JP3669871B2 - 椅子 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、後部に背当部が取付けられたフレームと座部とを原動機によってそれぞれ別々に回動させるようにした椅子に関し、より詳しくは、フレーム及び座部を後側ほど低くなるように傾斜させたり、フレームを略水平に保ちつつ座部のみを後側ほど高くなるように傾斜させたりすることのできる椅子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、座部及び背当部の傾きを自動的に調整できるようにした椅子が知られている。このタイプの椅子では、基台の前部に対し、フレームの前部が軸により回動可能に支持されている。フレームの上部には座部が装着され、後部には背当部が取付けられており、フレームが回動すると、座部及び背当部がフレームと一体となって作動する。動力源として、可動部材と、その可動部材を往復動させる駆動部とからなる原動機が用いられている。原動機においては、駆動部が基台に支持され、可動部材が伝達機構を介してフレーム部に連結されている。この椅子によれば、利用者のスイッチ操作に応じて原動機が作動し、駆動部に対し可動部材が入り込んだり、突出したりする。可動部材の動きは伝達機構を通じてフレームに伝達され、そのフレームが軸を支点として回動し、略水平になったり、後側ほど低くなるような傾斜状態になったりする。この傾斜状態では、背当部も後方へ倒れるため、利用者は楽な姿勢を採ることができる。
【0003】
さらに、近年ではフレームと座部とを分離し、これらを別々に回動させるようにした椅子も種々提案され、また実用化もされている。このタイプでは、前述した椅子の機能に加え、フレームを略水平に保ちつつ、座部のみを回動させて後側ほど高い傾斜状態にする機能も有する。この椅子は、利用者が自力のみでは立上がることの困難な者であっても、座部を傾斜状態にすることで臀部を押上げ、もって利用者が立上がる際の補助をしようとするものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前述した後者の椅子では、単にフレームが座部と一体となって回動する前者の椅子とは異なり、フレームが略水平を維持しつつ座部のみが後側ほど高くなるという動作が加わり、結果として、フレーム及び座部が複雑な動作を行う。これに対し、新たな動作に関しては、別の原動機及び伝達機構を付加することで対処しているのが実情である。ところが、この対策では、フレーム及び座部が所望の動作をする反面、1つの椅子に2つの原動機が用いられることとなり、椅子全体の大型化、重量増加、コスト上昇が避けられないという問題がある。
【0005】
そこで、本発明の課題は、小型化、重量軽減、コスト低減等を図りつつ、複数の原動機を用いた場合と同様の複雑な動作を、フレーム及び座部に行わせることのできる椅子を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の第1の発明は、基台に回動可能に支持され、かつ後部に背当部が取付けられたフレームと、前記フレームに回動可能に支持された座部と、可動部材を有するとともに、その可動部材をスイッチ操作に応じて往復動させ、かつ所定の位置で停止させるための駆動部を有する1つの原動機と、前記可動部材の動きを前記フレーム及び前記座部に伝達することにより、前記駆動部からの可動部材の突出長さに応じ、前記フレーム及び座部がともに略水平になる基準状態と、フレーム及び座部がともに後側ほど低くなる第1傾斜状態と、フレームが略水平となり、かつ座部が後側ほど高くなる第2傾斜状態とのいずれかの状態にする第1伝達機構とを備えている。
【0007】
上記第1の発明においては、利用者によりスイッチ操作が行われると、原動機の駆動部が作動して可動部材が往復動する。可動部材の動きは第1伝達機構によりフレーム及び座部に伝達される。そして、可動部材の駆動部からの突出長さに応じ、フレーム及び座部が回動又は停止し、基準状態、第1傾斜状態及び第2傾斜状態のいずれかの状態となる。基準状態では、フレーム及び座部がともに略水平となる。第1傾斜状態ではフレーム及び座部がともに後側ほど低くなる。また、第2傾斜状態ではフレームが略水平となり、かつ座部が後側ほど高くなる。このように、用いている原動機の数は1つであるが、フレーム及び座部は複数の原動機を用いた場合と同様にして、前記3つの状態のうちのいずれかの状態にされる。
【0008】
請求項2に記載の第2の発明は、第1の発明の構成に加え、前記第1伝達機構は、前記第1傾斜状態から第2傾斜状態への切替え時、又は第2傾斜状態から第1傾斜状態への切替え時に前記基準状態を経由させ、かつその基準状態中に前記切替えの準備を行う切替え準備機構を含んでいる。
【0009】
上記第2の発明によると、第1伝達機構により、フレーム及び座部の状態が第1傾斜状態から第2傾斜状態へ切替えられる際、又は第2傾斜状態から第1傾斜状態へ切替えられる際には、基準状態を経由させられる。そして、この基準状態中には、切替え準備機構により状態切替えの準備が集中して行われる。すなわち、第1傾斜状態から第2傾斜状態への切替えの際には、フレームが略水平に保持され、座部のみが回動可能にされる。また、第2傾斜状態から第1傾斜状態への切替えの際には、フレーム及び座部が一体回動可能にされる。
