JP3669065B2 - 電子楽器の制御パラメータ変更装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は電子楽器の制御パラメータ変更装置に関し、特に操作子を操作することなく制御パラメータを変更する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
演奏者は、演奏前に必要に応じて制御パラメータを設定し、或いは演奏中に必要に応じて制御パラメータを変更することがある。本明細書では、「制御パラメータの変更」という場合は、制御パラメータの設定及び変更を含む。変更される制御パラメータとしては、例えばリズムの種類(タンゴ、マーチ、ワルツ、ルンバ、8ビート等)、テンポ、音量、エフェクトの種類(コーラス、リバーブ、エコー、3D等)及びこれらのデプス、フィルタの遮断周波数、スプリットの位置及びスプリットされた各鍵域の音色、MIDIチャンネルの音色ナンバ等の他、押釦スイッチ、フットスイッチ、ホイール、ジョイスティック或いはジョグダイアルに対する機能の割り当て等がある。
【0003】
また、複数の制御パラメータの中の一部或いは全部を1セットとし、これらを複数セット用意しておき、演奏者が何れかのセットを選択することによって複数の制御パラメータを一度に変更する機能(以下、「レジストレーション」という)を有する電子楽器が実用化されている。何れのレジストレーションを設定するかを指定するデータも制御パラメータに含まれる。
【0004】
従来の電子楽器では、制御パラメータを変更するために、押釦スイッチ、フットスイッチ、ホイール、ジョイスティック、ジョグダイアル等の操作子が用いられている。ここで、操作子とは、人が手又は足で操作する対象をいう。
【0005】
これら操作子によって入力された情報は、CPUによって所定形式の制御パラメータに変換された後に、音源回路に供給される。音源回路は、この制御パラメータに応じてデジタル楽音信号を生成する。このデジタル楽音信号は、D/A変換器でアナログ楽音信号に変換され、アンプで増幅されてスピーカに送られる。これにより、スピーカから楽音が発生される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような従来の電子楽器において、演奏中に制御パラメータを変更しようとする場合、演奏のタイミングによっては手又は足を変更操作のために用いることが困難な場合がある。また、初心者にとっては、演奏のタイミングの如何に拘わらず、演奏中に手又は足を用いて制御パラメータの変更操作を行うことは困難であった。
【0007】
本発明は、かかる従来の問題を解消するためになされたものであり、演奏のタイミングの如何に拘わらず、また初心者であっても容易に制御パラメータを変更することのできる電子楽器の制御パラメータ変更装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の電子楽器の制御パラメータ変更装置は、上記目的を達成するために、図1に原理的に示すように、
音声を入力する音声入力手段と、
該音声入力手段で入力された音声のピッチを抽出するピッチ抽出手段と、
該ピッチ抽出手段で抽出されたピッチに基づき制御パラメータを変更する制御パラメータ変更手段、
とを有することを特徴とする。
【0009】
上記音声入力手段は、例えばマイクロフォン、フィルタ及びA/D変換器で構成することができる。この場合、マイクロフォンは指向性の高いものを用いることが好ましい。また、マイクロフォンはなるべく演奏者の口元に近い位置に設置することが好ましい。これにより、雑音による誤動作を防止できる。この音声入力手段の出力はピッチ抽出手段に供給される。
【0010】
ピッチ抽出手段は、例えばCPUで構成することができる。このピッチ抽出手段は、入力された音声のピッチを抽出する。ピッチの抽出方法は、例えば音声波形の自己相関性を用いる方法、音声波形がゼロレベル(ゼロクロス点)を通過する回数を計数する方法(以下、「ゼロクロス計測方法」という)等を用いることができる。このピッチ抽出手段で抽出されたピッチは、制御パラメータ変更手段に供給される。
【0011】
制御パラメータ変更手段は、例えばCPUで構成することができる。制御パラメータ変更手段は、このピッチ抽出手段で抽出されたピッチに応じて各種制御パラメータを変更する。電子楽器は、この変更された制御パラメータに基づいて音源を制御する。これにより、制御パラメータに応じた音が発生される。このように本発明の制御パラメータ変更装置によれば、手又は足を用いることなく音声によって制御パラメータを変更できるので、演奏中であっても容易に制御パラメータを変更することができる。
