JP3668884B2 - 省エネルギ−船舶 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、ビルジ渦による船体抵抗を低減し、またビルジ渦およびプロペラ後流の回転エネルギ−を回収して推力として利用する省エネルギ−船舶に関する。
【0002】
【従来の技術】
船舶の付加物により推進効率を向上させる手段として、船舶の航走にともなってビルジ部に発生するビルジ渦の回転エネルギ−を船舶の推力として利用する方法と、プロペラ後流の回転エネルギ−を船舶の推力として利用する方法等がある。
【0003】
このうち、ビルジ渦の回転エネルギ−を船舶の推力として利用する方法としては、特開平9−136693号公報や特開平11−59588号公報に開示されたビルジ渦エネルギ−回収装置によるものがある。
【0004】
船舶においては、図6(船底面から見た斜視図)に示すように、船尾両舷のビルジ部21a後端付近では、船底21bから上方に回り込む上向流22と、船側から内側に流れ込もうとする下降流23とが交差して、この部分を発生源とするビルジ渦24が発生する。
【0005】
特に、肥大船等では、前記ビルジ渦24はプロペラ25前方の船体表面上に大規模な3次元剥離を生じさせて、船舶の抵抗増加の大きな原因となっている。
【0006】
前記ビルジ渦24は、図6に示すような船尾から見て左舷と右舷で反対方向に回転する流れを誘導し、発達しながらプロペラ25位置まで流れて、船舶の後方へ流れ去る。
【0007】
前記ビルジ渦24は、ビルジ渦中心26よりも船体側では、斜め下方を向いた下降流となり、ビルジ渦中心26よりも外側では、斜め上方を向いた上昇流となっている。ビルジ渦中心26周りの流れは、回転流となっており、この回転速度を誘起するエネルギ−は、船舶が抵抗に逆らって流体中を進むことによって流体に与えられたものであり、船舶の抵抗増加の原因となっている。
【0008】
特開平9−136693号公報に開示された船舶用ビルジ渦エネルギ−回収装置は、図7(a)の側面図および図7(b)の平面図に示すように、プロペラ31の前方の左右舷の船体32表面上に、翼端部33aはビルジ渦34のほぼ中心34aに位置し、かつ下向きのキャンバ−33bを有するフィン33を各々1枚ずつ取り付けたものである。
【0009】
また、特開平11−59588号公報に開示されたビルジ渦エネルギ−回収装置は、特開平9−136693号公報に開示されたものに加えて、図8に示すように、フィン33の翼端部33aに、ビルジ渦34による回転流れを打ち消す方向にキャンバ−の付いた補助フィン35を取り付けたものである。
【0010】
このように、船尾のプロペラ31の前方の左右両舷の船体32表面上に1対のフィン33を配置することによって、フィン33に発生する揚力36の進行方向成分を推力37として回収し、船の抵抗を減少させるものである。
【0011】
また、ビルジ渦による回転流れを打ち消す方向にキャンバ−の付いた補助フィン35を取り付けることによって、フィンの面積を増加させて、フィン全体の翼面荷重を軽減することができ、主フィン33背面(下面)の翼面流れの剥離を防止し、より有効にビルジ渦の回転エネルギ−を回収するものである。
【0012】
また、プロペラ後流の回転エネルギ−を船舶の推力として利用する方法としては、特開平4−201693号公報に開示された船舶用舵によるものがある。
【0013】
この船舶用舵は、図9(a)の平面図および図9(b)の側面図に示すように、船尾41後方に設けられた縦軸42の回りに回転自在な舵43に、前方のプロペラ44の中心高さ位置において横方向に延出するフィン45aおよび45bが設けられているとともに、舵43の前縁には、プロペラ44の中心高さ位置においてプロペラボスキャップ46に近接するように、前方に突出したバルブ状の突部47が設けられているものである。