【0010】
請求項3に記載の第3の発明は、第2の発明の構成に加え、前記切替え準備機構は、前記第2傾斜状態から基準状態への移行時に前記座部を前記フレームに係止し始め、基準状態から第2傾斜状態への移行時に前記係止を解除する座部係止機構と、前記第1傾斜状態から基準状態への移行時に前記フレームを略水平に保持し始め、基準状態から第1傾斜状態への移行時に前記保持を解除するフレーム保持機構とを含んでいる。
【0011】
上記第3の発明によると、第2傾斜状態から第1傾斜状態への切替えに際し、同第2傾斜状態から基準状態へ移行するとき、座部係止機構により座部がフレームに係止され始める。基準状態から第1傾斜状態へ移行するとき、フレーム保持機構によるフレームの略水平保持が解除される。このため、第1傾斜状態では、座部が係止されたフレームが一体回動可能となる。前記とは逆に、第1傾斜状態から第2傾斜状態への切替えに際し、同第1傾斜状態から基準状態へ移行するとき、フレーム保持機構によりフレームが略水平に保持され始める。基準状態から第2傾斜状態へ移行するとき、座部係止機構による座部の係止が解除される。このため、第2傾斜状態では、フレームが略水平に保持され、座部のみが回動可能となる。
【0012】
請求項4に記載の第4の発明は、第3の発明の構成に加え、前記第1伝達機構は、前記基台に回動可能に支持された支軸と、前記支軸に一体回動可能に取付けられた第1リンクと、前記第1リンク及び前記フレームを連結する第2リンクと、前記支軸に一体回動可能に取付けられ、かつ前記原動機を介して前記座部に連結された第3リンクとを含み、原動機の伸縮にともなう第3リンクの回動により、第1リンク及び第2リンクを屈伸させてフレームを回動させるものであり、前記座部係止機構は、前記フレームに支持された鉤部材と、前記鉤部材を前記座部に係止させる方向へ付勢する第1付勢部材と、前記第1リンクの回動にともない前記鉤部材を前記第1付勢部材に抗して回動させて座部から離脱させる係止解除部材とを含んでいる。
【0013】
上記第4の発明によると、第2傾斜状態から第1傾斜状態への切替えに際し、同第2傾斜状態から基準状態へ移行するとき、フレームに支持され、かつ第1付勢部材によって付勢された鉤部材が座部に係止される。すなわち、座部は鉤部材を介してフレームに係止される。このようにして座部係止機構による座部のフレームに対する係止が開始される。
【0014】
第1傾斜状態中には、原動機の可動部材の往復動が第3リンク、支軸、第1リンク、第2リンク及びフレームに伝達される。この伝達により、第3リンク及び第1リンクが同一方向へ回動し、第1リンク及び第2リンクが屈伸する。この屈伸により、フレームにはこれを引下げようとする力又は押上げようとする力が働き、同フレームが回動する。このときには、上述したように座部がフレームに係止されているため、座部はフレームと一体で回動する。そして、第1傾斜状態が終了し、基準状態から第2傾斜状態へ移行するとき、第1リンクの回動にともなって移動した係止解除部材が鉤部材を押圧する。この押圧により鉤部材が第1付勢部材に抗して回動させられ座部から離脱する。この離脱により座部のフレームに対する係止状態が解除される。
【0015】
請求項5に記載の第5の発明は、第3の発明の構成に加え、前記第1伝達機構は、前記基台に回動可能に支持された支軸と、前記支軸に一体回動可能に取付けられた第1リンクと、前記第1リンク及び前記フレームを連結する第2リンクと、前記支軸に一体回動可能に取付けられ、かつ前記原動機を介して前記座部に連結された第3リンクとを含み、原動機の伸縮にともなう第3リンクの回動により、第1リンク及び第2リンクを屈伸させてフレームを回動させるものであり、前記フレーム保持機構は、少なくともいずれか1つのリンクに当接して、それ以上の所定方向への回動を阻止するものである。
【0016】
上記第5の発明によると、第1傾斜状態中には、原動機の可動部材の往復動が第3リンク、支軸、第1リンク、第2リンク及びフレームに伝達される。この伝達により、第3リンク及び第1リンクが同一方向へ回動し、第1リンク及び第2リンクが屈伸する。この屈伸により、フレームにはこれを引下げようとする力又は押上げようとする力が働き、同フレームが回動する。そして、第1傾斜状態から基準状態へ移行するとき、フレーム保持機構が、第1伝達機構を構成するリンクのうちの少なくともいずれか1つを押圧して、それ以上の所定方向への回動を阻止する。この阻止によりフレームが略水平に保持され始める。
【0017】
第2傾斜状態中には、第3リンクの回動が停止されることから、原動機の可動部材の往復動は座部に伝達され、同座部のみが回動する。そして、第2傾斜状態が終了し、基準状態から第1傾斜状態へ移行するとき、フレーム保持機構がそれまで押圧していたリンクから離れる。フレーム保持機構による回動阻止が終了し、リンクの所定方向への回動が可能となる。
【0018】
請求項6に記載の第6の発明は、第5の発明の構成に加え、前記第1伝達機構による第2傾斜状態中に、前記所定方向とは逆方向へ第1リンク及び第2リンクが回動するのを阻止する逆回動阻止機構をさらに備えている。
【0019】