【0012】
上記制御パラメータ変更手段は、ピッチ抽出手段で抽出されたピッチが所定値以上であれば第1の制御パラメータを変更し、所定値未満であれば第2の制御パラメータを変更するように構成できる。例えば、所定の音高より高い音を音声入力手段から入力することにより第1の制御パラメータを、低い音を音声入力手段から入力することにより第2の制御パラメータを、それぞれ変更するように構成できる。上記所定値は、人が発生することのできる音高の範囲で任意に決定することができる。以下においても同じである。第1及び第2の制御パラメータとしては、従来の技術の欄で説明した種々の制御パラメータを用いることができる。
【0013】
また、上記制御パラメータ変更手段は、ピッチ抽出手段で抽出されたピッチが所定値以上であれば制御パラメータ番号をインクリメントし、所定値未満であれば制御パラメータ番号をデクリメントし、該インクリメント又はデクリメントにより得られた制御パラメータ番号に対応する制御パラメータを変更するように構成できる。制御パラメータ番号は、複数の制御パラメータのそれぞれに付されたシリアル番号とすることができる。また、上記とは逆に、ピッチ抽出手段で抽出されたピッチが所定値未満であれば制御パラメータ番号をインクリメントし、所定値以上であれば制御パラメータ番号をデクリメントするように構成することもできる。複数の制御パラメータとしては、従来の技術の欄で説明した種々の制御パラメータを用いることができる。
【0014】
更に、上記制御パラメータ変更手段は、ピッチ抽出手段で抽出されたピッチに対応する制御パラメータ番号を得、該得られた制御パラメータ番号に対応する制御パラメータを変更するように構成できる。
【0015】
なお、本発明の電子楽器の制御パラメータ変更装置は、上述した音声入力手段、ピッチ抽出手段及び制御パラメータ変更手段によって制御パラメータを変更する機能に加え、従来と同様の操作子によって制御パラメータを変更する機能をも設けるように構成することもできる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の電子楽器の制御パラメータ変更装置の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。図2は、本発明の各実施の形態で使用される制御パラメータ変更装置が適用された電子楽器のブロック図である。
【0017】
(実施の形態1)
図1において、CPU10、ROM11、RAM12、操作パネル13、キーボード14、音源回路15及びA/D変換器20はバス30を介して相互に接続されている。CPU10は、電子楽器全体を制御する。このCPU10は、本発明のピッチ抽出手段及び制御パラメータ変更手段に対応する。
【0018】
ROM11は、CPU10を動作させるための制御プログラム、各種変換テーブル、各種固定データ等を記憶する。RAM12は、CPU10がデータを一時記憶するために用いられる。操作パネル13は演奏者が電子楽器に各種指示を与えるために使用される。この操作パネル13は電子楽器本体(図示しない)上に設けられ、押釦スイッチ、ホイール、ジョイスティック、ジョグダイアル、インジケータ、ディスプレイ装置等を備えている。この操作パネル13から出力されるパネルデータ(スイッチ等のオン/オフ状態を示すデータ)はバス30を介してCPU10に供給される。キーボード14は、演奏者が音程を指示するために使用される。このキーボード14からのキーデータ(鍵のオン/オフ状態を示すデータ)は、バス30を介してCPU10に供給される。
【0019】
本発明の音声入力手段は、マイクロフォン22、フィルタ21及びA/D変換器20で構成されている。マイクロフォン22は、音声を音声信号(電気信号)に変換する。このマイクロフォン22としては、指向性の高いマイクロフォンを用いることが望ましい。フィルタ21としては、例えばローパスフィルタを用いることができる。このフィルタ21は、マイクロフォン22から入力された音声信号に含まれる高域成分を除去し、A/D変換器20に供給する。A/D変換器20はアナログ信号をディジタル信号に変換する。このA/D変換器20において、デジタル信号に変換された音声信号は、バス30を通してCPU10に供給される。