【0014】
そして、フィン45aおよび45bには、回転するプロペラ後流を受けてそれぞれのフィンにほぼ等しい揚力が発生するように、互いに上下反対になったキャンバ−が設けられている。
【0015】
この舵43においては、プロペラ後流の流場は、プロペラ44の直ぐ後流位置に設けられた突部47により、半径方向に押し広げられ、有効伴流が増加し、フィン45aおよび45bに発生する揚力も増大する。その結果、船舶の推力として利用できる揚力の船舶進行方向成分も増大するというものである。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、船舶の推進効率を向上させるために、ビルジ渦の回転エネルギ−とプロペラ後流の回転エネルギ−を、同時に船舶の推力として利用しようとしても、推進効率の向上効果は、それぞれのエネルギ−を単独で利用したときの効果を足し合わせた効果よりも低いという問題点がある。
【0017】
本発明は、船型に応じて変化するビルジ渦の発生状況を考慮することにより、ビルジ渦の回転エネルギ−とプロペラ後流の回転エネルギ−を、同時に船舶の推力として利用するときに、船舶の推進効率の向上効果が、それぞれのエネルギ−を単独で利用したときの効果を足し合わせた効果よりも同等またはそれ以上となる省エネルギ−船舶を提供することを目的としている。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る省エネルギ−船舶は、プロペラ位置付近でビルジ渦中心がプロペラ中心軸よりも下方である船型であり、前記プロペラ前方の左右舷に、翼端部が前記ビルジ渦のほぼ中心に位置するとともに下向きのキャンバ−を有するフィンを各々1枚を有し、舵の両面から横方向に延出した舵付きフィンを各々1枚有するものである。
【0019】
また、前記舵の前縁で、前記舵付きフィンの取り付け位置に、プロペラボスキャップに近接するように前方に突出した突部を有する補助フィンを有するものである。
【0020】
また、前記プロペラ前方の左右舷にあるフィンの翼端部に、ビルジ渦による回転流れを打ち消す方向にキャンバ−を有する補助フィンを有するものである。
【0021】
本発明に係る省エネルギ−船舶においては、プロペラ位置付近でビルジ渦中心がプロペラの中心軸よりも下方である船型であるため、プロペラ前方の左右舷の船体表面上に設けたフィンにより、ビルジ渦の回転流のエネルギ−が推力に転換されたビルジ渦は、このフィンの作用によりその中心がやや上方へと移動し、舵位置で舵付きフィン位置と一致するようになる。
【0022】
このため、舵付きフィンでビルジ渦のエネルギ−とプロペラ後流の回転エネルギ−とが回収され、推力に変換される。
【0023】
したがって、推進効率の向上効果は、ビルジ渦の回転エネルギ−とプロペラ後流の回転エネルギ−をそれぞれ単独で利用したときの効果を足し合わせた効果と同等か、それよりも大きくなる。
【0024】
また、舵の前縁で、前記舵付きフィンの取り付け位置に、前方に突出した突部を有するものにおいては、プロペラ後流の流場がプロペラ半径方向に押し広げられ、有効伴流が増加し、舵付きフィンに発生する揚力も増大し、推進効率がさらに向上する。
【0025】
また、プロペラ前方の左右舷にあるフィンの翼端部に、ビルジ渦による回転流れを打ち消す方向にキャンバ−を有する補助フィンを有するものにおいては、フィンの面積を増加させて、フィン全体の翼面荷重を軽減させることにより、主フィン背面(下面)の翼面流れの剥離を防止し、より有効にビルジ渦の運動エネルギ−を推力として回収して、船体の抵抗を低減させるとともに、船舶の推進効率を向上させ、省エネルギ−効果を増大させることができる。
【0026】
【発明の実施の形態 】
本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