第1伝達機構による第2傾斜状態中には、上述したようにリンクの所定方向への回動が阻止される。この際仮に、所定方向とは逆の方向への回動が可能であるとすれば、万が一座部が引上げられる等して、座部に対し、これを上方へ回動させようとする力が働いた場合、第3リンクをはじめとして他のリンクも回動し、その結果、フレームが意図せず回動するおそれがある。これに対し、第6の発明では、所定方向への回動阻止に加え、その逆方向への回動も逆回動阻止機構によって阻止される。各リンクはいずれの方向にも回動不能となる。従って、第2傾斜状態中に、上述したような座部を上方へ回動させようとする力が働いても、フレームが回動することはない。
【0020】
請求項7に記載の第7の発明は、第1の発明の構成に加え、前記基台の前方に設けられた脚受体と、前記可動部材の往復動を前記脚受体に伝達することにより、その脚受体を前記フレームに連動して回動させて傾斜角度を調整する第2伝達機構とをさらに備えている。
【0021】
上記第7の発明によると、第1伝達機構によるフレームの回動時には、第2伝達機構により、可動部材の往復動が脚受体に伝達される。この伝達により、脚受体がフレームに連動して回動され、傾斜角度が調整される。
【0022】
請求項8に記載の第8の発明は、第1の発明の構成に加え、前記背当部は支持アームを有し、その支持アームにおいて前記フレームの後部に回動可能に支持されており、前記支持アームはリンクにより前記基台に連結されている。
【0023】
上記第8の発明によると、可動部材の動きが第1伝達機構によりフレーム及び座部に伝達されて、同フレームが回動して第1傾斜状態になると、フレーム及び基台の間隔が変化する。この変化にともない支持アーム及びリンクが互いに反対方向へ回動する。フレームに対する支持アーム、ひいては背当部の傾斜角度が変化する。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に従って説明する。図1,2に示すように、椅子は、床1等に載置又は固定される基台2を備えている。基台2の上方にはフレームとしての主フレーム3と、副フレーム6とが配置されている。主フレーム3は前端に軸4を有し、その軸4が複数の軸受5によって基台2の前端(図1,2の左端)上部に回動可能に支持されている。副フレーム6の前フレーム部7はパイプ材からなり、軸受5間に配置されている。前フレーム部7はその両端部において前記軸4に被せられ、軸4を支点として回動可能である。副フレーム6の上にはクッション8が装着され、これらの副フレーム6及びクッション8により座部9が構成されている。なお、副フレーム6が主フレーム3よりも下方へ回動するのを阻止するために、同主フレーム3の後フレーム部11にはストッパ12が設けられている。
【0025】
主フレーム3及び座部9をそれぞれ回動させるために、1つの原動機13、スイッチ(図示略)及び第1伝達機構が設けられている。原動機13は、可動部材15と、外部電源(図示略)から供給される電力に応じて作動し、かつ可動部材15を往復動させるとともに任意の位置で停止させる駆動部16とを備えている。前フレーム部7にはリンク17が固定されており、ここに駆動部16の前端部が支持されている。スイッチは原動機13の作動に際し利用者によって操作されるものであり、椅子に腰掛けた利用者の手が届く箇所、例えば、肘掛け(図示略)等に設けられている。スイッチは外部電源及び駆動部16をつなぐ回路に設けられ、その操作に応じ回路を閉じたり(駆動部16に加わる電圧の極性の切替えも含む)、開いたりする。
【0026】
第1伝達機構の主な機能は、可動部材15の動きを主フレーム3及び副フレーム6に伝達することにより、駆動部16からの可動部材15の突出長さに応じ、主フレーム3及び座部9を基準状態、第1傾斜状態及び第2傾斜状態のいずれかの状態にすることである。主フレーム3及び座部9は、基準状態では図1に示すようにともに略水平となり、第1傾斜状態では図5に示すようにともに後側ほど低くなる。第2傾斜状態では、図6に示すように主フレーム3が略水平となり、座部9が後側ほど高くなる。
【0027】
第1伝達機構の具体的構成について説明すると、図1,3に示すように、基台2の後下部には支軸19が回動可能に支持されており、ここに複数組の第1リンク21が固定されている。一方、後フレーム部11には2片で組をなすブラケット24が複数組固定されており、ここに第2リンク22が軸25によって支持されている。各第1リンク21及び各第2リンク22はピン26によって連結されている。支軸19には第3リンク23が固定されており、ここに可動部材15がピン27によって連結されている。そして、原動機13の伸縮にともなう第3リンク23の回動により第1リンク21及び第2リンク22が互いに反対方向へ回動して屈伸し、主フレーム3が軸4を支点として回動する。両リンク21,22は、図1に示す基準状態では略垂直方向へ伸張し、図5に示す第1傾斜状態では前方へ大きく屈曲し、図6に示す第2傾斜状態では後方へ若干屈曲する。
【0028】
第1伝達機構は切替え準備機構をさらに備えている。切替え準備機構は、第1傾斜状態から第2傾斜状態への切替え時、又は第2傾斜状態から第1傾斜状態への切替え時に基準状態を経由させ、かつその経由の際に切替えの準備を行うためのものである。切替え準備機構は座部係止機構及びフレーム保持機構を含んでいる。
【0029】
