JP3669769B2 - 被覆ポリカーボネート成形体 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、表面硬化層の密着性に優れた被覆ポリカーボネート成形体、に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリカーボネート樹脂からなる成形体は、一般的にメタクリル樹脂製などと比較すると成形体表面が柔らかく傷が付きやすいという欠点があり、ポリカーボネート成形体表面の硬度を高めるため表面硬化処理がよく行われている。この表面硬化処理には大きく分けて2つの方法があり、シリコーン樹脂系表面硬化剤を成形体表面に塗布し熱などによって硬化させる方法と、有機樹脂系表面硬化剤を紫外線等の活性エネルギー線によって硬化させる方法の2つである。このうち長期間耐候変色が少なく、かつ、より硬度の高いシリコーン樹脂系表面硬化処理の要望が近年市場で高まってきている。
【0003】
しかしながら、これらシリコーン樹脂系表面硬化剤をポリカーボネート成形体表面に直接塗布し、熱硬化させてもポリカーボネート成形体表面と表面硬化層の密着性が非常に悪く硬化層が簡単に剥離してしまうため実用上問題があった。
そこで密着性改良の研究が盛んに行われており、ポリカーボネート成形体表面と表面硬化層の間に下塗り層、プライマー層、接着層などの表現で呼ばれるいわゆる中間層を設けることが必須となっている(例えば、特公昭61−27184号公報、特公昭63−5155号公報などが挙げられる。)。
【0004】
これら中間層によって確かに表面硬化層の密着性は改善されるが、中間層自身の耐候性がシリコーン樹脂系表面硬化層より悪いため改良が求められており、例えば耐候劣化の原因となる紫外線から保護するため該プライマー層に紫外線吸収剤を配合させる方法などが検討されている(例えば、特公昭60−53701号公報、特公平2−37938号公報などが挙げられる。)。
しかしながら、これらの改良方法では良好な耐候性を得るためには多量の紫外線吸収剤を中間層に配合せねばならず、そのため本来の目的である密着性が悪くなってしまうばかりか、中間層が柔らかくなりすぎ表面硬化層の効果を半減させるため問題であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような中間層を設けず、シリコーン樹脂系表面硬化層を直接ポリカーボネート成形体表面に強力に密着させることを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、本発明者らは鋭意検討の結果、表面硬化を施すポリカーボネートそのもののヒドロキシ基末端とヒドロキシ基以外の末端との比率を特定範囲にすることによって、驚くべきことに中間層を用いなくてもシリコーン樹脂系表面硬化層が密着することを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
即ち、本発明は、エステル交換法(溶融法)で製造され、平均分子量(Mw)が10000〜40000であるポリカーボネートからなり、ヒドロキシ基末端/ヒドロキシ基以外の末端の比率が1/100〜100/1であるポリカーボネート成形体に表面硬化層が被覆されてなる被覆ポリカーボネート成形体であり、該表面硬化層がシリコーン樹脂系硬化層であり、該表面硬化層の層厚みが0.1〜200μmである前述の被覆ポリカーボネート成形体である。
また、該表面硬化層に紫外線吸収剤が配合されており、該紫外線吸収剤の配合量が1〜20重量%である前述の被覆ポリカーボネート成形体である。
以下、本発明を詳細に説明する。
【0008】
本発明で用いられるポリカーボネートは、下記化1で表される繰り返し単位からなる主鎖を有する。
【化1】
Figure 0003669769
(式中、Arは二価の芳香族残基であり、例えば、フェニレン、ナフチレン、ビフィニレン、ピリジレンや、下記化2で表されるものが挙げられる。)
【0009】
【化2】
Figure 0003669769
(式中、Ar1 及びAr2 はそれぞれアリレーン基であり、例えば、フェニレン、ナフチレン、ビフェニレン、ピリジレン等の基を表し、Yは下記化3及び化4で表されるアルキレン基または置換アルキレン基である。)
【0010】
【化3】
Figure 0003669769
【0011】
【化4】
Figure 0003669769
(式中、R1 、R2 、R3 及びR4 はそれぞれ水素原子、低級アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基であって、場合によりハロゲン原子、アルコシ基で置換されていてもよく、kは3〜11の整数であり、化4の水素原子は、低級アルキル基、アリール基、ハロゲン等で置換されてもよい。)