【0027】
図1は本発明の省エネルギ−船舶の一例を説明する側面図である。この省エネルギ−船舶は、船体1のビルジ部に発生するビルジ渦中心2aが、プロペラ3付近でプロペラ3の中心軸よりもやや下方になるような船型をしている。
【0028】
ビルジ渦2は、船尾両舷のビルジ部後端付近で、船底から上方に回り込む上向流と、船側から内側に流れ込もうとする下降流とが交差して3次元剥離が生じ、この部分で発生する。ビルジ渦2は、船尾方向に向かって成長し、プロペラ3前方付近で発達のピ−クに達する。
【0029】
ビルジ渦中心2aの位置は、縮尺模型の水槽試験により実船の船尾流場を推定する方法、あるいは船体周りの粘性流場解析用の計算流体力学(CFD)コ−ドを用いて船尾流場を解析し推定する方法により求められる。
【0030】
縮尺模型の水槽試験による計測により、模型のビルジ渦の中心位置を求め、模型−実船間のレイノズル数の差に基づく尺度影響を考慮して、実船の船尾流場を推定して、ビルジ渦2の中心位置を求めることができる。
【0031】
CFDコ−ドとして、運輸省船舶技術研究所で開発されたNICE−Codeを用いて、乱流モデルにはBaldwin−Lomaxモデルに修正を施して、船尾流場を推定し、ビルジ渦2の中心位置を求めることができる。
【0032】
船型によって船尾流場は変化し、ビルジ渦2の位置や強さは変化する。
【0033】
本発明の省エネルギ−船舶の船型は、幅広浅喫水船型であって、粘性抵抗の形状影響計数が比較的大きく、下記(1)式で定義される船尾肥大度γが大きい船型である。
【0034】
そして、船尾肥大度γが大きいので、ビルジ渦中心2aの位置が、プロペラ3位置付近でプロペラ3の中心軸よりもやや下方になる。
γ=(B/L)/{1.3・(1−Cb)−0.031・lcb}……(1)
ただし、B:船の型幅
L:船長
Cb:船の方形係数
lcb:船体中央(Midship)から浮心位置までの水平距離を船長Lに対する比(%)で表した数値
【0035】
図2に本発明の省エネルギ−船舶のプロペラ3位置でのビルジ渦2の渦度分布の例を示す。
【0036】
渦度分布は、水槽試験あるいはCFD計算により、プロペラ3位置における垂直断面内の回転流れの速度ベクトル分布を求め、次の(2)式により求めた船舶の長さ方向(x方向)に軸を持つ渦強さを表す渦度(ωx)の分布を表すものである。
ωx=∂w/∂y−∂v/∂z……(2)
ただし、x:船長方向の座標
y:船幅方向の座標(水平方向)
z:船の深さ方向の座標(垂直方向)
v:y方向の流速
w:z方向の流速
ωx:x方向に軸を持つ渦度
【0037】
図2はプロペラ後方より見たビルジ渦2の渦度分布であり、中心がプロペラの中心軸であり、実線が左廻り、破線が右廻りの渦の強さを示す。
図2から、この例ではプロペラ3の中心軸位置よりやや下方に、ビルジ渦2の最も強い部分、すなわちビルジ渦2の中心a、bが存在していることが分かる。
【0038】
そして、プロペラ3の前方の左右舷の船体1表面上に、翼端部はビルジ渦2のほぼ中心に位置し、かつ下向きのキャンバ−を有するフィン4を各々1枚ずつ取り付けている。
【0039】
また、船尾1a後方に設けられた縦軸5の回りに回転自在な舵6には、前方のプロペラ3の中心高さ位置において横方向に延出する舵付きフィン7が設けられているとともに、舵6の前縁には、プロペラ3の中心高さ位置においてプロペラボスキャップ8に近接するように、前方に突出したバルブ状の突部9が設けられている。
【0040】
この省エネルギ−船舶は、上述のように構成されているので、ビルジ渦2の回転エネルギ−が、プロペラ3の前方の左右舷の船体1表面上に設けたフィン4により、
フィン4に発生する揚力の進行方向成分を推力として回収し、船の抵抗を減少させ、船舶の省エネルギ−化が図れる。