座部係止機構は、第2傾斜状態から基準状態への移行時に座部9を主フレーム3に係止し始め、基準状態から第2傾斜状態への移行時に前記係止を解除するためのものである。より詳しくは、図3,7に示すように、副フレーム6の後フレーム部32には係止突部33が固定されている。一方、軸25上には鉤部材34が回動可能に取付けられている。鉤部材34及びブラケット24には、第1付勢部材としての第1ばね35が引張られた状態で掛け渡されている。鉤部材34は、第1ばね35により係止突部33に引掛かる方向(図3,7の反時計回り方向)へ付勢されている。また、第1リンク21の上部には係止解除部材36が固定されている。係止解除部材36は、第1リンク21の後方への回動にともない鉤部材34の下部を押圧し、第1ばね35に抗して鉤部材34を回動させて係止突部33から離脱させるためのものである。そして、これらの鉤部材34、第1ばね35及び係止解除部材36によって座部係止機構が構成されている。
【0030】
フレーム保持機構は、第1傾斜状態から基準状態への移行時に主フレーム3を略水平に保持し始め、基準状態から第1傾斜状態への移行時に前記保持を解除するためのものであり、少なくともいずれか1つのリンク21〜23に当接して、それ以上の所定方向(後方)への回動を阻止するものである。より詳しくは、第1リンク21として、図3に示すようなコの字状の部材が用いられており、その中に第2リンク22の下端部が入り込んでいる。両リンク21,22が略垂直方向へ伸張しているときには、第1リンク21は支軸19と一体で後方へ回動可能であり、第2リンク22は軸25を支点として後方へ回動可能である。図8に示すように、両リンク21,22が後方へ回動して若干屈曲すると、第1リンク21の前板部28が第2リンク22の下端部に当接し、それ以上の後方への回動を阻止する。そして、前板部28、第2リンク22の下端部、ピン26等によってフレーム保持機構が構成されている。
【0031】
図3,7に示すように、椅子は逆回動阻止機構をさらに備えている。同機構は、フレーム保持機構によるフレーム保持時に、前記所定方向とは逆方向(この場合前方)へリンク21,22が回動するのを阻止するためのものである。詳しくは、基台2の後上部にはブラケット37が固定されており、一端に可動ストッパ38を有する逆回動阻止部材39が、軸41によりブラケット37に支持されている。基台2及び逆回動阻止部材39には、第2付勢部材としての第2ばね42が引張られた状態で掛け渡されており、この第2ばね42により可動ストッパ38が常に下方へ付勢されている。なお、第2ばね42は基台2に代えてブラケット37に係止されてもよい。一方、第3リンク23においてピン27の近傍には、同第3リンク23の回動にともない可動ストッパ38に接触及び離間する突部43が設けられている。
【0032】
図1に示すように、椅子はクッションからなる脚受体44、第2伝達機構及び背当部46をさらに備えている。脚受体44は利用者が足を乗せる箇所であり、基台2の前方に配置されている。第2伝達機構は、可動部材15の往復動を脚受体44に伝達することにより、その脚受体44を主フレーム3に連動して回動させて傾斜角度を変えるためのものである。より詳しくは、図1,4に示すように、左右の各軸受5の下部には固定リンク48が取付けられている。各固定リンク48には、前部リンク49の上端部及び後部リンク51の上端部がそれぞれ回動可能に支持されている。左右の両前部リンク49は連結杆53によって連結されている。一方、脚受体44の裏側には取付金具54が固定されており、その下端部と各前部リンク49の下端部とは連結リンク55によって連結されている。各後部リンク51の下端部と、前部リンク49の中間部分と、取付金具54の中間部分とは連結リンク56によって連結されている。連結杆53にはブラケット57が固定されており、このブラケット57と前述した第3リンク23のピン27とが伝達杆58によって連結されている。
【0033】
そして、固定リンク48、前後両リンク49,51、連結杆53、取付金具54、連結リンク55,56、ブラケット57、伝達杆58等によって第2伝達機構が構成されている。なお、固定リンク48、前後両リンク49,51及び連結リンク56によって四節回転連鎖のリンク機構が構成されているが、ここでは、4つの節のうち最も短い節を固定リンク48によって構成し、前後両リンク49,51を回転可能な節とすることで、いわゆる二重クランク機構(二組クランク機構ともいう)を成立させている。
【0034】
図10に示すように、背当部46は下部に複数の支持アーム61を有している。支持アーム61は、主フレーム3の横フレーム部59の後部に軸62により支持されている。複数の支持アーム61のうちの少なくとも1つは斜め前下方へ延出しており、その下端部と基台2の後部とがリンク63によって連結されている。
【0035】
次に、前記のように構成された本実施形態の作用及び効果について説明する。図1,7,10は主フレーム3及び座部9の基準状態を示している。原動機13では、可動部材15の一部が駆動部16から突出して一定の長さを保っている。第1伝達機構では、第1リンク21及び第2リンク22が略垂直方向へ伸張し、第3リンク23が後側ほど高くなるよう傾斜している。両リンク21,22は後方へ回動可能である。逆回動阻止機構では、第2ばね42によって付勢された逆回動阻止部材39の上端部が後フレーム部32に当接し、それ以上の上方への回動が阻止されている。可動ストッパ38は突部43から後方へ離れている。
【0036】
