成を示す正面図である。
【図2】このハッカーの側面図である。
【図3】このハッカーにおけるボルト装着カラーと本体長溝との位置関係を示す拡大説明図である。
【図4】このハッカーの無負荷状態と負荷状態を比較して示す説明図である。
【図5】このハッカーの使用例を示す説明図である。
【図6】このハッカーの他の使用例を示す説明図である。
【図7】本発明の別の実施例によるハッカーの構成を示す正面図である。
【図8】このハッカーの側面図である。
【符号の説明】
10 本体
11 本体板
13 開口部
14 長溝
16 ボルト
17 ナット
20 アーム
21 アームピン
22 長溝
23 当接部材
30 吊環部材
31 吊環板
32 スペーサ
33 カラー
34 ボルト
35 ナット

Claims (8)

  1. 2個を一組として使用して被吊り上げ物の端部を引っ掛けてワイヤ (4) などにより絞り吊りするために用いられる絞り吊り用ハッカーであって、被吊り上げ物の端部を受容可能な開口部(13)を有すると共に第1の長溝(14)を有する本体(10)と、前記本体に対して回動可能に軸支されると共に第2の長溝(22)を有するアーム(20)と、前記第1および第2の長溝を挿通する軸(16)を一端に有することにより前記本体および前記アームに対してそれぞれ相対移動可能に取り付けられると共に他端には前記ワイヤなどを架け渡すための回転自在カラーを有する吊環部材(30)とを有してなり、吊り上げ時に前記吊環部材の軸が前記第1および第2の長溝に沿って移動したときに前記アームの先端部が前記本体の開口部に向けて突出する方向に前記アームが回転するよう付勢されてなることを特徴とする絞り吊り用ハッカー。
  2. 無負荷状態では前記第1および第2の長溝のそれぞれ一端が略整列していて該整列端を前記吊環部材の軸が挿通しており、該整列端から他端に向かうにつれてこれら第1および第2の長溝が互いに徐々に離れる方向に延長するように形成されることを特徴とする請求項1の絞り吊り用ハッカー。
  3. 前記第1の長溝は斜め上方に90度未満の傾斜角度に延長し、前記第2の長溝は前記第1の長溝とは異なる傾斜角度に延長していることを特徴とする請求項2の絞り吊り用ハッカー。
  4. 前記アームの先端部には前記本体の開口部に挿入される被吊り上げ物の端部側面に当接可能な当接部材が設けられることを特徴とする請求項1の絞り吊り用ハッカー。
  5. 前記当接部材の表面に緩衝材が設けられることを特徴とする請求項4の絞り吊り用ハッカー。
  6. 前記吊環部材の軸に両側に平行面を有するカラーが嵌装され、前記カラーは前記平行面が前記第1の長溝の内側面と面接しながら相対移動可能とされていることを特徴とする請求項1の絞り吊り用ハッカー。
  7. 前記本体が一対の本体板よりなると共に前記吊環部材が一対の吊環板よりなるものにおいて、前記アームの両側に前記一対の本体板が配置され、さらにその外側に前記一対の吊環板が配置されることを特徴とする請求項1の絞り吊り用ハッカー。
  8. 前記アームが一対のアーム板よりなると共に前記吊環部材が一対の吊環板よりなるものにおいて、前記本体の両側に前記一対のアーム板が配置され、さらにその外側に前記一対の吊環板が配置されることを特徴とする請求項1の絞り吊り用ハッカー。
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