【0041】
また、プロペラ3前方のフィン4には、摩擦抵抗および圧力抵抗が働くため、翼後部の流れに運動量欠損を生じさせ、その結果、プロペラ3への流入速度がフィン4が存在しない場合に比べて遅くなり、次の(3)式に示すように、船の推進効率のうちの伴流係数wが大きくなり、推進効率ηが向上する。
ただし、η:推進効率
ηr:プロペラ効率比
ηh:船殻効率
ηo:プロペラ単独効率
ηt:伝達効率
t:推力減少係数(0<t<1)
w:伴流係数(0<w<1)
【0042】
フィン4の前後方向取り付け位置は、特に規定しないが、ビルジ渦2が最も発達するプロペラ3前方の船体後端部に近い場所が望ましく、フィン4後方の流れが遅くなる効果によって、推進効率が上昇するので、プロペラ3からあまり前方に離れた位置は望ましくない。
【0043】
フィン4の断面形状は翼断面形状とし、ビルジ渦2中心より船体1側の下降流を利用して、揚力の前向き成分の力を得るために、下向きにキャンバ−を持つ翼断面とする。
【0044】
フィン4は、下向きにキャンバ−を持つことで、前記下降流に対し良好な揚抗比を持ち、かつ所定の揚力が得られるように、適切な迎角を設定して船体1に取り付けられている。
【0045】
フィン4により得られた揚力の前向き成分は、推力として船体1に作用するので、船体抵抗が減少する。
【0046】
図3は、図1の平断面図(舵6は省略)であるが、ビルジ渦中心位置2aに、フィン翼端部4aが位置するように、フィン4を取り付けることにより、フィン4の上面4b、すなわち正圧面側からフィン4の下面4c、すなわち負圧面側へ回り込む流れが生じ、フィン翼端部4aから下流へ流れ出すビルジ渦2とは逆方向に回転する翼端渦10が形成される。この翼端渦10の強さがちょうどビルジ渦2と反対向きで同じ強さを持つように、フィン4取り付け位置の流場に適合させて、フィン4の形状を決定すれば、ビルジ渦2と翼端渦10は打ち消し合って、フィン4よりも後方では、縦渦(船体1の長さ方向に軸を持つビルジ渦)が存在しないようにすることが可能となる。
【0047】
すなわち、ビルジ渦2の回転エネルギ−をほぼ完全に吸収し、この回転エネルギ−をフィン4に働く前向きの力に変換して、船舶の推進力の一部として利用することができる。
【0048】
また、フィン4の翼端部4aに翼端板や翼端小翼(ウィングレット)を設けることにより、翼端渦10をビルジ渦2と同程度の広い領域に拡散させ、さらに揚抗比を上昇させることができる。
【0049】
図4および図5は、フィン4の翼端部4aに翼端板や翼端小翼を設けた場合を示す図である。図4および図5において、(a)は斜視図、(b)は(a)を右方向から見た(船尾方向から船首方向を見た)正面図である。
【0050】
図4に示すフィン4は、フィン4の翼端部4aに翼端板11を設けたものである。
【0051】
図5に示すフィン4は、フィン4の翼端部4aに翼端小翼(ウィングレット)12を設けたものである。
【0052】
また、フィン4の平面形状は、船体1の載貨状態の変化に対して、フィン4への流入迎角が変化することに対応するために、図4および図5の(a)図に示すように、フィン4の前縁がフィン4翼根部からフィン4の翼端部4aに向けて後方に傾斜する、いわゆる後退翼形状とする必要がある。これは、矩形翼に比べて後退翼のほうが、より広い範囲の流入迎角の変化に対して、失速しにくい特性を持つことによるものである。
【0053】
また、強度上の理由から、船体1へのフィン4の取り付け部に近い翼根部では翼弦長を長くし、フィン4の翼端部4aでは短くする必要がある。
【0054】