座部係止機構では、係止解除部材36が鉤部材34の下端部から前方へ若干離れているか、又は軽く触れており、第1ばね35により付勢された鉤部材34の上端部が係止突部33に係止している。また、後フレーム部32はストッパ12に当っている。これらの係止及び当接により、座部9は主フレーム3に対し回動不能である。原動機13を介して副フレーム6に連結されている第3リンク23も回動不能である。このため、第1リンク21及び第2リンク22が伸張状態を維持し、主フレーム3及び座部9が略水平に保たれている。
【0037】
第2伝達機構では、伝達杆58が最も後方に位置しており、前後両リンク49,51が後側ほど低い傾斜状態となり、脚受体44は基台2の前方近傍において略垂直状態に保たれている。主フレーム3の後部では、軸62が最も高い位置にあり、リンク63及び支持アーム61が前方へ若干湾曲している。その結果、背当部46は起立した状態を保っている。
【0038】
利用者が、主フレーム3及び座部9を第1傾斜状態にするためのスイッチ操作を行うと、その操作に応じて可動部材15が駆動部16内へ入り込み始める。座部9が主フレーム3に対し回動せず、駆動部16がほとんど移動しないことから、可動部材15の動きは、主として第3リンク23、第1リンク21、第2リンク22、ブラケット24等を介して後フレーム部11に伝達される。この伝達に際しては両リンク21,22が前方へ回動して屈曲し、後フレーム部11に引下げ力が加わる。主フレーム3が軸4を支点として下方へ回動し、傾斜角度が変化する。可動部材15が駆動部16内に入り込むに従い、係止解除部材36が鉤部材34の下端部から前方へ離れてゆき、鉤部材34は係止突部33に係止し続ける。このため、主フレーム3が下方へ回動すれば、座部9も主フレーム3と一体となって同方向へ回動する。可動部材15は、図5に示すように駆動部16内に最も深くまで入り込んだところで停止する。この可動部材15の停止にともない主フレーム3の下方への回動が停止される。
【0039】
上述した可動部材15の動きは、図1,5に示すように、第2伝達機構により脚受体44にも伝達される。詳しくは、第3リンク23の前方への回動が伝達杆58を通じて前部リンク49に伝達され、同前部リンク49が前上方へ回動する。この回動に追従して後部リンク51が同方向へ回動するとともに、両連結リンク55,56が移動する。これらのリンク49,51,55,56の動きにより、脚受体44がその回動中心を上昇させながら回動する。そして、可動部材15の停止にともない第2伝達機構及び脚受体44が作動を停止し、同脚受体44は後側ほど高い傾斜状態となる。このとき、脚受体44の後端部は座部9の前端部と略同じ高さとなり、両者9,44間に段差はほとんどない。
【0040】
さらに、図1,5,10に示すように、可動部材15の動きは背当部46にも伝達される。詳しくは、主フレーム3が下方へ回動すると、それにともなって軸62が下降し、支持アーム61及びリンク63が前方へ回動し、背当部46の傾斜角度が変化する。このように、座部9が後側ほど低い傾斜状態となり、脚受体44が後側ほど高い傾斜状態となり、背当部46が後方へ大きく倒れて傾斜状態となるため、利用者は横になって休息できる。この椅子の状態は、仮眠をするのに適している。
【0041】
利用者が、主フレーム3を図5の第1傾斜状態から図1の基準状態に戻すためのスイッチ操作を行うと、その操作に応じて可動部材15が駆動部16から突出し始める。この可動部材15の動きに従い、第1伝達機構が前記とは逆の動作を行う。すなわち、各リンク21〜23がそれぞれ後方へ回動し、主フレーム3が座部9をともなって上方へ回動する。第2伝達機構、支持アーム61、リンク63等も前記とは逆の動作を行い、脚受体44が下降しながら回動し、背当部46が前方へ回動する。
【0042】
基準状態へ戻る直前には、図1,7に示すように第1リンク21が略垂直状態となり、係止解除部材36が鉤部材34の下端部に接近する。この状態から第1リンク21が後方へ若干回動すると、図8に示すように、係止解除部材36が鉤部材34の下端部を押圧する。この押圧により、鉤部材34が第1ばね35に抗して回動し、係止突部33から離脱する。鉤部材34による、座部9を主フレーム3に係止しようとする力がなくなる。前板部28と第2リンク22の下端部との当接により、各リンク21〜23がそれ以上後方へ回動できなくなる。この状態では、第1リンク21及び第2リンク22は後方へ若干屈曲している。従って、利用者が座部9に腰かけ、その荷重が主フレーム3や第1伝達機構に加わっている限り、主フレーム3は略水平に保たれる。
【0043】
利用者が、主フレーム3及び座部9を第2傾斜状態にするためのスイッチ操作を行うと、その操作に応じて可動部材15が駆動部16から突出し、原動機13が伸張する。このとき、前述したように第3リンク23の後方への回動が阻止されていることから、可動部材15の突出動作に応じて駆動部16が前方へ移動する。副フレーム6に押上げ力が作用し、座部9が上方へ回動する。図9に示すように、第2ばね42によって付勢された逆回動阻止部材39は、座部9の回動に追従して上方へ回動する。副フレーム6の回動中心(前フレーム部7)と逆回動阻止部材39の回動中心とが前後に大きく離れていることから、座部9が所定角度以上回動すると、逆回動阻止部材39は座部9から離間する。この離間後も逆回動阻止部材39は回動するが、その回動は後フレーム部11に当ったところで止まる。このとき、可動ストッパ38が突部43の上方に位置し、第3リンク23の所定方向(この場合前方)への回動を阻止する。このときには、前述したように、前板部28と第2リンク22との当接により、第1リンク21の後方への回動が阻止されている。このため、同第3リンク23は前方にも後方にも回動不能となる。