【0020】
音源回路15は、CPU10からの制御データに基づきデジタル楽音信号を生成する。即ち、CPU10は、上記マイクロフォン22からフィルタ21及びA/D変換器20を介して得られたデジタル音声信号、操作パネル13からのパネルデータ及びキーボード14からのキーデータに基づいて制御データを生成し、音源回路15に送る。音源回路15で生成された楽音信号は、D/A変換器16でアナログ信号に変換された後、アンプ17を介してスピーカ18に送られる。これにより、スピーカ18から楽音が発生される。
【0021】
次に、本制御パラメータ変更装置が適用された電子楽器の動作を、フローチャートを参照しながら説明する。
【0022】
(1)メイン処理
図5は、本電子楽器のメイン処理を示すフローチャートである。このメイン処理ルーチンは、電源の投入により起動される。即ち、電源が投入されると、先ず、初期化処理が行われる(ステップS10)。この初期化処理では、CPU10の内部がリセットされると共に、RAM12に定義されているバッファ、レジスタ、カウンタ、フラグ等が初期状態に設定される。具体的には、ピッチ抽出フラグFLGが「0」にクリアされる。このピッチ抽出フラグFLGは、現在ピッチ抽出中であるかどうかを記憶するために使用される。また、ピッチ抽出期間を計測するためのカウンタTOTALの内容が「80」に初期設定される。このカウンタTOTALは、この割り込み処理を行った回数を計数することにより、ピッチ抽出期間を計測する。また、フィルタ21に所定のデータが設定されることにより、フィルタ21の遮断周波数が例えば2KHzに設定される。
【0023】
この初期化処理が終了すると、次いで、パネル処理が行われる(ステップS11)。このパネル処理では、操作パネル13上のスイッチの操作に対応する処理や、インジケータの点灯/消灯、ディスプレイ装置にメッセージを表示する処理等が行われる。
【0024】
次いで、ピッチ検査処理が行われる(ステップS12)。このピッチ検査処理では、マイクロフォン22から入力された音声のピッチを検出し、この検出されたピッチに基づいて制御パラメータを変更する処理が行われる。このピッチ検査処理の詳細については後述する。
【0025】
次いで、キーボード処理が行われる(ステップS13)。このキーボード処理では、押鍵に応じた発音処理又は離鍵に応じた消音処理が行われる。これらの処理によって、キーボード14の操作に応じた音が発生される。
【0026】
次いで、「その他の処理」が行われる(ステップS14)。この「その他の処理」では、例えば図示しないMIDIインタフェース回路を介して外部機器との間でMIDIデータを送受信する処理等が行われる。その後、ステップS11に戻り、以下、同様の処理が繰り返される。
【0027】
このように、メイン処理ルーチンの上記ステップS11〜S14の繰り返し実行の過程で音声入力、パネル操作又はキーボード操作が行われると、その操作に対応する処理が行われることにより、電子楽器としての各種機能が実現されている。
【0028】
(2)割込処理
次に、割込処理ついて説明する。この割込処理は、本発明のピッチ抽出手段に対応する。この割込処理は、図示しないタイマから一定時間毎に発生される割込信号に応じて、上述したCPU10のメイン処理に割り込んで実行される。このピッチ抽出手段では、例えば、図3に示すようなゼロクロス計測方法、或いは図4に示すような自己相関性を用いる方法等を用いてピッチを抽出するように構成できる。
【0029】
ゼロクロス計測方法は、図3(A)に示すような高周波成分を含む波形の入力音声信号をローパスフィルタでフィルタリングする。そして、図3(B)に示すように、フィルタリングされた音声信号のゼロクロス点を計数し、その数によってピッチを算出する方法である。また、音声波形の自己相関性を用いる方法は、図4(A)に示すような波形の入力音声信号を、同図(B)に示すように、時間を計測しながら位相を順次ずらいていき、位相を360度ずらした時点の時間Tを得る。そして、得られた時間Tの逆数をピッチ周波数とする。本発明の電子楽器の制御パラメータ変更装置では、上述した何れの方法をも用いることができるが、本実施の形態では、ゼロクロス計測方法を用いてピッチを抽出するものとする。
【0030】