船尾1aのプロペラ3前方の左右舷の船体1表面上に一対のフィン4を配置した省エネルギ−船舶において、フィン4の翼端部4aに、ビルジ渦2による回転流れを打ち消す方向にキャンバ−の付いた補助フィンを取り付けることによって、フィンの面積を増加させて、フィン全体の翼面荷重を軽減することにより、フィン4背面(下面)の翼面流れの剥離を防止し、より有効にビルジ渦2の運動エネルギ−を推力として回収し、船体1の抵抗を低減するとともに、船舶の推進効率を向上させ、船舶の省エネルギ−効果を増大させることができる。
【0055】
また、前記補助フィンの枚数、面積は、船型に応じて変化するビルジ渦2の強さに応じて、設定される。
【0056】
ビルジ渦の中心に対してフィン4のキャンバ−は下に凸となっているが、補助フィンはビルジ渦の中心に対して渦の回転方向に見てフィン4と同じ側に凸のキャンバ−を持つ。このような補助フィンを設けることにより、フィン4だけでは回収しきれなかったビルジ渦2の運動エネルギ−を補助フィンによっても回収できる。
【0057】
フィン4に当たったビルジ渦2の流れは、フィン4よりも後方の位置でやや上昇する。これは、フィン4に下向きのキャンバ−が付いていることにより、フィン4への流入流れがキャンバ−に沿うように上向きに曲げられるため、フィン4からの流出流れは、フィン4に流入する前に比べて上向きに変化することと、フィン4の翼端から流出する翼端渦の鏡像渦の上向きの誘導速度により、渦中心が上向きに流されるためである。
【0058】
そして、プロペラ3位置付近で、その中心がプロペラ3の中心軸とほぼ一致するようになる。
【0059】
このため、ビルジ渦2の回転エネルギ−が、舵6に設けた舵付きフィン7で回収され、さらに推力に変換される。
【0060】
また、プロペラ後流の回転エネルギ−も、ビルジ渦2の回転エネルギ−とともに、舵6に設けた舵付きフィン7で推力に変換される。
【0061】
したがって、本発明の省エネルギ−船舶の推進効率の向上効果は、ビルジ渦2の回転エネルギ−とプロペラ後流の回転エネルギ−のそれぞれを単独で利用したときの効果を足し合わせた効果と同等か、それよりも大きくなる。
【0062】
【実施例】
本発明の省エネルギ−船舶の省エネルギ−効果を水槽試験によって確認した。ビルジ渦の回転エネルギ−を回収するフィン(以下、ビルジ渦回転エネルギ−回収フィンという)と、プロペラ後流の回転エネルギ−を回収する舵付きフィンとを設けた模型船を用いて水槽試験を行い、これらのフィンを設けない場合に対する推進馬力の低減率を求め、省エネルギ−効果を検証した。
【0063】
本発明の実施例として、ビルジ渦中心のプロペラ位置付近での位置が、プロペラ中心軸より下方である船型を用い、比較例1および比較例2として、ビルジ渦中心のプロペラ位置付近での位置が、プロペラ中心軸よりやや上方である船型を用いた。
【0064】
それぞれの船型の主要目を表1に示す。
【0065】
【表1】
【0066】
実施例と比較例の船型の満載状態の設計船速における制動馬力(BHP)を、計測結果と下記(4)〜(9)式より求めた。
【0067】
BHP=EHP・ηr・ηo・ηh・ηt……(4)
ただし、EHP:有効馬力
ηr:プロペラ効率比
ηh:船殻効率(有効馬力と推力馬力との比)
ηo:プロペラ単独効率
ηt:伝達効率(主機出力軸からプロペラへの馬力の伝達効率)
【0068】
EHP=Vs・RT/75……(5)
ただし、Vs:船速(m/s)
RT:船の全抵抗(kg)
【0069】
ηr=ηb/ηo……(6)
ただし、ηo:同じ推力を出す時の均一流中のプロペラ効率
ηb:船後状態におけるプロペラ効率
【0070】
ηh=(1−t)/(1−wS)……(7)
ただし、t:推力減少係数
wS:実船の伴流係数
【0071】
1−t=RT/T……(8)
ただし、RT:船の全抵抗
T:プロペラの推力
【0072】
1−wS=Va/Vs……(9)
ただし、Va:プロペラ前進速度(m/s)
Vs:船速(m/s)
【0073】