【0044】
一方、座部9は逆回動阻止部材39から離れた後も上方へ回動する。可動部材15が、駆動部16から最も多く突出したところで停止すると、座部9が上方への回動を停止する。このように座部9が飛出ると、利用者の臀部が押上げられる。そのため、利用者は自分の力では立上がることが困難な者であっても、座部9の補助を受けて容易に立上がることができる。なお、第2傾斜状態では主フレーム3が略水平に保持されることから、脚受体44は略垂直に保たれ、背当部46は起立した状態に保たれる。
【0045】
利用者が、主フレーム3を第2傾斜状態から基準状態に戻すためのスイッチ操作を行うと、その操作に応じて可動部材15が駆動部16内に入り込み始める。この可動部材15の動きに従い、駆動部16が斜め後下方へ移動し、座部9に引下げ力が加わり、同座部9が下方へ回動する。座部9が基準状態に戻る直前には、副フレーム6が逆回動阻止部材39の上部に上側から当接し、これを押下げる。この押下げにより逆回動阻止部材39が第2ばね42に抗して回動させられる。図8に示すように、可動ストッパ38が突部43から後方へ離間し、同可動ストッパ38による回動阻止が解除され、リンク21〜23の前方への回動が可能となる。副フレーム6の回動は、後フレーム部32がストッパ12に当ったところで止まる。さらに可動部材15が駆動部16内に入り込んで原動機13が一層短くなると、副フレーム6の下方への回動が不能となっていることから、同可動部材15の動きは第3リンク23に伝達される。この伝達により、第3リンク23及び第1リンク21が前方へ回動し、図7に示すように略垂直状態に伸張する。また、第1リンク21の前方への回動にともない係止解除部材36が前方へ移動する。係止解除部材36による鉤部材34の下端部に対する押圧力が弱くなるため、第1ばね35により付勢された鉤部材34の上端部が係止突部33に係止する。この係止と、前記ストッパ12との当接とにより、座部9は主フレーム3に対し上方へも下方へも回動不能となる。
【0046】
なお、利用者によるスイッチ操作に応じて、可動部材15が基準状態、第1傾斜状態、第2傾斜状態のいずれかの状態で停止されると、主フレーム3、座部9、脚受体44及び背当部46はそのときの傾斜角度に保たれる。
【0047】
このように本実施形態の椅子によると、利用者のスイッチ操作に応じて原動機13の可動部材15を往復動させ、その動きを第1伝達機構により主フレーム3及び座部9に伝達し、それらに複雑な動作を行わせ、可動部材15の突出長さに応じ基準状態、第1傾斜状態及び第2傾斜状態のいずれかの状態にすることができる。利用者は第1傾斜状態にすることにより、基準状態のときよりも楽な姿勢で休息することができる。また、自分の力では立上がることの困難な者であっても、第2傾斜状態とすることにより楽に立上がることができる。さらに、上記の機能を1つの原動機15で実現できることから、2つの原動機を用いる従来技術に比べ、椅子の小型化、重量軽減、コスト低減等を図ることができる。
【0048】
本実施形態は前述した事項以外にも次の特徴を有する。
【0049】
(a)主フレーム3及び座部9がともに略水平となる基準状態を中立の状態ととらえ、主フレーム3及び座部9の状態を、第1傾斜状態及び第2傾斜状態間で切替える際には、必ず基準状態を経由させるようにし、この経由の際に切替えの準備を行うようにしている。例えば、第2傾斜状態から第1傾斜状態への切替えに際し、同第2傾斜状態から基準状態へ移行するとき、鉤部材34を係止突部33に引掛けて座部9を主フレーム3に係止し、同基準状態から第1傾斜状態へ移行するとき主フレーム3の略水平状態保持を解除している。このため、第1傾斜状態では、座部9が係止された主フレーム3が一体回動可能となる。前記とは逆に、第1傾斜状態から第2傾斜状態への切替えに際し、同第1傾斜状態から基準状態へ移行するとき主フレーム3を略水平状態に保持し始め、基準状態から第2傾斜状態へ移行するとき、鉤部材34を係止突部33から離脱させて前記係止を解除させている。このため、第2傾斜状態では、主フレーム3が略水平に保持され、座部9のみが回動可能となる。このように、切替えの準備を基準状態のときに集中して行うため、第1傾斜状態中や第2傾斜状態中に余分な動作を行わなくてすむ。
【0050】
(b)第1傾斜状態では、駆動部16の動きを実質的に止め、可動部材15の往復動をリンク21〜23に伝達し、これらを回動させ、主フレーム3を回動させている。また、第2傾斜状態では、リンク21〜23の動きを止め、可動部材15の往復動にともなう駆動部16の動きを座部9に伝達し、同座部9を回動させている。このように簡単な構成でありながら、第1傾斜状態にしたり第2傾斜状態にしたりできる。
【0051】