【0012】
また、下記化5で示される二価の芳香族残基を共重合体成分として含有していてもよい。
【化5】
Figure 0003669769
〔式中、Ar1 、Ar2 は化2と同じ。Zは単なる結合、または、−O−、−CO−、−S−、−SO2 −、−CO2 −、−CON(R1 )−、(R1 は前記と同様)等の二価の基である。〕
これら二価の芳香族残基の例としては、下記化6及び化7で表されるもの等が挙げられる。
【0013】
【化6】
Figure 0003669769
【0014】
【化7】
Figure 0003669769
(式中、R5 及びR6 はそれぞれ水素、ハロゲン、C1 〜C10アルキル基、C1 〜C10アルコキシ基、C1 〜C10シクロアルキル基またはフェニル基である。m及びnは1〜4の整数で、mが2〜4の場合には各R5 はそれぞれ同一でも異なるものであってもよいし、nが2〜4の場合は各R6 はそれぞれ同一でも異なるものであってもよい。)
【0015】
中でも、下記化8で表される繰り返しユニットを有するものが好ましい一例である。特に、下記化8をArとする繰り返しユニットを85モル%以上含むものが好ましい。
【化8】
Figure 0003669769
【0016】
また、該ポリカーボネートは、三価以上の芳香族残基を共重合成分として含有していてもよいし、脂肪族または芳香族のエステル成分を共重合成分として含有してもよい。
ポリマー末端の分子構造は特に限定されないが、ヒドロキシ基、アリールカーボネート基、アルキルカーボネート基から選ばれた1種以上の末端基を結合することができる。アリールカーボネート末端基は、下記化9で表され、具体例としては、例えば、下記化10が挙げられる。
【0017】
【化9】
Figure 0003669769
(式中、Ar3 は一価の芳香族残基で、芳香環は置換されていてもよい。)
【0018】
【化10】
Figure 0003669769
【0019】
アルキルカーボネート末端基は、下記化11で表され、具体例としては、例えば、下記化12等が挙げられる。
【化11】
Figure 0003669769
(式中、R7 は炭素数1〜20の直鎖もしくは分岐アルキル基である。)
【0020】
【化12】
Figure 0003669769
これらの中で、フェニルカーボネート基、p−t−ブチルフェニルカーボネート基、p−クミルフェニルカーボネート基等が好ましく用いられる。
【0021】
本発明においては前述ポリマー末端基の内ヒドロキシ基末端とそれ以外の末端基との比率を特定範囲にすることが必須である。その比率は、ヒドロキシ基末端/ヒドロキシ基以外の末端=1/100〜100/1、好ましくは1/40〜40/1、更に好ましくは1/20〜20/1である。該比率が1/100以下、つまりヒドロキシ基末端が少ない場合には、表面硬化層との密着性が悪くなり、密着させるために従来検討されていたような下塗り層、プライマー層、接着層などと呼ばれる中間層を必要とする。また逆に100/1を越える場合、つまりヒドロキシ基が多い場合は、ポリカーボネート成形体表面の吸水性が高くなり、吸水によって表面硬化層との密着性が悪くなる。
【0022】
該ポリカーボネートは公知の方法で製造することができ、具体的には芳香族ジヒドロキシ化合物とカーボネート前駆体とを反応せしめる公知の方法、例えば、芳香族ジヒドロキシ化合物とホスゲンを水酸化ナトリウム水溶液及び塩化メチレン溶媒の存在下に反応させる界面重合法(ホスゲン法)、芳香族ジヒドロキシ化合物とジフェニルカーボネートを反応させるエステル交換法(溶融法)、結晶化カーボネートプレポリマーを固相重合する方法(特開平1−158033号公報、特開平1−271426号公報、特開平3−68627号公報)等の方法が挙げられる。
【0023】
ヒドロキシ基末端とそれ以外の末端との比率は、ホスゲン法の場合には、反応途中にフェノールを加え末端をヒドロキシ基を封止することによって調整でき、また、溶融法を用いる場合には、ジフェノールとジフェニルカーボネートのモル比を調整することによって容易に変更することができる。後者の場合、ジフェノールのモル比を高めるとヒドロキシ基の比率が高くなる。
【0024】
これらポリカーボネートの分子量は、成形上好ましくは平均分子量(Mw)が10000〜100000、更に好ましくは20000〜40000の範囲である。また該ポリカーボネートに含有される加水分解可能な塩素は1ppm以下が好ましく、更に好ましくは0.5ppm以下である。1ppmを超える量の塩素がポリカーボネート中に含有されていると、成形加工時など長時間高温下に曝されることによって着色してしまいポリカーボネートの特徴である透明感が失われてしまう。