図6は、割込処理ルーチンにおけるピッチ抽出処理を示すフローチャートである。本実施の形態で抽出するピッチは100Hz〜2KHzの範囲とする。従って、割込周期は250マイクロ秒以下とする。また、ピッチ抽出は、入力音声信号のレベルが最小認識レベルLVに達したときに開始されるものとする。最小認識レベルLVは、本実施の形態では、例えば入力音声信号の最大レベルの半分とすることができるが、これに限定されない。この最小認識レベルLVは、予めROM11に記憶されているものとする。なお、この最小認識レベルLVは、上述した初期化処理において、RAM12に所定領域に設定するように構成することもできるし、所望の時点で操作パネル13を用いて設定するように構成することもできる。
【0031】
割込処理では、先ず、音声入力が行われる(ステップS20)。即ち、CPU10は、A/D変換器20からデジタル音声信号を入力する。そして、この入力されたデジタル音声信号のレベル(以下、「入力レベル」という)が最小認識レベルLV以上であるかどうかを調べる(ステップS21)。ここで、入力レベルが最小認識レベルに満たないことが判断されると、ピッチ抽出フラグFLGが「0」にクリアされ(ステップS22)、その後、シーケンスはメインルーチンにリターンする。これにより、ピッチ抽出フラグFLGによってピッチ抽出中でないことが記憶される。
【0032】
一方、上記ステップS21で、入力レベルが最小認識レベルLV以上であることが判断されると、次いで、ピッチ抽出フラグFLGが「0」であるかどうかが調べられる(ステップS23)。ここで、ピッチ抽出フラグFLGが「0」、つまりピッチ抽出中でないことが判断されると、ピッチ抽出開始処理が行われる(ステップS24)。このピッチ抽出開始処理では、ピッチ抽出フラグFLGが「1」にセットされる。また、入力されたデジタル音声信号の符合ビット(MSB)が符合レジスタに記憶される。符合レジスタは、RAM12に定義される。また、ゼロクロスカウンタCOUNTの内容がゼロにクリアされる。このゼロクロスカウンタCOUNTもRAM12に定義される。更に、カウンタTOTALに初期値「80」がセットされる。
【0033】
上記ステップS23でピッチ抽出フラグFLGが「0」でないことが判断されると、つまりピッチ抽出中であることが判断されると、このステップS24の処理はスキップされる。次いで、カウンタTOTALがデクリメントされる(ステップS25)。次いで、入力されたデジタル音声信号の符合(MSB)と符合レジスタに記憶されている符合とが一致するかどうかが調べられる(ステップS26)。そして、一致しないことが判断されると、符合の反転があった(ゼロクロスがあった)ものと認識され、ゼロクロスカウンタCOUNTの内容がインクリメントされると共に、入力されたデジタル音声信号の符合が符合レジスタに記憶される(ステップS27)。その後、シーケンスはメイン処理ルーチンにリターンする。上記ステップS26で一致することが判断されると、符合の反転がなかった(ゼロクロスがなかった)ものと認識され、ステップS27の処理を行うことなく、シーケンスはメイン処理ルーチンにリターンする。
【0034】
以上の処理によって、音声信号がゼロレベルを通過した回数が、ゼロクロスカウンタCOUNTに計数される。なお、ピッチ抽出期間が経過したかどうかの判断及び音声信号がゼロレベルを通過した回数の検出は、次に説明するピッチ検査処理で行われる。
【0035】
(3)ピッチ検査処理
次に、ピッチ検査処理について、図7のフローチャートを参照しながら説明する。このピッチ検査処理は、メイン処理ルーチンで一定周期でコールされる。
【0036】
ピッチ検査処理では、先ず、ピッチ抽出フラグFLGが「1」であるかどうかが調べられる(ステップS30)。そして、ピッチ抽出フラグFLGが「1」でない、つまりピッチ抽出中でないことが判断されると、以下の処理を行わずにシーケンスはメイン処理ルーチンにリターンする。一方、ピッチ抽出フラグFLGが「1」、つまりピッチ抽出中であることが判断されると、次いで、カウンタTOTALが「0」以下であるかどうかが調べられる(ステップS31)。ここで、カウンタTOTALが「0」以下でないことが判断されると、ピッチ抽出期間が未だ経過していないことが認識され、以下の処理を行わずにシーケンスはメイン処理ルーチンにリターンする。
【0037】
上記ステップS31で、カウンタTOTALが「0」以下であることが判断されると、ピッチ抽出期間が経過したことが認識され、ピッチ抽出フラグFLGが「0」にクリアされる(ステップS32)。次いで、ピッチレジスタPITCHの内容とゼロクロスカウンタCOUNTの内容とが比較される(ステップS33)。ここで、ピッチレジスタPITCHは、RAM12に定義されるレジスタであり、前回検出したピッチを記憶している。