(c)座部9を主フレーム3に係止させる際には、第1ばね35のばね力を利用して鉤部材34を回動させて係止突部33に引掛けている。また、前記係止を解除する際には、第1リンク21の回動にともなう係止解除部材36の移動を利用し、鉤部材34を第1ばね35に抗して回動させ、係止突部33から離脱させている。このように少ない部品で、しかも簡単な構成で、座部係止機構を成立させることができる。
【0052】
(d)コの字状の部材を第1リンク21として用い、その前板部28と第2リンク22との当接により、各リンク21〜23のそれ以上の後方への回動を阻止するようにしている。このような簡単な構成で、フレーム保持機構を成立させて主フレーム3を略水平に保ち、可動部材15の往復動を確実に座部9に伝達して第2傾斜状態にすることができる。
【0053】
(e)図6に示すように、フレーム保持機構により、主フレーム3が略水平に保持されるときには、リンク21〜23の後方への回動が阻止される。この際、仮に、前方への回動が可能であるとすれば、万が一座部9が引上げられる等して、座部9に対し、これを上方へ回動させようとする力が働いた場合、第3リンク23をはじめとして他のリンク21,22も前方へ回動し、その結果、主フレーム3が意図せず下方へ回動するおそれがある。これに対し、本実施形態では、フレーム保持機構による保持時に、第1リンク21及び第2リンク22が前方へ回動するのを阻止する逆回動阻止機構を採用している。このため、後方への回動阻止に加え、前方への回動も逆回動阻止機構によって阻止される。リンク21〜23はいずれの方向にも回動不能となる。従って、第2傾斜状態のときに、上述したような座部9を上方へ回動させようとする力が働いても、主フレーム3が回動することがない。
【0054】
(f)図5に示すように基台2の前方に脚受体44を設け、可動部材15の往復動を第2伝達機構により脚受体44に伝達するようにしている。このため、第1伝達機構による主フレーム3の回動時に脚受体44を連動して回動させ、傾斜角度を変えることができる。利用者はより楽な姿勢で休息することができる。なお、脚受体44は第2傾斜状態では回動せず略垂直に保たれるので、利用者が座部9の補助を受けて立上がる際の妨げとなることはない。
【0055】
(g)図10に示すように、支持アーム61及び基台2をリンク63により連結しているため、主フレーム3が回動する際には、その主フレーム3に対する支持アーム61の角度も変化する。主フレーム3の傾斜角度が大きくなるに従い背当部46が後方へ倒れる。このため、背当部46を主フレーム3に回動不能に取付けた場合に比べ、背当部46の採り得る傾斜角度の範囲が拡がる。主フレーム3が最も大きく傾斜したときに、背当部46を略水平となるよう設定することも可能であり、利用者はより楽な姿勢で休息することができる。なお、背当部46は第2傾斜状態では回動しないため、利用者が座部9の補助を受けて立上がる際の妨げとなることはない。
【0056】
本発明は次に示す別の実施形態に具体化することができる。
【0057】
(1)本発明の椅子は、家庭、老人ホーム、銭湯、病院等の椅子として用いることができるほか、長距離バス、旅客機、旅客車、旅客船等の乗物の座席としても用いることができる。さらには、前記以外の分野の椅子としても用いることができる。
【0058】
(2)逆回動阻止機構、脚受体44、第2伝達機構を適宜省略してもよい。また、背当部46を主フレーム3に対し回動不能に取付けてもよい。
【0059】
(3)フレーム保持機構としては、少なくともいずれか1つのリンク21〜23に当接してそれ以上の所定方向(後方)への回動を阻止するものであればよい。従って、前記実施形態のように前板部28を有する第1リンク21を用いる以外にも、例えば、基台2に、第1リンク21等に当接して回動を阻止する部材を設けてもよい。さらには、第2伝達機構の作動を停止させるようにしてもよく、この場合にも前記と同様の効果が得られる。
【0060】
【発明の効果】
以上のように、第1の発明によれば、1つの原動機を用いるだけで、複数の原動機を用いた場合と同様の複雑な動作をフレーム及び座部に行わせ、これらを基準状態、第1傾斜状態及び第2傾斜状態のいずれかの状態にすることができる。原動機の数が最小限ですむので、小型化、重量軽減、コスト低減等を図ることができる。
【0061】
第2の発明によれば、第1の発明の効果に加え、第1傾斜状態及び第2傾斜状態間での切替えの準備を、中立の状態である基準状態のときに集中して行うため、第1傾斜状態や第2傾斜状態で余分な動作を行わなくてすむ。
【0062】
第3の発明によれば、第2の発明の効果に加え、切替え準備を基準状態中に確実に行わせることができる。
【0063】
第4の発明によれば、第3の発明の効果に加え、可動部材の往復動を確実にフレームに伝達して第1傾斜状態にすることができる。また、座部係止機構を少ない部品点数で、しかも簡単な機構で成立させることができる。
【0064】
第5の発明によれば、第3の発明の効果に加え、可動部材の往復動を確実に座部に伝達して第2傾斜状態にすることができる。また、フレーム保持機構を簡単な構成で成立させることができる。
【0065】
第6の発明によれば、第5の発明の効果に加え、第2傾斜状態のときに、万が一座部に対し、これを上方へ回動させようとする力が働いても、フレームが不用意に回動するのを防止することができる。
【0066】
第7の発明によれば、第1の発明の効果に加え、フレームに連動して脚受体を回動させて傾斜角度を変えることができるので、利用者はより楽な姿勢で休息することができる。