【0025】
本発明において表面硬化層を被覆されるポリカーボネート成形体は、射出成形、押出成形、圧縮成形などの各種成形法を用いて、ヘッドランプ形状、レンズ形状、ディスク形状、シート形状、フイルム形状など様々な形状に成形したものである。
本発明においてポリカーボネート成形体表面に被覆する表面硬化層には、シリコーン樹脂系表面硬化層や有機樹脂系表面硬化層などが挙げられる。
【0026】
シリコーン樹脂系表面硬化剤は、シロキサン結合をもった樹脂であり、例えば、トリアルコキシシラン及びテトラアルコキシシランまたはそれらのアルキル化物の部分加水分解物、メチルトリアルコキシシラン及びフェニルトリアルコキシシランの混合物を加水分解したもの、コロイド状シリカ充填オルガノトリアルコキシシランの部分加水分解縮合物などが挙げられる。これらには縮合反応時に発生するアルコール等が含まれているが、更に必要に応じて任意の有機溶剤、水、あるいはこれらの混合物に溶解ないしは分散させてもよく、そのための有機溶剤としては、低級脂肪酸アルコール類、多価アルコールとそのエーテル、エステル類などが挙げられる。なお、表面硬化層には平滑な表面状態を得るため各種界面活性剤、例えば、シロキサン系、フッ化アルキル系界面活性剤などを添加してもよい。
【0027】
有機樹脂系表面硬化剤としては、例えば、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、アルキド樹脂、アクリル樹脂、多官能アクリル樹脂などが挙げられるが、現在では多官能アクリレート樹脂が最も多く用いられている。多官能アクリレート樹脂としてはポリオールアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレートなどの樹脂が挙げられる。
これら表面硬化剤のうち長期間の耐候性に優れ、かつ表面硬度が比較的高いシリコーン樹脂系表面硬化剤が特に好ましい。
【0028】
これら表面硬化層をポリカーボネート成形体表面に被覆する方法については、表面硬化剤をポリカーボネート成形体表面に塗布し、加熱することによって硬化させる熱硬化法や、紫外線や電子線、放射線などの活性エネルギー線を照射することによって硬化させる活性エネルギー線硬化法等が挙げられる。このうちシリコーン樹脂系表面硬化剤には主に熱硬化法が、有機樹脂系表面硬化剤には紫外線を用いた活性エネルギー線硬化法が主に用いられる。一般的に熱硬化法は活性エネルギー線硬化法に比べ硬化までの時間がかかるのが欠点である。
【0029】
該表面硬化剤をポリカーボネート成形体表面に塗布する方法については、浸漬法、スプレーコート法、フローコート法、ロールコート法、スピンコート法等が挙げられ、これらの方法を用いポリカーボネート成形体の成形中、もしくは成形後いずれの行程で表面硬化処理を行っても良い。
該表面硬化層の層厚みは0.1〜200μm、好ましくは0.5〜100μm、更に好ましくは1〜50μmの範囲である。該表面硬化層厚みが0.1μmより薄い場合には、表面硬度が低く表面硬化層の効果がなく、逆に200μmを越える場合には、ポリカーボネートの物性、特に曲げ強さなどの機械強度が低下してしまう。
【0030】
該表面硬化層には、被覆されるポリカーボネートの耐候劣化を防ぐため、紫外線吸収剤を配合させることが好ましい。
本発明で用いられる紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、トリアジン系紫外線吸収剤、サリチル酸フェニルエステル系などが挙げられる。
【0031】
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,αジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチレンブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]、などが挙げられ、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−4’−クロルベンゾフェノン、2,2−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン等が挙げられる。
【0032】