【0038】
ここで、ピッチレジスタPITCHの内容とゼロクロスカウンタCOUNTの内容とが一致することが判断されると、前回までに検出したピッチと今回検出したピッチとが同じであることが認識される。この場合は、ピッチの変更はなかったのであるから、何らの処理も行うことなく、シーケンスはメイン処理ルーチンにリターンする。
【0039】
一方、上記ステップS33で、ピッチレジスタPITCHの内容とゼロクロスカウンタCOUNTの内容とが一致しないことが判断されると、ゼロクロスカウンタCOUNTの内容をピッチレジスタPITCHに移し(ステップS34)、次いで、ピッチ解釈処理が行われる(ステップS35)。このピッチ解釈処理では、得られた音声の基音のピッチと予め記憶されている基準ピッチとを比較し、この比較結果に基づいて制御パラメータの変更処理が行われる(詳細は後述する)。
【0040】
なお、上述した例では、入力された音声のレベルが最小認識レベルLVを越えた場合に、ピッチ抽出を開始するように構成したが、音声入力が開始された瞬間にピッチ抽出を開始するように構成してもよいし、音声人力が開始されてから一定時間経過した瞬間にピッチ抽出を開始するように構成してもよいし、常時ピッチ抽出を行うように構成してもよい。
【0041】
(4)ピッチ解釈処理
次に、ピッチ解釈処理の詳細について、図8のフローチャートを参照しながら説明する。本実施の形態1では、音声によって、ホイールに次の何れかの機能を割り当て、この割り当てられた機能を制御するための制御パラメータの値を変更する例について説明する。ただし、現在設定されている各制御パラメータは、RAM12に記憶されているものとする。
▲1▼ホイールにピッチベンド機能を割り当てる。
▲2▼ホイールにフィルタの遮断周波数変更機能を割り当てる。
【0042】
ピッチ解釈処理では、先ず、ピッチレジスタPITCHの内容(上述したピッチ検査処理で得られたピッチ)が基準ピッチST_PITCH以上であるかどうかが調べられる(ステップS40)。ここで、基準ピッチST_PITCHは、予めROM11に記憶しておくことができる。なお、この基準ピッチST_PITCHは、電源投入時の初期化処理、或いはその後のパネル操作によって、RAM12にセットするように構成することもできる。
【0043】
ここで、ピッチレジスタPITCHの内容が基準ピッチST_PITCH以上であることが判断されると、設定レジスタSETの内容が「1」にセットされる(ステップS41)。設定レジスタSETは、RAM12に定義されるレジスタである。一方、ピッチレジスタPITCHの内容が基準ピッチST_PITCH未満であることが判断されると、設定レジスタSETの内容が「0」にクリアされる(ステップS42)。
【0044】
上記設定レジスタSETの設定が終了すると、次いで、実行処理が行われる(ステップS43)。この実行処理の詳細は、図9のフローチャートに示されている。即ち、実行処理では、先ず、設定レジスタSETの内容が「0」であるかどうかが調べれられる(ステップS50)。そして、「0」であることが判断されると、ピッチデータ修正処理が行われる(ステップS51)。即ち、図示しないホイールの操作量に応じたデータがRAM12に記憶されているピッチデータに加算される。これにより、ホイールによるピッチベンド機能が実現される。一方、上記ステップS50で設定レジスタSETの内容が「0」でないことが判断されると、ホイールの操作量に応じたデータがRAM12に記憶されているフィルタの遮断周波数データに加算される。これにより、ホイールによるフィルタの遮断周波数変更機能が実現される。以上の処理により、2つの異なる制御パラメータの何れか1つを音声で選択し、この選択された制御パラメータの値を変更することが可能となる。
【0045】
以上の説明では、制御パラメータとしてピッチデータ及びフィルタの遮断周波数データを用いたが、本発明の制御パラメータ変更装置はこれらに限定されず、リズム、テンボ等といった既に説明したあらゆる制御パラメータに適用することができる。
【0046】
また、上記では、音声が基準ピッチ以上であるかどうかによって2つの制御パラメータの何れかを選択するように構成したが、音声入力があったかどうかによって2つの制御パラメータの何れかを選択するように構成することもできる。この構成によれば、ピッチ抽出が不要となり、処理が簡略化されるという利点がある。