【0067】
第8の発明によれば、第1の発明の効果に加え、フレームに連動して背当部を広い角度範囲で回動させて傾斜角度を変えることができるので、利用者はより楽な姿勢で休息することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を具体化した一実施形態の椅子において、主フレーム及び座部が基準状態のときの下部構造を示す断面図である。
【図2】椅子の下部構造を示す平面図である。
【図3】椅子の下部を後方から見た部分斜視図である。
【図4】脚受体及び第2伝達機構を後方から見た斜視図である。
【図5】主フレーム及び座部が第1傾斜状態のときの下部構造を示す断面図である。
【図6】主フレーム及び座部が第2傾斜状態のときの下部構造を示す断面図である。
【図7】基準状態での切替え準備機構及び逆回転阻止機構を背面側から見た様子を示す部分断面図である。
【図8】図7の状態から原動機が伸張して、座部係止機構による座部の係止状態が解除される様子を示す部分断面図である。
【図9】図8の状態から原動機が伸張して、逆回動阻止機構によりリンクの回動が阻止される様子を示す部分断面図である。
【図10】背当部の主フレームに対する支持構造を示す部分断面図である。
【符号の説明】
2 基台
3 フレームとしての主フレーム
9 座部
13 原動機
15 可動部材
16 駆動部
19 支軸
21 第1リンク
22 第2リンク
23 第3リンク
34 鉤部材
35 第1付勢部材としての第1ばね
36 係止解除部材
44 脚受体
46 背当部
61 支持アーム
63 リンク
Claims (8)
- 基台に回動可能に支持され、かつ後部に背当部が取付けられたフレームと、
前記フレームに回動可能に支持された座部と、
可動部材を有するとともに、その可動部材をスイッチ操作に応じて往復動させ、かつ所定の位置で停止させるための駆動部を有する1つの原動機と、
前記可動部材の動きを前記フレーム及び前記座部に伝達することにより、前記駆動部からの可動部材の突出長さに応じ、前記フレーム及び座部がともに略水平になる基準状態と、フレーム及び座部がともに後側ほど低くなる第1傾斜状態と、フレームが略水平となり、かつ座部が後側ほど高くなる第2傾斜状態とのいずれかの状態にする第1伝達機構と
を備えることを特徴とする椅子。 - 前記第1伝達機構は、前記第1傾斜状態から第2傾斜状態への切替え時、又は第2傾斜状態から第1傾斜状態への切替え時に前記基準状態を経由させ、かつその基準状態中に前記切替えの準備を行う切替え準備機構を含むことを特徴とする請求項1に記載の椅子。
- 前記切替え準備機構は、
前記第2傾斜状態から基準状態への移行時に前記座部を前記フレームに係止し始め、基準状態から第2傾斜状態への移行時に前記係止を解除する座部係止機構と、
前記第1傾斜状態から基準状態への移行時に前記フレームを略水平に保持し始め、基準状態から第1傾斜状態への移行時に前記保持を解除するフレーム保持機構と
を含むことを特徴とする請求項2に記載の椅子。 - 前記第1伝達機構は、
前記基台に回動可能に支持された支軸と、
前記支軸に一体回動可能に取付けられた第1リンクと、
前記第1リンク及び前記フレームを連結する第2リンクと、
前記支軸に一体回動可能に取付けられ、かつ前記原動機を介して前記座部に連結された第3リンクと
を含み、原動機の伸縮にともなう第3リンクの回動により、第1リンク及び第2リンクを屈伸させてフレームを回動させるものであり、
前記座部係止機構は、
前記フレームに支持された鉤部材と、
前記鉤部材を前記座部に係止させる方向へ付勢する第1付勢部材と、
前記第1リンクの回動にともない前記鉤部材を前記第1付勢部材に抗して回動させて座部から離脱させる係止解除部材と
を含むことを特徴とする請求項3に記載の椅子。 - 前記第1伝達機構は、
前記基台に回動可能に支持された支軸と、
前記支軸に一体回動可能に取付けられた第1リンクと、
前記第1リンク及び前記フレームを連結する第2リンクと、
前記支軸に一体回動可能に取付けられ、かつ前記原動機を介して前記座部に連結された第3リンクと
を含み、原動機の伸縮にともなう第3リンクの回動により、第1リンク及び第2リンクを屈伸させてフレームを回動させるものであり、
前記フレーム保持機構は、少なくともいずれか1つのリンクに当接して、それ以上の所定方向への回動を阻止するものであることを特徴とする請求項3に記載の椅子。 - 前記第1伝達機構による第2傾斜状態中に、前記所定方向とは逆方向へ第1リンク及び第2リンクが回動するのを阻止する逆回動阻止機構をさらに備えることを特徴とする請求項5に記載の椅子。
- 前記基台の前方に設けられた脚受体と、
前記可動部材の往復動を前記脚受体に伝達することにより、その脚受体を前記フレームに連動して回動させて傾斜角度を調整する第2伝達機構と
をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の椅子。 - 前記背当部は支持アームを有し、その支持アームにおいて前記フレームの後部に回動可能に支持されており、前記支持アームはリンクにより前記基台に連結されていることを特徴とする請求項1に記載の椅子。
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