トリアジン系紫外線吸収剤としては、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−エトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−プロポキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ヘキシルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ベンジルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ブトキシエトキシ)−1,3,5−トリアジン等が挙げられ、また、サリチル酸フェニルエステル系紫外線吸収剤としては、パラ−t−ブチルフェニルサリチル酸エステル、パラ−オクチルフェニルサリチル酸エステル等が挙げられる。
【0033】
これら紫外線吸収剤の表面硬化層への配合量は1〜20重量%、好ましくは2〜15重量%、更に好ましくは3〜10重量%の範囲である。該配合量が1重量%に満たない場合には、ポリカーボネートの耐候劣化を防ぐことができず、着色したり物性低下を引き起こす。逆に20重量%を越える場合には、表面硬化層の硬度が低下し問題である。紫外線吸収剤はあらかじめ表面硬化剤に溶解させておくことによって簡単に配合することができる。
【0034】
【実施例】
以下に実施例、比較例を用いて本発明及びその効果をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例などにより何ら限定されるものではない。
なお、実施例及び比較例で用いた評価項目と試験方法を以下に示す。
(1)密着性
塗膜に100個のゴバン目(1mm2 )をつけ、ゴバン目部分にセロファンテープを密着させ、次いで密着したセロファンテープを直角にかつ急激に剥離する。
このとき剥離せずに残ったゴバン目の目数を数え、全目数100に対し何個残ったかで下記の判定を行った。
A(塗膜密着性良好):残り目数100個 (全部残っている)
B(密着力が弱い ):残り目数99〜70個(部分的に剥離)
C(密着していない):残り目数70個以下 (ほとんど剥離)
【0035】
(2)表面硬さ
JIS K−7204に準拠し試験片を摩耗する。
このとき試験荷重は500gf、試験回数は500回で行った。
試験片の摩耗した部分のヘイズ(曇価)をJIS K−7105に準拠して測定し、下記の判定に従って表面硬さを評価した。
A(充分な表面硬度がある):ヘイズ 10%以下
B(やや傷がつきやすい ):ヘイズ 10〜20%
C(傷がつく ):ヘイズ 20%以上
【0036】
(3)曲げ強さ
JIS K−7203に準拠して表面硬化層を被覆したポリカーボネート成形体の曲げ強さを測定した。
【0037】
(4)耐候変色
スガ試験機社製のサンシャインウエザーメーターを用いサンシャインスーパーロングライフカーボンを使用し、温度63℃一定下、降雨無し2時間と降雨18分のサイクルを繰り返す条件で試験片を1000時間暴露した。
暴露前後の試験片の黄色度をJIS K−7103に準拠して雰囲気温度23℃においてを測定し、暴露前後の黄色度の変化を黄変度として示す。
黄変度=(暴露後の黄色度)−(初期の黄色度)
黄変度の値が大きいと初期値に比べて着色した(黄色味が濃くなった)ことを意味し、この黄変度(ΔYI)が4を超えると着色したことが目視で明らかにわかる。
【0038】
(実施例1)
ジフェノールとジフェニルカーボネートとのモル比を調整することによって、ポリマー末端のヒドロキシ基とそれ以外の末端基の比率をヒドロキシ基末端/ヒドロキシ基以外の末端=1/2になるように作製したポリカーボネート樹脂を用いて(株)プラ技研製、直径50mm、L/D=32の押出機、及びシート押出用ダイによって押出し成形し、ポリカーボネート樹脂板を得た。ダイ設定温度は270℃、押出機シリンダー温度は290℃で実施した。ダイから吐出された溶融ポリカーボネート樹脂は100℃に温調された艶付けロールによって板厚2mmに調整した。
【0039】
このポリカーボネート樹脂板の表面に、あらかじめ2,2−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]からなるベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(アデカ・アーガス化学社製 MARK LA−31:商品名)を5重量%の割合で溶解させたコロイド状シリカ含有シリコーン系表面硬化剤(東芝シリコーン社製 トスガード510:商品名)を浸漬法によって塗布し、風乾した後100℃オーブン中で1時間加熱することによって熱硬化させ、表面硬化層を設けた。表面硬化層の厚みは断面拡大観察の結果、約10μmであり、外観良好な表面硬化層が被覆されたポリカーボネート成形体が得られた。