【0047】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2は、上述した実施の形態1が2つの制御パラメータの中の何れか1つを音声のピッチに基づいて選択するのに対し、3つ以上の制御パラメータの中の何れか1つを音声のピッチに基づいて選択する。本実施の形態2では、nセット用意されたレジストレーションの中の何れか1つを選択する場合を例にとって説明する。ここで、各セットには1〜nのレジストレーション番号が付されており、このレジストレーション番号を指定することにより1つのセットが選択される。このレジストレーション番号は本発明の制御パラメータ番号に対応する。
【0048】
本実施の形態2は、ピッチ解釈処理及び実行処理のみが、上述した実施の形態1と相違する。従って、以下においては、相異点のみを図10及び図11のフローチャートを参照しながら説明する。
【0049】
ピッチ解釈処理では、先ず、ピッチレジスタPITCHの内容が基準ピッチST_PITCH以上であるかどうかが調べられる(ステップS60)。ここで、ピッチレジスタPITCHの内容が基準ピッチST_PITCH以上であることが判断されると、設定レジスタSETの内容がインクリメントされる(ステップS61)。そして、インクリメントの結果、設定レジスタSETの内容がnより大きくなったかどうかが調べられ(ステップS62)、nより大きいことが判断されると、設定レジスタSETの内容が「0」にクリアされる(ステップS63)。以上の処理により、入力された音声のピッチが基準ピッチST_PITCH以上の場合は、設定レジスタSETの内容がインクリメントされ、インクリメントの結果が最大値nを越えたら「0」に循環する機能が実現されている。
【0050】
上記ステップS60で、ピッチレジスタPITCHの内容が基準ピッチST_PITCH未満であることが判断されると、設定レジスタSETの内容がデクリメントされる(ステップS64)。そして、デクリメントの結果、設定レジスタSETの内容が「0」より小さくなったかどうかが調べられ(ステップS65)、「0」より小さいことが判断されると、設定レジスタSETの内容がnにセットされる(ステップS66)。以上の処理により、入力された音声のピッチが基準ピッチST_PITCHより小さい場合は、設定レジスタSETの内容がデクリメントされ、デクリメントの結果が最小値「0」より小さくなったらnに循環する機能が実現されている。
【0051】
以上の設定レジスタSETの処理が終了すると、次いで実行処理が行われる(ステップS67)。この実行処理の詳細は、図11のフローチャートに示されている。
【0052】
実行処理では、先ず、設定レジスタSETの内容が「0」であるかどうかが調べれられる(ステップS80)。ここで、「0」であることが判断されると、レジストレーション番号1のレジストレーションが設定され(ステップS81)、その後、シーケンスは、この実行処理ルーチンからリターンする。一方、設定レジスタSETの内容が「0」でないことが判断されると、次いで、設定レジスタSETの内容が「1」であるかどうかが調べれられる(ステップS82)。そして、「1」であることが判断されると、レジストレーション番号2のレジストレーションが設定され(ステップS83)、その後、シーケンスは、この実行処理ルーチンからリターンする。以下同様にして、順次設定レジスタSETの内容が順次調べられてレジストレーションを設定する処理が行われる。そして、最後に設定レジスタSETの内容が「n−1」であるかどうかが調べれられる(ステップS84)。ここで、「n−1」であることが判断されると、レジストレーション番号nのレジストレーションが設定される(ステップS85)。その後、シーケンスはこの実行処理ルーチンからリターンする。上記ステップS84で設定レジスタSETの内容が「n−1」でないことが判断された場合も、シーケンスはこの実行処理ルーチンからリターンする。
【0053】
以上の処理により、入力された音声のピッチが所定の基準値よりも高い時には、レジストレーション1→レジストレーション2・・・レジストレーションn→レジストレーション1とレジストレーション番号が増加する方向でレジストレーションの設定内容が変化する。逆に、入力された音声のピッチが所定の基準値より低い時には、レジストレーション1→レジストレーションn・・・レジストレーション2→レジストレーション1とレジストレーション番号が減少する方向でレジストレーションの設定内容が変化する。このような処理により、設定項日が多い場合においても音声による制御パラメータの選択及びその内容の変更が可能となる。