ビルジ渦回転エネルギ−回収フィンと舵付きフィンの両方を設けた場合のBHPと、それぞれのフィンを単独に設けた場合のBHPを、ビルジ渦回転エネルギ−回収フィンおよび舵付きフィンの両方とも設けない場合のBHPと比較して、BHPの低減率を求めた。実施例と比較例の船型におけるBHPの低減率を表2に示す。
【0074】
【表2】
【0075】
実施例のビルジ渦中心のプロペラ位置付近での位置が、プロペラ中心軸より下方である船型においては、ビルジ渦回転エネルギ−回収フィンと舵付きフィンの両方を設けたことにより、それぞれのフィンを単独で設けた場合の制動馬力の低減率を足し合わせた7.9%よりも高い、8.2%の低減効果が得られる。
【0076】
一方、比較例1および比較例2のビルジ渦中心のプロペラ位置付近での位置が、プロペラ中心軸よりやや上方である船型では、両方のフィンを設けた場合の制動馬力の低減率は、それぞれのフィンを単独で設けた場合の制動馬力の低減率を足し合わせた効果よりも低くなっている。
【0077】
【発明の効果】
本発明により、船型をプロペラ位置付近でビルジ渦中心がプロペラ中心軸よりも下方である船型としているので、船体に取り付けたフィンにより、ビルジ渦の回転エネルギ−を揚力として回収し、その進行方向成分を推力として利用できるとともに、舵に取り付けた舵付きフィンにより、ビルジ渦の回転エネルギ−およびプロペラ後流の回転エネルギ−を回収し、その進行方向成分を推力として利用することができる。
【0078】
したがって、ビルジ渦の回転エネルギ−のみを回収する場合の推進効率の上昇効果、およびプロペラ後流の回転エネルギ−のみを回収する場合の推進効率の上昇効果を足し合わせた効果と同等以上に、船舶の推進効率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の省エネルギ−船舶の一例を示す側面図である。
【図2】本発明の省エネルギ−船舶のプロペラ位置でのビルジ渦の渦度分布を示す図である。
【図3】舵を省略した図1の平断面図である
【図4】本発明の省エネルギ−船舶の船体に設けたフィンに翼端板を設けた場合の図であり、(a)は斜視図、(b)は(a)を右方向から見た正面図である。
【図5】本発明の省エネルギ−船舶の船体に設けたフィンに翼端小翼を設けた場合の図であり、(a)は斜視図、(b)は(a)を右方向から見た正面図である。
【図6】船舶を船底面から見た斜視図である。
【図7】従来のビルジ渦エネルギ−回収装置の説明図であり、(a)は側面図、(b)は平面図である。
【図8】従来の補助フィンを有するビルジ渦エネルギ−回収装置の側面図である。
【図9】従来のプロペラ後流の回転エネルギ−回収用船舶用舵の説明図であり、(a)は平面図、(b)は側面図である。
【符号の説明】
1 船体
2 ビルジ渦
3 プロペラ
4 フィン
5 縦軸
6 舵
7 舵付きフィン
8 プロペラボスキャップ
9 バルブ状の突部
10 翼端渦
11 翼端板
12 翼端小翼
Claims (3)
- プロペラ位置付近でビルジ渦中心がプロペラ中心軸よりも下方である船型であり、前記プロペラ前方の左右舷に、翼端部が前記ビルジ渦のほぼ中心に位置するとともに下向きのキャンバ−を有するフィンを各々1枚を有し、舵の両面から横方向に延出した舵付きフィンを各々1枚有することを特徴とする省エネルギ−船舶。
- 前記舵の前縁で、前記舵付きフィンの取り付け位置に、プロペラボスキャップに近接するように前方に突出した突部を有することを特徴とする請求項1に記載の省エネルギ−船舶。
- 前記プロペラ前方の左右舷にあるフィンの翼端部に、ビルジ渦による回転流れを打ち消す方向にキャンバ−を有する補助フィンを有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の省エネルギ−船舶。
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