この被覆ポリカーボネート成形体を用いて、前述の評価項目について試験した結果、従来のように中間層を設けなくても表面硬化層がポリカーボネート成形体表面に十分密着していることが確認された。その結果を比較例とともに表1に示す。
【0040】
(実施例2)
表面硬化剤としてウレタンアクリレートを主成分とする多官能アクリレートからなる有機樹脂系表面硬化剤(日本精化社製 NSC−7106:商品名)を用いて、浸漬法によってポリカーボネート成形体表面に塗布し、60℃オーブン中で5分間乾燥した後、80W/cmの高圧水銀灯下で20秒間紫外線照射して表面硬化剤を硬化させた以外は実施例1と同様に行った。表面硬化層の厚みは断面拡大観察の結果、実施例1同様10μmであった。
評価の結果、シリコーン樹脂系表面硬化剤に比べやや耐候変色によって黄変している。該評価結果を表1に示す。
(実施例3)
表面硬化剤に紫外線吸収剤を配合せず実施例1同様に行った。
評価の結果を表1に示す。
【0041】
(比較例1)
ジフェノールとジフェニルカーボネートのモル比を調整することによって、ポリマー末端のヒドロキシ基とそれ以外の末端基の比率をヒドロキシ基末端/ヒドロキシ基以外の末端=1/150、つまりヒドロキシ基末端が少なくなるように作製したポリカーボネート樹脂を使用した以外は実施例1と同様に行った。
評価の結果、表面硬化層とポリカーボネート成形体表面の密着性が悪くすぐに剥がれた。結果を表1に示す。
【0042】
(比較例2)
ジフェノールとジフェニルカーボネートのモル比を調整することによって、ポリマー末端のヒドロキシ基とそれ以外の末端基の比率をヒドロキシ基末端/ヒドロキシ基以外の末端=120/1、つまりヒドロキシ基末端が多くなるように作製したポリカーボネート樹脂を使用した以外は実施例1と同様に行った。
評価の結果、ポリカーボネート成形体表面が吸水し表面硬化剤を塗布しようとしてもはじかれうまく塗布できないばかりか、ようやく被覆した表面硬化層も密着性が悪くすぐに剥がれた。結果を表1に示す。
【0043】
(比較例3)
ポリカーボネート成形体と表面硬化層を接合する中間層としてアクリル系ポリマーを主成分とするプライマー剤(東芝シリコーン社製 PH93:商品名)を用いて、表面硬化層を被覆する前のポリカーボネート成形体表面に、浸漬法によって塗布し、風乾した後120℃オーブン中で30分加熱することによってプライマー層を設けた以外は比較例2と同様に行った。結果は表1に示した。
【0044】
(比較例4)
表面硬化剤の塗布厚みを変え表面硬化層の層厚みを0.05μmにした以外は実施例1と同様に行った。
評価の結果、表面硬さがほとんど発現されず、かつポリカーボネート成形体表面が紫外線によって劣化し黄変した。結果を表1に示す。
【0045】
(比較例5)
表面硬化剤の塗布厚みを変え表面硬化層の層厚みを300μmにした以外は実施例1と同様に行った。
評価の結果、硬い表面硬化層の影響で曲げ強さが低下し、折れやすくなった。結果を表1に示す。
【0046】
(比較例6)
表面硬化剤にあらかじめ配合した紫外線吸収剤の量を30重量%にした以外は実施例1同様に行った。
評価の結果、多量の紫外線吸収剤を表面硬化層に配合することによって表面硬化層そのものが柔らかくなり、かつ密着性が低下した。結果を表1に示す。
【0047】
【表1】
Figure 0003669769
【0048】
【発明の効果】
本発明によって従来行われていた下塗り層、プライマー層、接着層などと呼ばれる中間層を設けることなく、シリコーン樹脂系表面硬化層を直接ポリカーボネート成形体表面に強力に密着させることができた。

Claims (5)

  1. エステル交換法(溶融法)で製造され、平均分子量(Mw)が10000〜40000であるポリカーボネートからなり、ヒドロキシ基末端/ヒドロキシ基以外の末端の比率が1/100〜100/1であるポリカーボネート成形体に表面硬化層が被覆されてなる被覆ポリカーボネート成形体。
  2. 該表面硬化層がシリコーン樹脂系表面硬化層である請求項1記載の被覆ポリカーボネート成形体。
  3. 該表面硬化層の層厚みが0.1〜200μmである請求項1または2記載の被覆ポリカーボネート成形体。
  4. 該表面硬化層に紫外線吸収剤が配合されている請求項1〜3のいずれかに記載の被覆ポリカーボネート成形体。
  5. 紫外線吸収剤の配合量が1〜20重量%である請求項4記載の被覆ポリカーボネート成形体。
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