【0054】
以上の説明ではレジストレーションの設定を変更する場合を例にとって説明したが、レジストレーションの代わりに例えばリズム、テンポ等既に述べた他の制御パラメータを変更する場合も、上記と同様に適用できる。
【0055】
また、上記では、音声が基準ピッチ以上であるかどうかによって制御パラメータの番号をインクリメント又はデクリメントし、以て何れかの制御パラメータを選択するように構成したが、音声入力があったかどうかによって制御パラメータの番号をインクリメント又はデクリメントし、これによって1つの制御パラメータを選択するように構成することもできる。この構成によれば、ピッチ抽出が不要となり、処理が簡略化されるという利点がある。
【0056】
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3は、上述した実施の形態2が音声のピッチに基づいて制御パラメータ番号をインクリメント又はデクリメントすることによって1つの制御パラメータを選択するのに対し、複数の制御パラメータの中の何れか1つを音声のピッチに応じて直接選択する。本実施の形態3では、nセット用意されたレジストレーションの中の何れか1つを選択する場合を例にとって説明する。ここで、各セットには1〜nのレジストレーション番号が付されており、このレジストレーション番号を指定することにより1つのセットが選択される。このレジストレーション番号は本発明の制御パラメータ番号に対応する。
【0057】
本実施の形態3は、ピッチ解釈処理及び実行処理のみが、上述した実施の形態1と相違する。従って、以下においては、相異点のみを図11及び図12のフローチャートを参照しながら説明する。
【0058】
ピッチ解釈処理では、先ず、ピッチレジスタPITCHの内容をテーブル変換することによりピッチに対応したレジストレーション番号を得る(ステップS90)。変換テーブルはROM11に記憶しておくことができる。変換テーブルには、ピッチレジスタPITCHの内容が、ある値P1未満の時には「0」、P1以上P2未満の時には「1」、・・・Pn−1以上Pn未満の時には「n−1」を出力する。このテーブル変換により得られた値は設定レジスタSETに格納される(ステップS91)。但し、P1〜Pnはフィルタ21の遮断周波数以下の任意の正の正の整数とする。
【0059】
以上の設定レジスタSETの処理が終了すると、次いで実行処理が行われる(ステップS92)。この実行処理の詳細は、実施の形態2における実行処理(図11)と同じであるので説明は省略する。
【0060】
以上の処理により、入力された音声のピッチに応じてレジストレーション番号が直接決定されるので、所望のレジストレーションを速やかに設定することができる。本実施の形態3では、レジストレーションの設定を変更する場合を例にとって説明したが、レジストレーションの代わりに例えばリズム、テンポ等既に述べた他の制御パラメータを変更する場合も、上記と同様に適用できる。
【0061】
以上の説明では、制御パラメータ変更装置の実施の形態として3つを挙げたが、本発明の制御パラメータ変更装置を電子楽器に適用するにあたっては、上述した3つの実施の形態のいずれか1つだけ適用してもよいし、切替え操作によって何れか1つの実施の形態を選べるような構成にしてもよい。
【0062】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、演奏のタイミングの如何に拘わらず、また初心者であっても容易に制御パラメータを変更することのできる電子楽器の制御パラメータ変更装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る電子楽器の制御パラメータ変更装置を原理的に説明するための図である。
【図2】本発明の各実施の形態の制御パラメータ変更装置が適用された電子楽器のブロック図である。
【図3】本発明の各実施の形態のピッチ抽出方法(ゼロクロス計測方法)を説明するための図である。
【図4】本発明の各実施の形態のピッチ抽出方法(自己相関性を用いる方法)を説明するための図である。
【図5】本発明の各実施の形態のメイン処理を示すフローチャートである。
【図6】本発明の各実施の形態の割込処理を示すフローチャートである。
【図7】本発明の各実施の形態のピッチ検査処理を示すフローチャートである。
【図8】本発明の実施の形態1のピッチ解釈処理を示すフローチャートである。
【図9】本発明の実施の形態1の実行処理を示すフローチャートである。
【図10】本発明の実施の形態2のピッチ解釈処理を示すフローチャートである。
【図11】本発明の実施の形態2及び3の実行処理を示すフローチャートである。
【図12】本発明の実施の形態2のピッチ解釈処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
10 CPU
11 ROM
12 RAM
13 操作パネル
14 キーボード
15 音源回路
16 D/A変換器
17 アンプ
18 スピーカ
20 A/D変換器
21 フィルタ
22 マイクロフォン
30 バス
Claims (4)
- 音声を入力する音声入力手段と、
該音声入力手段で入力された音声のピッチを抽出するピッチ抽出手段と、
キーボードの操作に応じた楽音を発生するキーボード処理手段と、
前記楽音に関して設定する複数の制御パラメータのうちから前記ピッチに基づき1つの制御パラメータを選択し、入力装置の操作に基づいて前記1つの制御パラメータの値を変更する制御パラメータ変更手段、
とを有することを特徴とする電子楽器。 - 音声を入力する音声入力手段と、
該音声入力手段で入力された音声のピッチを抽出するピッチ抽出手段と、
キーボードの操作に応じた楽音を発生するキーボード処理手段と、
複数のレジストレーションのうちから前記ピッチに基づき1つのレジストレーションを選択し、前記楽音に関して設定する複数の制御パラメータのうちの前記1つのレジストレーションが示す一部或いは全部の制御パラメータの値を変更する制御パラメータ変更手段、
とを有することを特徴とする電子楽器。 - 前記制御パラメータ変更手段は、前記ピッチ抽出手段で抽出されたピッチが所定値以上であれば制御パラメータ番号をインクリメントし、所定値未満であれば制御パラメータ番号をデクリメントし、
前記1つのレジストレーションは、該インクリメント又はデクリメントにより得られた制御パラメータ番号に対応することを特徴とする請求項2に記載の電子楽器。 - 前記制御パラメータ変更手段は、前記ピッチ抽出手段で抽出されたピッチに対応する制御パラメータ番号を得、
前記1つのレジストレーションは、該得られた制御パラメータ番号に対応することを特徴とする請求項2に記載の電子楽器。
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---|---|---|---|
JP21202296A JP3669065B2 (ja) | 1996-07-23 | 1996-07-23 | 電子楽器の制御パラメータ変更装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP21202296A JP3669065B2 (ja) | 1996-07-23 | 1996-07-23 | 電子楽器の制御パラメータ変更装置 |
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JPH1039866A JPH1039866A (ja) | 1998-02-13 |
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Family Applications (1)
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JP21202296A Expired - Fee Related JP3669065B2 (ja) | 1996-07-23 | 1996-07-23 | 電子楽器の制御パラメータ変更装置 |
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-
1996
- 1996-07-23 JP JP21202296A patent/JP3669065B2/ja not_active Expired - Fee Related
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JPH1039866A (ja) | 1998-02-13 |
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